説明

画像記録装置

【課題】 各サイズのシート状媒体に寸法誤差があっても、露光部に対するシート状媒体の幅寄せによる位置決めを精度よく行うことのできる画像記録装置を提供を提供する。
【解決手段】 この画像記録装置は、複数サイズのシート状媒体を搬送可能な搬送手段と、搬送されたシート状媒体を走査して潜像を形成する露光手段と、露光手段の走査に対するシート状媒体の搬送方向と直交する方向の位置を矯正する矯正手段と、搬送手段、露光手段及び矯正手段を制御する制御手段と、を備え、矯正手段は、シート状媒体の搬送方向と略直交する方向Xに正逆移動可能でシート状媒体の両端と係合して搬送方向と直交する方向の位置を矯正する1対の係合部材1,2と、係合部材を駆動する駆動手段と、を有し、制御手段は、係合部材により搬送方向と略直交する方向に押圧されたシート状媒体Fの変形量を検出する検出手段9を有し、その検出結果に基づいて係合部材の正逆移動のタイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状媒体を走査して潜像を形成し画像を記録する画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
露光部で熱現像感光フィルムにレーザ光を照射して露光し、現像部で熱現像して潜像を可視化する画像記録装置(イメージャ)において、露光部に搬送されるフィルムの幅方向位置を幅寄せして位置決めし、フィルムをニップローラで搬送しながら露光している。この露光部では、前段のニップローラでフィルム先端を係止しまたは進退可能なストッパで係止することで、位置決めを行っており、位置矯正(規制)のための部品点数が少なくてすむ利点がある反面、位置規制後に再度の回転駆動時やストッパ退避時にフィルム先端部分が影響を受け易く、フィルムに対する画像位置が変動することがあった。
【0003】
これに対し、圧着解除可能な一対のニップローラを用い、圧着解除とほぼ同時にフィルム搬送方向への移動をローラ等の自重を作用させ、搬送方向への移動を抑制し、搬送方向と略直交する方向に幅寄せ爪を作用させることで、フィルムの位置を矯正し、しかる後、一対のニップローラを圧着し、露光部へフィルム搬送する方式は、位置矯正後にフィルム位置が変動し難く、好ましい。また、従来の位置規制方式は、例えば、下記特許文献1のような片側基準及び下記特許文献2のようなセンター基準の両方式が適宜用いられている。
【0004】
従来タイプのイメージャは、幅方向14インチの半切・大角・大四切が処理可能なタイプのみであったが、近年は、六切・四切も同時に処理可能となるイメージャも要望されており、特許文献2には六切〜半切まで処理可能なイメージャが開示されている。
【0005】
フィルムは、広幅の原反から各サイズに断裁されて製造されるが、寸法に誤差が生じる可能性があるため、所定量の誤差が許容されており、例えば、JIS規格では±1mmの許容幅がある。従って、フィルムを幅寄せするストロークは、片側基準及びセンター基準のどちらの方式においてもレンジ2mm+αを加味して設定される。また、幅寄せされ位置矯正されるシート状媒体の種類、代表的には、紙や医療用フィルム(170μm前後のPETベース)や蛍光体プレートの剛性に応じて、幅寄せのストローク(押し込み量)が調整される。
【0006】
また、シート状媒体と接触しているガイドの抵抗にうち勝つ力をシート状媒体に与えねばならず、オーバーストローク設定によっては、シート状媒体及び幅寄せ爪に過剰な力が作用することになり、シート状媒体の損傷にも繁がる恐れある場合には、幅寄せ爪、または、駆動系に弾性機能による過負荷の逃げ部が形成される。
【0007】
シート媒体が170μm前後のPETベースに乳剤を塗布し200μm前後の厚さとなっている熱現像感光フィルムの場合、幅寄せ爪(駆動系含む)には過負荷逃げは作らず、フィルム自体を撓ませて使用するか、または、弾性部材併用により撓みを緩和する場合があり、特許文献1は併用タイプであり、特許文献2はは併用しないタイプである。
【0008】
しかし、特に六切〜半切の各サイズに対し、センター基準方式で少なくとも1対の幅寄せ爪を各端面に対し均等に作用させた場合、フィルム位置が同じようには矯正されないことがあった。
【特許文献1】特開2003−167300
【特許文献2】特開2004−099204
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、各サイズのシート状媒体に寸法誤差があっても、露光部に対するシート状媒体の幅寄せによる位置決めを精度よく行うことのできる画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明による画像記録装置は、複数サイズのシート状媒体を搬送可能な搬送手段と、前記搬送されたシート状媒体を走査して潜像を形成する露光手段と、前記露光手段の走査に対する前記シート状媒体の搬送方向と直交する方向の位置を矯正する矯正手段と、前記搬送手段、前記露光手段及び前記矯正手段を制御する制御手段と、を備える画像記録装置であって、前記矯正手段は、前記シート状媒体の搬送方向と略直交する方向に正逆移動可能で前記シート状媒体の両端と係合して前記搬送方向と直交する方向の位置を矯正する1対の係合部材と、前記係合部材を駆動する駆動手段と、を有し、前記制御手段は、前記係合部材により前記搬送方向と略直交する方向に押圧されたシート状媒体の変形量を検出する検出手段を有し、その検出結果に基づいて前記係合部材の正逆移動のタイミングを制御することを特徴とする。
【0011】
この画像記録装置によれば、シート状媒体を位置矯正のために搬送方向と略直交する方向に押圧したときの変形量を検出し、その検出結果に基づいて係合部材の正逆移動のタイミングを制御するので、押圧するときの変形量を寸法精度に関わりなく一定に制御でき、位置矯正のときにシート状媒体を一定の撓み(一定のエネルギー)に維持することができる。このため、係合部材が押圧方向の逆方向に移動し、シート状媒体が撓んだエネルギーの蓄積状態から元に戻ったときに暴れて位置ずれを起こすことがなく精度よく位置決めできるので、各サイズのシート状媒体に寸法誤差があっても、露光部に対するシート状媒体の幅寄せによる位置決めを精度よく行うことができる。
【0012】
上記画像記録装置において前記検出手段が位置検出デバイス(PSD)から構成されることが好ましい。
【0013】
また、前記押圧されたシート状媒体が凸形状に変形し、その凸形状の高さを検出し、その検出した高さが所定量に達したとき、前記係合部材を前記押圧する方向から逆方向に移動させるように前記駆動手段を制御するようにできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像記録装置によれば、各サイズのシート状媒体に寸法誤差があっても、露光手段に対するシート状媒体の幅寄せによる位置決めを精度よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。本実施による画像記録装置について図1,図2を参照して説明する。
【0016】
図1は本実施の形態による画像記録装置の要部を示す正面図である。図2は図1の画像記録装置の露光部を概略的に示す図である。
【0017】
図1に示すように画像記録装置100は、シート状の熱現像感光材料である熱現像感光フィルム(以下、「フィルム」という場合もある。)を所定枚数でパッケージした包装体を装填する第1及び第2の装填部11,12と、フィルムを1枚づつ露光・現像のために搬送する搬送部5Aとを有する供給部110と、供給部110から給送されたフィルムを露光し潜像を形成する露光部120と、潜像を形成されたフィルムを熱現像する熱現像部130と、現像されたフィルムの濃度を測定し濃度情報を得る濃度計200や搬送ローラ144A等を含む冷却搬送部150と、を備える。
【0018】
供給部110の第1及び第2の装填部11,12には、サイズの異なるフィルムをそれぞれ装填し、第1の装填部11または第2の装填部12からフィルムが1枚づつ搬送部5A、搬送ローラ対139,140,141により図1の矢印方向(1)に搬送される。搬送ローラ対139,140,141がフィルムを露光部120に向け下降搬送する。
【0019】
次に、フィルムは、矢印方向(2)に搬送ローラ対4で水平搬送され、更に搬送ローラ対142,142’で副走査搬送されながら露光部120でレーザ光が照射され潜像が形成される。
【0020】
次に、搬送ローラ対146,145,144,143により矢印方向(3)へ搬送される。搬送ローラ対146,145,144,143が潜像の形成されたフィルムを熱現像部130に向け上昇搬送する。
【0021】
次に、フィルムは熱現像部130で潜像が可視像化され、更に、矢印方向(4)へ搬送ローラ144Aにより搬送され冷却搬送部150で冷却されてから排出部160に排出される。なお、搬送ローラ対4はモータ149(図5)により回転駆動され、他の搬送ローラ対139,141,4,142,142’,146,145,144,143も同様にモータにより回転駆動される。
【0022】
次に、露光部について説明する。図2のように、露光部120は、画像信号Sに基づき強度変調されたレーザ光Lを、回転多面鏡113によって偏向して、フィルムF上を主走査すると共に、フィルムFをレーザ光Lに対して主走査の方向と略直角な方向に相対移動させることにより副走査し、レーザ光Lを用いてフィルムFに潜像を形成する。
【0023】
露光部120のより具体的な構成を以下に述べる。図2において、外部の画像出力装置121から出力された画像データをネットワーク等を介して受信し、その画像データのデジタル信号である画像信号Sは、D/A変換器122においてアナログ信号に変換され、変調回路123に入力される。変調回路123は、かかるアナログ信号に基づき、レーザ光源部110aのドライバ124を制御して、レーザ光源部110aから変調されたレーザ光Lを照射させる。これらの各部122〜124は制御部50(図5)により制御される。
【0024】
レーザ光源部110aから照射されたレーザ光Lは、レンズ112を通過し、シリンドリカルレンズ115により上下方向にのみ収束されて、図中矢印A’方向に回転する回転多面鏡113に対し、その駆動軸に垂直な線像として入射するようになっている。回転多面鏡113は、レーザ光Lを主走査方向に反射し偏向し、偏向されたレーザ光Lは、2枚のレンズを組み合わせてなるシリンドリカルレンズを含むfθレンズ114を通過した後、光路上に主走査方向に延在して設けられたミラー116で反射されて、搬送ローラ対142,142’により、矢印Y方向に搬送されている(副走査される)フィルムFの被走査面117上を、矢印X方向に繰り返し主走査する。すなわち、レーザ光Lを、フィルムF上の被走査面117の全面にわたって走査する。このようにして、フィルムFに画像信号Sに基づく潜像が形成される。
【0025】
図1のように、熱現像部130は、フィルムFを外周にほぼ密着して保持しつつ加熱可能な加熱ドラム14を有し、加熱ドラム14は回転自在な円筒形状のアルミニウム製のスリーブの内周面に貼り付けられた加熱源であるヒータに対する通電制御により所定温度に加熱される。
【0026】
図1のように、加熱ドラム14の外方には、案内部材かつ押圧部材として加熱ドラム14に比べて小径の回転自在の対向ローラ16が複数本設けられており、加熱ドラム14の回転中心軸に対して平行にかつ加熱ドラム14の外周面に対向するように配置されている。
【0027】
加熱ドラム14は、対向ローラ16との間にフィルムFを挟んだ状態で回転しながら、フィルムFを所定の最低熱現像温度以上に、所定の熱現像時間維持することで、フィルムFに形成された潜像を可視画像として形成する。ここで、最低熱現像温度とは、フィルムFに形成された潜像が熱現像され始める最低温度のことであり、例えば95℃以上である。一方、熱現像時間とは、フィルムFの潜像を所望の現像特性に現像するために、最低熱現像温度以上に維持するべき時間をいう。なお、フィルムFは、40℃以下では実質的に熱現像されないものであることが好ましい。
【0028】
次に、図1,図2の露光部におけるフィルム位置決め機構について図3,図4,図7を参照して説明する。
【0029】
図3は、図1,図2の露光部におけるフィルム位置決め搬送機構を概略的に示す要部平面図(a)及びフィルム位置決め搬送機構の幅寄せ部材の要部正面図(b)である。図4は、図3のフィルム位置決め搬送機構の要部上面図(a)及び要部側面図(b)である。
【0030】
図3、図4に示すように、フィルム位置決め搬送機構は、略L字状に構成され互いに平行に対向し合う側面部1a,2a上にラック1b,2bが形成された一対の第1及び第2の幅寄せ部材1,2と、正逆回転可能なステッピングモータ7と、ステッピングモータ7により歯車7aを介して回転し幅寄せ部材1,2のラック1b,2bと噛み合うピニオン3と、シート状のフィルムFを搬送方向Yに搬送するように幅寄せ部材1,2の上流側に配置された搬送ローラ対4と、を備える。
【0031】
図3、図4のフィルム位置決め搬送機構は、図1,図2の露光部120において副走査搬送のための搬送ローラ対142の上流側に配置されている。
【0032】
図3(a)のように、ステッピングモータ7が正回転することでピニオン3が回転方向rに回転すると、第1及び第2の幅寄せ部材1,2が搬送方向Yと直交する幅方向Xに互い接近するように移動し、フィルムFの両側端に向け移動しフィルムの両端と係合してフィルムFを幅寄せすることで幅方向の位置を矯正し、更に押し込み押圧することで凸形状に撓ませて変形させる。また、ステッピングモータ7が逆回転することでピニオン3が回転方向r’に回転すると、第1及び第2の幅寄せ部材1,2が搬送方向Yと直交する幅方向Xの逆の幅方向X’に互い遠ざかるように移動する。フィルムFを幅方向Xに押圧して凸形状に撓ませて変形させてから元の平坦状態に戻すことでより精度よく位置決めることができる。
【0033】
図3(b)のように、第2の幅寄せ部材2の上端面2cの上方に光反射型の位置センサ6が配置されている。図4(a)のように第2の幅寄せ部材2がホーム位置6aまで移動すると、位置センサ6が上端面2cを検知し、この検知信号によりステッピングモータ7がホーム位置6aで停止する。なお、第1及び第2の幅寄せ部材1,2は共通のピニオン3で互いに同じ移動量だけ移動するので、第2の幅寄せ部材2がホーム位置6aに位置するときは、第1の幅寄せ部材1もホーム位置にある。
【0034】
図4(b)のように、搬送ローラ対4は、駆動ローラ4aと従動ローラ4bを有し、従動ローラ4bは圧着解除可能であり、駆動ローラ4aに対し実線位置でフィルムを搬送可能なニップを形成し、破線位置でニップを解除している。
【0035】
図3(b)、図4(a)のように、第1及び第2の幅寄せ部材1、2の上方に位置検出デバイス(PSD)9が配置されている。位置検出デバイス9は、幅方向Xにおいて第1及び第2の幅寄せ部材1と2とのほぼ中間に位置し、幅寄せ部材1と2の間にあるフィルムまでの高さ距離を測定する。フイルムの位置矯正のために幅寄せ部材1と2の間でフィルムを幅方向Xに押圧し撓んだときに生じた凸形状の変形量を測定できる。
【0036】
位置検出デバイス(PSD)9は、スポット光の入射位置によって出力が変化する位置センサから構成され基準面から反射面までの距離を測定できる測距センサであり、連続した電気信号が得られ、分解能・応答性に優れている。
【0037】
図7は図3(b)、図4(a)の位置検出デバイスで平坦状態のフィルム面までの距離を測定する様子(a)及び押圧されて凸形状に変形した状態のフィルム面までの距離を測定する様子(b)をそれぞれ模式的に示す要部側面図である。
【0038】
図7(a)のように、フィルムFが押圧される前の平坦な状態で位置検出デバイスがフィルム面までの距離h1を測定し、また、図7(b)のように、フィルムFが押圧されて撓んで凸形状に変形した変形部Fyの面までの距離h2を測定する。フィルムFの変形部Fyの変形高さhは、h1−h2で求められる。
【0039】
図4(a)のように、複数サイズのフィルムF1,F2,F3の内のいずれかのフィルムFが搬送されてくると、第1及び第2の幅寄せ部材1,2がステッピングモータ7の回転によりホーム位置から幅方向Xに互いに接近するように移動し、フィルムFの側端に係合することでフィルムFを幅寄せし、更にフィルムFが両端部で第1及び第2の幅寄せ部材1,2に当接してから凸形状になるように押圧し移動させた後に、幅方向Xと逆の幅方向X’に戻すようにして離間移動させることにより、フィルムFを目標位置に位置決めする。このとき、位置検出デバイス9により、第1及び第2の幅寄せ部材1,2によるフィルムFの押圧のときの凸形状の変形量を検出し、その検出した凸形状の変形高さh(図7(b))が所定の高さに達したら、幅寄せ部材1,2による幅方向XへのフィルムFの押圧を停止し、幅寄せ部材1,2を逆の幅方向X’に移動させてフィルムFから一定距離だけ離間させる。
【0040】
次に、図1、図2の画像記録装置の制御系について図5を参照して説明する。図5は図1、図2の画像記録装置の制御系の要部を示すブロック図である。
【0041】
図5に示すように、図1、図2の画像記録装置100は、中央演算処理装置(CPU)から構成される制御部50を備え、制御部50は、ステッピングモータ7,搬送ローラ対4のためのモータ149,露光部120の各部122〜124等を制御する。
【0042】
また、制御部50は、位置検出デバイス9で検出したフィルムFの押圧のときの凸形状の変形量に基づいてステッピングモータ7を制御し、凸形状の変形高さhが所定高さに達したことを検出すると、ステッピングモータ7の駆動を停止し、フィルムの幅寄せ部材1,2による幅方向Xへの移動を停止し、ステッピングモータ7を逆回転させて幅寄せ部材1,2を逆の幅方向X’に移動させフィルムFから一定距離だけ離間させるように制御する。
【0043】
なお、上述の凸形状の変形高さhの判断基準となる所定高さは、その撓んだ状態から平坦な状態の戻したときのエネルギー解放でフィルムが暴れて位置ずれを起こさない程度に設定することが好ましく、また、フィルムのサイズ毎に異なる値に設定してもよい。
【0044】
次に、図1乃至図5の画像記録装置における図3,図4のフィルム位置決め搬送機構による露光前の位置決め搬送の動作について図6,図7を参照して説明する。
【0045】
図6は偏った位置にあるフィルムFを図3,図4のフィルム位置決め搬送機構により搬送し幅寄せし目標位置に位置決める工程(a)乃至(e)を模式的に示す図である。
【0046】
図6(a)のように、フィルムFはその側端Fa、Fbが第1及び第2の幅寄せ部材1,2に対し側端Fb側に偏っている状態で搬送方向Yに搬送ローラ対4により搬送されると、図6(b)のように、第1及び第2の幅寄せ部材1,2がステッピングモータ7の回転でホーム位置6aから幅方向Xに移動を開始する。そして、図6(c)のように、第2の幅寄せ部材2がフィルムFの側端Fbに係合し、第1の幅寄せ部材1が側端Faに当接するまで、フィルムFを片側の側端Fbで幅方向Xに移動させる。
【0047】
次に、図6(d)のように、第1及び第2の幅寄せ部材1,2が幅方向Xに更に移動し、フィルムFの側端Fb側のみならずに第1の幅寄せ部材1が側端Faに当接する。このように幅寄せ部材1,2がフィルムFの両端部Fa,Fbに当接した後、図6(d)の破線のように幅寄せ部材1,2を幅方向Xに所定の押し込み移動量だけ押し込み、フィルムFを図7(b)のように凸形状に撓ませて弾性変形させる。
【0048】
次に、フィルムFの図7(b)の変形部Fyの高さhが所定高さに達すると、ステッピングモータ7を停止して逆回転させ、図6(e)のように、第1及び第2の幅寄せ部材1,2を幅方向Xと逆の幅方向X’に離間させ、フィルムFを元の平坦な状態に戻す。このとき、フィルムFの両端部Fa、Fbは幅寄せ部材1,2にほぼ沿った状態、即ち位置規制された状態である。このようにして目標位置に位置決めされたフィルムFを露光部120の搬送ローラ対142へと図3(a)の一点鎖線のように搬送する。
【0049】
以上のように、本実施の形態では、フィルムを位置矯正のために搬送方向Yと略直交する幅方向Xに押圧したときの変形量を検出し、その検出結果に基づいて幅寄せ部材1,2を幅方向X’に移動させ戻すように制御するので、フィルムを押圧するときの変形量を寸法精度に関わりなく一定に制御でき、位置矯正のときにフィルムを一定の撓み(一定のエネルギー)に維持することができる。このため、フィルムが撓んでエネルギが蓄積された凸形状の状態から元の平坦な状態に戻ったときに暴れて位置ずれを起こすことがなく精度よく位置決めできる。
【0050】
また、図6(e)で第1及び第2の幅寄せ部材1,2を幅方向X’に離間させるときの移動量は、各サイズに関わらず一定量であってよく、幅寄せ部材1,2が各サイズのフィルムの幅寸法と比べて僅かに広くなる程度の移動量であってよい。即ち、幅寄せ部材1,2を幅方向X’に離間させたとき、図6(e)のように、各サイズのフィルムの両端部Fa、Fbが幅寄せ部材1,2に沿って接近した状態とする。この離間は幅寄せ部材1,2が所定の速度で移動して行われるため、蓄積されたエネルギーが一気に開放されることはなく、この最終的に停止した幅寄せ部材1,2とフィルムの両端部Fa、Fbとの各隙間の範囲内にフィルムの暴れが抑制される。
【0051】
以上のようにフィルムFが幅寄せ部材1,2に対し偏ったり曲がったりした状態で搬送されてきたとき、図4(a)の各サイズのフィルムF1〜F3に寸法誤差があっても、幅寄せ部材1,2により幅方向に精度よく位置決めることができ、各サイズのフィルムを露光部120の搬送ローラ対142に対し精度よく搬送することができる。このため、露光部120においてレーザ光による潜像をフィルムFの正確な位置に形成できる。
【0052】
また、本実施の形態の画像記録装置において使用して好ましいフィルムは、幅方向サイズで六切(幅方向8インチ)乃至半切(幅方向14インチ)である。
【0053】
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図6においてフィルムFが幅寄せ部材1,2に対し略平行で偏った場合を例にして幅寄せ動作を説明したが、フィルムFが偏りかつ曲がった位置にある場合でも同様に動作し、フィルムを精度よく位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施の形態による画像記録装置の要部を示す正面図である。
【図2】図1の画像記録装置の露光部を概略的に示す図である。
【図3】図1,図2の露光部におけるフィルム位置決め搬送機構を概略的に示す要部平面図(a)及びフィルム位置決め搬送機構の幅寄せ部材の要部正面図(b)である。
【図4】図3のフィルム位置決め搬送機構の要部上面図(a)及び要部側面図(b)である。
【図5】図1、図2の画像記録装置の制御系の要部を示すブロック図である。
【図6】偏った位置にあるフィルムFを図3,図4のフィルム位置決め搬送機構により搬送し幅寄せし目標位置に位置決める工程(a)乃至(e)を模式的に示す図である。
【図7】図3(b)、図4(a)の位置検出デバイスで平坦状態のフィルム面までの距離を測定する様子(a)及び押圧されて凸形状に変形した状態のフィルム面までの距離を測定する様子(b)をそれぞれ模式的に示す要部側面図である。
【符号の説明】
【0055】
1,2 幅寄せ部材(係合部材)
1b,2b ラック
3 ピニオン
4 搬送ローラ対(搬送手段)
7 ステッピングモータ(駆動手段)
9 位置検出デバイス(検出手段)
11,12 装填部
50 制御部
100 画像記録装置
120 露光部
130 熱現像部
139,141,4,142,142 搬送ローラ対
F フィルム(シート状媒体)
F1,F2,F3 複数サイズのフィルム
F1 大サイズのフィルム
F2 中サイズのフィルム
F3 小サイズのフィルム
Fa,Fb 側端
X 幅方向
X’ 幅方向Xと逆の幅方向
Y 搬送方向
h 変形高さ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数サイズのシート状媒体を搬送可能な搬送手段と、前記搬送されたシート状媒体を走査して潜像を形成する露光手段と、前記露光手段の走査に対する前記シート状媒体の搬送方向と直交する方向の位置を矯正する矯正手段と、前記搬送手段、前記露光手段及び前記矯正手段を制御する制御手段と、を備える画像記録装置であって、
前記矯正手段は、前記シート状媒体の搬送方向と略直交する方向に正逆移動可能で前記シート状媒体の両端と係合して前記搬送方向と直交する方向の位置を矯正する1対の係合部材と、前記係合部材を駆動する駆動手段と、を有し、
前記制御手段は、前記係合部材により前記搬送方向と略直交する方向に押圧されたシート状媒体の変形量を検出する検出手段を有し、その検出結果に基づいて前記係合部材の正逆移動のタイミングを制御することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記検出手段が位置検出デバイス(PSD)から構成される請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記押圧されたシート状媒体が凸形状に変形し、その凸形状の高さを検出し、その検出した高さが所定量に達したとき、前記係合部材を前記押圧する方向から逆方向に移動させるように前記駆動手段を制御する請求項1または2に記載の画像記録装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−44879(P2006−44879A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228356(P2004−228356)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】