説明

画像診断システム及び磁場状態判定方法

【課題】磁場発生器の磁場状態を把握するとともに、磁場状態を改善することができる画像診断システム及び磁場状態判定方法を提供する。
【解決手段】磁場発生器110の磁場を計測するための複数の計測点を有している磁場計測用冶具300と、計測点と磁場発生器110との距離に基づいて磁場発生器110の磁場状態を判定したり、隣接する計測点間の距離に基づいて磁場発生器110の磁場状態を判定したりする判定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置、磁気共鳴撮像(MRI)装置またはX線コンピュータ断層(X線CT)装置などの画像診断装置で撮像された被検体のボリュームデータを用い、超音波画像のスキャン面と同一断面のリファレンス画像を表示する画像診断システム及び磁場状態判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像とリファレンス画像を表示する画像診断システムでは、磁場を発生する磁場発生器が被検体の近くに設置されている。超音波探触子の3次元の位置や傾きを検出する位置センサは、超音波探触子に取り付けられている。超音波探触子の3次元的な位置情報(位置及び傾き)は、磁場発生器から3次元空間に発生される磁気信号に基づいて位置センサによって検出される。位置センサで検出される位置情報に基づいて、ボリュームデータから超音波画像のスキャン面と同一断面のリファレンス画像を切り出して表示することが行われている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-151131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、磁性体等の磁場に影響を及ぼす障害物が位置センサ又は磁場発生器の近く存在する場合、位置センサの位置計測の信頼性を低下させ、正確な位置情報を得ることが困難になる。画像診断システムにおいては、リアルタイムに超音波検査により映し出される超音波画像とボリュームデータから切り出されたリファレンス画像との断面がずれることになり、断面表示の支援機能が損なわれる可能性がある。
【0005】
本発明は、磁場発生器の磁場状態を把握するとともに、磁場状態を改善することができる画像診断システム及び磁場状態判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決させるため、磁場を発生させる磁場発生器と、前記磁場発生器の磁気信号により位置情報を検出する位置センサを備え、位置情報に基づいて画像診断装置で予め撮像されたボリュームデータから、リアルタイムに構成された超音波画像のスキャン面と同一断面のリファレンス画像を切り出して表示部に表示する画像診断システムにおいて、前記磁場発生器の磁場を計測するための複数の計測点を有している磁場計測用冶具と、前記位置センサで計測された前記計測点の位置情報から前記計測点と前記磁場発生器との距離を算出する磁場発生器距離算出部と、前記磁場発生器距離算出部で算出された前記計測点と前記磁場発生器との距離に基づいて前記磁場発生器の磁場状態を判定する判定部とを備える。前記判定部は、前記磁場発生器距離算出部で算出された計測点と前記磁場発生器との距離と、予め定められた適正距離範囲とを比較することにより、前記磁場発生器の磁場状態を判定する。
【0007】
また、前記磁場発生器の磁場を計測するための複数の計測点を有している磁場計測用冶具と、前記位置センサで計測された前記計測点の位置情報から隣接する前記計測点間の距離を算出する計測点間距離算出部と、前記計測点間距離算出部で算出された隣接する前記計測点間の距離に基づいて前記磁場発生器の磁場状態を判定する判定部とを備える。前記判定部は、前記計測点間距離算出部で算出された隣接する計測点間の距離と、前記磁場計測用冶具における実際の計測点間の距離とを比較することにより、前記磁場発生器の磁場状態を判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、磁場発生器の磁場状態を把握するとともに、磁場状態を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の画像診断システムの構成図。
【図2】本発明の磁場計測用冶具300を示す図。
【図3】本発明の磁場発生器110の磁場計測を示す図。
【図4】本発明の磁場発生器110の磁場計測を示す図。
【図5】本発明の表示部108の表示形態を示す図。
【図6】本発明の表示部108の表示形態を示す図。
【図7】本発明の実行手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の画像診断システム及び磁場状態判定方法について図を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に本発明の画像診断システムの構成図を示す。同図に示すように、画像診断システムは、画像診断装置100で予め撮像されたボリュームデータからリファレンス画像を構成するリファレンス画像構成部104とリアルタイムに超音波画像を構成する超音波画像構成部200とを含んで構成されている。ボリュームデータとは、被検体の体内を、複数のスライス面にて撮像したマルチスライス画像データである。
【0012】
画像診断システムには、画像診断装置100により撮像されたボリュームデータが入力されるようになっている。画像診断装置100としては、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)、磁気共鳴撮影装置(MRI装置)を適用することができる。X線CT画像やMR画像は、検査者の手技に依存しない客観的な画像を得ることができる。一方で超音波診断装置では得られる画像は検査者の手技に依存した画像となる。そのため、X線CTやMR画像の超音波診断装置の同一断面の画像をリファレンス画像として使用することは有効である。被検体の組織の経時変化を超音波診断するような場合は、予め取得しておいた超音波画像のボリュームデータをリファレンス画像として描画させることもできる。
【0013】
図1において、超音波診断装置に一般的に備えられる機能についての記載が省略され、本発明の特徴に係るリファレンス画像の表示に係る主要部の機能が記載されている。図示のように、画像診断システムは、超音波画像を構成する系統と、リファレンス画像を再構成する系統とに大別できる。
【0014】
超音波画像構成系統は超音波探触子202と超音波画像構成部200を有して構成され、後者のリファレンス画像再構成系統はボリュームデータ記憶部102とリファレンス画像構成部104を有して構成される。
【0015】
超音波画像構成部200は、超音波探触子202から出力される反射エコー信号に基づいて超音波画像を構成する。また、超音波画像構成部200で構成された超音波画像には、位置センサ114の位置情報(位置及び傾き)が対応付けられている。
【0016】
一方、制御部112は、位置センサ114の位置情報に基づいて超音波探触子202のスキャン面座標を算出し、算出したスキャン面座標をリファレンス画像構成部104に出力するようになっている。リファレンス画像構成部104は、制御部112から入力されるスキャン面座標に対応した断層像データをボリュームデータ記憶部102から抽出して、リファレンス画像を再構成する。画像合成部106は、超音波画像構成部200で構成された超音波画像と、リファレンス画像構成部104で再構成されたリファレンス画像とを合成する。超音波画像とリファレンス画像の合成とは、それぞれの画像を並列に表示したり、重ね合わせて表示したりすることである。合成された超音波画像とリファレンス画像は表示部108に表示される。
【0017】
超音波探触子202は、被検体との間で超音波を送受信するものであり、超音波を発生すると共に反射エコーを受信する複数の振動子が内蔵されている。超音波画像構成部200は、超音波探触子202から出力される反射エコー信号を入力してデジタル信号に変換し、診断部位の例えば断層画像やカラーフローマッピング像(CFM像)の超音波画像を構成する。超音波画像構成部200は、構成した超音波画像を表示部108の表示形式に合わせるためのスキャンコンバータの機能を有している。
【0018】
ボリュームデータ記憶部102は、画像診断装置100で撮像されたボリュームデータを、ネットワークを介して又は光磁気ディスク(MO)等の可搬性記憶媒体を経由して取り込み、記憶しておくものである。
【0019】
位置センサ114は、超音波探触子202に取り付けられており、超音波探触子202の3次元的な位置および傾きを検出する。また、被検体が横臥するベッドの近くに、被検体を含む座標系の磁場発生器110が設置されている。磁場発生器110から3次元空間に発生される磁気信号を位置センサ114により検知し、磁場発生器110が形成する基準座標系における位置センサ114の3次元的な位置及び傾きを検出する。
【0020】
制御部112は、位置センサ114と磁場発生器110の出力信号に基づいて、基準座標系における超音波探触子202の位置及び傾きを求め、被検体に対する超音波スキャン面の位置及び傾きからなるスキャン面座標を算出する。また、リファレンス画像構成部104は、制御部112で算出したスキャン面座標に基づいて、リファレンス画像の座標系におけるスキャン面座標を算出する。つまり、ボリュームデータの座標系において、スキャン面の例えば一隅のx,y,z座標データ及びスキャン面のx,y,z軸周りの回転角度とからなるスキャン面座標を算出するようになっている。リファレンス画像構成部104は、算出されたスキャン面座標に基づいて、超音波スキャン面と同一断面のリファレンス画像をボリュームデータから再構成する。
【0021】
ここで、磁場発生器110の磁場計測は、特定の磁場計測用冶具300を用いて行われる。図2を用いて磁場計測用冶具300について説明する。磁場計測用冶具300は、被検体に対する診断が始まる前に、被検体が横臥するベッド上に設置される。つまり、磁場計測用冶具300が設置されるベッドには被検体が横臥していない。
【0022】
磁場計測用冶具300は、被検体の計測部位に合わせてベッド上に設置される。例えば、計測部位が腹部であれば、ベッドの中央付近に計測部位が設定されるため、ベッドの長手方向の中央部且つ短手方向の中央部に磁場計測用冶具300が設置される。また、計測部位が脚のつま先であれば、ベッドの端部付近に計測部位が設定されるため、ベッドの長手方向の端部且つ短手方向の中央部に磁場計測用冶具300が設置される。
【0023】
磁場計測用冶具300は、矩形、半球形、半円形板の組み合わせなど所定の立体形状を有している。ここでは、立方体の磁場計測用冶具300が用いられる。図2に示す磁場計測用冶具300は、縦横高さが同一寸法の立方体からなり、3枚の平板を有している。それぞれの平板には、複数の計測点が設置されている。磁場計測用冶具300の平板には、9点の計測点がそれぞれ等間隔(例えば、5cm間隔)に設置されている。また、上下に異なる平板の計測点間も等間隔(例えば、5cm間隔)に設置されている。つまり、磁場計測用冶具300には、複数の計測点(27点)が等間隔に設置されている。
【0024】
最上面の平板には、P(1)〜P(9)の計測点が設置されている。真ん中の平板には、P(10)〜P(18)の計測点が設置されている。最下面の平板には、P(19)〜P(27)の計測点が設置されている。例えば、最上面の平板上の隣接するP(1)とP(2)の間の距離は5cmであり、P(2)とP(3)の間の距離は5cmである。最上面の平板上のP(1)と真ん中の平板上のP(10)の間の距離は5cmであり、真ん中の平板上のP(10)と最下面の平板上のP(19)の間の距離は5cmである。
【0025】
また、磁場計測用冶具300における各計測点には、超音波探触子202が容易且つ適切に設置することができるように、超音波探触子202の寸法に合った凹部が設けられている。例えば、超音波探触子202の口径(縦幅、横幅)と同じ寸法である凹部が磁場計測用冶具300に設置されている。
【0026】
ここで、磁場発生器110の磁場計測について、図3、4を用いて説明する。制御部112は、位置センサ114から得られる磁場計測用冶具300の計測点の位置情報を算出し、磁場発生器110の磁場の歪みを判定する。具体的には、図3に示すように、制御部112は、磁場計測用冶具300の計測点の位置情報を記憶する位置情報記憶部400と、位置センサ114で計測された計測点の位置情報から計測点と磁場発生器110との距離を算出する磁場発生器距離算出部402と、位置センサ114で計測された計測点の位置情報から隣接する計測点間の距離を算出する計測点間距離算出部404と、磁場発生器距離算出部402で算出された計測点と磁場発生器110との距離及び/又は計測点間距離算出部404で算出された隣接する計測点間の距離に基づいて磁場状態を判定する判定部406とから構成されている。
【0027】
操作者は、位置センサ114を磁場計測用冶具300に設置する。なお、図4に示すように、位置センサ114を搭載した超音波探触子202を磁場計測用冶具300の計測点に設置してもよい。そして、磁場計測用冶具300の計測点の位置情報を位置センサ114から得る。位置センサ114から得られる計測点の位置情報を位置情報記憶部400に記憶する。例えば、P(1)の計測点では、位置情報(Xp1, Yp1, Zp1)が計測され、位置情報記憶部400に記憶される。P(2)の計測点では、位置情報(Xp2, Yp2, Zp2)が計測され、位置情報記憶部400に記憶される。
磁場発生器距離算出部402は、各計測点の位置情報から計測点と磁場発生器110との距離を算出する。具体的には、計測点P(1)と磁場発生器110との距離D(1)を算出する場合、磁場発生器距離算出部402は、位置情報記憶部400に記憶されたP(1)の計測点の位置情報(Xp1, Yp1, Zp1)から計測点と磁場発生器110との距離D(1)を算出する。磁場発生器距離算出部402は、下記式を用いて、P(1)と磁場発生器110との距離D(1)を算出する。なお、磁場発生器110は、原点であるため磁場発生器110の位置情報は(0,0,0)である。
【0028】
【数1】

同様にして、磁場発生器距離算出部402は、P(2)〜P(27)のそれぞれの計測点と磁場発生器110との距離D(2)〜D(27)を算出する。
【0029】
判定部406は、磁場発生器距離算出部402で算出された計測点P(1)と磁場発生器110との距離D(1)と、予め定められた適正距離範囲とを比較することにより、磁場発生器110の磁場状態を判定する。つまり、判定部406は、磁場発生器距離算出部402で算出された計測点と磁場発生器110との距離に基づいて磁場発生器110の磁場状態を判定する。
【0030】
計測点が磁場発生器110に近すぎる(例えば、10cm以内)と、磁場発生器110の磁場強度が強く、位置センサ114で位置情報を適切に計測することができない。計測点が磁場発生器110に遠すぎる(例えば、100cm以上)と、磁場発生器110の磁場強度が弱く、位置センサ114で位置情報を適切に計測することができない。
【0031】
本実施例の磁場発生器110では、磁場発生器110からの距離が10cm〜100cmであれば、磁場強度が0.1mT程度に安定しているものとする。よって、本実施例では、適正距離範囲は10cm〜100cmとする。判定部406は、予め定められた適正距離範囲を記憶している。なお、操作者は適正距離範囲を適宜変更することも可能である。
【0032】
判定部406は、計測点P(1)と磁場発生器110との距離D(1)が適正距離範囲内(10cm〜100cm)であれば、磁場強度が安定であり、磁場状態が正常であると判定する。判定部406は、計測点P(1)と磁場発生器110との距離D(1)が適正距離範囲外(〜10cm、100cm〜)であれば、磁場強度が不安定であり、磁場状態が不良であると判定する。
【0033】
同様にして、判定部406は、P(2)〜P(27)のそれぞれの計測点と磁場発生器110との距離D(2)〜D(27)と、予め定められた適正距離範囲とを比較することにより、磁場状態が正常か不良かを判定する。つまり、判定部406は、被検体の計測部位となる位置に設置された磁場計測用冶具300(各計測点)と磁場発生器110との距離が適正距離範囲内であるかを判定し、磁場状態を判定する。
【0034】
計測点間距離算出部404は、位置情報記憶部400に記憶された磁場計測用冶具300の計測点の位置情報に基づいて隣接する計測点間の距離を算出する。具体的には、P(1)の計測点とP(2)の計測点の距離を算出する場合、計測点間距離算出部404は、位置情報記憶部400に記憶されたP(1)の計測点の位置情報(Xp1, Yp1, Zp1)とP(2)の計測点の位置情報(Xp2, Yp2, Zp2)から、P(1)−P(2)計測点間の距離を算出する。計測点間距離算出部404は、下記式を用いて、P(1)−P(2)計測点間の距離を算出する。
【0035】
【数2】

同様にして、計測点間距離算出部404は、P(1)−P(10)の計測点間の距離を算出する。また、計測点間距離算出部404は、P(2)〜P(27)の計測点についても、隣接する計測点間の距離を算出する。例えば、P(2)の計測点については、計測点間距離算出部404は、P(1)−P(2)計測点間の距離と、P(2)−P(3)の計測点間の距離と、P(2)−P(11)の計測点間の距離を算出する。
【0036】
判定部406は、計測点間距離算出部404で算出された隣接する計測点間の距離と、磁場計測用冶具300における実際の計測点間の距離とを比較することにより、磁場の歪みを計測し、磁場発生器110の磁場状態を判定する。つまり、判定部406は、計測点間距離算出部404で算出された隣接する計測点間の距離に基づいて、磁場発生器110の磁場状態を判定する。
【0037】
例えば、磁場計測用冶具300における実際の計測点が5cmで等間隔で設置されている場合、計測点間距離算出部404で算出された隣接する計測点間の距離が所定の範囲内、例えば5cm±0.2cmの範囲内(4.8cm〜5.2cm)であれば磁場の歪みはなく、磁場発生器110の磁場状態が正常であると判定する。計測点間距離算出部404で算出された隣接する計測点間の距離が所定の範囲外、例えば5cm±0.2cmの範囲外(〜4.8cm、5.2cm〜)であれば磁場が歪んでおり、磁場発生器110の磁場状態が不良である判定する。
【0038】
ここで、表示部108の表示形態について、図5、6を用いて説明する。表示部108には、磁場計測用冶具300をモデル化した冶具モデル500と、位置センサ114をモデル化した位置センサモデル502が表示される。また、表示部108には、磁場計測用冶具300の各計測点P(1)〜P(27)の位置情報である座標504が表示される。磁場計測用冶具300上の複数の計測点の位置情報の登録を順次受け付け、それらの座標504が順次表示される。表示部108は、複数の計測点を登録する順序を操作者にガイドする役割も果たす。例えば、磁場計測用冶具300の冶具モデル500が表示されているため、計測点P(1)、P(2)・・・が計測に合わせて順に表示されることにより、操作者は磁場計測用冶具300の計測点を受け付けられた順序で計測することができる。
【0039】
また、計測点間距離算出部404によって算出された計測点間距離が計測点に関連付けられて計測点間距離表示枠506に表示される。例えば、計測点P(1)については、P(1)−P(2)の計測点間の距離とP(1)−P(10)の計測点間の距離とが関連付けられて表示される。
【0040】
また、磁場発生器距離算出部402によって算出された各計測点と磁場発生器110との距離が、計測点に関連付けられて磁場発生器距離表示枠508に表示される。例えば、計測点P(1)については、計測点P(1)と磁場発生器110との距離である距離D(1)が表示される。計測点P(2)については、計測点P(2)と磁場発生器110との距離である距離D(2)が表示される。
【0041】
また、判定部406によって判定された、磁場発生器110の磁場状態(正常又は不良)が判定枠512に表示される。図5の表示部108の表示形態では、磁場発生器110の磁場状態は正常である、図6の表示部108の表示形態では、磁場発生器110の磁場状態は不良である。さらに、表示部108は、磁場状態は不良を改善させるためのコメントをコメント枠512に表示させることもできる。計測点と磁場発生器110との距離D(1)〜D(27)のいずれかが、適正距離範囲外(〜10cm、100cm〜)であれば、「磁場発生器を移動させてください。」若しくは「磁場発生器と位置センサの周囲から磁性体を取り除いてください。」とコメントをコメント枠512に表示する。また、P(2)−P(3)の計測点間の距離が所定の範囲外(〜4.8cm、5.2cm〜)であれば、「P(2)−P(3)の磁場が歪んでいます。」とコメントをコメント枠512に表示する。P(2)−P(3)付近の障害物をチェックさせるコメントを表示させることもできる。
【0042】
表示部108は、磁場状態が不良である要因となった計測点を表示することもできる。例えば、計測点P(25)と磁場発生器110との距離のみが適正距離範囲外(〜10cm、100cm〜)であり、判定部406によって磁場状態が不良と判定された場合、表示部108は、計測点P(25)を表示する。操作者は計測点P(25)について計測し直したり、磁場発生器110の設置位置が計測した計測点P(25)の位置から外れるように調整したりすることができる。
表示部108は、磁場状態が不良である表示方法は種々の方法を取りうるが、例えば、磁場状態が不良である要因となった計測点間の表示色を、他の表示色と異ならせて表示させることができる。また、表示部108は、図6に示すように、磁場状態が不良である要因となった計測点においては、超音波探触子202の位置センサモデル502を変形して(例えば、傾斜させて)表示させることもできる。
【0043】
次に本実施例の動作手順について、図7を用いて説明する。
【0044】
(S100)磁場発生器距離算出部402は、各計測点の位置情報から計測点と磁場発生器110との距離を算出する。
【0045】
(S102)判定部406は、磁場発生器距離算出部402で算出された各計測点と磁場発生器110との距離と、予め定められた適正距離範囲とを比較し、各計測点と磁場発生器110との距離が適正距離範囲内であるかを判定する。各計測点と磁場発生器110との距離が適正距離範囲内であれば、S106に進む。ある計測点と磁場発生器110との距離が適正距離範囲外であれば、S104に進む。
【0046】
(S104)操作者は磁場発生器110を移動させ、磁場発生器110の位置を調整する。
【0047】
(S106)計測点間距離算出部404は、各計測点において、隣接する計測点間の距離を算出する。
【0048】
(S108)判定部406は、計測点間距離算出部404で算出された隣接する計測点間の距離と、磁場計測用冶具300における実際の計測点間の距離とを比較し、隣接する計測点間の距離が所定の範囲内であるかを判定する。隣接する計測点間の距離が所定の範囲内であれば、S112に進む。隣接する計測点間の距離が所定の範囲外であれば、S110に進む。
【0049】
(S110)操作者は、隣接する計測点間の距離が所定の範囲外となった計測点付近の障害物などを確認する。計測点付近に障害物が見当たれば、操作者はその障害物を除去する。障害物が見当たらなければ、操作者はベッドの設置位置を変更したり、診断室を変更したりする。
【0050】
(S112)判定部406は、磁場発生器110の磁場状態が正常であると判定する。操作者は診断可能であることを確認する。
【0051】
上記のように、判定部406は、磁場計測用冶具300(各計測点)と磁場発生器110との距離が適正距離範囲内であるかを判定した後に、磁場計測用冶具300の隣接する計測点間の距離が所定の範囲内であるかを判定することにより、効率的に磁場発生器の磁場状態を把握するとともに、磁場状態を改善することができる。なぜなら、被検体の計測部位となる位置に設置された磁場計測用冶具300(各計測点)と磁場発生器110との距離が、最も磁場計測用冶具300の磁場状態に影響を及ぼすからである。
【0052】
本実施例をまとめると、磁場を発生させる磁場発生器110と、磁場発生器110の磁気信号により位置情報を検出する位置センサ114を備え、位置情報に基づいて画像診断装置100で予め撮像されたボリュームデータから、リアルタイムに構成された超音波画像のスキャン面と同一断面のリファレンス画像を切り出して表示部108に表示する画像診断システムにおいて、磁場発生器110の磁場を計測するための複数の計測点を有している磁場計測用冶具300と、位置センサ114で計測された計測点の位置情報から計測点と磁場発生器110との距離を算出する磁場発生器距離算出部402と、磁場発生器距離算出部402で算出された計測点と磁場発生器110との距離に基づいて磁場発生器110の磁場状態を判定する判定部406とを備える。判定部406は、磁場発生器距離算出部402で算出された計測点と磁場発生器110との距離と、予め定められた適正距離範囲とを比較することにより、磁場発生器110の磁場状態を判定する。
【0053】
また、磁場発生器110の磁場を計測するための複数の計測点を有している磁場計測用冶具300と、位置センサ114で計測された計測点の位置情報から隣接する計測点間の距離を算出する計測点間距離算出部404と、位置情報に基づいて計測点間距離算出部404で算出された隣接する計測点間の距離に基づいて磁場発生器110の磁場状態を判定する判定部406とを備える。判定部406は、計測点間距離算出部404で算出された隣接する計測点間の距離と、磁場計測用冶具300における実際の計測点間の距離とを比較することにより、磁場発生器110の磁場状態を判定する。
【0054】
本実施例によれば、磁場発生器110の磁場状態を把握するとともに、磁場状態を改善することができ、磁場発生器110の磁場状態が正常であるときに診断を行うことができる。つまり、リアルタイムに超音波検査により映し出される超音波画像とボリュームデータから切り出されたリファレンス画像との断面が磁場発生器110の磁場状態によってずれることなく、超音波画像のスキャン面と同一断面のリファレンス画像を切り出して表示することができる。
【実施例2】
【0055】
ここで、実施例2について説明する。実施例1と異なる点は、判定部406が磁場発生器110の磁場強度に基づいて磁場発生器110の磁場状態を判定する点である。操作者は、磁場強度計測部を磁場計測用冶具300に設置する。なお、磁場強度計測部を搭載した超音波探触子202を磁場計測用冶具300の計測点に設置してもよい。
【0056】
判定部406は、磁場計測用冶具300の各計測点における磁場強度計測部から磁場強度を得る。本実施例では、磁場強度が0.1±0.02mTであれば、安定しているものとする。判定部406は、磁場強度計測部で計測された各計測点における磁場強度が適正磁場強度範囲内(0.08mT〜0.12mT)であれば磁場強度が適切であり、磁場状態が正常であると判定する。判定部406は、磁場強度計測部で計測された各計測点における磁場強度が適正磁場強度範囲外、例えば0.1±0.02mTの範囲外(〜0.08mT、0.12mT〜)であれば磁場強度が不適切であり、磁場状態が不良と判定する。磁場状態が不良と判定された場合、操作者は磁場発生器110を移動させ、磁場発生器110の位置を調整する。
【0057】
なお、本実施例の動作手順については、図7のフローチャートのS100とS102を上記の磁場強度の計測と磁場強度に基づく判定に置き換えれば実施することができるため、詳細な説明は省略する。
【0058】
本実施例によれば、磁場発生器110の磁場状態を磁場強度に基づいて把握とともに、磁場状態を改善することができ、磁場発生器110の磁場状態が正常であるときに診断を行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
100 画像診断装置、102 ボリュームデータ記憶部、104 リファレンス画像構成部、106 画像合成部、108 表示部、110 磁場発生部、112 制御部、114 位置センサ、200 超音波画像構成部、202 超音波探触子、300 磁場計測用冶具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場を発生させる磁場発生器と、前記磁場発生器の磁気信号により位置情報を検出する位置センサを備え、前記位置情報に基づいて画像診断装置で予め撮像されたボリュームデータから、リアルタイムに構成された超音波画像のスキャン面と同一断面のリファレンス画像を切り出して表示部に表示する画像診断システムにおいて、
前記磁場発生器の磁場を計測するための複数の計測点を有している磁場計測用冶具と、前記位置センサで計測された前記計測点の位置情報から前記計測点と前記磁場発生器との距離を算出する磁場発生器距離算出部と、前記磁場発生器距離算出部で算出された前記計測点と前記磁場発生器との距離に基づいて前記磁場発生器の磁場状態を判定する判定部とを備えることを特徴とする画像診断システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記磁場発生器距離算出部で算出された計測点と前記磁場発生器との距離と、予め定められた適正距離範囲とを比較することにより、前記磁場発生器の磁場状態を判定することを特徴とする請求項1記載の画像診断システム。
【請求項3】
磁場を発生させる磁場発生器と、前記磁場発生器の磁気信号により位置情報を検出する位置センサを備え、前記位置情報に基づいて画像診断装置で予め撮像されたボリュームデータから、リアルタイムに構成された超音波画像のスキャン面と同一断面のリファレンス画像を切り出して表示部に表示する画像診断システムにおいて、
前記磁場発生器の磁場を計測するための複数の計測点を有している磁場計測用冶具と、前記位置センサで計測された前記計測点の位置情報から隣接する前記計測点間の距離を算出する計測点間距離算出部と、前記計測点間距離算出部で算出された隣接する前記計測点間の距離に基づいて前記磁場発生器の磁場状態を判定する判定部とを備えることを特徴とする画像診断システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記計測点間距離算出部で算出された隣接する計測点間の距離と、前記磁場計測用冶具における実際の計測点間の距離とを比較することにより、前記磁場発生器の磁場状態を判定することを特徴とする請求項3記載の画像診断システム。
【請求項5】
前記磁場計測用冶具は、被検体の計測部位に合わせてベッド上に設置されることを特徴とする請求項1又は3記載の画像診断システム。
【請求項6】
前記磁場計測用冶具には、複数の前記計測点が等間隔に設置されていることを特徴とする請求項1又は3記載の画像診断システム。
【請求項7】
前記磁場計測用冶具における各計測点には、前記超音波探触子の寸法に合った凹部が設けられていることを特徴とする請求項1又は3記載の画像診断システム。
【請求項8】
前記表示部は、前記磁場発生器の磁場状態が不良である要因となった計測点を表示することを特徴とする請求項1又は3記載の画像診断システム。
【請求項9】
前記磁場発生器の磁場強度を計測する磁場強度計測部を前記超音波探触子に備え、前記判定部は、前記磁場発生器の磁場強度に基づいて前記磁場発生器の磁場状態を判定することを特徴とする請求項1又は3記載の画像診断システム。
【請求項10】
磁場発生器の磁場を計測するための複数の計測点を有している磁場計測用冶具を用いて、前記磁場発生器と位置センサで計測された前記計測点の位置情報から前記計測点と前記磁場発生器との距離を算出するステップと、前記計測点と前記磁場発生器との距離に基づいて前記磁場発生器の磁場状態を判定するステップとを含むことを特徴とする磁場状態判定方法。
【請求項11】
磁場発生器の磁場を計測するための複数の計測点を有している磁場計測用冶具を用いて、前記磁場発生器と位置センサで計測された前記計測点の位置情報から隣接する前記計測点間の距離を算出するステップと、隣接する前記計測点間の距離に基づいて前記磁場発生器の磁場状態を判定するステップとを含むことを特徴とする磁場状態判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−223300(P2012−223300A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92561(P2011−92561)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】