説明

画像記録装置

【課題】上下複数段のトレイを備えた構成を採用しつつも、装置の大型化を低減することができる構造を提供する。
【解決手段】
記録用紙50に画像を記録する記録部40と、記録用紙50を積載可能な第1底板70、及び第1底板70において記録用紙50の給送向き下流側から立設された第1傾斜板24を備えた第1トレイ22と、第1トレイ22の下方に設けられ、記録用紙50を積載可能な第2底板80を備えた第2トレイ21と、第1底板70から給送された記録用紙50を記録部40へ案内する第1搬送路18と、第2底板80から給送された記録用紙50を第1搬送路18の搬送向きの上流端16へ案内する第2搬送路17と、を備え、第1搬送路18は、第1傾斜板24の上方に配置された内側部材52と、内側部材52と対向した外側部材51とにより形成されており、第2搬送路17は、第1傾斜板24と外側部材51とにより形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を記録可能な画像記録装置に関して、特にシートを積載するトレイを上下複数段備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機やプリンタなどの画像記録装置には、シートを積載可能であって画像記録装置に対して挿抜可能なトレイを備えているものがある。また、画像記録装置には、一台の画像記録装置によって大小様々なサイズのシートに画像記録を可能とするために、トレイを上下複数段備えたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、装置本体の収容部に、上下に2段の給紙カセット(上段給紙カセット及び下段給紙カセット)がそれぞれ挿抜可能に配置され、さらにその上方に記録部が配置された画像記録装置が開示されている。
【0004】
当該画像記録装置においては、装置本体に固定された第1搬送ガイド体とその外周側の第2搬送ガイド体とにより、上段給紙カセット上の用紙をU字状に記録部へ搬送案内する第1搬送路が形成され、第2搬送ガイド体とその外周側の第3搬送ガイド体とにより、下段給紙カセット状の用紙を同じくU字状に搬送案内する第2搬送路が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−83626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の画像記録装置においては、第1搬送路の水平方向の外周側に第2搬送ガイド体が配置され、第2搬送ガイド体の水平方向の外周側に第2搬送路が形成される。つまり、第1搬送路と第2搬送路の間に第2搬送ガイド体が配置されることになる。その結果、第2搬送ガイド体の分だけ、画像記録装置は水平方向に大型化してしまう。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、上下複数段のトレイを備えた構成を採用しつつも、装置の大型化を低減することができる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明の画像記録装置は、シートに画像を記録する記録部と、上記記録部の下方に設けられており、かつ記録部に給送されるシートを積載可能な第1底板を備えている第1トレイと、上記第1底板の給送向きの下流側の位置に立設する立設板と、上記第1トレイの下方に設けられており、かつ記録部に給送されるシートを積載可能な第2底板を備えている第2トレイと、上記第1底板に積載されたシートを上記記録部に向かって上記給送向きへ給送する第1給送部と、上記第2底板に積載されたシートを上記記録部に向かって上記給送向きへ給送する第2給送部と、上記立設板の上方に配置された内側部材と、上記内側部材と対向した外側部材とによって形成され、上記第1給送部によって給送されたシートが通過する第1搬送路と、を備える。上記外側部材は、上記立設板と対向する位置まで延びている。上記立設板と上記外側部材とによって形成され、上記第2給送部によって給送されたシートが通過する第2搬送路と、を備えている。
【0009】
第2搬送路は、外側を外側部材によって区画され、内側を立設板によって区画されている。つまり、上述の構成によれば、立設板が、第2搬送路の内側を区画する役目を果たしているため、第2搬送路の内側を区画するために新たな部材を設ける必要がない。
【0010】
(2) 上記立設板は、その上端側が下端側よりも給送向き下流側に位置するよう傾斜し、上記第1給送部によって給送されるシートを案内する。
【0011】
傾斜板は、給送されるシートを案内するため、斜めに形成されており、通常、傾斜板は、立設板よりもシートの給送向きと反対側に立設板とは別個に設けられている。しかし、上述の構成においては、立設板と傾斜板が兼用されている。これにより、第1トレイが立設板と傾斜板の双方を備えている場合に、立設板と傾斜板の間に存在するスペースが、第2搬送路として利用可能となる。その結果、装置の大型化を低減することができる。
【0012】
(3) 上記立設板は、上記外側部材と対向する面から上記外側部材に向かって突出し、上記搬送向きに沿って延設されている複数のリブを備えている。
【0013】
立設板が複数のリブを備えることによって、シートが立設板と接触する面積が小さくなる。これにより、シートが第2搬送路を円滑に搬送可能となる。
【0014】
(4) 上記リブと上記外側部材との間隔は、上記第2搬送路における上記搬送向きの上流側よりも上記搬送向きの下流側であるほど、小さく形成されている。
【0015】
給送部から離れた位置ほど、シートはばたついてしまう。従って、第2搬送路の搬送向きの下流側においては、第2トレイから給送されたシートはばたつきやすい。一方、第2搬送路の搬送向きの上流側においては、下流側よりも、シートの搬送は安定している。上述の構成のよれば、シートがばたつきやすい下流側において第2搬送路を狭くできる。これにより、下流側においてシートがばたつくことを防止して、シートを安定して搬送することができる。
【0016】
(5) 上記立設板は、上記外側部材と対向する面において、上記第2トレイから給送可能なシートの上記搬送向きと直交する幅方向における最大幅分隔てた位置に、上記搬送向きに沿って延設され上記外側部材に向かって突出した一対のガイド部を備えている。
【0017】
立設板の裏面、すなわち第2搬送路に面しシートが通過する面に、第2トレイから給送されるシートの幅方向をガイドするガイド部を形成することによって、シートがより安定して搬送される。
【0018】
(6) 上記内側部材は、上記第1トレイの上方に位置している。上記画像記録装置は、上記内側部材と上記内側部材に対向してその上方に配置される対向部材とによって、上記記録部の搬送向き下流側に形成され、上記記録部によって記録されたシートを反転させ、上記記録部に再給送するための案内経路を有する。
【0019】
第1搬送路を区画する内側部材が、案内経路をも区画している。これにより、案内経路が、新たに設けられた部材で形成されるよりも、装置全体が小型化できる。
【0020】
(7) 上記第1トレイは、当該装置に対して進退動可能である。上記内側部材は、再給送向き上流側に回動軸を有し、再給送向き下流側が揺動可能に形成され、上記第1トレイが所定位置であるとき上記第1トレイと当接する当接部を有し、上記当接部と上記第1トレイとが当接すると、再給送向き下流側端部が上方に揺動して案内経路を形成する案内姿勢と、上記第1トレイが所定位置から退動すると、上記下流側端部が下方に揺動して案内経路を開放する開放姿勢とに揺動可能である。
【0021】
案内経路内でシートが引っかかるなどにより詰まってしまった場合、第1トレイを動かすだけで案内経路が開放されるため、シートの処理がしやすくなる。
【0022】
(8) 上記外側部材は、上記第1搬送路及び上記第2搬送路を当該装置外に露出させる第1姿勢、及び上記第1搬送路及び上記第2搬送路を当該装置外から遮蔽させる第2姿勢の間で姿勢変化可能である。
【0023】
これにより、第1搬送路及び第2搬送路においてシートが詰まっても、シートを容易に取り出すことができる。
【0024】
(9) 上記外側部材は、上記第1搬送路及び上記第2搬送路を当該装置外に露出させる第1姿勢、及び上記第1搬送路及び上記第2搬送路を当該装置外から遮蔽させる第2姿勢の間で姿勢変化可能である。上記案内経路よりも搬送向き下流側には、上記対向部材と上記外側部材とによって第3搬送路が形成されている。上記第1姿勢は、さらに上記案内経路と上記第3搬送路とを当該装置外に露出させる。
【0025】
これにより、案内経路においてシートが詰まっても、シートを容易に取り出すことができる。
【0026】
(10) 上記外側部材は、当該装置に対して脱着可能に形成されている。上記第1姿勢は、上記外側部材を当該装置から離脱された姿勢である。
【0027】
これにより、第1搬送路及び第2搬送路においてシートが詰まっても、シートを容易に取り出すことができる。
【0028】
(11) 上記立設板は、上記第1底板の上記給送向き下流側の端部に形成されている。上記第1トレイは、当該装置に対して脱着可能に形成されている。
【0029】
第1トレイが脱着可能に構成されていることによって、シートが搬送路内で詰まってしまっても、外側部材が各搬送路を開放するだけでなく、第1トレイを離脱させることで、よりシートの取り出しが容易となる。
【0030】
(12) 上記立設板は、上記外側部材と対向する面において上記外側部材に向かって突出し、上記第2トレイから給送可能なシートの通過領域外の位置に、上記外側部材に向かって突出した突出部を備えている。
【0031】
本発明では、立設板が第2搬送路の内側を区画するため、立設板に傷などができると搬送されるシートと引っ掛かり、シートが傷ついてしまうおそれがある。そして、第1トレイは、画像記録装置に対して脱着可能であるため、画像記録装置から離脱された状態で落下することなどにより立設板に傷などができる可能性が高い。しかし、上述の構成においては、立設板から外側部材に向かって延びている突出部が設けられている。これにより、脱抜された第1トレイが地面に落下などした場合であっても、突出部が地面に当たるのみで、立設板は地面に当たり難い。よって、立設板が傷つく可能性を低くすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の画像記録装置は、第1トレイと第2トレイを備えているために、2経路の搬送路(第1搬送路及び第2搬送路)が必要となる。しかし、本発明の画像記録装置は、第2搬送路の内側は立設板によって区画されるため、第2搬送路の内側を区画するために新たな部材を設ける必要がない。これにより、本発明の画像記録装置は、上下複数段のトレイを備えた構成を採用しつつも、装置の大型化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の実施形態の一例である複合機10の斜視図である。
【図2】図2は、外側ガイド部材51が開放姿勢の状態の複合機10の斜視図である。
【図3】図3は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図4】図4は、プリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。
【図5】図5は、プリンタ部11の内部構造を示す斜視図である。
【図6】図6は、両面画像記録可能なプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。
【図7】図7は、給紙カセット22が後板72,82を備えているプリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図8】図8は、両面画像記録可能なプリンタ部11において反転搬送路90が後方に向けて開かれた状態の内部構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、外側部材51(図1参照)が設けられている側を後側(背面)として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面、換言すると複合機10を前から見た面)から見て左右方向9を定義する。
【0035】
[複合機10の概略構成]
図1に示されるように、複合機10は、直方体に概ね形成されており、上部にスキャナ部12、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部11(本発明の画像記録装置の一例)が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。なお、プリント機能以外の機能の有無は任意である。
【0036】
プリンタ部11の正面側に開口(不図示)が形成されている。プリンタ部11は、開口を通じて、第1トレイ22(本発明の第1トレイの一例、図3参照)及び第2トレイ21(本発明の第2トレイの一例、図3参照)を挿入及び脱抜可能である。トレイ21,22は、前後方向8にスライドすることでプリンタ部11に挿抜される。
【0037】
トレイ21,22には、記録用紙50(本発明のシートの一例)が載置される(図3参照)。プリンタ部11においては、記録用紙50が、第2トレイ21又は第1トレイ22からプリンタ部11内へ選択的に供給される。記録用紙50は、記録部40(本発明の記録部の一例、図2参照)によって画像が記録された後に第1トレイ22の上面23に排出される。上面23は、排紙トレイ23として機能する。第1トレイ22の上面23は、複合機10の正面側(図3における右側)に設けられている。
【0038】
複合機10は、主にコンピュータなどの外部情報機器(不図示)と接続された状態で使用される。プリンタ部11は、外部情報機器から受信した印刷データやスキャナ部12で読み取られた原稿の画像データに基づいて、記録用紙50に画像を記録する。
【0039】
[トレイ21,22]
図3及び図4に示されるように、第2トレイ21及び第1トレイ22は、記録部40の下方に配置されている。また、第2トレイ21及び第1トレイ22は、第1トレイ22を上側として上下二段に配置されている。2つのトレイ21,22が設けられることによって、それぞれにサイズや種類が異なる記録用紙50が保持され得る。
【0040】
上述したように、トレイ21,22は、プリンタ部11に挿入及び脱抜、つまり脱着が可能である。換言すると、トレイ21,22は、プリンタ部11に対して進退動可能である。以下に詳述する。上述したように、プリンタ部11の正面側には開口が設けられている。トレイ21,22は、図3及び図4に示されるように、先端側(傾斜板24,34が設けられている側)から後向きに開口に挿し込まれることにより、プリンタ部11に装着される。トレイ21,22は、プリンタ部11に装着されると、開口内に配置された状態となる。これにより、トレイ21,22に収容された記録用紙50がプリンタ部11へ供給可能となる。トレイ21,22は、後端側から前向きに開口より引き出されることにより、プリンタ部11から取り出される。これにより、トレイ21,22への記録用紙50の補充が可能となる。
【0041】
第1トレイ22は、記録用紙50が載置される第1底板70(本発明の第1底板の一例)と、第1底板70の左右方向の両端部から立設された左側板(不図示)及び右側板71と、第1底板70の後側の端部、つまり後述する記録用紙50の給送向きの下流側の端部に立設された第1傾斜板24(本発明の立設板の一例)とを備えている。第2トレイ21は、記録用紙50が載置される第2底板80(本発明の第2底板の一例)と、第2底板80の左右方向の両端部から立設された左側板(不図示)及び右側板81と、第2底板80の後方側の端部に立設された第2傾斜板34とを備えている。以上より、トレイ21,22は、上面が開放された概ね矩形箱状に構成されている。
【0042】
傾斜板24,34は、記録用紙50を円滑に給紙可能なように後方側へ傾倒している。つまり、傾斜板24,34は、上端側が下端側よりも後側(後述する記録用紙50の給送向きの下流側)に位置するように傾斜している。第1傾斜板24と第1底板70のシート載置面とがなす角の角度は、シート載置面に載置された記録用紙50が後述する第1供給部28によって後述する第1搬送路18へ円滑に導かれる角度である。また、第2傾斜板34と第2底板80のシート載置面とがなす角の角度は、シート載置面に載置された記録用紙50が後述する第2供給部38によって後述する第2搬送路17へ円滑に導かれる角度である。
【0043】
[第1供給部28及び第2供給部38]
図3及び図4に示されるように、第1トレイ22の第1傾斜板24の上側には、第1搬送路18(本発明の第1搬送路の一例)が設けられている。第1搬送路18は、図3において一点鎖線で示されるように、記録用紙50を第1傾斜板24の上側から記録部40まで案内する経路であり、後述される。プリンタ部11に第1トレイ22が装着されると、第1傾斜板24が第1搬送路18の下方に配置され、かつ第1トレイ22の上側に第1供給部28(本発明の第1給送部の一例)が配置される。
【0044】
第1供給部28は、給紙ローラ25、アーム26及び軸27を有している。給紙ローラ25は、第1トレイ22に積載された記録用紙50を1枚ずつ分離して第1搬送路18へ給紙する。つまり、給紙ローラ25は、記録用紙50を記録部40に向かって給送する。換言すると、給紙ローラ25は、記録用紙50を前側から後側へ給送する。前側から後側への向きが、本発明の給送向きの一例である。給紙ローラ25は、アーム26の先端側に回転可能に設けられている。詳細には、給紙ローラ25が記録用紙50に圧接した状態で回転することにより、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙50との間の摩擦力で最上位置の記録用紙50が第1傾斜板24へ送り出される。当該記録用紙50は、その給送向き先端が第1傾斜板24に当接して上方へ案内され、第1搬送路18へ送り込まれ、第1搬送路18を通過する。つまり、第1傾斜板24は、第1トレイ22から給送される記録用紙50を支持する。アーム26は、プリンタ部11の筐体に支持された軸27に回動可能に設けられている。アーム26は、自重によって或いはバネ等による弾性力を受けて第1トレイ22側へ回動付勢されている。
【0045】
第2トレイ21の第2傾斜板34の上側には、第2搬送路17(本発明の第2搬送路の一例)が設けられている。第2搬送路17は、図3において破線で示されるように、記録用紙50を第2傾斜板34の上側から第1搬送路18の搬送向き6の上流端16(図3参照)まで案内する経路であり、後述される。プリンタ部11に第2トレイ21が装着されると、第2傾斜板34が第2搬送路17の下方に配置され、かつ第2トレイ21の上側に第2供給部38(本発明の第2給送部の一例)が配置される。
【0046】
第2供給部38は、給紙ローラ35、アーム36及び軸37を有している。給紙ローラ35は、第2トレイ21に収容された記録用紙50を1枚ずつ分離して第2搬送路17へ給紙する。つまり、給紙ローラ35は、記録用紙50を記録部40に向かって給送する。換言すると、給紙ローラ25は、記録用紙50を給送向きに給送する。給紙ローラ35は、アーム36の先端側に回転可能に設けられている。詳細には、給紙ローラ35が記録用紙50に圧接した状態で回転することにより、給紙ローラ35のローラ面と記録用紙50との間の摩擦力で最上位置の記録用紙50が第2傾斜板34へ送り出される。当該記録用紙50は、その給送向き先端が第2傾斜板34に当接して上方へ案内され、第2搬送路17へ送り込まれ、第2搬送路を通過する。アーム36は、プリンタ部11の筐体に支持された軸37に回動可能に設けられている。アーム36は、自重によって或いはバネ等による弾性力を受けて第2トレイ21側へ回動付勢されている。
【0047】
[排出搬送路19]
図3に示されるように、プリンタ部11の内部には、第1搬送路18の搬送向き6の下流端15と連続する排出搬送路19が設けられている。排出搬送路19は、図3において二点鎖線で示されるように、第1搬送路18に沿って搬送された記録用紙50が搬送される経路であり、記録部40の直下の位置から複合機10の正面側へ向けて第1トレイ22の上面23の上方まで延出されている。
【0048】
[記録部40]
図3に示されるように、記録部40は、記録ヘッド42を搭載して主走査方向(図2の紙面に垂直な方向)へ往復移動するキャリッジ41を備えている。記録ヘッド42には、インクカートリッジ(不図示)からシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが供給される。記録ヘッド42は、その下面に設けられたノズルから、各インクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ41が主走査方向へ往復動することにより、記録ヘッド42が記録用紙50に対して走査され、記録部40の下方に記録部40と対向して設けられているプラテン43上を搬送される記録用紙50に画像が記録される。プラテン43は、排出搬送路19に沿って搬送される記録用紙50を支持する部材である。
【0049】
[搬送ローラ対59、排出ローラ対64及び中間ローラ対56]
図3及び図4に示されるように、記録部40よりも記録用紙50の搬送向き6の上流側に搬送ローラ対59が設けられている。搬送ローラ対59は、搬送ローラ60及びピンチローラ61からなる。搬送ローラ60は、前後方向8に沿った第1搬送路18の上側に配置されており、搬送モータ(不図示)からの駆動力を受けて回転する。ピンチローラ61は、第1搬送路18を挟んで搬送ローラ60の下側に回転自在に配置されており、搬送ローラ60へ向けてバネによって付勢されている。
【0050】
また、記録部40よりも記録用紙50の搬送向き6の下流側に排出ローラ対64が設けられている。排出ローラ対64は、排紙ローラ62及び拍車63からなる。排紙ローラ62は、排出搬送路19の下側に配置されており、上記搬送モータからの駆動力を受けて回転する。拍車63は、排出搬送路19を挟んで排紙ローラ62の上側に回転自在に配置されており、排紙ローラ62へ向けてバネによって付勢されている。
【0051】
また、図4及び図5に示されるように、搬送ローラ対59よりも記録用紙50の搬送向き6の上流側に中間ローラ対56が設けられている。図3では、中間ローラ対56は省略されている。中間ローラ対56は、中間ローラ58及び従動ローラ57からなる。中間ローラ58は、上下方向7に沿った第1搬送路18の後側に配置されており、図示しないモータからの駆動力を受けて回転する。従動ローラ57は、第1搬送路18を挟んで中間ローラ58の前側に回転自在に配置されており、中間ローラ58へ向けてバネによって付勢されている。
【0052】
搬送ローラ対59、排出ローラ対64及び中間ローラ対56は、記録用紙50を挟持して搬送路18,19を搬送する。
【0053】
第1トレイ22または第2トレイ21から第1供給部28または第2供給部38によって給送された記録用紙50は、中間ローラ58及び従動ローラ57と搬送ローラ対59とによって記録部40へ案内され、記録部40で画像が記録される。その後、排出ローラ対64によって第1トレイ22の上面23に排出される。
【0054】
[搬送路17,18]
図3及び図4に示されるように、第1搬送路18は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側部材51(本発明の外側部材の一例)と内側部材52(本発明の内側部材の一例)とによって形成されている。
【0055】
内側部材52は、第1トレイ22の第1傾斜板24の上方においてプリンタ部11のフレームなどに固定されており、第1傾斜板24の上側近傍の位置から搬送ローラ対59の後側まで、第1搬送路18に沿って延設されている。また、内側部材52は、第1搬送路18に対向する面がプリンタ部11の内部側を中心とする円弧形状に概ね形成されている。なお、内側部材52は、図4の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延出されている。
【0056】
外側部材51は、第2傾斜板34の上側近傍の位置から、第1傾斜板24の上側近傍を経由して、搬送ローラ対59の後側まで延設されている。また、外側部材51は、内側部材52と対向する位置より搬送向き6の上流側においては、概ね上下方向7に形成されている。また、外側部材51は、内側部材52と対向する面は、プリンタ部11の内部側を中心とする円弧形状に概ね形成されている。なお、外側部材51は、図4の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延出されている。これにより、第1トレイ22から給送される記録用紙50は、内側部材52と外側部材51とによって形成される第1搬送路18を通過して、搬送ローラ対59に給送される。
【0057】
外側部材51が延設されている箇所のうち、第2傾斜板34の上側近傍から第1傾斜板24の上側近傍までの間の箇所は、第1トレイ22の第1傾斜板24と対向している。つまり、外側部材51は、内側部材52と対向する位置から、更に下方である第1傾斜板24と対向する位置まで延設されている。これにより、第2トレイ21から給送される記録用紙50が通過する第2搬送路17は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側部材51と第1傾斜板24とによって形成される。なお、第2搬送路17が第1傾斜板24と外側部材51とによって形成されており、第1搬送路18が第1傾斜板24の上方の内側部材52と外側部材51とによって形成されていることから、第1搬送路18と第2搬送路17とは連結された状態である。すなわち、第2搬送路17を通過した記録用紙50は、第1傾斜板24の位置より上方の位置からは、第1搬送路18を通過することとなる。
【0058】
また、外側部材51は、図3の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延出されている軸53を中心として、矢印54の方向に回動可能である。当該回動により、外側部材51は、閉塞姿勢(図3に実線で示される状態、本発明の第2姿勢に相当)と、露出姿勢(図3に破線で示される状態、本発明の第1姿勢に相当)に姿勢変化する。搬送路17,18は、閉塞姿勢においては、外側部材51によって後側を覆われているため、複合機10の外部から遮蔽されている。一方、搬送路17,18は、露出姿勢においては、複合機10の後側に露出された状態となる。なお、図1には、外側部材51が閉塞状態である複合機10が示されており、図2には、外側部材51が露出状態である複合機10が示されている。
【0059】
[突板73,74]
図示されていないが、第2トレイ21は、記録用紙50の左右方向9における両端部を揃えるサイドガイドを有しており、記録用紙50は、左右方向9の中央を基準として記録部40に給送される。図2及び図5に示されるように、第1傾斜板24は、第1トレイ22がプリンタ部11に装着された状態で外側部材51と対向する面において、当該面の左右方向9の両端に、突板73,74(本発明のガイド部及び突出部の一例)を備えている。突板73,74は、当該面から外側部材51に向かって突出され、かつ第2搬送路17に沿った方向に延設されている。図2に示されるように、突板73は、当該面の右端から立設されている。図5に示されるように、突板74は、当該面の左端から立設されている。突板73と突板74との間隔は、トレイ21,22に収容可能な最大サイズの記録用紙50の搬送向きに直交する幅方向の長さ以上である。好適には、当該間隔は、当該長さよりも少しだけ大きい。つまり、突板73と突板74は、第2搬送路17において記録用紙50が搬送される領域よりも外側の位置に設けられている。従って、突板73,74は、第1トレイ22が装着された状態では、第2搬送路17を通過する用紙が斜行しないよう案内することとなる。なお、突板73,74は、外側部材51と所定間隔が開く程度の立設長さに形成されている。さらに、第1トレイ22がプリンタ部11から引き抜かれ、開口から取り出された状態においては、突板73,74は、第1傾斜板24の外側面から突出していることとなる。従って、ユーザが誤って第1トレイ22を落としたりしても、突板73,74が先に他のものと衝突するため、第1傾斜板24の第2搬送路17を形成する面を傷つけるおそれが低くなる。
【0060】
なお、本実施形態では、突板73,74が本発明のガイド部及び突出部を兼用している構成について説明しているが、このような構成に限らない。例えば、突板73,74は本発明のガイド部としての機能のみ有していてもよい。詳細には、第1傾斜板24が第1トレイ22ではなくプリンタ部11に設けられている場合、第1傾斜板24は、記録用紙50を第1搬送路18に沿って案内する本発明のガイド部として機能する。しかし、第1傾斜板24は、第1トレイ22に設けられていないため、第1トレイ22の落下時などにおける第1傾斜板24の傷防止の機能、つまり本発明の突出部の機能を有していない。
【0061】
[リブ75]
図2及び図5に示されるように、第1傾斜板24は、第1トレイ22がプリンタ部11に装着された状態で外側部材51と対向する面において、突板73,74の間に複数のリブ75(本発明のリブの一例)が設けられている。リブ75の各々は、当該面から外側部材51に向かって左右方向9に所定の間隔をおいて突出され、かつ第2搬送路17に沿った方向に延設されている。また、リブ75の各々の第1傾斜板24からの立設の長さは、突板73,74の立設の長さよりも短い。さらに、リブ75のうち、左右方向9の中央部近傍におけるリブ75の形成位置は、第2トレイ21から給送される最小サイズの記録用紙50が通過する領域よりも中央寄りに形成されている。
【0062】
なお、外側部材51の搬送路17,18側の面にも、複数のリブ55が設けられている。リブ55の各々は、当該面から搬送路17,18に向かって左右方向9に所定の間隔をおいて立設され、かつ搬送路17,18に沿った方向に延設されている。リブ55の立設長さは、側面視において記録用紙50が通過可能な程度にリブ55と間隔が形成されるよう設定されている。
【0063】
各リブ75の立設の長さは、第2搬送路17における記録用紙50の搬送向き6の下流側、つまり上下方向7における上側であるほど長い。さらに、リブ55の外側部材51からの立設の長さも、第2搬送路17における記録用紙50の搬送向き6の下流側、つまり上下方向7における上側であるほど長い。従って、第2搬送路17は、搬送向き6の下流側であるほど、外側部材51のリブ55と第1傾斜板24のリブ75との間隔が、側面視において短く構成されている。なお、リブ55とリブ75とは、左右方向9においてそれぞれ異なる位置に配置されている。
【0064】
[実施形態の効果]
プリンタ部11は、第1トレイ22と第2トレイ21を備えているために、2経路の搬送路(第1搬送路18及び第2搬送路17)が必要となる。ここで、第2搬送路17は、外側を外側部材51によって区画され、内側を第1傾斜板24によって区画されている。つまり、上述の実施形態によれば、第1傾斜板24が、第2搬送路17の内側を区画する役目を果たしているため、第2搬送路17の内側を区画するために新たな部材を設ける必要がない。これにより、プリンタ部11は、上下複数段のトレイ21,22を備えた構成を採用しつつも、複合機10の大型化を低減することができる。
【0065】
通常、トレイ21,22には、底板70,80の後方側の端部から後板が立設されており、第1傾斜板24は後板の前側において底板70,80から立設されていることが多い。この場合、後板が立設板としての機能を果たす。しかし、上述の実施形態においては、第1傾斜板24と後板が兼用されており、第1傾斜板24が立設板としての機能を果たしている。これにより、第1トレイ22が後板と第1傾斜板24の双方を備えている場合に、後板と第1傾斜板24の間に存在するスペースが、第2搬送路17として利用可能となる。その結果、複合機10の大型化をより低減することができる。
【0066】
第1傾斜板24が複数のリブ75を備えることによって、記録用紙50が第1傾斜板24と接触する面積が小さくなる。よって、記録用紙50が第2搬送路17を円滑に搬送可能となる。また、外側部材51も複数のリブ55を備えることによって、記録用紙50が第2搬送路17を円滑に搬送できる。
【0067】
給送部28,38から離れた位置ほど、記録用紙50の先端はばたついてしまう。従って、第2搬送路17の搬送向きの下流側においては、第2トレイ21から給送された記録用紙50はばたつきやすい。一方、第2搬送路17の搬送向きの上流側においては、下流側よりも、記録用紙50の搬送は安定している。上述の実施形態のよれば、第2搬送路17は、搬送向き6の下流側であるほど、外側部材51とリブ75との間隔が短く構成されている。つまり、記録用紙50がばたつきやすい下流側において第2搬送路17を狭くできる。これにより、下流側において記録用紙50がばたつくことを防止して、記録用紙50を安定して搬送することができる。
【0068】
第1傾斜板24の裏面、すなわち第1傾斜板24の第2搬送路17側の面に、第2トレイ21から給送される記録用紙50の幅方向をガイドする突起73,74を形成することによって、記録用紙50がより安定して搬送される。
【0069】
外側部材51が姿勢変化可能であることにより、第1搬送路18及び第2搬送路17において記録用紙50が詰まっても、記録用紙50を容易に取り出すことができる。
【0070】
第1トレイ22がプリンタ部11に対して脱着可能に構成されていることによって、記録用紙50が搬送路17,18内で詰まってしまっても、外側部材51が、姿勢変化または離脱によって、各搬送路17,18を開放するだけでなく、第1トレイ22を離脱させることで、より記録用紙50の取り出しが容易となる。
【0071】
上述の実施形態では、第1傾斜板24が第2搬送路17の内側を区画するため、第1傾斜板24に傷などができると搬送される記録用紙50と引っ掛かり、記録用紙50が傷ついてしまったり、用紙の搬送が阻害されてしまうおそれがある。そして、第1トレイ22は、プリンタ部11に対して脱着可能であるため、プリンタ部11から離脱された状態で落下することなどにより第1傾斜板24に傷などができる可能性が高い。しかし、上述の実施形態においては、第1傾斜板24から外側部材51に向かって延びている突板73,74が設けられている。これにより、脱抜された第1トレイ22が地面に落下などした場合であっても、突板73,74が地面に当たるのみで、第1傾斜板24は地面に当たり難い。よって、第1傾斜板24が傷つく可能性を低くできる。
【0072】
なお、リブ55及びリブ75の配置及び形状は、上記実施形態に限らない。すなわち、リブ55またはリブ75のうち一方は搬送向き6の上流側と下流側とで同じ立設長さとし、他方が下流側ほど立設長さを長く形成しても良い。また、リブ55とリブ75とは、左右方向9において、同じ位置に形成されていても良い。さらに、リブ55とリブ75とを備えていなくてももちろん良い。
【0073】
[実施形態の変形例1]
本発明は、以下に詳述する両面画像記録に対応した複合機10にも用いることができる。
【0074】
図6に示されるように、変形例1における複合機10のプリンタ部11には、反転搬送路90(本発明の案内経路の一例)が設けられている。反転搬送路90は、排出搬送路19における記録部40より搬送向きの下流側に形成されている。反転搬送路90は、当該下流側から第1搬送路18における中間ローラ対56より搬送向きの上流側へ記録用紙50を案内する。反転搬送路90は、分岐口91で排出搬送路19から分岐され、記録部40の下側かつ第1トレイ22の上側を通って、合流部92で第1搬送路18と合流する。記録用紙50は、反転搬送路90を再給送向きに搬送される。ここで、再給送向きとは、図6における矢印付きの破線で示される向きを指す。記録部40で表面に画像を記録された記録用紙50は、反転搬送路90を通ることによって表裏反転されて再び記録部40に給送される。そして、記録用紙50は、表面に画像を記録されたときと同様にして、記録部40によって裏面に画像が記録される。
【0075】
排出搬送路19に位置する記録用紙50を反転搬送路90へ案内するために、プリンタ部11には経路切換部97と反転ローラ対65が設けられている。経路切換部97は、排出ローラ対64よりも搬送向きの下流側に設けられている。反転ローラ対65は、経路切換部97よりも搬送向きの下流側に設けられている。反転ローラ対65を構成するローラのうちの駆動ローラ66は、正逆転可能に構成されており、記録用紙50を搬送向きと搬送向きと逆向きとに搬送させることができる。
【0076】
経路切換部97は、軸98を中心として、記録用紙50を排出搬送路19に沿って排紙トレイ23に排出可能な排出姿勢(図6に示される姿勢)と、記録用紙50を反転搬送路90に案内可能な反転姿勢(排出姿勢から先端99が下方に回動された姿勢)との間で回動可能に構成されている。また、経路切換部97は、その下面に拍車状に形成された補助ローラ100,101を備えている。
【0077】
経路切換部97は、通常状態において、自重によって下方へ回動することにより、反転姿勢を保持している。この状態において、記録部40の下側を通過した記録用紙50の先端が経路切換部97に到達すると、経路切換部97は記録用紙50の上面に押されることにより、反転姿勢から排出姿勢に姿勢変化される。この状態において、継続して搬送された記録用紙50は、搬送向きの下流側に設けられた反転ローラ対65に挟持される。経路切換部41が排出姿勢に維持された状態で駆動ローラ66が正転しているため、記録用紙50は排紙トレイ23側へ搬送される。記録用紙50の後端部が補助ローラ101よりも上流側である規定位置に到達したときに、記録用紙50が経路切換部97を押し上げる力よりも、経路切換部97が自重によって反転姿勢側へ回動する力が強くなる。これにより、経路切換部97が排出姿勢から反転姿勢へ姿勢変化される。これにより、記録用紙50の後端部は、補助ローラ101によって下側へ押圧され、反転搬送路90側へ向けられる。
【0078】
片面記録が行われる場合、駆動ローラ66は正転を維持するため、記録用紙50は排紙トレイ23へ排出される。一方、両面記録が行われる場合、記録用紙50の後端部が反転搬送路90側へ向けられた状態において、駆動ローラ66は正転から逆転へ切り換えられる。これにより、記録用紙50を反転搬送路90へスイッチバック搬送される。
【0079】
反転搬送路90は、内側部材52と対向部材93(本発明の対向部材の一例)とによって形成されている。
【0080】
ここで、変形例1における内側部材52は、第1トレイ22の上方において左右方向9及び前後方向8に延出された平板形状の部材である。また、内側部材52は、後側の端部において上方へ湾曲している。つまり、内側部材52は、第1トレイ22の上方において左右方向9及び前後方向8に延出された本体部46と、後側の端部において左右方向9及び上下方向7に延出された先端部47とで構成されている。そして、本体部46は、後述する対向部材93と対向され、対向部材93と共に反転搬送路90を形成する。一方、先端部47は、外側部材51と対向され、外側部材51と共に第1搬送路18を形成する。
【0081】
対向部材93は、記録部40と内側部材52との間に配置されている。つまり、対向部材93は、内側部材52の上側に内側部材52と対向して配置され、内側部材52と共に反転搬送路90を形成している。また、対向部材93は、記録部40の下側に記録部40と対向して配置され、記録部40と共に排出搬送路19を形成している。また、対向部材93は、記録部40よりも記録用紙50の搬送向きの上流側、かつ反転搬送路90よりも再給送向きの下流側において、外側部材51と対向して配置され、外側部材51と共に第3搬送路94(本発明の第3搬送路の一例)を形成している。
【0082】
以上のように、変形例1においては、上述の実施形態とは異なり、第1搬送路18は、上流端16(第1傾斜板24の上側)から合流部92までの経路である。そして、合流部92から記録部40までには、第3搬送路94が形成されている。
【0083】
図6及び図8に示されるように、変形例1における内側部材52は、本体部46の基端部(前方側の端部)が、第1供給部28の軸27(本発明の回動軸の一例)に支持されており、軸27を回動中心軸として回動可能である。つまり、内側部材52は、再給送向きの下流側が揺動可能に形成されている。また、内側部材52の本体部46における前方側の端部の下面95は、第1トレイ22がプリンタ部11に装着された状態(図6の状態)のとき、第1トレイ22(変形例1では、第1トレイ22の右側板71の上面)と当接され、第1トレイ22に支持されている。つまり、下面95は、本発明の当接部の一例である。また、第1トレイ22がプリンタ部11に装着されたときの位置は、本発明の所定位置に相当する。
【0084】
内側部材52は、下面95が第1トレイ22と当接した状態において、上方に回動した姿勢である(図6参照)。当該姿勢においては、内側部材52と対向部材93によって反転搬送路90が形成されている。当該姿勢が本発明の案内姿勢に相当する。第1トレイ22がプリンタ部11から脱抜されると、つまり第1トレイ22が所定位置から退動すると、第1トレイ22の支持を失った内側部材52は、矢印96の向き、つまり下方に回動する。下方に回動した姿勢では、図8に示されるように、反転搬送路90が後方に向けて開かれた状態となる。このため、図8に示されるように、外側部材51が露出姿勢に姿勢変化すると、反転搬送路90は、複合機10の後側に露出された状態となる。内側部材52が下方に回動した姿勢が本発明の開放姿勢に相当する。以上より、内側部材52は、案内姿勢と開放姿勢とに揺動可能である。
【0085】
変形例1においては、第1搬送路18を区画する内側部材が、反転搬送路90をも区画している。これにより、反転搬送路90が、新たに設けられた部材で形成されるよりも、複合機10が小型化できる。
【0086】
また、反転搬送路90内で記録用紙50が引っかかるなどにより詰まってしまった場合でも、第1トレイ22を露出姿勢とすることにより反転搬送路90が開放されるため、記録用紙50の処理がしやすくなる。つまり、反転搬送路90において記録用紙50が詰まっても、記録用紙50を容易に取り出すことができる。
【0087】
[実施形態の変形例2]
上述の実施形態では、第1傾斜板24が本発明の立設板としての機能を果たしている構成について説明したが、第1傾斜板24が本発明の立設板としての機能を果たしていなくてもよい。例えば、図7に示されるように、第1トレイ22は、第1底板70、左側板、右側板71及び第1傾斜板24の他に、後板72を備えていてもよい。後板72は、第1底板70において第1傾斜板24よりも後側に立設されている。この場合、第2搬送路17は、外側部材51と後板72とによって形成される。つまり、変形例2においては、後板72が、本発明の立設板に相当する。なお、第2トレイ21は、第1トレイ22と同様に、後板82を備えていてもよい。
【0088】
[実施形態の変形例3]
上述の実施形態では、外側部材51が閉塞姿勢と露出姿勢に姿勢変化可能な構成について説明したが、外側部材51はプリンタ部11に対して脱着可能な構成であってもよい。つまり、外側部材51がプリンタ部11から取り外されることによって、搬送路17,18は複合機10の後側に露出された状態となる。この場合、外側部材51がプリンタ部11から取り外されたときの外側部材51の姿勢が、本発明の第1姿勢に相当し、外側部材51がプリンタ部11に取り付けられたときの外側部材51の姿勢が、本発明の第2姿勢に相当する。
【0089】
変形例3によれば、搬送路17,18において記録用紙50が詰まっても、記録用紙50を容易に取り出すことができる。
【0090】
[実施形態の変形例4]
上述の実施形態では、トレイ21,22が前後方向8にスライドする構成について説明したが、プリンタ部11は、トレイ21,22がスライドしないように構成されていてもよい。例えば、トレイ21,22がプリンタ部11に固定されていてもよい。また、トレイ21,22は、プリンタ部11から中途まで引き出し可能な構成、換言するとプリンタ部11から完全には脱抜されない構成であってもよい。
【0091】
[実施形態の変形例5]
上述の実施形態では、傾斜板24,34がトレイ22,21に設けられている構成について説明したが、傾斜板24,34はトレイ22,21ではなく例えばプリンタ部11に取り付けられていてもよい。
【0092】
[実施形態の変形例6]
上述の実施形態では、外側部材51が1つの部材によって形成されている構成について説明しているが、外側部材51は2つ以上の部材によって形成されていてもよい。例えば、外側部材51は、内側部材52と対向して内側部材52と共に第1搬送路18を形成する第1外側部材(不図示)と、第1外側部材の下方において第1傾斜板24と対向して第1傾斜板24と共に第2搬送路17を形成する第2外側部材(不図示)とで構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10:複合機
11:プリンタ部
17:第2搬送路
18:第1搬送路
21:第2トレイ
22:第1トレイ
24:第1傾斜板
28:第1供給部
38:第2供給部
40:記録部
50:記録用紙
51:外側部材
52:内側部材
70:第1底板
73:突板
74:突板
75:リブ
80:第2底板
90:反転搬送路
93:対向部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を記録する記録部と、
上記記録部の下方に設けられており、かつ記録部に給送されるシートを積載可能な第1底板を備えている第1トレイと、
上記第1底板の給送向きの下流側の位置に立設する立設板と、
上記第1トレイの下方に設けられており、かつ記録部に給送されるシートを積載可能な第2底板を備えている第2トレイと、
上記第1底板に積載されたシートを上記記録部に向かって上記給送向きへ給送する第1給送部と、
上記第2底板に積載されたシートを上記記録部に向かって上記給送向きへ給送する第2給送部と、
上記立設板の上方に配置された内側部材と、上記内側部材と対向した外側部材とによって形成され、上記第1給送部によって給送されたシートが通過する第1搬送路と、を備え、
上記外側部材は、上記立設板と対向する位置まで延びており、
上記立設板と上記外側部材とによって形成され、上記第2給送部によって給送されたシートが通過する第2搬送路と、を備えている画像記録装置。
【請求項2】
上記立設板は、その上端側が下端側よりも給送向き下流側に位置するよう傾斜し、上記第1給送部によって給送されるシートを案内する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記立設板は、上記外側部材と対向する面から上記外側部材に向かって突出し、上記搬送向きに沿って延設されている複数のリブを備えている請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記リブと上記外側部材との間隔は、上記第2搬送路における上記搬送向きの上流側よりも上記搬送向きの下流側であるほど、小さく形成されている請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記立設板は、上記外側部材と対向する面において、上記第2トレイから給送可能なシートの上記搬送向きと直交する幅方向における最大幅分隔てた位置に、上記搬送向きに沿って延設され上記外側部材に向かって突出した一対のガイド部を備えている請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記内側部材は、上記第1トレイの上方に位置し、
上記内側部材と上記内側部材に対向してその上方に配置される対向部材とによって、上記記録部の搬送向き下流側に形成され、上記記録部によって記録されたシートを反転させ、上記記録部に再給送するための案内経路を有する請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記第1トレイは、当該装置に対して進退動可能であり、
上記内側部材は、再給送向き上流側に回動軸を有し、再給送向き下流側が揺動可能に形成され、上記第1トレイが所定位置であるとき上記第1トレイと当接する当接部を有し、上記当接部と上記第1トレイとが当接すると、再給送向き下流側端部が上方に揺動して案内経路を形成する案内姿勢と、上記第1トレイが所定位置から退動すると、上記下流側端部が下方に揺動して案内経路を開放する開放姿勢とに揺動可能である請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記外側部材は、上記第1搬送路及び上記第2搬送路を当該装置外に露出させる第1姿勢、及び上記第1搬送路及び上記第2搬送路を当該装置外から遮蔽させる第2姿勢の間で姿勢変化可能である請求項1から7のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記外側部材は、上記第1搬送路及び上記第2搬送路を当該装置外に露出させる第1姿勢、及び上記第1搬送路及び上記第2搬送路を当該装置外から遮蔽させる第2姿勢の間で姿勢変化可能であり、
上記案内経路よりも搬送向き下流側には、上記対向部材と上記外側部材とによって第3搬送路が形成され、
上記第1姿勢は、さらに上記案内経路と上記第3搬送路とを当該装置外に露出させる請求項6または7に記載の画像記録装置。
【請求項10】
上記外側部材は、当該装置に対して脱着可能に形成され、
上記第1姿勢は、上記外側部材を当該装置から離脱された姿勢である請求項8または9に記載の画像記録装置。
【請求項11】
上記立設板は、上記第1底板の上記給送向き下流側の端部に形成され、
上記第1トレイは、当該装置に対して脱着可能に形成されている請求項1から10のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項12】
上記立設板は、上記外側部材と対向する面において上記外側部材に向かって突出し、上記第2トレイから給送可能なシートの通過領域外の位置に、上記外側部材に向かって突出した突出部を備えている請求項11に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−1313(P2012−1313A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137854(P2010−137854)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】