説明

画像読取り装置、及びそれを備える画像形成装置

【課題】普通紙の原稿だけではなく、名刺、クレジットカード、ICカード等のカードの読取りに適した画像読取り装置を提供する。
【解決手段】カードは、ストレート搬送経路63を通過し、原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の第2ガイド経路88を通過する。このため、ジャム等が発生することはない。また、原稿は、原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の第1及び第2ガイド経路87、88を通過し、第1ガイド経路87で原稿の撓みや波打ちが抑制される。このため、原稿に対する第1及び第2読取りスキャナ45、55のピントが維持されつつ、原稿の表面もしくは裏面が読取られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を照明して読取る画像読取り装置、及びその画像読取り装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像読取り装置は、原稿を読取るものであって、単独で又は複写機等に搭載されて用いられる。単独で用いられる場合は、読取った原稿の画像が外部のプリンター等に出力され、また複写機に搭載されて用いられる場合は、読取った原稿の画像が該複写機で複写される。
【0003】
このような画像読取り装置としては、例えば、上下に対向配置された一対のガイド板と、読取りスキャナとを備え、原稿を各ガイド板間に通して搬送しつつ、読取りスキャナにより原稿を一方のガイド板を介して照明して読取るものがある。少なくとも一方のガイド板は、透光性を有するガラス等からなる。読取りスキャナは、原稿を照明する光源、及び原稿からの反射光を光電変換するイメージセンサ(CCD等)等を有する。
【0004】
ここで、画像読取り装置では、厚みが0.1〜0.2mm程度の普通紙の原稿を読取ることが前提となっており、このために原稿の搬送経路が該搬送経路の側方から見て湾曲していることが多い。また、各ガイド板の隙間を狭くして、原稿が撓んだり波打ったりしないようにし、原稿に対する読取りスキャナのピントずれを防止している。
【0005】
しかしながら、搬送経路が湾曲していたり、各ガイド板の隙間が狭くされている場合は、名刺、クレジットカード、ICカード等のカードを通すことができず、カードの読取りが不可能となる。
【0006】
例えば、特許文献1では、写真が通過する原稿ガイド面の中央部分を平滑面として、この中央部分に給送ローラ(駆動ローラ)を設け、原稿ガイド面の両側部分にそれぞれのリブを設けている。原稿が原稿ガイド面を通過するときには、原稿ガイド面の両側部分のリブにより原稿がガイドされて押えられ、原稿の撓みや波打ちが防止されて、原稿に対する読取りスキャナのピントずれが防止される。また、写真が原稿ガイド面を通過するときには、給送ローラにより写真が搬送され、写真がリブを避けて通過し、リブにより写真が傷つけられることが防止される。
【0007】
ところが、特許文献1のように原稿ガイド面の中央部分にリブの代わりとなる給送ローラを設けた場合は、原稿や写真が通過する中央部分の隙間が狭く、写真が通過しても、より厚い名刺、クレジットカード、ICカード等のカードの通過が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−106077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように従来の画像読取り装置では、厚みが0.1〜0.2mm程度の普通紙の原稿を読取ることが前提となっており、搬送経路が湾曲していたり、原稿が通過する各ガイド板の隙間が狭くされていたりするため、クレジットカード、ICカード等のカードを通すことができず、カードの読取りが困難である。
【0010】
また、特許文献1では、普通紙よりは厚い写真を読取ることが前提となっていても、原稿ガイド面の中央部分に給送ローラを設けているため、原稿や写真が通過する中央部分の隙間が狭く、写真が通過しても、より厚い名刺、クレジットカード、ICカード等のカードの通過及び読取りが困難である
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、普通紙の原稿だけではなく、名刺、クレジットカード、ICカード等のカードの読取りに適した画像読取り装置及びそれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、原稿及びカードを択一的に搬送する搬送経路と、前記搬送経路を挟んで対向配置され、搬送されている前記原稿及びカードをガイドする一対のガイド部材と、前記各ガイド部材の少なくとも一方を通じて前記原稿を読取る読取り部とを備えた画像読取り装置であって、前記搬送経路は、該搬送経路の側方から見て直線状に形成されており、前記各ガイド部材の間には、前記原稿が通過する狭い隙間の第1ガイド経路と、前記原稿及び前記カードが通過する広い隙間の第2ガイド経路とが設けられている。
【0012】
このような本発明の画像読取り装置では、搬送経路が該搬送経路の側方から見て直線状に形成されているため、普通紙の原稿だけではなく、より厚い名刺、クレジットカード、ICカード等のカードを搬送経路に通すことができる。また、各ガイド部材の間には、原稿が通過する狭い隙間の第1ガイド経路と、原稿及びカードが通過する広い隙間の第2ガイド経路とが設けられているため、原稿を第1及び第2ガイド経路に通過させ、原稿の撓みや波打ちを狭い隙間の第1ガイド経路で抑制して、原稿に対する読取り部のピントを維持しつつ、読取り部により原稿を読取ることができ、かつカードを広い隙間の第2ガイド経路に通すことができる。
【0013】
また、本発明の画像読取り装置においては、前記第2ガイド経路の幅は、前記カードの幅よりも広く、かつ最小サイズの前記原稿の幅よりも狭い。
【0014】
ここでは、カードの幅が最小サイズの原稿の幅よりも狭く、第2ガイド経路をカードだけが通過するので、第2ガイド経路の幅をカードの幅よりも広くかつ最小サイズの原稿の幅よりも狭くしている。これにより、最小サイズの原稿であっても、原稿が第1及び第2ガイド経路を通過し、原稿の撓みや波打ちが狭い隙間の第1ガイド経路で抑制される。
【0015】
更に、本発明の画像読取り装置においては、前記各ガイド部材の一方は、ガイド板と回転自在なローラとを有し、前記ガイド板が前記第1及び第2ガイド経路に配置され、前記ローラが前記第1ガイド経路に配置され、前記ガイド板が前記ローラよりも前記各ガイド部材の他方から離間している。
【0016】
このように一方のガイド部材をガイド板と回転自在なローラとで構成し、ガイド板を第1及び第2ガイド経路に配置し、ローラを第1ガイド経路に配置して、ガイド板をローラよりも他方のガイド部材から離間させることによって、第1ガイド経路の隙間を狭くしたり第2ガイド経路の隙間を広くすることができる。
【0017】
また、本発明の画像読取り装置においては、前記各ガイド部材の一方は、回転自在なローラであり、前記ローラの径が前記第1ガイド経路で大きく前記第2ガイド経路で小さくされている。
【0018】
このようにガイド部材の一方を回転自在なローラとし、ローラの径を第1ガイド経路で大きくしたり第2ガイド経路で小さくしたりすることにより、第1ガイド経路の隙間を狭くしたり第2ガイド経路の隙間を広くすることができる。
【0019】
更に、本発明の画像読取り装置においては、前記各ガイド部材の一方は、ガイド板とリブとを有し、前記ガイド板が前記第1及び第2ガイド経路に配置され、前記リブが前記第1ガイド経路に配置され、前記ガイド板が前記リブよりも前記各ガイド部材の他方から離間している。
【0020】
このように一方のガイド部材をガイド板とリブとで構成し、ガイド板を第1及び第2ガイド経路に配置し、リブを第1ガイド経路に配置して、ガイド板をリブよりも他方のガイド部材から離間させることによって、第1ガイド経路の隙間を狭くしたり第2ガイド経路の隙間を広くすることができる。
【0021】
また、本発明の画像読取り装置においては、前記各ガイド部材の一方を他方に付勢する付勢部と、前記各ガイド部材間の隙間を維持して規制する規制部材とを備えている。
【0022】
これにより、各ガイド部材間の隙間を一定に設定することができる。
【0023】
更に、本発明の画像読取り装置においては、前記各ガイド部材の少なくとも一方に透光板を設けて、前記読取り部により前記透光板を通じて原稿を読取っており、前記規制部材は、前記透光板を前記ガイド部材に取り付けるための取付け部材として兼用されている。
【0024】
これにより、部品点数を削減することができる。
【0025】
また、本発明の画像読取り装置においては、前記各ガイド部材よりも前記原稿の搬送方向下流側に設けられ、前記直線状の搬送経路から分岐した湾曲搬送経路、及び前記直線状の搬送経路と前記湾曲搬送経路とを切替える切替え部を備え、前記切替え部の切替えにより、前記原稿を前記直線状の搬送経路から前記湾曲搬送経路へと導いて搬送し、前記カードを前記直線状の搬送経路だけで搬送している。
【0026】
このように湾曲搬送経路及び切替え部を設けた構成では、普通紙の原稿を直線状の搬送経路から湾曲搬送経路へと導いて搬送したり、カードを直線状の搬送経路だけで搬送したりすることができる。また、普通紙の原稿のサイズは、カードのサイズと比較して大きいことから、その搬送経路を十分に長くする必要があるが、湾曲搬送経路を十分に長くしても、湾曲搬送経路を適宜に湾曲させることにより画像読取り装置の大型化を抑えることができる。仮に、直線状の搬送経路を十分に長くすると、画像読取り装置の大型化を避けることができない。
【0027】
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の画像読取り装置を備えている。このような本発明の画像形成装置においても、上記本発明の画像読取り装置同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
このような本発明では、搬送経路が該搬送経路の側方から見て直線状に形成されているため、普通紙の原稿だけではなく、より厚い名刺、クレジットカード、ICカード等のカードを搬送経路に通すことができる。また、各ガイド部材の間には、原稿が通過する狭い隙間の第1ガイド経路と、原稿及びカードが通過する広い隙間の第2ガイド経路とが搬送方向と直交する方向に設けられているため、原稿を第1及び第2ガイド経路に通過させ、原稿の撓みや波打ちを狭い隙間の第1ガイド経路で抑制して、原稿に対する読取り部のピントを維持しつつ、読取り部により原稿を読取ることができ、かつカードを広い隙間の第2ガイド経路に通すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の画像読取り装置の第1実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。
【図2】図1の画像形成装置の本体上部に搭載された画像読取り装置を示す斜視図である。
【図3】図2の画像読取り装置を示す断面図である。
【図4】図2の画像読取り装置の読取り部を示す斜視図である。
【図5】図2の画像読取り装置における原稿ガイド板及び読取りガイド板の周辺を拡大して示す断面図である。
【図6】原稿ガイド板及び読取りガイド板を正面から見て示す断面図である。
【図7】読取りガイド板を上方向から見て示す平面図である。
【図8】カードの幅を示す平面図である。
【図9】画像読取り装置の変形例における原稿ガイド板及び読取りガイド板を正面から見て示す断面図である。
【図10】本発明の画像読取り装置の第2実施形態における原稿ガイド板及び読取りガイド板を正面から見て示す断面図である。
【図11】本発明の画像読取り装置の第3実施形態における原稿ガイド板及び読取りガイド板を正面から見て示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の画像読取り装置の第1実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、スキャナ機能、複写機能、プリンター機能、及びファクシミリ機能等を有する所謂複合機であり、画像読取り装置2により読取られた原稿の画像を外部に送信したり(スキャナ機能に相当する)、この読取られた原稿の画像又は外部から受信した画像をカラーもしくは単色で記録用紙に記録形成する(複写機能、プリンター機能、及びファクシミリ機能に相当する)。
【0032】
この画像形成装置1は、画像を記録用紙に印刷するべく、光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、帯電器15、中間転写ベルト装置16、定着装置17、用紙搬送経路S、給紙トレイ18、及び用紙排出トレイ19等を備えている。
【0033】
画像形成装置1において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、及び帯電器15は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0034】
各感光体ドラム13は、それらの表面に光感光層を有している。各帯電器15は、それぞれの感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、接触型であるローラ型やブラシ型の帯電器のほか、チャージャー型の帯電器が用いられる。
【0035】
光走査装置11は、レーザダイオード及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)であり、帯電された各感光体ドラム13表面を画像データに応じて露光して、それらの表面に画像データに対応する静電潜像を形成する。
【0036】
各現像装置12は、それぞれの感光体ドラム13表面に形成された静電潜像を各色のトナーにより現像し、これらの感光体ドラム13表面にトナー像を形成する。各ドラムクリーニング装置14は、現像及び画像転写後にそれぞれの感光体ドラム13表面に残留したトナーを除去及び回収する。
【0037】
中間転写ベルト装置16は、各感光体ドラム13の上方に配置されており、中間転写ベルト21、中間転写ベルト駆動ローラ22、従動ローラ23、4つの中間転写ローラ24、及びベルトクリーニング装置25を備えている。
【0038】
中間転写ベルト21は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを無端ベルト状に形成したものである。中間転写ベルト駆動ローラ22、従動ローラ23、各中間転写ローラ24等は、中間転写ベルト21を張架して支持し、中間転写ベルト21を矢印C方向に周回移動させる。
【0039】
各中間転写ローラ24は、中間転写ベルト21近傍に回転可能に支持され、中間転写ベルト21を介してそれぞれの感光体ドラム13に押圧されている。
【0040】
各感光体ドラム13表面のトナー像が中間転写ベルト21に順次重ねて転写されて、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像(各色のトナー像)が形成される。各感光体ドラム13から中間転写ベルト21へのトナー像の転写は、中間転写ベルト21裏面に圧接されている各中間転写ローラ24によって行われる。各中間転写ローラ24は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われたローラである。各中間転写ローラ24には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されており、その導電性の弾性材により高電圧が記録用紙に対して均一に印加される。
【0041】
こうして各感光体ドラム13表面のトナー像は、中間転写ベルト21で積層され、画像データによって示されるカラーのトナー像となる。このカラーのトナー像は、中間転写ベルト21と共に搬送され、中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間のニップ域で記録用紙上に転写される。
【0042】
2次転写装置26の転写ローラ26aには、中間転写ベルト21上の各色のトナー像を記録用紙に転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。また、中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間のニップ域を定常的に得るために、転写ローラ26aもしくは中間転写ベルト駆動ローラ22の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等)としている。
【0043】
また、2次転写装置26によって中間転写ベルト21上のトナー像が記録用紙上に完全に転写されず、中間転写ベルト21上にトナーが残留することがあり、この残留トナーが次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、ベルトクリーニング装置25によって残留トナーを除去及び回収する。ベルトクリーニング装置25には、例えばクリーニング部材として、中間転写ベルト21に接触して残留トナーを除去するクリーニングブレードが設けられており、クリーニングブレードが接触する部位で、従動ローラ23により中間転写ベルト21裏側が支持されている。
【0044】
記録用紙は、中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間のニップ域でカラーのトナー像を転写された後、定着装置17へと搬送される。定着装置17は、加熱ローラ31及び加圧ローラ32等を備えており、加熱ローラ31と加圧ローラ32間に記録用紙を挟み込んで搬送する。
【0045】
加熱ローラ31は、図示しない温度検出器の検出出力に基づき、所定の定着温度となるように制御されており、加圧ローラ32と共に記録用紙を熱圧着することにより、記録用紙に転写されたカラーのトナー像を溶融、混合、圧接し、記録用紙に対して熱定着させる。
【0046】
一方、給紙トレイ18は、記録用紙を格納しておくためのトレイであり、画像形成装置1の下部に設けられて、トレイ内の記録用紙を供給する。また、手差しトレイ7は、記録用紙を載置するためのトレイであり、画像形成装置1の側壁に設けられて、このトレイ内の記録用紙を供給する。
【0047】
画像形成装置1には、給紙トレイ18又は手差しトレイ7から供給された記録用紙を2次転写装置26や定着装置17を経由させて用紙排出トレイ19に送るための、Sの字形状の用紙搬送経路Sが設けられている。この用紙搬送経路Sに沿って、用紙レジストローラ34、定着装置17、搬送ローラ35、及び排紙ローラ36等が配置されている。
【0048】
給紙トレイ18の端部には用紙ピックアップローラ33が、設けられており、この用紙ピックアップローラ33により給紙トレイ18から記録用紙が1枚ずつ引き出されて用紙搬送経路Sへと搬送される。また、手差しトレイ7の端部にはピックアップローラ8が設けられており、このピックアップローラ8により手差しトレイ7から記録用紙が1枚ずつ引き出されて用紙搬送経路Sへと送り出される。
【0049】
搬送ローラ35は、記録用紙の搬送を促進補助するための小型のローラであり、複数組設けられている。
【0050】
用紙レジストローラ34は、搬送されて来た記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃え、中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間のニップ域で中間転写ベルト21上のカラーのトナー像が記録用紙に転写されるように、各感光体ドラム13及び中間転写ベルト21の回転にあわせて、記録用紙をタイミングよく搬送する。
【0051】
更に、記録用紙は、定着装置17でカラーのトナー像を定着され、定着装置17を通過した後、排紙ローラ36によって用紙排出トレイ19上にフェイスダウンで排出される。
【0052】
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、記録用紙を用紙搬送経路Sの排紙ローラ36により搬送する途中で、排紙ローラ36を停止させてから逆回転させ、記録用紙を反転経路Srに通して、記録用紙の表裏を反転させ、記録用紙を用紙レジストローラ34へと導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を用紙排紙トレイ19に排出する。
【0053】
次に、図2、図3、及び図4を参照しつつ、図1の画像形成装置1の本体上部に搭載された画像読取り装置2を説明する。図2及び図3は、画像読取り装置2を示す斜視図、及び画像読取り装置2を側方から見て示す断面図である。また、図4は、画像読取り装置2の読取り部41を示す斜視図である。
【0054】
画像読取り装置2は、下側の読取り部41と、上側の原稿搬送部42とを備えている。上側の原稿搬送部42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により下側の読取り部41の奥一辺に枢支され、その手前部分を上下させることにより開閉される。原稿搬送部42が開かれたときには、図4に示すように読取り部41の原稿載置板43及び原稿ガイド板44が開放される。原稿載置板43及び原稿ガイド板44のいずれも、透光性を有するガラス板等からなる。原稿載置板43上には原稿が載置され、また原稿ガイド板44上で原稿が搬送されて通過する。
【0055】
読取り部41は、原稿載置板43、原稿ガイド板44、及び第1読取りスキャナ45等を備えている。第1読取りスキャナ45は、光源46、結像レンズ47、及びCCD(Charge Coupled Device)48、及び第1〜第4反射ミラー51〜54等を備えており、原稿載置板43及び原稿ガイド板44のいずれかの下方に移動され、原稿載置板43上に載置された原稿を読取ったり(第1読取りモード)、原稿ガイド板44上を通過する原稿を読取ったりする(第2読取りモード)。
【0056】
第1読取りモードでは、第1読取りスキャナ45を原稿載置板43の下方に移動させ、原稿搬送部42を開いて、原稿を原稿載置板43上に載置し、原稿搬送部42を閉じる。そして、第1読取りスキャナ45を副走査方向Yに原稿サイズに応じた距離だけ一定速度で移動させながら、原稿載置板43上の原稿を光源46によって照明し、その反射光を第1〜第4反射ミラー51〜54により順次反射して結像レンズ47へと導く。結像レンズ47は、原稿からの反射光をCCD48に集光して、原稿表面の画像をCCD48上に結像させる。CCD48は、原稿表面の画像を繰り返し主走査方向Xに走査し、その度に、1主走査ラインのアナログ画像信号を出力する。
【0057】
第2読取りモードでは、第1読取りスキャナ45を原稿ガイド板44の下方に移動させて位置決めし、原稿搬送部42により原稿を原稿ガイド板44上で副走査方向Yに搬送して通過させる。原稿が原稿ガイド板44上を通過するときに、第1読取りスキャナ45の光源46により原稿表面を原稿ガイド板44を介して照明し、原稿表面からの反射光を第1読取りスキャナ45の第1〜第4反射ミラー51〜54により順次反射して結像レンズ47へと導き、原稿表面からの反射光を結像レンズ47によりCCD48に集光させ、原稿表面の画像をCCD48上に結像させ、CCD48により原稿表面の画像を主走査方向Xに繰返し走査して、原稿表面の画像を読取る。
【0058】
また、原稿搬送部42に内蔵の第2読取りスキャナ55により原稿裏面の画像を読取ることができる。第2読取りスキャナ55は、原稿ガイド44の上方に配置されており、第1読取りスキャナ45と同様に、光源46、結像レンズ47、及びCCD(Charge Coupled Device)48、及び第1〜第4反射ミラー51〜54等を備えている。原稿搬送部42により原稿が副走査方向Yに搬送されて原稿ガイド板44と読取りガイド板56(少なくとも一部が透光性を有するガラス板等からなる)の間を通過するときに、第2読取りスキャナ55の光源46により原稿裏面を読取りガイド板56を介して照明し、その反射光を第1〜第4反射ミラー51〜54により順次反射して結像レンズ47へと導く。結像レンズ47は、原稿裏面からの反射光をCCD48に集光して、原稿裏面の画像をCCD48上に結像させ、CCD48により原稿裏面の画像を主走査方向Xに繰返し走査して、原稿裏面の画像を読取る。
【0059】
更に、第1及び第2読取りスキャナ45、55により原稿ガイド板44上を通過する原稿の表裏を同時に読取ることも可能である。
【0060】
こうして第1及び第2読取りスキャナ45、55のCCD48により読取られた原稿の画像は、CCD48からアナログ画像信号として出力され、このアナログ画像信号がデジタル画像信号にA/D変換される。そして、このデジタル画像信号(画像データ)は、種々の画像処理を施されてから画像形成装置1の光走査装置11へと送受され、画像形成装置1において画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
【0061】
一方、原稿搬送部42は、この原稿搬送部42が閉じられたときに原稿載置板43上の原稿を押さえる底板61、底板61並びに原稿載置板43の上方に配置された原稿トレイ62、原稿トレイ62から原稿ガイド板44を経由してストレート搬送経路63、ストレート搬送経路63の途中から分岐して上方へと湾曲した湾曲搬送経路64、湾曲搬送経路64の終端側に設けられた第1原稿排出トレイ65、ストレート搬送経路63の終端側に設けられた第2原稿排出トレイ66等を備えている。
【0062】
原稿トレイ62は、固定トレイ62a及び昇降トレイ62bを備え、ストレート搬送経路63に近づくほど低くなるように傾斜している。原稿は、固定トレイ62aもしくは昇降トレイ62bに載せられ、その先端側を昇降トレイ62bに載せられる。昇降トレイ62bは、昇降機構(図示せず)を内蔵しており、通常は下降され、原稿が載せられると、原稿の先端がピックアップローラ67に当接するまで上昇される。
【0063】
ストレート搬送路63は、該ストレート搬送路63を側方から見て直線状に延びている。このストレート搬送経路63では、その始端にピックアップローラ67が配置され、その終端に排出ローラ68が配置され、その途中に複数の搬送ローラ69及びレジストローラ71が配置されている。
【0064】
また、湾曲搬送経路64は、ストレート搬送経路63との分岐点から上方に湾曲して第1原稿排出トレイ65に至っている。この湾曲搬送経路64では、その終端に排出ローラ72が配置され、その途中に搬送ローラ69が配置されている。
【0065】
更に、ストレート搬送経路63と湾曲搬送経路64の分岐点には、切替え爪73が配置されている。
【0066】
第2読取りモードを設定し、厚みが0.1〜0.2mm程度の普通紙の原稿を読取る場合は、切替え爪73が実線で示すようにその軸73a周りで時計回り方向に回転されて位置決めされる。この状態で、原稿が原稿トレイ62上に載せられると、原稿の先端がピックアップローラ67に当接するまで昇降トレイ62bが上昇し、ピックアップローラ67が回転して、ピックアップローラ67により原稿が原稿トレイ62から引き出されてストレート搬送経路63へと送り込まれる。ストレート搬送経路63では、搬送ローラ69により原稿が搬送され、原稿の先端がレジストローラ71に突き当てられ揃えられてから、レジストローラ71により原稿が原稿ガイド板44と読取りガイド板56の間へと搬送され、更に切替え爪73により原稿が湾曲搬送経路64へと搬送され、原稿が搬送ローラ63及び排出ローラ72を経由して第1原稿排出トレイ65へと搬送され排出される。そして、原稿の搬送途中で、第1読取りスキャナ45もしくは第2読取りスキャナ55により原稿の表面もしくは裏面が読取られる。
【0067】
また、名刺、クレジットカード、ICカード等のカード(1.4〜1.5mm程度の厚み)を読取る場合は、切替え爪73が点線で示すようにその軸73a周りで反時計回り方向に回転されて位置決めされる。この状態で、カードが原稿トレイ62上に載せられると、カードの先端がピックアップローラ67に当接するまで昇降トレイ62bが上昇し、ピックアップローラ67によりカードが原稿トレイ62から引き出されてストレート搬送経路63へと送り込まれる。ストレート搬送経路63では、搬送ローラ69によりカードが搬送され、カードの先端がレジストローラ71に突き当てられ揃えられてから、レジストローラ71によりカードが原稿ガイド板44と読取りガイド板56の間へと搬送され、更に切替え爪73及び排出ローラ68を経由して第2原稿排出トレイ66へと搬送され排出される。そして、カードの搬送途中で、第1読取りスキャナ45もしくは第2読取りスキャナ55によりカードの表面もしくは裏面が読取られる。
【0068】
ストレート搬送経路63は、略直線状であるため、ジャム等を生じることなく、カードを速やかに搬送することができる。
【0069】
このような原稿搬送部42においては、第1読取りスキャナ45により原稿載置板43及び原稿ガイド板44上の原稿が読取られることから、第1読取りスキャナ45による原稿載置板43上での高さ方向の原稿読取り位置と原稿ガイド板44上での高さ方向の原稿読取り位置を一致させて、いずれの原稿読取り位置でも第1読取りスキャナ45のピントが合うようにしている。また、原稿トレイ62は、原稿載置板43よりも高い位置にある。そして、原稿搬送部42のストレート搬送経路63は、原稿載置板43よりも高い位置の原稿トレイ62から原稿載置板43と同一高さの原稿ガイド板44へと直線状に延びている。従って、ストレート搬送経路63は、原稿ガイド板44側でより低くなるように傾斜している。
【0070】
このため、ストレート搬送経路63の一部を形成する原稿ガイド板44と読取りガイド板56も傾斜している。詳しくは、原稿の表面に直接重なる原稿載置板43の上面を基準とすると、原稿載置板43の上面に対して原稿ガイド板44と読取りガイド板56が傾斜している。
【0071】
ところで、先に述べたように普通紙の原稿(0.1〜0.2mm程度の厚み)、及び名刺、クレジットカード、ICカード等のカード(1.4〜1.5mm程度の厚み)のいずれであっても、原稿トレイ62から切替え爪73まではストレート搬送経路63を通過し、原稿ガイド板44と読取りガイド板56の間を通過する。
【0072】
しかしながら、仮に、原稿ガイド板44と読取りガイド板56の隙間が広過ぎた場合は、各ガイド板44、56間で原稿が撓んだり波打ったりすることがあり、原稿に対する第1及び第2読取りスキャナ45、55のピントが合わなくなる。また、原稿ガイド板44と読取りガイド板56の隙間が狭過ぎた場合は、各ガイド板44、56間でカードが通り難くなり、ジャムが発生し易くなる。
【0073】
そこで、本実施形態の画像読取り装置2では、原稿ガイド板44と読取りガイド板56の間に、原稿が通過する狭い隙間の第1ガイド経路と、原稿及びカードが通過する広い隙間の第2ガイド経路とを設けている。
【0074】
次に、そのような原稿ガイド板44と読取りガイド板56の間に設けられた第1及び第2ガイド経路を説明する。図5は、原稿ガイド板44と読取りガイド板56を側方から見て示す断面図である。図6は、原稿ガイド板44と読取りガイド板56を正面から見て示す断面図である。また、図7は、読取りガイド板56を上方向から見て示す平面図である。
【0075】
原稿ガイド板44は、例えば、その全体を透光性を有するガラス板等で構成されており、第1読取りスキャナ45による原稿ガイド板44を介しての原稿もしくはカードの読取りが可能になっている。
【0076】
また、図7に示すように読取りガイド板56は、主走査方向Xに沿って長い開口部56aに嵌め込まれた透光性を有するガラス板81を備えており、第2読取りスキャナ55によるガラス板81を介しての原稿もしくはカードの読取りが可能になっている。
【0077】
図6に示すように原稿ガイド板44の両端部と読取りガイド板56の両端部間にはそれぞれのスペーサ82が配置されており、原稿ガイド板44が固定され、読取りガイド板56の両端部が各バネ83により下方に付勢されて、原稿ガイド板44の両端部と読取りガイド板56の両端部間に各スペーサ82が挟み込まれ、各スペーサ82により原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の隙間H2が設定されて維持されている。
【0078】
また、図5〜図7に示すように読取りガイド板56には、4つの矩形状開口部56bが形成され、4つのローラ84が読取りガイド板56の上側からそれぞれの矩形状開口部56bを介して下側へと突出している。各ローラ84には、共通の軸85が通され、この軸85が読取りガイド板56の上側に配設された4対の把持爪86により把持されて、各ローラ84が支持されている。各ローラ84のいずれも回転自在である。また、原稿ガイド板44と各ローラ84間には、隙間H2よりも狭い隙間H1が設定されている。
【0079】
ここで、内側の2つのローラ84で挟まれる中央領域には、いずれのローラ84も存在せず、原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の隙間H2を有する第2ガイド経路88が設定されている。
【0080】
また、各スペーサ82で挟まれる領域は、第1ガイド経路87が設定されている。第1ガイド経路87は、第2ガイド経路88を包含しており、原稿ガイド板44と各ローラ84間の狭い隙間H1及び原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の広い隙間H2を有するが、第1ガイド経路87を通過する原稿の厚みが狭い隙間H1で制限されるため、隙間H1を第1ガイド経路87の有効な隙間とみなす。
【0081】
第2ガイド経路88は、名刺、クレジットカード、ICカード等のカードを通過させるためのものであり、その幅がカードの幅よりも広くかつ画像読取り装置2で扱われる最小サイズの原稿の幅よりも狭くされている。例えば、図8に示すようにカードCの幅は54mm程度である。また、最小サイズの原稿を工業規格のA5とすると、その幅は148mmである。このため、第2ガイド経路88の幅J2をカードの幅よりも広くかつ最小サイズの原稿の幅よりも狭い55mm(54mm+1mm)としている。また、第2ガイド経路88の隙間H2は、カードの厚みよりも広く設定されている。例えば、カードの厚みは、クレジットカード等のエンボス加工を考慮すると、最大で1.4〜1.5mm程度の厚みとなる。このため、第2ガイド経路88の隙間H2を1.6mmに設定している。
【0082】
第2読取りモードを設定し、名刺、クレジットカード、ICカード等のカードを読取る場合は、切替え爪73が点線で示すようにその軸73a周りで反時計回り方向に回転されて位置決めされる(図3を参照)。この状態で、カードを原稿トレイ62の中央位置に配置する。このカードは、原稿トレイ62から引き出されてストレート搬送経路63へと送り込まれ、原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の第2ガイド経路88(中央領域)へと搬送される。第2ガイド経路88の幅J2がカードの幅よりも広く、かつ第2ガイド経路88の隙間H2がカードの厚みより広いので、カードが第2ガイド経路88を速やかに通過し、第1もしくは第2読取りスキャナ45、55によりカードの表面もしくは裏面が読取られ、カードが排出ローラ68を経由して第2原稿排出トレイ66へと搬送され排出される。
【0083】
一方、第1ガイド経路87の幅J1は、各スペーサ82の離間距離に相当し、画像読取り装置2で扱われる最大サイズの原稿の幅に応じて設定されている。例えば、最大サイズを工業規格のA3とすると、その幅は297mmである。このため、第1ガイド経路87の幅J1を最大サイズの原稿の幅よりも数ミリ広くしている。また、第1ガイド経路87の隙間H1は、普通紙の原稿の厚みよりも僅かに広くされている。例えば、普通紙の原稿の厚みは、0.1〜0.2mm程度の厚みである。このため、第1ガイド経路87の隙間H1を0.4mm程度に設定している。これにより、普通紙の原稿が第1ガイド経路87を速やかに通過しかつ原稿ガイド板44と各ローラ84間で原稿の撓みや波打ちが効果的に抑制される。
【0084】
普通紙の原稿を読取る場合は、切替え爪73が実線で示すようにその軸73a周りで時計回り方向に回転されて位置決めされる(図3を参照)。この状態で、原稿を原稿トレイ62の中央位置に配置する。この原稿は、原稿トレイ62から引き出されてストレート搬送経路63へと送り込まれ、原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の第1及び第2ガイド経路87、88へと搬送される。第2ガイド経路88の隙間H2が十分に広いので、原稿の中央部分が第2ガイド経路88を容易に通過する。また、第2ガイド経路88の幅J2が最小サイズの原稿の幅よりも狭いので、原稿の両側部分が第1ガイド経路87の狭い隙間H1を通過する。更に、第1ガイド経路87の隙間H1が普通紙の原稿の厚みよりも僅かに広くされているので、原稿の両側部分は、第1ガイド経路87の隙間H1を通過しつつ、この隙間H1によりその撓みや波打ちを抑制され、延いては原稿全体の撓みや波打ちが抑制される。これにより、原稿に対する第1及び第2読取りスキャナ45、55のピントが維持されつつ、原稿の表面もしくは裏面が読取られ、原稿が切替え爪73を介して湾曲搬送経路64へと搬送され、原稿が搬送ローラ63及び排出ローラ72を経由して第1原稿排出トレイ65へと搬送され排出される。
【0085】
このように本実施形態の画像読取り装置2では、カードは、ストレート搬送経路63を通過し、原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の第2ガイド経路88を通過する。このため、ジャム等が発生することはない。また、原稿は、原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の第1及び第2ガイド経路87、88を通過し、第1ガイド経路87で原稿の撓みや波打ちが抑制される。このため、原稿に対する第1及び第2読取りスキャナ45、55のピントが維持されつつ、原稿の表面もしくは裏面が読取られる。
【0086】
図9は、画像読取り装置2の変形例における原稿ガイド板及び読取りガイド板の周辺を拡大して示す断面図である。この変形例では、読取りガイド板56の開口部56aに嵌め込まれたガラス板81を読取りガイド板56の裏面側から突出した各固定爪89により固定し、また各固定爪89の下端を原稿ガイド板44に当接させて、各固定爪89を原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の隙間H2を設定して維持するためのスペーサとしても用いている。これにより、スペーサを格別に設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0087】
図10は、本発明の画像読取り装置の第2実施形態における原稿ガイド板44と読取りガイド板56を正面から見て示す断面図である。
【0088】
本実施形態では、読取りガイド板56に3つの矩形状開口部56b、56cを形成し、3つのローラ84、91を読取りガイド板56の上側からそれぞれの矩形状開口部56b、56cを介して下側へと突出させている。各ローラ84、91には、共通の軸92が通されており、この軸92が読取りガイド板56の上側に配設された4対の把持爪86により把持されて、各ローラ84、91が支持されている。各ローラ84、91のいずれも回転自在である。
【0089】
中央のローラ91は、小径ローラ91aの両側に大径ローラ91bを一体的に固定したものである。小径ローラ91a及び各大径ローラ91bは、それらの軸心が軸92に重なって共通し、共に回転する。両側の各ローラ84は、図5〜図7と同様のものである。
【0090】
矩形状開口部56cには中央のローラ91が配置されるため、両側の矩形状開口部56bよりも主走査方向Xに長くなっている。
【0091】
尚、図7と同様に、読取りガイド板56に長い開口部56aを設け、この開口部56aにガラス板81を嵌め込んで固定している。また、原稿ガイド板44の両端部と読取りガイド板56の両端部間に各スペーサ82を挟み込み、各スペーサ82により原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の隙間を一定に維持している。
【0092】
ここで、中央のローラ91の小径ローラ91aの径が各大径ローラ91b及び各ローラ84の径よりも小さく、小径ローラ91aが各大径ローラ91b及び各ローラ84よりも原稿ガイド板44から離間しており、小径ローラ91aと原稿ガイド板44間に広い隙間H2が形成され、この隙間H2を有する第2ガイド経路88が設定されている。
【0093】
第2ガイド経路88の幅J2は、小径ローラ91aの幅と略同一であって、カードの幅よりも広くかつ画像読取り装置2で扱われる最小サイズの原稿の幅よりも狭くされている。また、第2ガイド経路88の隙間H2は、カードの厚みよりも広くされている。
【0094】
また、中央のローラ91の各大径ローラ91bは、両側の各ローラ84と同一径であり、各大径ローラ91b及び各ローラ84と原稿ガイド板44間には、狭い隙間H1が設定されている。
【0095】
第1ガイド経路87は、各スペーサ82に挟まれる領域であって、各スペーサ82間の離間距離に相当する幅J1を有し、第2ガイド経路88を包含する。また、第1ガイド経路87は、各大径ローラ91b及び各ローラ84と原稿ガイド板44間の狭い隙間H1及び小径ローラ91aと原稿ガイド板44間の広い隙間H2を有するが、第1ガイド経路87を通過する原稿の厚みが狭い隙間H1で制限されるため、隙間H1を第1ガイド経路87の有効な隙間とみなす。
【0096】
このような構成において、カードは、ストレート搬送経路63を通過し、小径ローラ91aと原稿ガイド板44間の第2ガイド経路88を通過する。このため、ジャム等が発生することはない。また、原稿は、各ローラ84、91a、91bと原稿ガイド板44間の第1及び第2ガイド経路87、88を通過し、第1ガイド経路87で原稿の撓みや波打ちが抑制される。このため、原稿に対する第1及び第2読取りスキャナ45、55のピントが維持されつつ、原稿の表面もしくは裏面が読取られる。
【0097】
図11は、本発明の画像読取り装置の第3実施形態における原稿ガイド板44と読取りガイド板56を正面から見て示す断面図である。
【0098】
本実施形態では、原稿ガイド板44と読取りガイド板56を対向配置し、読取りガイド板56の下面に複数本のリブ93を形成している。
【0099】
尚、図7と同様に、読取りガイド板56に長い開口部56aを設け、この開口部56aにガラス板81を嵌め込んで固定している。また、原稿ガイド板44の両端部と読取りガイド板56の両端部間に各スペーサ82を挟み込み、各スペーサ82により原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の隙間を一定に維持している。
【0100】
ここで、読取りガイド板56の下面の中央領域には、リブ93が存在せず、原稿ガイド板44と読取りガイド板56間に広い隙間H2が形成され、この隙間H2を有する第2ガイド経路88が設定されている。
【0101】
第2ガイド経路88の幅J2は、カードの幅よりも広くかつ画像読取り装置2で扱われる最小サイズの原稿の幅よりも狭くされている。また、第2ガイド経路88の隙間H2は、カードの厚みよりも広くされている。
【0102】
また、読取りガイド板56の下面の両側領域には、リブ93が4本ずつ形成されており、各リブ93が読取りガイド板56よりも原稿ガイド板44に接近し、各リブ93と原稿ガイド板44間に狭い隙間H1が設定されている。
【0103】
第1ガイド経路87は、各スペーサ82間の離間距離に相当する幅J1を有し、第2ガイド経路88を包含する。また、第1ガイド経路87は、各リブ93と原稿ガイド板44間の狭い隙間H1及び原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の広い隙間H2を有するが、狭い隙間H1を第1ガイド経路87の有効な隙間とみなす。
【0104】
このような構成において、カードは、ストレート搬送経路63を通過し、原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の第2ガイド経路88を通過する。このため、ジャム等が発生することはない。また、原稿は、原稿ガイド板44と各リブ93間の第1ガイド経路87及び原稿ガイド板44と読取りガイド板56間の第2ガイド経路88を通過し、第1ガイド経路87で原稿の撓みや波打ちが抑制される。このため、原稿に対する第1及び第2読取りスキャナ45、55のピントが維持されつつ、原稿の表面もしくは裏面が読取られる。
【0105】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【符号の説明】
【0106】
1 画像形成装置
2 画像読取り装置
11 光走査装置
12 現像装置
13 感光体ドラム
14 ドラムクリーニング装置
15 帯電器
16 中間転写ベルト装置
17 定着装置
18 給紙トレイ
19 用紙排出トレイ
41 読取り部
42 原稿搬送部
44 原稿ガイド板
56 読取りガイド板
81 ガラス板
82 スペーサ
83 バネ
84、91 ローラ
85、92 軸
86 把持爪
87 第1ガイド経路
88 第2ガイド経路
93 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿及びカードを択一的に搬送する搬送経路と、前記搬送経路を挟んで対向配置され、搬送されている前記原稿及びカードをガイドする一対のガイド部材と、前記各ガイド部材の少なくとも一方を通じて前記原稿を読取る読取り部とを備えた画像読取り装置であって、
前記搬送経路は、該搬送経路の側方から見て直線状に形成されており、
前記各ガイド部材の間には、前記原稿が通過する狭い隙間の第1ガイド経路と、前記原稿及び前記カードが通過する広い隙間の第2ガイド経路とが設けられたことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取り装置であって、
前記第2ガイド経路の幅は、前記カードの幅よりも広く、かつ最小サイズの前記原稿の幅よりも狭いことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像読取り装置であって、
前記各ガイド部材の一方は、ガイド板と回転自在なローラとを有し、
前記ガイド板が前記第1及び第2ガイド経路に配置され、前記ローラが前記第1ガイド経路に配置され、前記ガイド板が前記ローラよりも前記各ガイド部材の他方から離間していることを特徴とする画像読取り装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像読取り装置であって、
前記各ガイド部材の一方は、回転自在なローラであり、前記ローラの径が前記第1ガイド経路で大きく前記第2ガイド経路で小さくされたことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の画像読取り装置であって、
前記各ガイド部材の一方は、ガイド板とリブとを有し、
前記ガイド板が前記第1及び第2ガイド経路に配置され、前記リブが前記第1ガイド経路に配置され、前記ガイド板が前記リブよりも前記各ガイド部材の他方から離間していることを特徴とする画像読取り装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像読取り装置であって、
前記各ガイド部材の一方を他方に付勢する付勢部と、
前記各ガイド部材間の隙間を維持して規制する規制部材とを備えたことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像読取り装置であって、
前記各ガイド部材の少なくとも一方に透光板を設けて、前記読取り部により前記透光板を通じて原稿を読取っており、
前記規制部材は、前記透光板を前記ガイド部材に取り付けるための取付け部材として兼用されたことを特徴する画像読取り装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像読取り装置であって、
前記各ガイド部材よりも前記原稿の搬送方向下流側に設けられ、前記直線状の搬送経路から分岐した湾曲搬送経路、及び前記直線状の搬送経路と前記湾曲搬送経路とを切替える切替え部を備え、
前記切替え部の切替えにより、前記原稿を前記直線状の搬送経路から前記湾曲搬送経路へと導いて搬送し、前記カードを前記直線状の搬送経路だけで搬送することを特徴とする画像読取り装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像読取り装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−34186(P2012−34186A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171982(P2010−171982)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】