画像読み取り装置
【課題】清掃部材のブラシの変形等に左右されることなく、読み取り位置において原稿と読み取り手段との間に配設された透明部材を効果的に清掃することができ、高品質の画像を取得できる画像読み取り装置を提供する。
【解決手段】搬送された原稿が通過する透明部材4A、4Bにおける原稿通過面を清掃させるために、回転駆動手段41による清掃部材2の回転変移と、スラスト方向駆動手段51による清掃部材2のスラスト方向への移動を組み合わせて、前記清掃部材2による透明部材4A、4Bの清掃が行われるように、回転駆動手段41及びスラスト方向駆動手段51を制御手段61で制御する。
【解決手段】搬送された原稿が通過する透明部材4A、4Bにおける原稿通過面を清掃させるために、回転駆動手段41による清掃部材2の回転変移と、スラスト方向駆動手段51による清掃部材2のスラスト方向への移動を組み合わせて、前記清掃部材2による透明部材4A、4Bの清掃が行われるように、回転駆動手段41及びスラスト方向駆動手段51を制御手段61で制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば多機能デジタル画像形成装置であるMFP(Multi Function Peripherals) 等における画像入力装置として用いられるシートスルー方式の画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、原稿の画像を光学的に読み取る画像読み取り装置では、プラテンガラス上に載置した原稿の画像を読み取るプラテンセット方式と、原稿を1枚ずつ搬送し、搬送途中における読み取り位置の透明部材(読み取り部用ガラスともいう)を透して原稿画像を読み取るシートスルー方式とがある。なかでも、シートスルー方式は、小形化、低コスト、低騒音、画像読み取り高速化、ひいてはプリントの高い生産性等の利点から、モノクロ複写機、カラー複写機、MFP等の画像読み取り装置の主流になっている。
【0003】
シートスルー方式では、画像読み取り位置に搬送された原稿の画像面に対して前記読み取り部用ガラスを透して読み取り光学系の焦点を合わせる構成のため、読み取り部用ガラス上に付着した異物や汚れの影響を受けやすく、それらにより遮光された部分は読み取り画像において、筋状の画像ノイズとなる。
【0004】
このため、従来では、糸状繊維等の弾性変形可能な束のブラシを列状に配した略ローラ状の清掃部材を回転変移可能に配備し、この清掃部材を回転させるとともに、読み取り部用ガラスに該ブラシを摺擦させることにより、読み取り部用ガラスに付着した異物を掻き落とす方法が広く用いられている。
【0005】
また、従来、ブラシを有する清掃部材の回転タイミング、回転速度および回転数を要求画質に応じて変更制御するようにした技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−93352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の技術では、ブラシをもった清掃部材を回転させて該ブラシを読み取り部用ガラスに摺接させるだけであるから、図12に示すように、清掃部材200による清掃動作時に基体部210に設けたブラシ220の端部が読み取り部用ガラスへの圧接によりスラスト方向へハの字形に広がり、スラスト方向においてブラシ220の束の中に隙間Gが生じてしまう。このため、清掃部材200を回転させても隙間Gのために読み取り部用ガラス300に付着した異物の掻き残しが起きやすく、掻き残し異物が筋ノイズの要因ともなってしまう。
【0008】
また、通紙枚数が多くなると、前記ブラシ220が湾曲状に変形した癖が付いてしまい、そのブラシ変形状態のまま読み取り部用ガラス300の同じ部位を摺接して清掃動作が行われても、異物の掻き残しが多くなってしまう。
【0009】
また、温度や湿度等の使用環境によってブラシ220の変形癖が異なり、異物を除去しきれないような変形が起きると、ブラシ220の交換を強いられる。例えば、高温、高湿度の環境下や低温、低湿度の環境下では、ブラシ220に大きな変形癖がついてしまう。
【0010】
また、前記特許文献1に記載の技術においては、清掃部材200の回転タイミング、回転速度および回転数を制御することが可能であるが、ブラシ220が読み取り部用ガラス300に対して同一個所を通過するのに変わりはなく、変形癖が付いてしまったブラシ220では、有効な清掃が行えない。
【0011】
また、ブラシ220の一列当たりの束数を増やして隙間が生じないようにする対策も考えられるが、隣のブラシ220との距離が短くなり、ブラシ220が広がろうとした時、箒の先端のように近傍の束を巻き添えにして倒れてしまう。このため、ブラシ220間の距離が短いと倒れが発生し、ブラシ220間の距離が遠いと異物を掻き残してしまいやすく、調整が難しい。
【0012】
また、図13に示すように、ブラシ220の列数を2列にする等、増列する方策も考えられるが、通常、清掃部材200の所定機能(清掃機能、原稿対向機能、シェーディング機能等)が一定の回転角度範囲毎に割り当てられているので、この方策では、2列のブラシ220,220のずらし幅Wが大きくなり、これにより回転角度範囲で清掃機能以外の他の機能(原稿対向、補正シェーディング等)の分担領域が狭くなってしまい、設計的に難しい。
【0013】
また、図14に示すように、2つのブラシ220,220の列を基体部210の上下に分けて設ける対策も考えられるが、その場合、清掃部材200を回転変移させることによる前記他の機能自体の実行ができなくなってしまう。
【0014】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、清掃部材に設計上の問題等がないのは勿論、清掃部材のブラシの変形等に左右されることなく、読み取り位置において原稿と読み取り手段との間に配設された透明部材を効果的に清掃することができ、高品質の画像を取得できる画像読み取り装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)原稿を1枚ずつ送り出して所定の読み取り位置を通過させる原稿搬送手段と、原稿が前記読み取り位置を通過する際に、該原稿の画像を光学的に読み取る読み取り手段と、前記読み取り位置に対応して原稿と前記読み取り手段との間に配設された透明部材と、前記透明部材に対向して通紙方向と直交方向へ沿って配設されるとともに、軸を介して回転変移可能に支承された略ローラ状の基体部ならびにこの基体部の長さ方向に列状に設けられ基体部の回転変移に伴って前記透明部材の原稿通過面を摺接して清掃する弾性変形可能なブラシを有する清掃部材と、前記清掃部材を回転駆動する回転駆動手段と、前記清掃部材をスラスト方向へ進退可能に変移させるスラスト方向駆動手段と、前記回転駆動手段による清掃部材の回転変移と、前記スラスト方向駆動手段による清掃部材のスラスト方向への変移を組み合わせて、前記清掃部材による透明部材の清掃が行われるように、前記回転駆動手段及びスラスト方向駆動手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする画像読み取り装置。
(2)前記透明部材における原稿通過面の汚れを検知する汚れ検知手段を備えており、前記制御手段は、前記汚れ検知手段により汚れが検知された場合に、清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる前項1に記載の画像読み取り装置。
(3)前記制御手段は、予め設定された原稿通紙枚数毎に、清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる前項1または2に記載の画像読み取り装置。
(4)前記制御手段は、前記清掃部材による予め設定されたタイミングでの清掃を、清掃部材をスラスト方向へ変移させて行わせる前項1または2に記載の画像読み取り装置。
(5)前記制御手段は、原稿の読み取りモードに応じて清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる前項1または2に記載の画像読み取り装置。
(6)前記制御手段は、前記清掃部材による清掃を、電源ON時のタイミングで実行させる前項1ないし5のいずれかに記載の画像読み取り装置。
(7)前記制御手段は、前記清掃部材による清掃を、読み取り開始の指示がなされたときから読み取り手段による読み取り完了までの間のタイミングで実行させる前項1ないし6のいずれかに記載の画像読み取り装置。
(8)前記制御手段は、前記清掃部材による清掃を、前記原稿搬送手段により搬送される原稿が前記読み取り手段から離れた後のタイミングで実行させる前項1ないし7のいずれかに記載の画像読み取り装置。
(9)前記制御手段は、1回の清掃中に、前記清掃部材のスラスト方向への変移を複数回行う前項1ないし8のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【発明の効果】
【0016】
前項(1)に記載の発明によれば、原稿が通過する透明部材を前記清掃部材で清掃させる際に、前記制御手段により回転駆動手段を介して清掃部材の回転が制御され、これにより、清掃部材のブラシが透明部材の原稿通過面に摺接して回転するので、透明部材に付着した異物等の汚れが掻き取られて、該透明部材の原稿通過面が清掃される。
【0017】
また、スラスト方向駆動手段による清掃部材のスラスト方向への変移が組み合わされて清掃されるので、透明部材の同じ個所を何回も清掃するだけのものと違って、透明部材の原稿通過面におけるスラスト方向の全域が一様に清掃される。また、清掃部材の構造等を変更するものではないから、設計上の支障を招くおそれもない。
【0018】
つまり、透明部材に弾性的に摺接したブラシの端部がスラスト方向にハの字形に変形して隙間ができたり、変形癖が付いた状態に起因して清掃後にも異物や汚れが残存したとしても、前記清掃部材がスラスト方向へ変移した状態で回転することにより、異物を残すことなく読み取り部用ガラスの全域から的確に除去することができ、筋状の跡が残ったりすることのない高品質の画像を得ることが可能となる。
【0019】
前項(2)に記載の発明によれば、透明部材の原稿通過面を清掃した後に汚れ検知手段により汚れが検知された場合に、清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃が行われるから、透明部材の原稿通過面の汚れが確実に除去される。
【0020】
前項(3)に記載の発明によれば、予め設定された原稿通紙枚数毎に、清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃が行われるから、透明部材に汚れが付着しやすいタイミングで清掃を実行することができる。
【0021】
前項(4)に記載の発明によれば、清掃部材による予め設定されたタイミングでの清掃が、清掃部材をスラスト方向へ変移させて行われるから、清掃の度に清掃部材をスラスト方向へ変移させる場合に較べて、清掃に要する時間も少なくなり、効率的な清掃を行うことができる。
【0022】
前項(5)に記載の発明によれば、原稿の読み取りモードに応じて清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃が行われるので、例えば画質が重要視される読み取りモードの時には確実な清掃を行って、画質の低下を防ぐことができる。
【0023】
前項(6)に記載の発明によれば、電源ON時のタイミングで清掃部材による清掃が行われるので、電源ONの後は、透明部材が清掃化された状態での原稿通紙が可能となる。
【0024】
前項(7)に記載の発明によれば、清掃部材による清掃が、読み取り開始の指示がなされたときから読み取り手段による読み取り完了までの間のタイミングで実行される。
【0025】
前項(8)に記載の発明によれば、清掃部材による清掃が、原稿搬送手段により搬送される原稿が読み取り手段から離れた後のタイミングで実行されるから、つぎの原稿の読み取りを良好に行える。
【0026】
前項(9)に記載の発明によれば、1回の清掃中に、清掃部材のスラスト方向への変移が複数回行われるから、確実に汚れを除去することが可能なる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態に係るシートスルー方式の画像読み取り装置の概略構成図である。
【図2】同じく画像読み取り装置における清掃部材による基本的な3回の清掃処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】清掃部材の基本的構成を示す外観斜視図である。
【図4】清掃部材の基本的機能の説明を兼ねた横断面図である。
【図5】原稿が読み取り位置を通過する時の清掃部材の動作説明図である。
【図6】補正シェーディング時の清掃部材の動作説明図である。
【図7】読み取り部用ガラスを清掃する時の清掃部材の動作説明図である。
【図8】清掃装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図9】同じく清掃装置の要部の構成を示す平面図である。
【図10】清掃装置の清掃部材による清掃動作処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】読み取り部用ガラス上の異物を検知した場合の清掃動作処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】従来の清掃部材の変形状態の説明図である。
【図13】従来の清掃部材の改善案を示す図である。
【図14】従来の清掃部材の別の改善案を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、この発明の一実施形態に係るシートスルー方式の画像読み取り装置を示す概略構成図である。
【0030】
図1において、この画像読み取り装置は前述したMFP等の画像形成装置の一部として設けられており、原稿搬送手段10により原稿を搬送するとともに、その搬送途中に設けられた前後2つの読み取り位置1A、1Bにおいて、原稿の画像を読み取るものである。なお、この実施形態では自動原稿読み取り装置(ADF)として構成されている。
【0031】
第1の読み取り位置1Aでは原稿の表面画像を読み取り、第2の読み取り位置1Bでは原稿の裏面画像を読み取るものであり、各読み取り位置1A及び1Bには、原稿が通過する第1、第2の各透明部材(読み取り部用ガラスともいう)4A、4Bがそれぞれ配置されている。
【0032】
さらに、第1、第2の各透明部材4A、4Bを隔てて原稿と反対側には、図示しない光源から原稿に向かって放射される光の、原稿からの反射光を受領する読み取り手段としての第1、第2の各イメージセンサー(単にセンサーともいう)5A、5Bが配設されている。
【0033】
つまり、原稿給紙部15から搬送経路100に繰り出された原稿は、原稿搬送手段10を構成する、給紙ローラ11、第1の搬送ローラ12、第2の搬送ローラ13、読み取り前ローラ14等で順次送給される。原稿が第1の読み取り位置1Aまで送給され、ここを通過する時に、原稿の表面の画像が第1の読み取り部用ガラス4Aを介して第1のセンサー5Aにより光学的に読み取られる。この後、第1の読み取り位置1Aを通過した原稿は、第2の読み取り位置1Bまで送給され、ここを通過する時に、原稿の裏面の画像が第2の読み取り部用ガラス4Bを介して第2のセンサー5Bにより光学的に読み取られ、その後、機外に排出される。
【0034】
この実施形態では、前記第1、第2の読み取り部用ガラス4A、4Bの清掃用として、図3および図4に示すような清掃部材2を有する清掃装置2A、2Bがそれぞれ設けられている。つまり、基本的な動作として、各清掃部材2A、2Bにおけるブラシ22を読み取り部用ガラス4A、4Bの表面に押し付けて該清掃部材2を回転させることにより、読み取り部用ガラス4A、4Bの表面(原稿通過面)に付着した異物を掻き取り除去するようになっている。
【0035】
図2は、画像読み取り装置における清掃装置2A、2Bの清掃部材2による基本的な清掃処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、電源ON時、原稿通紙前、原稿通紙後の3回清掃を行う例で説明する。
【0036】
図2において、画像読み取り装置の電源がONになり、他の装置電源もONした際、他装置起動と共に予備動作段階での清掃が行われる。つまり、ステップS1では、各読み取り位置1A,1Bの各読み取り部用ガラス4A,4Bに対して、それぞれ清掃部材2を回転させて、前回使用時に読み取り部用ガラス4に付着した異物をブラシ22で掻き取り除去し、ステップS2では、原稿をセットして実行ボタンを押下する。
【0037】
ステップS3は、通紙前の清掃動作として、ADF使用以外の読み取り方法(フラットベッド)でADFを開閉した際、透明部材4が露出した時に付着した異物の除去のために行うものである。つまり、読み取り部用ガラス4Aに対して清掃部材2を回転させることにより、読み取り部用ガラス4Aに付着した異物を除去し、ステップS4では、原稿を通紙する。
【0038】
原紙通紙後は、原稿を通紙させた際の該原稿自体が落とした異物を除去するために清掃を行う。つまり、ステップS5で、原稿の表裏の画像の読み取りが完了したか否かを判断し、原稿の表裏の画像の読み取りが完了していなければ(ステップS5でNO)、ステップS3に戻り、原稿表裏の画像の読み取りが完了すれば(ステップS5でYES)、ステップS6では、通紙後の清掃動作として、清掃部材2を回転させて読み取り部用ガラス4A、4Bに付着した異物を除去する。
【0039】
このような清掃動作を行った場合、
<1枚の原稿>
清掃→1枚の原稿の画像を読み取る→清掃
<2枚の原稿>
清掃→1枚の原稿の画像を読み取る→清掃→1枚の原稿の画像を読み取る→清掃
となり、
清掃回数=原稿枚数×1+1で清掃回数を計算できる。
【0040】
図3は、同じく清掃部材2の基本的構成を示す外観斜視図、図4は、同じく清掃部材2の基本的機能の説明を兼ねた横断面図である。
【0041】
図3および図4において、清掃部材2は、基体部21と清掃用のブラシ22とを備えている。
【0042】
前記基体部21は、軸方向(スラスト方向)全長にわたる切り欠き面21を有した横断面形状が略半円形のローラ形棒体からなり、読み取り部用ガラス4A、4Bにおける原稿画像読み取り位置に対向して回転可能に配置されており、その軸方向の端面からは、回転駆動される軸23が突設されている。
【0043】
前記基体部21の軸方向に沿った切り欠き面21aには、軸方向の全長にわたって列状に配設されたブラシ22の基端側が固定板24を介して固定されており、このブラシ22は、基体部21の回転に伴って前記読み取り部用ガラス4A、4Bに対して摺接して異物や塵埃を除去するようになっている。
【0044】
このような清掃部材2は、図4に示す回転角度範囲R1が、清掃動作が機能する範囲として設定され、また、回転角度範囲R2は、読み取り部用ガラス4A、4Bに対して原稿通紙時に対向する範囲として設定されている。また、回転角度範囲R3は、補正用シェーディング機能としての範囲として設定されている。また、これら3つの回転角度範囲R1,R2,R3の各間には、停止位置誤差をカバーする領域R4がそれぞれ設定されている。
【0045】
図5は、原稿が読み取り位置の中心Pを通過する時の清掃部材2の動作説明図である。なお、図5〜図9では第1の清掃装置2Aについて説明するが、第2の清掃装置2Bについても同様である。
【0046】
図5において、原稿を通紙する際、読み取りローラ14で搬送された原稿は、読み取り位置の上流側のペーパーガイド31と読み取り部用ガラス4Aとの間を通り、図5の左側から右側へ送られる。
【0047】
読み取り位置に到達した原稿は、その画像が下方からセンサー5Aで読み取られた後、読み取り位置から下流側のペーパーガイド32と読み取り部用ガラス4との間を通り、さらに、右側へ送られる。
【0048】
なお、画質向上の点から原稿画像の明暗を正確に読み取るために、清掃部材2の表面を白色にしてある。また、清掃部材2における原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2の左右両側に停止位置誤差カバー領域R4,R4をそれぞれ設けるために、原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2と同様に停止位置誤差カバー領域R4,R4も白色にしてある。
【0049】
原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2の基体部22に占める割合は、清掃用開口、つまり上流側ペーパーガイド31と下流側ペーパーガイド32との間を塞ぐ角度に設定されている。
【0050】
図6は、補正シェーディング時の清掃部材2の動作説明図である。
【0051】
図6において、シェーディングとは、画質濃度を一定に保つためのセンサー5A、5Bの光量補正のことであり、このシェーディング用回転角度範囲R3は、読み取り部用ガラス4A上の異物の有無検知機能も併せ持つため、色の付いた異物を検知するために、原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2と同様に、シェーディング用回転角度範囲R3において清掃部材2の表面を白色にしてある。なお、清掃部材2の表面に白色面だけでなく黒色面も設け、白色面で色の付いた異物を、黒色面で白色の異物を検知する場合もある。
【0052】
このシェーディング用回転角度範囲R3は、前記原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2と同様に表面を白色にするが、原稿通紙時に対向する角度範囲R2は、原稿を通紙する際に清掃部材2の表面に原稿を略接触させているため、異物が付着しやすく、汚れてれていることが多い。これに対して、シェーディング用回転角度範囲R3では、白色を保つために原稿に触れさせないようにする。よって、原稿通紙時に対向する回転角度角度範囲R2とシェーディング用回転角度範囲R3は、同じ白色面でも機能的に兼ねることはできない。
【0053】
なお、シェーディング用回転角度範囲R3も原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2と同様に、左右にそれぞれ停止位置誤差カバー領域R4,R4を設けてある。
【0054】
前記シェーディング用回転角度範囲R3の清掃部材2の軸廻り方向で占める割合は、
<補正面白色の場合>
センサーの読み取り幅+読み取り位置誤差+読み取り位置調整幅
<補正面白色+黒色の場合>
(センサーの読み取り幅+読み取り位置誤差+読み取り位置調整幅)×2+停止位置誤差となる。
【0055】
図7は、前記読み取り部用ガラス4Aを清掃する時の清掃部材2の動作説明図である。
【0056】
図7において、清掃部材2を反時計方向(矢印Z方向)へ回転させると、ブラシ22の先端側が読み取り部用ガラス4A上に摺接しながら該ブラシ22が図7の左側から右側へ移動し、読み取りガラス4A上の異物がブラシ22で掻き取り除去される。
【0057】
前記回転角度範囲R1が清掃部材2の軸廻り方向の占める割合は、清掃が必要な幅を網羅できる回転角度で、前記補正用シェーディング機能と同様に、
センサーの読み取り幅+読み取り位置誤差+読み取り位置調整幅
となる。
【0058】
それに加えて異物を読み取り位置から原稿通紙下流方向(図7の右方向)へ遠ざけて、異物に起因する「筋ノイズ」の発生確率を下げるために、より広い幅を清掃することが望ましい。
【0059】
このように、清掃時の回転角度範囲R1、原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2、シェーディング用回転角度範囲R3の3つの機能用としての角度範囲をもった清掃部材2を、電源ON時、原稿通紙前、原稿通紙後の3回のタイミングで回転させることにより、読み取り部用ガラス4A、4B上の異物を自動的に掻き取り除去することが可能となる。
【0060】
図8および図9は、それぞれ清掃装置2A、2Bの要部の構成を示す外観斜視図および平面図である。
【0061】
図8および図9において、この清掃装置2A、2Bは、前述したようにローラ状の基体部21における切り欠き面21aに軸方向(スラスト方向:矢印Y)全長にわたってブラシ21が固定された清掃部材2を備えている。
【0062】
この清掃部材2における基体部21の軸23の両端は、それぞれ清掃装置用シャーシ25に対して、該シャーシ25に設けられた軸受け部材26を介して回転可能に支承されている。
【0063】
41は、前記清掃部材2に対する回転駆動部であり、この回転駆動部41は、例えば回転駆動装置としてのモータ42と、このモータ42で駆動される原動ギア43と、この原動ギア43に噛合して減速回転する従動ギア44とを備えており、前記従動ギア44は、前記清掃部材2における基体部21の軸23に取り付けられている。
【0064】
前記清掃部材2は、モータ42を制御部61により回転制御することにより、前述した読み取り部用ガラス4に対する清掃動作、原稿通紙対向位置への変移動作および補正用シェーディング動作の3つの動作が選択的に機能するよう設定されている。勿論、モータ42の回転力の伝動はこの例のギア機構に限られるものではない。
【0065】
51は、清掃部材2に対するスラスト方向駆動部であり、このスラスト方向駆動部51は、例えば前記軸23と同軸状に配備されたソレノイド52と、このソレノイド52のプランジャ(図示せず)の先端側に連結部材、例えばスプリングピン53とを備えている。
【0066】
このスプリングピン53を介して前記プランジャの先端部が前記清掃部材2における基体部21の軸23の先端部に連結されている。勿論、この連結手段は、清掃部材2をスラスト変移させた状態でも、該清掃部材2の回転を妨げないような構成となっている。
【0067】
前記制御部61は、ソレノイド52への通電を制御して清掃部材2をモード毎にスラスト方向へ変移(ずらす)させるように構成されている。勿論、このスラスト方向駆動部51も、この例のようなソレノイド52を使用するものに限られるものではない。
【0068】
このような構成による清掃装置2A、2Bは、清掃部材2を回転させて図2で説明した例えば3回のタイミング(電源ON時、原稿通紙前、原稿通紙後)で読み取り部用ガラス4A、4B上の清掃を行うようになっている。
【0069】
図10は、清掃装置2A、2Bの清掃部材2による清掃動作処理の流れを示すフローチャートである。
【0070】
図10において、ステップS11では、モータ42の回転により原動ギア43、従動ギア44を介して軸23が減速回転し、清掃部材2がデフォルト位置から回転変移する。これによりブラシ22により読み取り位置の読み取り部用ガラス4A、4B上が清掃されて、異物等が除去される。
【0071】
ステップS12では、ソレノイド52が励磁されてプランジャが一定量進出して軸23を介して清掃部材2がスラスト方向前方へ所定量変移してずれることになる。ステップS13では、再度、清掃部材2を回転変移させることにより前記ブラシ22により読み取り部用ガラス4上が清掃される。
【0072】
ステップS14では、ソレノイド52のプランジャを後退させることにより、軸23を介して清掃部材2をスラスト方向で一定量後退復帰させてから、清掃が終了する。
【0073】
このように、読み取り部用ガラス4A、4Bに弾性的に摺接したブラシ22の端部がスラスト方向にハの字形に変形して隙間ができたり、変形癖が付いた状態に起因して清掃後にも異物や汚れが残存したとしても、清掃部材2がスラスト方向へ変移した状態で回転することにより、異物を残すことなく読み取り部用ガラス4A、4Bの全域から的確に除去することができ、筋状の跡が残ったりすることのない高品質の画像を得ることが可能となる。
【0074】
図11は、清掃後に読み取り部用ガラス4上の異物を検知した場合の清掃動作処理の流れを示すフローチャートである。
【0075】
図11において、ステップS21では、前記ブラシ22により読み取り部用ガラス4A、4B上を清掃し、ステップS22では、清掃部材2を回転させてシェーディング回転角度範囲R3の面を読み取り部用ガラス4A、4B上に対向させる。
【0076】
ステップS23では、読み取り部用ガラス4A、4B上に異物が検知されたか否かを判断し、読み取り部用ガラス4A、4B上に異物が検知されなければ(ステップS23で「無」)、そのまま終了し、読み取りガラス4A、4B上に異物が検知されれば(ステップS23で「有」)、ステップS24に進む。
【0077】
ステップS24では、前記ソレノイド52により清掃部材2をスラスト方向で前方へ一定量変移させ、次いでステップS25で、前記清掃部材2を回転させてブラシ22により読み取り部用ガラス4A、4B上を清掃する。ステップS26では、前記ソレノイド52により清掃部材2をスラスト方向で元の位置まで戻してから、終了する。
【0078】
このように、読み取り部用ガラス4A、4Bの原稿通過面を清掃した後で汚れが検知された場合に、清掃部材2をスラスト方向へ変移させての清掃がさらに行われるから、読み取り部用ガラス4A、4Bの原稿通過面の汚れを確実に除去することができる。
【0079】
なお、前記清掃部材2による予め設定されたタイミングでの清掃を、清掃部材2をスラスト方向へ変移させて行わせる構成としても良い。例えば、前述した3回の清掃タイミング(電源ON時、原稿通紙前、原稿通紙後)のうち、1回のみ図10(または図11)での動作を行い、他の時はスラスト方向の変移を行わず、同じ位置でブラシ22により読み取り部用ガラス4上の清掃を行うか、あるいは、3回のタイミングのうち2回を図10(または図11)での動作を行い、再度、清掃部材2を元の位置に戻すようにしてもよい。
【0080】
また、予め設定された原稿通紙枚数毎に、清掃部材2をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる構成としても良い。例えば、前述した3回のタイミングのうち、例えば原稿通紙前および原稿通紙後の2回について、決められた通紙枚数毎に図10(または図11)での清掃動作を行い、他の1回は、清掃部材2のスラスト方向の変移を行わず、同じ位置で清掃部材2を回転させて読み取り部用ガラス4A、4B上の清掃を行うようにしてもよい。
【0081】
さらに、前述した3回のタイミングのうち、原稿通紙前および原稿通紙後の2回について、決められた清掃部材2の回転数毎に図10(または図11)での清掃動作を行い、他の1回は、清掃部材2のスラスト方向の変移を行わず、同じ位置で清掃部材2を回転させて読み取り部用ガラス4上の清掃を行うようにしてもよい。
【0082】
さらにまた、原稿の読み取りモードに応じて清掃部材2をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる構成としても良い。例えば、前述した3回のタイミングのうち、原稿通紙前および原稿通紙後の2回について、要求画質に応じた設定、例えばカラー画像の際には、図10(または図11)での動作を行い、モノクロ画像の際には、清掃部材2のスラスト方向の変移を行わず、同じ位置で清掃部材2を回転させて読み取り部用ガラス4上の清掃を行う等、異なる設定とすることも可能である。
【0083】
また、原稿の読み取りを2箇所の読み取り位置1A、1Bにおいて行う場合を説明したが、原稿を表裏反転搬送することにより原稿の表裏の読み取りを1箇所の読み取り位置で行う構成の画像読み取り装置であっても良い。
【符号の説明】
【0084】
1A,1B 読み取り位置
2A、2B 清掃装置
2 清掃部材
4A、4B 透明部材(読み取り部用ガラス)
5A、5B イメージセンサー
21 清掃部材基体部
22 ブラシ
23 軸
41 回転駆動部
51 スラスト方向駆動部
61 制御部
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば多機能デジタル画像形成装置であるMFP(Multi Function Peripherals) 等における画像入力装置として用いられるシートスルー方式の画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、原稿の画像を光学的に読み取る画像読み取り装置では、プラテンガラス上に載置した原稿の画像を読み取るプラテンセット方式と、原稿を1枚ずつ搬送し、搬送途中における読み取り位置の透明部材(読み取り部用ガラスともいう)を透して原稿画像を読み取るシートスルー方式とがある。なかでも、シートスルー方式は、小形化、低コスト、低騒音、画像読み取り高速化、ひいてはプリントの高い生産性等の利点から、モノクロ複写機、カラー複写機、MFP等の画像読み取り装置の主流になっている。
【0003】
シートスルー方式では、画像読み取り位置に搬送された原稿の画像面に対して前記読み取り部用ガラスを透して読み取り光学系の焦点を合わせる構成のため、読み取り部用ガラス上に付着した異物や汚れの影響を受けやすく、それらにより遮光された部分は読み取り画像において、筋状の画像ノイズとなる。
【0004】
このため、従来では、糸状繊維等の弾性変形可能な束のブラシを列状に配した略ローラ状の清掃部材を回転変移可能に配備し、この清掃部材を回転させるとともに、読み取り部用ガラスに該ブラシを摺擦させることにより、読み取り部用ガラスに付着した異物を掻き落とす方法が広く用いられている。
【0005】
また、従来、ブラシを有する清掃部材の回転タイミング、回転速度および回転数を要求画質に応じて変更制御するようにした技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−93352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の技術では、ブラシをもった清掃部材を回転させて該ブラシを読み取り部用ガラスに摺接させるだけであるから、図12に示すように、清掃部材200による清掃動作時に基体部210に設けたブラシ220の端部が読み取り部用ガラスへの圧接によりスラスト方向へハの字形に広がり、スラスト方向においてブラシ220の束の中に隙間Gが生じてしまう。このため、清掃部材200を回転させても隙間Gのために読み取り部用ガラス300に付着した異物の掻き残しが起きやすく、掻き残し異物が筋ノイズの要因ともなってしまう。
【0008】
また、通紙枚数が多くなると、前記ブラシ220が湾曲状に変形した癖が付いてしまい、そのブラシ変形状態のまま読み取り部用ガラス300の同じ部位を摺接して清掃動作が行われても、異物の掻き残しが多くなってしまう。
【0009】
また、温度や湿度等の使用環境によってブラシ220の変形癖が異なり、異物を除去しきれないような変形が起きると、ブラシ220の交換を強いられる。例えば、高温、高湿度の環境下や低温、低湿度の環境下では、ブラシ220に大きな変形癖がついてしまう。
【0010】
また、前記特許文献1に記載の技術においては、清掃部材200の回転タイミング、回転速度および回転数を制御することが可能であるが、ブラシ220が読み取り部用ガラス300に対して同一個所を通過するのに変わりはなく、変形癖が付いてしまったブラシ220では、有効な清掃が行えない。
【0011】
また、ブラシ220の一列当たりの束数を増やして隙間が生じないようにする対策も考えられるが、隣のブラシ220との距離が短くなり、ブラシ220が広がろうとした時、箒の先端のように近傍の束を巻き添えにして倒れてしまう。このため、ブラシ220間の距離が短いと倒れが発生し、ブラシ220間の距離が遠いと異物を掻き残してしまいやすく、調整が難しい。
【0012】
また、図13に示すように、ブラシ220の列数を2列にする等、増列する方策も考えられるが、通常、清掃部材200の所定機能(清掃機能、原稿対向機能、シェーディング機能等)が一定の回転角度範囲毎に割り当てられているので、この方策では、2列のブラシ220,220のずらし幅Wが大きくなり、これにより回転角度範囲で清掃機能以外の他の機能(原稿対向、補正シェーディング等)の分担領域が狭くなってしまい、設計的に難しい。
【0013】
また、図14に示すように、2つのブラシ220,220の列を基体部210の上下に分けて設ける対策も考えられるが、その場合、清掃部材200を回転変移させることによる前記他の機能自体の実行ができなくなってしまう。
【0014】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、清掃部材に設計上の問題等がないのは勿論、清掃部材のブラシの変形等に左右されることなく、読み取り位置において原稿と読み取り手段との間に配設された透明部材を効果的に清掃することができ、高品質の画像を取得できる画像読み取り装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)原稿を1枚ずつ送り出して所定の読み取り位置を通過させる原稿搬送手段と、原稿が前記読み取り位置を通過する際に、該原稿の画像を光学的に読み取る読み取り手段と、前記読み取り位置に対応して原稿と前記読み取り手段との間に配設された透明部材と、前記透明部材に対向して通紙方向と直交方向へ沿って配設されるとともに、軸を介して回転変移可能に支承された略ローラ状の基体部ならびにこの基体部の長さ方向に列状に設けられ基体部の回転変移に伴って前記透明部材の原稿通過面を摺接して清掃する弾性変形可能なブラシを有する清掃部材と、前記清掃部材を回転駆動する回転駆動手段と、前記清掃部材をスラスト方向へ進退可能に変移させるスラスト方向駆動手段と、前記回転駆動手段による清掃部材の回転変移と、前記スラスト方向駆動手段による清掃部材のスラスト方向への変移を組み合わせて、前記清掃部材による透明部材の清掃が行われるように、前記回転駆動手段及びスラスト方向駆動手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする画像読み取り装置。
(2)前記透明部材における原稿通過面の汚れを検知する汚れ検知手段を備えており、前記制御手段は、前記汚れ検知手段により汚れが検知された場合に、清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる前項1に記載の画像読み取り装置。
(3)前記制御手段は、予め設定された原稿通紙枚数毎に、清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる前項1または2に記載の画像読み取り装置。
(4)前記制御手段は、前記清掃部材による予め設定されたタイミングでの清掃を、清掃部材をスラスト方向へ変移させて行わせる前項1または2に記載の画像読み取り装置。
(5)前記制御手段は、原稿の読み取りモードに応じて清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる前項1または2に記載の画像読み取り装置。
(6)前記制御手段は、前記清掃部材による清掃を、電源ON時のタイミングで実行させる前項1ないし5のいずれかに記載の画像読み取り装置。
(7)前記制御手段は、前記清掃部材による清掃を、読み取り開始の指示がなされたときから読み取り手段による読み取り完了までの間のタイミングで実行させる前項1ないし6のいずれかに記載の画像読み取り装置。
(8)前記制御手段は、前記清掃部材による清掃を、前記原稿搬送手段により搬送される原稿が前記読み取り手段から離れた後のタイミングで実行させる前項1ないし7のいずれかに記載の画像読み取り装置。
(9)前記制御手段は、1回の清掃中に、前記清掃部材のスラスト方向への変移を複数回行う前項1ないし8のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【発明の効果】
【0016】
前項(1)に記載の発明によれば、原稿が通過する透明部材を前記清掃部材で清掃させる際に、前記制御手段により回転駆動手段を介して清掃部材の回転が制御され、これにより、清掃部材のブラシが透明部材の原稿通過面に摺接して回転するので、透明部材に付着した異物等の汚れが掻き取られて、該透明部材の原稿通過面が清掃される。
【0017】
また、スラスト方向駆動手段による清掃部材のスラスト方向への変移が組み合わされて清掃されるので、透明部材の同じ個所を何回も清掃するだけのものと違って、透明部材の原稿通過面におけるスラスト方向の全域が一様に清掃される。また、清掃部材の構造等を変更するものではないから、設計上の支障を招くおそれもない。
【0018】
つまり、透明部材に弾性的に摺接したブラシの端部がスラスト方向にハの字形に変形して隙間ができたり、変形癖が付いた状態に起因して清掃後にも異物や汚れが残存したとしても、前記清掃部材がスラスト方向へ変移した状態で回転することにより、異物を残すことなく読み取り部用ガラスの全域から的確に除去することができ、筋状の跡が残ったりすることのない高品質の画像を得ることが可能となる。
【0019】
前項(2)に記載の発明によれば、透明部材の原稿通過面を清掃した後に汚れ検知手段により汚れが検知された場合に、清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃が行われるから、透明部材の原稿通過面の汚れが確実に除去される。
【0020】
前項(3)に記載の発明によれば、予め設定された原稿通紙枚数毎に、清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃が行われるから、透明部材に汚れが付着しやすいタイミングで清掃を実行することができる。
【0021】
前項(4)に記載の発明によれば、清掃部材による予め設定されたタイミングでの清掃が、清掃部材をスラスト方向へ変移させて行われるから、清掃の度に清掃部材をスラスト方向へ変移させる場合に較べて、清掃に要する時間も少なくなり、効率的な清掃を行うことができる。
【0022】
前項(5)に記載の発明によれば、原稿の読み取りモードに応じて清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃が行われるので、例えば画質が重要視される読み取りモードの時には確実な清掃を行って、画質の低下を防ぐことができる。
【0023】
前項(6)に記載の発明によれば、電源ON時のタイミングで清掃部材による清掃が行われるので、電源ONの後は、透明部材が清掃化された状態での原稿通紙が可能となる。
【0024】
前項(7)に記載の発明によれば、清掃部材による清掃が、読み取り開始の指示がなされたときから読み取り手段による読み取り完了までの間のタイミングで実行される。
【0025】
前項(8)に記載の発明によれば、清掃部材による清掃が、原稿搬送手段により搬送される原稿が読み取り手段から離れた後のタイミングで実行されるから、つぎの原稿の読み取りを良好に行える。
【0026】
前項(9)に記載の発明によれば、1回の清掃中に、清掃部材のスラスト方向への変移が複数回行われるから、確実に汚れを除去することが可能なる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態に係るシートスルー方式の画像読み取り装置の概略構成図である。
【図2】同じく画像読み取り装置における清掃部材による基本的な3回の清掃処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】清掃部材の基本的構成を示す外観斜視図である。
【図4】清掃部材の基本的機能の説明を兼ねた横断面図である。
【図5】原稿が読み取り位置を通過する時の清掃部材の動作説明図である。
【図6】補正シェーディング時の清掃部材の動作説明図である。
【図7】読み取り部用ガラスを清掃する時の清掃部材の動作説明図である。
【図8】清掃装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図9】同じく清掃装置の要部の構成を示す平面図である。
【図10】清掃装置の清掃部材による清掃動作処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】読み取り部用ガラス上の異物を検知した場合の清掃動作処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】従来の清掃部材の変形状態の説明図である。
【図13】従来の清掃部材の改善案を示す図である。
【図14】従来の清掃部材の別の改善案を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、この発明の一実施形態に係るシートスルー方式の画像読み取り装置を示す概略構成図である。
【0030】
図1において、この画像読み取り装置は前述したMFP等の画像形成装置の一部として設けられており、原稿搬送手段10により原稿を搬送するとともに、その搬送途中に設けられた前後2つの読み取り位置1A、1Bにおいて、原稿の画像を読み取るものである。なお、この実施形態では自動原稿読み取り装置(ADF)として構成されている。
【0031】
第1の読み取り位置1Aでは原稿の表面画像を読み取り、第2の読み取り位置1Bでは原稿の裏面画像を読み取るものであり、各読み取り位置1A及び1Bには、原稿が通過する第1、第2の各透明部材(読み取り部用ガラスともいう)4A、4Bがそれぞれ配置されている。
【0032】
さらに、第1、第2の各透明部材4A、4Bを隔てて原稿と反対側には、図示しない光源から原稿に向かって放射される光の、原稿からの反射光を受領する読み取り手段としての第1、第2の各イメージセンサー(単にセンサーともいう)5A、5Bが配設されている。
【0033】
つまり、原稿給紙部15から搬送経路100に繰り出された原稿は、原稿搬送手段10を構成する、給紙ローラ11、第1の搬送ローラ12、第2の搬送ローラ13、読み取り前ローラ14等で順次送給される。原稿が第1の読み取り位置1Aまで送給され、ここを通過する時に、原稿の表面の画像が第1の読み取り部用ガラス4Aを介して第1のセンサー5Aにより光学的に読み取られる。この後、第1の読み取り位置1Aを通過した原稿は、第2の読み取り位置1Bまで送給され、ここを通過する時に、原稿の裏面の画像が第2の読み取り部用ガラス4Bを介して第2のセンサー5Bにより光学的に読み取られ、その後、機外に排出される。
【0034】
この実施形態では、前記第1、第2の読み取り部用ガラス4A、4Bの清掃用として、図3および図4に示すような清掃部材2を有する清掃装置2A、2Bがそれぞれ設けられている。つまり、基本的な動作として、各清掃部材2A、2Bにおけるブラシ22を読み取り部用ガラス4A、4Bの表面に押し付けて該清掃部材2を回転させることにより、読み取り部用ガラス4A、4Bの表面(原稿通過面)に付着した異物を掻き取り除去するようになっている。
【0035】
図2は、画像読み取り装置における清掃装置2A、2Bの清掃部材2による基本的な清掃処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、電源ON時、原稿通紙前、原稿通紙後の3回清掃を行う例で説明する。
【0036】
図2において、画像読み取り装置の電源がONになり、他の装置電源もONした際、他装置起動と共に予備動作段階での清掃が行われる。つまり、ステップS1では、各読み取り位置1A,1Bの各読み取り部用ガラス4A,4Bに対して、それぞれ清掃部材2を回転させて、前回使用時に読み取り部用ガラス4に付着した異物をブラシ22で掻き取り除去し、ステップS2では、原稿をセットして実行ボタンを押下する。
【0037】
ステップS3は、通紙前の清掃動作として、ADF使用以外の読み取り方法(フラットベッド)でADFを開閉した際、透明部材4が露出した時に付着した異物の除去のために行うものである。つまり、読み取り部用ガラス4Aに対して清掃部材2を回転させることにより、読み取り部用ガラス4Aに付着した異物を除去し、ステップS4では、原稿を通紙する。
【0038】
原紙通紙後は、原稿を通紙させた際の該原稿自体が落とした異物を除去するために清掃を行う。つまり、ステップS5で、原稿の表裏の画像の読み取りが完了したか否かを判断し、原稿の表裏の画像の読み取りが完了していなければ(ステップS5でNO)、ステップS3に戻り、原稿表裏の画像の読み取りが完了すれば(ステップS5でYES)、ステップS6では、通紙後の清掃動作として、清掃部材2を回転させて読み取り部用ガラス4A、4Bに付着した異物を除去する。
【0039】
このような清掃動作を行った場合、
<1枚の原稿>
清掃→1枚の原稿の画像を読み取る→清掃
<2枚の原稿>
清掃→1枚の原稿の画像を読み取る→清掃→1枚の原稿の画像を読み取る→清掃
となり、
清掃回数=原稿枚数×1+1で清掃回数を計算できる。
【0040】
図3は、同じく清掃部材2の基本的構成を示す外観斜視図、図4は、同じく清掃部材2の基本的機能の説明を兼ねた横断面図である。
【0041】
図3および図4において、清掃部材2は、基体部21と清掃用のブラシ22とを備えている。
【0042】
前記基体部21は、軸方向(スラスト方向)全長にわたる切り欠き面21を有した横断面形状が略半円形のローラ形棒体からなり、読み取り部用ガラス4A、4Bにおける原稿画像読み取り位置に対向して回転可能に配置されており、その軸方向の端面からは、回転駆動される軸23が突設されている。
【0043】
前記基体部21の軸方向に沿った切り欠き面21aには、軸方向の全長にわたって列状に配設されたブラシ22の基端側が固定板24を介して固定されており、このブラシ22は、基体部21の回転に伴って前記読み取り部用ガラス4A、4Bに対して摺接して異物や塵埃を除去するようになっている。
【0044】
このような清掃部材2は、図4に示す回転角度範囲R1が、清掃動作が機能する範囲として設定され、また、回転角度範囲R2は、読み取り部用ガラス4A、4Bに対して原稿通紙時に対向する範囲として設定されている。また、回転角度範囲R3は、補正用シェーディング機能としての範囲として設定されている。また、これら3つの回転角度範囲R1,R2,R3の各間には、停止位置誤差をカバーする領域R4がそれぞれ設定されている。
【0045】
図5は、原稿が読み取り位置の中心Pを通過する時の清掃部材2の動作説明図である。なお、図5〜図9では第1の清掃装置2Aについて説明するが、第2の清掃装置2Bについても同様である。
【0046】
図5において、原稿を通紙する際、読み取りローラ14で搬送された原稿は、読み取り位置の上流側のペーパーガイド31と読み取り部用ガラス4Aとの間を通り、図5の左側から右側へ送られる。
【0047】
読み取り位置に到達した原稿は、その画像が下方からセンサー5Aで読み取られた後、読み取り位置から下流側のペーパーガイド32と読み取り部用ガラス4との間を通り、さらに、右側へ送られる。
【0048】
なお、画質向上の点から原稿画像の明暗を正確に読み取るために、清掃部材2の表面を白色にしてある。また、清掃部材2における原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2の左右両側に停止位置誤差カバー領域R4,R4をそれぞれ設けるために、原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2と同様に停止位置誤差カバー領域R4,R4も白色にしてある。
【0049】
原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2の基体部22に占める割合は、清掃用開口、つまり上流側ペーパーガイド31と下流側ペーパーガイド32との間を塞ぐ角度に設定されている。
【0050】
図6は、補正シェーディング時の清掃部材2の動作説明図である。
【0051】
図6において、シェーディングとは、画質濃度を一定に保つためのセンサー5A、5Bの光量補正のことであり、このシェーディング用回転角度範囲R3は、読み取り部用ガラス4A上の異物の有無検知機能も併せ持つため、色の付いた異物を検知するために、原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2と同様に、シェーディング用回転角度範囲R3において清掃部材2の表面を白色にしてある。なお、清掃部材2の表面に白色面だけでなく黒色面も設け、白色面で色の付いた異物を、黒色面で白色の異物を検知する場合もある。
【0052】
このシェーディング用回転角度範囲R3は、前記原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2と同様に表面を白色にするが、原稿通紙時に対向する角度範囲R2は、原稿を通紙する際に清掃部材2の表面に原稿を略接触させているため、異物が付着しやすく、汚れてれていることが多い。これに対して、シェーディング用回転角度範囲R3では、白色を保つために原稿に触れさせないようにする。よって、原稿通紙時に対向する回転角度角度範囲R2とシェーディング用回転角度範囲R3は、同じ白色面でも機能的に兼ねることはできない。
【0053】
なお、シェーディング用回転角度範囲R3も原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2と同様に、左右にそれぞれ停止位置誤差カバー領域R4,R4を設けてある。
【0054】
前記シェーディング用回転角度範囲R3の清掃部材2の軸廻り方向で占める割合は、
<補正面白色の場合>
センサーの読み取り幅+読み取り位置誤差+読み取り位置調整幅
<補正面白色+黒色の場合>
(センサーの読み取り幅+読み取り位置誤差+読み取り位置調整幅)×2+停止位置誤差となる。
【0055】
図7は、前記読み取り部用ガラス4Aを清掃する時の清掃部材2の動作説明図である。
【0056】
図7において、清掃部材2を反時計方向(矢印Z方向)へ回転させると、ブラシ22の先端側が読み取り部用ガラス4A上に摺接しながら該ブラシ22が図7の左側から右側へ移動し、読み取りガラス4A上の異物がブラシ22で掻き取り除去される。
【0057】
前記回転角度範囲R1が清掃部材2の軸廻り方向の占める割合は、清掃が必要な幅を網羅できる回転角度で、前記補正用シェーディング機能と同様に、
センサーの読み取り幅+読み取り位置誤差+読み取り位置調整幅
となる。
【0058】
それに加えて異物を読み取り位置から原稿通紙下流方向(図7の右方向)へ遠ざけて、異物に起因する「筋ノイズ」の発生確率を下げるために、より広い幅を清掃することが望ましい。
【0059】
このように、清掃時の回転角度範囲R1、原稿通紙時に対向する回転角度範囲R2、シェーディング用回転角度範囲R3の3つの機能用としての角度範囲をもった清掃部材2を、電源ON時、原稿通紙前、原稿通紙後の3回のタイミングで回転させることにより、読み取り部用ガラス4A、4B上の異物を自動的に掻き取り除去することが可能となる。
【0060】
図8および図9は、それぞれ清掃装置2A、2Bの要部の構成を示す外観斜視図および平面図である。
【0061】
図8および図9において、この清掃装置2A、2Bは、前述したようにローラ状の基体部21における切り欠き面21aに軸方向(スラスト方向:矢印Y)全長にわたってブラシ21が固定された清掃部材2を備えている。
【0062】
この清掃部材2における基体部21の軸23の両端は、それぞれ清掃装置用シャーシ25に対して、該シャーシ25に設けられた軸受け部材26を介して回転可能に支承されている。
【0063】
41は、前記清掃部材2に対する回転駆動部であり、この回転駆動部41は、例えば回転駆動装置としてのモータ42と、このモータ42で駆動される原動ギア43と、この原動ギア43に噛合して減速回転する従動ギア44とを備えており、前記従動ギア44は、前記清掃部材2における基体部21の軸23に取り付けられている。
【0064】
前記清掃部材2は、モータ42を制御部61により回転制御することにより、前述した読み取り部用ガラス4に対する清掃動作、原稿通紙対向位置への変移動作および補正用シェーディング動作の3つの動作が選択的に機能するよう設定されている。勿論、モータ42の回転力の伝動はこの例のギア機構に限られるものではない。
【0065】
51は、清掃部材2に対するスラスト方向駆動部であり、このスラスト方向駆動部51は、例えば前記軸23と同軸状に配備されたソレノイド52と、このソレノイド52のプランジャ(図示せず)の先端側に連結部材、例えばスプリングピン53とを備えている。
【0066】
このスプリングピン53を介して前記プランジャの先端部が前記清掃部材2における基体部21の軸23の先端部に連結されている。勿論、この連結手段は、清掃部材2をスラスト変移させた状態でも、該清掃部材2の回転を妨げないような構成となっている。
【0067】
前記制御部61は、ソレノイド52への通電を制御して清掃部材2をモード毎にスラスト方向へ変移(ずらす)させるように構成されている。勿論、このスラスト方向駆動部51も、この例のようなソレノイド52を使用するものに限られるものではない。
【0068】
このような構成による清掃装置2A、2Bは、清掃部材2を回転させて図2で説明した例えば3回のタイミング(電源ON時、原稿通紙前、原稿通紙後)で読み取り部用ガラス4A、4B上の清掃を行うようになっている。
【0069】
図10は、清掃装置2A、2Bの清掃部材2による清掃動作処理の流れを示すフローチャートである。
【0070】
図10において、ステップS11では、モータ42の回転により原動ギア43、従動ギア44を介して軸23が減速回転し、清掃部材2がデフォルト位置から回転変移する。これによりブラシ22により読み取り位置の読み取り部用ガラス4A、4B上が清掃されて、異物等が除去される。
【0071】
ステップS12では、ソレノイド52が励磁されてプランジャが一定量進出して軸23を介して清掃部材2がスラスト方向前方へ所定量変移してずれることになる。ステップS13では、再度、清掃部材2を回転変移させることにより前記ブラシ22により読み取り部用ガラス4上が清掃される。
【0072】
ステップS14では、ソレノイド52のプランジャを後退させることにより、軸23を介して清掃部材2をスラスト方向で一定量後退復帰させてから、清掃が終了する。
【0073】
このように、読み取り部用ガラス4A、4Bに弾性的に摺接したブラシ22の端部がスラスト方向にハの字形に変形して隙間ができたり、変形癖が付いた状態に起因して清掃後にも異物や汚れが残存したとしても、清掃部材2がスラスト方向へ変移した状態で回転することにより、異物を残すことなく読み取り部用ガラス4A、4Bの全域から的確に除去することができ、筋状の跡が残ったりすることのない高品質の画像を得ることが可能となる。
【0074】
図11は、清掃後に読み取り部用ガラス4上の異物を検知した場合の清掃動作処理の流れを示すフローチャートである。
【0075】
図11において、ステップS21では、前記ブラシ22により読み取り部用ガラス4A、4B上を清掃し、ステップS22では、清掃部材2を回転させてシェーディング回転角度範囲R3の面を読み取り部用ガラス4A、4B上に対向させる。
【0076】
ステップS23では、読み取り部用ガラス4A、4B上に異物が検知されたか否かを判断し、読み取り部用ガラス4A、4B上に異物が検知されなければ(ステップS23で「無」)、そのまま終了し、読み取りガラス4A、4B上に異物が検知されれば(ステップS23で「有」)、ステップS24に進む。
【0077】
ステップS24では、前記ソレノイド52により清掃部材2をスラスト方向で前方へ一定量変移させ、次いでステップS25で、前記清掃部材2を回転させてブラシ22により読み取り部用ガラス4A、4B上を清掃する。ステップS26では、前記ソレノイド52により清掃部材2をスラスト方向で元の位置まで戻してから、終了する。
【0078】
このように、読み取り部用ガラス4A、4Bの原稿通過面を清掃した後で汚れが検知された場合に、清掃部材2をスラスト方向へ変移させての清掃がさらに行われるから、読み取り部用ガラス4A、4Bの原稿通過面の汚れを確実に除去することができる。
【0079】
なお、前記清掃部材2による予め設定されたタイミングでの清掃を、清掃部材2をスラスト方向へ変移させて行わせる構成としても良い。例えば、前述した3回の清掃タイミング(電源ON時、原稿通紙前、原稿通紙後)のうち、1回のみ図10(または図11)での動作を行い、他の時はスラスト方向の変移を行わず、同じ位置でブラシ22により読み取り部用ガラス4上の清掃を行うか、あるいは、3回のタイミングのうち2回を図10(または図11)での動作を行い、再度、清掃部材2を元の位置に戻すようにしてもよい。
【0080】
また、予め設定された原稿通紙枚数毎に、清掃部材2をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる構成としても良い。例えば、前述した3回のタイミングのうち、例えば原稿通紙前および原稿通紙後の2回について、決められた通紙枚数毎に図10(または図11)での清掃動作を行い、他の1回は、清掃部材2のスラスト方向の変移を行わず、同じ位置で清掃部材2を回転させて読み取り部用ガラス4A、4B上の清掃を行うようにしてもよい。
【0081】
さらに、前述した3回のタイミングのうち、原稿通紙前および原稿通紙後の2回について、決められた清掃部材2の回転数毎に図10(または図11)での清掃動作を行い、他の1回は、清掃部材2のスラスト方向の変移を行わず、同じ位置で清掃部材2を回転させて読み取り部用ガラス4上の清掃を行うようにしてもよい。
【0082】
さらにまた、原稿の読み取りモードに応じて清掃部材2をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる構成としても良い。例えば、前述した3回のタイミングのうち、原稿通紙前および原稿通紙後の2回について、要求画質に応じた設定、例えばカラー画像の際には、図10(または図11)での動作を行い、モノクロ画像の際には、清掃部材2のスラスト方向の変移を行わず、同じ位置で清掃部材2を回転させて読み取り部用ガラス4上の清掃を行う等、異なる設定とすることも可能である。
【0083】
また、原稿の読み取りを2箇所の読み取り位置1A、1Bにおいて行う場合を説明したが、原稿を表裏反転搬送することにより原稿の表裏の読み取りを1箇所の読み取り位置で行う構成の画像読み取り装置であっても良い。
【符号の説明】
【0084】
1A,1B 読み取り位置
2A、2B 清掃装置
2 清掃部材
4A、4B 透明部材(読み取り部用ガラス)
5A、5B イメージセンサー
21 清掃部材基体部
22 ブラシ
23 軸
41 回転駆動部
51 スラスト方向駆動部
61 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を1枚ずつ送り出して所定の読み取り位置を通過させる原稿搬送手段と、
原稿が前記読み取り位置を通過する際に、該原稿の画像を光学的に読み取る読み取り手段と、
前記読み取り位置に対応して原稿と前記読み取り手段との間に配設された透明部材と、
前記透明部材に対向して通紙方向と直交方向へ沿って配設されるとともに、軸を介して回転変移可能に支承された略ローラ状の基体部ならびにこの基体部の長さ方向に列状に設けられ基体部の回転変移に伴って前記透明部材の原稿通過面を摺接して清掃する弾性変形可能なブラシを有する清掃部材と、
前記清掃部材を回転駆動する回転駆動手段と、
前記清掃部材をスラスト方向へ進退可能に変移させるスラスト方向駆動手段と、
前記回転駆動手段による清掃部材の回転変移と、前記スラスト方向駆動手段による清掃部材のスラスト方向への変移を組み合わせて、前記清掃部材による透明部材の清掃が行われるように、前記回転駆動手段及びスラスト方向駆動手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記透明部材における原稿通過面の汚れを検知する汚れ検知手段を備えており、
前記制御手段は、前記汚れ検知手段により汚れが検知された場合に、清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記制御手段は、予め設定された原稿通紙枚数毎に、清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる請求項1または2に記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記清掃部材による予め設定されたタイミングでの清掃を、清掃部材をスラスト方向へ変移させて行わせる請求項1または2に記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記制御手段は、原稿の読み取りモードに応じて清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる請求項1または2に記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記清掃部材による清掃を、電源ON時のタイミングで実行させる請求項1ないし5のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記清掃部材による清掃を、読み取り開始の指示がなされたときから読み取り手段による読み取り完了までの間のタイミングで実行させる請求項1ないし6のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記清掃部材による清掃を、前記原稿搬送手段により搬送される原稿が前記読み取り手段から離れた後のタイミングで実行させる請求項1ないし7のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項9】
前記制御手段は、1回の清掃中に、前記清掃部材のスラスト方向への変移を複数回行う請求項1ないし8のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項1】
原稿を1枚ずつ送り出して所定の読み取り位置を通過させる原稿搬送手段と、
原稿が前記読み取り位置を通過する際に、該原稿の画像を光学的に読み取る読み取り手段と、
前記読み取り位置に対応して原稿と前記読み取り手段との間に配設された透明部材と、
前記透明部材に対向して通紙方向と直交方向へ沿って配設されるとともに、軸を介して回転変移可能に支承された略ローラ状の基体部ならびにこの基体部の長さ方向に列状に設けられ基体部の回転変移に伴って前記透明部材の原稿通過面を摺接して清掃する弾性変形可能なブラシを有する清掃部材と、
前記清掃部材を回転駆動する回転駆動手段と、
前記清掃部材をスラスト方向へ進退可能に変移させるスラスト方向駆動手段と、
前記回転駆動手段による清掃部材の回転変移と、前記スラスト方向駆動手段による清掃部材のスラスト方向への変移を組み合わせて、前記清掃部材による透明部材の清掃が行われるように、前記回転駆動手段及びスラスト方向駆動手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記透明部材における原稿通過面の汚れを検知する汚れ検知手段を備えており、
前記制御手段は、前記汚れ検知手段により汚れが検知された場合に、清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記制御手段は、予め設定された原稿通紙枚数毎に、清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる請求項1または2に記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記清掃部材による予め設定されたタイミングでの清掃を、清掃部材をスラスト方向へ変移させて行わせる請求項1または2に記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記制御手段は、原稿の読み取りモードに応じて清掃部材をスラスト方向へ変移させての清掃を行わせる請求項1または2に記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記清掃部材による清掃を、電源ON時のタイミングで実行させる請求項1ないし5のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記清掃部材による清掃を、読み取り開始の指示がなされたときから読み取り手段による読み取り完了までの間のタイミングで実行させる請求項1ないし6のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記清掃部材による清掃を、前記原稿搬送手段により搬送される原稿が前記読み取り手段から離れた後のタイミングで実行させる請求項1ないし7のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項9】
前記制御手段は、1回の清掃中に、前記清掃部材のスラスト方向への変移を複数回行う請求項1ないし8のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−42468(P2013−42468A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179995(P2011−179995)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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