説明

画像読取制御装置、画像形成装置及び画像読取制御方法

【課題】画像読取装置におけるタイムアウトによるページ終端の判断を最適化する。
【解決手段】スキャナによって原稿が光学的に読み取られて生成された画像情報を装置本体転送するSCAN INモジュールであって、ライン周期に従い、スキャナから主走査ライン毎に入力される画像情報を取得して転送するデータ転送制御部241と、原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断するタイムアウト制御部244とを含み、タイムアウト制御部244は、画像情報が入力されない期間を検知し、検知した期間よりも長い期間をタイムアウト期間として決定し、画像情報が入力されない期間がタイムアウト期間に達した場合に、原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取制御装置、画像形成装置及び画像読取制御方法に関し、特に、画像読取装置から入力される画像データのページ境界の判断に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような複合機に含まれるスキャナは、画像の読み取りを制御するIPU(Image Processing Unit)ボードを介して、装置本体のコントローラに接続される。そして、IPUボードには、スキャナから入力される画像データを処理するための第1のASIC(Application Specific Integrated Circuit)と、コントローラとの間で情報をやり取りする第2のASICとの、少なくとも2つのASICが含まれる。
【0004】
従来、コントローラとIPUボードとはPCI(Peripheral Component Interface)バスを介して接続されており、現在でも多くの機種において用いられている。他方、近年はPCIよりも新しいインタフェースとして、PCIe(PCI−express)バスが用いられることがあり、IPUボード内部における第1のASICと第2のASICとの接続においても用いられることがある。
【0005】
スキャナは、一主走査ライン毎に所定の周期(以降、ライン周期とする)で画像データを取得して第1のASICに転送する。そして、IPUボードとコントローラとの間のPCIバスにおける情報伝送も、ライン周期に従って行われる。これにより、IPUボードとコントローラとの間の情報伝送によって必要以上にPCIバスの帯域が占有されるようなことを回避することができる。
【0006】
このようにライン周期に従って主走査ライン毎に画像データが転送されるため、等倍スキャンの場合、IPUボードからコントローラに対して、ライン周期毎に毎回画像データが転送される。これに対して、例えば1/2に縮小するスキャンの場合、スキャナからIPUボードに対してライン周期の2周期毎に1回画像データが入力され、IPUボードからコントローラに対しても同様に2周期毎に1回画像データが転送される。即ち、縮小スキャンの場合、縮小率に応じて、画像データが転送されない周期がある。
【0007】
また、IPUボードにおいては、原稿の各ページの終端までスキャンが行われたことを検知するため、画像データが連続して転送されない周期をカウントすることによりタイムアウトによってページ終端を検知する。これは、上述した第1のASICから第2のASICに対してページ終端を通知する手段がなく、スキャンによって読み込まれるライン数が不明であるために用いられている構成である。
【0008】
他方、原稿のサイズに応じて読み取りの制御態様を変える技術として、メモリオーバによる複写の失敗を回避するため、記憶手段の使用可能領域に格納可能な容量に基づいて判断された読み込み可能な最大の原稿サイズと、読み取り対象の原稿のサイズとに基づいて読み込み可能倍率を算出し、算出された読み込み可能倍率を原稿サイズに対応して定められた縮小制限倍率と比較し、その比較結果に応じて原稿読み取りを実行する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、スキャン時の縮小率によって、連続して画像データが転送されない周期が異なる。例えば、仮に上述したような縮小率1/2のスキャンの場合、データ転送がない周期が2周期毎に1周期分なので、2周期連続してデータ転送がなければタイムアウトと判断することが出来る。他方、縮小率1/10の場合、10周期に1回データ転送があるのみであり、連続して9周期の間はデータ転送がなく、タイムアウトを判断するためには10周期必要となる。
【0010】
そして、従来のスキャナにおいては、最小の縮小率、即ち、連続してデータ転送がない期間(以降、データ無し期間とする)が最も長い期間に合わせてタイムアウト周期が設定される。そのため、上述した縮小率1/2等の比較的データ無し期間が短い場合も、長いタイムアウト周期がカウントされるため、無駄な待ち時間が発生することになり、生産性が低下する。
【0011】
特許文献1に開示された発明は、原稿サイズに基づいて画像の読み取りを制御する技術ではあるが、本発明が目的とする、タイムアウトによるページ終端の検知とは異なる技術であり、上記課題の解決に寄与するものではない。
【0012】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、画像読取装置におけるタイムアウトによるページ終端の判断を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、画像読取部によって原稿が光学的に読み取られて生成された画像情報を装置本体に転送する読取画像転送装置であって、前記画像読取部が前記原稿を主走査ライン毎に光学的に読み取る周期であるライン周期に従い、前記画像読取部側から主走査ライン毎に入力される画像情報を取得して転送する画像情報転送制御部と、原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断するページ読取完了判断部とを含み、前記ページ読取完了判断部は、前記画像情報が入力されないライン周期が連続する期間を検知し、前記検知した期間よりも長い期間を、前記原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断するためのタイムアウト期間として決定し、前記画像情報が入力されないライン周期が連続する期間が前記決定したタイムアウト期間に達した場合に、原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の態様は、画像形成装置であって、上述した画像転送装置を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の更に他の態様は、画像読取部によって原稿が光学的に読み取られて生成された画像情報を装置本体転送する画像読取制御方法であって、前記画像読取部が前記原稿を主走査ライン毎に光学的に読み取る周期であるライン周期に従い、前記画像読取部側から主走査ライン毎に入力される画像情報を取得して転送し、前記画像情報が入力されないライン周期が連続する期間を検知し、前記検知した期間よりも長い期間を、前記原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断するためのタイムアウト期間として決定し、前記画像情報が入力されないライン周期が連続する期間が前記決定したタイムアウト期間に達した場合に、原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像読取装置におけるタイムアウトによるページ終端の判断を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るスキャナユニット及びコントローラの詳細を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るCTL接続ASICの詳細を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るSCAN INモジュールの詳細を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るスキャナ接続ASICのデータ転送態様を示す図である。
【図6】従来技術に係るページ終端の判断のためのタイムアウトの態様を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るページ終端の判断のためのタイムアウトの態様を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るタイムアウト制御部の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係るページ終端の判断のためのタイムアウトの態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)21、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。
【0019】
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22、プリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、図1においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
【0020】
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
【0021】
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM(Read Only Memory)12や不揮発性メモリ並びにHDD(Hard Disk Drive)14や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM(Random Access Memory)11等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、それらのプログラムに従ってCPU(Central Processing Unit)10が演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0022】
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
【0023】
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報であり、出力するべき画像を構成する画素の情報、即ち画素情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
【0024】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
【0025】
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された用紙は排紙トレイ27に排紙される。
【0026】
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F18を介して他の端末から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部320が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御31を制御する。
【0027】
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF11から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。
【0028】
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。
【0029】
画像処理部33が生成した画像情報は主制御部30が取得し、主制御部30がHDD等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存する。即ち、スキャナユニット22、エンジン制御部31及び画像処理部33が連動して、画像入力部として機能する。画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。
【0030】
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。尚、描画情報と撮像情報との情報形式が同一である場合は、撮像情報をそのまま描画情報として用いることも可能である。
【0031】
このような画像形成装置1において、本実施形態に係る要旨は、スキャナユニット22内部の構成にある。以下、本実施形態に係るスキャナユニット22内部の構成について詳細に説明する。図2は、本実施形態に係るスキャナユニット22及びコントローラ20のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、本実施形態に係るスキャナユニット22は、スキャナ221及びIPU(Image Processing Unit)ボード222を含み、IPUボード222は、IPUCPU223、スキャナ接続ASIC224及びCTL(ConTroLler)接続ASIC225を含む。
【0032】
また、コントローラ20は、ハードウェアとしてCTLCPU201、RAM202、CTLASIC203を含む。そして、IPUボード222のCTL接続ASIC225とCTLASIC203とがPCI(Peripheral Component Interface)バスを介して接続されることにより、スキャナユニット22とコントローラ20とが接続されており、更にコントローラ20にはPCIバスを介してデバイスA41、デバイスB42が接続されている。
【0033】
スキャナ221は、実際に原稿の読み取りを行う撮像素子を含む読取装置である。IPUCPU223は、IPUボードの動作を制御する演算部であり、RAM等の記憶媒体に保持されたプログラムに従って演算を行うことにより、スキャナ接続ASIC224及びCTL接続ASIC225の動作を制御する。スキャナ接続ASIC224は、スキャナ221が原稿を読み取ることによって生成した画像情報を、主走査ライン毎にライン周期に従って取得し、PCIe(PCI−express)バスを介してCTL接続ASIC225に入力する。
【0034】
CTL接続ASIC225は、本実施形態の要旨に係る構成であり、IPUCPU223の制御に従い、スキャナ接続ASIC224から入力される画像情報をライン周期に従って取得してCTLASIC203に入力する。この際、CTL接続ASIC225は、スキャナASIC224からライン周期に従って取得される画像情報の取得態様に基づいてスキャンの縮小率を判断し、判断した縮小率に応じてページ終端を判断するためのタイムアウト期間を決定することにより、冗長なタイムアウト期間による生産性の低下を回避する。これが、本実施形態の要旨に係る機能である。
【0035】
尚、CTL接続ASIC225とCTLASIC203とは、デバイスA41、デバイスB42等の他のPCIデバイスのために、必要以上にPCIバスの帯域を占有しないよう、スキャナ221が原稿を撮像して画像データを生成する周期であるライン周期に従って情報を伝送する。
【0036】
これに対して、PCIeバスによるスキャナ接続ASICか224らCTL接続ASIC225への情報伝送は、ライン周期によらず実行される。そして、PCIeバスにはライン周期を伝えるような手段はないため、CTL接続ASIC225内に、ライン周期に従った情報伝送を実現するためのデバイスが設けられる。このデバイスは、1ライン分の情報を受信すると、次のライン周期のタイミングまで、スキャナ接続ASIC224の情報伝送を待機させる機能を有する。このようなデバイスの機能により、PCIeバスにおいても、ライン周期に従った情報伝送が実現される。
【0037】
CTLCPU201は、コントローラ20の動作を制御し、図1において説明したような各機能を実現するための演算部である。RAM202は、CTLCPU201が演算を行うためのプログラムがロードされる記憶媒体である。CTLASIC203は、CTLCPU201、RAM202の接続インタフェースや、PCIバスのコントローラを含む集積回路である。デバイスA41、デバイスB42は、図1に示すディスプレイパネル24、プリントエンジン26等のデバイスである。
【0038】
次に、本実施形態に係るCTL接続ASIC225の詳細について、図3を参照して説明する。図3に示すように、CTL接続ASIC225は、PCIe Rootモジュール251、SCAN INモジュール252、画像処理モジュール253、PCIモジュール254を含む。PCIe Rootモジュール251は、画像情報の入力I/Fとして、PCIeルートコンプレックスの機能を備え、対向デバイスであるスキャナ接続ASIC224の設定及びスキャナ接続ASIC224から入力される画像情報の取得を行う。
【0039】
SCAN INモジュール252は、PCIe Rootモジュール251から入力された画像情報を内部I/Fに変換する機能を有すると共に、ライン周期を示すlsync信号の生成及びタイムアウトの判断等、本実施形態の要旨に係る機能が実装されたモジュールであり、スキャナ221によって生成された画像情報を装置本体に転送する読取画像転送装置として機能する。SCAN INモジュール224については、後に詳述する。
【0040】
画像処理モジュール253は、スキャンによって生成された画像情報から原稿領域を抽出するマスク処理等、比較的簡単な画像処理を行う。PCIモジュール254は、コントローラ20とのインタフェースとして、PCIインタフェース機能及びDMAC(Direct Memory Access Controller)機能を有する。
【0041】
次に、本実施形態の要旨に係る機能が実装されたモジュールであるSCAN INモジュール224の詳細な構成について、図4を参照して説明する。図4に示すように、SCAN INモジュール224は、データ転送制御部241、lsync生成部242、主走査カウンタ243、タイムアウト制御部244、レジスタ制御部245を含む。
【0042】
データ転送制御部241は、PCIe Rootモジュール251を介してスキャナ接続ASIC224から入力された画像情報、即ち、スキャナ221側から入力された画像情報を、色毎の情報に分け、内部I/Fに変換する。スキャナによって生成される画像情報は、RGB(Red,Green,Blue)の3色の成分によって表現される画像情報である。データ転送制御部241は、入力された画像情報をRGB夫々の情報に振り分ける。即ち、本実施系形態においては、データ転送制御部241が、画像情報転送制御部として機能する。
【0043】
図4に示すように、データ転送制御部241は、スキャナ接続ASIC224からPCIe Rootモジュール251を介して入力されるReq(Request)信号を受信すると共に、Req信号に対してデータ受信が可能であることを示すAck(Acknowledge)信号を出力する。スキャナ接続ASIC224側においては、Ack信号に応じてデータの出力及びReq信号を制御する。Req信号は、スキャナ接続ASIC224側において出力するべき画像情報があることを示す信号である。
【0044】
lsync生成部242は、IPUCPU223の制御によって設定されたライン周期に応じて、ライン同期信号であるlsync信号を生成して出力する。主走査カウンタ243は、PCIe Rootモジュール251を介して入力された画像情報の画素数をカウントすることにより、主走査方向の画像サイズを制御する。そのため、主走査カウンタ243は、画素数のカウント値がIPUCPU223の制御によって設定された主走査サイズに達すると、Ack信号を制御することにより、スキャナ接続ASIC224にデータ入力をウェイトさせる。
【0045】
タイムアウト制御部244は、スキャナ接続ASIC224が画像情報を出力しなかった周期と画像情報を出力した周期とに基づき、原稿のページ終端までスキャンが行われたことを検知するためのタイムアウト周期を判断する。そして、タイムアウト制御部244は、スキャナ接続ASIC224が出力するReq信号及びlsync信号に基づき、スキャナ接続ASIC224が画像情報を出力しなかった周期をカウントし、上述したように判断したタイムアウト周期に達すると、レジスタ制御部245にタイムアウトを通知する。
【0046】
即ち、本実施形態においては、タイムアウト制御部244が、ページ読取完了判断部として機能する。また、上述したタイムアウト周期が、原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断するためのタイムアウト期間として用いられる。
【0047】
レジスタ制御部245は、IPUCPU223から制御可能なレジスタI/Fを含み、上述したライン周期や主走査サイズをIPUCPU223が設定するための記憶媒体を含む。また、レジスタ制御部245は、上述したタイムアウトの通知を受けた場合に、IPUCPU223に対して、入力完了の割り込み通知を出力する機能を有する。
【0048】
このようなSCAN INモジュール224において、一般的な動作におけるlsync信号と画像データの伝送の態様について図5(a)、(b)を参照して説明する。図5(a)は、等倍スキャンの場合におけるlsync信号と画像データの伝送の態様を示すタイミングチャートである。スキャナ221がスキャンを開始してからスキャナ接続ASIC224が画像データを出力し始めるまでにはタイムラグがあり、その間、生成された画像データはスキャナ接続ASIC224内に設けられたラインFIFO(First IN, First Out)に格納される。
【0049】
そして、スキャナ接続ASIC224が画像データを出力し始めると、ラインFIFOに格納された画像情報は、ライン周期に従って順にCTL接続ASIC225に入力される。等倍のスキャンの場合、画像情報はライン周期に従って主走査ライン毎に生成されるため、ライン周期毎に画像情報がラインFIFOから読み出されてCTL接続ASIC225に入力されるのと同時に、新たな画像情報が生成されて格納されるため、図5(a)に示すように、スキャナ接続ASIC224が画像データを出力し始めるまでにラインFIFOに蓄積されていた画像情報が出力され始めた後も、ライン周期に従って毎周期毎に画像情報が伝送される。
【0050】
他方、図5(b)は、1/2縮小スキャンの場合におけるlsync信号と画像データの伝送の態様を示すタイミングチャートである。1/2縮小スキャンの場合、ライン周期の2周期に1回の割合でスキャナ221によって生成された画像情報がスキャナ接続ASIC224のラインFIFOに格納される。そして、図5(a)の場合と同様に、スキャナ221がスキャンを開始してから所定のタイムラグの後、スキャナ接続ASIC224が画像データを出力し始める。
【0051】
図5(b)に示すように、ラインFIFOに画像情報が蓄積されている間は、画像情報はライン周期に従って毎周期毎にスキャナ接続ASIC224からCTL接続ASIC225に伝送される。ここで、スキャナ221からスキャナ接続ASIC224のラインFIFOへの画像情報の格納は上述した通りライン周期の2周期に1回の割合であるため、いずれラインFIFOに格納された画像情報は空になる。すると、図5(b)に示すように、スキャナ接続ASIC224からCTL接続ASIC225への画像情報の伝送も、スキャナ221による画像情報生成周期に従い、ライン周期の2周期に1回の割合となる。
【0052】
図5(b)は、1/2縮小の場合であり、より小さく縮小する場合は、それだけ画像情報が転送されない期間も長くなる。例えば、最小の縮小率が1/13のであった場合、ライン周期13周期に対して、12周期は画像情報の転送がないことになる。この場合、図6に示すように、13ライン分、即ち、13周期分の画像情報の転送がない周期をカウントしなければ、タイムアウトを判断することが出来ない。
【0053】
これに対して、図5(b)に示すような1/2縮小の場合、2周期連続して画像情報の転送がなければ、タイムアウトを判断することが可能である。しかしながら、従来の構成においては、CTL接続ASIC225においてスキャナの縮小率を判断することが不可能であった。そのため、縮小率が1/2の場合であっても、図6に示すような1/13縮小の場合に合わせて13ライン分のタイムアウト期間をカウントするような非効率な処理によって生産性が低下していた。これが、本実施形態において解決するべき課題である。
【0054】
次に、本実施形態に係るSCAN INモジュール224の機能について、図7(a)、(b)及び図8を参照して説明する。図7(a)、(b)は、本実施形態に係るSCAN INモジュール224の機能によって実現されるスキャナ接続ASIC224からCTL接続ASIC225への画像情報の伝送を示すタイミングチャートであり、図7(a)は1/2縮小スキャンの場合を、図7(b)は2/3縮小スキャンの場合を夫々示す。また、図8は、本実施形態のタイムアウト制御部244の動作を示すフローチャートである。
【0055】
図7(a)、(b)に示すように、データ転送制御部241は、スキャナ接続ASIC224からPCIe Rootモジュール251を介して入力されるReq信号に基づき、lsync信号に応じて画像情報を取得してAck信号を出力する。スキャナ接続ASIC224側においては、Ack信号に応じて出力する画像情報を順に切り替える。
【0056】
そして、タイムアウト制御部244は、図7(a)、(b)のタイミングtにおいて、Req信号が“low”となったタイミングを検知すると(S801/YES)、Req信号が“low”である期間、即ち、データ無し期間のカウントを開始する(S802)。その後、タイムアウト制御部244は、lsync信号に応じて、Req信号が“high”となるまで、カウントを続ける(S803/NO)。
【0057】
換言すると、タイムアウト制御部244は、スキャナ接続ASIC224から画像情報の転送が要求されない状態に遷移してから、要求される状態に遷移するまでのlsync信号、即ちライン周期をカウントする。これにより、タイムアウト制御部244は、画像情報が入力されない期間を検知する。
【0058】
その後、図7の(a)、(b)のタイミングtにおいて、Req信号が“low”である期間のカウント中にReq信号が“high”であることを検知すると(S803/YES)、タイムアウト制御部244は、Req信号が“high”である期間のカウントを開始する(S804)。その後、タイムアウト制御部244は、lsync信号に応じて、Req信号が“low”となるまで、カウントを続ける(S805/NO)。
【0059】
換言すると、タイムアウト制御部244は、スキャナ接続ASIC224から画像情報の転送が要求される状態に遷移してから、要求されない状態に遷移するまでのlsync信号、即ちライン周期をカウントする。これにより、タイムアウト制御部244は、画像情報が入力される期間を検知する。
【0060】
そして、図7(a)、(b)のタイミングtにおいて、Req信号が“high”である期間のカウント中にReq信号が“low”であることを検知すると(S805/YES)、タイムアウト制御部244は、タイミングtにおいて、S802でカウントしたカウント値と、S804でカウントしたカウント値とに基づいて、スキャンの縮小率に応じたタイムアウト期間を決定する(S806)。
【0061】
これにより、図7(a)、(b)に示すようにタイムアウト期間が更新される。図7(a)の場合、Req信号が“low”である期間及びReq信号が“high”である期間共に「1」であるため、縮小率は1/2であると判断され、タイムアウト期間は「2」と決定される。また、図7(b)の場合、Req信号が“low”である期間が「1」であり、Req信号が“high”である期間が「2」であるため、縮小率は2/3であると判断され、タイムアウト期間は「2」と決定される。
【0062】
このように、本実施形態に係るタイムアウト制御部244は、判断した縮小率において、Req信号が連続して“low”となる期間、即ち、ライン周期に「1」を加えた周期をタイムアウト期間として決定する。これにより、スキャナ221による原稿読取の縮小率に応じた最低限の期間でタイムアウトを判断することが可能となる。
【0063】
尚、図7(a)、(b)のタイミングt、図8のS805において、Req信号が再び“low”となることを再度検知するのは、Req信号が“high”である期間を特定することにより、Req信号が“low”である期間及びReq信号が“high”である期間の割合によって縮小率を特定するためである。
【0064】
その後、図7(a)、(b)のタイミングtにおいて、Req信号が“low”である期間のカウントによってタイムアウトを検知すると(S807/NO)、タイムアウト制御部244は、タイミングtにおいて、タイムアウトをレジスタ制御部245に通知して(S808)、処理を終了する。
【0065】
このような処理により、図7(a)、(b)に示すように、縮小率に応じたデータ無し期間に基づいてタイムアウト期間が決定され、図6において説明したように冗長なタイムアウト期間による生産性の低下を回避することができる。
【0066】
尚、図7(a)、(b)においては、いずれもタイムアウト期間が「2」となる場合を例として説明した。同様の処理により、タイムアウト期間が「3」となる縮小率1/3の場合について図9に示す。図9に示すように、縮小率が1/3の場合、Req信号が“low”である期間が2周期であるのに対して、“high”である期間が1周期である。このため、タイムアウト制御部244は、「3」をタイムアウト期間として決定する。
【0067】
以上、説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1に含まれるスキャナユニット22のIPUボード222においては、スキャナ221からライン周期毎に入力される画像情報が、入力される期間と入力されない期間とに応じて、スキャナ221による原稿読取の縮小率を判断し、その判断結果に応じたタイムアウト期間を設定してページ終端を判断するためのタイムアウト処理を行う。そのため、冗長なタイムアウト期間をカウントすることによる原稿読取の生産性の低下を回避し、原稿読み取りに要する時間を短縮することが可能となる。
【0068】
尚、上記実施形態においては、Req信号が“low”である期間及びReq信号が“high”である期間の割合に応じて縮小率を特定し、その縮小率に応じてタイムアウト期間を決定する場合を例として説明した。しかしながら、本実施形態の趣旨は、図6において説明したように、縮小スキャンのために発生するデータ無し期間と、1ページのスキャンが完了したことによって発生するデータ無し期間を区別するためのタイムアウト期間の決定に際して、最小の縮小率に合わせて冗長なタイムアウト期間を用いることを回避することにある。
【0069】
従って、必ずしも縮小率を特定する必要はなく、縮小率によって生じるデータ無し期間さえ判断できれば、そのデータ無し期間に応じてタイムアウト期間を決定することができる。従って、図7(a)、(b)におけるタイミングt及び図8におけるS805の処理は省略することが可能であり、図7(a)、(b)におけるタイミングt及び図8におけるS803により、データ無し期間が判明した時点で、そのデータ無し期間に1周期を加えることによってタイムアウト期間を判断することが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1 画像形成装置
20 コントローラ
21 ADF
22 スキャナユニット
23 排紙トレイ
24 ディスプレイパネル
25 給紙テーブル
26 プリントエンジン
27 排紙トレイ
28 ネットワークI/F
30 主制御部
31 エンジン制御部
32 入出力制御部
33 画像処理部
34 操作表示制御部
41 デバイスA
42 デバイスB
201 CTLCPU
202 RAM
203 CTLASIC
221 スキャナ
222 IPUボード
223 IPUCPU
224 スキャナ接続ASIC
225 CTL接続ASIC
241 データ転送制御部
242 lsync生成部
243 主走査カウンタ
244 タイムアウト制御部
245 レジスタ制御部
251 PCIe Rootモジュール
252 SCAN INモジュール
253 画像処理モジュール
254 PCIモジュール
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2001−144952号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取部によって原稿が光学的に読み取られて生成された画像情報を装置本体に転送する読取画像転送装置であって、
前記画像読取部が前記原稿を主走査ライン毎に光学的に読み取る周期であるライン周期に従い、前記画像読取部側から主走査ライン毎に入力される画像情報を取得して転送する画像情報転送制御部と、
原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断するページ読取完了判断部とを含み、
前記ページ読取完了判断部は、
前記画像情報が入力されないライン周期が連続する期間を検知し、
前記検知した期間よりも長い期間を、前記原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断するためのタイムアウト期間として決定し、
前記画像情報が入力されないライン周期が連続する期間が前記決定したタイムアウト期間に達した場合に、原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断することを特徴とする読取画像転送装置。
【請求項2】
前記ページ読取完了判断部は、前記画像読取部からの前記画像情報の転送要求を前記ライン周期に従ってカウントすることにより、前記画像情報が入力されないライン周期が連続する期間を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像転送装置。
【請求項3】
前記ページ読取完了判断部は、前記画像情報が入力される期間と前記画像情報が入力されない期間との割合に基づいて前記画像読取部による前記原稿の読み取りの縮小率を判断し、その縮小率に基づいて前記タイムアウト期間を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像転送装置。
【請求項4】
前記ページ読取完了判断部は、前記画像読取部から前記画像情報の転送が要求されない状態に遷移してから要求される状態に遷移するまでの前記ライン周期をカウントすることにより前記画像情報が入力されない期間を検知し、その後前記画像情報の転送が要求されない状態に再度遷移するまでの前記ライン周期をカウントすることにより前記画像情報が入力される期間を検知することを特徴とする請求項3に記載の画像転送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか1項に記載の画像転送装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
画像読取部によって原稿が光学的に読み取られて生成された画像情報を装置本体転送する画像読取制御方法であって、
前記画像読取部が前記原稿を主走査ライン毎に光学的に読み取る周期であるライン周期に従い、前記画像読取部側から主走査ライン毎に入力される画像情報を取得して転送し、
前記画像情報が入力されないライン周期が連続する期間を検知し、
前記検知した期間よりも長い期間を、前記原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断するためのタイムアウト期間として決定し、
前記画像情報が入力されないライン周期が連続する期間が前記決定したタイムアウト期間に達した場合に、原稿の1ページ分の読み取りが完了したことを判断することを特徴とする画像読取制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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