画像記録装置及び画像記録装置の制御方法
【課題】本発明はカッター装置を備えたウェブ用の画像記録装置において、ウェブの搬送位置が幅方向にずれたとしても、記録画像に対するカット位置を正確に制御することができる画像記録装置及び画像記録装置の制御方法を提供するものである。
【解決手段】記録媒体に画像記録を行う画像記録部と、記録媒体の搬送位置を検出する用紙端検出部と、記録媒体を所定の切断位置で切断するカッター部を備える画像記録装置であり、上記用紙端検出部の検出結果に基づいて記録媒体の幅方向の中心位置と搬送経路中心位置とのずれ量を測定し、そのずれ量に応じて画像記録位置に対して所定の切断位置で正確に記録媒体を切断するように、画像記録の開始タイミングと記録媒体のカットタイミングの間隔を調整するものである。
【解決手段】記録媒体に画像記録を行う画像記録部と、記録媒体の搬送位置を検出する用紙端検出部と、記録媒体を所定の切断位置で切断するカッター部を備える画像記録装置であり、上記用紙端検出部の検出結果に基づいて記録媒体の幅方向の中心位置と搬送経路中心位置とのずれ量を測定し、そのずれ量に応じて画像記録位置に対して所定の切断位置で正確に記録媒体を切断するように、画像記録の開始タイミングと記録媒体のカットタイミングの間隔を調整するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連続する記録媒体に画像を記録した後、搬送方向下流側で記録媒体をカットするカッター装置を備えた画像記録装置、及び画像記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ロール紙のような連続した記録媒体(ウェブ)を用いた画像記録装置では、画像を記録した後、用紙の搬送量を計測して指定長で自動的にウェブをカットするカッター装置を備える。このようなカッター装置としては、ウェブをカットする手前で一旦搬送を停止した状態でカットする方法と、ウェブを搬送させながらカットする方法が行われている。
【0003】
ウェブの搬送を一旦停止してカットする方法として、例えばウェブの幅方向に移動可能なロータリーカッターを使用し、所望の位置でウェブのカットを行っている。一方、ウェブを搬送させながらカットする方法として、例えばウェブの幅以上の長さを有するローラに長さ方向のカッター刃を有するカッターローラを使用し、所望の位置でウェブのカットを行っている。
【0004】
この場合、カッター刃を搬送方向に対して傾けて取り付けることにより、搬送方向下流に向かつて、徐々にウェブをカットする方法が行われている。徐々にウェブをカットすることで、切断トルクを小さくでき、切断時の音が小さく、モータの小型化も可能である。但し、いずれにしても、このようなカッター装置を備えた画像記録装置では、正確に所望の位置でウェブのカットを行う必要がある。
例えば、特許文献1においては、カッター装置の搬送方向下流にカットしたウェブの長さを測定する測定手段を備え、測定した長さが指定長からずれた場合、カットタイミングを補正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−270178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術によれば、カット長を所望の長さに補正することは可能であるが、記録画像に対するカット位置の補正を行なうことはできない。すなわち、記録画像に対するカット位置がずれることは、カットした記録媒体に対して、搬送方向の画像位置がずれることになる。
【0007】
また、搬送方向下流に向かって徐々にカットする方法では、カット長が所望の長さになるように調整しても、ウェブの搬送位置が幅方向にずれると、カットするタイミングがずれ、記録画像に対するカット位置がずれることになる。特に、複数のウェブ幅に対応しつつ、ウェブを交換しても、高精度で搬送位置を規定するためには、部品点数やコストが増加する。そのため、搬送方向下流に向かって、徐々にカットする方法であって、ウェブの搬送位置が幅方向にずれたとしても、記録画像に対するカット位置がずれないことが求められる。
【0008】
そこで、本発明はカッター装置を備えた画像記録装置において、ウェブの搬送位置が幅方向にずれたとしても、記録画像に対するカット位置を正確に制御することができる画像記録装置、及び画像記録装置の制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、開示の画像記録装置によれば、記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で切断するカッター部とを備える画像記録装置であって、前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出部と、前記用紙端検出部の検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出部と、前記用紙位置中心算出部の算出結果を記憶する記憶部と、前記記憶部に予め設定されている用紙基準中心位置と前記算出して記憶された用紙中心位置との結果がずれている場合、該ずれ量に応じて、記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する制御部とを備える構成とする。
【0010】
あるいは、開示の画像記録装置の制御方法によれば、記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で切断するカッター部とを備える画像記録装置の制御方法であって、前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出処理と、前記用紙端検出処理による検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出処理と、前記用紙位置中心算出部の算出結果を記憶部に記憶させる処理と、前記記憶部に予め設定されている用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれている場合、該ずれ量に応じて、記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する処理とを行う構成とする。
【0011】
また、上記課題を解決するために、開示の画像記録装置によれば、記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で前記記録媒体を切断するカッター部を備える画像記録装置であって、前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出部と、前記用紙端検出部の検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出部と、前記用紙位置中心算出部の算出結果を記憶する記憶部と、前記記憶部に予め設定されている用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれていた場合、前記カッター部を搬送方向と垂直の方向に移動させるカッター移動部と、前記ずれ量に応じて、前記カッター移動部による前記カッター部の移動量を制御する制御部とを備える構成とする。
【0012】
あるいは、開示の画像記録装置の制御方法によれば、記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で前記記録媒体を切断するカッター部を備える画像記録装置の制御方法であって、前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出処理と、前記用紙端検出処理による検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出処理と、前記用紙位置中心算出部の算出結果を記憶部に記憶する処理と、前記記憶部に予め設定されている用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれていた場合、前記カッター部を搬送方向と垂直の方向に移動させるカッター移動処理と、前記ずれ量に応じて、前記カッター移動部による前記カッター部の移動量を制御する処理とを行う構成とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カッター装置を備えたウェブ用の画像記録装置の記録画像に対するカット位置を正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る画像記録装置の構成図である。
【図2】本実施形態で用いるカッター部の構成を説明する図である。
【図3】搬送経路の概略配置及びカット後の記録媒体を示す図である。
【図4】カッター部の駆動制御に関するタイミング波形を示す図である。
【図5】ウェブの用紙幅方向の中心が用紙基準中心位置からずれた場合のカット状況を示す図である。
【図6】距離βの計算式を示す図である。
【図7】中心位置がずれた場合のタイミング波形を示す図である。
【図8】本実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。
【図9】第1の実施形態の調整処理を説明するフローチャートである。
【図10】記録開始タイミングの調整処理を説明する図であり、画像先端とカット位置との距離を一定に保つためのタイミング波形を示す。
【図11】第2の実施形態の調整処理を説明するフローチャートである。
【図12】第2の実施形態の制御を行った場合のタイミング波形を示す図である。
【図13】第3の実施形態の調整処理を説明するフローチャートである。
【図14】第3の実施形態の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本実施形態に係る画像記録装置の構成図である。同図に示す画像記録装置1は、パーソナルコンピュータ(PC)等の画像記録装置1のホスト機器である上位装置2に接続されている。この上位装置2からの指令に従って、連続する記録媒体(ウェブ)3に画像情報を記録する。ここで、画像情報とは、上位装置2から取得した、ウェブ3に記録すべき画像データや、切断情報等を含む情報である。
【0016】
ウェブ3は搬送系により搬送される過程で、画像記録や所定長への切断等の処理がなされる。以下、ウェブ3が搬送される過程に沿って、本実施形態に係る画像記録装置1の各部の動作について説明する。
券回媒体収納部4は、ロール状に巻かれたウェブ3を回転可能に軸支する。券回媒体収納部4には、機械式または磁気式の回転ブレーキが組み込まれており、引き出されたウェ
ブ3に制動をかけ、ウェブ3に所定の張力を与える。
【0017】
ウェブ3には、券回媒体収納部4において発生するバックテンションと、不図示のモータによって駆動される搬送ローラ対5a、5bにより与えられる搬送力により、ドラム6の外周面に垂直抗力が与えられる。そして、ウェブ3とドラム6との間の摩擦力によりウェブ3はドラム6に保持され、所定の速度で搬送される。また、ドラム6の回転軸には、例えばロータリーエンコーダ等からなる搬送情報生成部7が設けられており、ウェブ3の搬送距離に応じた搬送情報として、周期的なパルスを生成する。
画像記録部8は、ドラム6の外径に沿った近接する位置に配設され、例えばライン型インクジェットヘッドでインクを吐出させて、画像記録を行う。インクの吐出タイミングである記録タイミングは、後述するカットタイミング信号と搬送情報生成部7において生成される搬送情報とに基づき、制御部9により制御される。また、制御部9には後述する記憶部9aが構築されている。
【0018】
尚、ウェブ3の両面に画像記録を行う場合には、ドラム6及び画像記録部8をそれぞれ2組備える構成となり、各組の画像記録部8がウェブ3の表面及び裏面のそれぞれに画像記録を行う。
【0019】
ウェブ3は搬送ローラ対5a、5bの間を通過した後、用紙端検出部10に搬送される。用紙端検出部10は、例えば光学式反射型ラインセンサで構成されている。また、搬送方向に対して左側の用紙端を検出する用紙端検出部10aと搬送方向に対して右側の用紙端を検出する用紙端検出部10bとで構成してもよい。用紙端検出部10(10a、10b)は、予め定められた受光量の闘値によりウェブ3の有無を判断し、用紙端を検出する。
【0020】
ウェブ3は、用紙端検出部10(10a、10b)において用紙端が検出された後、ローラ11を介してカッター部12に搬送される。カッター部12には、例えばスパイラルカッターが使用され、ウェブ3の搬送を停止することなく、連続的にページ単位でウェブ3の切断を行なう。
【0021】
カッター部12におけるウェブ3のカットタイミングは、搬送情報生成部7からのウェブ搬送距離に同期して出力されるエンコーダ信号のカウント値に基づく。これにより、連続するウェブ3を所定長のシート3aに切断する。このように制御することにより、画像記録装置1全体のスループットを低下させることなく、画像記録及び切断動作を行うことが可能となる。尚、カッター部12の具体的な制御方法に関しては、後述する。
【0022】
カッター部12において切断されたシート3aは、シート3aの幅方向に延出して表面側及び裏面側に設けられたガイド13間をシート面を挟むようにガイドされて通過する。このようにして、切断されたシート3aは排出ローラ14に受け渡され、排出部15に排出される。
【0023】
図2は、本実施形態で用いるカッター部12の構成を示す図であり、上記のようにスパイラルカッターが使用されている。このカッターは円筒形のローラであるカッターローラ12aの表面に、ブレード12bが取り付けられている。このブレード12bには、長さWの刃がカッターローラ12aの中心軸に対して、スパイラル角θ2傾いて取り付けられている。ここで、ブレード12bの長さWは、使用する最大幅のウェブ3の幅方向の長さをWmaxとすると、W>Wmax/cosθ2である必要がある。
【0024】
図3は、搬送経路の概略配置及びカット後の記録媒体(シート3a)を示す図である。カッターローラ12aに対向してアンビルローラ12dが備えられており、ウェブ3はこのカッターローラ12aとアンビルローラ12dの間隙を通過するときに切断される。切断線12eは、ブレード12bとアンビルローラ12dが回転しながら接する線であり、ウェブ3が切断される場所を示している。カッター部12は同図に示すように、用紙幅方向に対して傾きθ1を有して取り付けられている。このとき、搬送ローラ対5a、5bの周速度をV1、ブレード12b先端の周速度をV2とすると、V1/sinθ1=V2/sinθ2となるように設定及び制御することで、ウェブ3を搬送方向に対して垂直にカットすることが可能となる。
【0025】
また、スパイラル角θ2とカッター部12の傾き角θ1を等しく設定すれば、即ち搬送ローラ対5a、5bの周速度V1とブレード12b先端の周速度をV2に等しく制御することで、ウェブ3は搬送方向に対して垂直にカットされる。
【0026】
また、図3では説明を簡略化するため、画像記録部8は1ラインのみとして記載しているが、この画像記録部8からカッター部12までの搬送経路長をLとする。また、画像記録部8は記録画像を連続して記録しているものとし、記録画像の搬送方向の先端とカット位置との距離をαとする。
【0027】
上記設定において、図4はカッター部12の駆動制御に関するタイミング波形を示す図である。尚、同図には、カッターローラ12aの回転速度Vと、カットタイミング信号aと、記録タイミング信号bを示している。以降、カッターローラ12aの回転速度をVとする。ウェブ3を搬送方向に対して垂直にカットするためのカット時のVをVcとする。このVcはウェブ3の搬送速度により変わる値である。ここで、カットタイミング信号aは、例えばカッターローラ12aに取り付けられたカッター基準位置センサ12cの検知信号に従って生成される。また、このカットタイミング信号aの立ち上がりのタイミング(tl)が用紙中心をカットするタイミングを示す。
【0028】
このカットタイミング信号aの周期(カッターローラが1回転する時間)がウェブ3をカットすべき指定長分搬送する時間(T5)に等しくなるように、カッターローラ12aの回転速度Vを制御する。V=Vcでカッターローラが1回転する時間がT5より遅くなってしまう場合は、図4に示すように、カット終了後に回転速度VをVcから上げて、再度カットする時にVcに戻す制御を行うことで、カットすべき指定長でカットする。一方、V=Vcで1回転する時間がT5より早くなってしまう場合は、カット終了後に回転速度VをVcから下げて、再度カットする時にはVcに戻す制御を行うことで、カットすべき指定長でカットする。このように制御することにより、ウェブ3を指定長でカットすることができる。
【0029】
また、記録タイミング信号bは、画像記録部8がウェブ3に対して記録処理を行うタイミングを示しており、記録タイミング信号bの立ち上がりタイミング(t3)が、記録開始タイミングを示す。この記録タイミング信号bのt2からt6までが一枚分の記録タイミング信号であり、t2からt6までの時間(T4)が、ウェブ3をカットすべき指定長分搬送する時間(T5)に等しい。
【0030】
また、t2からt3までの時間(T2)が先端余白αを搬送する時間である。さらに、用紙中心のカットタイミングt1と記録開始タイミングt3の間隔をT1とすると、T1−T2は、搬送経路長Lをカット指定長で割ったときの余りの長さを搬送する時間に等しい。
【0031】
図5には、ウェブ3の用紙幅方向の中心が用紙基準中心位置21から用紙中心位置22へずれた場合のカット状況を示す。この場合、ウェブ3をカットするタイミングが遅れてしまい、結果として画像先端とカット位置との距離αが、距離βになってしまう。ここで、距離βは、図6に示す関係から、
β=α−r ×tanθ1の計算式で表せられる。
また、この時のタイミング波形を図7に示す。すなわち、記録タイミング信号bの立ち上がりタイミング(t3)に対して、実際の用紙中心のカットタイミングがずれる。このため、図4のt2が図7ではt2´の位置にずれ、結果として、画像先端とカット位置との距離がβになる。ここで、T2´は距離βを搬送する時間に対応する。
【0032】
図8は本実施形態の処理を説明するフローチャートである。
先ず、画像記録装置1は上位装置2からのジョブ入力を判断する(ステップ(以下、Sで示す)1)。具体的には、上位装置2からウェブ3に記録すべき画像データや、切断情報等の画像情報が入力したか判断し、ジョブ入力があると(S1がYES)、前述の搬送ローラ対5a、5bの駆動を開始し(S2)、用紙端検出部10(10a、10b)によってウェブ3の用紙端を検出する(S3)。
【0033】
次に、用紙中心位置を算出する(S4)。この処理は、上記用紙端検出部10(10a、10b)からの検出信号に基づいて制御部9によって計算処理を行う。そして、記憶部9aに記憶した用紙基準中心位置のデータを読み出し(S5)、記憶部9aに記憶されていた用紙基準中心位置と計算した用紙中心位置がずれているか判断する(S6)。
【0034】
ここで、記憶部9aに記憶されていた用紙基準中心位置と算出した用紙中心位置がずれていなければ(S6がNO)、記録処理(S8)に移行するが、用紙中心位置がずれている場合(S6がYES)、調整処理を行う(S7)。図9はこの調整処理を説明するフローチャートである。この処理は、先ず用紙ずれ量に応じてカッター原点信号に対する記録開始タイミングを調整する(S7−1)。
【0035】
図10はこの記録開始タイミングの調整処理を説明する図であり、画像先端とカット位置との距離を一定に保つためのタイミング波形を示す。例えば、用紙端検出部10(10a、10b)からの検出信号に基づいて、図5に示すように用紙中心位置がr分ずれていることが分かると、記録タイミング信号bをT6だけずらす。このT6は、前述のα−βを搬送させる時間である。つまり、搬送速度をVfとするとT6=(α−β)/Vf=rtanθ1/Vfとなる。カットタイミング信号aの立ち上がりタイミング(tl)を基準と考えると、T1´(=T1+T6)の遅延をもって記録タイミング信号bを立ち上げることになる。
【0036】
次に、調整したカッター原点信号に対する記録開始タイミングの情報を記憶部9aに記憶し(S7−2)。
次に、切断処理(S9)を実行すると、画像先端とカット位置との距離がαに設定された位置で正確にウェブ3を切断することができる。
したがって、本実施形態によれば、ウェブの搬送位置が幅方向にずれたとしても、記録画像に対するカット位置を正確に制御することができる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
尚、本実施形態においても上記第1の実施形態で使用した画像記録装置1を使用し、例えば画像記録装置1はホスト機器である上位装置2に接続され、ロール状に巻かれたウェブ3を回転可能に軸支する券回媒体収納部4や、不図示のモータによって駆動される搬送ローラ対5a、5b、ドラム6、画像記録部8、用紙端検出部10(10a、10b)、及びカッター部12を有する。
【0038】
また、動作処理においても、基本的には前述の図8に示すフローチャートに従って処理され、画像記録装置1は上位装置2からのジョブ入力を判断し(S1)、搬送ローラ対5a、5bの駆動を開始し(S2)、用紙端検出部10(10a、10b)によってウェブ3の用紙端の検出を行う(S3)。その後、用紙中心位置を算出し(S4)、上記用紙端検出部10(10a、10b)からの検出信号に基づいて制御部9によって計算処理を行い、記憶部9aに記憶されていた用紙基準中心位置と算出した用紙中心位置がずれていた場合(S6がYES)、調整処理を行う(S7)。
【0039】
本実施形態では、この調整処理が前述の第1の実施形態と異なる。図11はこの調整処理を説明するフローチャートである。本実施形態では、先ず用紙ずれ量に応じてカッターローラ12bの動作を調整し、カットタイミングを調整する(S7−3)。
【0040】
図12は上記制御を行った場合のタイミング波形を示す図である。前述の第1の実施形態の制御においては、カットタイミング信号を基準に記録タイミング信号をT6遅延させる制御を行ったのであるが、本実施形態では用紙中心位置が、例えばrずれていることを検出すると、カットタイミング信号の立ち上がりをT6早める。このカットタイミング信号を早めるためには、カッターローラ12aの回転速度を調整し、カッターローラ12aが1回転する速度を速める必要がある。
【0041】
カッターローラ12aの回転速度がカット時の速度Vcより速い速度で回転している時間をT7長くすると共に、速度Vcの時間を短くして1回転する時間を速める。このように制御することによって、記録タイミング信号bを基準にカットタイミング信号aをT6早めることで、画像先端とカット位置との距離をαに調整する。
【0042】
次に、図8に示すフローチャートに戻って、切断処理(S9)を実行すると、画像先端とカット位置との距離がαに設定された位置で正確にウェブ3を切断することができる。
したがって、本実施形態によっても、ウェブ3の搬送位置が幅方向にずれたとしても、記録画像に対するカット位置を正確に制御することができる。
【0043】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
尚、本実施形態においても上記第1、第2の実施形態で使用した画像記録装置1を使用し、例えば画像記録装置1はホスト機器である上位装置2に接続され、ロール状に巻かれたウェブ3を回転可能に軸支する券回媒体収納部4や、不図示のモータによって駆動される搬送ローラ対5a、5b、ドラム6、画像記録部8、用紙端検出部10(10a、10b)、及びカッター部12を有する構成である。
【0044】
また、動作処理においても、基本的には前述の図8に示すフローチャートに従って制御され、画像記録装置1は上位装置2からのジョブ入力を判断し(S1)、搬送ローラ対5a、5bの駆動を開始し(S2)、用紙端検出部10(10a、10b)によってウェブ3の用紙端の検出を行う(S3)。そして、用紙中心位置を算出し(S4)、上記用紙端検出部10(10a、10b)からの検出信号に基づいて制御部9によって計算処理を行い、記憶部9aに記憶される用紙基準中心位置と算出した用紙中心位置がずれていた場合(S6がYES)、調整処理を行う(S7)。
【0045】
本実施形態ではこの調整処理が前述の第1、第2の実施形態と異なる。図13はこの調整処理を説明するフローチャートであり、図14はこの調整処理を説明する図である。本実施形態の場合、カットタイミング信号aや記録タイミング信号bを調整するのではなく、カッター移動部19により、カッター部12がウェブ3に追従する形で搬送方向に垂直に移動可能な構成とし、不図示のカッター移動位置検出部の情報を得て、用紙基準中心21と用紙中心22のずれ量r分カッター部12を移動させる(S7−4)。このように制御することにより、画像先端から所定量である距離αでカットすることが可能となる。
【0046】
次に、図8に示すフローチャートに戻って、切断処理(S9)を実行すると、画像先端とカット位置との距離がαに設定された位置で正確にウェブ3を切断することができる。
したがって、本実施形態によっても、ウェブの搬送位置が幅方向にずれたとしても、記録画像に対するカット位置を正確に制御することができる。
【0047】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、本発明は、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明をなすことができる。例えば本発明は、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、更には各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1・・・画像記録装置
2・・・上位装置
3・・・記録媒体(ウェブ)
4・・・券回媒体収納部
5・・・搬送ローラ対
6・・・ドラム
7・・・搬送情報生成部
8・・・画像記録部
9・・・制御部
9a・・記録部
10・・用紙端検出部
11・・ローラ
12・・カッター部
12a・・カッターローラ
12b・・ブレード
12c・・カッター位置基準センサ
12d・・アンビルローラ
12e・・切断線
13・・ガイド
14・・排出ローラ
15・・排出部
19・・カッター移動部
21・・用紙基準中心
22・・用紙中心
【技術分野】
【0001】
本発明は連続する記録媒体に画像を記録した後、搬送方向下流側で記録媒体をカットするカッター装置を備えた画像記録装置、及び画像記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ロール紙のような連続した記録媒体(ウェブ)を用いた画像記録装置では、画像を記録した後、用紙の搬送量を計測して指定長で自動的にウェブをカットするカッター装置を備える。このようなカッター装置としては、ウェブをカットする手前で一旦搬送を停止した状態でカットする方法と、ウェブを搬送させながらカットする方法が行われている。
【0003】
ウェブの搬送を一旦停止してカットする方法として、例えばウェブの幅方向に移動可能なロータリーカッターを使用し、所望の位置でウェブのカットを行っている。一方、ウェブを搬送させながらカットする方法として、例えばウェブの幅以上の長さを有するローラに長さ方向のカッター刃を有するカッターローラを使用し、所望の位置でウェブのカットを行っている。
【0004】
この場合、カッター刃を搬送方向に対して傾けて取り付けることにより、搬送方向下流に向かつて、徐々にウェブをカットする方法が行われている。徐々にウェブをカットすることで、切断トルクを小さくでき、切断時の音が小さく、モータの小型化も可能である。但し、いずれにしても、このようなカッター装置を備えた画像記録装置では、正確に所望の位置でウェブのカットを行う必要がある。
例えば、特許文献1においては、カッター装置の搬送方向下流にカットしたウェブの長さを測定する測定手段を備え、測定した長さが指定長からずれた場合、カットタイミングを補正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−270178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術によれば、カット長を所望の長さに補正することは可能であるが、記録画像に対するカット位置の補正を行なうことはできない。すなわち、記録画像に対するカット位置がずれることは、カットした記録媒体に対して、搬送方向の画像位置がずれることになる。
【0007】
また、搬送方向下流に向かって徐々にカットする方法では、カット長が所望の長さになるように調整しても、ウェブの搬送位置が幅方向にずれると、カットするタイミングがずれ、記録画像に対するカット位置がずれることになる。特に、複数のウェブ幅に対応しつつ、ウェブを交換しても、高精度で搬送位置を規定するためには、部品点数やコストが増加する。そのため、搬送方向下流に向かって、徐々にカットする方法であって、ウェブの搬送位置が幅方向にずれたとしても、記録画像に対するカット位置がずれないことが求められる。
【0008】
そこで、本発明はカッター装置を備えた画像記録装置において、ウェブの搬送位置が幅方向にずれたとしても、記録画像に対するカット位置を正確に制御することができる画像記録装置、及び画像記録装置の制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、開示の画像記録装置によれば、記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で切断するカッター部とを備える画像記録装置であって、前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出部と、前記用紙端検出部の検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出部と、前記用紙位置中心算出部の算出結果を記憶する記憶部と、前記記憶部に予め設定されている用紙基準中心位置と前記算出して記憶された用紙中心位置との結果がずれている場合、該ずれ量に応じて、記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する制御部とを備える構成とする。
【0010】
あるいは、開示の画像記録装置の制御方法によれば、記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で切断するカッター部とを備える画像記録装置の制御方法であって、前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出処理と、前記用紙端検出処理による検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出処理と、前記用紙位置中心算出部の算出結果を記憶部に記憶させる処理と、前記記憶部に予め設定されている用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれている場合、該ずれ量に応じて、記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する処理とを行う構成とする。
【0011】
また、上記課題を解決するために、開示の画像記録装置によれば、記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で前記記録媒体を切断するカッター部を備える画像記録装置であって、前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出部と、前記用紙端検出部の検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出部と、前記用紙位置中心算出部の算出結果を記憶する記憶部と、前記記憶部に予め設定されている用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれていた場合、前記カッター部を搬送方向と垂直の方向に移動させるカッター移動部と、前記ずれ量に応じて、前記カッター移動部による前記カッター部の移動量を制御する制御部とを備える構成とする。
【0012】
あるいは、開示の画像記録装置の制御方法によれば、記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で前記記録媒体を切断するカッター部を備える画像記録装置の制御方法であって、前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出処理と、前記用紙端検出処理による検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出処理と、前記用紙位置中心算出部の算出結果を記憶部に記憶する処理と、前記記憶部に予め設定されている用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれていた場合、前記カッター部を搬送方向と垂直の方向に移動させるカッター移動処理と、前記ずれ量に応じて、前記カッター移動部による前記カッター部の移動量を制御する処理とを行う構成とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カッター装置を備えたウェブ用の画像記録装置の記録画像に対するカット位置を正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る画像記録装置の構成図である。
【図2】本実施形態で用いるカッター部の構成を説明する図である。
【図3】搬送経路の概略配置及びカット後の記録媒体を示す図である。
【図4】カッター部の駆動制御に関するタイミング波形を示す図である。
【図5】ウェブの用紙幅方向の中心が用紙基準中心位置からずれた場合のカット状況を示す図である。
【図6】距離βの計算式を示す図である。
【図7】中心位置がずれた場合のタイミング波形を示す図である。
【図8】本実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。
【図9】第1の実施形態の調整処理を説明するフローチャートである。
【図10】記録開始タイミングの調整処理を説明する図であり、画像先端とカット位置との距離を一定に保つためのタイミング波形を示す。
【図11】第2の実施形態の調整処理を説明するフローチャートである。
【図12】第2の実施形態の制御を行った場合のタイミング波形を示す図である。
【図13】第3の実施形態の調整処理を説明するフローチャートである。
【図14】第3の実施形態の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本実施形態に係る画像記録装置の構成図である。同図に示す画像記録装置1は、パーソナルコンピュータ(PC)等の画像記録装置1のホスト機器である上位装置2に接続されている。この上位装置2からの指令に従って、連続する記録媒体(ウェブ)3に画像情報を記録する。ここで、画像情報とは、上位装置2から取得した、ウェブ3に記録すべき画像データや、切断情報等を含む情報である。
【0016】
ウェブ3は搬送系により搬送される過程で、画像記録や所定長への切断等の処理がなされる。以下、ウェブ3が搬送される過程に沿って、本実施形態に係る画像記録装置1の各部の動作について説明する。
券回媒体収納部4は、ロール状に巻かれたウェブ3を回転可能に軸支する。券回媒体収納部4には、機械式または磁気式の回転ブレーキが組み込まれており、引き出されたウェ
ブ3に制動をかけ、ウェブ3に所定の張力を与える。
【0017】
ウェブ3には、券回媒体収納部4において発生するバックテンションと、不図示のモータによって駆動される搬送ローラ対5a、5bにより与えられる搬送力により、ドラム6の外周面に垂直抗力が与えられる。そして、ウェブ3とドラム6との間の摩擦力によりウェブ3はドラム6に保持され、所定の速度で搬送される。また、ドラム6の回転軸には、例えばロータリーエンコーダ等からなる搬送情報生成部7が設けられており、ウェブ3の搬送距離に応じた搬送情報として、周期的なパルスを生成する。
画像記録部8は、ドラム6の外径に沿った近接する位置に配設され、例えばライン型インクジェットヘッドでインクを吐出させて、画像記録を行う。インクの吐出タイミングである記録タイミングは、後述するカットタイミング信号と搬送情報生成部7において生成される搬送情報とに基づき、制御部9により制御される。また、制御部9には後述する記憶部9aが構築されている。
【0018】
尚、ウェブ3の両面に画像記録を行う場合には、ドラム6及び画像記録部8をそれぞれ2組備える構成となり、各組の画像記録部8がウェブ3の表面及び裏面のそれぞれに画像記録を行う。
【0019】
ウェブ3は搬送ローラ対5a、5bの間を通過した後、用紙端検出部10に搬送される。用紙端検出部10は、例えば光学式反射型ラインセンサで構成されている。また、搬送方向に対して左側の用紙端を検出する用紙端検出部10aと搬送方向に対して右側の用紙端を検出する用紙端検出部10bとで構成してもよい。用紙端検出部10(10a、10b)は、予め定められた受光量の闘値によりウェブ3の有無を判断し、用紙端を検出する。
【0020】
ウェブ3は、用紙端検出部10(10a、10b)において用紙端が検出された後、ローラ11を介してカッター部12に搬送される。カッター部12には、例えばスパイラルカッターが使用され、ウェブ3の搬送を停止することなく、連続的にページ単位でウェブ3の切断を行なう。
【0021】
カッター部12におけるウェブ3のカットタイミングは、搬送情報生成部7からのウェブ搬送距離に同期して出力されるエンコーダ信号のカウント値に基づく。これにより、連続するウェブ3を所定長のシート3aに切断する。このように制御することにより、画像記録装置1全体のスループットを低下させることなく、画像記録及び切断動作を行うことが可能となる。尚、カッター部12の具体的な制御方法に関しては、後述する。
【0022】
カッター部12において切断されたシート3aは、シート3aの幅方向に延出して表面側及び裏面側に設けられたガイド13間をシート面を挟むようにガイドされて通過する。このようにして、切断されたシート3aは排出ローラ14に受け渡され、排出部15に排出される。
【0023】
図2は、本実施形態で用いるカッター部12の構成を示す図であり、上記のようにスパイラルカッターが使用されている。このカッターは円筒形のローラであるカッターローラ12aの表面に、ブレード12bが取り付けられている。このブレード12bには、長さWの刃がカッターローラ12aの中心軸に対して、スパイラル角θ2傾いて取り付けられている。ここで、ブレード12bの長さWは、使用する最大幅のウェブ3の幅方向の長さをWmaxとすると、W>Wmax/cosθ2である必要がある。
【0024】
図3は、搬送経路の概略配置及びカット後の記録媒体(シート3a)を示す図である。カッターローラ12aに対向してアンビルローラ12dが備えられており、ウェブ3はこのカッターローラ12aとアンビルローラ12dの間隙を通過するときに切断される。切断線12eは、ブレード12bとアンビルローラ12dが回転しながら接する線であり、ウェブ3が切断される場所を示している。カッター部12は同図に示すように、用紙幅方向に対して傾きθ1を有して取り付けられている。このとき、搬送ローラ対5a、5bの周速度をV1、ブレード12b先端の周速度をV2とすると、V1/sinθ1=V2/sinθ2となるように設定及び制御することで、ウェブ3を搬送方向に対して垂直にカットすることが可能となる。
【0025】
また、スパイラル角θ2とカッター部12の傾き角θ1を等しく設定すれば、即ち搬送ローラ対5a、5bの周速度V1とブレード12b先端の周速度をV2に等しく制御することで、ウェブ3は搬送方向に対して垂直にカットされる。
【0026】
また、図3では説明を簡略化するため、画像記録部8は1ラインのみとして記載しているが、この画像記録部8からカッター部12までの搬送経路長をLとする。また、画像記録部8は記録画像を連続して記録しているものとし、記録画像の搬送方向の先端とカット位置との距離をαとする。
【0027】
上記設定において、図4はカッター部12の駆動制御に関するタイミング波形を示す図である。尚、同図には、カッターローラ12aの回転速度Vと、カットタイミング信号aと、記録タイミング信号bを示している。以降、カッターローラ12aの回転速度をVとする。ウェブ3を搬送方向に対して垂直にカットするためのカット時のVをVcとする。このVcはウェブ3の搬送速度により変わる値である。ここで、カットタイミング信号aは、例えばカッターローラ12aに取り付けられたカッター基準位置センサ12cの検知信号に従って生成される。また、このカットタイミング信号aの立ち上がりのタイミング(tl)が用紙中心をカットするタイミングを示す。
【0028】
このカットタイミング信号aの周期(カッターローラが1回転する時間)がウェブ3をカットすべき指定長分搬送する時間(T5)に等しくなるように、カッターローラ12aの回転速度Vを制御する。V=Vcでカッターローラが1回転する時間がT5より遅くなってしまう場合は、図4に示すように、カット終了後に回転速度VをVcから上げて、再度カットする時にVcに戻す制御を行うことで、カットすべき指定長でカットする。一方、V=Vcで1回転する時間がT5より早くなってしまう場合は、カット終了後に回転速度VをVcから下げて、再度カットする時にはVcに戻す制御を行うことで、カットすべき指定長でカットする。このように制御することにより、ウェブ3を指定長でカットすることができる。
【0029】
また、記録タイミング信号bは、画像記録部8がウェブ3に対して記録処理を行うタイミングを示しており、記録タイミング信号bの立ち上がりタイミング(t3)が、記録開始タイミングを示す。この記録タイミング信号bのt2からt6までが一枚分の記録タイミング信号であり、t2からt6までの時間(T4)が、ウェブ3をカットすべき指定長分搬送する時間(T5)に等しい。
【0030】
また、t2からt3までの時間(T2)が先端余白αを搬送する時間である。さらに、用紙中心のカットタイミングt1と記録開始タイミングt3の間隔をT1とすると、T1−T2は、搬送経路長Lをカット指定長で割ったときの余りの長さを搬送する時間に等しい。
【0031】
図5には、ウェブ3の用紙幅方向の中心が用紙基準中心位置21から用紙中心位置22へずれた場合のカット状況を示す。この場合、ウェブ3をカットするタイミングが遅れてしまい、結果として画像先端とカット位置との距離αが、距離βになってしまう。ここで、距離βは、図6に示す関係から、
β=α−r ×tanθ1の計算式で表せられる。
また、この時のタイミング波形を図7に示す。すなわち、記録タイミング信号bの立ち上がりタイミング(t3)に対して、実際の用紙中心のカットタイミングがずれる。このため、図4のt2が図7ではt2´の位置にずれ、結果として、画像先端とカット位置との距離がβになる。ここで、T2´は距離βを搬送する時間に対応する。
【0032】
図8は本実施形態の処理を説明するフローチャートである。
先ず、画像記録装置1は上位装置2からのジョブ入力を判断する(ステップ(以下、Sで示す)1)。具体的には、上位装置2からウェブ3に記録すべき画像データや、切断情報等の画像情報が入力したか判断し、ジョブ入力があると(S1がYES)、前述の搬送ローラ対5a、5bの駆動を開始し(S2)、用紙端検出部10(10a、10b)によってウェブ3の用紙端を検出する(S3)。
【0033】
次に、用紙中心位置を算出する(S4)。この処理は、上記用紙端検出部10(10a、10b)からの検出信号に基づいて制御部9によって計算処理を行う。そして、記憶部9aに記憶した用紙基準中心位置のデータを読み出し(S5)、記憶部9aに記憶されていた用紙基準中心位置と計算した用紙中心位置がずれているか判断する(S6)。
【0034】
ここで、記憶部9aに記憶されていた用紙基準中心位置と算出した用紙中心位置がずれていなければ(S6がNO)、記録処理(S8)に移行するが、用紙中心位置がずれている場合(S6がYES)、調整処理を行う(S7)。図9はこの調整処理を説明するフローチャートである。この処理は、先ず用紙ずれ量に応じてカッター原点信号に対する記録開始タイミングを調整する(S7−1)。
【0035】
図10はこの記録開始タイミングの調整処理を説明する図であり、画像先端とカット位置との距離を一定に保つためのタイミング波形を示す。例えば、用紙端検出部10(10a、10b)からの検出信号に基づいて、図5に示すように用紙中心位置がr分ずれていることが分かると、記録タイミング信号bをT6だけずらす。このT6は、前述のα−βを搬送させる時間である。つまり、搬送速度をVfとするとT6=(α−β)/Vf=rtanθ1/Vfとなる。カットタイミング信号aの立ち上がりタイミング(tl)を基準と考えると、T1´(=T1+T6)の遅延をもって記録タイミング信号bを立ち上げることになる。
【0036】
次に、調整したカッター原点信号に対する記録開始タイミングの情報を記憶部9aに記憶し(S7−2)。
次に、切断処理(S9)を実行すると、画像先端とカット位置との距離がαに設定された位置で正確にウェブ3を切断することができる。
したがって、本実施形態によれば、ウェブの搬送位置が幅方向にずれたとしても、記録画像に対するカット位置を正確に制御することができる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
尚、本実施形態においても上記第1の実施形態で使用した画像記録装置1を使用し、例えば画像記録装置1はホスト機器である上位装置2に接続され、ロール状に巻かれたウェブ3を回転可能に軸支する券回媒体収納部4や、不図示のモータによって駆動される搬送ローラ対5a、5b、ドラム6、画像記録部8、用紙端検出部10(10a、10b)、及びカッター部12を有する。
【0038】
また、動作処理においても、基本的には前述の図8に示すフローチャートに従って処理され、画像記録装置1は上位装置2からのジョブ入力を判断し(S1)、搬送ローラ対5a、5bの駆動を開始し(S2)、用紙端検出部10(10a、10b)によってウェブ3の用紙端の検出を行う(S3)。その後、用紙中心位置を算出し(S4)、上記用紙端検出部10(10a、10b)からの検出信号に基づいて制御部9によって計算処理を行い、記憶部9aに記憶されていた用紙基準中心位置と算出した用紙中心位置がずれていた場合(S6がYES)、調整処理を行う(S7)。
【0039】
本実施形態では、この調整処理が前述の第1の実施形態と異なる。図11はこの調整処理を説明するフローチャートである。本実施形態では、先ず用紙ずれ量に応じてカッターローラ12bの動作を調整し、カットタイミングを調整する(S7−3)。
【0040】
図12は上記制御を行った場合のタイミング波形を示す図である。前述の第1の実施形態の制御においては、カットタイミング信号を基準に記録タイミング信号をT6遅延させる制御を行ったのであるが、本実施形態では用紙中心位置が、例えばrずれていることを検出すると、カットタイミング信号の立ち上がりをT6早める。このカットタイミング信号を早めるためには、カッターローラ12aの回転速度を調整し、カッターローラ12aが1回転する速度を速める必要がある。
【0041】
カッターローラ12aの回転速度がカット時の速度Vcより速い速度で回転している時間をT7長くすると共に、速度Vcの時間を短くして1回転する時間を速める。このように制御することによって、記録タイミング信号bを基準にカットタイミング信号aをT6早めることで、画像先端とカット位置との距離をαに調整する。
【0042】
次に、図8に示すフローチャートに戻って、切断処理(S9)を実行すると、画像先端とカット位置との距離がαに設定された位置で正確にウェブ3を切断することができる。
したがって、本実施形態によっても、ウェブ3の搬送位置が幅方向にずれたとしても、記録画像に対するカット位置を正確に制御することができる。
【0043】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
尚、本実施形態においても上記第1、第2の実施形態で使用した画像記録装置1を使用し、例えば画像記録装置1はホスト機器である上位装置2に接続され、ロール状に巻かれたウェブ3を回転可能に軸支する券回媒体収納部4や、不図示のモータによって駆動される搬送ローラ対5a、5b、ドラム6、画像記録部8、用紙端検出部10(10a、10b)、及びカッター部12を有する構成である。
【0044】
また、動作処理においても、基本的には前述の図8に示すフローチャートに従って制御され、画像記録装置1は上位装置2からのジョブ入力を判断し(S1)、搬送ローラ対5a、5bの駆動を開始し(S2)、用紙端検出部10(10a、10b)によってウェブ3の用紙端の検出を行う(S3)。そして、用紙中心位置を算出し(S4)、上記用紙端検出部10(10a、10b)からの検出信号に基づいて制御部9によって計算処理を行い、記憶部9aに記憶される用紙基準中心位置と算出した用紙中心位置がずれていた場合(S6がYES)、調整処理を行う(S7)。
【0045】
本実施形態ではこの調整処理が前述の第1、第2の実施形態と異なる。図13はこの調整処理を説明するフローチャートであり、図14はこの調整処理を説明する図である。本実施形態の場合、カットタイミング信号aや記録タイミング信号bを調整するのではなく、カッター移動部19により、カッター部12がウェブ3に追従する形で搬送方向に垂直に移動可能な構成とし、不図示のカッター移動位置検出部の情報を得て、用紙基準中心21と用紙中心22のずれ量r分カッター部12を移動させる(S7−4)。このように制御することにより、画像先端から所定量である距離αでカットすることが可能となる。
【0046】
次に、図8に示すフローチャートに戻って、切断処理(S9)を実行すると、画像先端とカット位置との距離がαに設定された位置で正確にウェブ3を切断することができる。
したがって、本実施形態によっても、ウェブの搬送位置が幅方向にずれたとしても、記録画像に対するカット位置を正確に制御することができる。
【0047】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、本発明は、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明をなすことができる。例えば本発明は、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、更には各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1・・・画像記録装置
2・・・上位装置
3・・・記録媒体(ウェブ)
4・・・券回媒体収納部
5・・・搬送ローラ対
6・・・ドラム
7・・・搬送情報生成部
8・・・画像記録部
9・・・制御部
9a・・記録部
10・・用紙端検出部
11・・ローラ
12・・カッター部
12a・・カッターローラ
12b・・ブレード
12c・・カッター位置基準センサ
12d・・アンビルローラ
12e・・切断線
13・・ガイド
14・・排出ローラ
15・・排出部
19・・カッター移動部
21・・用紙基準中心
22・・用紙中心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で切断するカッター部とを備える画像記録装置において、
前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出部と、
前記用紙端検出部の検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出部と、
予め規定した用紙基準中心位置を記憶する記憶部と、
前記用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれている場合、該ずれ量に応じて、記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する制御部と、
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する際、前記カットタイミングに対して前記記録タイミングをずらす制御を行うことを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する際、前記記録タイミングに対して前記カットタイミングをずらす制御を行うことを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項4】
記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で前記記録媒体を切断するカッター部を備える画像記録装置であって、
前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出部と、
前記用紙端検出部の検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出部と、
予め規定した用紙基準中心位置を記憶する記憶部と、
前記用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれていた場合、前記カッター部を搬送方向と垂直の方向に移動させるカッター移動部と、
前記ずれ量に応じて、前記カッター移動部による前記カッター部の移動量を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項5】
記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で切断するカッター部とを備える画像記録装置の制御方法において、
前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出処理と、
前記用紙端検出処理による検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出処理と、
記憶部に予め設定されている用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれている場合、該ずれ量に応じて、記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する処理と、
を行うことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項6】
前記記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する際、前記カットタイミングに対して前記記録タイミングをずらす制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項7】
前記記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する際、前記記録タイミングに対して前記カットタイミングをずらす制御を行うことを特徴とする請求項5記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項8】
記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で前記記録媒体を切断するカッター部を備える画像記録装置の制御方法であって、
前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出処理と、
前記用紙端検出処理による検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出処理と、
記憶部に予め設定されている用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれていた場合、前記カッター部を搬送方向と垂直の方向に移動させるカッター移動処理と、
前記ずれ量に応じて、前記カッター移動部による前記カッター部の移動量を制御する処理と、
を行うことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項1】
記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で切断するカッター部とを備える画像記録装置において、
前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出部と、
前記用紙端検出部の検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出部と、
予め規定した用紙基準中心位置を記憶する記憶部と、
前記用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれている場合、該ずれ量に応じて、記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する制御部と、
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する際、前記カットタイミングに対して前記記録タイミングをずらす制御を行うことを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する際、前記記録タイミングに対して前記カットタイミングをずらす制御を行うことを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項4】
記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で前記記録媒体を切断するカッター部を備える画像記録装置であって、
前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出部と、
前記用紙端検出部の検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出部と、
予め規定した用紙基準中心位置を記憶する記憶部と、
前記用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれていた場合、前記カッター部を搬送方向と垂直の方向に移動させるカッター移動部と、
前記ずれ量に応じて、前記カッター移動部による前記カッター部の移動量を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項5】
記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で切断するカッター部とを備える画像記録装置の制御方法において、
前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出処理と、
前記用紙端検出処理による検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出処理と、
記憶部に予め設定されている用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれている場合、該ずれ量に応じて、記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する処理と、
を行うことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項6】
前記記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する際、前記カットタイミングに対して前記記録タイミングをずらす制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項7】
前記記録タイミングとカットタイミングの間隔を調整する際、前記記録タイミングに対して前記カットタイミングをずらす制御を行うことを特徴とする請求項5記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項8】
記録媒体に画像の記録を行う画像記録部と、前記記録媒体を搬送しながら所定の位置で前記記録媒体を切断するカッター部を備える画像記録装置の制御方法であって、
前記記録媒体の幅方向端部を検出する用紙端検出処理と、
前記用紙端検出処理による検出結果から、用紙中心位置を求める用紙中心位置算出処理と、
記憶部に予め設定されている用紙基準中心位置と前記算出して記憶した用紙中心位置との結果がずれていた場合、前記カッター部を搬送方向と垂直の方向に移動させるカッター移動処理と、
前記ずれ量に応じて、前記カッター移動部による前記カッター部の移動量を制御する処理と、
を行うことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図3】
【図5】
【図14】
【図2】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図3】
【図5】
【図14】
【公開番号】特開2012−166406(P2012−166406A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28099(P2011−28099)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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