画像記録装置
【課題】記録メディアがセットされて装置内を搬送される専用トレイが、記録用紙がセットされる手差しトレイに衝突することを防止できる構造を提供する。
【解決手段】メディアトレイ71が装置前側から、記録用紙12が装置後側から、直線路65に挿入される。挿入される記録用紙12をガイドする第1姿勢、及び第1姿勢から退避した第2姿勢に変化する手差しトレイ82と、直線路65に突出してメディアトレイ71の搬送を制止する第3姿勢、及び直線路65から退避してメディアトレイ71の搬送を許容する第4姿勢に変化するストッパ90と、手差しトレイ82の第1姿勢への変化に連動してストッパ90を第3姿勢に変化させ、手差しトレイ82の第2姿勢への変化に連動してストッパ90を第4姿勢に変化させる連動部43とを備える。下側ガイド部材83と第3姿勢のストッパ90との間の間隔は、記録用紙12の厚みよりも大きい。
【解決手段】メディアトレイ71が装置前側から、記録用紙12が装置後側から、直線路65に挿入される。挿入される記録用紙12をガイドする第1姿勢、及び第1姿勢から退避した第2姿勢に変化する手差しトレイ82と、直線路65に突出してメディアトレイ71の搬送を制止する第3姿勢、及び直線路65から退避してメディアトレイ71の搬送を許容する第4姿勢に変化するストッパ90と、手差しトレイ82の第1姿勢への変化に連動してストッパ90を第3姿勢に変化させ、手差しトレイ82の第2姿勢への変化に連動してストッパ90を第4姿勢に変化させる連動部43とを備える。下側ガイド部材83と第3姿勢のストッパ90との間の間隔は、記録用紙12の厚みよりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクなどの剛性の高い被記録媒体に画像を記録可能な画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力信号に基づいて被記録媒体に画像記録を行う画像記録装置が知られている。このような画像記録装置の画像記録の方式としては、例えばインクジェット記録方式や電子写真方式がある。
【0003】
画像記録装置において画像記録が行われる被記録媒体には、記録用紙などのシートの他、光ディスクなどの剛性の高い被記録媒体も提案されている。一般に、剛性の高い被記録媒体に画像記録を行う際、当該被記録媒体は専用トレイにセットされる。専用トレイは画像記録装置に設けられたトレイガイドに支持されつつ挿入口から挿入され、画像記録装置内を搬送される。
【0004】
また、画像記録装置には、手差しトレイが設けられたものがある。手差しトレイにセットされたシートなどの被記録媒体は、上述の専用トレイと同様、画像記録装置内を搬送される。多くの画像記録装置において、手差しトレイは、被記録媒体が装置内に挿入可能にセットされる挿入姿勢と、手差しトレイを使用しない場合に挿入姿勢から退避された退避姿勢とに、姿勢変化可能に構成されている。
【0005】
また、専用トレイにセットされた被記録媒体に画像を記録する機能と、手差しトレイから挿入された被記録媒体に画像を記録する機能とを両立した画像記録装置も存在する。例えば、特許文献1には、光ディスクがセットされる専用トレイが差し込まれる挿入口が装置前方に設けられるとともに、用紙を手差し給送するための給送装置が装置後方に設けられたインクジェット記録装置が開示されている。装置前方から装置内に挿入された専用トレイと、装置後方から装置内に挿入された用紙とは、共通の給送経路を搬送される。そして、専用トレイにセットされた光ディスクと用紙とは、記録ヘッドの直下位置において、記録ヘッドからインク滴が吐出されることによって画像を記録される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−211759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたインクジェット装置のように、専用トレイが装置前方から差し込まれ、用紙が手差しトレイにセットされて装置後方から挿入される構成の画像記録装置において、手差しトレイが挿入姿勢と退避姿勢とに姿勢変化可能である場合、以下に詳述するような問題が生じる。
【0008】
光ディスクがセットされた専用トレイは、装置前方から装置後方へ向けて挿入された後、セットされた光ディスクが記録ヘッドよりも装置後方側に位置する状態まで搬送される。当該状態において、専用トレイは、装置後端から突出した状態となる場合がある。このとき、手差しトレイが挿入姿勢であると、専用トレイが手差しトレイに衝突するおそれがある。その結果、専用トレイが傾いてしまって光ディスクへの画像記録に悪影響が生じたり、専用トレイが手差しトレイに引っかかってしまって装置から取り出せなくなったりする問題が生じるのである。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、専用トレイにセットされた被記録媒体に画像を記録する機能と、手差しトレイから挿入された被記録媒体に画像を記録する機能とを両立した画像記録装置において、被記録媒体がセットされて装置内を搬送される専用トレイが手差しトレイに衝突することを防止できる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明の画像記録装置は、第1被記録媒体が載置されるトレイと、第2被記録媒体及び上記トレイを搬送方向に案内する直線経路と、上記直線経路における上記搬送方向の上記トレイが挿入される一端部とは反対側の他端部に設けられており、第2被記録媒体の上記直線経路への挿入をガイドする第1姿勢、及び上記第1姿勢から退避した第2姿勢に姿勢変化可能な媒体挿入部と、上記トレイを、上記搬送方向のうちの上記一端部から上記他端部への第1向き、及び第2被記録媒体を、上記搬送方向のうちの上記第1向きと逆向きの第2向きに搬送可能な搬送部と、上記直線経路における上記一端部及び上記搬送部の間に設けられており、上記直線経路を搬送される第2被記録媒体及び上記トレイに載置された第1被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記直線経路における上記搬送部及び上記他端部の間に設けられており、上記トレイの搬送を制止する第3姿勢、及び上記トレイの搬送を許容する第4姿勢に姿勢変化可能なストッパと、上記媒体挿入部の上記第1姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第3姿勢に姿勢変化させ、上記媒体挿入部の上記第2姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第4姿勢に姿勢変化させる連動部と、を備える。上記直線経路を区画する第1ガイド面と上記第3姿勢の上記ストッパとの間には、第2被記録媒体の厚みよりも大きい間隔が形成されている。
【0011】
本構成によれば、媒体挿入部が第1姿勢に姿勢変化されて第2被記録媒体を挿入可能な状態となった場合、ストッパは連動部によって第3姿勢に姿勢変化される。つまり、ストッパは、トレイの搬送を制止する姿勢となる。よって、一端部から直線経路に挿入されたトレイは、ストッパによって停止される。その結果、トレイが媒体挿入部に衝突することが防止可能である。
【0012】
一方、第3姿勢のストッパと第1ガイド面との間隔は、第2被記録媒体の厚みよりも大きい。よって、他端部から直線経路に挿入された第2被記録媒体は、ストッパに阻まれることなく直線経路を搬送されることが可能である。
【0013】
(2) 上記ストッパは、第2被記録媒体の記録面側から上記直線経路に突出されて上記トレイの搬送を制止する。
【0014】
本構成によれば、第2被記録媒体は、第2被記録媒体の記録面側から突出されたストッパによって、直線経路における記録部とは反対側を区画するガイド部材に押しつけられる。これにより、第2被記録媒体が直線経路を構成する空間に浮いた状態となることが回避される。その結果、記録部によって第2被記録媒体へ記録される画像の品質の悪化を低減することができる。
【0015】
(3) 上記媒体挿入部は、第1回動軸を備え、当該第1回動軸を中心として回動することによって姿勢変化するものである。上記ストッパは、第2回動軸と、当該第2回動軸から突出された第1突起とを備え、当該第2回動軸を中心として回動することによって姿勢変化するものである。上記連動部は、上記第1回動軸に設けられており、上記第1回動軸からの径が変化する周面を有する回転カムと、上記回転カムと対向する位置において上記第2回動軸から突出された第2突起と、を備える。上記第2突起は、上記媒体挿入部が上記第2姿勢から上記第1姿勢へ回動する過程において、上記回転カムの上記周面に案内されて第1回動向きに回動し、且つ、上記媒体挿入部が上記第1姿勢から上記第2姿勢へ回動する過程において、上記回転カムの上記周面に案内されて上記第1回動向きと逆向きの第2回動向きに回動する。上記第1突起は、上記第2突起の上記第1回動向きへの回動に伴う上記第2回動軸の回転によって、上記トレイの搬送を制止する位置へ回動し、且つ、上記第2突起の上記第2回動向きへの回動に伴う上記第2回動軸の回転によって、上記トレイの搬送を許容する位置へ回動する。
【0016】
本構成によれば、上記の(1)の連動部の構成を具体的に実現することができる。
【0017】
(4) 上記ストッパは、上記第3姿勢において上記第1向きに搬送される上記トレイの先端と当接する当接部と、上記第3姿勢において上記媒体挿入部から上記第2向きに挿入される第2被記録媒体をガイドする第2ガイド面と、を備える。
【0018】
本構成によれば、ストッパが第3姿勢の場合に、当接部によってトレイの搬送を阻むことができる。また、ストッパが第3姿勢の場合に、第2ガイド面によって直線経路において第2被記録媒体を円滑に搬送することができる。
【0019】
(5) 上記ストッパは、上記直線経路に突出されて上記トレイの搬送を制止するものである。上記搬送部は、第1ローラと、上記第1ローラに対向して配置された第2ローラとで構成されている。上記搬送部を、上記第1ローラと上記第2ローラとが当接した第5姿勢、及び上記第1ローラと上記第2ローラとが上記トレイを挟持可能な間隔を空けて離間した第6姿勢に姿勢変化させる姿勢変化部を更に備える。上記第3姿勢の上記ストッパの突出先端は、上記第5姿勢の上記第1ローラと上記第2ローラとが当接する位置よりも突出基端側であり、且つ上記第6姿勢の上記第1ローラと上記第2ローラとの間である。上記姿勢変化部は、上記突出基端側に配置された上記第1ローラまたは上記第2ローラを姿勢変化させることによって、上記搬送部を上記第6姿勢とする。
【0020】
トレイが搬送される場合、搬送部は姿勢変化部によって第6姿勢に姿勢変化される。このとき、ストッパの突出先端は第1ローラと第2ローラの間に位置する。よって、ストッパは、トレイの搬送を阻むことができる。
【0021】
一方、第2被記録媒体が搬送される場合、搬送部は姿勢変化部によって第5姿勢に姿勢変化される。このとき、ストッパの突出先端は第1ローラと第2ローラとの当接位置よりも突出基端側である。これにより、第2被記録媒体はストッパにガイドされつつ当接位置に導かれやすくなる。
【0022】
(6) 本発明の画像記録装置は、上記搬送部に駆動力を付与する駆動源と、上記搬送部によって搬送される上記トレイが停止したことを検知する第1検知部と、上記第1検知部によって上記トレイの停止が検知されたことを条件として、上記駆動源に駆動力の付与を停止させる制御部と、を更に備える。
【0023】
トレイがストッパによって搬送を阻まれているにもかかわらず、駆動源が搬送部に駆動力を付与し続けると、トレイや搬送部が破損してしまうおそれがある。また、このような駆動力の付与は、電力を無駄に消費する。本構成では、トレイがストッパによって停止されている場合、制御部は駆動源に駆動力の付与を停止させる。よって、上述のようなトレイなどの破損や、無駄な電力の消費を防止することができる。
【0024】
(7) 上記駆動源は、上記搬送部に、第2被記録媒体及び上記トレイを上記第1向きに搬送させる第1駆動力と、第2被記録媒体及び上記トレイを上記第2向きに搬送させる第2駆動力とを付与するものである。上記制御部は、上記第1検知部によって上記トレイの停止が検知されたことを条件として、上記駆動源に、上記第1駆動力の付与を停止させて、上記第2駆動力を付与させる。
【0025】
本構成によれば、トレイがストッパによって停止された場合、トレイが逆送される。これにより、ストッパによって停止されたトレイを装置外に排出することができる。
【0026】
(8) 本発明の画像記録装置は、上記直線経路における上記ストッパよりも上記一端部側に設けられており、上記直線経路を上記第1向きに搬送される上記トレイの先端を検知する第2検知部と、上記媒体挿入部を上記第2姿勢にする旨の第1指示、及び当該装置を移動させる旨の第2指示を報知する報知部と、を更に備える。上記制御部は、上記第2検知部による上記トレイの先端の検知タイミングに対する上記第1検知部による上記トレイの停止の検知タイミングに基づいて、上記報知部に上記第1指示または上記第2指示の一方を報知させる。
【0027】
第2検知部によるトレイの先端の検知タイミングに対する第1検知部によるトレイの停止の検知タイミングが短い場合、トレイは、ストッパによって停止させられたと考えられる。一方、第2検知部によるトレイの先端の検知タイミングに対する第1検知部によるトレイの停止の検知タイミングが長い場合、トレイは、装置背面から突出し、トレイが設置されている室の壁などに衝突して停止させられたと考えられる。
【0028】
本構成によれば、制御部は、上記のような状況に応じて、報知部に対して異なる報知を行うよう指示する。これにより、装置内でトレイが停止した場合に、ユーザは、報知部による報知に基づいて、適切な対応をとることができる。
【0029】
(9) 本発明の画像記録装置は、第1被記録媒体が載置されるトレイと、第2被記録媒体及び上記トレイを搬送方向に案内する直線経路と、上記直線経路における上記搬送方向の上記トレイが挿入される一端部とは反対側の他端部に設けられており、第2被記録媒体の上記直線経路への挿入をガイドする第1姿勢、及び上記第1姿勢から退避した第2姿勢に姿勢変化可能な媒体挿入部と、上記トレイを、上記搬送方向のうちの上記一端部から上記他端部への第1向き、及び第2被記録媒体を、上記搬送方向のうちの上記第1向きと逆向きの第2向きに搬送可能な搬送部と、上記直線経路における上記一端部及び上記搬送部の間に設けられており、上記直線経路を搬送される第2被記録媒体及び上記トレイに載置された第1被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記直線経路における上記搬送部及び上記他端部の間であって、上記搬送方向と直交する方向における上記トレイが通過する位置に設けられており、上記トレイの通過経路に突出し、その突出量が上記直線経路の高さ方向の長さよりも小さい第3姿勢、及び上記トレイの通過経路から退避する第4姿勢に姿勢変化可能なストッパと、上記媒体挿入部の上記第1姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第3姿勢に姿勢変化させ、上記媒体挿入部の上記第2姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第4姿勢に姿勢変化させる連動部と、を備え、上記ストッパの上記直線経路側の面には、上記直線経路への第2被記録媒体の挿入をガイドする第3ガイド面が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、媒体挿入部が第2被記録媒体を挿入可能な姿勢となったとき、ストッパが第3姿勢に姿勢変化されて、第1被記録媒体がセットされたトレイの搬送を阻む。よって、本発明によれば、トレイが媒体挿入部に衝突することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、複合機10の外観斜視図であり、(A)には手差しトレイ82が第2姿勢の場合の複合機10を後側から見た全体が示されており、(B)には前側から見た複合機10の一部が示されている。
【図2】図2は、手差しトレイ82が第1姿勢の場合の複合機10を後側から見た外観斜視図である。
【図3】図3は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図4】図4は、上側ガイド部材52と下側ガイド部材83と手差しトレイ82とストッパ90との斜視図であり、(A)には手差しトレイ82が第2姿勢の状態が示されており、(B)には手差しトレイ82が第1姿勢の状態が示されている。
【図5】図5は、上側ガイド部材52と手差しトレイ82との背面図である。
【図6】図6は、図5のA−A断面図であり、(A)には手差しトレイ82が第2姿勢の状態が示されており、(B)には手差しトレイ82が第1姿勢の状態が示されている。
【図7】図7は、図5のB−B断面図であり、(A)には手差しトレイ82が第2姿勢の状態が示されており、(B)には手差しトレイ82が第1姿勢の状態が示されている。
【図8】図8は、第1姿勢の手差しトレイ82とストッパ90とを模式的に示す平面図である。
【図9】図9は、マイクロコンピュータ130の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、変形例における上側ガイド部材52と下側ガイド部材83と手差しトレイ82とストッパ90とを模式的に示す縦断面図であり、(A)には手差しトレイ82が第2姿勢の状態が示されており、(B)には手差しトレイ82が第1姿勢の状態が示されている。
【図11】図11は、上側ガイド部材52と下側ガイド部材83とストッパ90と第1ローラ対58とを模式的に示す縦断面図であり、(A)にはメディアトレイ71が挿入された状態が示されており、(B)には記録用紙12が挿入された状態が示されている。
【図12】図12(A)は、マイクロコンピュータ130によるメディアトレイ71の停止制御について説明するためのフローチャートであり、図12(B)は、マイクロコンピュータ130によるメディアトレイ71の逆回転制御について説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、マイクロコンピュータ130による報知制御について説明するためのフローチャートである。
【図14】図14は、上側ガイド部材52と下側ガイド部材83と手差しトレイ82とストッパ90と第1ローラ対58とを模式的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、前側開口13(図1(B)参照)が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
【0033】
[複合機10]
図1及び図2に示されるように、本発明の画像記録装置の一例である複合機10は、概ね薄型の直方体に形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
【0034】
図1及び図2に示されるように、プリンタ部11は、筐体14を有する。筐体14の前側には、上下方向7及び左右方向9に拡がる前壁17(図1(B)参照)が形成されている。筐体14の後側には、前壁17に対向して配置された後壁16(図1(A)及び図2参照)が形成されている。前壁17の概ね中央部には、前側開口13が形成されており、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が、前側開口13から前後方向に挿抜可能である。給紙トレイ20には、所望のサイズの記録用紙12(本発明の第2搬送媒体の一例、図3参照)が載置される。
【0035】
図3に示されるように、プリンタ部11は、記録用紙12を給送する給紙部15と、記録用紙12に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)などを備えている。プリンタ部11は、外部機器から受信した印刷データなどに基づいて、記録用紙12に画像を記録する。
【0036】
また、複合機10は、記録用紙12よりも厚みがあるCD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディア(本発明の第1被記録媒体の一例)の盤面上に記録部24によって画像を記録する機能を有する。この際、記録メディアは薄型の直方体の樹脂板であるメディアトレイ71(本発明のトレイの一例)に載置される。メディアトレイ71は、後述するトレイガイド76に載置されつつ、前側開口13における排紙トレイ21の上側から後述する直線路65へ、後向き(矢印77の向き、本発明の第1向きの一例)に挿入される。なお、当該機能については後述する。
【0037】
[給紙部15]
図3に示されるように、給紙部15は、給紙トレイ20の上側に設けられている。給紙部15は、給紙ローラ25、給紙アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給紙ローラ25は、給紙アーム26の先端部で軸支されている。給紙アーム26は、軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給紙ローラ25は給紙トレイ20に接離可能である。給紙ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給紙用モータ101(図9参照)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙12を1枚ずつ分離して以下で説明する湾曲路66へ供給する。
【0038】
[直線路65及び湾曲路66]
図3に示されるように、プリンタ部11の内部には、給紙トレイ20の先端(後方側の端部)から後述する第1ローラ対58(本発明の搬送部の一例)に亘って延設されており、記録用紙12を案内可能な湾曲路66(図2に一点鎖線で示されている。)と、前壁17の前側開口13における排紙トレイ21の上側である前端部54(本発明の一端部の一例)から記録部24を経て後壁16の後側開口87が形成された位置である後端部55(本発明の他端部の一例)に亘って延設されており、記録用紙12と記録メディアを載置可能なメディアトレイ71とを案内可能な直線路65(図2に二点鎖線で示されている。本発明の直線経路の一例)と、が形成されている。
【0039】
湾曲路66は、給紙トレイ20の先端付近から後方斜め上に延びながら、前方へUターンして第1ローラ対58に至る湾曲状の通路である。記録用紙12は、湾曲路66を搬送方向(図3において一点鎖線で示される方向)に沿って搬送向き(図3において一点鎖線に付された矢印の向き)に湾曲されて案内される。湾曲路66は、第1ローラ対58において直線路65と連続している。湾曲路66は、所定間隔を隔てて互いに対向する内側ガイド部材19と上側ガイド部材52及び下側ガイド部材83とによって区画されている。
【0040】
直線路65は、前後方向8に延設された直線状の通路である。給紙トレイ20から湾曲路66を案内されてきた記録用紙12、後述する手差しトレイ82(本発明の媒体挿入部の一例)に載置されつつ後側開口87から挿入された記録用紙12、及び前側開口13からトレイガイド76に載置されつつ前側開口13から挿入されたメディアトレイ71は、直線路65に沿った方向(図3において二点鎖線で示される方向、本発明の搬送方向の一例)に案内される。
【0041】
記録用紙12は、後方から前方へ前向き(矢印78の向き、本発明の第2向きの一例)に案内される。記録用紙12は、記録部24によって画像を記録された後に前側開口13から排紙トレイ21に排出される。
【0042】
メディアトレイ71は、前方から後方へ後向き(矢印77の向き)に案内され、メディアトレイ71に載置された記録メディアが記録部24よりも後側となる位置において反転される。これにより、メディアトレイ71は、矢印78の向きに案内され、記録部24によって記録メディアに画像を記録された後に前側開口13から排出される。なお、本実施形態では、メディアトレイ71が前向きに案内されているときに、記録部24が記録メディアに画像を記録する。しかし、別の実施形態として、メディアトレイ71が後向きに案内されているときに、記録部24が記録メディアに画像を記録してもよい。
【0043】
直線路65は、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材52と下側ガイド部材83及び後述するプラテン支持部材53とによって区画されている。
【0044】
[記録部24]
図3に示されるように、記録部24は、直線路65における前端部54及び第1ローラ対58の間に設けられている。記録部24は、直線路65の上側に設けられている。記録部24は、記録ヘッド38を搭載して主走査方向(図2の紙面に垂直な方向)へ往復移動するキャリッジ40を備えている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38は、ノズル39からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ40が主走査方向へ往復動することで、記録ヘッド38が記録用紙12及び記録メディアに対して走査され、直線路65(詳細には直線路65の下方に記録部24と対向して設けられているプラテン42上)を搬送される記録用紙12及び記録メディアに対してインク滴が吐出されて画像が記録される。プラテン42は、記録用紙12を支持し、プラテン支持部材53に支持されている。
【0045】
[第1ローラ対58及び第2ローラ対59]
図3に示されるように、記録部24より矢印78の向きの上流側には、直線路65の上側に配置された第1搬送ローラ60(本発明の第1ローラの一例)と、直線路65の下側に第1搬送ローラ60に対向して配置されたピンチローラ61(本発明の第2ローラの一例)とよりなる第1ローラ対58が設けられている。ピンチローラ61は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。
【0046】
記録部24より矢印78の向きの下流側には、直線路65の下側に配置された第2搬送ローラ62と、第1経路65の上側に第2搬送ローラ62に対向して配置された拍車63よりなる第2ローラ対59が設けられている。拍車63は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。
【0047】
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ102(図9参照)から駆動伝達機構(不図示)を介して回転駆動力が付与されて回転される。駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されており、搬送用モータが正転または逆転の一方(本実施形態では正転とする。)に回転された場合に、記録用紙12及びメディアトレイ71を矢印78の向きに搬送させ、搬送用モータが正転または逆転の他方(本実施形態では逆転とする。)に回転された場合に、記録用紙12及びメディアトレイ71を矢印77の向きに搬送させるように、各ローラ60、62を回転させる。
【0048】
つまり、搬送用モータ102及び駆動伝達機構は、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62に、記録用紙12及びメディアトレイ71を矢印77の向きに搬送させる第1駆動力(本発明の第1駆動力の一例)と、記録用紙12及びメディアトレイ71を矢印78の向きに搬送させる第2駆動力(本発明の第2駆動力の一例)とを付与するものである。すなわち、搬送用モータ102及び駆動伝達機構は、本発明の駆動源の一例である。
【0049】
[第1ローラ対58、第2ローラ対59、及びプラテン42の姿勢変化]
第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、一対のローラが互いに当接する第5姿勢(本発明の第5姿勢の一例、図3に実線で示される姿勢)と、一対のローラが互いに離間する第6姿勢(本発明の第6姿勢の一例、図3に破線で示される姿勢)とに姿勢変化可能である。第5姿勢の第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、記録用紙12の挟持が可能であり、記録用紙12を直線路65に沿って搬送させる。一方、第1ローラ対58及び第2ローラ対59が第6姿勢をとっている場合、各ローラ対の一対のローラ間の間隔は、メディアトレイ71を挟持するのに適した間隔となる。そして、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、メディアトレイ71を直線路65に沿って搬送させる。本実施形態においては、ピンチローラ61及び第2搬送ローラ62が下方へ移動することによって、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、第5姿勢から第6姿勢へ姿勢変化される。
【0050】
上述においては、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、第6姿勢において、メディアトレイ71を挟持して搬送させるように構成されている。しかし、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、第6姿勢において、メディアトレイ71を搬送可能であるならば、上述したような構成に限らない。例えば、第2ローラ対59の拍車63は、第6姿勢において、直線路65よりも上方に退避して、代わりに、別のローラ(不図示)が直線路65の上側から直線路65に突出されてもよい。そして、第2搬送ローラ62と当該別のローラとが、メディアトレイ71を挟持して搬送させてもよい。もちろん、退避するローラは拍車63だけに限らない。例えば、ピンチローラ61が、第6姿勢において、直線路よりも下方に退避して、代わりに、別のローラ(不図示)が直線路65の下側から直線路65に突出されてもよい。以上の場合、拍車63やピンチローラ61の代わりに突出される別のローラも本発明の搬送部の一例である。
【0051】
また、プラテン42も下方に移動可能である。プラテン42が下方に移動していない場合、プラテン42と記録部24との間の間隔は、記録用紙12が記録部24の下方を通過可能な間隔である。一方、プラテン42が下方に移動している場合、当該間隔は、メディアトレイ71が記録部24の下方を通過可能な間隔である。
【0052】
ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42の上下方向7の移動、つまり姿勢変化は、例えば、ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42の下方に設けられた偏心カム140及びプラテン支持部材53によって実行される。偏心カム140及びプラテン支持部材53は、本発明の姿勢変化部の一例である。
【0053】
偏心カム140は、左右方向9を軸方向として複合機10の筐体14を構成するフレーム(不図示)に回転自在に支持されている。偏心カム140は、軸142からの径が周期的に変化する円盤である。
【0054】
プラテン支持部材53は、偏心カム140に載置されるようにして支持されている。ピンチローラ61及び第2搬送ローラ62は、プラテン支持部材53に回転可能に支持されている。プラテン42は、上述したようにプラテン支持部材53に支持されている。
【0055】
本実施形態では、偏心カム140は、図示されていないモータから駆動伝達されて回転される。偏心カム140が回転されると、その周面がプラテン支持部材53に対して摺動される。偏心カム140の周面は、軸142からの径が周期的に変化するので、この変化によってプラテン支持部材53が上下方向7へ移動する。プラテン支持部材53の上下方向7への移動によって、ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42が上下方向7へ移動される。図2には、プラテン支持部材53が上側へ移動された状態が実線で示されており、下側へ移動された状態が破線で示されている。
【0056】
なお、プラテン支持部材53は、モータからの駆動伝達以外で上下方向7へ移動してもよい。例えば、偏心カム140が、後述するトレイガイド76の姿勢変化に連動して、上下方向7へ移動してもよい。具体的には、偏心カム140は、トレイガイド76が後述する挿入姿勢に姿勢変化されるのに連動して、プラテン支持部材53を下方に移動させるように回転する。一方、偏心カム140は、トレイガイド76が後述する退避姿勢に姿勢変化されるのに連動して、プラテン支持部材53を上方に移動させるように回転する。
【0057】
[トレイガイド76]
図3に示されるように、プリンタ部11の前端部54にトレイガイド76が設けられている。トレイガイド76は、薄型の平板形状の部材である。図1(B)及び図3に示されるように、トレイガイド76は、直線路65と同じ高さであって、上面にメディアトレイ71を載置可能な挿入姿勢(図3に示された姿勢)と、当該挿入姿勢から上側に退避された退避姿勢(図1(B)に示された姿勢)とに姿勢変化可能である。当該姿勢変化は、例えば、退避姿勢のトレイガイド76の上方に設けられた凹部75をユーザが把持して、トレイガイド76を上下方向7に動かすことによって行われる。トレイガイド76の上面には、左右方向9に一対のガイド板(不図示)が突出されている。メディアトレイ71は、当該ガイド板に右端及び左端をガイドされつつ、前側開口13から直線路65に挿入される。
【0058】
[手差しトレイ82]
図1〜図3に示されるように、直線路65の後端の下側、つまりプリンタ部11の後端部55に手差しトレイ82が設けられている。手差しトレイ82は、薄型の平板形状の部材である。
【0059】
図3に示されるように、手差しトレイ82の一端部には、左右方向9に延びた軸33(本発明の第1回動軸の一例)が設けられている。当該軸33は後端部55のすぐ下に配置され、手差しトレイ82は当該軸33から下側に延設される。手差しトレイ82は、軸33を中心として、図3の矢印79に示される方向に回動する。これにより、手差しトレイ82は、記録用紙12が載置される載置面30が直線路65と同じ高さとなるとともに直線路65と連続される図3に破線で示された第1姿勢(図2に示された姿勢、本発明の第1姿勢の一例)と、当該第1姿勢から下側に退避され載置面30が下側ガイド部材83の後面に沿った図3に実線で示された第2姿勢(図1(A)に示された姿勢、本発明の第2姿勢の一例)とに姿勢変化可能である。第1姿勢の手差しトレイ82は載置面30に載置された記録用紙12の直線路65への挿入をガイドする。なお、当該姿勢変化は、例えば、ユーザが手差しトレイ82を把持して回動させることによって行われる。
【0060】
図1(A)、図2、及び図5に示されるように、手差しトレイ82の載置面30には、一対のサイドガイド31、32が形成されている。サイドガイド31、32は、手差しトレイ82の載置面30に載置された記録用紙12の幅方向(左右方向9)の両端を揃えるとともに、手差しトレイ82における幅方向の位置を位置決めするものである。サイドガイド31、32は、手差しトレイ82の載置面30において、溝34に沿って左右方向9へスライド可能に支持されている。サイドガイド31、32で挟まれた領域に記録用紙12が載置される。一対のサイドガイド31、32は、例えば、ラック及びピニオンによる連動機構によって連結されている。これにより、いずれか一方のサイドガイド31をスライド移動させると、他方のサイドガイド31が連動して相反する方向へスライドする。以上により、手差しトレイ82の載置面30には、種々のサイズの記録用紙12が載置可能である。
【0061】
[ストッパ90]
図3に示されるように、直線路65における第1ローラ対58と後端部55との間には、ストッパ90が配置されている。
【0062】
図8に示されるように、ストッパ90は、軸91(本発明の第2回動軸の一例)と、軸91の長手方向(左右方向9)の中央部から突出された第1突起92(本発明の第1突起の一例)とを備えている。また、軸91の長手方向の両端部には、第1突起92と反対向きに突出された第2突起93(本発明の第2突起の一例)が形成されている。
【0063】
第2突起93は、概ね棒状の突起である。第1突起92は、第2突起93よりも左右方向9の幅が広い突起であり、先端部94(本発明の当接部の一例)が屈曲している(図6及び図7参照)。
【0064】
図6及び図7に示されるように、軸91は、上側ガイド部材52に回転可能に軸支されている。軸91が上側ガイド部材52に軸支された状態において、第1突起92は前側に突出されており、第2突起93は後側に突出されており、第1突起92の先端部94は、上向きに屈曲している。また、軸91が上側ガイド部材52に軸支された状態において、左右方向9の中央部に位置する第1突起92は、メディアトレイ71の搬送方向(前後方向8)と直交する左右方向9におけるメディアトレイ71が通過する位置に位置しており、左右方向9の両端部に位置する第2突起92は、左右方向9におけるメディアトレイ71が通過する位置よりも外側に位置している(図8参照)。
【0065】
ストッパ90は、軸91を中心として矢印80の方向(図3参照)に回動する。これにより、ストッパ90は、図6(B)及び図7(B)に示された第3姿勢(本発明の第3姿勢の一例)と、図6(A)及び図7(A)に示された第4姿勢(本発明の第4姿勢の一例)との間で姿勢変化する。
【0066】
なお、本実施形態において、ストッパ90は、第2突起93が第1突起92よりも重く形成されることによって、或いは図示しないコイルバネなどの付勢部材に付勢されることによって、第4姿勢に付勢されている。
【0067】
ストッパ90が第3姿勢であるとき、図6(B)及び図7(B)に示されるように、第1突起92が直線路65の上側から直線路65に突出される。このときのストッパ90の直線路65への突出量は、直線路65の上下方向7の長さよりも小さい。つまり、ストッパ90は、直線路65の全てを塞ぐわけではない。具体的には、第1突起92の下面95の先端部と、直線路65の下側を区画する下側ガイド部材83の上面84(本発明の第1ガイド面の一例)には、上下方向7の間隔Aが存在する。当該間隔Aは、メディアトレイ71の厚みB(図11(A)参照)よりも小さい。これにより、図11(A)に示されるように、直線路65を矢印77の向きに搬送されるメディアトレイ71の先端は、第1突起92の先端部94の前面に当接して、それ以上の矢印77の向きへの搬送を阻まれて停止した状態となる。
【0068】
つまり、第3姿勢のストッパ90は、直線路65の上側、つまり記録用紙12及び記録メディアの記録面側から突出されてメディアトレイ71の搬送を制止するものである。
【0069】
また、ストッパ90が第3姿勢であるとき、図7(B)に示されるように、第1突起92の直線路65側の面である下面95(本発明の第2ガイド面及び第3ガイド面の一例)は、後側が高位置で前側に行く程に低位置となる傾斜面となる。
【0070】
また、上記の間隔Aは、記録用紙12(詳細には記録用紙12の他、手差しトレイ82から直線路65に挿入可能な被記録媒体のうち、最も厚みのある媒体)の厚みよりも大きい。これにより、図11(B)に示されるように、手差しトレイ82から矢印78の向きに挿入される記録用紙12は、第1突起92の下面95にガイドされつつ、第1突起92の下面95の先端部と下側ガイド部材83の上面84との間の間隔Aの部分に導かれ、当該間隔部分を通過する。そして、当該記録用紙12は、第1ローラ対58に挟持される。以後、当該記録用紙12は、第1ローラ対58によって矢印78の向きに搬送される。
【0071】
つまり、第3姿勢のストッパ90は、メディアトレイ71の搬送を制止する一方で、記録用紙12の搬送を許容する。
【0072】
また、ストッパ90が第4姿勢であるとき、図7(A)に示されるように、及び図3に破線で示されるように、第1突起92は、記録用紙12及びメディアトレイ71の通過経路である直線路65から上側に退避している。換言すると、ストッパ90が第4姿勢であるとき、第1突起92は、直線路65の上側を区画する上側ガイド部材52に収容された状態となる。これにより、ストッパ90が第4姿勢であるとき、メディアトレイ71はストッパ90に制止されることなく直線路65を搬送される。つまり、第4姿勢のストッパ90はメディアトレイ71の搬送を許容する。なお、第4姿勢のストッパ90は、メディアトレイ71の搬送を許容可能であるならば、上側ガイド部材52に完全に収容されずに、一部が直線路65に突出していてもよい。
【0073】
[連動部43]
プリンタ部11には、上述した手差しトレイ82とストッパ90の動作を連動させる連動部43(本発明の連動部の一例)が設けられている。図6〜図8に示されるように、連動部43は、ストッパ90に形成された第2突起93と、手差しトレイ82の軸33の左右方向9の両端部に設けられた回転カム44(本発明の回転カムの一例)とを備えている。
【0074】
図8に示されるように、第2突起93と回転カム44の左右方向9の位置は同じである。これにより、第2突起93と回転カム44とは相互に対向して配置される。
【0075】
図6に示されるように、回転カム44の周面45(本発明の周面の一例)は、軸33からの径が一定ではなく変化する。詳細には、図6(A)に示されるように、手差しトレイ82が第2姿勢のとき、軸33と周面45との上下方向7の径はR1である。一方、図6(B)に示されるように、手差しトレイ82が第1姿勢のとき、軸33と周面45との上下方向7の径はR1よりも長いR2である。
【0076】
図6(A)及び図7(A)に示されるように、手差しトレイ82が第2姿勢であってストッパ90が第4姿勢の状態において、第2姿勢の手差しトレイ82が軸33を中心として矢印46の向きに回動されると、手差しトレイ82は第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化する。当該姿勢変化の過程において、軸33と回転カム44の周面45との上下方向7の長さは、R1からR2へ徐々に長くなっていく。これにより、回転カム44の周面45が第2突起93と当接して第2突起93を押す。これにより、ストッパ90は軸91を中心として上述した第4姿勢への付勢力に抗って矢印97の向き(本発明の第1回動向きの一例)に回動する。以上より、第2突起93は回転カム44の周面45に案内される。また、このとき、軸91は回転する。
【0077】
軸91が回転すると、軸91から突出されている第1突起92は、矢印98の向きに回動する。これにより、第1突起92は、図6(B)及び図7(B)に示されるように、メディアトレイ71の搬送を制止する位置に回動する。つまり、ストッパ90は第3姿勢に姿勢変化する。以上より、連動部43は、手差しトレイ82の第2姿勢から第1姿勢への姿勢変化に連動してストッパ90を第4姿勢から第3姿勢に姿勢変化させる。
【0078】
一方、図6(B)及び図7(B)に示されるように、手差しトレイ82が第1姿勢であってストッパ90が第3姿勢の状態において、第1姿勢の手差しトレイ82が軸33を中心として矢印47の向きに回動されると、手差しトレイ82は第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化する。当該姿勢変化の過程において、軸33と回転カム44の周面45との上下方向7の長さは、R2からR1へ徐々に短くなっていく。これにより、第2突起93は上述した第4姿勢への付勢力によって矢印99の向き(本発明の第2回動向きの一例)に回動する。以上より、第2突起93は回転カム44の周面45に案内される。また、このとき、軸91は回転する。
【0079】
軸91が回転すると、軸91から突出されている第1突起92は、矢印100の向きに回動する。これにより、第1突起92は、図6(A)及び図7(A)に示されるように、メディアトレイ71の搬送を許容する位置に回動する。つまり、ストッパ90は第4姿勢に姿勢変化する。以上より、連動部43は、手差しトレイ82の第1姿勢から第2姿勢への姿勢変化に連動してストッパ90を第3姿勢から第4姿勢に姿勢変化させる。
【0080】
[シートセンサ120]
図3に示されるように、プリンタ部11は、直線路65を矢印77及び矢印78の向きに搬送される記録用紙12の先端を検知するためのシートセンサ120(本発明の第2検知部の一例)を備えている。シートセンサ120は、直線路65におけるストッパ90と第1ローラ対58の間、つまり直線路65におけるストッパ90よりも前端部54側に設けられている。
【0081】
シートセンサ120は、例えば、軸123を中心に回転する回転体121と、発光素子(例えば発光ダイオード)及び当該発光素子から発光された光を受光する受光素子(例えばフォトトランジスタ)を有するフォトインタラプタ等の光センサ122とにより構成されている。回転体121の軸123は、複合機10のフレームなど、例えば内側ガイド部材19に回転可能に取り付けられている。回転体121の先端部は、直線路65に突出している。
【0082】
メディアトレイ71及び記録用紙12が回転体121に当接していない状態において、回転体121の端部は、図3に示されるように、光センサ122の発光素子から受光素子に至る光路に進入して、当該光路を通る光を遮断している。搬送されるメディアトレイ71または記録用紙12の先端が回転体121に当接して回転体121を押すと、回転体121の端部は、当該光路から外れて、当該光路に光が通る。一方、搬送されるメディアトレイ71または記録用紙12が回転体121を通過すると、回転体121は図3に示される状態に戻る。このとき、回転体121の後部は、当該光路に進入して、当該光路を通る光を遮断する。
【0083】
光センサ122は、後述するマイクロコンピュータ130(図9参照)と接続されている。例えば、上記光路に光が通っている場合、光センサ122はハイレベルの信号をマイクロコンピュータ130に出力し、上記光路が回転体121によって遮断されている場合、光センサ122はローレベルの信号をマイクロコンピュータ130に出力する。マイクロコンピュータ130は、光センサ122から入力される信号に基づいて、搬送されるメディアトレイ71及び記録用紙12の先端を検知する。
【0084】
[ロータリーエンコーダ124]
図9に示されるように、プリンタ部11は、ロータリーエンコーダ124を備えている。ロータリーエンコーダ124は、第1搬送ローラ60の軸に取り付けられており、第1搬送モータ60を一体に回転するエンコーダディスク(不図示)と、光センサ(不図示)とで構成されている。ロータリーエンコーダ124は、エンコーダディスクに形成されたパターンを光センサで検知する。ロータリーエンコーダ124の光センサが検知した信号は、後述するマイクロコンピュータ130に出力される。
【0085】
マイクロコンピュータ130は、ロータリーエンコーダ124の光センサと接続されており、当該光センサから入力された信号に基づいて、第1搬送ローラ60の回転量を算出する。
【0086】
[マイクロコンピュータ130]
図9に示されるように、マイクロコンピュータ130は、複合機10の全体動作を制御するものである。マイクロコンピュータ130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えている。これらは内部バス137によって接続されている。
【0087】
ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0088】
ASIC135に設けられた駆動回路には、給紙用モータ101及び搬送用モータ102が接続されている。各モータを駆動させるための駆動信号が、CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが所定の回転速度で正転または逆転する。
【0089】
また、上述したように、ASIC135には、シートセンサ120の光センサ122が接続されている。また、上述したように、ASIC135には、ロータリーエンコーダ124が接続されている。
【0090】
また、ASIC135には、複合機10の上面の前端部に設けられた液晶の操作パネル18(図1(B)参照)に接続されている。これにより、マイクロコンピュータ130は、操作パネル18に所定のメッセージを表示させることができる。マイクロコンピュータ130及び操作パネル18は本発明の報知部の一例である。本実施形態において、マイクロコンピュータ130は、操作パネル18に、2つのメッセージのうちの何れかを選択して表示させる。本実施形態において、第1のメッセージ(本発明の第1指示の一例)は「手差しトレイ82を第2姿勢にして下さい」である。第2のメッセージ(本発明の第2指示の一例)は「装置を壁から離して下さい」である。つまり、マイクロコンピュータ130及び操作パネル18は、手差しトレイ82を第2姿勢にする旨の第1のメッセージ、及び複合機10を移動させる旨の第2のメッセージを報知する。なお、第1のメッセージと第2のメッセージとが逆であってもよい。操作パネル18へのメッセージの表示の制御については、後述される。
【0091】
以下、マイクロコンピュータ130による搬送用モータ102の制御について説明する。マイクロコンピュータ130は、上述した駆動信号の電流値(電圧値でもよい。)を制御することによって、第1搬送ローラ60を制御している。つまり、マイクロコンピュータ130は、第1搬送ローラ60を所定回転速度で回転させるために、所定電流値の駆動信号を搬送用モータ102に出力する。これにより、第1搬送ローラ60が回転する。マイクロコンピュータ130は、ロータリーエンコーダ124の光センサから入力された信号に基づいて、第1搬送ローラ60の回転量を算出する。また、マイクロコンピュータ130は、例えば内蔵のタイマ回路などによって、第1搬送ローラ60が当該回転量だけ回転する間の時間をカウントしておく。マイクロコンピュータ130は、算出された回転量とカウントされた時間とによって、第1搬送ローラ60の回転速度を算出する。マイクロコンピュータ130は、算出された回転速度が上記の所定回転速度よりも遅い場合、搬送用モータ102に出力する駆動信号の電流値を増加させ、算出された回転速度が上記の所定回転速度よりも速い場合、搬送用モータ102に出力する駆動信号の電流値を減少させる。これにより、第1搬送ローラ60の回転速度が適正に制御される。
【0092】
マイクロコンピュータ130は、以下のようにして、メディアトレイ71が停止しているか否かを判断する。つまり、上記のような制御が実行されている場合において、メディアトレイ71がストッパ90等に制止されることよって第1ローラ対58に挟持されたまま停止されていると、本来回転するはずの第1搬送ローラ60が回転しなくなってしまう。すると、マイクロコンピュータ130は、搬送用モータ102に出力する駆動信号の電流値を増加させていく。マイクロコンピュータ130は、増加された電流値を予め設定された第1閾値と比較する。増加された電流値が第1閾値以上となった場合、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71が停止していると判断する。換言すると、マイクロコンピュータ130は、第1ローラ対58によって搬送されるメディアトレイ71の停止を検知する。以上より、ロータリーエンコーダ124及びマイクロコンピュータ130は、本発明の第1検知部の一例である。
【0093】
以下、マイクロコンピュータ130によるメディアトレイ71の停止制御について、図12(A)に基づいて説明する。メディアトレイ71がユーザによってトレイガイド76に載置されつつ複合機10の前端部54から挿入され、第1ローラ対58及び第2ローラ対59によって矢印77の向きに搬送されると(S10)、マイクロコンピュータ130は、上述したようにしてメディアトレイ71が停止しているか否かを判断する(S20)。マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止を検知しない場合(S20:No)、メディアトレイ71の搬送を継続する(S30)。一方、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止を検知すると(S20:Yes)、搬送用モータ102への駆動信号の出力、つまり付与を停止させる(S40)。これにより、第1搬送ローラ60の回転が停止される。以上より、マイクロコンピュータ130は、本発明の制御部の一例である。
【0094】
なお、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止を検知した場合、第1搬送ローラ60の回転を停止させるのではなく、第1搬送ローラ60を逆回転させてもよい。この場合のマイクロコンピュータ130によるメディアトレイ71の逆回転制御について、図12(B)に基づいて説明する。ステップS10〜S30は、図12(A)の場合と同様である。マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止を検知すると(S20:Yes)、搬送用モータ102へ出力されている駆動信号を、位相が180度異なる駆動信号へ変換する。これにより、第1搬送ローラ60が逆回転される(S50)。つまり、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止が検知されたことを条件として、搬送用モータ102に、第1駆動力の付与を停止させて、第2駆動力を付与させる。これにより、矢印77の向きに搬送されていたメディアトレイ71は、逆向きである矢印78の向きに搬送され、前側開口13から排出される(S60)。
【0095】
また、マイクロコンピュータ130は、シートセンサ120によるメディアトレイ71の先端の検知タイミングに対するロータリーエンコーダ124によるメディアトレイ71の停止の検知タイミングに基づいて、操作パネル18に第1のメッセージまたは第2のメッセージの一方を報知させる。この場合のマイクロコンピュータ130による報知制御について、図13に基づいて説明する。
【0096】
ステップS210は、図12(A)のステップS10と同様である。矢印77の向きに搬送されるメディアトレイ71の先端は、シートセンサ120によって検知される(S220)。このとき、マイクロコンピュータ130は、上述したタイマ回路などによって、シートセンサ120の光センサ122から入力された信号に基づいて搬送されるメディアトレイ71の先端が検知されてから、駆動信号の電流値と第1閾値とに基づいてメディアトレイ71の停止が検知されるまでの時間をカウントしておく(S230)。
【0097】
マイクロコンピュータ130は、上述したようにしてメディアトレイ71が停止しているか否かを判断する(S240)。マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止を検知しない場合(S240:No)、メディアトレイ71の搬送を継続する(S250)。一方、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止を検知すると(S240:Yes)、カウントしておいた時間が予め設定された第2閾値未満であるか否かを判断する(S260)。
【0098】
マイクロコンピュータ130は、カウントしておいた時間が予め設定された第2閾値未満である場合(S260:Yes)、搬送されるメディアトレイ71が第3姿勢のストッパ90に衝突したと判断する。この場合、マイクロコンピュータ130は、上述の第1のメッセージ、つまり「手差しトレイ82を第2姿勢にして下さい」を操作パネル18に表示させる(S270)。ユーザが当該メッセージに従って手差しトレイ82を第2姿勢にすると、ストッパ90が連動部43によって第4姿勢に姿勢変化する。これにより、ストッパ90に衝突していたメディアトレイ71は搬送を再開する。
【0099】
一方、マイクロコンピュータ130は、カウントしておいた時間が上記第2閾値以上である場合(S260:No)、搬送されるメディアトレイ71が後側開口87から突出して複合機10が設置された室の壁に衝突したと判断する。この場合、マイクロコンピュータ130は、上述の第2のメッセージ、つまり「装置を壁から離して下さい」を操作パネル18に表示させる(S280)。
【0100】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、手差しトレイ82が第1姿勢に姿勢変化されて記録用紙12を挿入可能な状態となった場合、ストッパ90は連動部43によって第3姿勢に姿勢変化される。つまり、ストッパ90は、メディアトレイ71の搬送を制止する姿勢となる。よって、前端部54から直線路65に挿入されたメディアトレイ71は、ストッパ90によって停止される。その結果、メディアトレイ71が手差しトレイ82、例えば手差しトレイ82のサイドガイド31、32に衝突することが防止可能である。
【0101】
一方、第3姿勢のストッパ90と下側ガイド部材83の上面84との間隔は、記録用紙12の厚みよりも大きい。よって、後端部55から直線路65に挿入された記録用紙12は、ストッパ90に阻まれることなく直線路65を搬送されることが可能である。
【0102】
また、本実施形態によれば、記録用紙12は、記録用紙12の記録面側から突出されたストッパ90によって、直線路65における記録部24とは反対側を区画するプラテン42に押しつけられる。これにより、記録用紙12が直線路65を構成する空間に浮いた状態となることが回避される。その結果、記録部24によって記録用紙12へ記録される画像の品質の悪化を低減することができる。
【0103】
また、本実施形態によれば、ストッパ90が第3姿勢の場合に、第1突起92の先端部94によってメディアトレイ71の搬送を阻むことができる。また、ストッパ90が第3姿勢の場合に、第1突起92の下面95によって直線路65において記録用紙12を円滑に搬送することができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、メディアトレイ71が搬送される場合、第1ローラ対58は偏心カム140及びプラテン支持部材53によって第6姿勢に姿勢変化される。このとき、ストッパ90の突出先端は第1搬送ローラ60とピンチローラ61の間に位置する。よって、ストッパ90は、メディアトレイ71の搬送を阻むことができる。一方、記録用紙12が搬送される場合、第1ローラ対58は偏心カム140及びプラテン支持部材53によって第5姿勢に姿勢変化される。このとき、ストッパ90の突出先端は第1搬送ローラ60とピンチローラ61との当接位置よりも突出基端側である。これにより、記録用紙12はストッパ90にガイドされつつ当該当接位置に導かれやすくなる。
【0105】
また、本実施形態によれば、メディアトレイ71がストッパ90によって搬送を阻まれているにもかかわらず、搬送用モータ102が第1搬送ローラ60に駆動力を付与し続けると、メディアトレイ71や第1搬送ローラ60が破損してしまうおそれがある。また、このような駆動力の付与は、電力を無駄に消費する。本実施形態では、メディアトレイ71がストッパ90によって停止されている場合、マイクロコンピュータ130は搬送用モータ102に駆動力の付与を停止させる。よって、上述のようなメディアトレイ71などの破損や、無駄な電力の消費を防止することができる。
【0106】
また、本実施形態によれば、メディアトレイ71がストッパ90によって停止された場合、メディアトレイ71が逆送されてもよい。これにより、ストッパ90によって停止されたメディアトレイ71を前側開口13から複合機10の外部に排出することができる。
【0107】
また、本実施形態によれば、シートセンサ120によるメディアトレイ71の先端の検知タイミングに対するロータリーエンコーダ124及びマイクロコンピュータ130によるメディアトレイ71の停止の検知タイミングが短い場合、メディアトレイ71は、ストッパ90によって停止させられたと考えられる。一方、シートセンサ120によるメディアトレイ71の先端の検知タイミングに対するロータリーエンコーダ124及びマイクロコンピュータ130によるメディアトレイ71の停止の検知タイミングが長い場合、メディアトレイ71は、後側開口87を介して複合機10の背面から突出し、メディアトレイ71が設置されている室の壁などに衝突して停止させられたと考えられる。
【0108】
そこで、本実施形態によれば、マイクロコンピュータ130は、上記のような状況に応じて、操作パネル18に対して異なるメッセージを表示するよう指示する。これにより、複合機10内でメディアトレイ71が停止した場合に、ユーザは、操作パネル18に表示されたメッセージに基づいて、適切な対応をとることができる。
【0109】
[変形例1]
上述の実施形態では、第3姿勢のストッパ90は、直線路65の上側から突出されてメディアトレイ71の搬送を制止したが、第3姿勢のストッパ90は、直線路65の下側から突出されてメディアトレイ71の搬送を制止してもよい。
【0110】
この場合、図10に示されるように、手差しトレイ82及びストッパ90の配置は、上述の実施形態とは異なるものとなる。つまり、図10(A)に示されるように、第2姿勢の手差しトレイ82は、第1姿勢(図10(B)参照)から上側に退避され、上側ガイド部材52及び下側ガイド部材83に沿った姿勢となる。また、ストッパ90の軸91は、下側ガイド部材83に回転可能に軸支されている。そして、手差しトレイ82が第2姿勢から第1姿勢へ回動する過程において、回転カム44の周面45が第2突起93を下側に押すことによって、第1突起92は直線路65の下側から直線路65に突出される。
【0111】
[変形例2]
図14に示されるように、ストッパ90が第3姿勢であるとき、第3姿勢のストッパ90の突出先端である第1突起92の突出先端96の上下方向7の位置は、以下の通りであることが好ましい。
【0112】
まず、変形例1のように、ストッパ90が直線路65の下側から突出される場合、図14(A)に示されるように、第1突起92の突出先端96の高さ(図14に一点鎖線で示される。)は、第5姿勢の第1ローラ対58における第1搬送ローラ60とピンチローラ61とが当接する当接位置67の高さ(図14に二点鎖線で示される。)よりも下側、つまりストッパ90の突出基端側である。これにより、第1突起92の上面89にガイドされている記録用紙12は、円滑に当接位置67に導かれる。
【0113】
ここで、図14(A)の例の場合、第1ローラ対58は、ピンチローラ61が下方に移動することによって、第5姿勢から第6姿勢に姿勢変化する。そして、第1ローラ対58が第6姿勢に姿勢変化したとき、第1突起92の突出先端96の高さは、第6姿勢の第1ローラ対58における第1搬送ローラ60より下側且つ図14(A)に破線で示されるピンチローラ61より上側、つまり図14(A)における二点鎖線の直線と破線の直線との間である。これにより、第1ローラ対58に挟持されて矢印77の向きに搬送されるメディアトレイ71は、ストッパ90に当接する。その結果、メディアトレイ71のそれ以上の後側への搬送を阻むことができる。
【0114】
次に、上述の実施形態のように、ストッパ90が直線路65の上側から突出される場合、図14(B)に示されるように、第1突起92の突出先端96の高さ(図14に一点鎖線で示される。)は、第5姿勢の第1ローラ対58における第1搬送ローラ60とピンチローラ61とが当接する当接位置67の高さ(図14に二点鎖線で示される。)よりも上側、つまりストッパ90の突出基端側である。これにより、第1突起92の下面95にガイドされている記録用紙12は、円滑に当接位置67に導かれる。
【0115】
ここで、図14(B)の例の場合、第1ローラ対58は、第1搬送ローラ60が上方に移動することによって、第5姿勢から第6姿勢に姿勢変化する。そして、第1ローラ対58が第6姿勢に姿勢変化したとき、第1突起92の突出先端96の高さは、第6姿勢の第1ローラ対58における図14(B)に破線で示される第1搬送ローラ60より下側且つピンチローラ61より上側、つまり図14(B)における破線の直線と二点鎖線の直線との間である。これにより、第1ローラ対58に挟持されて矢印77の向きに搬送されるメディアトレイ71は、ストッパ90に当接する。その結果、メディアトレイ71のそれ以上の後側への搬送を阻むことができる。
【符号の説明】
【0116】
10・・・複合機
24・・・記録部
43・・・連動部
54・・・前端部
55・・・後端部
58・・・第1ローラ対
65・・・直線路
71・・・メディアトレイ
76・・・トレイガイド
82・・・手差しトレイ
90・・・ストッパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクなどの剛性の高い被記録媒体に画像を記録可能な画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力信号に基づいて被記録媒体に画像記録を行う画像記録装置が知られている。このような画像記録装置の画像記録の方式としては、例えばインクジェット記録方式や電子写真方式がある。
【0003】
画像記録装置において画像記録が行われる被記録媒体には、記録用紙などのシートの他、光ディスクなどの剛性の高い被記録媒体も提案されている。一般に、剛性の高い被記録媒体に画像記録を行う際、当該被記録媒体は専用トレイにセットされる。専用トレイは画像記録装置に設けられたトレイガイドに支持されつつ挿入口から挿入され、画像記録装置内を搬送される。
【0004】
また、画像記録装置には、手差しトレイが設けられたものがある。手差しトレイにセットされたシートなどの被記録媒体は、上述の専用トレイと同様、画像記録装置内を搬送される。多くの画像記録装置において、手差しトレイは、被記録媒体が装置内に挿入可能にセットされる挿入姿勢と、手差しトレイを使用しない場合に挿入姿勢から退避された退避姿勢とに、姿勢変化可能に構成されている。
【0005】
また、専用トレイにセットされた被記録媒体に画像を記録する機能と、手差しトレイから挿入された被記録媒体に画像を記録する機能とを両立した画像記録装置も存在する。例えば、特許文献1には、光ディスクがセットされる専用トレイが差し込まれる挿入口が装置前方に設けられるとともに、用紙を手差し給送するための給送装置が装置後方に設けられたインクジェット記録装置が開示されている。装置前方から装置内に挿入された専用トレイと、装置後方から装置内に挿入された用紙とは、共通の給送経路を搬送される。そして、専用トレイにセットされた光ディスクと用紙とは、記録ヘッドの直下位置において、記録ヘッドからインク滴が吐出されることによって画像を記録される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−211759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたインクジェット装置のように、専用トレイが装置前方から差し込まれ、用紙が手差しトレイにセットされて装置後方から挿入される構成の画像記録装置において、手差しトレイが挿入姿勢と退避姿勢とに姿勢変化可能である場合、以下に詳述するような問題が生じる。
【0008】
光ディスクがセットされた専用トレイは、装置前方から装置後方へ向けて挿入された後、セットされた光ディスクが記録ヘッドよりも装置後方側に位置する状態まで搬送される。当該状態において、専用トレイは、装置後端から突出した状態となる場合がある。このとき、手差しトレイが挿入姿勢であると、専用トレイが手差しトレイに衝突するおそれがある。その結果、専用トレイが傾いてしまって光ディスクへの画像記録に悪影響が生じたり、専用トレイが手差しトレイに引っかかってしまって装置から取り出せなくなったりする問題が生じるのである。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、専用トレイにセットされた被記録媒体に画像を記録する機能と、手差しトレイから挿入された被記録媒体に画像を記録する機能とを両立した画像記録装置において、被記録媒体がセットされて装置内を搬送される専用トレイが手差しトレイに衝突することを防止できる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明の画像記録装置は、第1被記録媒体が載置されるトレイと、第2被記録媒体及び上記トレイを搬送方向に案内する直線経路と、上記直線経路における上記搬送方向の上記トレイが挿入される一端部とは反対側の他端部に設けられており、第2被記録媒体の上記直線経路への挿入をガイドする第1姿勢、及び上記第1姿勢から退避した第2姿勢に姿勢変化可能な媒体挿入部と、上記トレイを、上記搬送方向のうちの上記一端部から上記他端部への第1向き、及び第2被記録媒体を、上記搬送方向のうちの上記第1向きと逆向きの第2向きに搬送可能な搬送部と、上記直線経路における上記一端部及び上記搬送部の間に設けられており、上記直線経路を搬送される第2被記録媒体及び上記トレイに載置された第1被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記直線経路における上記搬送部及び上記他端部の間に設けられており、上記トレイの搬送を制止する第3姿勢、及び上記トレイの搬送を許容する第4姿勢に姿勢変化可能なストッパと、上記媒体挿入部の上記第1姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第3姿勢に姿勢変化させ、上記媒体挿入部の上記第2姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第4姿勢に姿勢変化させる連動部と、を備える。上記直線経路を区画する第1ガイド面と上記第3姿勢の上記ストッパとの間には、第2被記録媒体の厚みよりも大きい間隔が形成されている。
【0011】
本構成によれば、媒体挿入部が第1姿勢に姿勢変化されて第2被記録媒体を挿入可能な状態となった場合、ストッパは連動部によって第3姿勢に姿勢変化される。つまり、ストッパは、トレイの搬送を制止する姿勢となる。よって、一端部から直線経路に挿入されたトレイは、ストッパによって停止される。その結果、トレイが媒体挿入部に衝突することが防止可能である。
【0012】
一方、第3姿勢のストッパと第1ガイド面との間隔は、第2被記録媒体の厚みよりも大きい。よって、他端部から直線経路に挿入された第2被記録媒体は、ストッパに阻まれることなく直線経路を搬送されることが可能である。
【0013】
(2) 上記ストッパは、第2被記録媒体の記録面側から上記直線経路に突出されて上記トレイの搬送を制止する。
【0014】
本構成によれば、第2被記録媒体は、第2被記録媒体の記録面側から突出されたストッパによって、直線経路における記録部とは反対側を区画するガイド部材に押しつけられる。これにより、第2被記録媒体が直線経路を構成する空間に浮いた状態となることが回避される。その結果、記録部によって第2被記録媒体へ記録される画像の品質の悪化を低減することができる。
【0015】
(3) 上記媒体挿入部は、第1回動軸を備え、当該第1回動軸を中心として回動することによって姿勢変化するものである。上記ストッパは、第2回動軸と、当該第2回動軸から突出された第1突起とを備え、当該第2回動軸を中心として回動することによって姿勢変化するものである。上記連動部は、上記第1回動軸に設けられており、上記第1回動軸からの径が変化する周面を有する回転カムと、上記回転カムと対向する位置において上記第2回動軸から突出された第2突起と、を備える。上記第2突起は、上記媒体挿入部が上記第2姿勢から上記第1姿勢へ回動する過程において、上記回転カムの上記周面に案内されて第1回動向きに回動し、且つ、上記媒体挿入部が上記第1姿勢から上記第2姿勢へ回動する過程において、上記回転カムの上記周面に案内されて上記第1回動向きと逆向きの第2回動向きに回動する。上記第1突起は、上記第2突起の上記第1回動向きへの回動に伴う上記第2回動軸の回転によって、上記トレイの搬送を制止する位置へ回動し、且つ、上記第2突起の上記第2回動向きへの回動に伴う上記第2回動軸の回転によって、上記トレイの搬送を許容する位置へ回動する。
【0016】
本構成によれば、上記の(1)の連動部の構成を具体的に実現することができる。
【0017】
(4) 上記ストッパは、上記第3姿勢において上記第1向きに搬送される上記トレイの先端と当接する当接部と、上記第3姿勢において上記媒体挿入部から上記第2向きに挿入される第2被記録媒体をガイドする第2ガイド面と、を備える。
【0018】
本構成によれば、ストッパが第3姿勢の場合に、当接部によってトレイの搬送を阻むことができる。また、ストッパが第3姿勢の場合に、第2ガイド面によって直線経路において第2被記録媒体を円滑に搬送することができる。
【0019】
(5) 上記ストッパは、上記直線経路に突出されて上記トレイの搬送を制止するものである。上記搬送部は、第1ローラと、上記第1ローラに対向して配置された第2ローラとで構成されている。上記搬送部を、上記第1ローラと上記第2ローラとが当接した第5姿勢、及び上記第1ローラと上記第2ローラとが上記トレイを挟持可能な間隔を空けて離間した第6姿勢に姿勢変化させる姿勢変化部を更に備える。上記第3姿勢の上記ストッパの突出先端は、上記第5姿勢の上記第1ローラと上記第2ローラとが当接する位置よりも突出基端側であり、且つ上記第6姿勢の上記第1ローラと上記第2ローラとの間である。上記姿勢変化部は、上記突出基端側に配置された上記第1ローラまたは上記第2ローラを姿勢変化させることによって、上記搬送部を上記第6姿勢とする。
【0020】
トレイが搬送される場合、搬送部は姿勢変化部によって第6姿勢に姿勢変化される。このとき、ストッパの突出先端は第1ローラと第2ローラの間に位置する。よって、ストッパは、トレイの搬送を阻むことができる。
【0021】
一方、第2被記録媒体が搬送される場合、搬送部は姿勢変化部によって第5姿勢に姿勢変化される。このとき、ストッパの突出先端は第1ローラと第2ローラとの当接位置よりも突出基端側である。これにより、第2被記録媒体はストッパにガイドされつつ当接位置に導かれやすくなる。
【0022】
(6) 本発明の画像記録装置は、上記搬送部に駆動力を付与する駆動源と、上記搬送部によって搬送される上記トレイが停止したことを検知する第1検知部と、上記第1検知部によって上記トレイの停止が検知されたことを条件として、上記駆動源に駆動力の付与を停止させる制御部と、を更に備える。
【0023】
トレイがストッパによって搬送を阻まれているにもかかわらず、駆動源が搬送部に駆動力を付与し続けると、トレイや搬送部が破損してしまうおそれがある。また、このような駆動力の付与は、電力を無駄に消費する。本構成では、トレイがストッパによって停止されている場合、制御部は駆動源に駆動力の付与を停止させる。よって、上述のようなトレイなどの破損や、無駄な電力の消費を防止することができる。
【0024】
(7) 上記駆動源は、上記搬送部に、第2被記録媒体及び上記トレイを上記第1向きに搬送させる第1駆動力と、第2被記録媒体及び上記トレイを上記第2向きに搬送させる第2駆動力とを付与するものである。上記制御部は、上記第1検知部によって上記トレイの停止が検知されたことを条件として、上記駆動源に、上記第1駆動力の付与を停止させて、上記第2駆動力を付与させる。
【0025】
本構成によれば、トレイがストッパによって停止された場合、トレイが逆送される。これにより、ストッパによって停止されたトレイを装置外に排出することができる。
【0026】
(8) 本発明の画像記録装置は、上記直線経路における上記ストッパよりも上記一端部側に設けられており、上記直線経路を上記第1向きに搬送される上記トレイの先端を検知する第2検知部と、上記媒体挿入部を上記第2姿勢にする旨の第1指示、及び当該装置を移動させる旨の第2指示を報知する報知部と、を更に備える。上記制御部は、上記第2検知部による上記トレイの先端の検知タイミングに対する上記第1検知部による上記トレイの停止の検知タイミングに基づいて、上記報知部に上記第1指示または上記第2指示の一方を報知させる。
【0027】
第2検知部によるトレイの先端の検知タイミングに対する第1検知部によるトレイの停止の検知タイミングが短い場合、トレイは、ストッパによって停止させられたと考えられる。一方、第2検知部によるトレイの先端の検知タイミングに対する第1検知部によるトレイの停止の検知タイミングが長い場合、トレイは、装置背面から突出し、トレイが設置されている室の壁などに衝突して停止させられたと考えられる。
【0028】
本構成によれば、制御部は、上記のような状況に応じて、報知部に対して異なる報知を行うよう指示する。これにより、装置内でトレイが停止した場合に、ユーザは、報知部による報知に基づいて、適切な対応をとることができる。
【0029】
(9) 本発明の画像記録装置は、第1被記録媒体が載置されるトレイと、第2被記録媒体及び上記トレイを搬送方向に案内する直線経路と、上記直線経路における上記搬送方向の上記トレイが挿入される一端部とは反対側の他端部に設けられており、第2被記録媒体の上記直線経路への挿入をガイドする第1姿勢、及び上記第1姿勢から退避した第2姿勢に姿勢変化可能な媒体挿入部と、上記トレイを、上記搬送方向のうちの上記一端部から上記他端部への第1向き、及び第2被記録媒体を、上記搬送方向のうちの上記第1向きと逆向きの第2向きに搬送可能な搬送部と、上記直線経路における上記一端部及び上記搬送部の間に設けられており、上記直線経路を搬送される第2被記録媒体及び上記トレイに載置された第1被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記直線経路における上記搬送部及び上記他端部の間であって、上記搬送方向と直交する方向における上記トレイが通過する位置に設けられており、上記トレイの通過経路に突出し、その突出量が上記直線経路の高さ方向の長さよりも小さい第3姿勢、及び上記トレイの通過経路から退避する第4姿勢に姿勢変化可能なストッパと、上記媒体挿入部の上記第1姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第3姿勢に姿勢変化させ、上記媒体挿入部の上記第2姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第4姿勢に姿勢変化させる連動部と、を備え、上記ストッパの上記直線経路側の面には、上記直線経路への第2被記録媒体の挿入をガイドする第3ガイド面が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、媒体挿入部が第2被記録媒体を挿入可能な姿勢となったとき、ストッパが第3姿勢に姿勢変化されて、第1被記録媒体がセットされたトレイの搬送を阻む。よって、本発明によれば、トレイが媒体挿入部に衝突することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、複合機10の外観斜視図であり、(A)には手差しトレイ82が第2姿勢の場合の複合機10を後側から見た全体が示されており、(B)には前側から見た複合機10の一部が示されている。
【図2】図2は、手差しトレイ82が第1姿勢の場合の複合機10を後側から見た外観斜視図である。
【図3】図3は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図4】図4は、上側ガイド部材52と下側ガイド部材83と手差しトレイ82とストッパ90との斜視図であり、(A)には手差しトレイ82が第2姿勢の状態が示されており、(B)には手差しトレイ82が第1姿勢の状態が示されている。
【図5】図5は、上側ガイド部材52と手差しトレイ82との背面図である。
【図6】図6は、図5のA−A断面図であり、(A)には手差しトレイ82が第2姿勢の状態が示されており、(B)には手差しトレイ82が第1姿勢の状態が示されている。
【図7】図7は、図5のB−B断面図であり、(A)には手差しトレイ82が第2姿勢の状態が示されており、(B)には手差しトレイ82が第1姿勢の状態が示されている。
【図8】図8は、第1姿勢の手差しトレイ82とストッパ90とを模式的に示す平面図である。
【図9】図9は、マイクロコンピュータ130の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、変形例における上側ガイド部材52と下側ガイド部材83と手差しトレイ82とストッパ90とを模式的に示す縦断面図であり、(A)には手差しトレイ82が第2姿勢の状態が示されており、(B)には手差しトレイ82が第1姿勢の状態が示されている。
【図11】図11は、上側ガイド部材52と下側ガイド部材83とストッパ90と第1ローラ対58とを模式的に示す縦断面図であり、(A)にはメディアトレイ71が挿入された状態が示されており、(B)には記録用紙12が挿入された状態が示されている。
【図12】図12(A)は、マイクロコンピュータ130によるメディアトレイ71の停止制御について説明するためのフローチャートであり、図12(B)は、マイクロコンピュータ130によるメディアトレイ71の逆回転制御について説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、マイクロコンピュータ130による報知制御について説明するためのフローチャートである。
【図14】図14は、上側ガイド部材52と下側ガイド部材83と手差しトレイ82とストッパ90と第1ローラ対58とを模式的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、前側開口13(図1(B)参照)が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
【0033】
[複合機10]
図1及び図2に示されるように、本発明の画像記録装置の一例である複合機10は、概ね薄型の直方体に形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
【0034】
図1及び図2に示されるように、プリンタ部11は、筐体14を有する。筐体14の前側には、上下方向7及び左右方向9に拡がる前壁17(図1(B)参照)が形成されている。筐体14の後側には、前壁17に対向して配置された後壁16(図1(A)及び図2参照)が形成されている。前壁17の概ね中央部には、前側開口13が形成されており、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が、前側開口13から前後方向に挿抜可能である。給紙トレイ20には、所望のサイズの記録用紙12(本発明の第2搬送媒体の一例、図3参照)が載置される。
【0035】
図3に示されるように、プリンタ部11は、記録用紙12を給送する給紙部15と、記録用紙12に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)などを備えている。プリンタ部11は、外部機器から受信した印刷データなどに基づいて、記録用紙12に画像を記録する。
【0036】
また、複合機10は、記録用紙12よりも厚みがあるCD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディア(本発明の第1被記録媒体の一例)の盤面上に記録部24によって画像を記録する機能を有する。この際、記録メディアは薄型の直方体の樹脂板であるメディアトレイ71(本発明のトレイの一例)に載置される。メディアトレイ71は、後述するトレイガイド76に載置されつつ、前側開口13における排紙トレイ21の上側から後述する直線路65へ、後向き(矢印77の向き、本発明の第1向きの一例)に挿入される。なお、当該機能については後述する。
【0037】
[給紙部15]
図3に示されるように、給紙部15は、給紙トレイ20の上側に設けられている。給紙部15は、給紙ローラ25、給紙アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給紙ローラ25は、給紙アーム26の先端部で軸支されている。給紙アーム26は、軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給紙ローラ25は給紙トレイ20に接離可能である。給紙ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給紙用モータ101(図9参照)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙12を1枚ずつ分離して以下で説明する湾曲路66へ供給する。
【0038】
[直線路65及び湾曲路66]
図3に示されるように、プリンタ部11の内部には、給紙トレイ20の先端(後方側の端部)から後述する第1ローラ対58(本発明の搬送部の一例)に亘って延設されており、記録用紙12を案内可能な湾曲路66(図2に一点鎖線で示されている。)と、前壁17の前側開口13における排紙トレイ21の上側である前端部54(本発明の一端部の一例)から記録部24を経て後壁16の後側開口87が形成された位置である後端部55(本発明の他端部の一例)に亘って延設されており、記録用紙12と記録メディアを載置可能なメディアトレイ71とを案内可能な直線路65(図2に二点鎖線で示されている。本発明の直線経路の一例)と、が形成されている。
【0039】
湾曲路66は、給紙トレイ20の先端付近から後方斜め上に延びながら、前方へUターンして第1ローラ対58に至る湾曲状の通路である。記録用紙12は、湾曲路66を搬送方向(図3において一点鎖線で示される方向)に沿って搬送向き(図3において一点鎖線に付された矢印の向き)に湾曲されて案内される。湾曲路66は、第1ローラ対58において直線路65と連続している。湾曲路66は、所定間隔を隔てて互いに対向する内側ガイド部材19と上側ガイド部材52及び下側ガイド部材83とによって区画されている。
【0040】
直線路65は、前後方向8に延設された直線状の通路である。給紙トレイ20から湾曲路66を案内されてきた記録用紙12、後述する手差しトレイ82(本発明の媒体挿入部の一例)に載置されつつ後側開口87から挿入された記録用紙12、及び前側開口13からトレイガイド76に載置されつつ前側開口13から挿入されたメディアトレイ71は、直線路65に沿った方向(図3において二点鎖線で示される方向、本発明の搬送方向の一例)に案内される。
【0041】
記録用紙12は、後方から前方へ前向き(矢印78の向き、本発明の第2向きの一例)に案内される。記録用紙12は、記録部24によって画像を記録された後に前側開口13から排紙トレイ21に排出される。
【0042】
メディアトレイ71は、前方から後方へ後向き(矢印77の向き)に案内され、メディアトレイ71に載置された記録メディアが記録部24よりも後側となる位置において反転される。これにより、メディアトレイ71は、矢印78の向きに案内され、記録部24によって記録メディアに画像を記録された後に前側開口13から排出される。なお、本実施形態では、メディアトレイ71が前向きに案内されているときに、記録部24が記録メディアに画像を記録する。しかし、別の実施形態として、メディアトレイ71が後向きに案内されているときに、記録部24が記録メディアに画像を記録してもよい。
【0043】
直線路65は、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材52と下側ガイド部材83及び後述するプラテン支持部材53とによって区画されている。
【0044】
[記録部24]
図3に示されるように、記録部24は、直線路65における前端部54及び第1ローラ対58の間に設けられている。記録部24は、直線路65の上側に設けられている。記録部24は、記録ヘッド38を搭載して主走査方向(図2の紙面に垂直な方向)へ往復移動するキャリッジ40を備えている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38は、ノズル39からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ40が主走査方向へ往復動することで、記録ヘッド38が記録用紙12及び記録メディアに対して走査され、直線路65(詳細には直線路65の下方に記録部24と対向して設けられているプラテン42上)を搬送される記録用紙12及び記録メディアに対してインク滴が吐出されて画像が記録される。プラテン42は、記録用紙12を支持し、プラテン支持部材53に支持されている。
【0045】
[第1ローラ対58及び第2ローラ対59]
図3に示されるように、記録部24より矢印78の向きの上流側には、直線路65の上側に配置された第1搬送ローラ60(本発明の第1ローラの一例)と、直線路65の下側に第1搬送ローラ60に対向して配置されたピンチローラ61(本発明の第2ローラの一例)とよりなる第1ローラ対58が設けられている。ピンチローラ61は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。
【0046】
記録部24より矢印78の向きの下流側には、直線路65の下側に配置された第2搬送ローラ62と、第1経路65の上側に第2搬送ローラ62に対向して配置された拍車63よりなる第2ローラ対59が設けられている。拍車63は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。
【0047】
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ102(図9参照)から駆動伝達機構(不図示)を介して回転駆動力が付与されて回転される。駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されており、搬送用モータが正転または逆転の一方(本実施形態では正転とする。)に回転された場合に、記録用紙12及びメディアトレイ71を矢印78の向きに搬送させ、搬送用モータが正転または逆転の他方(本実施形態では逆転とする。)に回転された場合に、記録用紙12及びメディアトレイ71を矢印77の向きに搬送させるように、各ローラ60、62を回転させる。
【0048】
つまり、搬送用モータ102及び駆動伝達機構は、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62に、記録用紙12及びメディアトレイ71を矢印77の向きに搬送させる第1駆動力(本発明の第1駆動力の一例)と、記録用紙12及びメディアトレイ71を矢印78の向きに搬送させる第2駆動力(本発明の第2駆動力の一例)とを付与するものである。すなわち、搬送用モータ102及び駆動伝達機構は、本発明の駆動源の一例である。
【0049】
[第1ローラ対58、第2ローラ対59、及びプラテン42の姿勢変化]
第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、一対のローラが互いに当接する第5姿勢(本発明の第5姿勢の一例、図3に実線で示される姿勢)と、一対のローラが互いに離間する第6姿勢(本発明の第6姿勢の一例、図3に破線で示される姿勢)とに姿勢変化可能である。第5姿勢の第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、記録用紙12の挟持が可能であり、記録用紙12を直線路65に沿って搬送させる。一方、第1ローラ対58及び第2ローラ対59が第6姿勢をとっている場合、各ローラ対の一対のローラ間の間隔は、メディアトレイ71を挟持するのに適した間隔となる。そして、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、メディアトレイ71を直線路65に沿って搬送させる。本実施形態においては、ピンチローラ61及び第2搬送ローラ62が下方へ移動することによって、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、第5姿勢から第6姿勢へ姿勢変化される。
【0050】
上述においては、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、第6姿勢において、メディアトレイ71を挟持して搬送させるように構成されている。しかし、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、第6姿勢において、メディアトレイ71を搬送可能であるならば、上述したような構成に限らない。例えば、第2ローラ対59の拍車63は、第6姿勢において、直線路65よりも上方に退避して、代わりに、別のローラ(不図示)が直線路65の上側から直線路65に突出されてもよい。そして、第2搬送ローラ62と当該別のローラとが、メディアトレイ71を挟持して搬送させてもよい。もちろん、退避するローラは拍車63だけに限らない。例えば、ピンチローラ61が、第6姿勢において、直線路よりも下方に退避して、代わりに、別のローラ(不図示)が直線路65の下側から直線路65に突出されてもよい。以上の場合、拍車63やピンチローラ61の代わりに突出される別のローラも本発明の搬送部の一例である。
【0051】
また、プラテン42も下方に移動可能である。プラテン42が下方に移動していない場合、プラテン42と記録部24との間の間隔は、記録用紙12が記録部24の下方を通過可能な間隔である。一方、プラテン42が下方に移動している場合、当該間隔は、メディアトレイ71が記録部24の下方を通過可能な間隔である。
【0052】
ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42の上下方向7の移動、つまり姿勢変化は、例えば、ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42の下方に設けられた偏心カム140及びプラテン支持部材53によって実行される。偏心カム140及びプラテン支持部材53は、本発明の姿勢変化部の一例である。
【0053】
偏心カム140は、左右方向9を軸方向として複合機10の筐体14を構成するフレーム(不図示)に回転自在に支持されている。偏心カム140は、軸142からの径が周期的に変化する円盤である。
【0054】
プラテン支持部材53は、偏心カム140に載置されるようにして支持されている。ピンチローラ61及び第2搬送ローラ62は、プラテン支持部材53に回転可能に支持されている。プラテン42は、上述したようにプラテン支持部材53に支持されている。
【0055】
本実施形態では、偏心カム140は、図示されていないモータから駆動伝達されて回転される。偏心カム140が回転されると、その周面がプラテン支持部材53に対して摺動される。偏心カム140の周面は、軸142からの径が周期的に変化するので、この変化によってプラテン支持部材53が上下方向7へ移動する。プラテン支持部材53の上下方向7への移動によって、ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42が上下方向7へ移動される。図2には、プラテン支持部材53が上側へ移動された状態が実線で示されており、下側へ移動された状態が破線で示されている。
【0056】
なお、プラテン支持部材53は、モータからの駆動伝達以外で上下方向7へ移動してもよい。例えば、偏心カム140が、後述するトレイガイド76の姿勢変化に連動して、上下方向7へ移動してもよい。具体的には、偏心カム140は、トレイガイド76が後述する挿入姿勢に姿勢変化されるのに連動して、プラテン支持部材53を下方に移動させるように回転する。一方、偏心カム140は、トレイガイド76が後述する退避姿勢に姿勢変化されるのに連動して、プラテン支持部材53を上方に移動させるように回転する。
【0057】
[トレイガイド76]
図3に示されるように、プリンタ部11の前端部54にトレイガイド76が設けられている。トレイガイド76は、薄型の平板形状の部材である。図1(B)及び図3に示されるように、トレイガイド76は、直線路65と同じ高さであって、上面にメディアトレイ71を載置可能な挿入姿勢(図3に示された姿勢)と、当該挿入姿勢から上側に退避された退避姿勢(図1(B)に示された姿勢)とに姿勢変化可能である。当該姿勢変化は、例えば、退避姿勢のトレイガイド76の上方に設けられた凹部75をユーザが把持して、トレイガイド76を上下方向7に動かすことによって行われる。トレイガイド76の上面には、左右方向9に一対のガイド板(不図示)が突出されている。メディアトレイ71は、当該ガイド板に右端及び左端をガイドされつつ、前側開口13から直線路65に挿入される。
【0058】
[手差しトレイ82]
図1〜図3に示されるように、直線路65の後端の下側、つまりプリンタ部11の後端部55に手差しトレイ82が設けられている。手差しトレイ82は、薄型の平板形状の部材である。
【0059】
図3に示されるように、手差しトレイ82の一端部には、左右方向9に延びた軸33(本発明の第1回動軸の一例)が設けられている。当該軸33は後端部55のすぐ下に配置され、手差しトレイ82は当該軸33から下側に延設される。手差しトレイ82は、軸33を中心として、図3の矢印79に示される方向に回動する。これにより、手差しトレイ82は、記録用紙12が載置される載置面30が直線路65と同じ高さとなるとともに直線路65と連続される図3に破線で示された第1姿勢(図2に示された姿勢、本発明の第1姿勢の一例)と、当該第1姿勢から下側に退避され載置面30が下側ガイド部材83の後面に沿った図3に実線で示された第2姿勢(図1(A)に示された姿勢、本発明の第2姿勢の一例)とに姿勢変化可能である。第1姿勢の手差しトレイ82は載置面30に載置された記録用紙12の直線路65への挿入をガイドする。なお、当該姿勢変化は、例えば、ユーザが手差しトレイ82を把持して回動させることによって行われる。
【0060】
図1(A)、図2、及び図5に示されるように、手差しトレイ82の載置面30には、一対のサイドガイド31、32が形成されている。サイドガイド31、32は、手差しトレイ82の載置面30に載置された記録用紙12の幅方向(左右方向9)の両端を揃えるとともに、手差しトレイ82における幅方向の位置を位置決めするものである。サイドガイド31、32は、手差しトレイ82の載置面30において、溝34に沿って左右方向9へスライド可能に支持されている。サイドガイド31、32で挟まれた領域に記録用紙12が載置される。一対のサイドガイド31、32は、例えば、ラック及びピニオンによる連動機構によって連結されている。これにより、いずれか一方のサイドガイド31をスライド移動させると、他方のサイドガイド31が連動して相反する方向へスライドする。以上により、手差しトレイ82の載置面30には、種々のサイズの記録用紙12が載置可能である。
【0061】
[ストッパ90]
図3に示されるように、直線路65における第1ローラ対58と後端部55との間には、ストッパ90が配置されている。
【0062】
図8に示されるように、ストッパ90は、軸91(本発明の第2回動軸の一例)と、軸91の長手方向(左右方向9)の中央部から突出された第1突起92(本発明の第1突起の一例)とを備えている。また、軸91の長手方向の両端部には、第1突起92と反対向きに突出された第2突起93(本発明の第2突起の一例)が形成されている。
【0063】
第2突起93は、概ね棒状の突起である。第1突起92は、第2突起93よりも左右方向9の幅が広い突起であり、先端部94(本発明の当接部の一例)が屈曲している(図6及び図7参照)。
【0064】
図6及び図7に示されるように、軸91は、上側ガイド部材52に回転可能に軸支されている。軸91が上側ガイド部材52に軸支された状態において、第1突起92は前側に突出されており、第2突起93は後側に突出されており、第1突起92の先端部94は、上向きに屈曲している。また、軸91が上側ガイド部材52に軸支された状態において、左右方向9の中央部に位置する第1突起92は、メディアトレイ71の搬送方向(前後方向8)と直交する左右方向9におけるメディアトレイ71が通過する位置に位置しており、左右方向9の両端部に位置する第2突起92は、左右方向9におけるメディアトレイ71が通過する位置よりも外側に位置している(図8参照)。
【0065】
ストッパ90は、軸91を中心として矢印80の方向(図3参照)に回動する。これにより、ストッパ90は、図6(B)及び図7(B)に示された第3姿勢(本発明の第3姿勢の一例)と、図6(A)及び図7(A)に示された第4姿勢(本発明の第4姿勢の一例)との間で姿勢変化する。
【0066】
なお、本実施形態において、ストッパ90は、第2突起93が第1突起92よりも重く形成されることによって、或いは図示しないコイルバネなどの付勢部材に付勢されることによって、第4姿勢に付勢されている。
【0067】
ストッパ90が第3姿勢であるとき、図6(B)及び図7(B)に示されるように、第1突起92が直線路65の上側から直線路65に突出される。このときのストッパ90の直線路65への突出量は、直線路65の上下方向7の長さよりも小さい。つまり、ストッパ90は、直線路65の全てを塞ぐわけではない。具体的には、第1突起92の下面95の先端部と、直線路65の下側を区画する下側ガイド部材83の上面84(本発明の第1ガイド面の一例)には、上下方向7の間隔Aが存在する。当該間隔Aは、メディアトレイ71の厚みB(図11(A)参照)よりも小さい。これにより、図11(A)に示されるように、直線路65を矢印77の向きに搬送されるメディアトレイ71の先端は、第1突起92の先端部94の前面に当接して、それ以上の矢印77の向きへの搬送を阻まれて停止した状態となる。
【0068】
つまり、第3姿勢のストッパ90は、直線路65の上側、つまり記録用紙12及び記録メディアの記録面側から突出されてメディアトレイ71の搬送を制止するものである。
【0069】
また、ストッパ90が第3姿勢であるとき、図7(B)に示されるように、第1突起92の直線路65側の面である下面95(本発明の第2ガイド面及び第3ガイド面の一例)は、後側が高位置で前側に行く程に低位置となる傾斜面となる。
【0070】
また、上記の間隔Aは、記録用紙12(詳細には記録用紙12の他、手差しトレイ82から直線路65に挿入可能な被記録媒体のうち、最も厚みのある媒体)の厚みよりも大きい。これにより、図11(B)に示されるように、手差しトレイ82から矢印78の向きに挿入される記録用紙12は、第1突起92の下面95にガイドされつつ、第1突起92の下面95の先端部と下側ガイド部材83の上面84との間の間隔Aの部分に導かれ、当該間隔部分を通過する。そして、当該記録用紙12は、第1ローラ対58に挟持される。以後、当該記録用紙12は、第1ローラ対58によって矢印78の向きに搬送される。
【0071】
つまり、第3姿勢のストッパ90は、メディアトレイ71の搬送を制止する一方で、記録用紙12の搬送を許容する。
【0072】
また、ストッパ90が第4姿勢であるとき、図7(A)に示されるように、及び図3に破線で示されるように、第1突起92は、記録用紙12及びメディアトレイ71の通過経路である直線路65から上側に退避している。換言すると、ストッパ90が第4姿勢であるとき、第1突起92は、直線路65の上側を区画する上側ガイド部材52に収容された状態となる。これにより、ストッパ90が第4姿勢であるとき、メディアトレイ71はストッパ90に制止されることなく直線路65を搬送される。つまり、第4姿勢のストッパ90はメディアトレイ71の搬送を許容する。なお、第4姿勢のストッパ90は、メディアトレイ71の搬送を許容可能であるならば、上側ガイド部材52に完全に収容されずに、一部が直線路65に突出していてもよい。
【0073】
[連動部43]
プリンタ部11には、上述した手差しトレイ82とストッパ90の動作を連動させる連動部43(本発明の連動部の一例)が設けられている。図6〜図8に示されるように、連動部43は、ストッパ90に形成された第2突起93と、手差しトレイ82の軸33の左右方向9の両端部に設けられた回転カム44(本発明の回転カムの一例)とを備えている。
【0074】
図8に示されるように、第2突起93と回転カム44の左右方向9の位置は同じである。これにより、第2突起93と回転カム44とは相互に対向して配置される。
【0075】
図6に示されるように、回転カム44の周面45(本発明の周面の一例)は、軸33からの径が一定ではなく変化する。詳細には、図6(A)に示されるように、手差しトレイ82が第2姿勢のとき、軸33と周面45との上下方向7の径はR1である。一方、図6(B)に示されるように、手差しトレイ82が第1姿勢のとき、軸33と周面45との上下方向7の径はR1よりも長いR2である。
【0076】
図6(A)及び図7(A)に示されるように、手差しトレイ82が第2姿勢であってストッパ90が第4姿勢の状態において、第2姿勢の手差しトレイ82が軸33を中心として矢印46の向きに回動されると、手差しトレイ82は第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化する。当該姿勢変化の過程において、軸33と回転カム44の周面45との上下方向7の長さは、R1からR2へ徐々に長くなっていく。これにより、回転カム44の周面45が第2突起93と当接して第2突起93を押す。これにより、ストッパ90は軸91を中心として上述した第4姿勢への付勢力に抗って矢印97の向き(本発明の第1回動向きの一例)に回動する。以上より、第2突起93は回転カム44の周面45に案内される。また、このとき、軸91は回転する。
【0077】
軸91が回転すると、軸91から突出されている第1突起92は、矢印98の向きに回動する。これにより、第1突起92は、図6(B)及び図7(B)に示されるように、メディアトレイ71の搬送を制止する位置に回動する。つまり、ストッパ90は第3姿勢に姿勢変化する。以上より、連動部43は、手差しトレイ82の第2姿勢から第1姿勢への姿勢変化に連動してストッパ90を第4姿勢から第3姿勢に姿勢変化させる。
【0078】
一方、図6(B)及び図7(B)に示されるように、手差しトレイ82が第1姿勢であってストッパ90が第3姿勢の状態において、第1姿勢の手差しトレイ82が軸33を中心として矢印47の向きに回動されると、手差しトレイ82は第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化する。当該姿勢変化の過程において、軸33と回転カム44の周面45との上下方向7の長さは、R2からR1へ徐々に短くなっていく。これにより、第2突起93は上述した第4姿勢への付勢力によって矢印99の向き(本発明の第2回動向きの一例)に回動する。以上より、第2突起93は回転カム44の周面45に案内される。また、このとき、軸91は回転する。
【0079】
軸91が回転すると、軸91から突出されている第1突起92は、矢印100の向きに回動する。これにより、第1突起92は、図6(A)及び図7(A)に示されるように、メディアトレイ71の搬送を許容する位置に回動する。つまり、ストッパ90は第4姿勢に姿勢変化する。以上より、連動部43は、手差しトレイ82の第1姿勢から第2姿勢への姿勢変化に連動してストッパ90を第3姿勢から第4姿勢に姿勢変化させる。
【0080】
[シートセンサ120]
図3に示されるように、プリンタ部11は、直線路65を矢印77及び矢印78の向きに搬送される記録用紙12の先端を検知するためのシートセンサ120(本発明の第2検知部の一例)を備えている。シートセンサ120は、直線路65におけるストッパ90と第1ローラ対58の間、つまり直線路65におけるストッパ90よりも前端部54側に設けられている。
【0081】
シートセンサ120は、例えば、軸123を中心に回転する回転体121と、発光素子(例えば発光ダイオード)及び当該発光素子から発光された光を受光する受光素子(例えばフォトトランジスタ)を有するフォトインタラプタ等の光センサ122とにより構成されている。回転体121の軸123は、複合機10のフレームなど、例えば内側ガイド部材19に回転可能に取り付けられている。回転体121の先端部は、直線路65に突出している。
【0082】
メディアトレイ71及び記録用紙12が回転体121に当接していない状態において、回転体121の端部は、図3に示されるように、光センサ122の発光素子から受光素子に至る光路に進入して、当該光路を通る光を遮断している。搬送されるメディアトレイ71または記録用紙12の先端が回転体121に当接して回転体121を押すと、回転体121の端部は、当該光路から外れて、当該光路に光が通る。一方、搬送されるメディアトレイ71または記録用紙12が回転体121を通過すると、回転体121は図3に示される状態に戻る。このとき、回転体121の後部は、当該光路に進入して、当該光路を通る光を遮断する。
【0083】
光センサ122は、後述するマイクロコンピュータ130(図9参照)と接続されている。例えば、上記光路に光が通っている場合、光センサ122はハイレベルの信号をマイクロコンピュータ130に出力し、上記光路が回転体121によって遮断されている場合、光センサ122はローレベルの信号をマイクロコンピュータ130に出力する。マイクロコンピュータ130は、光センサ122から入力される信号に基づいて、搬送されるメディアトレイ71及び記録用紙12の先端を検知する。
【0084】
[ロータリーエンコーダ124]
図9に示されるように、プリンタ部11は、ロータリーエンコーダ124を備えている。ロータリーエンコーダ124は、第1搬送ローラ60の軸に取り付けられており、第1搬送モータ60を一体に回転するエンコーダディスク(不図示)と、光センサ(不図示)とで構成されている。ロータリーエンコーダ124は、エンコーダディスクに形成されたパターンを光センサで検知する。ロータリーエンコーダ124の光センサが検知した信号は、後述するマイクロコンピュータ130に出力される。
【0085】
マイクロコンピュータ130は、ロータリーエンコーダ124の光センサと接続されており、当該光センサから入力された信号に基づいて、第1搬送ローラ60の回転量を算出する。
【0086】
[マイクロコンピュータ130]
図9に示されるように、マイクロコンピュータ130は、複合機10の全体動作を制御するものである。マイクロコンピュータ130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えている。これらは内部バス137によって接続されている。
【0087】
ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0088】
ASIC135に設けられた駆動回路には、給紙用モータ101及び搬送用モータ102が接続されている。各モータを駆動させるための駆動信号が、CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが所定の回転速度で正転または逆転する。
【0089】
また、上述したように、ASIC135には、シートセンサ120の光センサ122が接続されている。また、上述したように、ASIC135には、ロータリーエンコーダ124が接続されている。
【0090】
また、ASIC135には、複合機10の上面の前端部に設けられた液晶の操作パネル18(図1(B)参照)に接続されている。これにより、マイクロコンピュータ130は、操作パネル18に所定のメッセージを表示させることができる。マイクロコンピュータ130及び操作パネル18は本発明の報知部の一例である。本実施形態において、マイクロコンピュータ130は、操作パネル18に、2つのメッセージのうちの何れかを選択して表示させる。本実施形態において、第1のメッセージ(本発明の第1指示の一例)は「手差しトレイ82を第2姿勢にして下さい」である。第2のメッセージ(本発明の第2指示の一例)は「装置を壁から離して下さい」である。つまり、マイクロコンピュータ130及び操作パネル18は、手差しトレイ82を第2姿勢にする旨の第1のメッセージ、及び複合機10を移動させる旨の第2のメッセージを報知する。なお、第1のメッセージと第2のメッセージとが逆であってもよい。操作パネル18へのメッセージの表示の制御については、後述される。
【0091】
以下、マイクロコンピュータ130による搬送用モータ102の制御について説明する。マイクロコンピュータ130は、上述した駆動信号の電流値(電圧値でもよい。)を制御することによって、第1搬送ローラ60を制御している。つまり、マイクロコンピュータ130は、第1搬送ローラ60を所定回転速度で回転させるために、所定電流値の駆動信号を搬送用モータ102に出力する。これにより、第1搬送ローラ60が回転する。マイクロコンピュータ130は、ロータリーエンコーダ124の光センサから入力された信号に基づいて、第1搬送ローラ60の回転量を算出する。また、マイクロコンピュータ130は、例えば内蔵のタイマ回路などによって、第1搬送ローラ60が当該回転量だけ回転する間の時間をカウントしておく。マイクロコンピュータ130は、算出された回転量とカウントされた時間とによって、第1搬送ローラ60の回転速度を算出する。マイクロコンピュータ130は、算出された回転速度が上記の所定回転速度よりも遅い場合、搬送用モータ102に出力する駆動信号の電流値を増加させ、算出された回転速度が上記の所定回転速度よりも速い場合、搬送用モータ102に出力する駆動信号の電流値を減少させる。これにより、第1搬送ローラ60の回転速度が適正に制御される。
【0092】
マイクロコンピュータ130は、以下のようにして、メディアトレイ71が停止しているか否かを判断する。つまり、上記のような制御が実行されている場合において、メディアトレイ71がストッパ90等に制止されることよって第1ローラ対58に挟持されたまま停止されていると、本来回転するはずの第1搬送ローラ60が回転しなくなってしまう。すると、マイクロコンピュータ130は、搬送用モータ102に出力する駆動信号の電流値を増加させていく。マイクロコンピュータ130は、増加された電流値を予め設定された第1閾値と比較する。増加された電流値が第1閾値以上となった場合、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71が停止していると判断する。換言すると、マイクロコンピュータ130は、第1ローラ対58によって搬送されるメディアトレイ71の停止を検知する。以上より、ロータリーエンコーダ124及びマイクロコンピュータ130は、本発明の第1検知部の一例である。
【0093】
以下、マイクロコンピュータ130によるメディアトレイ71の停止制御について、図12(A)に基づいて説明する。メディアトレイ71がユーザによってトレイガイド76に載置されつつ複合機10の前端部54から挿入され、第1ローラ対58及び第2ローラ対59によって矢印77の向きに搬送されると(S10)、マイクロコンピュータ130は、上述したようにしてメディアトレイ71が停止しているか否かを判断する(S20)。マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止を検知しない場合(S20:No)、メディアトレイ71の搬送を継続する(S30)。一方、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止を検知すると(S20:Yes)、搬送用モータ102への駆動信号の出力、つまり付与を停止させる(S40)。これにより、第1搬送ローラ60の回転が停止される。以上より、マイクロコンピュータ130は、本発明の制御部の一例である。
【0094】
なお、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止を検知した場合、第1搬送ローラ60の回転を停止させるのではなく、第1搬送ローラ60を逆回転させてもよい。この場合のマイクロコンピュータ130によるメディアトレイ71の逆回転制御について、図12(B)に基づいて説明する。ステップS10〜S30は、図12(A)の場合と同様である。マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止を検知すると(S20:Yes)、搬送用モータ102へ出力されている駆動信号を、位相が180度異なる駆動信号へ変換する。これにより、第1搬送ローラ60が逆回転される(S50)。つまり、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止が検知されたことを条件として、搬送用モータ102に、第1駆動力の付与を停止させて、第2駆動力を付与させる。これにより、矢印77の向きに搬送されていたメディアトレイ71は、逆向きである矢印78の向きに搬送され、前側開口13から排出される(S60)。
【0095】
また、マイクロコンピュータ130は、シートセンサ120によるメディアトレイ71の先端の検知タイミングに対するロータリーエンコーダ124によるメディアトレイ71の停止の検知タイミングに基づいて、操作パネル18に第1のメッセージまたは第2のメッセージの一方を報知させる。この場合のマイクロコンピュータ130による報知制御について、図13に基づいて説明する。
【0096】
ステップS210は、図12(A)のステップS10と同様である。矢印77の向きに搬送されるメディアトレイ71の先端は、シートセンサ120によって検知される(S220)。このとき、マイクロコンピュータ130は、上述したタイマ回路などによって、シートセンサ120の光センサ122から入力された信号に基づいて搬送されるメディアトレイ71の先端が検知されてから、駆動信号の電流値と第1閾値とに基づいてメディアトレイ71の停止が検知されるまでの時間をカウントしておく(S230)。
【0097】
マイクロコンピュータ130は、上述したようにしてメディアトレイ71が停止しているか否かを判断する(S240)。マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止を検知しない場合(S240:No)、メディアトレイ71の搬送を継続する(S250)。一方、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71の停止を検知すると(S240:Yes)、カウントしておいた時間が予め設定された第2閾値未満であるか否かを判断する(S260)。
【0098】
マイクロコンピュータ130は、カウントしておいた時間が予め設定された第2閾値未満である場合(S260:Yes)、搬送されるメディアトレイ71が第3姿勢のストッパ90に衝突したと判断する。この場合、マイクロコンピュータ130は、上述の第1のメッセージ、つまり「手差しトレイ82を第2姿勢にして下さい」を操作パネル18に表示させる(S270)。ユーザが当該メッセージに従って手差しトレイ82を第2姿勢にすると、ストッパ90が連動部43によって第4姿勢に姿勢変化する。これにより、ストッパ90に衝突していたメディアトレイ71は搬送を再開する。
【0099】
一方、マイクロコンピュータ130は、カウントしておいた時間が上記第2閾値以上である場合(S260:No)、搬送されるメディアトレイ71が後側開口87から突出して複合機10が設置された室の壁に衝突したと判断する。この場合、マイクロコンピュータ130は、上述の第2のメッセージ、つまり「装置を壁から離して下さい」を操作パネル18に表示させる(S280)。
【0100】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、手差しトレイ82が第1姿勢に姿勢変化されて記録用紙12を挿入可能な状態となった場合、ストッパ90は連動部43によって第3姿勢に姿勢変化される。つまり、ストッパ90は、メディアトレイ71の搬送を制止する姿勢となる。よって、前端部54から直線路65に挿入されたメディアトレイ71は、ストッパ90によって停止される。その結果、メディアトレイ71が手差しトレイ82、例えば手差しトレイ82のサイドガイド31、32に衝突することが防止可能である。
【0101】
一方、第3姿勢のストッパ90と下側ガイド部材83の上面84との間隔は、記録用紙12の厚みよりも大きい。よって、後端部55から直線路65に挿入された記録用紙12は、ストッパ90に阻まれることなく直線路65を搬送されることが可能である。
【0102】
また、本実施形態によれば、記録用紙12は、記録用紙12の記録面側から突出されたストッパ90によって、直線路65における記録部24とは反対側を区画するプラテン42に押しつけられる。これにより、記録用紙12が直線路65を構成する空間に浮いた状態となることが回避される。その結果、記録部24によって記録用紙12へ記録される画像の品質の悪化を低減することができる。
【0103】
また、本実施形態によれば、ストッパ90が第3姿勢の場合に、第1突起92の先端部94によってメディアトレイ71の搬送を阻むことができる。また、ストッパ90が第3姿勢の場合に、第1突起92の下面95によって直線路65において記録用紙12を円滑に搬送することができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、メディアトレイ71が搬送される場合、第1ローラ対58は偏心カム140及びプラテン支持部材53によって第6姿勢に姿勢変化される。このとき、ストッパ90の突出先端は第1搬送ローラ60とピンチローラ61の間に位置する。よって、ストッパ90は、メディアトレイ71の搬送を阻むことができる。一方、記録用紙12が搬送される場合、第1ローラ対58は偏心カム140及びプラテン支持部材53によって第5姿勢に姿勢変化される。このとき、ストッパ90の突出先端は第1搬送ローラ60とピンチローラ61との当接位置よりも突出基端側である。これにより、記録用紙12はストッパ90にガイドされつつ当該当接位置に導かれやすくなる。
【0105】
また、本実施形態によれば、メディアトレイ71がストッパ90によって搬送を阻まれているにもかかわらず、搬送用モータ102が第1搬送ローラ60に駆動力を付与し続けると、メディアトレイ71や第1搬送ローラ60が破損してしまうおそれがある。また、このような駆動力の付与は、電力を無駄に消費する。本実施形態では、メディアトレイ71がストッパ90によって停止されている場合、マイクロコンピュータ130は搬送用モータ102に駆動力の付与を停止させる。よって、上述のようなメディアトレイ71などの破損や、無駄な電力の消費を防止することができる。
【0106】
また、本実施形態によれば、メディアトレイ71がストッパ90によって停止された場合、メディアトレイ71が逆送されてもよい。これにより、ストッパ90によって停止されたメディアトレイ71を前側開口13から複合機10の外部に排出することができる。
【0107】
また、本実施形態によれば、シートセンサ120によるメディアトレイ71の先端の検知タイミングに対するロータリーエンコーダ124及びマイクロコンピュータ130によるメディアトレイ71の停止の検知タイミングが短い場合、メディアトレイ71は、ストッパ90によって停止させられたと考えられる。一方、シートセンサ120によるメディアトレイ71の先端の検知タイミングに対するロータリーエンコーダ124及びマイクロコンピュータ130によるメディアトレイ71の停止の検知タイミングが長い場合、メディアトレイ71は、後側開口87を介して複合機10の背面から突出し、メディアトレイ71が設置されている室の壁などに衝突して停止させられたと考えられる。
【0108】
そこで、本実施形態によれば、マイクロコンピュータ130は、上記のような状況に応じて、操作パネル18に対して異なるメッセージを表示するよう指示する。これにより、複合機10内でメディアトレイ71が停止した場合に、ユーザは、操作パネル18に表示されたメッセージに基づいて、適切な対応をとることができる。
【0109】
[変形例1]
上述の実施形態では、第3姿勢のストッパ90は、直線路65の上側から突出されてメディアトレイ71の搬送を制止したが、第3姿勢のストッパ90は、直線路65の下側から突出されてメディアトレイ71の搬送を制止してもよい。
【0110】
この場合、図10に示されるように、手差しトレイ82及びストッパ90の配置は、上述の実施形態とは異なるものとなる。つまり、図10(A)に示されるように、第2姿勢の手差しトレイ82は、第1姿勢(図10(B)参照)から上側に退避され、上側ガイド部材52及び下側ガイド部材83に沿った姿勢となる。また、ストッパ90の軸91は、下側ガイド部材83に回転可能に軸支されている。そして、手差しトレイ82が第2姿勢から第1姿勢へ回動する過程において、回転カム44の周面45が第2突起93を下側に押すことによって、第1突起92は直線路65の下側から直線路65に突出される。
【0111】
[変形例2]
図14に示されるように、ストッパ90が第3姿勢であるとき、第3姿勢のストッパ90の突出先端である第1突起92の突出先端96の上下方向7の位置は、以下の通りであることが好ましい。
【0112】
まず、変形例1のように、ストッパ90が直線路65の下側から突出される場合、図14(A)に示されるように、第1突起92の突出先端96の高さ(図14に一点鎖線で示される。)は、第5姿勢の第1ローラ対58における第1搬送ローラ60とピンチローラ61とが当接する当接位置67の高さ(図14に二点鎖線で示される。)よりも下側、つまりストッパ90の突出基端側である。これにより、第1突起92の上面89にガイドされている記録用紙12は、円滑に当接位置67に導かれる。
【0113】
ここで、図14(A)の例の場合、第1ローラ対58は、ピンチローラ61が下方に移動することによって、第5姿勢から第6姿勢に姿勢変化する。そして、第1ローラ対58が第6姿勢に姿勢変化したとき、第1突起92の突出先端96の高さは、第6姿勢の第1ローラ対58における第1搬送ローラ60より下側且つ図14(A)に破線で示されるピンチローラ61より上側、つまり図14(A)における二点鎖線の直線と破線の直線との間である。これにより、第1ローラ対58に挟持されて矢印77の向きに搬送されるメディアトレイ71は、ストッパ90に当接する。その結果、メディアトレイ71のそれ以上の後側への搬送を阻むことができる。
【0114】
次に、上述の実施形態のように、ストッパ90が直線路65の上側から突出される場合、図14(B)に示されるように、第1突起92の突出先端96の高さ(図14に一点鎖線で示される。)は、第5姿勢の第1ローラ対58における第1搬送ローラ60とピンチローラ61とが当接する当接位置67の高さ(図14に二点鎖線で示される。)よりも上側、つまりストッパ90の突出基端側である。これにより、第1突起92の下面95にガイドされている記録用紙12は、円滑に当接位置67に導かれる。
【0115】
ここで、図14(B)の例の場合、第1ローラ対58は、第1搬送ローラ60が上方に移動することによって、第5姿勢から第6姿勢に姿勢変化する。そして、第1ローラ対58が第6姿勢に姿勢変化したとき、第1突起92の突出先端96の高さは、第6姿勢の第1ローラ対58における図14(B)に破線で示される第1搬送ローラ60より下側且つピンチローラ61より上側、つまり図14(B)における破線の直線と二点鎖線の直線との間である。これにより、第1ローラ対58に挟持されて矢印77の向きに搬送されるメディアトレイ71は、ストッパ90に当接する。その結果、メディアトレイ71のそれ以上の後側への搬送を阻むことができる。
【符号の説明】
【0116】
10・・・複合機
24・・・記録部
43・・・連動部
54・・・前端部
55・・・後端部
58・・・第1ローラ対
65・・・直線路
71・・・メディアトレイ
76・・・トレイガイド
82・・・手差しトレイ
90・・・ストッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被記録媒体が載置されるトレイと、
第2被記録媒体及び上記トレイを搬送方向に案内する直線経路と、
上記直線経路における上記搬送方向の上記トレイが挿入される一端部とは反対側の他端部に設けられており、第2被記録媒体の上記直線経路への挿入をガイドする第1姿勢、及び上記第1姿勢から退避した第2姿勢に姿勢変化可能な媒体挿入部と、
上記トレイを、上記搬送方向のうちの上記一端部から上記他端部への第1向き、及び第2被記録媒体を、上記搬送方向のうちの上記第1向きと逆向きの第2向きに搬送可能な搬送部と、
上記直線経路における上記一端部及び上記搬送部の間に設けられており、上記直線経路を搬送される第2被記録媒体及び上記トレイに載置された第1被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記直線経路における上記搬送部及び上記他端部の間に設けられており、上記トレイの搬送を制止する第3姿勢、及び上記トレイの搬送を許容する第4姿勢に姿勢変化可能なストッパと、
上記媒体挿入部の上記第1姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第3姿勢に姿勢変化させ、上記媒体挿入部の上記第2姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第4姿勢に姿勢変化させる連動部と、を備え、
上記直線経路を区画する第1ガイド面と上記第3姿勢の上記ストッパとの間には、第2被記録媒体の厚みよりも大きい間隔が形成されている画像記録装置。
【請求項2】
上記ストッパは、第2被記録媒体の記録面側から上記直線経路に突出されて上記トレイの搬送を制止する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記媒体挿入部は、
第1回動軸を備え、当該第1回動軸を中心として回動することによって姿勢変化するものであり、
上記ストッパは、
第2回動軸と、当該第2回動軸から突出された第1突起とを備え、当該第2回動軸を中心として回動することによって姿勢変化するものであり、
上記連動部は、
上記第1回動軸に設けられており、上記第1回動軸からの径が変化する周面を有する回転カムと、
上記回転カムと対向する位置において上記第2回動軸から突出された第2突起と、を備え、
上記第2突起は、
上記媒体挿入部が上記第2姿勢から上記第1姿勢へ回動する過程において、上記回転カムの上記周面に案内されて第1回動向きに回動し、且つ、上記媒体挿入部が上記第1姿勢から上記第2姿勢へ回動する過程において、上記回転カムの上記周面に案内されて上記第1回動向きと逆向きの第2回動向きに回動し、
上記第1突起は、
上記第2突起の上記第1回動向きへの回動に伴う上記第2回動軸の回転によって、上記トレイの搬送を制止する位置へ回動し、且つ、上記第2突起の上記第2回動向きへの回動に伴う上記第2回動軸の回転によって、上記トレイの搬送を許容する位置へ回動する請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記ストッパは、
上記第3姿勢において上記第1向きに搬送される上記トレイの先端と当接する当接部と、
上記第3姿勢において上記媒体挿入部から上記第2向きに挿入される第2被記録媒体をガイドする第2ガイド面と、を備える請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記ストッパは、上記直線経路に突出されて上記トレイの搬送を制止するものであり、
上記搬送部は、第1ローラと、上記第1ローラに対向して配置された第2ローラとで構成されており、
上記搬送部を、上記第1ローラと上記第2ローラとが当接した第5姿勢、及び上記第1ローラと上記第2ローラとが上記トレイを挟持可能な間隔を空けて離間した第6姿勢に姿勢変化させる姿勢変化部を更に備え、
上記第3姿勢の上記ストッパの突出先端は、上記第5姿勢の上記第1ローラと上記第2ローラとが当接する位置よりも突出基端側であり、且つ上記第6姿勢の上記第1ローラと上記第2ローラとの間であり、
上記姿勢変化部は、上記突出基端側に配置された上記第1ローラまたは上記第2ローラを姿勢変化させることによって、上記搬送部を上記第6姿勢とする請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記搬送部に駆動力を付与する駆動源と、
上記搬送部によって搬送される上記トレイが停止したことを検知する第1検知部と、
上記第1検知部によって上記トレイの停止が検知されたことを条件として、上記駆動源に駆動力の付与を停止させる制御部と、を更に備える請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記駆動源は、上記搬送部に、第2被記録媒体及び上記トレイを上記第1向きに搬送させる第1駆動力と、第2被記録媒体及び上記トレイを上記第2向きに搬送させる第2駆動力とを付与するものであり、
上記制御部は、上記第1検知部によって上記トレイの停止が検知されたことを条件として、上記駆動源に、上記第1駆動力の付与を停止させて、上記第2駆動力を付与させる請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記直線経路における上記ストッパよりも上記一端部側に設けられており、上記直線経路を上記第1向きに搬送される上記トレイの先端を検知する第2検知部と、
上記媒体挿入部を上記第2姿勢にする旨の第1指示、及び当該装置を移動させる旨の第2指示を報知する報知部と、を更に備え、
上記制御部は、上記第2検知部による上記トレイの先端の検知タイミングに対する上記第1検知部による上記トレイの停止の検知タイミングに基づいて、上記報知部に上記第1指示または上記第2指示の一方を報知させる請求項6または7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
第1被記録媒体が載置されるトレイと、
第2被記録媒体及び上記トレイを搬送方向に案内する直線経路と、
上記直線経路における上記搬送方向の上記トレイが挿入される一端部とは反対側の他端部に設けられており、第2被記録媒体の上記直線経路への挿入をガイドする第1姿勢、及び上記第1姿勢から退避した第2姿勢に姿勢変化可能な媒体挿入部と、
上記トレイを、上記搬送方向のうちの上記一端部から上記他端部への第1向き、及び第2被記録媒体を、上記搬送方向のうちの上記第1向きと逆向きの第2向きに搬送可能な搬送部と、
上記直線経路における上記一端部及び上記搬送部の間に設けられており、上記直線経路を搬送される第2被記録媒体及び上記トレイに載置された第1被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記直線経路における上記搬送部及び上記他端部の間であって、上記搬送方向と直交する方向における上記トレイが通過する位置に設けられており、上記トレイの通過経路に突出し、その突出量が上記直線経路の高さ方向の長さよりも小さい第3姿勢、及び上記トレイの通過経路から退避する第4姿勢に姿勢変化可能なストッパと、
上記媒体挿入部の上記第1姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第3姿勢に姿勢変化させ、上記媒体挿入部の上記第2姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第4姿勢に姿勢変化させる連動部と、を備え、
上記ストッパの上記直線経路側の面には、上記直線経路への第2被記録媒体の挿入をガイドする第3ガイド面が設けられている画像記録装置。
【請求項1】
第1被記録媒体が載置されるトレイと、
第2被記録媒体及び上記トレイを搬送方向に案内する直線経路と、
上記直線経路における上記搬送方向の上記トレイが挿入される一端部とは反対側の他端部に設けられており、第2被記録媒体の上記直線経路への挿入をガイドする第1姿勢、及び上記第1姿勢から退避した第2姿勢に姿勢変化可能な媒体挿入部と、
上記トレイを、上記搬送方向のうちの上記一端部から上記他端部への第1向き、及び第2被記録媒体を、上記搬送方向のうちの上記第1向きと逆向きの第2向きに搬送可能な搬送部と、
上記直線経路における上記一端部及び上記搬送部の間に設けられており、上記直線経路を搬送される第2被記録媒体及び上記トレイに載置された第1被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記直線経路における上記搬送部及び上記他端部の間に設けられており、上記トレイの搬送を制止する第3姿勢、及び上記トレイの搬送を許容する第4姿勢に姿勢変化可能なストッパと、
上記媒体挿入部の上記第1姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第3姿勢に姿勢変化させ、上記媒体挿入部の上記第2姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第4姿勢に姿勢変化させる連動部と、を備え、
上記直線経路を区画する第1ガイド面と上記第3姿勢の上記ストッパとの間には、第2被記録媒体の厚みよりも大きい間隔が形成されている画像記録装置。
【請求項2】
上記ストッパは、第2被記録媒体の記録面側から上記直線経路に突出されて上記トレイの搬送を制止する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記媒体挿入部は、
第1回動軸を備え、当該第1回動軸を中心として回動することによって姿勢変化するものであり、
上記ストッパは、
第2回動軸と、当該第2回動軸から突出された第1突起とを備え、当該第2回動軸を中心として回動することによって姿勢変化するものであり、
上記連動部は、
上記第1回動軸に設けられており、上記第1回動軸からの径が変化する周面を有する回転カムと、
上記回転カムと対向する位置において上記第2回動軸から突出された第2突起と、を備え、
上記第2突起は、
上記媒体挿入部が上記第2姿勢から上記第1姿勢へ回動する過程において、上記回転カムの上記周面に案内されて第1回動向きに回動し、且つ、上記媒体挿入部が上記第1姿勢から上記第2姿勢へ回動する過程において、上記回転カムの上記周面に案内されて上記第1回動向きと逆向きの第2回動向きに回動し、
上記第1突起は、
上記第2突起の上記第1回動向きへの回動に伴う上記第2回動軸の回転によって、上記トレイの搬送を制止する位置へ回動し、且つ、上記第2突起の上記第2回動向きへの回動に伴う上記第2回動軸の回転によって、上記トレイの搬送を許容する位置へ回動する請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記ストッパは、
上記第3姿勢において上記第1向きに搬送される上記トレイの先端と当接する当接部と、
上記第3姿勢において上記媒体挿入部から上記第2向きに挿入される第2被記録媒体をガイドする第2ガイド面と、を備える請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記ストッパは、上記直線経路に突出されて上記トレイの搬送を制止するものであり、
上記搬送部は、第1ローラと、上記第1ローラに対向して配置された第2ローラとで構成されており、
上記搬送部を、上記第1ローラと上記第2ローラとが当接した第5姿勢、及び上記第1ローラと上記第2ローラとが上記トレイを挟持可能な間隔を空けて離間した第6姿勢に姿勢変化させる姿勢変化部を更に備え、
上記第3姿勢の上記ストッパの突出先端は、上記第5姿勢の上記第1ローラと上記第2ローラとが当接する位置よりも突出基端側であり、且つ上記第6姿勢の上記第1ローラと上記第2ローラとの間であり、
上記姿勢変化部は、上記突出基端側に配置された上記第1ローラまたは上記第2ローラを姿勢変化させることによって、上記搬送部を上記第6姿勢とする請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記搬送部に駆動力を付与する駆動源と、
上記搬送部によって搬送される上記トレイが停止したことを検知する第1検知部と、
上記第1検知部によって上記トレイの停止が検知されたことを条件として、上記駆動源に駆動力の付与を停止させる制御部と、を更に備える請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記駆動源は、上記搬送部に、第2被記録媒体及び上記トレイを上記第1向きに搬送させる第1駆動力と、第2被記録媒体及び上記トレイを上記第2向きに搬送させる第2駆動力とを付与するものであり、
上記制御部は、上記第1検知部によって上記トレイの停止が検知されたことを条件として、上記駆動源に、上記第1駆動力の付与を停止させて、上記第2駆動力を付与させる請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記直線経路における上記ストッパよりも上記一端部側に設けられており、上記直線経路を上記第1向きに搬送される上記トレイの先端を検知する第2検知部と、
上記媒体挿入部を上記第2姿勢にする旨の第1指示、及び当該装置を移動させる旨の第2指示を報知する報知部と、を更に備え、
上記制御部は、上記第2検知部による上記トレイの先端の検知タイミングに対する上記第1検知部による上記トレイの停止の検知タイミングに基づいて、上記報知部に上記第1指示または上記第2指示の一方を報知させる請求項6または7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
第1被記録媒体が載置されるトレイと、
第2被記録媒体及び上記トレイを搬送方向に案内する直線経路と、
上記直線経路における上記搬送方向の上記トレイが挿入される一端部とは反対側の他端部に設けられており、第2被記録媒体の上記直線経路への挿入をガイドする第1姿勢、及び上記第1姿勢から退避した第2姿勢に姿勢変化可能な媒体挿入部と、
上記トレイを、上記搬送方向のうちの上記一端部から上記他端部への第1向き、及び第2被記録媒体を、上記搬送方向のうちの上記第1向きと逆向きの第2向きに搬送可能な搬送部と、
上記直線経路における上記一端部及び上記搬送部の間に設けられており、上記直線経路を搬送される第2被記録媒体及び上記トレイに載置された第1被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記直線経路における上記搬送部及び上記他端部の間であって、上記搬送方向と直交する方向における上記トレイが通過する位置に設けられており、上記トレイの通過経路に突出し、その突出量が上記直線経路の高さ方向の長さよりも小さい第3姿勢、及び上記トレイの通過経路から退避する第4姿勢に姿勢変化可能なストッパと、
上記媒体挿入部の上記第1姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第3姿勢に姿勢変化させ、上記媒体挿入部の上記第2姿勢への姿勢変化に連動して上記ストッパを上記第4姿勢に姿勢変化させる連動部と、を備え、
上記ストッパの上記直線経路側の面には、上記直線経路への第2被記録媒体の挿入をガイドする第3ガイド面が設けられている画像記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図11】
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【図14】
【公開番号】特開2013−79119(P2013−79119A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218777(P2011−218777)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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