説明

画像診断装置

【課題】 耳が聞こえにくい患者でも、検者からの撮影(検査)の指示が適切に伝わり、不用意に動いたりすることがなく、適切な画像を撮影できる画像診断装置を提供する。
【解決手段】 被検者PにX線を照射する手段2と、被検者Pを透過してきたX線を検出するための検出器3と、被検者Pの撮影位置を撮影領域内に位置決めするための寝台6と、寝台6に設けられ、横臥した被検者Pの頭部を載せるための凹部91が形成されたヘッドレスト9が設置された天板7とを具備する画像診断装置1において、ヘッドレスト9の凹部91には、検者からの撮影指示を報知するための骨伝導スピーカ10が被検者Pの頭部に当接するように設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT装置などの画像診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、X線CT装置などを用いた画像診断では、被検体をスキャンする際に、X線CT装置の架台に搭載されたスピーカからスキャン前音声及びスキャン後音声などで患者(=被検体)に対して撮影(検査)のタイミングを検者が知らせて、息止めなどを指示していた(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−99318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、聴力が不自由な患者や、加齢などによって聴力が弱くなった患者では、前記架台に設置されたスピーカからの音声がうまく聞こえず、撮影するための指示(被検体の移動など)が十分に伝わらず、患者が検査中に動いてしまって適切な画像が撮影できず、画像診断がうまく行われないことがあった。
【0005】
また、特許文献1に記載の画像診断装置では、X線撮影開始から終了までの時間経過(及び又は進行状況)を被検者に視覚的に報知する手段として、LED表示部を採用しているが、これを時間経過に限らず、検者からの指示を報知する手段として置き換えたとしても、被検者はこのLED表示部に注視しなければならず、リラックスした状態で撮影に臨めない。また、撮影中、被検者に対して詳細に指示するにはLED表示部の設置に限界が生じることがある。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、耳が聞こえにくい患者でも、検者からの撮影(検査)の指示が適切に伝わり、不用意に動いたりすることがなく、適切な画像を撮影できる画像診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための、請求項1記載の発明に係る画像診断装置は、X線撮影のために被検者にX線を照射する手段と、被検者を透過してきたX線を検出するための検出器と、被検者の撮影位置を撮影領域内に位置決めするための寝台と、その寝台に設けられ、横臥した前記被検者の頭部を載せるための凹部が形成されたヘッドレストが設置された天板とを具備する画像診断装置において、前記ヘッドレストの凹部には、検者からの撮影指示を報知するための骨伝導スピーカが被検者の頭部に当接するように設置されたことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するための、請求項2記載の発明に係る画像診断装置は、X線撮影のために被検者にX線を照射する手段と、被検者を透過してきたX線を検出するための検出器と、被検者の撮影位置を撮影領域内に位置決めするための寝台とを具備した画像診断装置において、検者からの撮影指示を報知するための骨伝導スピーカを前記寝台の天板上に横臥した被検者の顎部に当接させる補助パッドが設置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、頭部X線撮影をする際に用いられるヘッドレストに、骨伝導方式のスピーカを設置したので、耳が聞こえにくい患者でもCT検査のタイミングが適切に伝わり、不用意に動いたりすることがなく、適切な画像を撮影でき、結果としてより適切な画像診断を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る画像診断装置の一実施形態における構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の画像診断装置として、X線CT装置1は、照射線としてX線を用い、被検者の各部のX線吸収度に応じた分布を再生画像として得るものである。
【0012】
被検者Pを挟んでX線管2とX線検出器3が常に対向して配置されており、X線管2から発せられたX線は人体にて一部吸収され、残りが透過X線としてX線検出器3に到達し、検出されて投影データとなる。
【0013】
得られた投影データはデータ収集部4から画像再構成装置に送られ、制御用のコンピュータを介して処理されて画像表示装置に表示したり、画像記憶装置に格納したりする。
【0014】
この場合、X線を発生させるための高電圧発生装置やX線管2やX線検出器3やデータ収集部4は、図2に示す架台5に内蔵され回転しながら被検者Pを撮影する。
【0015】
そして、図2に示すように、被検者Pは、この架台の開口部8において、X線管2とX線検出器3の間の撮影領域内に撮影位置を正確に位置決めするために設けられた寝台6上の天板7に横たわっている。
【0016】
本実施形態では、このようなX線CT装置1において被検者の頭部のX線画像を撮像するために、図3に示すように、被検者Pが寝台6に横臥する際に頭部を載せるためのヘッドレスト9を寝台6上の天板7へ取り付ける。
【0017】
ヘッドレスト9は、被検者Pの頭部が載せるための凹部91が形成されている。この凹部91は、被検者Pの頭部を収納するようにくりぬいた形状をなしている。従って、被検者Pの頭部をヘッドレスト9に載せた場合には、凹部91によって被検者Pの頭部が固定されることになる。
【0018】
そして、凹部91において被検体Pの頭部(特に、頭部の薄い皮膚を介して頭骸骨に振動が伝わりやすい部分)に当接する位置に、骨伝導スピーカ10が面ファスナー(いわゆるマジックテープ(登録商標))などによって固着されている。
【0019】
ここで、図1に示すように、骨伝導スピーカ10は、制御用のコンピュータに接続ライン101により接続されている。すなわち、検者からの音声による指示が、制御用のコンピュータに接続された音声入力用マイク(図示せず))から入力されたときには、前記制御用のコンピュータは、音声信号及び振動信号に変換処理して骨伝導スピーカ10に伝達する。
【0020】
なお、骨伝導スピーカ10は、ヘッドレスト9の内部に設けられてもよい。その場合、例えば、骨伝導スピーカ10から発せられる音声及び振動が凹部91の方向に向けられ、かつ、被検者Pの頭部の薄い皮膚を介して頭骸骨に振動が伝わりやすい箇所に設けられることが望ましい。
【0021】
通常、被検者が音を聞くときは、鼓膜が音を空気の振動として受け取り、耳の中のいろいろな器官を経て聴覚神経から脳に伝わり、音として感知するが、本発明のように、骨伝導スピーカによって検者の音声に対応する振動が伴って被検者に伝われば、音の振動が被検者の頭蓋骨に直接伝わり、被検者は、聴覚神経器官に入ったものを音として感じとることになる。
【0022】
従って、耳が聞こえにくい患者(被検者)でもCT検査のタイミングが適切に伝わり、不用意に動いたりすることがなく、適切な画像を撮影でき、結果としてより適切な画像診断を行うことができる。
【0023】
他の実施形態として、ヘッドレストの凹部と患者の頭部との間に隙間が生じ、骨伝導スピーカが患者の頭部(例えば、耳の後ろ)に密着できないときのために、骨伝導スピーカを装着したスポンジ様の補助パッドを用意し、患者の顎の部分に面ファスナーなどを用いて密着させてもよい。
【0024】
上述の各実施形態は、本発明の一例であり、本発明は各実施の形態に限定されることはない。また、この他であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る画像診断装置の一実施形態における構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係る画像診断装置の一実施形態における構成を示す斜視図。
【図3】本発明に係る画像診断装置の一実施形態におけるヘッドレストの構成を示す図。
【符号の説明】
【0026】
1 画像診断装置
2 X線管
3 X線検出器
4 データ収集部
5 架台
6 寝台
7 天板
8 架台の開口部
9 ヘッドレスト
10 骨伝導スピーカ
P 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線撮影のために被検者にX線を照射する手段と、被検者を透過してきたX線を検出するための検出器と、被検者の撮影位置を撮影領域内に位置決めするための寝台と、その寝台に設けられ、横臥した前記被検者の頭部を載せるための凹部が形成されたヘッドレストが設置された天板とを具備する画像診断装置において、前記ヘッドレストの凹部には、検者からの撮影指示を報知するための骨伝導スピーカが被検者の頭部に当接するように設置されたことを特徴とする画像診断装置。
【請求項2】
X線撮影のために被検者にX線を照射する手段と、被検者を透過してきたX線を検出するための検出器と、被検者の撮影位置を撮影領域内に位置決めするための寝台とを具備した画像診断装置において、検者からの撮影指示を報知するための骨伝導スピーカを前記寝台の天板上に横臥した被検者の顎部に当接させる補助パッドが設置されたことを特徴とする画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−239158(P2006−239158A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59388(P2005−59388)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】