説明

画像診断における放射性標識フルオロベンズアミドアナログ、それらの合成および使用

シグマ‐2受容体に選択的に結合するフルオロアルコキシベンズアミド化合物を開示する。これらの化合物は、18Fで標識化される場合、ポジトロン放出断層撮影(PET)による腫瘍の造影のための放射性トレーサとして使用することができる。さらに、これらの化合物は、123Iで標識化される場合、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)による腫瘍の造影のための放射性トレーサとして使用することができる。これらの化合物を合成する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年7月31日に提出された米国仮出願第60/491,582号に対する優先権を主張する、2004年7月30日に提出された米国出願第10/903,771号の一部継続出願である、2007年6月1日に提出された米国非仮出願第11/757,246号からの優先権を主張する。これらの出願は、参照することによってそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
シグマ受容体は、肝臓、腎臓、内分泌腺、および中枢神経系(CNS)(Walker,J.M.,et al.Pharmacol Rev42:355- 402 1990)を含む、多くの正常組織において発現される受容体のクラスである。少なくとも2つの種類のシグマ受容体、シグマ−1(σ)およびシグマ−2(σ)があることはよく確立されている(Walker,J.M.,et al.Pharmacol Rev42,355-402,1990)。σ受容体の過剰発現は、種々のヒトおよびマウス腫瘍において報告されている(Bem,W.T.,et al.,Cancer Res 51:6558-6562,1991、Vilner,B.J.,et al.,In:Multiple sigma and PCP receptor ligands:mechanisms for neuromodulation and neuroprotection?,Kamenka,J.M.,and Domino,E.F.,ed,Ann Arbor(Mich),7 NPP Books,p.341-353,1992、Mach,R.H.,et al.,Cancer Res.57:156-161,1997)。
【0003】
σ選択的リガンドの検索は、σ対σ受容体に対して中度から高度の選択性を有するいくつかの化合物の同定につながった(図5)。これらは、CB−184(10)、CB−64D(11)、BIMU−1(12)(Bowen,W.D.,et al.,Eur.J.Pharmacol.278:257-260,1995、Bonhaus,D.W.,et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.267:96,1993)およびPB−167(13)(Colabufo,N.A.,et al.,J.Pharmacy and Pharmacology 57:1453−1459,2005、Kassiou,M.,et al.,Bioorganic and Medicinal Chemistry,13:3623−3626,2005、Berardi,F.,et al.,J.Med.Chem.2004,47:2308-2317)、ならびに所定のベンズアミドアナログ(14−16)(Mach,R.H.,et al.,Bioorg.Med.Chem.11:225,2003、Huang,Y.,et al.,J.Med.Chem.44:1815,2001、Mach et alに対する米国特許出願第10/903,771号)を含む。我々は、雌のEMT‐6腫瘍担持Balb/cマウスを使用していくつかの11C、76Brおよび125/123I放射性標識構造的可撓性ベンズアミドアナログの評価を以前に報告した(Tu,Z.,et al.,Nucl.Med.Biol.32:423−430,2005、Xu,J.,et al.,Eur.J.Pharmacol.21:525(1−3):8−17,2005、Hou,C.,et al.,Nucl.Med.Biol.Feb,33:203−9,2006)。5−メチル−2−[11C]−メトキシ−N−[2−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−ベンズアミドおよび5−[76Br]−ブロモ−2,3−ジメトキシ−N−[2−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−ベンズアミドの初期の体内研究は、これらの化合物が、ポジトロン放出断層撮影(PET)により固体腫瘍およびそれらの増殖状態を造影するための潜在的放射性医薬品であったこと、を示した。しかしながら、76Brおよび11Cの放射性核種の特性のために、これらのアイソトープがPET造影に非理想的になった。例えば、76Brを放射性トレーサとして使用するPETによって作製される画像は、明瞭でない場合が多く(Laforest.R.,et al.,IEEE Transactions on Nuclear Science,49:2119−2126,2002)、11C(t1/2=20.4分)の短い半減期は、トレーサ合成にかかる時間および走査セッションの期間を制限する。腫瘍と正常組織との対比は、11Cで標識されたσ選択的放射性トレーサがPET造影に使用される場合、満足できるものとは言えない。したがって、PET造営において放射性トレーサとして使用するための代替σ選択的リガンドが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第10/903,771号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Walker,J.M.,et al.Pharmacol Rev42:355- 402 1990
【非特許文献2】Bem,W.T.,et al.,Cancer Res 51:6558-6562,1991
【非特許文献3】Vilner,B.J.,et al.,In:Multiple sigma and PCP receptor ligands:mechanisms for neuromodulation and neuroprotection、Kamenka,J.M.,and Domino,E.F.,ed,Ann Arbor(Mich),7 NPP Books,p.341-353,1992
【非特許文献4】Mach,R.H.,et al.,Cancer Res.57:156-161,1997
【非特許文献5】Bowen,W.D.,et al.,Eur.J.Pharmacol.278:257-260,1995
【非特許文献6】Bonhaus,D.W.,et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.267:96,1993
【非特許文献7】Colabufo,N.A.,et al.,J.Pharmacy and Pharmacology 57:1453−1459,2005
【非特許文献8】Kassiou,M.,et al.,Bioorganic and Medicinal Chemistry,13:3623−3626,2005
【非特許文献9】Berardi,F.,et al.,J.Med.Chem.2004,47:2308-2317
【非特許文献10】Mach,R.H.,et al.,Bioorg.Med.Chem.11:225,2003
【非特許文献11】Huang,Y.,et al.,J.Med.Chem.44:1815,2001
【非特許文献12】Tu,Z.,et al.,Nucl.Med.Biol.32:423−430,2005
【非特許文献13】Xu,J.,et al.,Eur.J.Pharmacol.21:525(1−3):8−17,2005
【非特許文献14】Hou,C.,et al.,Nucl.Med.Biol.Feb,33:203−9,2006
【非特許文献15】Laforest.R.,et al.,IEEE Transactions on Nuclear Science,49:2119−2126,2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、画像診断、特に腫瘍のポジトロン放出断層撮影(PET)のための放射性標識として使用できる一連の化合物を開発した。該化合物は、選択的にシグマ受容体に結合し、特にシグマ‐1受容体に優先してシグマ‐2に結合する。該化合物は、選択的に腫瘍細胞にも結合し、したがって、腫瘍細胞を検出するためのトレーサとして使用することもできる。さらに、いくつかの実施形態では、該化合物は放射性同位体18Fを含むため、PETを使用して腫瘍を造影するための放射性トレーサとして使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態では、本教示のトレーサは、構造:
【化1】

を有するフルオロアルコキシベンズアミド化合物であって、
式中、mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、RおよびRはそれぞれ独立して、H、I、Br、Cl、およびFから成る群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNH、またはそれらの塩から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態では、本教示の化合物は、少なくとも1つの18Fアイソトープを含み得る。これらの実施形態の化合物は、構造:
【化2】

を有する放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物であり得、
式中、mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、RおよびRはそれぞれ独立して、H、I、Br、Cl、およびFから成る群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNH、またはそれらの塩から選択される。
【0009】
本教示の他の実施形態は、構造:
【化3】

のフルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成する諸方法を含む。
これらの方法は、構造:
【化4】

の化合物を
【化5】

等のフッ素化化合物と反応させるステップを含み、式中、mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、RおよびRはそれぞれ独立して、H、Br、Cl、およびFから成る群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNHから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様では、mは2であり得、nは2であり得、RはHであり得、およびRはCHであり得る。いくつかの態様では、これらの方法は、
【化6】


【化7】

と反応させて、それによって
【化8】

を作製するステップをさらに含み得る。他の態様では、mは2であり得、nは4であり得、Rは、OCHおよびHから成る群から選択され得、RはBr、CH、およびIから成る群から選択され得る。さらに他の態様では、m=2、n=4、RはH、およびRはIである。
【0010】
本教示のさらに他の実施形態では、本発明者らは、構造:
【化9】

の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための諸方法を開示する。これらの方法は、i)有機溶媒、ii)構造:
【化10】

の化合物、iii)18F−、iv)4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサンおよびv)カリウム塩を含む混合物を作製するステップを含み、式中、mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、RおよびRはそれぞれ独立して、H、Br、Cl、およびFから成る群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNHから選択される。これらの方法のいくつかの態様では、mは2であり得、nは4であり得、Rは、HおよびOCHから成る群から選択され得、RはCH、Br、およびIから成る群から選択され得る。これらの方法のさらに他の態様では、m=2、n=4、RはOCH、およびRはIである。さらに、種々の側面において、カリウム塩はKCOであり得、有機溶媒はジメチルスルホキシド、またはアセトニトリル、またはそれらの組み合わせであり得る。さらに、種々の側面において、該方法は、混合物を加熱するステップを含み得る。
【0011】
本教示の追加実施形態では、本発明者らは、ヒト等の哺乳動物における腫瘍を造影する諸方法を開示する。これらの方法は、該哺乳動物に構造:
【化11】

の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物を投与するステップを含み、式中、mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、RおよびRはそれぞれ独立して、H、Br、Cl、およびFから成る群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNH、またはそれらの塩から選択されるステップと、該哺乳動物をポジトロン放出断層撮影(PET)走査に供するステップと、を含む。いくつかの態様では、mは2であり得、nは4であり得、Rは、HおよびOCHから成る群から選択され得、RはCH、Br、およびIから成る群から選択され得る。Rは、HおよびOCHから成る群から選択され得、Rは、CH、Br、およびIから成る群から選択され得る。
【0012】
上記実施形態の種々の側面では、フルオロアルコキシベンズアミド化合物またはそれらの塩は、
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

またはそれらの塩等の特定の分子種を含み得る。
【0013】
これらの実施形態の種々の側面では、放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物またはそれらの塩は、
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

またはそれらの塩等の特定の分子種を含み得る。
【0014】
本教示の追加実施形態では、本発明者らは、構造:
【化20】

の化合物を合成するための諸方法を開示し、式中、mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、RはHまたはメトキシ等のC1−4アルコキシである。これらの方法は、構造:
【化21】

の化合物をスタンニル化して、構造:
【化22】

の化合物を作製するステップと、構造:
【化23】

の化合物をヨウ化するステップと、を含む。いくつかの構成では、スタンニル化化合物は、構造:
【化24】

の化合物をスタンニル化することによって作製することができる。これらの方法のいくつかの態様では、mは2であり得、nは4であり得る。
【0015】
本教示のさらに他の実施形態では、本発明者らは、構造:
【化25】

のヨウ素−123放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物を開示し、式中、mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、RはH、I、Br、ClおよびFから成る群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNH、およびそれらの塩であり得る。種々の構成では、mは2であり得、nは4であり得、RはHまたはメトキシ等のC1−4アルコキシであり得る。
【0016】
関連実施形態では、本発明者らはこれらの放射性ヨウ化化合物を合成するための諸方法を開示する。種々の構成では、これらの方法は、構造:
【化26】

の化合物を[123I]NaIおよび酸化剤と反応させるステップを含み、式中、mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、A、AおよびAは、それぞれ独立して、C1−4アルキルであり、RはHから成る群、I、Br、ClおよびFから成る群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNHであり得る。種々の側面では、RはHまたはメトキシ等のC1−4アルコキシであり得、A、AおよびAは、それぞれ独立して、n−ブチル部分、iso−ブチル部分、sec−ブチル部分、およびtert−ブチル部分から選択されるブチル部分であり得る。いくつかの構成では、A、A、およびAは、それぞれn−ブチル部分であり得、mは2であり得、およびnは4であり得る。さらに、種々の側面では、該酸化剤は、過酢酸、過酸化水素、クロラミンT(N‐クロロ‐p‐トルエンスルホンアミドナトリウム塩)またはそれらの組み合わせであり得る。
【0017】
これらの実施形態のいくつかの態様では、その諸方法は、構造:
【化27】

の化合物をスタンニル化して、構造:
【化28】

の化合物を作製するステップをさらに含み得る。
【0018】
さらに他の実施形態では、本教示は、ヒト等の哺乳動物における固体腫瘍を造影する諸方法を含む。種々の構成では、これらの方法は、上述の放射性ヨウ化化合物を該哺乳動物に投与するステップと、該哺乳動物を単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)造影に供するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本教示のいくつかの化合物の合成に関するスキームIを示す。
【図2】本教示のいくつかの化合物の合成に関するスキームIIを示す。
【図3】本教示のいくつかの化合物の合成に関するスキームIIIを示す。
【図4】本教示のいくつかの化合物の合成に関するスキームIVを示す。
【図5】いくつかのσ選択的リガンドの構造および特性を示す。
【図6】EMT−6腫瘍を担持する雌Balb/cマウスへの静脈注射後1時間(上図)および2時間(下図)の18F標識σ選択的リガンド、3c−fの腫瘍:臓器比を示す。
【図7】担体が添加されていない場合、ならびにσおよびσ受容体が、1mg/kgのYUN‐143で遮断(ブロック)される場合の[18F]3cまたは[18F]3fの腫瘍:脂肪および腫瘍:筋肉比の比較を示す。すべての値は、放射性トレーサの注射から1時間後に得た。
【図8】雌Balb/cマウスにおけるEMT−6腫瘍のマイクロPETおよびマイクロCT画像を示す。すべてのマイクロPET画像は、[18F]3cまたは[18F]3fのいずれかを静脈注射した1時間後に取得した。
【図9】[18F]FDGと比較した本教示の[18F]3fを使用する、神経膠腫の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者らは、画像診断、特に腫瘍のポジトロン放出トモグラフィー(PET)造影のための放射性標識として使用できる、一連の化合物を開発した。該化合物は、シグマ受容体に選択的に結合し、特に、シグマ2受容体にシグマ1受容体に優先して結合する。該化合物は、腫瘍細胞にも選択的に結合し、したがって、腫瘍細胞を検出するためのトレーサとして使用することができる。理論に制限されることなく、概して、多くの種類の腫瘍細胞は、高密度のシグマ2受容体を有し、したがって、本教示の化合物は、シグマ2受容体の化合物の親和性に基づいて腫瘍を検出するための有効なトレーサであると考えられる。さらに、いくつかの実施形態では、該化合物は放射性同位体18Fを含むため、ポジトロン放出トモグラフィー(PET)による造影のための好適な同位体は、ヒトまたは他の哺乳動物において、腫瘍をPET造影するための放射性トレーサとして有効である。さらに、いくつかの実施形態では、該化合物は、放射性同位体123I、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)によって造影するために好適な同位体を含む。これらの化合物は、ヒトまたは他の哺乳動物において、腫瘍をSPECT造影するための放射性トレーサとして有効である。
【0021】
本発明者らは、σ受容体に対して中度から高度の結合親和性および選択性を有するいくつかの新規立体配座可撓性ベンズアミドアナログを合成した(表I)。これらの化合物のうちの4つを、18F標識PETプローブを開発して、固体腫瘍のσ受容体状態を造影するための候補として選択した。[18F]3c、[18F]3d、[18F]3e、および[18F]3fを成功裏に合成し、雌Balb/cマウスにおけるEMT‐6腫瘍を造影するための潜在的放射性トレーサとして評価した。4つの18F標識アナログのうち、[18F]3cおよび[18F]3fは、最善の生体内分散動態および腫瘍:正常組織比を有した。遮断研究は、[18F]3cおよび[18F]3fの取り込みが、σ受容体媒介であったことを確認した。当研究は、[18F]3cおよび[18F]3fを含む、本教示の種々の化合物が、固体腫瘍およびそれらのσ受容体状態をPETを用いて検出および造影するために許容し得る薬剤であることを示した。
【0022】
本発明は、本教示のσ選択的リガンドを生成するための設計方策を考案した。本方策は、スキームI(図1)および以下の実施例に示されるように、11C−標識ベンズアミドアナログ(Xu,J.,et al.,Eur.J.Pharmacol.21;525(1−3):8−17、2005)のオルトメトキシ基を2−フルオロエチル基と置換するステップを含む。
【0023】
以下の実施例は、本教示の種々の実施形態の例示である。実施例は、請求項の範囲を制限するもことを意図しない。本明細書に記載の方法は、熟練者によく知られる研究室技術を利用し、ガイダンスは、Sambrook,J.,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,2001、Spector,D.L.et al.,Cells: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1998、およびHarlow,E.,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1999、Hedrickson et al.,Organic Chemistry 3rd edition,McGraw Hill,New York 1970、Carruthers,W.,and Coldham,I.,Modern Methods of Organic Synthesis(4th Edition),Cambridge University Press,Cambridge,U.K.,2004、Curati,W.L.,Imaging in Oncology,Cambridge University Press,Cambridge,U.K.,1998、Welch,M.J.,and Redvanly,C.S.,eds.Handbook of Radiopharmaceuticals:Radiochemistry and Applications,J.Wiley,New York,2003等の研究室マニュアルおよび教科書において見出すことができる。
【0024】
本明細書に記載される実験では、すべての試薬を市販業者から購入し、特に指定のない限りさらに精製することなく使用した。テトラヒドロフラン(THF)は、使用する直前に水素化ナトリウムから蒸留した。無水トルエンは、使用する直前にナトリウム/トルエンから蒸留した。すべての無水反応は、特に指定のない限り、不活性窒素雰囲気下で、オーブン乾燥ガラス器具の中において実行した。 該反応にジクロロメタン(CHCl)、またはクロロホルム(CHCl)、または酢酸エチル(EtOAc)、またはエチルエーテル(EtO)を用いる抽出が含まれる場合、有機溶媒を無水NaSOで乾燥し、減圧下、回転蒸発器で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル60a「40 Micron Flash」[32−63μm](Scientific Adsorbents,Inc.)を使用して行った。MEL−TEMP3.0機器を使用して、溶解点を決定し、訂正しなかった。H NMRスペクトルは、CDClを溶媒として、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として使用し、300MHzでVarian Mercury−VXスペクトロメータで記録した。すべての化学シフト値は、ppm(□)で報告される。元素分析(C、H、N)は、Atlantic Microlab,Inc.によって決定された。
実施例1
【0025】
本実施例は、フルオロアルコキシ2−ヒドロキシベンズアミドアナログを生産する反応を示す。図1に示されるように、スキームIは、化合物1aおよび1bを置換サリチル酸で凝縮して、対応する置換2−ヒドロキシベンズアミドアナログ2a−eを生じるステップを含む。カルボン酸カリウムを塩基として使用して、オルトヒドロキシル基を2−ブロモ−1−フルオロエタンでアルキル化し、3a−eを中度から高度の収率で生産した。化合物3fは、標準スタニル化反応条件を使用して3bから調整された、対応するスズ前駆体3gのヨード化によって調整した。次いで、化合物3a−fを体外σおよびσ受容体結合アッセイのための塩酸またはシュウ酸塩のいずれかに変換した。
実施例2
【0026】
本実施例は、本教示の18F標識化合物を生成するための合成ステップを説明する。本実施例では、化合物3c−fは、スキームII‐IV(それぞれ図2、3および4)に示されるように、18Fで放射性標識した。スキームII(図2)は、放射性標識手順に必要なメシル化前駆体の合成を概説する。1‐酢酸ブロモエチルを用いる化合物2c−eのオルトヒドロキシル基のアルキル化に続いて酢酸基の加水分解によって、対応する2−ヒドロキシエチルアナログ4c−eを良好な収率で生産した。 次いで、化合物4c−eは、トリエチルアミンを酸スカベンジャーとして使用してジクロロメタン中の塩化メタンスルホニルで処理することによって、対応するメシル酸5c−eに変換した。
実施例3
【0027】
本実施例は、スキームIII(図3)に示されるように、対応する5−ヨードアナログに対する前駆体の合成を説明する。5−ブロモ−2−メトキシサリチル酸のエステル化に続いて、1−酢酸ブロモエチルによるオルトヒドロキシ基のアルキル化、次いで、酢酸および安息香酸エステルの加水分解は、対応する2−ヒドロキシエチルアナログ9を生産した。アミンとの9の凝縮により1bを生産して、アミド4fを生じ、アナログ5c‐eのための上述の条件を使用して、対応するメシル酸5fに変換した。
実施例4
【0028】
本実施例は、メシル酸前駆体からの[18F]3c、 [18F]3d、[18F]3e、および[18F]3fの合成を説明する。スキームIV(図4)に示されるように(図4)、メシル酸前駆体である化合物5c−fは、スルホン酸ジメチル(DMSO)を溶媒として使用し、[18F]フルオリド/炭酸カリウムおよび4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサン(Kryptofix222(登録商標)、Acros Organics N.V.,Fairlawn,NJ)で処理した。該反応混合物は、マイクロ波オーブンにおいて30〜40秒照射し、C−18逆相Sep−Pak(登録商標)カートリッジ(Waters Corp.、Milford,MA)およびメタノールを溶出剤として使用して、未処理の[18F]フルオリドから粗生成物を単離した。次いで、C−18逆相カラムを使用し、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって粗生成物を精製した。全操作には約2時間を要し、放射性化学収率は、減衰を合成の開始に訂正して20〜30%であった。比放射能は1500〜2500Ci/mmolの範囲であった。
実施例5
【0029】
本実施例は、本教示の化合物を用いた体外結合研究を説明する。本実施例では、σおよびσ受容体に対する標的化合物の親和性を測定するために体外結合研究を行った。
【0030】
これらのアッセイでは、新規シグマリガンドをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、またはDMSO、またはエタノールに溶解し、次いで、150mM NaClおよび100mM EDTAを含有する 50mM Tris−HCl緩衝液中、pH7.4で希釈した後、σおよびσ受容体結合アッセイを行った。膜ホモジネートを単離し、σおよびσ受容体結合アッセイを行う諸手順が、以前に詳述されている(Xu,J.,et al.,Eur.J.Pharmacol.21:525(1−3):8−17,2005)。つまり、モルモット脳膜ホモジネート(約300μgタンパク質)および約5nM[H](+)−ペンタゾシン(34.9Ci/mmol、Perkin Elmer,Boston,MA)を使用し、96ウェルプレートにおいて、σ受容体結合アッセイを行った。該総培養時間は室温で90分であった。非特異的結合は、10μMの冷ハロペリドルを含有する試料から決定した。90分後、96チャネルトランスファピペット(Fisher Scientific、Pittsburgh,PA)を使用し、150μLの氷冷洗浄緩衝液(10mM Tris−HCl、150mM NaCl、pH7.4)を添加することによって該反応を終了した。該試料を採取し、pH8.0の50mM Tris−HCl緩衝液100μLに1時間予浸されている96ウェルファイバーグラスろ板(Millipore、Billerica,MA)を介して迅速にろ過した。200μLの氷浴洗浄緩衝液で各フィルタを3回洗浄し、該フィルタをWallac 1450 MicroBeta液体シンチレーションカウンタにおいてカウントした(Perkin Elmer、Boston,MA)。
【0031】
σ受容体結合アッセイは、σ部位を遮断するための1μM(+)−ペンタゾシンの存在下で、ラット肝臓膜ホモジネート(約300μgタンパク質)および約5nMの[H]DTG(58.1Ci/mmol、Perkin Elmer、Boston,MA)を使用して実施した。該培養時間は室温で120分であった。非特異的結合は、10μMの冷ハロペリドルを含有する試料から決定した。すべての他の手順は、上記のσ受容体結合アッセイに関して説明したものと同一であった。
【0032】
競合的阻害実験から得たデータは、非線形回帰分析を使用してモデル化し、放射性リガンド(IC50値)の特異的結合の50%を阻害する濃度を決定した。競合的曲線は、1サイトフィットに最善に適合し、擬Hill係数0.6〜1.0を付与した。Ki値は、ChengおよびPrusoff(Biochem.Pharmacol.22:3099−3108,1973)の方法を使用して計算し、平均±1SEMとして表わされる。これらの計算の場合、[H](+)−ペンタゾシンおよびモルモット脳にはKd値7.89nMを使用し、[H]DTGおよびラット肝臓には30.73nM20を使用した。
【0033】
該結合アッセイは、σ受容体の場合、[H](+)−ペンタゾシンを使用し、σ受容体の場合、100nM(+)−ペンタゾシンの存在下で、[H]1,3−ジ(2−トリル)グアニジン([H]DTG)を使用した。該Ki値は、スキャッチャード(Scatchard)プロットから決定した。化合物3a〜fの結合アッセイの結果を表Iに示す。2炭素(3a)から4炭素(3c)のスペーサ基の長さを増大することによって、σ受容体に対する親和性において69倍の増大、σ受容体に対する親和性において15倍の増大、および化合物の親油性の尺度であるログD値において0.5単位の増加をもたらす(表I)。4つの炭素スペーサを持つ5つの化合物(3c〜f)のうちの4つは、2つの炭素スペーサ(Ki=22,750nM)を有する化合物(3a)よりもσ受容体に対して高い親和性を有したが(それらのKi値は330〜2,150nMの範囲)、σ受容体に対する3c〜fの親和性は、比例してさらに増加し(それらのKi値は0.26〜6.95nMの範囲)、それらのσ:σ比における実質的な増加に至る(表I)。
【0034】
化合物3c〜fのσ:σ比は、 48〜8,190まで異なった。化合物3c〜fの優れたσ受容体親和性および中度から高度のσ:σ比は、それらの対応する18F標識アナログが、PETを用いた固体腫瘍のσ受容体状態を造影するための有用な放射性トレーサとなることを示した。またそれらの親油性の尺度であるこれらの化合物のログD値は、固体腫瘍において高い取り込みに至るべき範囲内である(Xu,J.,et al.,Eur.J.Pharmacol.21:525(1−3):8−17,2005)。
【0035】
【表1】


実施例6
【0036】
本実施例は、本教示の化合物の体内評価を説明する。すべての動物実験は、ワシントン大学動物研究委員会(Washington University’s Animal Studies Committee)によって確立された研究動物のケアおよび使用のためのガイドライン(Guidelines for the Care and Use of Research Animals)に準拠して行った。EMT−6マウス乳腺癌細胞(リン酸緩衝生理食塩水100μL中5×105細胞)を雌Balb/cマウスの肩甲骨領域に皮下的に移植した(およそ2カ月齢および17〜22g、Charles River Laboratories)。生体内分布研究は、腫瘍サイズがおよそ0.2cm3(約200mg)である場合に、移植から7〜10日後に開始した。
【0037】
生体内分布研究の場合、100〜150μLの生理食塩水中、10〜120μCiの[18F]3c、[18F]3d、[18F]3eまたは[18F]3fを、尾静脈を介して、EMT−6腫瘍を担持する雌Balb/cマウスに注射した。少なくとも4匹のマウス群を各時点に使用した。注射から5分、30分、60分および120分後に、マウスを安楽死させ、血液、肺、肝臓、腎臓、筋肉、脂肪、心臓、脳、骨、および腫瘍の試料を除去し、計量して、Beckman Gamma8000ウェルカウンタにおいてカウントした。カウントした後、組織のグラム当たりの注射用量のパーセンテージ(%ID/g)を計算した。腫瘍/臓器比は、腫瘍の%ID/gを各臓器の%ID/gで割ることによって計算した。
【0038】
EMT−6腫瘍を担持するBalb/cマウスにおける生体内分布研究の結果を表IIに示す。すべての4つの標識化合物は、注射後5分で良好な腫瘍取り込みを示し、値はグラム当たりの注射容量の2.5〜3.7%(%ID/g)の範囲であった。注射1時間後の腫瘍取り込みは、リガンド[18F]3c、[18F]3d、[18F]3eおよび[18F]3fのそれぞれに対して高く維持され(それぞれ1.14、2.09、2.72、および2.15%ID/g)、正常組織、脂肪および筋肉のそれと比較して、注射2時間において比較的に高く維持された(それぞれ0.64、0.96、1.92および1.15%ID/g)。これは、PET造影研究のための許容し得る腫瘍:正常組織比をもたらし、例えば、それぞれ注射後2時間で、腫瘍:筋肉比は3〜4の範囲、腫瘍:脂肪比は4.5 〜8の範囲となった。また4つの標識化合物すべての低い骨取り込みも、30分から1時間の時点の間に減少を続け、これらの化合物が体内で有意な脱フッ素を経ないことを示唆する。
【0039】
化合物[18F]3fは、静脈注射から2時間後に最高の腫瘍:筋肉比(約8)および腫瘍:脂肪比(約7)を有した(図6)。[18F]3cおよび[18F]3dの腫瘍:脂肪比も高く、静脈注射から2時間後、それぞれ約8および約6に至った。しかしながら、[18F]3cおよび[18F]3dの腫瘍:筋肉比は、[18F]3fのそれよりもはるかに低かった。[18F]3dおよび[18F]3eの腫瘍取り込みは、注射から1時間後および2時間後の両方において[18F]3cのそれより高いが、これらの放射性トレーサは、[18F]3cよりも血液からはるかにゆっくりと除去され(表II)、PET造影剤として[18F]3cよりも望ましくない。中度から高度の腫瘍:正常組織比および[18F]3cおよび[18F]3fの迅速な血液からの除去は、これらの放射性トレーサがPETを用いる固体腫瘍の造影に対する最善の候補である可能性が高いことを示唆する。その結果、これら2つの放射性トレーサをさらなる研究のために選択して、PETを用いて固体腫瘍を検出し、それらのσ受容体を造影することに対する適切性を評価する。
【0040】
【表2】


実施例7
【0041】
本実施例は、本教示の化合物によるσ受容体の体内結合の特異性を説明する。
【0042】
18F]3cおよび[18F]3fの体内結合がσ受容体に特異的であることを示すために、担体無添加用量のこれらの放射性トレーサを、EMT−6腫瘍を担持するマウスに、σおよびσ受容体に対する高い親和性を示すシグマリガンドのN−(4−フルオロベンジル)ピペリジニル−4−(3−ブロモフェニル)アセトアミド(YUN−143)と、混注した。YUN−143と[18F]3cまたは[18F]3fのいずれかを混注することによって、注射後1時間における腫瘍:筋肉比および腫瘍:脂肪比が有意に減少した(約50%)(図7)。
【0043】
腫瘍担持マウスにおけるこれらの遮断研究は、1mg/kgの低温のN−(4−フルオロベンジル)ピペリジニル−4−(3−ブロモフェニル)アセトアミド(YUN−143)を[18F]3cまたは[18F]3fと混注することによって行った。Yun−143は、σおよびσ受容体両方に対して高い親和性を有し、シグマ受容体遮断研究に日常的に使用される(Mach,R.H.,et al.,Nucl Med Biol.28:451-458,2001、Bowen,W.D.et al.,Eur.J.Pharmacol.278:257-260,1995、Bonhaus,D.W.et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.267:961,1993)。すべてのマウスを放射性トレーサの注射60分後に安楽死させ、腫瘍:臓器比は、前述のように決定した。図7に表されるデータは、[18F]3cおよび[18F]3f両方が、体内で選択的にσ受容体に結合することを示す。
実施例8
【0044】
本実施例は、造影剤としての本教示の放射性リガンドの使用を説明する。
【0045】
本教示の放射性リガンドを、固体腫瘍のσ受容体状態を決定するためのPET造影剤として使用する実行可能性を確認するために、EMT−6腫瘍を担持する雌Balb/cマウスにおいて[18F]3cまたは[18F]3fのいずれかを使用するCT/PET研究をマイクロPET−F220(CTI−Concorde Microsystems Inc.)およびMicroCAT−IIシステム(ImTek Inc.)で行った。該マイクロPET研究の場合、各マウスに約0.25mCiの[18F]3cまたは[18F]3fのいずれかを尾静脈を介して注射し、1時間後に造影した。MicroCT画像もPET画像とともに取得および重ね合わせて、放射性トレーサの正確な解剖学的位置を決定した。
【0046】
これらの研究において、EMT−6腫瘍は、どちらの放射性リガンドを使用しても容易に同定でき、したがってこれらの放射性リガンドが固体腫瘍を検出し、それらのσ受容体の状態をPETで造影するために許容される薬剤であることを示している(図8)。
実施例9
【0047】
本実施例は、置換2−ヒドロキシ安息香酸アミド類、化合物2a−e、特に化合物2aの合成のための一般的な方法を説明する。
【0048】
N−[2−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−エチル]−2−ヒドロキシ−5−メチル−ベンズアミド(化合物2a)を合成するために、1,3−ジシクロヘキシカルボジイミド(432.6mg、2.1mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(283.8mg、2.10mmol)を、氷水浴で冷却した、30mlジクロロメタン中の1a(472.0mg、2.0mmol)および2−ヒドロキシ−5−メチル−安息香酸(152mg、2.0mmol)溶液に添加した。該反応混合物を一晩撹拌した後、20%メタノールおよび80%エチルエーテルを移動相として用いる薄層クロマトグラフィーを使用する産生物の解析は、該反応が完了したことを示した。該反応の完了後、別の50mlジクロロメタンを該混合物に添加した。次いで、有機溶媒を水性飽和NaHCO溶液および塩水で連続して洗浄した。該有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒の除去後に、20%メタノールおよび80%エチルエーテルを移動相として用いるカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製した。2aの収率は37.1%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、2.25(s,3H)、2.75−2.95(m,6H)、3.58−3.65(m,4H)、3.82−3.83(s,6H)、6.48−6.51(s,1H)、6.62−6.63(s,1H)、6.82−6.85(d,1H)、7.02(s,1H)、7.08(s,1H)、7.20(d,1H)であった。LCMS m/e:371.2(M+H)。
実施例10
【0049】
本実施例は、5−ブロモ−N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−ベンズアミド(化合物2b)の合成を説明する。
【0050】
化合物2bは、2aに関して前述のように、5−ブロモ−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−安息香酸および1bからから調製した。2bの収率は16.7%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.73−1.76(m,4H)、2.57−2.59(m,2H)、2.76−2.81(m,4H)、3.45−3.47(m,2H)、3.58−3.61(m,2H)、3.82(s,3H)、3.86(s,3H)、3.88(s,3H)、6.48−6.51(t,1H)、6.56−6.59(t,1H)、6.97−7.00(m,1H)、7.07−7.10(m,1H)であった。LCMS m/e:493.10(M+H)。
実施例11
【0051】
本実施例は、N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−ヒドロキシ−5−メチル−ベンズアミド(化合物2c)の合成を説明する。
【0052】
化合物2cは、2aに関して前述のように、2−ヒドロキシ−5−メチル安息香酸および1bから調製した。2cの収率は45%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.75(m,4H)、2.12(s,3H)、2.58(m,2H)、2.75-2.77(m,2H)、2.82-2.84(m,2H)、3.40-3.50(m,2H)、3.58(s,2H)、3.83(s,3H)、3.85(s,3H)、6.50(s,1H)、6.60(s,1H)、6.85-6.88(d,1H)、7.06(s,1H)、7.13-7.16(d,2H)、7.61(s,1H)であった。LCMS m/e:399.20(M+H)。
実施例12
【0053】
本実施例は、N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−ヒドロキシ−5−ブロモ−ベンズアミド(化合物2d)の合成を説明する。
【0054】
化合物2dは、2aに関して前述のように、5−ブロモ−2−ヒドロキシ−安息香酸および1bから調製した。2dの収率は28.0%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.71-1.81(m,4H)、2.55−2.85(m,6H)、3.44-3.48(m,2H)、3.58-3.60(m,2H)、3.82(s,3H)、3.89(s,3H)、6.50(s,1H)、6.59(s,1H)、6.82-6.84(d,1H)、7.30-7.40(d,1H)、7.52(d,1H)、8.30(s,1H)であった。Anal.(C2227BrN.1.25HO)C、H、N。
実施例13
【0055】
本実施例は、N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−yl)−ブチル]−2−ヒドロキシ−5−ヨード−ベンズアミド(2e)の合成を説明する。
【0056】
化合物2eは、2aに関して前述のように、2−ヒドロキシ−5−ヨード−安息香酸および1bから調製した。2eの収率は、27.0%であった。精製された生成物の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.69-1.81(m,4H)、2.54-2.65(m,2H)、2.75-2.83(m,2H)、3.44-3.48(m,2H)、3.58(s,2H)、3.82(s,3H)、3.85(s,3H)、6.50(s,1H)、6.58(s,1H)、6.70-6.74(d,1H),7.54-7.55(d,1H)、7.65-7.67(d,1H)、8.20(s,1H)であった。Anal.(C2227IN.0.75HO)C、H、N。
実施例14
【0057】
本実施例は、置換2−(2−フルオロエトキシ)安息香酸アミド類、3a−e、特に化合物3aの合成のための一般的な方法を説明する。
【0058】
[N−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−エチル]−2−(2−フルオロ−エトキシ)−5−メチル−ベンズアミド(化合物3a)を合成するために、炭酸カリウム(792.5mg、4.88mmol)を、アセトン(60mL)中の2a(278mg、0.75mmol)および2−ブロモ−1−フルオロエタン(620mg、4.88mmol)の溶液に添加した。5%メタノールおよび95%エチルエーテルを移動相として用いる薄層クロマトグラフィーによって反応の完了が決定されるまで、該反応混合物を48時間還流させた。該溶媒を蒸発させて、水30 mlをフラスコに添加し、次いで、ジクロロメタン(25mL×3)を用いて混合物を抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、5%メタノールおよび95%エチルエーテルを移動相として使用する、カラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製した。3aの収率は90%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、2.33(s,3H)、2.64−2.80(m,6H)、3.63−3.75(m,4H)、3.84(s,3H)、3.86(s,3H)、4.16(m,1H)、4.21(m,1H)、4.41(m,1H)、4.60(m,1H)、6.55(s,1H)、6.61(s,1H)、6.78−6.81(d,1H)、7.20(d,1H),8.00(s,1H)、8.28(s,1H)であった。LCMS m/e:417.22(M+H)。体外結合実験の場合は、遊離基を塩酸塩に変換した。m.p.159−161℃。Anal.(C2330ClFN)。C、H、N。
実施例15
【0059】
本実施例は、5−ブロモ−N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−(2−フルオロ−エトキシ)−3−メトキシ−ベンズアミド(化合物3b)の合成を説明する。
【0060】
化合物3bは、3aに関して前述のように、2bから調製した。収率は50%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.64(m,4H)、2.48−2.52(t,3H)、2.64−2.66(t,3H)、2.74−2.78(t,3H)、3.42−3.55(m,4H)、3.79−3.87(m,9H)、4.19−4.22(t,2H)、4.29−4.32(t,2H)、4.58−4.61(t,2H)、4.74−4.77(t,2H)、6.47(s,1H)、6.54(s,1H)、7.07(d,1H)、7.78(d,1H)、8.10(s,1H)であった。体外結合実験の場合は、遊離基をシュウ酸塩に変換した。m.p.127−129℃。LCMS m/e:590.30(M+Li)。Anal.(C2633BrFN)。
実施例16
【0061】
本実施例は、N−[6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル−ブチル]−2−(2−フルオロ−エトキシ)−5−メチル−ベンズアミド(化合物3c)の合成を説明する。
【0062】
化合物3cは、3aに関して前述のように、2cから調製した。3cの収率は67%であった。精製された生成物の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.67−2.00(m,4H)、2.33(s,3H)、2.51−2.56(t,3H)、2.67−2.72(t,3H),3H)、2.78−2.82(t,3H)、3.48−3.54(m,4H)、3.82(s,3H)、3,83(s,3H)、4.21−4.24(t,1H)、4.30−4.33(t,1H)、4.68−4.71(t,1H)、4.84−4.87(t,1H)、6.49(s,1H),6.57(s,1H)、6.79−6.82(d,1H)、7.20(m,1H)、7.96(s,1H)、7.99−7.80(d,1H)であった。LCMS m/e:445.25(M+H)。体外結合実験の場合は、遊離基をシュウ酸塩に変換した。m.p.131−133℃。Anal.(C2634FN)。
実施例17
【0063】
本実施例は、N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−(2−フルオロ−エトキシ)−5−ブロモ−ベンズアミド(化合物3d)の合成を説明する。
【0064】
化合物3dは、3aに関して前述のように、2dから調製した。3dの収率は38.90%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.57-1.80(m,4H)、2.62−2.66(m,3H)、2.78−2.82(m,3H)、3.48−3.51(m,2H)、3.60-3.64(m,2H)、3.82(s,3H)、3,83(s,3H)、4.21−4.25(t,1H),4.31−4.35(t,1H)、4.70−4.74(t,1H),4.86−4.90(t,1H)、6.49(s,1H)、6.57(s,1H)、6.78−6.82(d,1H)、7.48-7.52(d,1H)、7.96(s,1H),8.26(d,1H)であった。LCMS m/e:509.1(M+H)。体外結合実験の場合は、遊離基をシュウ酸塩に変換した。m.p.119−121℃。Anal.(C2531BrFN)。
実施例18
【0065】
本実施例は、N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−(2−フルオロ−エトキシ)−5−ヨード−ベンズアミド(化合物3e)の合成を示す。
【0066】
化合物3eは、3aに関して前述のように、2eから調製した。3eの収率は41.4%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.61-1.72(m,4H)、2.46-2.52(m,2H)、2.67-2.71(m,2H)、2.76-2.78(m,2H)、3.41-3.47(m,2H)、3.52(t,2H)、3.80(s,3H),3.83(s,3H)、4.19-4.21(m,1H)、4.27-4.31(m,1H)、4.67-4.71(m,1H)、4.83-4.86(m,1H)、6.46(s,1H)、6.55(s,1H)、6.62-6.66(d,1H)、7.62-7.67(m,1H)、7.87(s,1H)、8.40-8.41(d,1H)であった。LCMS m/e:557.13(M+H)。体外結合実験の場合は、遊離基をシュウ酸塩に変換した。m.p.121−123℃。Anal.(C2531FIN)。
実施例19
【0067】
本実施例は、置換5−ブロモ−安息香酸誘導体をそれらの置換5−トリブチルスタンナニル安息香酸誘導体、特に化合物3gに合成するための一般的な方法を説明する。
【0068】
N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−(2−フルオロ−エトキシ)−3−メトキシ−5−トリブチルスタンニル−ベンズアミド(化合物3g)を合成するために、20mlの新たに蒸留したトルエン中の3b(200mg,0.371mmol)の溶液を介して、窒素を5〜10分間泡立てた。該システム全体をアルミホイルで被覆した。テトラキス(トリフェニルホシフィンパラジウム(0)[(PPhPd(0)](42mg,0.036mmol)およびビス(トリブチルスズ)[Sn(C(575mg,0.99mmol)を反応混合物に添加し、油浴を用いて110℃で一晩加熱した。45%ヘキサン、45%エチルエーテル、および10%メタノールを移動相として用いる薄層クロマトグラフィーを使用して、該反応がいつ完了したか評価した。該反応を停止させた後、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製し、スズ中間物3gを単離した。3gの収率は64%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、0.87-1.58(m,27H)、1.61-1.69(m,4H)、2.56(s,2H)、2.72(s,2H)、2.81-2.82(s,2H)、3.47-3.49(d,2H)、3.57(s,2H)、3.83(s,6H)、3.88(s,3H)、4.25(d,1H)、4.37(s,1H)、4.62-4.65(s,1H)、4.78-4.81(s,1H)、6.51(s,1H)、6.58(s,1H)、7.81(s,1H)、8.07(s,1H)であった。LCMS m/e: 747.60(M−H)であった。
実施例20
【0069】
本実施例は、安息香酸誘導体のスズ前駆体をそれらの対応するヨード置換安息香酸誘導体、特に化合物3fに変換するための一般的な方法を説明する。
【0070】
(N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−(2−フルオロ−エトキシ)−3−メトキシ−5−ヨード−ベンズアミド(3f)を合成するために、溶液の色が持続するまで、CHCl(5mL,0.5M)中のヨード溶液を、20ml CHCl中のスズ前駆体3g(258mg,0.34mmol)の溶液に滴下添加した。該反応物を室温で30分間撹拌し、該溶液が無色になるまで、5%水性NaHSOの溶液を添加した。該混合物をCHClで抽出し、有機層を塩水で洗浄した後、NaSOで乾燥させた。次いで、該有機層を真空下で濃縮し、シリカゲルカラムを使用して15%メタノールおよび85%エーテルを移動相として用いて精製し、3fを単離した。3fの収率は36%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.60-1.80(m,2H)、1.80-2.10(m,4H)、3.19-3.2(m,2H)、3.40-3.50(m,2H)、3.68(m,2H),3.83(m,2H)、3.92(s,3H)、3.95(s,3H)、3.99(s,3H)、4.26(t,1H)、4.37(s,1H)、4.65(s,1H)、4.80(s,1H)、6.50(s,1H)、6.58(s,1H)、7.28(d,1H)、8.02(d,1H)、8.21(s,1H)であった。LCMS m/e:587.14(M+H)。体外結合実験の場合は、遊離基をシュウ酸塩に変換した。m.p.125−127℃。Anal.(C2633FIN)。
実施例21
【0071】
本実施例は、置換2−ヒドロキシ安息香酸誘導体をそれらの置換2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−安息香酸アミド、特に化合物4cに変換するための一般的な方法を説明する。
【0072】
N−[4−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル−ブチル]−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−5−メチル−ベンズアミド(化合物4c)を合成するために、無水炭酸カリウム(546.0mg,3.26mmol)を60mLのアセトン中の2c(200.0mg,0.5mmol)および2−酢酸ブロモエチル(547.0mg,3.27mmol)の溶液に添加した。窒素下で、48時間、該反応混合物を還流させた。48時間後、15%メタノールおよび85%エーテルを移動相として用いる薄層クロマトグラフィーは、該反応が完了したことを示した。該溶媒を蒸発させた後、残渣を30mlの水に溶解し、酢酸エチル(20×3mL)で抽出した。次いで、有機構成要素を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮し、最終産生物を精製して2−{2−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチルカルバモイル]−4−メチル−フェノキシ}−エチルエステルを単離した。この中間物の収率は82.2%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.70(m,4H)、2.01(s,3H)、2.33(s,3H)、2.56(m,2H)、2.71-2.73(m,2H)、2.81(m,2H)、3.50-3.52(m,2H)、3.55(s,2H)、3.83(s,3H)、3.84(s,3H)、4.23(t,2H)、4.50(t,2H)、6.50(s,1H)、6.58(s,1H)、6.78−6.82(d,1H)、7.18-7.25(d,1H)、7.95(s,1H)、8.02(s,1H)であった。
【0073】
20mLのメタノールおよび10mLの水中のこの中間物(182mg,0.375mmol)の溶液に、NaOH(30mg,0.75mmol)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を一晩撹拌した。次いで、0.375mLの2N HClを添加して、溶液を中和した。該溶媒を蒸発させた後、残渣を60mLの酢酸エチルに溶解した。該溶液を最初に水、次いで、塩水で洗浄し、最後に無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。該溶媒を蒸発させた後、粗生成物をシルカゲルカラム上で精製した。4cの収率は96%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.68−1.85(m,4H)、2.39(s,3H)、2.45(s,1H)、2.51−2.61(m,2H)、2.80−2.87(m,4H)、3.45−3.61(m,4H)、3.76−3.80(t,2H)、3.83(s,3H)、3.85(s,3H)、3.83(s,3H)、4.05-4.08(t,2H)、6.49(s,1H)、6.60(s,1H)、6.79-6.83(d,1H)、7.15-7.19(d,2H)、7.93(s,1H)、8.30(s,1H)であった。
実施例22
【0074】
本実施例は、5−ブロモ−N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−ベンズアミド(化合物4d)の合成を示す。
【0075】
化合物4dは、4cに関して前述のように、2dから調製した。化合物4dの収率は70%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.65−1.90(m,4H)、2.66-2.70(m,2H)、2.92(m,4H)、3.51-3.54(m,2H)、3.72(m,2H)、3.72-3.81(t,2H)、3.83(s,3H)、3.85(s,3H)、4.05-4.09(t,2H)、6.51(s,1H)、6.60(s,1H)、6.77-6.81(d,1H)、7.44-7.48(d,2H)、8.17(s,1H)、8.30(s,1H)であった。
実施例23
【0076】
本実施例は、N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−5−ヨード−ベンズアミド(化合物4e)の合成を説明する。
【0077】
化合物4eは、4cに関して前述のように、2eから調製した。4eの収率は77%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl) は、1.60-1.90(m,4H)、2.63-2.66(m,3H)、2.90(s,2H)、3.52-3.55(m,2H)、3.70(m,2H)、3.79-3.82(t,2H)、3.83(s,3H)、3.85(s,3H)、4.08-4.10(t,2H)、6.50(s,1H)、6.60(s,1H)、6.67-6.70(d,1H)、7.60-7.70(d,1H)、8.30(s,1H)、8.40−8.41(d,1H)であった。
実施例24
【0078】
本実施例は、本教示の置換2−ヒドロキシ−エトキシ安息香酸アミドをそれらのメタンスルホン酸エステル、特に化合物5cに変換するための一般的な方法を説明する。
【0079】
2−(2−(4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ブチルカルバモイル)−4−メチルフェノキシ)エチルメタンスルホン酸(化合物5c)を合成するために、塩化メタンスルホン酸(120mg,1.04mmol)を氷浴冷却した30mlジクロロメタン中の4c(354mg,0.8mmol)およびトリエチルアミン(242mg,2.4mmol)の溶液に添加した。5%メタノールおよび95%ジクロロメタンを移動相として使用する薄層クロマトグラフィーが該反応の完了を示すまで、該反応混合物を3時間撹拌した。3時間後、20mLのジクロロメタンを添加し、溶液を最初に飽和炭酸ナトリウム水溶液(20mL×3)、次いで、塩水で洗浄し、最後に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。該溶媒を蒸発させた後、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製し、5cを単離した。5cの収率は81.6%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、2.07-2.10(m,4H)、2.71(s,3H)、2.80-3.00(m,2H)、3.08-3.20(m,4H)、3.40(m,3H)、3.80-4.00(m,4H)、4.20(s,3H)、4.22(s,3H)、4.60-4.68(t,2H)、4.95-4.97(t,2H)、6.88(s,1H)、6.95(s,1H)、7.15-7.18(d,1H)、7.50-7.60(d,1H)、8.20(s,1H)、8.19(s,1H)であった。Anal.(C2636S)C、H、N。
実施例25
【0080】
本実施例は、2−(4−ブロモ−2−(4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ブチルカルバモイル)フェノキシ)エチルメタンスルホン酸エチル(化合物5d)の合成を説明する。
【0081】
化合物5dは、5cに関して前述のように、4dから調製した。5dの収率は77%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.72-1.75(m,4H)、2.61-2.68(m,2H)、2.85(s,3H)、3.05(s,2H)、3.42-3.58(m,4H)、3.68(s,2H)、3.82(s,3H)、3.83(s,3H)、4.29(t,2H)、4.60(t,2H)、6.50(s,1H)、6.57(s,1H)、6.70-6.77(d,1H)、7.45-7.55(d,1H)、7.95(s,1H)、8.20−8.22(d,1H)であった。LCMS m/e:585.10(M+H)。
実施例26
【0082】
本実施例は、2−(2−(4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ブチルカルバモイル)−4−ヨードフェノキシ)メタンスルホン酸エチル(化合物5e)の合成を説明する。
【0083】
化合物5eは、5cに関して前述のように、4eから調製した。5eの収率は80%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.60-1.80(m,4H)、2.52-2.55(m,2H)、2.67-2.70(m,2H)、2.70-2.78(m,2H)、3.02(s,3H),3.46-3.52(m,4H)、3.82(s,3H)、3.83(s,3H)、4.23-4.26(t,2H)、4.56-4.60(t,2H)、6.48(s,1H)、6.55(s,1H)、6.60-6.64(d,1H)、7.64-7.68(d,1H)、7.85(s,1H)、8.38−8.39(d,1H)であった。LCMS m/e:633.10(M+H)。
実施例27
【0084】
本実施例は、2−(2−アセトキシ−エトキシ)−5−ブロモ−3−メトキシ−安息香酸メチルエステル(化合物7)の合成を説明する。
【0085】
本化合物を調製するために、最初に1.0mLの98%濃縮硫酸を、50mlのメタノール中5−ブロモ−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−安息香酸(化合物6)(1.0g,4.0mmol)溶液に添加した。20%酢酸エチルおよび80%ヘキサンを移動相として使用する薄層クロマトグラフィーが該反応の完了を示すまで、該反応混合物を一晩還流させた。メタノールを蒸発させた後、残渣を60mLの酢酸エチルに溶解し、飽和NaHCO水溶液および次いで、塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、該溶液を濃縮し、粗生成物をシルカゲルカラム上で精製して、中間物5−ブロモ−2−ヒドロキシ−3−メトキシ−安息香酸メチルエステルを単離した。この中間物の収率は94%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、3.88(s,3H)、3.95(s,3H)、7.09(d,1H)、7.55(t,1H)、10.96(d,1H)であった。
【0086】
炭酸カリウム(2.90g,21.0mmol)を60mLのアセトン中の上記中間物(0.84g、3.23mmol)および2−酢酸ブロモエチル(3.5g、20.96mmol)の溶液に添加した。20%酢酸エチルおよび80%ヘキサンを移動相として使用する薄層クロマトグラフィーが該反応の完了を示すまで、該反応混合物を72時間還流させた。該溶媒を蒸発させた後、残渣を30mLの水に溶解し、次いで、酢酸エチルで抽出した(25mL×3)。該有機溶媒を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、再懸濁して、シリカゲル上で精製した。7の収率は78%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、2.10(s,3H)、3.86(s,3H)、3.88(s,3H)、4.21-4.24(t,2H)、4.38-4.41(t,3H)、7.14(s,1H)、7.45(s,1H)であった。
実施例28
【0087】
本実施例は、2−(2−アセトキシ−エトキシ)−5−ヨード−3−メトキシ−安息香酸メチルエステル(化合物8)の合成を説明する。
【0088】
化合物8を合成するために、20mLの新たに蒸留されたトルエン中の2−(2−アセトキシ−エトキシ)−5−ブロモ−3−メトキシ−安息香酸メチルエステル(化合物7)(270mg、0.778mmol)を介して、窒素を5〜10分間泡立てた。該反応システムは、アルミホイルで被覆した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[(PPhPd(0)](100mg、0.087mmol)およびビス(トリブチルスズ)[Sn(C(899mg、1.55mmol)を該反応混合物に添加し、撹拌しながら油浴中110℃で一晩撹拌した。停止後、15%酢酸エチルおよび85%ヘキサンを移動相として使用する薄層クロマトグラフィーが該反応の完了を示した。次いで、産生物をシリカゲルカラム上で精製し、スズ前駆体2−(2−アセトキシ−エトキシ)−3−メトキシ−5−トリブチルスタンニル−安息香酸メチルエステルを単離した。該スズ前駆体の収率は37.3%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、0.8-1.75(m,27H)、2.10(s,3H)、3.87(s,3H)、3.89(s,3H)、4.24-4.27(t,2H)、4.38-4.41(t,2H)、7.09-7.30(s,1H)、7.35(s,1H)であった。
【0089】
CHCl(5mL、0.5M)中のヨード溶液を、20mLのCHCl中の上記スズ前駆体(680mg、1.22mmol)溶液に、該溶液の色が持続するまで滴下添加した。次いで、該反応物を室温で30分間撹拌し、該溶液が無色になるまで5%水性NaHSOのクエンチ溶液を添加した。該混合物をCHClで抽出し、有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させた。次いで、該有機層を真空下で凝縮し、シリカゲルカラムを使用して、15%酢酸エチルおよび85%ヘキサンを移動相として用いて精製した。化合物8の収率は90%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、2.10(s,3H)、3.85(s,3H)、3.88(s,3H)、4.21-4.25(t,2H)、4.37-4.41(t,2H)、7.29-7.30(s,1H)、7.63(s,1H)であった。
実施例29
【0090】
本実施例は、2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−5−ヨード−3−メトキシ−安息香酸(化合物9)の合成を説明する。
【0091】
化合物9は、置換2−ヒドロキシ安息香酸誘導体をそれらの置換2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−安息香酸アミドに変換するための一般的な方法において説明されるように、化合物8から調製した(実施例21)。化合物9の収率は81%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は3.89(s,3H)、3.93-3.96(t,2H)、4.33-4.36(t,2H)、7.08(s,1H)、7.62(s,1H)であった。
実施例30
【0092】
この実施例は、N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−5−ヨード−3−メトキシ−ベンズアミド(化合物4f)の合成を説明する。
【0093】
化合物4fは、置換2−ヒドロキシ安息香酸アミド(実施例9)の合成のための一般的な方法において記載されるように、9および1bから調製した。4fの収率は29%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.72-1.75(m,4H)、2.56(m,2H)、2.75-2.77(m,2H)、2.81-2.83(m,2H)、3.49-3.51(m,2H)、3.55(s,2H)、3.56-3.60(t,2H)、3.82(s,3H)、3.83(s,3H)、3.85(s,3H)、4.06-4.10(t,2H)、6.47(s,1H)、6.57(s,1H)、6.90(s,1H)、7.57(s,1H)、7.70-7.80(s,1H)であった。
実施例31
【0094】
本実施例は、2−(2−(4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)ブチルカルバモイル)−4−ヨード−6−メトキシフェノキシ)メタンスルホン酸エチル(化合物5f)の合成を説明する。
【0095】
化合物5fは、本教示の置換2−ヒドロキシ−エトキシ安息香酸アミドをそれらのメタンスルホン酸エステル(実施例24)に変換するための一般的な方法において記載されるように、4fから調製した。5fの収率は61%であった。精製された生成物のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、1.72(m,4H)、2.55(s,2H)、2.70(d,2H)、22.76(d,2H)、3.05(s,3H)、3.85(m,9H)、4.26(m,2H)、4.49(m,2H)、6.49(s,1H)、6.55(s,1H)、6.93(d,1H)、7.51(m,1H)、8.02(s,1H)であった。LCMS m/e:663.20(M+H)。Anal.(C2532FIN)C:算出値51.20、実測値36.61、C:算出値5.50、実測値4.34、N:算出値4.78、実測値3.12。
実施例32
【0096】
本実施例は、[18F]フルオリドの生産を説明する。
【0097】
18F]フルオリドは、JSW BC−16/8(Japan Steel Works)またはCS−15シクロトロン(Cyclotron Corp)のいずれかを使用し、濃縮18O水(95%)[反応:18O(p,n)18F]のプロトン照射によって、当施設で生産した。
実施例33
【0098】
本実施例は、置換2−(2−フルオロエトキシ)安息香酸アナログを、18F、特に[18F](N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−(2−フルオロ−エトキシ)−3−メトキシ−5−ヨード−安息香酸(化合物[18F]3f)で標識化するための一般的な方法を説明する。
【0099】
この合成の場合、[18F]フッ化物(100〜150mCi)を5−6mgのKryptofix222および0.75mgのKCOを含有する10mL Pyrexネジキャップチューブに添加した。HPLCグレードのアセトニトリル(3×1.0mL)を使用して、アルゴン気流下110℃で、この混合物から水を共沸的に蒸発させた。すべての水を除去した後、DMSO(0.2mL)中の前駆体5f(1.5〜2.0mg)溶液を18F/Kryptofix混合物を含有する反応容器に添加した。3mmガラスビードを該反応容器に添加して、試料をマイクロ波で照射する場合の均一な熱分散を保証し、特異的に設計された遠隔操作キャッピングステーション上で、該容器が固くキャップされるようにする。ボルテックスした後、25%メタノールおよび75%ジクロロメタン移動相を用いる薄層クロマトグラフィー走査が、取り込み収率が40〜60%であることを示すまで、該反応混合物をマイクロ波で30〜40秒間、媒体電力(60ワット)で照射した。
【0100】
6mLの水を添加および振動させた後、水(5〜8mL)の5%メタノール溶液で以前に洗浄されているC−18逆相Waters Oasisカートリッジ(HLB−6cc)に該溶液を注入した。次いで、該試料を6mLの水で3回洗浄し、未反応のフッ化物を排除した。保持された活性物を5〜8mLのアセトニトリルで溶出した。アセトニトリルを容積0.5mL未満になるまで蒸発させた後、該試料をC−18Alltech econosil半分取HPLCカラム(250x10um)上に載置した。29%アセトニトリルおよび71%の0.1Mギ酸アンモニウム緩衝液を用いて、流速4.5mL/分で生成物を溶出した。[18F]3fの滞留時間は約33分であった。[18F]3fを含有する溶液を濃縮し、生理食塩水中で再懸濁して、100μLアリコートを生体内分布および画像研究に使用する前に、品質管理解析に送った。全操作には約2時間を要した。
【0101】
Alltech econosil逆相C−18カラム(250x4.6mm)から成る分析的HPLCシステム上で、pH4.0〜4.5の35%アセトニトリルおよび65%0.1Mギ酸アンモニウム緩衝液の移動相を用いて、品質管理解析を行った。流速1.2mL/分で、[18F]3fは、99%より高い放射性化学的純度で、13.2分で溶出した。標識収率は約30%(減衰訂正)であって、比放射能は2000Ci/mmol以上であった。
実施例34
【0102】
本実施例は、[18F](N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−(2−フルオロ−エトキシ)−5−メチル−ベンズアミド(化合物[18F]3c)の合成を示す。
【0103】
以下の例外を除いて、化合物[18F]3cは、[18F]3fに関して前述のように、5cから調製した。半分取HPLC移動相は、39%のメタノールおよび61%の0.1Mギ酸塩緩衝液であった。流速3.5mL/分において、[18F]3cは、99%以上の放射性化学的純度で、約33分で溶出した。標識収率は約35%(減衰訂正)であって、比放射能は1500Ci/mmol以上であった。全操作には約2時間を要した。
【0104】
18F]3cの化学的特性が、非放射性の標準3cと同一であるかを確認するために、両方の化合物を分析的HPLCシステム上で、52%メタノールおよび48%の0.1Mギ酸塩緩衝液の移動相を用いて調べた。流速1.5mL/分において、2つの化合物は滞留時間最大4.7分で共溶出した。
実施例35
【0105】
本実施例は、[18F](N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−(2−フルオロ−エトキシ)−5−ブロモ−ベンズアミド(化合物[18F]3d)の合成を示す。
【0106】
以下の例外を除いて、化合物[18F]3dは、[18F]3fに関して前述のように、5dから調製した。半分取HPLC移動相は、13%のTHFおよび87%の0.1Mギ酸塩緩衝液であった。流速3.5mL/分において、[18F]3dは、98%以上の高い放射性化学的純度で、約20分で溶出した。標識収率は約30%(減衰訂正)であって、比放射能は1500Ci/mmol以上であった。全操作には約2時間を要した。
【0107】
18F]3dの化学的特性が、非放射性の標準3dと同一であるかを確認するために、両方の化合物を分析的HPLCシステム上で、38%アセトニトリルおよび62%の0.1Mギ酸塩緩衝液の移動相を用いて調べた。流速1.5mL/分において、2つの化合物は滞留時間約8分で共溶出した。
実施例36
【0108】
本実施例は、[18F](N−[4−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−ブチル]−2−(2−フルオロ−エトキシ)−5−ヨード−ベンズアミド(化合物[18F]3e)の合成を説明する。
【0109】
以下の例外を除いて、化合物[18F]3eは、[18F]3fに関して前述のように、5eから調製した。半分取HPLC移動相は、15%THFおよび85%0.1Mギ酸塩緩衝液であった。流速6.0mL/分で、[18F]3eは、99%以上の放射性化学的純度で、約35分で溶出した。標識収率は、約30%(減衰訂正)であり、比放射能は1500Ci/mmol以上であった。全操作には約2時間を要した。
【0110】
18F]3eの化学的特性が、非放射性の標準3eと同一であるかを確認するために、両方の化合物を分析的HPLCシステム上で、13%アセトニトリルおよび87%の0.1Mギ酸塩緩衝液の移動相を用いて調べた。流速2.0mL/分において、2つの化合物は滞留時間15.2分で共溶出した。
実施例37
【0111】
本実施例は、本教示の種々の化合物の元素分析を提供する。該データを表Vに表す。
【表3】


実施例38
【0112】
本実施例は、図9において、[18F]FDGと比較した本教示の[18F]3fを使用した神経膠腫の画像を示す。化合物[18F]3fを放射性トレーサとして使用する場合にコントラストがより優れていることに留意されたい。
本明細書で論じられる特許および発行物は、参照することによって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式:
【化1】

[式中:
mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、RおよびRの各々は、H、I、Br、ClおよびFからなる群より選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNHからなる群より独立して選択される]
で示されるフルオロアルコキシベンズアミド化合物またはそれらの塩。
【請求項2】
m=2であり、n=4であり、RがHであり、RがCHである、請求項1記載のフルオロアルコキシベンズアミド化合物またはその塩。
【請求項3】
m=2であり、n=4であり、RがHであり、RがBrである、請求項1記載のフルオロアルコキシベンズアミド化合物またはその塩。
【請求項4】
m=2であり、n=4であり、RがHであり、RがIである、請求項1記載のフルオロアルコキシベンズアミド化合物またはその塩。
【請求項5】
m=2であり、n=4であり、RがOCHであり、RがIである、請求項1記載のフルオロアルコキシベンズアミド化合物またはその塩。
【請求項6】
構造式:
【化2】

[式中、
mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、RおよびRの各々は、H、I、Br、ClおよびFからなる群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNHからなる群より独立して選択される]
で示される放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物、またはそれらの塩。
【請求項7】
m=2であり、n=4であり、RがHであり、RがCHである、請求項6記載の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物またはその塩。
【請求項8】
m=2であり、n=4であり、RがHであり、RがBrである、請求項6記載の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物またはその塩。
【請求項9】
m=2であり、n=4であり、RがHであり、RがIである、請求項6記載の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物またはその塩。
【請求項10】
m=2であり、n=4であり、RがOCHであり、RがIである、請求項6記載の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物またはその塩。
【請求項11】
構造式:
【化3】

で示されるフルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための方法であって、
【化4】

で示される化合物を
【化5】

で示される化合物と反応させるステップを含み、式中、mが1〜約10の整数であり、nが1〜約10の整数であり、RおよびRが、H、Br、ClおよびFからなる群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNHからそれぞれ独立して選択される、方法。
【請求項12】
請求項11に記載のフルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための方法であって、
【化6】

および
【化7】

を接触させ、それによって
【化8】

を形成するステップと、をさらに含む、方法。
【請求項13】
m=2であり、n=2であり、RがHであり、RがCHである、請求項11記載のフルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための方法。
【請求項14】
m=2であり、n=4であり、RがOCHおよびHから成る群から選択され、RがBr、CH、およびIから成る群から選択される、請求項11記載のフルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための方法。
【請求項15】
m=2であり、n=4であり、RがHであり、RがIである、請求項11記載のフルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための方法。
【請求項16】
構造式:
【化9】

の化合物を合成するための方法であって、構造式:
【化10】

の化合物をヨウ化するステップを含み、式中、mが1〜約10の整数であり、nが1〜約10の整数であり、A、AおよびAが、それぞれ独立してC1−4アルキルであり、RがHおよびC1−4アルコキシから成る群から選択される、方法。
【請求項17】
m=2であり、n=4である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
、AおよびAの少なくとも1つが、n−ブチル部分、iso−ブチル部分、sec−ブチル部分、およびtert−ブチル部分からなる群から選択されるブチル部分である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
、AおよびAが、それぞれn−ブチル部分であり、m=2であり、n=4であり、Rがメトキシである、請求項16記載の方法。
【請求項20】
構造式:
【化11】

の化合物をスタニル化して、構造式:
【化12】

の化合物を形成するステップをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】
構造式:
【化13】

の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための方法であって、
i)有機溶媒、ii)構造
【化14】

の化合物、iii)18F−、iv)4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサン、およびv)カリウム塩を含む混合物を形成するステップを含み、式中、mが1〜約10の整数であり、nが1〜約10の整数であり、RおよびRが、H、Br、BlおよびFから成る群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNHからそれぞれ独立して選択される、方法。
【請求項22】
m=2であり、n=4であり、RがHおよびOCHから成る群から選択され、RがCH、BrおよびIから成る群から選択される、請求項21記載の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための方法。
【請求項23】
m=2であり、n=4であり、RがOCHであり、RがIである、請求項21記載の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための方法。
【請求項24】
前記カリウム塩がKCOである、請求項21記載の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための方法。
【請求項25】
前記有機溶媒がジメチルスルホキシドである、請求項21記載の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための方法。
【請求項26】
前記有機溶媒がアセトニトリルである、請求項21記載の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための方法。
【請求項27】
前記混合物を加熱するステップをさらに含む、請求項21記載の放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物を合成するための方法。
【請求項28】
哺乳動物における腫瘍を造影する方法であって、
構造式:
【化15】

[式中、mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、RおよびRは、H、I、Br、ClおよびFからなる群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNHからなる群より独立して選択される]
で示される放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物またはその塩を哺乳動物に投与するステップと、
前記哺乳動物をポジトロン放出断層撮影(PET)走査に供するステップと、を含む、方法。
【請求項29】
m=2であり、n=4であり、RがHおよびOCHからなる群から選択され、RがCH、BrおよびIから成る群から選択される、請求項28記載の腫瘍を造影する方法。
【請求項30】
m=2であり、n=4であり、RがHであり、RがCHである、請求項28記載の腫瘍を造影する方法。
【請求項31】
m=2であり、n=4であり、RがHであり、RがBrである、請求項28記載の腫瘍を造影する方法。
【請求項32】
m=2であり、n=4であり、RがHであり、RがIである、請求項28記載の腫瘍を造影する方法。
【請求項33】
m=2であり、n=4であり、RがOCHであり、RがIである、請求項28記載の腫瘍を造影する方法。
【請求項34】
構造式:
【化16】

[式中、mは1から約10の整数であり、nは1から約10の整数であり、RはH、I、Br、ClおよびFからなる群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNHからなる群より選択される]
で示される化合物またはそれらの塩。
【請求項35】
m=2であり、n=4である、請求項34記載の化合物またはその塩。
【請求項36】
RがHおよびC1−4アルコキシから成る群から選択される、請求項34に記載の化合物またはその塩。
【請求項37】
前記C1−4アルコキシがメトキシである、請求項34記載の化合物またはその塩。
【請求項38】
構造式:
【化17】

の化合物を合成するための方法であって、構造式:
【化18】

[式中、mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、A、AおよびAは、それぞれ独立してC1−4アルキルであり、RはH、I、Br、ClおよびFからなる群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNHからなる群から選択される]
で示される化合物を[123I]NaIおよび酸化剤と反応させるステップを含み、方法。
【請求項39】
m=2であり、n=4である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
RがHおよびC1−4アルコキシからなる群から選択される、請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記C1−4アルコキシがメトキシである、請求項40記載の方法。
【請求項42】
、AおよびAの少なくとも1つが、n−ブチル部分、iso−ブチル部分、sec−ブチル部分、およびtert−ブチル部分から成る群から選択されるブチル部分である、請求項38記載の方法。
【請求項43】
、AおよびAが、それぞれn−ブチル部分であり、m=2であり、n=4である、請求項38記載の方法。
【請求項44】
構造式:
【化19】

の化合物をスタニル化して、構造式:
【化20】

の化合物を形成するステップをさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項45】
前記酸化剤が、過酢酸、過酸化水素、クロラミンT(N‐クロロ‐p‐トルエンスルホンアミドナトリウム塩)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項38記載の方法。
【請求項46】
哺乳動物における固体腫瘍を造影する方法であって、構造式:
【化21】

[式中、mは1〜約10の整数であり、nは1〜約10の整数であり、Rは、H、Br、Cl、およびFからなる群から選択されるハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、C1−4フルオロアルコキシ、CF、OCF、SCH、SCF、およびNHからなる群より選択される]
で示される放射性標識フルオロアルコキシベンズアミド化合物またはその塩を前記哺乳動物に投与するステップと、
前記哺乳動物をポジトロン放出断層撮影(PET)走査に供するステップと、を含む、方法。
【請求項47】
m=2であり、n=4であり、RがHおよびメトキシから成る群から選択される、請求項46記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−529044(P2010−529044A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510556(P2010−510556)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/065555
【国際公開番号】WO2009/025914
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(597025806)ワシントン・ユニバーシティ (26)
【氏名又は名称原語表記】Washington University School of Medicine
【Fターム(参考)】