説明

画像読取り装置の原稿重送検知装置

【目的】 原稿搬送路等で、原稿の重送検知手段を設けたものにおいて、原稿のサイズ等により、紙厚が異なることに着目し、紙厚検知装置により検知された情報と、用紙のサイズの情報を用いて、重送の判断を行い得るようにする。
【構成】 画像読取り装置1において、原稿トレイ2と画像読取り部10とを接続する原稿搬送路5に対して、用紙の紙厚を検知する紙厚検知装置20と、用紙のサイズの検知を行うための紙サイズ検知装置25とを配置し、2種類のセンサから得られる紙厚とサイズの情報とを制御装置に入力し、重送の検知を行うようにする。前記画像読取り装置に用いられる制御装置では、用紙のサイズと紙厚の情報を用いて、サイズ別の基準となる紙厚のデータを設定し、その用紙のサイズに対応する基準値と比較して、重送の判断を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ファクシミリ等の画像読取り装置や、電子複写機等の用紙路に重送検知手段を配置して、原稿等の重送を検知する装置に関し、特に、用紙搬送路に紙厚検知装置と紙サイズ検知装置とを配置し、2つの検知手段からの情報にもとづいて、重送を検知出来るようにする装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ファクシミリや電子複写機等の画像形成装置においては、その画像読取り部と原稿トレイとの間を原稿搬送路により接続し、原稿トレイから1枚ずつの原稿を送り出して、画像読取り部で走査する機構を設けている。また、前記画像形成装置における記録紙作成部では、給紙トレイ等から用紙を送り出して、画像記録部に向けて用紙を搬送し、その用紙に画像を記録する機構を設けている。前述したように、画像形成装置においては、原稿と用紙との2種類の紙を搬送する手段を用いているが、それ等の用紙や原稿を、トレイから送り出す際に、紙を1枚ずつ正確に分離して供給することが必要である。
【0003】そこで、一般のトレイから用紙を送り出すための給紙装置においては、トレイから用紙を送り出す部分に、用紙さばき機構を配置し、該用紙さばき機構で用紙をさばいて送り出すことにより、重送の発生を防止出来るようにしている。ところが、原稿トレイや給紙トレイ等に対応して配置される用紙さばき機構は、重送が発生することを完全に防止出来ないものであり、時には原稿や用紙を2枚重ねた状態で送り出すという問題がある。前記重送が発生した場合に、一般の電子複写機等での記録紙の作成時には、白紙が1枚余分に排出されるのみであり、その白紙を除去することにより容易に解決できる。
【0004】しかし、用紙搬送路内で用紙が分離した場合には、その用紙の長さが変化することにより、用紙搬送路内に配置される検知手段で用紙の搬送の異常が検知され、ジャム信号等が出力されて装置の動作が停止される。また、画像読取り装置の場合には、原稿トレイから2枚の原稿が重送状態で送り出されると、その重送の原稿の画像が欠落するという問題が発生する。例えば、ファクシミリの送信時に電送が生じると、その欠落頁を後で送信すれば解決出来るものの、その確認の手間が面倒である。これに対して、自動両面複写機に配置する自動原稿送り装置では、重送が発生すると、その一連の両面コピーを全部破棄して、再度複写の作業を行わなければならないという問題がある。さらに、画像読取り装置を用いて原稿の画像を連続して走査し、その読取り情報をコンピュータ等の記憶装置に蓄積する装置では、原稿の重送はより大きな問題となるものであり、重原稿を正確に1枚ずつ分離して供給することが求められている。
【0005】前述したような問題を解消するために、用紙搬送路等に紙厚検知手段を設けておき、その用紙搬送路内を通過する用紙の厚さを検知して、重送状態を判断するような手段を用いる場合がある。しかし、単純に紙厚検知装置を用いた場合には、例えば、トレーシングペーパー等のような薄紙と、比較的厚い用紙、および通常の複写に用いる用紙等の、各種の紙厚のものを混在させた状態で、原稿トレイから給紙する場合には、正確に重送を検知出来ないという問題がある。そこで、原稿搬送路での原稿の重送を正確に検知するために、例えば、特開昭60−144256号公報や、特開昭61−192647号公報等に示されるような重送検知手段を用いることが提案されている。
【0006】前記従来例に示される重送検知手段では、原稿搬送路に紙厚を検知する手段を配置し、その紙厚検知装置からの最初の原稿の厚さを検知した情報を、紙厚の記憶手段の基準情報として用い、その後で順次送り出される原稿に対する紙厚の検知情報を比較することにより、重送の判断を行うようにしている。また、前記従来例では、一定の枚数の平均値を用いて紙厚の基準信号を設定し、その基準信号と、紙厚検知装置により測定された紙厚の信号とを比較して、重送の判断を行い得るように構成することも出来るようにされる。
【0007】前述したように、1つの紙厚検知装置のみを用いて重送の検知を行う場合に、図10のブロック図示されるような制御装置30aを用いることができる。前記図10に示される回路では、用紙搬送路に配置し紙厚検知装置20からの検知信号を、アンプ33とA/D変換手段32を介してCPU31に入力し、重送の検知を行うことが出来るようにする。前記制御装置30aにおける制御の動作は、図11のフローチャートに示されるようにして行われる。前記図11のフローチャートにおいて、原稿が原稿搬送路を搬送される途中で、ステップb−1で紙厚検知装置により原稿の厚さの検知を行い、その情報が制御装置に伝達されると、該制御装置においては、予め記憶されている用紙の厚さの情報と比較(ステップb−2、b−3)し、その比較値が基準値以下の場合は重送でないと判断(ステップb−4)し、そのまま画像の走査を続けさせる。
【0008】これに対して、前記ステップb−3で紙厚検知装置から出力された用紙の厚さの情報が、基準値以上であると判断された場合は、ステップb−5に移行し、重送状態にあるものと判断して、画像読取り装置の動作を停止させ、オペレータに対して、重送紙の処理を指令することになる。そして、前述したような制御プログラムにしたがって、原稿の重送状態の判断を行う場合には、紙厚検知装置からの紙厚の信号を用いて、重送状態の判断を容易に行うことができ、画像読取り装置において、読取りミス等が発生することがないようにされる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述したような原稿の重送検知手段を用いる場合に、原稿が薄い紙と厚い紙とが混在した状態のものであると、その基準信号の設定が困難である。例えば、薄い紙の後で、厚い紙が送られた場合には、直ちに重送の信号が出力されるという問題が発生する。また、厚い紙の後で、薄い紙が重送状態で送られた場合には、その紙厚検知装置からの信号を正常な給紙が行われているものと判断して、画像の読取りを行ってしまうという不都合を防止出来ないという場合が発生する。
【0010】前述したような問題を解決するためには、例えば、各種の紙厚の原稿を混在させずに、一定の厚さの用紙のみを用いて原稿を形成することが必要となる。ところが、例えば、トレーシングペーパーと、一般の複写用の用紙とを混在させた原稿に対して、トレーシングペーパーのみを別に複写し、原稿の紙厚を揃えることは、オペレータの負担を増大させるとともに、画像読取り装置を用いる作業の能率を低下させるという問題がある。前記問題に加えて、一般の原稿においては、文章部分を構成する用紙は一般の複写用の用紙を用い、図面等はトレーシングペーパーを用いる場合が多く、それ等の用紙のサイズは、若干異なるものを使用している場合が多くある。しかし、従来の画像読取り装置では、紙サイズの情報は、給紙トレイからの用紙の送り出しの情報としてのみ使用されているものであり、用紙の重送の検知のためには、紙厚検知装置により得られる情報のみが使用されているために、前述したような重送の誤検知の問題が生じていた。
【0011】
【発明の目的】本発明は、前述したような従来の重送検知装置の問題を解消するもので、紙質または紙厚が異なる用紙は、サイズも異なる場合が多いことに着目し、紙厚検知装置に加えて紙サイズ検知装置からの情報を用いて重送の検知を行う手段を設け、紙厚の異なる用紙が連続して送られる場合でも、その用紙に対する重送の判断を正確に行い得るようにする画像読取り装置の原稿重送検知装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、給紙トレイと画像読取り部との間の用紙搬送路に紙厚検知装置と紙サイズ検知装置とによる検知手段を配置し、該検知手段からの情報を処理する制御装置を組み合わせて設け、前記制御装置には、用紙のサイズに対応する基準紙厚のデータを設定する手段と、該基準データと検知手段からの情報を比較する手段、および重送判定手段を設け、前記紙厚検知装置から得られる紙厚のデータと、紙サイズ検知装置から出力される用紙のサイズのデータとを用いて、搬送中の用紙の重送を判断する手段を構成している。また、本発明においては、前記基準紙厚のデータを設定する手段には、その検知の動作の直前に搬送された同一サイズの用紙の紙厚のデータを記憶し、該データを基準値として使用すること、または、その検知の動作の直前に搬送された一定の枚数の同一サイズの用紙に対して、平均値を演算して得られる紙厚のデータを記憶し、該テータを基準値として使用すること等が可能である。さらに、本発明においては、前記基準紙厚のデータを設定する手段に、その検知の動作の直前に搬送された同一サイズの用紙の紙厚のデータの最小値を演算して得られる値を記憶し、該データを基準値として使用することも可能である。
【0013】前述したように構成することにより、本発明の画像読取り装置の原稿重送検知装置においては、一般に、紙質または紙厚が異なる用紙は、サイズも異なる場合が多いという条件を利用し、紙厚の異なる用紙が連続して送られる場合でも、その用紙に対する重送の判断を正確に行うことが出来る。したがって、複数種類の用紙を混在させた原稿を用いて、画像の読取りを行う場合でも、その原稿のサイズ毎の平均的な紙厚の情報を記憶しておくことにより、重送状態の判断を容易に行うことができる。
【0014】
【実施例】図示される例にしたがって、本発明の画像読取り装置の原稿重送検知装置を説明する。図1に示される例は、本発明の画像読取り装置の構成を示すもので、該画像読取り装置1においては、原稿トレイ2に収容した原稿Pを、画像読取り部10に向けて搬送し、画像読取り部10で走査した原稿を、原稿トレイ9に収容する方式の装置として構成した場合を示している。前記画像読取り装置1において、原稿トレイ2の原稿送り出し部には、給紙装置3を配置しており、該給紙装置3は、送りベルト装置4とさばきローラ4aとを対向させて配置し、原稿をさばきながら用紙搬送路5に向けて送り出すようにしている。また、原稿トレイ2から画像読取り部10に至る用紙搬送路5には、複数の搬送ローラ装置6、7……を配置して、該搬送ローラ装置により原稿を画像読取り部10に向けて搬送する。
【0015】前記画像読取り部10は、図示されるように、プラテン11の下部に走査装置12を配置し、プラテン11の上下流部に配置した搬送ローラ装置14、15とプラテンローラ13とにより、原稿を搬送しながら、走査装置12により画像の走査を行うようにしている。そして、前記画像読取り部10で画像の走査が終了した原稿は、排出ローラ8を介して排出トレイ9に向けて排出される。前述したように構成した本発明の画像読取り装置において、原稿を画像読取り部10に向けて搬送する用紙搬送路5の所定の位置に、紙厚検知装置20と紙サイズ検知装置25とを配置して、該2つのセンサにより紙厚と紙のサイズとを検知するようにしている。
【0016】前記2種類のセンサのうち、紙厚検知装置としては、図2に示されるような微小角度センサ21を用いることができる。前記図2に示されるセンサ21は、例えば特開平3−35952号公報等に示されるように、用紙搬送路の下ガイド板に対して、揺動可能なアーム部材22の先端部が軽く接する状態に設けている。そして、用紙がセンサ21のアーム部材22の下部を通過する際に、その用紙の厚さに応じて、アーム部材の揺動角度が変化することを検知する。前記微小角度センサ21では、用紙の厚さ等を比較的正確に検知することができるもので、薄い紙と厚い紙、または、それ等の重送状態等を容易に検知出来るように、そのアーム部材22の揺動位置を設定することができる。
【0017】また、前記図2の微小角度センサを用いることの他に、本発明の紙厚検知装置としては、図3に示されるように、フォトセンサー装置を用紙搬送路を上下に横切る状態に配置し、紙の厚さを検知する手段を用いることも出来る。前記図3に示されるフォトセンサー装置23では、用紙搬送路の下ガイド板の下部に光源24を配置し、上ガイド板の上部に受光素子24aを配置して、用紙を透過する光の量を検知することにより、用紙の厚さを知ることができる。前記フォトセンサーを用いる用紙の厚さの検知手段では、プラスチック製のフィルム等のような透明なシート部材以外の用紙類に対しては、その用紙の厚さに応じた光透過性に応じた情報を得ることができ、その光の透過量を用いて用紙の厚さの判断を行うことができる。そして、用紙が重送状態にある場合には、当然光の透過量が異なるので、重送状態の判断を行うことが可能である。
【0018】前記図2、3に示される紙厚検知装置の他に、本発明の画像読取り装置1の用紙搬送路5には、紙サイズ検知装置25を配置して、原稿トレイ2から給紙される原稿に対して、そのサイズの検知を行うように構成している。前記紙サイズ検知装置25としては、例えば、図4に示されるように、原稿搬送路を横切る方向に幅方向サイズ検知手段26を配置し、原稿搬送路の基準線に沿った位置に長さ方向サイズ検知手段27を配置している。これ等の幅方向サイズ検知手段26と長さ方向サイズ検知手段27とは、それぞれ多数のセンサにより構成するもので、幅方向サイズ検知手段26としてはセンサS1〜S5を用紙のサイズに対応させて配置し、長さ方向サイズ検知手段27では2つのセンサS6、S7を用いている。前述したようにして、多数のセンサS1〜S7を配置した場合に、それぞれのセンサから出力される用紙の検知情報を用い、表1に示されるようにして、用紙のサイズを判定することができる。
【0019】
【表1】


【0020】なお、前記表中で、〇はONを、×はOFFを示す。
【0021】つまり、前記表1に示されるように、それぞれのセンサからの検知情報を、ON、OFFの情報として制御装置に入力し、制御装置において、前記ON、OFFの信号の組み合わせ状態から、用紙サイズの判定を行うことができる。
【0022】前述したように、紙厚検知装置と紙サイズ検知装置との2種類のセンサからの検知信号を用いて、原稿の重送を検知するために、本発明においては、図5のブロック図に示されるような制御装置30を構成することができる。前記図5に示される制御装置30において、前記図10に示された制御装置の場合と同様に、紙厚検知装置20からの信号を、アンプ33とA/D変換手段32を介してCPU31に入力するが、その他に、紙サイズ検知装置25からの用紙サイズ検知信号をCPU31に向けて出力させる。そして、前記紙厚検知装置20と紙サイズ検知装置25からの信号を用いて、図6のフローチャートにしたがって用紙の重送の判断を行うようにする。
【0023】前記図6のフローチャートは、重送検知の動作を行う場合を示しているもので、該フローチャートにおいては、ステップa−1とa−2で、紙の厚さの検知と、用紙サイズの検知とを行い、その用紙サイズの情報に対応する紙厚の基準値と、紙厚検知装置で検知された紙厚の値とを比較(ステップa−3、4)する。前記a−1〜a−3のステップで、CPUに入力された紙厚と用紙サイズの情報とは、それぞれCPUに設けたメモリに取り込まれ、用紙サイズと紙厚の情報として蓄積される。そして、前記ステップa−4でCPUに設定した情報にもとづいて、検知された紙厚の情報を比較し、その紙厚が基準値以下である場合には、ステップa−5で重送でないと判断され、通常の動作を継続する。これに対して、前記ステップa−4で検知された紙厚が基準値以上である場合には、ステップa−6で重送の判断がなされ、オペレータに対して重送紙の処理を指令し、その処理が行われた後で、通常の原稿の送り出しと、原稿の画像の走査が継続される。
【0024】本発明の制御装置では、前述したように、紙厚検知装置からの紙厚の情報と紙サイズ検知装置からの紙サイズの情報とを用いて、用紙のサイズ毎の紙厚の基準値を設定するが、その基準値の設定に際して、図7ないし図9に示されるようにして基準値を設定することが出来る。図7のフローチャートに示される例では、その用紙の直前に搬送した同一サイズの用紙で、重送でない場合の紙厚の情報を用いて、その情報に対して定数K(例えば、K=1.5 )を乗じた値を基準値として用いる場合を示している。したがって、前記図7のフローチャートでは、ステップa−10で重送でない用紙に対する厚さの情報を用い、ステップa−11でその用紙の厚さの情報に対して定数Kを乗じた値を基準値として用い、前記図6のステップa−3での紙厚の比較の基準値とするのである。
【0025】また、本発明においては、図8のフローチャートに示されるように、a−10のステップの前に搬送した重送でない用紙で、同じサイズのものをn枚(例えば3枚)の紙厚の平均値に、定数K(例えばK=1.5)を乗じた値を基準値として用いる場合を示している。前記図8に示されるフローチャートにおいては、a−10のステップで、重送でないと判断された用紙の紙厚の情報を用い、その値を過去のn−1枚の同じサイズの用紙の紙厚の情報に加算して平均値を算出する。そして、その平均値に対して定数Kを乗じた値を新しい基準値として設定(ステップa−15)し、a−16のステップで、新たな基準値を検知された紙厚の情報に比較して、重送の判断を行うようにする。
【0026】さらに、本発明においては、図9のフローチャートに示されるように、その測定時の直前までに搬送した用紙のうち、同じサイズの重送を生じていないもので、最も薄い用紙の紙厚の情報と比較し、そのうちの薄い用紙の厚さの情報を基準値として用いる場合を示している。前記図9のフローチャートでは、ステップa−20で重送でないと判断された場合の紙厚の情報を、a−21のステップで過去に搬送した同一のサイズの用紙のうち、最少値の紙厚のものと比較(ステップa−22)し、より薄いものであると判断されると、ステップa−23からa−24に移行し、その用紙の紙厚の情報を基準値の情報に書き替え、その基準値に対して定数K(K=1/5)を乗じた値を、新たな基準値として用いるようにする。
【0027】前述したように、本発明の画像読取り装置においては、原稿搬送路に対して紙厚検知装置と紙サイズ検知装置との2種類のセンサを配置し、それ等のセンサから得られる紙厚の情報を、用紙のサイズに応じて区分させるようにする。そして、その用紙サイズ毎の紙厚の情報に対して定数を乗じた値を基準値として設定し、その基準値に対して、検知された紙厚の情報を比較して、用紙の重送を検知出来るようにすることが可能になる。なお、前記本発明の実施例では、原稿に対して重送の検知を行う場合で示しているが、その他に、記録部に向けて用紙を送り出すための用紙搬送路に対して、本発明の検知装置とその制御機構を設けることも可能であり、それにより、コピーに重送が発生することを防止出来るものとなる。
【0028】
【発明の効果】本発明の画像読取り装置の原稿重送検知装置は、前述したような手段を用いるものであるから、前述したように構成することにより、2種類の検知手段と、そのセンサからの紙厚の情報を処理する制御装置とを設けることにより、用紙の重送の検知に際しての制御の動作を正確に行うことが出来る。そして、本発明の装置においては、一般に、紙質または紙厚が異なる用紙は、サイズも異なる場合が多いという条件を利用し、紙厚の異なる用紙が連続して送られる場合でも、その用紙に対する重送の判断を正確に行うことが出来る。したがって、複数種類の用紙を混在させた原稿を用いて、画像の読取りを行う場合でも、その原稿のサイズ毎の平均的な紙厚の情報を記憶しておくことにより、重送状態の判断を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像読取り装置の構成を示す説明図である。
【図2】 本発明の紙厚検知装置の構成を示す側面図である。
【図3】 本発明の別の紙厚検知装置の構成を示す側面図である。
【図4】 本発明に用いる紙サイズ検知装置の構成を示す平面図である。
【図5】 本発明の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】 本発明の制御装置における重送検知の動作を示すフローチャートである。
【図7】 本発明の制御装置における紙厚の基準値を設定する動作を示すフローチャートである。
【図8】 紙厚の基準値の設定の他の手段のフローチャートである。
【図9】 紙厚の基準値の設定の別の手段のフローチャートである。
【図10】 従来の装置における重送検知のための制御装置の構成を示すブロック図である。
【図11】 従来の制御装置での重送検知の動作のフローチャートである。
【符号の説明】
1 画像読取り装置、 5 用紙搬送路、 10 画像読取り部、12 走査装置、 20 紙厚検知装置、 21 微小角度センサ、23 フォトセンサー、 25 紙サイズ検知装置、30 制御装置、 31 CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 給紙トレイと画像読取り部との間の用紙搬送路に、紙厚検知装置と紙サイズ検知装置とによる検知手段を配置し、該検知手段からの情報を処理する制御装置を組み合わせて設け、前記制御装置には、用紙のサイズに対応する基準紙厚のデータを設定する手段と、該基準データと検知手段からの情報を比較する手段、および重送判定手段を設け、前記紙厚検知装置から得られる紙厚のデータと、紙サイズ検知装置から出力される用紙のサイズのデータとを用いて、搬送中の用紙の重送を判断することを特徴とする画像読取り装置の原稿重送検知装置。
【請求項2】 前記基準紙厚のデータを設定する手段には、その検知の動作の直前に搬送された同一サイズの用紙の紙厚のデータを記憶し、該データを基準値として使用することを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置の原稿重送検知装置。
【請求項3】 前記基準紙厚のデータを設定する手段には、その検知の動作の直前に搬送された一定の枚数の同一サイズの用紙に対して、平均値を演算して得られる紙厚のデータを記憶し、該データを基準値として使用することを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置の原稿重送検知装置。
【請求項4】 前記基準紙厚のデータを設定する手段には、その検知の動作の直前に搬送された同一サイズの用紙の紙厚のデータの最小値を演算して得られる値を記憶し、該データを基準値として使用することを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置の原稿重送検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開平5−43091
【公開日】平成5年(1993)2月23日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−220974
【出願日】平成3年(1991)8月6日
【出願人】(000005496)富士ゼロツクス株式会社 (21,908)