説明

画像読み取り装置

【課題】装置の薄型化を図りつつも、モータからの発熱をより一層効果的に外部に放出さ
せることのできる画像読み取り装置を提供する。
【解決手段】原稿画像を読み取るCISユニット15は、駆動プーリ7と従動プーリ8と
の間に係回される無端ベルト9の一部に固定され、モータ5の回転に伴う無端ベルト9の
周回移動に伴い、副走査方向に移動する。駆動プーリ7を固定するフレーム部材10はモ
ータ5に接触し、モータ5から生じる熱がフレーム部材10に伝導する。フレーム部材1
0には熱伝導部材としての板バネ11が設けられており、板バネ11の先端が、原稿台を
構成するガラス板4の裏面に弾接している。これによりモータ5から生じる熱は、フレー
ム10、板バネ11を介してガラス板4に伝導し、当該ガラス板4が放熱手段として利用
され、モータ5から生じた熱が効果的に外部に放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿台ガラスに載置された原稿の画像を、副走査方向に移動しながら光学的
に読み取る読み取りユニットを備えた画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿台ガラスに載置された原稿の画像を光学的に読み取る光電変換素子を備えた読み取
りユニット(イメージセンサ)を副走査方向に移動させる構成を備えた画像読み取り装置
(特にフラットベッド型のイメージスキャナ)は、従来から種々提案されている。
【0003】
このような画像読み取り装置では、読み取りユニットは副走査方向に沿って掛け渡され
た無端ベルトの一部と係合し、この無端ベルトがモータの駆動力により周回移動すること
で、副走査方向に沿って移動しながら原稿台ガラス上の原稿の画像を読み取るように構成
されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−84388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここでイメージセンサの方式にはCCD(Charge Coupled Devices)方式とCIS(Co
ntact Image Sensor)方式とがあるが、後者のCIS方式は装置の薄型化を図ることがで
き、特にインクジェットプリンタの上部にフラットベッド型のイメージスキャナを備えて
構成された所謂インクジェット複合機においてよく用いられている。
【0005】
そしてこの様なインクジェット複合機では特に、より一層の小型化の要請が強く、従っ
てイメージスキャナにおいてもより一層の小型化(薄型化)が図られており、それ故に読
み取りユニットの駆動源を構成するモータも、より一層小型のものが用いられるようにな
っている。
【0006】
しかしモータの小型化に伴って、モータからの発熱が顕著となり、加えて装置の薄型化
に伴い装置内部の放熱空間が狭くなることと相俟って、モータからの発熱の問題がより一
層顕在化してきている。
【0007】
そこで本発明はこの様な状況に鑑み成されたものであり、その目的は、装置の薄型化を
図りつつも、モータからの発熱をより一層効果的に外部に放出させることのできる画像読
み取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る画像読み取り装置は、原稿載置
面に載置された原稿の画像を、副走査方向に移動しながら光学的に読み取る読み取りユニ
ットと、前記読み取りユニットの駆動源を構成するモータと、備えた画像読み取り装置で
あって、前記モータから生じる熱を、前記原稿載置面を構成する透光性材料で形成された
プレート状体へと伝える熱伝導部材を備えていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、画像読み取り装置は読み取りユニットの駆動源を構成するモータから
生じる熱を、原稿載置面を構成する透光性材料で形成されたプレート状体へと伝導させる
熱伝導部材を備えているので、面積の極めて広い原稿載置面(プレート状体)を放熱手段
として利用することで、モータから生じた熱を効果的に外部に放出することができる。従
って装置の薄型化を図ることにより装置内部の放熱空間が狭くなっても、モータから生じ
た熱を効果的に外部に放出することができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る画像読み取り装置は、第1の態様に係る画像読み取り装置に
おいて、前記プレート状体が、ガラス板であることを特徴とする。本態様によれば、放熱
手段として利用されるプレート状体がガラス板であるので、透明なプレート状体として熱
伝導率の良好なガラス板を用いることで、モータから生じた熱を効果的に外部に放出する
ことができる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る画像読み取り装置は、第1のまたは第2の態様に係る画像読
み取り装置において、前記熱伝導部材が板バネにより構成されていることを特徴とする。

本態様によれば、前記熱伝導部材が板バネにより構成されているので、放熱手段として
利用するプレート状体との接触面積を容易に確保することができる。
【0012】
またその付勢力を利用してプレート状体に密着させることができるので、前記熱伝導部
材とプレート状体とを接触させる手段を別途用いる必要がなく、組み立て作業の容易化及
び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図1乃至図3を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ここで図1は
本発明の一実施形態に係る画像読み取り装置1の全体平面図、図2はモータ取付部周辺の
斜視図、図3は画像読み取り装置1の断面図(図1のA−A断面図)である。
【0014】
尚、以下では図1の左右方向(CISユニット15の移動方向)を「副走査方向」と言
い、図1の上下方向(CISユニット15の長手方向)を「主走査方向」と言うこととす
る。
【0015】
画像読み取り装置1は、所謂フラットベッド原稿密着型イメージスキャナであり、装置
本体の基体を構成する本体下ケース2と、原稿台(原稿載置面4a)を構成する透光性材
料で形成されたプレート状体の一例であるガラス板4と、本体上ケース(図示せず)と、
を備えており、平面視において副走査方向にやや長い方形の形状を成している。
【0016】
本体下ケース2において、その内底部には、断面凸状をなすガイドレール13が、副走
査方向に沿って延びるように、本体下ケース2に樹脂成形により一体的に形成されており
、また主走査方向においては、図1に示すように装置のほぼ中央部に形成されている。
【0017】
ガラス板4の下部には、主走査方向に延びる形状を成す、読み取りユニットとしてのC
IS(Contact
Image Sensor)ユニット15が配置されている。このCISユニット15には、原稿載置
面4a上に載置された原稿(図示せず)を光学的に読み取るための光電変換部(図示せず
)が、主走査方向に沿って配列されている。 CISユニット15は、ガイドレール13
とガラス板4との間に位置しており、CISユニット15の下部に設けられたガイドレー
ル13によって、CISユニット15が副走査方向に沿って真っ直ぐに移動するよう案内
されるようになっている。
【0018】
尚、CISユニット15は図示を省略する付勢手段によってガラス板4に向けて付勢さ
れた状態に設けられており、図示を省略する摺動部材や従動ローラなどを介してガラス板
4の裏面に接しながら、副走査方向に移動するよう構成されている。
【0019】
一方、本体下ケース2には、駆動プーリ7と従動プーリ8とが、副走査方向に離間して
配置されており、これら駆動プーリ7と従動プーリ8には、無端ベルト9が副走査方向に
沿って係回されている。
【0020】
駆動プーリ7の側にはモータ5が配置されており、このモータ5の回転軸に取り付けら
れたウォームギア6と、駆動プーリ7に一体的に形成された平歯車部(図示せず)とが噛
合することにより、モータ5の動力が駆動プーリ7に伝達され、そして無端ベルト9が駆
動プーリ7及び従動プーリ8の周囲を周回移動するようになっている。
【0021】
CISユニット15は、無端ベルト9の一部に固定されており、従ってモータ5が回転
すると、無端ベルト9の周回移動に伴いCISユニット15が副走査方向に牽引され、移
動するようになっている。
【0022】
次に、モータ5においてウォームギア6が設けられる側と反対側の回転軸には、回転検
出センサ18が設けられている。回転検出センサ18は、外周部に透光部(図示せず)と
遮光部(図示せず)とが円周方向に沿って交互に配置された、モータ5の回転軸に取り付
けられる円盤状スケール18aと、当該円盤状スケール18aに対して発光する発光部お
よび、円盤状スケール18aを通過した光を受光する受光部を備えて構成された検出部1
8bを備えて構成されている。尚、符号17は、検出部18bを取り付ける基板を示して
いる。
【0023】
従ってモータ5の回転に伴い円盤状スケール18aが回転すると、検出部18bは円盤
状スケール18aを通過する光によって形成される立ち上がり信号と立ち下がり信号とを
出力し、これにより画像読み取り装置1の制御部(図示せず)は、CISユニットの副走
査方向における位置を把握できるようになっている。
【0024】
次に、符号10は、金属板材により形成されるフレーム部材を示しており、このフレー
ム部材10により、駆動プーリ7が軸支されている。このフレーム部材10はモータ5と
接触しており、モータ5により生じた熱が、フレーム部材10に伝導するようになってい
る。
【0025】
フレーム10には熱伝導部材としての板バネ11が設けられており、この板バネ11の
先端部分11aがガラス板4の裏面に面接触している。板バネ11は、バネ性を発揮する
金属板材(例えば、ステンレス鋼)により形成されており、その付勢力によって、先端部
分11aがガラス板4の裏面に自ら弾接するように、フレーム10に取付固定されている

【0026】
従ってモータ5により生じた熱は、フレーム部材10及び板バネ11を介してガラス板
4に伝導され、当該ガラス板4の広い面(原稿載置面4a)から放熱される。即ち、面積
の極めて広い原稿載置面4a(ガラス板4)をモータ5の放熱手段として利用するよう構
成されており、これによりモータ5から生じた熱を効果的に外部に放出することができる
。従って画像読み取り装置1の薄型化を図ることにより装置内部の放熱空間が狭くなって
も、モータ5から生じた熱を効果的に外部に放出することができる。
【0027】
また本実施形態ではフレーム部材10からガラス板4へモータ5の熱を伝導させる熱伝
導部材が板バネ11により構成されているので、ガラス板4との接触面積を容易に確保す
ることができる。またその付勢力を利用してガラス板4に密着させることができるので、
熱伝導部材とガラス板4とを接触させる手段を別途用いる必要がなく、組み立て作業の容
易化及び低コスト化を図ることができる。
【0028】
尚、本実施形態ではモータ5で生じる熱を、フレーム部材10を介して板バネ11に伝
えているが、フレーム10を介さずに、板バネ11を直接モータ5に接触させてガラス板
4へと伝えることも可能である。
【0029】
また本実施形態では熱伝導部材として板バネ11を用いたが、これに限られず、モータ
5で生じた熱をガラス板4に伝導させることができる部材であれば、どのようなものであ
っても構わない。
【0030】
また熱伝導部材を、ガラス板4に加えて、原稿読み取り装置1のその他の構成要素、例
えば外部筐体を構成する本体下ケース2などにも接触させることも可能である。その様に
構成することにより、モータ5で生じた熱をより一層効果的に外部に放出することが可能
となる。
【0031】
以上、フラットベッド原稿密着型のイメージスキャナを例に本発明の実施形態を説明し
たが、本発明は縮小光学系を用いたフラットベッド型イメージスキャナに適用することも
できる。また、本発明は、縮小光学系を用いたミラー移動型のフラットベッド型イメージ
スキャナに適用することもできる。また、本発明はイメージスキャナとプリンタが一体に
なった複写機にも当然適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る画像読み取り装置の全体平面図。
【図2】本発明に係る画像読み取り装置の、モータ取付部周辺の斜視図。
【図3】本発明に係る画像読み取り装置の断面図(図1のA−A断面図)。
【符号の説明】
【0033】
1 画像読み取り装置、2 本体下ケース、3 本体上ケース、4 ガラス板(原稿台)
、4a 原稿載置面、5 モータ、6 ウォームギア、7 駆動プーリ、8 従動プーリ
、9 無端ベルト、10 フレーム部材、11 板バネ(熱伝導部材)、13 ガイドレ
ール、15 CISユニット、17 基板、18 回転検出センサ、18a 円盤状スケ
ール、18b 検出部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿載置面に載置された原稿の画像を、副走査方向に移動しながら光学的に読み取る読
み取りユニットと、
前記読み取りユニットの駆動源を構成するモータと、備えた画像読み取り装置であって

前記モータから生じる熱を、前記原稿載置面を構成する透光性材料で形成されたプレー
ト状体へと伝える熱伝導部材を備えている、
ことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読み取り装置において、前記プレート状体が、ガラス板であるこ
とを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像読み取り装置において、前記熱伝導部材が、板バネによ
り構成されていることを特徴とする画像読み取り装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−253328(P2009−253328A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94765(P2008−94765)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】