説明

画像記録装置

【課題】シート状の被記録媒体の搬送精度を良好に維持しつつ、厚みのあるトレイの搬送精度を良好に維持することができる構造を提供する。
【解決手段】記録部の下側に記録部と対向して配置されており、直線路を搬送される記録用紙を支持するプラテン42と、記録部よりも直線路の搬送向きの下流側に、記録用紙を搬送する搬送ローラ62とが設けられている。プラテン42は、記録用紙の搬送方向における搬送ローラ62よりも記録部側に設けられており、当該装置のフレームに下側から当接する第1突起30と、搬送ローラ62の軸64に上側及び下側から当接可能な第2突起31及び第3突起32と、を有している。突起31、32の上下方向の離間距離は、軸64の外径より大きい。記録用紙の搬送方向における第1突起30と突起31、32の間においてプラテン42を付勢するコイルばね35が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンに支持されたシート状の被記録媒体に画像を記録することが可能であり、且つCDやDVDなどの剛性の高い被記録媒体にも画像を記録することが可能な画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力信号に基づいて被記録媒体に画像記録を行う画像記録装置が知られている。このような画像記録装置の画像記録の方式としては、例えばインクジェット記録方式がある。
【0003】
記録用紙などのシート状の被記録媒体は、画像記録装置の内部に設けられたローラ対に挟持されることによって搬送される。シート状の被記録媒体は撓みがある。よって、シート状の被記録媒体は、画像記録装置に設けられた記録部によって画像を記録される際、搬送向きの先端及び後端をローラ対によって挟持され、撓んだ搬送向きの中央部を記録部の下方に記録部と対向して設けられたプラテンによって支持される。
【0004】
上述した画像記録装置において画像記録が行われる被記録媒体には、シート状の被記録媒体の他、例えば、特許文献1に記載されているように、CDやDVDなどの剛性の高い被記録媒体も提案されている。剛性の高い被記録媒体に画像記録が行われる際、当該被記録媒体は、厚みのある板状のトレイにセットされる。トレイは、画像記録装置に設けられた挿入口から挿入され、画像記録装置内を搬送される。トレイは厚みのある板状であるため、剛性の高い被記録媒体に画像が記録される際、トレイは、搬送向きの先端及び後端をローラ対によって挟持されればよく、プラテンによって支持される必要はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−136802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、プラテンにおける被記録媒体の支持面は、ローラ対における被記録媒体の挟持位置と略同じ高さである。ローラ対を構成するローラと、記録媒体を支持するプラテンとが、上記の高さ関係を維持しつつ、トレイの搬送が実行された場合、トレイが搬送中にプラテンに接触する可能性が高い。これにより、トレイに対する搬送抵抗が増加して、トレイの搬送精度が悪化してしまうおそれがある。
【0007】
このため、トレイにセットされた被記録媒体に画像が記録される際、プラテンを、搬送路から離れる向きへ変位させる必要がある。しかしながら、プラテンをローラに対して変位させるように画像記録装置が構成された場合、シート状の被記録媒体に画像記録を行う場合のプラテンとローラとの位置関係に誤差が生じるおそれがある。これにより、シート状の被記録媒体の搬送精度が悪化してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シート状の被記録媒体の搬送精度を良好に維持しつつ、被記録媒体がセットされた厚みのあるトレイの搬送精度を良好に維持することができる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明の画像記録装置は、上下方向の空間が区画されており、被記録媒体が通過可能な搬送路と、上記搬送路の下側に設けられており、その上面において被記録媒体を支持可能なプラテンと、上記搬送路の上側において上記プラテンと対向して設けられており、被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記記録部が被記録媒体に画像を記録するときの被記録媒体の搬送方向において、上記記録部よりも下流側または上流側であって上記搬送路の上側に設けられた第1ローラと、上記第1ローラと対向して上記搬送路の下側に設けられた第2ローラと、上記プラテンを上下動可能に支持するとともに上記第2ローラを支持するフレームと、上記プラテンを上側に付勢する第1付勢部材と、上記第1付勢部材を、上記プラテンを付勢する第1状態または付勢しない第2状態に切り替える第1切替機構と、を備えている。上記プラテンは、上記搬送方向における上記第2ローラよりも上記記録部側に設けられており、上記第1状態において上記フレームに下側から当接する突部と、上記第1状態において上記第2ローラの軸に下側から当接可能な第1当接部と、上記第2状態において上記第2ローラの軸に上側から当接可能な第2当接部と、を有している。上記第1当接部と上記第2当接部との上下方向の離間距離は、上記第2ローラの軸の外径より大きい。上記第1付勢部材は、上記搬送方向における上記突部と上記第1当接部及び上記第2当接部との間において上記プラテンを付勢するものである。
【0010】
本構成においては、シート状の被記録媒体に画像記録が行われる場合、第1切替機構は第1付勢部材を第1状態に切り替える。これにより、プラテンは上側に付勢され、突部がフレームに下側から当接する。その結果、プラテンは、フレームによって正確に位置決めされる。また、第1当接部が第2ローラの軸に下側から当接する。その結果、プラテンは、第2ローラに対する高さ方向の位置が正確に位置決めされ、シート状の被記録媒体の搬送精度を維持することができる。
【0011】
また、本構成においては、トレイにセットされた剛性の高い被記録媒体に画像記録が行われる際、第1切替機構は第1付勢部材を第2状態に切り替える。第1付勢部材による付勢を失ったプラテンは下方に移動する。よって、第1当接部及び第2当接部も下方に移動する。プラテンは、第2当接部が上側から第2ローラの軸に当接するまで下方に移動する。これにより、プラテンの上面は、第1ローラ及び第2ローラによる被記録媒体の挟持位置よりも低くなる。よって、トレイが搬送路を搬送されるときにプラテンに接触する可能性を低くすることができる。
【0012】
(2) 上記フレームは、上記第2ローラを上下動可能に支持する。本発明の画像記録装置は、上記第2ローラを上側へ付勢する第2付勢部材と、上記第2付勢部材を、上記第2ローラを付勢する第3状態または付勢しない第4状態に切り替える第2切替機構と、を更に備える。
【0013】
本構成においては、第2ローラは上下動可能にフレームによって支持されている。これにより、第1ローラ及び第2ローラの間隔を大きくすることが可能となる。よって、厚みのあるトレイが第1ローラ及び第2ローラに挟持され易くすることができる。
【0014】
(3) 上記第1当接部及び上記第2当接部は、上記第2ローラの軸方向に沿って複数形成されている。
【0015】
本構成によれば、第2ローラの軸は、複数の箇所において、第1当接部または第2当接部と当接可能である。これにより、第2ローラは、プラテンに対してより正確に位置決め可能である。
【0016】
(4) 上記第1付勢部材は、上記搬送方向における上記突部と上記第1当接部及び上記第2当接部との間の位置のうち、上記突部側に設けられている。
【0017】
本構成においては、第1付勢部材は、搬送方向において、第1当接部及び第2当接部よりも突部に近い位置に設けられている。すると、プラテンが第1付勢部材によって上側に付勢されることによって、突部がフレームに下側から当接したとき、搬送方向において第1付勢部材を挟んで突部と反対側に位置する第1当接部及び第2当接部に、強いモーメントが生じる。これにより、第1当接部が第2ローラの軸に下側から強く押しつけられる。その結果、プラテンの高さ方向の位置が正確に位置決めされる。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、プラテンは、第2ローラに対する高さ方向の位置が正確に位置決めされる。これにより、シート状の被記録媒体の搬送精度を良好に維持することができる。また、本発明においては、トレイが搬送路を搬送されるときにプラテンに接触する可能性を低くすることができる。これにより、被記録媒体がセットされた厚みのあるトレイの搬送精度を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施形態の一例である複合機10の斜視図である。
【図2】図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図3】図3は、メディアトレイ71の平面図である。
【図4】図4は、プラテン42とフレーム78と可動部材90の斜視図である。
【図5】図5は、可動部材90が第3位置に位置している状態が示されており、(A)はプラテン42とフレーム78と可動部材90が示された側面図であり、(B)はプラテン42と可動部材90が示された側面図であり、(C)はプラテン42が示された側面図であり、(D)はプラテン42の縦断面図である。
【図6】図6は、可動部材90が第4位置に位置している状態が示されており、(A)はプラテン42とフレーム78と可動部材90が示された側面図であり、(B)はプラテン42と可動部材90が示された側面図であり、(C)はプラテン42が示された側面図であり、(D)はプラテン42の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが「向き」と表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が「方向」と表現される。また、以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0021】
[複合機10]
図1に示されるように、本発明の画像記録装置の一例である複合機10は、概ね薄型の直方体に形成されている。インクジェット記録方式のプリンタ部11が、複合機10の下部に設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。なお、本実施形態において、複合機10はプリント機能として片面画像記録機能のみ有しているが、複合機10は両面画像記録機能を有していてもよい。
【0022】
プリンタ部11は筐体14を有する。上下方向7(本発明の上下方向に相当)及び左右方向9に拡がる前壁17が、筐体14の前側に形成されている。開口13が、前壁17の概ね中央部に形成されている。給紙トレイ20及び排紙トレイ21(図2参照)が、開口13から前後方向に挿抜可能である。所望のサイズの記録用紙(本発明の被記録媒体の一例)が給紙トレイ20に載置される。
【0023】
図2に示されるように、プリンタ部11は、記録用紙を給送する給紙部15と、記録用紙に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)などを備えている。プリンタ部11は、外部機器から受信した印刷データなどに基づいて、記録用紙に画像を記録する。
【0024】
また、複合機10は、記録用紙よりも厚みがあるCD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディア(不図示)の盤面上に、記録部24によって画像を記録する機能を有する。記録メディアも、記録用紙と同様に本発明の被記録媒体の一例である。記録メディアは、後述するメディアトレイ71(図3参照)に載置される。図2に示されるように、メディアトレイ71は、開口13に設けられたトレイガイド76に載置されつつ、開口13における排紙トレイ21の上側から後述する直線路65へ、後向き(矢印77の向き)に挿入される。なお、当該機能については後述する。
【0025】
[給紙部15]
図2に示されるように、給紙部15は、給紙トレイ20の上側に設けられている。給紙部15は、給紙ローラ25、給紙アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給紙ローラ25は、給紙アーム26の前端部で軸支されている。給紙アーム26は、軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給紙ローラ25は給紙トレイ20に接離可能である。給紙ローラ25は、複数のギヤが噛合された駆動伝達機構27によって、給紙用モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙を1枚ずつ分離して湾曲路66へ供給する。
【0026】
[湾曲路66及び直線路65]
図2に示されるように、湾曲路66及び直線路65(本発明の搬送路の一例)が、プリンタ部11の内部に形成されている。図2に一点鎖線で示されるように、湾曲路66は、給紙トレイ20の先端(後側の端部)から第1ローラ対58に亘って延設されており、記録用紙を案内可能な経路である。図2に二点鎖線で示されるように、直線路65は、前壁17の開口13における排紙トレイ21の上側から記録部24を経て第1ローラ対58に亘って延設されており、記録用紙及びメディアトレイ71を案内可能な経路である。
【0027】
湾曲路66は、給紙トレイ20の先端付近から後方斜め上に延びながら、前方へUターンして第1ローラ対58に至る湾曲状の通路である。記録用紙は、湾曲路66を搬送方向(図2において一点鎖線で示される方向)に沿って、図2において一点鎖線に付された矢印の向きに湾曲されて案内される。湾曲路66は、第1ローラ対58において直線路65と連続している。これにより、記録用紙は、湾曲路66を介して直線路65に案内される。湾曲路66は、所定間隔を隔てて互いに対向する内側ガイド部材19及び外側ガイド部材22によって、概ね前後方向8の空間が区画されることにより形成されている。
【0028】
直線路65は、第1ローラ対58から開口13における排紙トレイ21の上側に亘って前後方向8に延設された直線状の通路である。直線路65は、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材52と、プラテン42(本発明のプラテンの一例)とによって上下方向7の空間が区画されることにより形成されている。
【0029】
記録用紙は、直線路65を上下方向7と交差する搬送向き(図2において2点鎖線に付された矢印の向き)に案内される。記録用紙は、記録部24によって画像を記録された後に排紙トレイ21に排出される。また、開口13から挿入されたメディアトレイ71は、直線路65を搬送向き(前向き)及び搬送向きと逆向き(後向き)の双方向、つまり搬送方向(本発明の搬送方向に相当)に案内される。詳細には、開口13から挿入されたメディアトレイ71は、直線路65を、記録部24よりも搬送向きの上流側まで後向きに搬送される。その後、メディアトレイ71は、直線路65を搬送向きに案内されながら、記録部24によって画像を記録される。
【0030】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、直線路65の上側に配置されている。記録部24は、記録ヘッド38を搭載したキャリッジ40を備えている。キャリッジ40は、左右方向9(図2において紙面と垂直な方向)に往復移動可能に構成されている。記録部24の下側であって直線路65を挟んで記録部24と対向する位置には、記録用紙を水平に支持可能なプラテン42が設けられている。プラテン42は、その上面において記録用紙を支持可能である。記録部24は、左右方向9への往復移動過程において、図示しないインクカートリッジから供給されたインクをノズル39からプラテン42上を搬送向きに搬送される記録用紙または記録メディアに吐出する。これにより、直線路65において記録用紙または記録メディアに画像が記録される。以上より、搬送向きは、搬送方向のうち記録部24が記録用紙及び記録メディアに画像を記録するときに、記録用紙及び記録メディアが搬送される向きである。
【0031】
[第1ローラ対58及び第2ローラ対59]
図2に示されるように、記録部24よりも搬送向きの上流側には、直線路65の上側に配置された第1搬送ローラ60と、直線路65の下側に第1搬送ローラ60に対向して配置されたピンチローラ61とよりなる第1ローラ対58が設けられている。ピンチローラ61は、ばねなどの弾性部材(不図示)によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1ローラ対58は、記録用紙を挟持して前方、つまり搬送向きに搬送し、メディアトレイ71を挟持して後方または前方、つまり搬送方向に搬送する。
【0032】
なお、ピンチローラ61は、モータなどから駆動伝達されることによって、上下動するように構成されている。これにより、第1ローラ対58は、開口13から挿入されたメディアトレイ71を挟持して搬送方向に搬送することができる。また、ピンチローラ61が上下動される代わりに、ピンチローラ61が第1搬送ローラ60のローラ面に圧接される力が弱く構成されていてもよい。これにより、開口13から挿入されたメディアトレイ71は、ピンチローラ61を押し下げて、ピンチローラ61及び第1搬送ローラ60の間に入り込むことができる。つまり、第1ローラ対58は、メディアトレイ71を挟持することができる。
【0033】
図2に示されるように、記録部24よりも搬送向きの下流側には、直線路65の下側に配置された第2搬送ローラ62(本発明の第2ローラの一例)と、直線路65の上側に第2搬送ローラ62に対向して配置された拍車63(本発明の第1ローラの一例)よりなる第2ローラ対59が設けられている。拍車63は、ばねなどの弾性部材(不図示)によって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2ローラ対59は、記録部24を通過した記録用紙を狭持して排紙トレイ21へ搬送する。また、第2ローラ対59は、メディアトレイ71を挟持して後方または前方、つまり搬送方向に搬送する。
【0034】
図4に示されるように、第2搬送ローラ62は、軸64及びローラ部54で構成されている。ローラ部54は、左右方向9において互いに離間して複数(本実施形態では8個)設けられている。各ローラ部54には、軸64が挿通されている。軸64は、左右方向9の両端を、後述するフレーム78(本発明のフレームの一例)によって回転可能に支持されている。つまり、第2搬送ローラ62は、フレーム78によって支持されている。なお、ローラ部54は一つであってもよい。
【0035】
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ(不図示)から駆動伝達機構(不図示)を介して駆動力が伝達されて回転される。駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されている。駆動伝達機構は、搬送用モータが正転または逆転の一方に回転された場合に、記録用紙またはメディアトレイ71を搬送向きに搬送させ、搬送用モータが正転または逆転の他方に回転された場合に、メディアトレイ71を搬送向きと逆向きに搬送させるように、各ローラ60、62に駆動伝達する。
【0036】
[メディアトレイ71]
図3に示されるように、メディアトレイ71は薄板形状の樹脂板である。図2及び図3に示されるように、メディアトレイ71は、上面72を上側にしてトレイガイド76に載置され、開口13から矢印77の向き(後向き)に挿入される。メディアトレイ71は、第1ローラ対58及び第2ローラ対59によって、開口13から直線路65に沿って搬送される。なお、図3においては、メディアトレイ71が複合機10に挿入された状態で、前後方向8及び左右方向9が定義される。
【0037】
メディアトレイ71の上面72側には、記録メディアを載置可能なメディア載置部70が形成されている。メディア載置部70は、円形状の凹みである。当該凹みの直径は、載置される記録メディア(円形のCD−ROMやDVD−ROMなど)の直径と同一または少しだけ大きい。また、円形の嵌合部73が、当該凹みの中央部から上側に突出して形成されている。円形のCD−ROMやDVD−ROMなどには、通常、中央部分に円形の孔が設けられている。嵌合部73は、当該孔と略同一の大きさであり、当該孔と嵌合する。これにより、記録メディアがメディア載置部70に載置された場合に、記録メディアは前後方向8及び左右方向9にずれない。
【0038】
[トレイガイド76]
図2に示されるように、メディアトレイ71を支持可能なトレイガイド76が、排紙トレイ21の上側に設けられている。トレイガイド76は、概ね薄板形状の底板69と、底板69の左右方向9の両端部から立設され、メディアトレイ71が挿入される方向(前後方向8)に沿って配置された右ガイド板(不図示)及び左ガイド板(不図示)とを備えている。底板69の上面にはメディアトレイ71が載置される。右ガイド板と左ガイド板との間の間隔は、メディアトレイ71の幅方向(左右方向9)の長さと同一または若干大きい。これにより、メディアトレイ71が底板69に載置されながら開口13から挿入されるとき、メディアトレイ71は左右方向9にずれない。
【0039】
トレイガイド76は、メディアトレイ71を直線路へ進入可能に支持する第1位置(図2に破線で示される位置)、及び上下方向7に対して第1位置と異なり(本実施形態では第1位置よりも上方の位置)、且つ第1位置よりも後方の位置である第2位置(図2に実線で示される位置)に移動可能である。トレイガイド76は、記録用紙に画像を記録する場合に第2位置に移動され、記録メディアに画像を記録する場合に第1位置に移動される。
【0040】
本実施形態において、トレイガイド76は、以下に説明するような構成によって、第1位置及び第2位置に移動可能である。トレイガイド76の右側及び左側には、複合機10のフレーム(不図示)が配置されている。フレームには、長孔が形成されている。トレイガイド76は、両側面から突出した突出部(不図示)を有している。突出部は、長孔に挿通されている。これにより、トレイガイド76は、長孔に沿って摺動可能である。トレイガイド76は、長孔の両端(上端及び下端)において固定可能である。トレイガイド76が長孔の下端に位置している場合、トレイガイド76は第1位置である。また、トレイガイド76が長孔の上端に位置している場合、トレイガイド76は第2位置である。なお、トレイガイド76が移動するための構成は、上述したような構成に限らない。
【0041】
[フレーム78]
図4に示されるように、プリンタ部11は、その内部に、筐体14に取り付けられた金属製のフレーム78を備えている。フレーム78は、底部53と、一対の側部56とで構成されている。
【0042】
底部53は、給紙アーム26(図2参照)の上方に設けられている。一対の側部56は、上下方向7及び前後方向8に拡がる概ね矩形の薄板形状であり、底部53の左右方向9の両端から上方へ立設されている。側部56には、側部56の上端から下向きに第1切り欠き68が形成されている。第1切り欠き68には、第1支持部材74が取り付けられている。第1支持部材74には、概ね上下方向7に沿った長孔75が形成されている。第2搬送ローラ62の軸64が、長孔75に係入されている。これにより、第2搬送ローラ62は、長孔75に沿って移動可能である。つまり、第2搬送ローラ62は、フレーム78によって上下動可能に支持されている。
【0043】
[可動部材90]
図4に示されるように、左右方向9における直線路65の両端よりも外側に、概ね薄板形状の可動部材90が配置されている。詳細には、可動部材90は、右側の側部56の左側に隣接する位置、及び左側の側部56の右側に隣接する位置に配置されている。可動部材90は、プラテン42の下側に設けられている。
【0044】
可動部材90は、フレーム78の底部53によって支持されている。また、可動部材90は、底部53に支持されながら、底部53の上面に沿って、第3位置と第4位置の間を前後方向8に移動可能に構成されている。ここで、第3位置は、可動部材90が移動可能な範囲のうち、可動部材90が最も後方に配置された状態の位置(図5(A)に示される位置)である。また、第4位置は、可動部材90が移動可能な範囲のうち、可動部材90が最も前方に配置された状態の位置(図6(A)に示される位置)である。なお、
【0045】
可動部材90は、トレイガイド76と連結されている。トレイガイド76が第2位置に位置している状態において、可動部材90は第3位置に位置される。そして、トレイガイド76が前方へ引き出されることによって第2位置から第1位置へ移動すると、可動部材90は当該移動に連動して第3位置から第4位置に移動される。
【0046】
図5(B)及び図6(B)に示されるように、可動部材90の上面には、第1傾斜面91が形成されている。また、可動部材90の上面における第1傾斜面91の前側には、凹部92が形成されている。凹部92の底面には、第1コイルばね93(本発明の第2付勢部材の一例)が取り付けられている。第1コイルばね93の上端には、第2支持部材94が取り付けられている。後述するように、第2支持部材94は、第1コイルばね93によって、第2搬送ローラ62の軸64に圧接される。つまり、第1コイルばね93は、第2搬送ローラ62を上側へ付勢する。また、可動部材90の上面における第1傾斜面91の後側には、第2傾斜面95が形成されている。
【0047】
後述するように、可動部材90は、第3位置及び第4位置の間において移動することによって、第2搬送ローラ62を上下動させる。
【0048】
[プラテン42]
プラテン42は、概ね平板形状である。図4に示されるように、プラテン42は、左右方向9を長手方向として配置されている。
【0049】
図4に示されるように、プラテン42の左右両端には、第1突起30(本発明の突部の一例)が形成されている。左側に配置された第1突起30の一方は、プラテン42の左側面から左向きに延出されている。また、図4において見えていないが、右側に配置された第1突起30の他方は、プラテン42の右側面から右向きに延出されている。第1突起30は、前後方向8(搬送方向)において、第2搬送ローラ62よりも後方、つまり第2搬送ローラ62よりも記録部24側に形成されている。図4、図5(A)、及び図6(A)に示されるように、第1突起30は、フレーム78の側部56に形成された第2切り欠き79に挿通されている。側部56における第2切り欠き79が形成された部分には、凸部80が形成されている。第1突起30の上端は、後述されるように、第2コイルばね35(本発明の第1付勢部材の一例)がプラテン42を付勢している状態において、フレーム78に下側から当接し、第2コイルばね35がプラテン42を付勢していない状態において、凸部80から離間している。
【0050】
また、図4〜図6に示されるように、プラテン42の前端には、第2突起31(本発明の第2当接部の一例)及び第3突起32(本発明の第1当接部の一例)が形成されている。詳細には、第2突起31は、プラテン42の上端部から前向きに突出されており、第3突起32は、プラテン42の下端部から前向きに突出されている。つまり、第2突起31及び第3突起32は、第1突起30よりも搬送向きの下流側に設けられている。また、本実施形態では、第2突起31及び第3突起32は、左右方向9において、プラテン42の両端及び中央部に3個形成されている。つまり、第2突起31及び第3突起32は、第2搬送ローラ62の軸方向(本発明の軸方向に相当)に沿って複数形成されている。
【0051】
なお、第2突起31及び第3突起32の左右方向9の位置は、プラテン42の両端及び中央部に限らない。また、第2突起31及び第3突起32の個数は3個に限らず、少なく1つ形成されていればよい。
【0052】
また、第2突起31の個数と、第3突起32の個数とは、異なる個数であってもよい。また、第2突起31の左右方向9の位置と、第3突起32の左右方向9の位置とは、同じ位置であってもよい。この場合、第2突起31及び第3突起32は、上下方向7において対向している。また、第2突起31の左右方向9の位置と、第3突起32の左右方向9の位置とは、異なる位置であってもよい。この場合、第2突起31及び第3突起32は、上下方向7において対向していない。もちろん、プラテン42において、相互に対向している第2突起31及び第3突起32と、相互に対向していない第2突起31及び第3突起32とが、混在していてもよい。
【0053】
図5(C)及び図6(C)に示されるように、第3突起32の上面34と第2突起31の下面33との上下方向7の離間距離(本発明の離間距離に相当)は、第2搬送ローラ62の軸64の外径(本発明の外径に相当)よりも大きい。また、第2搬送ローラ62の軸64が、上下方向7において、第2突起31及び第3突起32の間に位置するように配置されている。また、第3突起32の上面34は、後述されるように、第2コイルばね35がプラテン42を付勢している状態において、第2搬送ローラ62の軸64に下側から当接可能である。また、第2突起31の下面33は、後述されるように、第2コイルばね35がプラテン42を付勢していない状態において、第2搬送ローラ62の軸64に上側から当接可能である。
【0054】
図5(B)、(C)及び図6(B)、(C)に示されるように、プラテン42の下面には、第2コイルばね35が取り付けられている。第2コイルばね35は、第1突起30よりも前側に取り付けられている。また、第2コイルばね35は、第2突起31及び第3突起32よりも後側に取り付けられている。つまり、第2コイルばね35は、前後方向8において、第1突起30と第2突起31及び第3突起32との間に取り付けられている。
【0055】
本実施形態において、第2コイルばね35は、前後方向8において、第2突起31及び第3突起32よりも第1突起30に近い位置に取り付けられている。これにより、以下の効果が得られる。つまり、後述されるように、プラテン42が第2コイルばね35によって上側に付勢されることによって、第1突起30がフレーム78の凸部80に下側から当接したとき(図5(A)参照)、第2突起31及び第3突起32に、強いモーメントが生じる。これにより、第3突起32が第2搬送ローラ62の軸64に下側から強く押しつけられる(図5(C)参照)。その結果、プラテン42の上下方向7の位置が正確に位置決めされる。
【0056】
もちろん、第2コイルばね35の前後方向8における位置は、第1突起30と第2突起31及び第3突起32との間であるならば、第1突起30に近い位置に限らない。例えば、第2コイルばね35は、前後方向8において、第1突起30よりも第2突起31及び第3突起32に近い位置に取り付けられていてもよい。また、第2コイルばね35は、前後方向8において、第1突起30と第2突起31及び第3突起32との中間位置に取り付けられていてもよい。
【0057】
第2コイルばね35の下端には、第3支持部材36が取り付けられている。後述するように、第3支持部材36は、第2搬送ローラ62が上方に移動された状態において、第2傾斜面95の頂上部分に当接する。
【0058】
[プラテン42及び第2搬送ローラ62の上下動]
図5に示されるように、可動部材90が第3位置に位置している状態においては、第2コイルばね35を介してプラテン42に取り付けられた第3支持部材36が、可動部材90に支持されている。図5(B)に示されるように、可動部材90は、第2傾斜面95の頂上部分において、第3支持部材36を支持している。また、図5(A)に示されるように、プラテン42の第1突起30が、フレーム78の凸部80の下面に当接している。このとき、第2コイルばね35は収縮しており、伸張する向きに弾性力を発生させている。ここで、第2コイルばね35の下側に位置する可動部材90は、フレーム78の底部53に支持されている。よって、第2コイルばね35は、プラテン42を上側へ付勢する。換言すると、プラテン42は、搬送方向における第1突起30と第2突起31及び第3突起32との間において、第2コイルばね35によって上側に付勢される。これにより、プラテン42の第1突起30は、フレーム78の凸部80の下面に押しつけられる。このときの第2コイルばね35の状態は、本発明の第1状態に相当する。
【0059】
一方、可動部材90が第3位置に位置している状態においては、第1コイルばね93は収縮しており、伸張する向きに弾性力を発生させている。つまり、可動部材90が第3位置に位置している状態において、第2搬送ローラ62の軸64は、第1コイルばね93に付勢されることによって上側へ押されている。これにより、第2搬送ローラ62の軸64は、第1支持部材74の長孔75の上端に圧接される。このときの第1コイルばね93の状態は、本発明の第3状態に相当する。
【0060】
上述したように、プラテン42の第1突起30は、凸部80の下面に押しつけられる。これにより、プラテン42は、第1突起30及び凸部80の当接部分を中心として図5の紙面における反時計回りに回動される向きの力を受ける。よって、プラテン42において第2突起31、32が形成された部分は上側へ移動される。これにより、図5(C)に示されるように、第2突起31は、第2搬送ローラ62の軸64から離間される。一方、第3突起32の上面34は、第2搬送ローラ62の軸64に下側から当接して、長孔75の上端に当接された状態の第2搬送ローラ62の軸64を上側に押す。つまり、第3突起32の上面34は、第2搬送ローラ62の軸64に圧接される。
【0061】
以上より、プラテン42は、上下方向7において、記録用紙に画像を記録する際の位置に位置決めされる。これにより、プラテン42と記録部24との間隔が、プラテン42に支持された記録用紙に画像を記録するために最適な間隔となる。また、図5(D)に示されるように、第2搬送ローラ62は、軸64が長孔75の上端に当接した状態において、拍車63と当接された状態となる。これにより、第2ローラ対59は、記録用紙を挟持して搬送することができる。
【0062】
複合機10のユーザは、記録メディアへ画像を記録する場合、トレイガイド76を把持して、トレイガイド76を第2位置から第1位置に移動させる。詳細には、複合機10のユーザは、トレイガイド76を下方に移動させながら前方に引っ張ることによって、トレイガイド76を第2位置から第1位置に移動させる。上述したように、トレイガイド76が第2位置から第1位置へ移動されると、可動部材90は当該移動に連動して第3位置(図5参照)から第4位置(図6参照)に移動される。
【0063】
図5(B)及び図6(B)に示されるように、可動部材90は、第3位置から第4位置に移動する過程において、プラテン42を第2傾斜面95に沿って下方へ導く。これにより、プラテン42は、第3突起32の上面34が第2搬送ローラ62の軸64から離間され、第2突起31の下面33が第2搬送ローラ62の軸64に当接されるまで、後述する差GAP(図5(C)及び図6(C)参照)だけ下方に移動される。
【0064】
図6(B)に示されるように、可動部材90が第4位置に位置している状態において、第3支持部材36は、可動部材90に支持されていない。その代わりに、第3支持部材36は、第3位置の可動部材90を支持していたフレーム78の底部53(図4及び図6(A)参照)によって支持された状態となる。なお、図6に示された状態において、第2コイルばね35は、プラテン42を上側に押していない。つまり、第2コイルばね35は、プラテン42を付勢していない。このときの第2コイルばね35の状態は、本発明の第2状態に相当する。
【0065】
また、図5(B)及び図6(B)に示されるように、可動部材90は、第3位置から第4位置に移動する過程において、第2搬送ローラ62の軸64を第1傾斜面91に沿って下方へ導く。これにより、図6(B)に示されるように、第2搬送ローラ62の軸64は、第1支持部材74の長孔75に沿って、長孔75の上端から下端まで摺動される。このとき、上述したように、プラテン42も下方へ移動する。そして、これにより、第2突起31の下面33が第2搬送ローラ62の軸64に当接されている。よって、第2搬送ローラ62の軸64は、第2突起31が当接した状態を維持したまま、下方へ摺動される。
【0066】
第2搬送ローラ62の軸64は、長孔75の下端に到達すると、それ以上下方へ摺動されない。この状態において、図6(C)に示されるように、第3突起32の上面34は、第2搬送ローラ62の軸64から離間されている。一方、第2突起31の下面33は、長孔75の下端まで摺動された第2搬送ローラ62の軸64と当接している。つまり、プラテン42は、第2突起31の下面33において、第2搬送ローラ62の軸64に支持された状態となる。なお、図6に示された状態において、第1コイルばね93は、第2搬送ローラ64から離間されており、第2搬送ローラ64を付勢していない。このときの第1コイルばね93の状態は、本発明の第4状態に相当する。
【0067】
以上より、プラテン42は、上下方向7において、記録メディアに画像を記録する際の位置に位置決めされる。これにより、プラテン42と記録部24との間隔が、可動部材90が第3位置に位置されている場合よりも大きくなる。また、図6(D)に示されるように、第2搬送ローラ62は、軸64が長孔75の下端に当接した状態において、拍車63から離間した状態となる。その結果、メディアトレイ71は、プラテン42及び記録部24の間、及び第2搬送ローラ62及び拍車63の間の直線路65を通過可能となる。
【0068】
また、可動部材90が第3位置から第4位置に移動される過程において、第2搬送ローラ62は、長孔75の長さだけ下方に移動される。一方、可動部材90が第3位置から第4位置に移動される過程において、プラテン42は、長孔75の長さに加えて、第3突起32の上面34と第2突起31の下面33との上下方向7の離間距離と、第2搬送ローラ62の軸64の外径との差GAP(図5(C)及び図6(C)参照)だけ余分に下方に移動される。これにより、搬送されるメディアトレイ71がプラテン42に接触する可能性が低減される。
【0069】
なお、可動部材90が第4位置から第3位置に移動する場合、プラテン42及び第2搬送ローラ62は、上述とは逆に動作することによって、上側へ移動される。
【0070】
以上説明したように、可動部材90が第3位置に位置している状態において、プラテン42に取り付けられた第2コイルばね35は、可動部材90によって支持されている。また、可動部材90はフレーム78の底部53に支持されている。つまり、可動部材90が第3位置に位置している状態において、プラテン42は、可動部材90を介してフレーム78の底部53に支持された状態である。また、可動部材90が第4位置に位置している状態において、プラテン42は、その後側部分をフレーム78の底部53に支持された状態であり、その前側部分を第2搬送ローラ62の軸64に支持された状態である。ここで、第2搬送ローラ62の軸64は可動部材90に支持されており、可動部材90はフレーム78の底部53に支持されている。以上より、フレーム78は、プラテン42を上下動可能に支持している。
【0071】
また、可動部材90は、第3位置及び第4位置の間において移動することによって、第2コイルばね35を、プラテン42を付勢する状態(第1状態)または付勢しない状態(第2状態)に切り替える。また、可動部材90は、第3位置及び第4位置の間において移動することによって、第1コイルばね93を、第2搬送ローラ62を付勢する状態(第3状態)または付勢しない状態(第4状態)に切り替える。よって、可動部材90は、本発明の第1切替機構の一例であると共に、本発明の第2切替機構の一例でもある。なお、本実施形態においては、第1コイルばね93及び第2コイルばね35の状態が、一つの部材である可動部材90によって切り替えられる構成が説明された。しかし、第1コイルばね93の状態を切り替える部材と、第2コイルばね35の状態を切り替える部材とが、別部材であってもよい。
【0072】
[実施形態の効果]
本実施形態においては、記録用紙に画像記録が行われる場合、可動部材90は第2コイルばね35を第1状態に切り替える。これにより、プラテン42は上側に付勢され、第1突起30がフレーム78に下側から当接する。その結果、プラテン42は、フレーム78によって正確に位置決めされる。また、第3突起32が第2搬送ローラ62の軸64に下側から当接する。その結果、プラテン42は、第2搬送ローラ62に対する上下方向7の位置が正確に位置決めされ、記録用紙の搬送精度を維持することができる。
【0073】
また、本実施形態においては、メディアトレイ71にセットされた記録メディアに画像記録が行われる際、可動部材90は第2コイルばね35を第2状態に切り替える。第2コイルばね35による付勢を失ったプラテン42は下方に移動する。よって、第2突起31及び第3突起32も下方に移動する。プラテン42は、第2突起31が上側から第2搬送ローラ62の軸64に当接するまで下方に移動する。これにより、プラテン42の上面は、拍車63及び第2搬送ローラ62による記録用紙の挟持位置よりも低くなる。よって、メディアトレイ71が直線路65を搬送されるときにプラテン42に接触する可能性を低くすることができる。以上より、記録メディアがセットされたメディアトレイ71の搬送精度を良好に維持することができる。
【0074】
また、本実施形態においては、第2搬送ローラ62は上下動可能にフレーム78によって支持されている。これにより、拍車63及び第2搬送ローラ62の間隔を大きくすることが可能となる。よって、メディアトレイ71が拍車63及び第2搬送ローラ62に挟持され易くすることができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、第2搬送ローラ62の軸64は、複数の箇所において、第2突起31または第3突起32と当接可能である。これにより、第2搬送ローラ62は、プラテン42に対してより正確に位置決め可能である。
【0076】
[実施形態の変形例1]
上述の実施形態においては、第2搬送ローラ62が可動部材90によって上下動される構成が説明された。しかし、第2搬送ローラ62は、上下動されずに、フレーム78に回転可能に固定されていてもよい。
【0077】
この場合、プラテン42の上下方向7における移動距離は、第3突起32の上面34と第2突起31の下面33との上下方向7の離間距離と、第2搬送ローラ62の軸64の外径との差GAP(図5(C)及び図6(C)参照)となる。よって、第3突起32の上面34と第2突起31の下面33との上下方向7の離間距離を大きくすることによって、プラテン42の上下方向7における移動距離を大きくすることができる。
【0078】
また、第2搬送ローラ62が上下動不可能であっても、拍車63が上下動可能に構成されることにより、メディアトレイ71は、第2搬送ローラ62及び拍車63の間の直線路65を通過することができる。
【0079】
[実施形態の変形例2]
上述の実施形態においては、拍車63が本発明の第1ローラであり、第2搬送ローラ62が本発明の第2ローラである構成が説明された。つまり、本発明の第1ローラ及び第2ローラが記録部24よりも搬送向きの下流側に配置されている構成が説明された。
【0080】
しかし、本発明の第1ローラ及び第2ローラは、記録部よりも搬送向きの上流側に配置されていてもよい。例えば、本発明の第2ローラが第1搬送ローラ60であり、本発明の第1ローラがピンチローラ61であってもよい。この場合、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61の上下の位置が上述の実施形態とは逆となる。つまり、第1搬送ローラ60が直線路65の下側に配置され、ピンチローラ61が直線路65の上側に配置されている。
【0081】
また、プラテン42は、上述の実施形態とは前後方向8に対称に配置される。これにより、第1突起30は、前後方向8(搬送方向)において、第1搬送ローラ60よりも前方に形成される。また、第3突起32の上面34と第2突起31の下面33との上下方向7の離間距離は、第1搬送ローラ60の軸の外径よりも大きい。また、第1搬送ローラ60の軸が、上下方向7において、第2突起31及び第3突起32の間に位置するように配置される。これにより、第2突起31の下面33は、第1搬送ローラ60が下方に移動された状態において、第1搬送ローラ60の軸に上側から当接可能である。また、第3突起32の上面34は、第1搬送ローラ60が上方に移動された状態において、第1搬送ローラ60の軸に下側から当接可能である。
【0082】
[実施形態の変形例3]
上述の実施形態においては、可動部材90及びプラテン42がフレーム78の底部53によって支持されている構成が説明された。しかし、可動部材90及びプラテン42は、フレーム78の側部56によって支持されてもよい。例えば、一対の側部56に、対向する側部56に向かって突出された突板が形成されており、可動部材90及びプラテン42は、当該突板によって支持されていてもよい。
【符号の説明】
【0083】
24・・・記録部
30・・・第1突起
31・・・第2突起
33・・・第3突起
35・・・第2コイルばね
42・・・プラテン
62・・・第2搬送ローラ
63・・・拍車
65・・・直線路
78・・・フレーム
90・・・可動部材
93・・・第1コイルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向の空間が区画されており、被記録媒体が通過可能な搬送路と、
上記搬送路の下側に設けられており、その上面において被記録媒体を支持可能なプラテンと、
上記搬送路の上側において上記プラテンと対向して設けられており、被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記記録部が被記録媒体に画像を記録するときの被記録媒体の搬送方向において、上記記録部よりも下流側または上流側であって上記搬送路の上側に設けられた第1ローラと、
上記第1ローラと対向して上記搬送路の下側に設けられた第2ローラと、
上記プラテンを上下動可能に支持するとともに上記第2ローラを支持するフレームと、
上記プラテンを上側に付勢する第1付勢部材と、
上記第1付勢部材を、上記プラテンを付勢する第1状態または付勢しない第2状態に切り替える第1切替機構と、を備え、
上記プラテンは、
上記搬送方向における上記第2ローラよりも上記記録部側に設けられており、上記第1状態において上記フレームに下側から当接する突部と、
上記第1状態において上記第2ローラの軸に下側から当接可能な第1当接部と、
上記第2状態において上記第2ローラの軸に上側から当接可能な第2当接部と、を有し、
上記第1当接部と上記第2当接部との上下方向の離間距離は、上記第2ローラの軸の外径より大きく、
上記第1付勢部材は、上記搬送方向における上記突部と上記第1当接部及び上記第2当接部との間において上記プラテンを付勢するものである画像記録装置。
【請求項2】
上記フレームは、上記第2ローラを上下動可能に支持し、
上記第2ローラを上側へ付勢する第2付勢部材と、
上記第2付勢部材を、上記第2ローラを付勢する第3状態または付勢しない第4状態に切り替える第2切替機構と、を更に備える請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記第1当接部及び上記第2当接部は、上記第2ローラの軸方向に沿って複数形成されている請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記第1付勢部材は、上記搬送方向における上記突部と上記第1当接部及び上記第2当接部との間の位置のうち、上記突部側に設けられている請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−152913(P2012−152913A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11371(P2011−11371)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】