説明

画像表示装置

【課題】複数の離散した表示面に一つの画像データを表示する際、表示装置の配置に柔軟性を持たせ、使い勝手の良い画像表示装置を提供する。
【解決手段】一つの映像コンテンツを複数の離散した画面に表示する画像表示装置において、複数の画像表示部と、画像送信部により構成され、画像送信部は、複数の画像表示部に対し一つの映像コンテンツを表示面積を最大に確保するように位置情報を求め、映像コンテンツと各々の画像表示部の位置情報を画像表示部に送信し、離散して配置された画像表示部は、画像送信部からの位置情報に基づき、画面の一部を切り出して表示し複数の表示装置の画面により画像全体を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置および画像表示方法に関する。例えば、複数の分散した表示面に、一つの画像データを表示する画像表示装置、及びその画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば、特開平6−259048号公報(特許文献1)がある。該公報には「1画面の映像を複数のモニタ画面に分割して表示する画面分割装置に関し、画面境界部分で画面歪みを発生しないことを目的」とした画面分割装置が記載されている。また、別の例では、特開平5−127632号公報(特許文献2)がある。該公報には「1つの集合画面に表示器の数よりも多い分割画面を映出出来る多画面表示装置」につき記載されている。具体的には、「従来の多画面表示装置による分割画面表示においては、集合画面を構成する表示器の数と分割画面数とは同一であり、1つの集合画面を表示器数よりも多い分割数で区切ることはできなかった。そこで本発明の目的は、1つの集合画面上に表示器の数よりも多い分割画面を同時に映出出来る多画面表示装置を提供し、更に多彩な映像表現を可能とすることにある。そして、本発明の更に具体的な目的は、記憶手段に書き込まれた1画面分の映像データが1つの表示器の表示画面の全領域(実境界領域)よりも小さな画面領域(仮想境界領域)に表示することが可能である場合に、表示器の数よりも多い数の仮想境界領域からなる集合画面を形成して、各仮想境界領域に同一の画像を映出することである。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−259048号公報
【特許文献2】特開平5−127632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、画像表示装置は、デジタルサイネージ(電子看板)として利用され始めてきている。デジタルサイネージの使用例としては、店舗のディスプレイや、病院、空港、駅などの公共機関の情報表示装置等に使用されはじめている。これらの多くは、大画面に情報を表示することになる。使用用途が多岐にわたり、且つ大画面に情報を表示する場合には、以下のような課題がある。
【0005】
画像表示装置の配置スペースを確保する必要がある。次に、配置スペースが確保した場合に、店舗などのレイアウト変更により画像表示装置に前面に障害物が置かれた場合には一部が隠れてしまうといった課題がある。
【0006】
また、宣伝効果をあげるために、意図的に画像表示部を離散して配置し表示したいという訴求がある。
【0007】
特許文献1に示す画像分割表示装置、及び特許文献2に示す画像分割表示装置に示す多画面表示装置は、離散して表示することは考慮されていないため、表示装置の配置に自由度がないため、固定した配置にする必要が生じてしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、特許請求の範囲に記載の発明により改善される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、離散した複数の表示部を1つの画面と見なした情報(コンテンツ)を表示することが可能となり、画像表示装置の配置に柔軟性をもつことができ、使い勝手のよい画像表示装置が提供できる。
【0010】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施例の画像表示装置の一例。
【図2】第1実施例の画像表示部の一例。
【図3】第1実施例の表示画像の一例。
【図4(a)】第1実施例の表示画像の一例。
【図4(b)】第1実施例の表示画像の一例。
【図4(c)】第1実施例の表示画像の一例。
【図4(d)】第1実施例の表示画像の一例。
【図5】第2実施例の表示面の一例。
【図6】第2実施例の表示面の一例。
【図7】第2実施例の表示面の一例。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、第1実施形態に係る画像表示装置のブロック図を示す。
画像表示装置1は、映像送信部100と複数の映像表示部101〜104から構成する。画像送信部100は、圧縮処理を施した画像データを記録した記録媒体と、前記記録媒体から画像データを読み出す記録媒体制御部と、読み出した画像データをトランスポートストリームパケット(TSパケット)などの方式でパケットかし無線転送する転送部で構成される。
【0014】
記録媒体の一例としては、光ディスク、磁気ディスク、大容量メモリなどがある。また、画像データを圧縮する方式の一例としては、MPEG2(ISO/IEC 13813−2, International Standard)や、H.264(ITE/ISO 14496−10/H.264AVC)/AVC(Advanced Video Coding)などがある。
【0015】
画像データは、映像送信部100の記録媒体に記録していてもよいし、例えば、LAN等のネットワーク経由で配信されてきた画像を記録媒体に記録したものでも構わない。
【0016】
図2は、本発明の第1の実施形態を示す映像表示部101のブロック図であり、映像送信部100からの映像ストリームを受信部11から入力し、位置情報に従い、画像データの一部を表示部16に表示する。表示部16の一例としてはLCDなどがある。
【0017】
受信部11は、映像ストリームと映像表示部101が配置された位置を示す制御信号が入力される。
【0018】
無線回路12は、受信した映像ストリームと制御信号のヘッダを解析し、プロトコルに従い、映像ストリームと制御信号とに分離する。分離された映像ストリームは、デコード部13でデコード処理を施し、スケーリング部14に出力する。
【0019】
無線回路12により分離された制御信号は、映像表示部101の全体を制御する全体制御CPU部17に供給される。
【0020】
全体制御CPU部17は、無線回路からの制御情報に従い、映像表示部101を制御する。全体制御CPU部17は、映像送信部100により設定された位置情報をスケーリング部14に設定する。位置情報は、映像表示部101〜104が1フレームの画像(例えば水平方向1920、垂直ライン1080本や水平方向4096、垂直ライン2160本)の表示位置を示す座標と、拡大もしくは縮小率などがある。スケーリング部14は、デコード部13から供給される1フレームの画像から、位置情報制御部18からの制御信号に従い画像データを切り出す。拡大率は、表示部16の解像度に合わせて決定する。
【0021】
スケーリング部14により切り出された画像は表示制御部15に供給され、表示制御部15により例えば液晶パネルの表示位置に電圧を印加し、表示部16に映像を出画する。位置情報の検出は、位置センサ19にて行い、映像表示部101〜104毎に固有のIDをID設定端子22からID保持部21に設定し、映像送信部100に位置情報を出力端子20から送信する。ID保持部21へは、受信部11から全体制御CPU17経由で設定してもよい。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施形態を示す映像表示部101〜104に映像を出画した例を示す図である。201に示す画像が、映像送信部100で送信した1フレームの画像である。映像表示装置1の配置は、映像表示部101と映像表示部102、映像表示部103と映像表示部104を水平方向に配置し、映像表示部101と映像表示部102の垂直方向に映像表示部103と映像表示部104を配置した構成とする。
【0023】
各映像表示部では、1フレームの画像201をデコード部13でデコードした後、スケーリング部14により、例えば映像表示部101であれば、画像の左上端から1/4の画像を切り出し表示する。同じく、映像表示部102は右上端から1/4の画像、映像表示部103は左下端から1/4の画像、映像表示部104は右下端から1/4の画像を表示する。この構成により、分割した映像表示部101〜104に対して、1フレームの画像データを表示することができる。
【0024】
図4は、本発明の第1の実施形態を示す映像表示部101〜104を離れて配置し、映像を出画した例を示す図である。図4(a)は、映像表示部101〜104の配置例であり、映像表示部101と映像表示部103、映像表示部102と映像表示部104を垂直方向に配置し、映像表示部101、映像表示部103と映像表示部102、映像表示部104の間は、間隔を開けた配置とした構成である。図4(b)は、図4(a)の配置を意識した映像コンテンツの例である。202は映像コンテンツの1フレームの領域を示し、203は第一の表示枠、204は第二の表示枠を示す。図4(c)は、それぞれの表示枠と映像表示部の関係を示した図である。第一の表示枠203の上段には映像表示部101、下段には映像表示部103が割り当てられ、第二の表示枠204の上段には映像表示部102、下段には映像表示部104が割り当てられる。図4(d)は、映像表示装置1を店舗などに配置したとき例を示す図である。207は、例えば店舗などの商品陳列用ラックなどの障害物を示す。この例では、映像表示部101〜104を隣接して配置する必要がないため、まとまった配置スペースを確保する必要がなくなり、207の商品陳列用ラックなどの障害物を配置しても、画像装置に意図したコンテンツを表示することができるため、配置に自由がでる効果がある。また、レイアウト変更などにより、画像表示装置1の前に障害物が存在しても、画像は表示することができる。
【実施例2】
【0025】
本発明の第2実施例について図面を用いて説明する。
【0026】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す映像表示部101〜104の位置情報の設定方法について示した図である。離散した映像表示部101、102、103、104に対して、外接する矩形を求め、仮想表示部としている。この構成により、映像表示部の間隔に自由度が高くなる。
【0027】
図6は、離散した映像表示部101、102、103、104のうちの2個(例では、映像表示部101と104)を選択し、2つに外接する矩形を求め、仮想表示としている。この構成により映像表示部101と104により配置が決まるため、映像表示部の設定が容易になる。
【0028】
この2つの映像表示部により1フレームの内の分割した表示位置を決定した後、画像表示部102、103を追加する構成としてもよい。
【0029】
図7は、離散した映像表示部101、102、103、104を密接して配置したときの例である。映像表示部に映像コンテンツを最大に表示するため、最も表示面積が最大になる内接する矩形を求め、仮想表示としている。
【0030】
図5から図7の位置情報の設定は、映像送信部100により、どの方式にするか切替可能としてもよい。
【0031】
以上,添付図面を参照しながら本発明にかかる好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0032】
例えば、電子看板(デジタルサイネージ)などに利用可能な発明である。
【符号の説明】
【0033】
1 映像表示装置
11 受信部
12 無線回路
13 デコード部
14 スケーリング部
15 表示制御部
16 表示部
17 全体制御CPU部
18 位置情報制御部
19 位置センサ
20 位置センシング出力
21 ID保持部
22 ID設定部
100 映像送信部
101,102,103,104 映像表示部
201,202,203,204,206 表示画像
207 障害物
208,209,210 仮想表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの映像コンテンツを複数の画面に表示する画像表示装置において、
複数の画像表示部と、画像送信部を有して構成され、
前記画像送信部は、前記複数の画像表示部に対し一つの映像コンテンツを表示面積を最大に確保するように位置情報を求め、
映像コンテンツと各々の画像表示部の位置情報を画像表示部に送信し、
各々の画像表示部は、
前記画像送信部からの位置情報に基づき、画面の一部を切り出して表示し、
前記複数の画像表示部の画面により一つの映像コンテンツを表示することを特徴とした画像表示装置。
【請求項2】
一つの映像コンテンツを複数の画面に表示する画像表示装置において、
複数の画像表示部と、画像送信部を有して構成され、
前記画像送信部は、前記複数の画像表示部から最も面積の大きな内接する矩形領域に一つの映像コンテンツを表示するように位置情報を求め、
映像コンテンツと各々の画像表示部の位置情報を画像表示部に送信し、
各々の画像表示部は、
前記画像送信部からの位置情報に基づき、画面の一部を切り出して表示し、
複数の画像表示部の画面により一つの映像コンテンツを表示することを特徴とした画像表示装置。
【請求項3】
一つの映像コンテンツを複数に表示する画像表示装置において、
複数の画像表示部と、画像送信部を有して構成され、
前記画像送信部は、複数の画像表示部のうちの第1及び第2の画像表示部を選択し、
前記第1の画像表示部と前記第2の画像表示部が外接する矩形領域を検出し、
前記外接する矩形領域に対し一つの映像コンテンツを表示するように位置情報を求め、
一つの映像コンテンツと各々の画像表示部の位置情報を画像表示部に送信し、
各々の画像表示部は、
前記画像送信部からの位置情報に基づき、画面の一部を切り出して表示し、
前記複数の画像表示部の画面により画像全体を表示することを特徴とした画像表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに示す画像表示装置において、
複数の画像表示部は、離散して配置されたことを特徴とした画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図4(d)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−222372(P2012−222372A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82392(P2011−82392)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】