説明

画像読取装置、および、画像読取方法

【課題】画像読取装置において、ノイズが目立たないように画像を読み取る技術を提供する。
【解決手段】画像読取装置50は、光源210と、光電変換素子に蓄積された電荷を、シフトゲートを介してシフトレジスターへ転送するイメージセンサー220と、光電変換素子から電荷を転送するシフト周期にダミー期間を挿入することにより、センサー読み出しの開始タイミングをラインごとにずらし、読み出された画像に含まれるノイズのピーク位置をラインごとに異ならせる読取制御部120と、を備える。読取制御部120は、連続する複数ラインをまとめてブロックとし、当該ブロックごとに、ダミー期間を挿入するパターンを異ならせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、および、画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナー等の画像読取装置は、イメージセンサーを備え、イメージセンサーにシフトパルスを供給して、画像をライン毎に読み取る(例えば、特許文献1)。
【0003】
そして、イメージセンサーで読み取られた画像は、ライン毎にA/D変換器に転送されて、デジタルデータに変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−268476号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、イメージセンサーからA/D変換器へ転送される画像には、転送中にノイズが入ることが知られている。そして、転送中の画像に入るノイズは、その強度が周期的になる場合がある。
【0006】
その場合、各ラインに周期的に入ったノイズの強弱位置(ノイズのピーク位置とボトム位置)が、最終的に生成される画像(圧縮する場合も含まれる)の縦方向(副走査方向)に揃ってしまい、ノイズの目立つ画像となる。
【0007】
本発明は、画像読取装置において、ノイズが目立たないように画像を読み取る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本願発明は、光源と、光電変換素子に蓄積された電荷を、シフトゲートを介してシフトレジスターへ転送するイメージセンサーと、前記光電変換素子から電荷を転送するシフト周期にダミー期間を挿入することにより、センサー読み出しの開始タイミングをラインごとにずらし、読み出された画像に含まれるノイズのピーク位置をラインごとに異ならせる読取制御部と、を備え、前記読取制御部は、連続する複数ラインをまとめてブロックとし、当該ブロックごとに、前記ダミー期間を挿入するパターンを異ならせる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の画像読取装置50の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】従来の方法によって生成される画像データの全体像を示す図である。
【図3】(A)モノクロ画像を読み取る場合において、シフト周期にダミー期間を挿入する処理の一例について説明するための図である。(B)「図3(A)」で説明された処理によって読み取られた場合における、1ライン目から6ライン目に入るノイズの強弱を示す図である。
【図4】「図3(A)」で説明された処理によって読み取られた画像データの全体像を示す図である。
【図5】画像読取装置50で実行される画像読取処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】(A)左図:ノイズ周期を3区間に分割した場合に、各ラインにおけるノイズのピーク位置を示す図である。右図:4ライン以上の読み取りを行う場合のピーク位置を示す図である。(B)左図:ノイズ周期を4区間に分割した場合に、各ラインにおけるノイズのピーク位置を示す図である。右図:5ライン以上の読み取りを行う場合のピーク位置を示す図である。(C)左図:ノイズ周期を5区間に分割した場合に、各ラインにおけるノイズのピーク位置を示す図である。右図:6ライン以上の読み取りを行う場合のピーク位置を示す図である。
【図7】オフセット補正を説明するための図である。
【図8】ステップS104で読取制御部120がシフトパルスを出力するタイミングについて、「図6(C)の例1」に示す例を用いて説明するための図である。
【図9】「図8」に示す読取制御によって画像が読み取られた場合における、1ライン目から5ライン目に入るノイズの強弱を示す図である。
【図10】ノイズ周期を5区間に分割する場合において、各ラインにおけるノイズのピーク位置を、RGBの色別に示す図である。
【図11】カラー画像を読み取る場合に、ステップS104で読取制御部120がシフトパルスを出力するタイミングについて説明するための図である。
【図12】カラー画像を読み取る場合に、1ライン目から5ライン目に入るノイズの強弱を色ごとに示す図である。
【図13】モノクロ読み取り画像を圧縮する場合において、ブロック(6ライン)ごとにノイズのピーク位置を示す図である。
【図14】モノクロ読み取り画像を圧縮する場合にノイズのピーク位置が揃わないようにする第1の方法(例1)を示す図である。
【図15】モノクロ読み取り画像を圧縮する場合にノイズのピーク位置が揃わないようにする第2の方法(例2)を示す図である。
【図16】モノクロ読み取り画像を圧縮する場合にノイズのピーク位置が揃わないようにする第3の方法(例3)を示す図である。
【図17】カラー読み取り画像を圧縮する場合にノイズのピーク位置が揃わないようにする第1の方法(例1)を示す図である。
【図18】カラー読み取り画像を圧縮する場合にノイズのピーク位置が揃わないようにする第2の方法(例2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態が適用された画像読取装置50の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
画像読取装置50は、筐体の上面に原稿台(不図示)を備えた、いわゆるフラットベッド型画像読取装置である。画像読取装置50は、イメージセンサー(固体撮像素子)220を走査して、透明板の原稿台に載置された原稿の画像を読み取る。
【0013】
画像読取装置50は、図示するように、LED光源210及びイメージセンサー220を搭載したキャリッジ200と、キャリッジ200の移動を制御する駆動機構300と、画像読取装置50の全体を制御し、画像を読み取るための種々の処理を行うコントローラー100と、を備えている。
【0014】
キャリッジ200は、イメージセンサー220を、LED光源210とともに副走査方向に運搬する。キャリッジ200は、原稿台の盤面に対し平行なガイド用のシャフト等にスライド自在に係止されており、駆動機構300のモーター(例えば、DCモーター)により回転するベルトにより牽引される。キャリッジ200の移動量は、駆動機構300のモーターの回転量に応じてパルスを出力するエンコーダーの出力値により制御される。
【0015】
LED光源210は、赤色(R)LED、緑色(G)LED、青色(B)LEDからなり、カラー画像を読み取る場合には、RGBの3色の光を所定の順序で発生する。本実施形態では、LED光源210は、通常の原稿の1ライン分の読み取りを行う場合には、赤色LED、緑色LED、青色LEDの順に光を発生する。そして、原稿の画像データの生成に必要なライン数分の読み取りを行うために、同様の発光動作を繰り返す。各色のLEDの発光時間は、色ごとに予め定められており、点灯してからその定められた時間が経過したときに、消灯する。なお、1ライン分の読み取りを行う場合の発光順序は、RGBの順序に限られない。
【0016】
また、LED光源210は、モノクロ画像を読み取る場合には、通常の原稿1ライン分の読み取りで赤色LED、緑色LED、青色LEDを同時に発光させる。
【0017】
イメージセンサー220は、原稿に反射した光を受光し、受光量に応じた電荷を蓄積し、画像読取データ(電気信号)として、コントローラー100に送る。
【0018】
イメージセンサー220は、主走査方向に並んだ複数のセンサーチップからなる。各センサーチップは、通常のCIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーと同様の構成を備えている。すなわち、各センサーチップは、光電変換素子(フォトダイオード)と、シフトゲートと、シフトレジスターと、を備える。そして、光電変換素子に蓄積された電荷を、シフトゲートを開通させてシフトレジスターへ転送し、シフトレジスターにより電荷を順次移動させながら出力する。
【0019】
シフトゲートの開通(電荷の転送)は、シフトパルス(後述する読取制御部120からの信号)の印加に応答して行われる。光電変換素子は、常時、光の受光量に応じて電荷を蓄積しているため、電荷のシフトレジスターへの転送タイミングが、次の発光色の光についての電荷を蓄積する開始タイミングとなる。シフトレジスターに転送された電荷は、シフトレジスターの末端の出力部より、電気信号(アナログデータ)に変換されて、後述するA/D変換部110に送られる。
【0020】
シフトレジスターに格納された電荷の出力は、所定の読み出しクロック(後述する読取制御部120からの信号)に応答して行われる。例えば、1クロック毎に1画素の電荷がアナログデータとして出力される。
【0021】
なお、シフトレジスターから出力された電気信号には、A/D変換部110までの転送中にノイズが入ることが知られている。そして、その電気信号に入るノイズの強弱は、時間経過に応じて周期的に変化する。以下では、ノイズが最も強くなる位置を「ピーク位置」とよび、ノイズが最も弱くなる位置を「ボトム位置」とよぶ。また、ノイズの強弱の周期(例えば、あるノイズのピーク位置から次のピーク位置までの期間)を「ノイズ周期」とよぶ。
【0022】
コントローラー100は、アナログ処理を行う(例えば、イメージセンサー220から出力されたアナログデータをデジタルデータに変換する)A/D変換部110と、A/D変換部110から出力されたデジタルデータに対して各種補正を行うデータ補正処理部130と、データ補正処理部130が各種補正を行うためのデジタルデータ(例えば、白基準データや黒基準データ)を記憶する記憶部140と、データ補正処理部130からのデータをパーソナルコンピューターなどのホストに送るための出力部150と、コントローラー100内の各機能部を全体的に制御するとともに、キャリッジ200内のLED光源210やイメージセンサー220、及び、駆動機構300を制御する読取制御部120と、を備えている。
【0023】
読取制御部120は、駆動機構300のモーターの回転を制御することにより、キャリッジ200の移動を制御する。
【0024】
また、読取制御部120は、イメージセンサー220による、画像読み取りを制御する。
【0025】
具体的には、読取制御部120は、イメージセンサー220に対してシフトパルスの提供を周期的に行い、光電変換素子に蓄積された電荷のシフトレジスターへの転送タイミング(次の電荷蓄積の開始タイミング)を制御する。なお、シフトパルスをイメージセンサー220に対して供給する周期(間隔)を、以下では「シフト周期」とよぶ。また、光電変換素子に蓄積された電荷のシフトレジスターへの転送タイミングを、以下では、「センサー読み出しの開始タイミング」ともいう。
【0026】
また、読取制御部120は、イメージセンサー220に対して読み出しクロックの供給を行い、シフトレジスターに格納されている電荷のA/D変換部110への出力を制御する。
【0027】
また、読取制御部120は、イメージセンサー220の読み取り動作に合わせて、LED光源210の点灯、消灯を制御する。
【0028】
ところで、上述した通り、シフトレジスターからA/D変換部110へ転送される電気信号(読み取り画像)に入るノイズの強弱は、時間経過に応じて周期的に変化する。そのため、各ラインに周期的に入ったノイズの強弱位置(ピーク位置とボトム位置)が、最終的にコントローラー100で生成される画像データ上において縦方向(副走査方向)に揃ってしまい、ノイズが目立つ画像となる。
【0029】
図2は、従来の方法によってコントローラー100で生成される画像データの全体像を示す図である。図示するように、従来の方法では、画像データに入るノイズの強弱位置(ピーク位置およびボトム位置)が各ラインで揃ってしまう。そのため、画像データに入っているノイズがユーザーからみて目立つものとなる。
【0030】
そこで、本願では、読取制御部120は、シフト周期にダミー期間を挿入することにより、センサー読み出しの開始タイミングをラインごとにずらす。こうすることにより、最終的にコントローラー100で生成される画像データに含まれるノイズのピーク位置(或いはボトム位置)はラインごとに異なるようになる。
【0031】
図3(A)は、モノクロ画像を読み取る場合において、シフト周期にダミー期間を挿入する処理の一例について説明するための図である。図示するように、読取制御部120は、例えば、奇数ラインの画像読み取りの時には、シフト周期にダミー期間を挿入せず、偶数ラインの画像読み取りの時に、シフト周期にダミー期間を挿入するようにする。こうすることにより、奇数ラインの画像データでは、先頭位置(センサー読み出しの開始位置)にノイズのピーク位置がきて、偶数ラインの画像データでは、先頭位置(センサー読み出しの開始位置)にノイズのボトム位置がくるようになる。
【0032】
図3(B)は、図3(A)で説明された処理によって読み取られた場合における、1ライン目から6ライン目に入るノイズの強弱を示す図である。ただし、ノイズの強弱は、黒色の濃淡で表されている。図示するように、図3(A)で説明された処理によって読み取られた画像データでは、奇数ライン(1ライン目、3ライン目、5ライン目)の先頭位置にノイズのピーク位置がきており、偶数ライン(2ライン目、4ライン目、6ライン目)の先頭位置にノイズのボトム位置がきている。
【0033】
図4は、図3(A)で説明された処理によって読み取られた画像データの全体像を示す図である。図示するように、本願の方法によれば、画像データに入るノイズの強弱位置(ピーク位置およびボトム位置)が各ラインで不揃いとなるため、従来と比較して、画像データに入っているノイズがユーザーからみて目立たないものとなる。
【0034】
図1に戻り、A/D変換部110は、IC(いわゆる、アナログフロントエンドIC)によって構成される。A/D変換部110は、入力されたアナログデータをデジタルデータに変換(量子化)し、データ補正処理部130に出力する。
【0035】
データ補正処理部130は、A/D変換部110から出力されたデジタルデータに対して、シェーディング補正などの各種補正を施して、出力部150に出力する。
【0036】
記憶部140は、データ補正処理部130が各種補正処理を行うためのデータを記憶するメモリーなどによって実現される。例えば、記憶部140は、シェーディング補正に用いる白基準データや黒基準データを記憶する。
【0037】
出力部150は、ネットワーク接続やUSB接続を行うためのインターフェイスを備え、データ補正処理部130から出力されたデジタルデータを、ホストコンピューターに送信する。
【0038】
上記のコントローラー100の主な構成要素は、演算装置であるCPUと、プログラム等が記録されたROMと、メインメモリーとしてデータ等を一時的に格納するRAMと、ホスト等との入出力を制御するインターフェイスと、各構成要素間の通信通路となるシステムバスと、を備えた一般的なコンピューターにより達成することができる。特定の処理を専用に行うように設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含んで、又は、ASICにより構成されていてもよい。
【0039】
本実施形態が適用された画像読取装置50は、以上のような構成からなる。ただし、この構成は、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られない。また、一般的な画像読取装置が備える他の構成を排除するものではない。また、画像読取装置50は、さらにプリント機能や、ファクシミリ機能を有する複合機であってもよい。また、A/D変換部110は、キャリッジ200内の基板に搭載されていてもよい。
【0040】
また、上記した各構成要素は、画像読取装置50の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。画像読取装置50の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0041】
次に、上記構成からなる画像読取装置50の特徴的な動作について説明する。
【0042】
<画像読取処理(モノクロ画像)>
図5は、本実施形態の画像読取装置50で実行される画像読取処理の一例を説明するためのフローチャートである。ただし、本フローは、モノクロ画像を読み取る場合の画像読取処理である。
【0043】
読取制御部120は、例えば、原稿の読み取り開始の指示を受け付けると、本フローを開始する。
【0044】
本フローを開始すると、読取制御部120は、上述したシフト周期に挿入するダミー期間を決定する(ステップS101)。なお、上記では、偶数ラインの画像読み取り時にダミー期間を挿入する場合の例について説明したが、本フローでは、別の例について説明する。
【0045】
ステップS101において、読取制御部120は、ノイズ周期を複数の区間に分割し、分割した区間数の連続する各ラインにおいて、それぞれノイズのピーク位置(或いはボトム位置)が存在する区間を異ならせる。例えば、読取制御部120は、ノイズ周期をn区間に分割した場合には、分割した区間をs個(sは0からn−1までの整数)合計した期間をダミー期間とし、かつ、分割した区間数の連続する各ラインにおいて、合計する区間の個数sを、それぞれ異ならせる。
【0046】
図6(A)の左図は、ノイズ周期を3区間に分割した場合に、各ラインにおけるノイズのピーク位置を示す図である。なお、黒塗りのマス目は、ピーク位置が存在する区間を表す。
【0047】
図示するように、ノイズ周期を3区間に分割した場合には、読取制御部120は、連続する3ラインにおいて、それぞれノイズのピーク位置が存在する区間を異ならせる。例えば、読取制御部120は、連続する3ラインのうちの1ライン目の読み取りでは、3分割した区間のうち1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する3ラインのうちの2ライン目の読み取りでは、3分割した区間のうち2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する3ラインのうちの3ライン目の読み取りでは、3分割した区間のうち3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。
【0048】
こうして決定されたダミー期間がシフト周期に挿入されると、連続する3ラインについては、ノイズのピーク位置が揃わないため、最終的に生成される画像データに含まれるノイズ成分を目立たなくすることができる。
【0049】
ただし、図6(A)の右図に示すように、4ライン以上の読み取りを行う場合には、読取制御部120は、上記の3ライン分の処理(ダミー期間を決定する処理)を繰り返し実行する。
【0050】
また、図6(B)の左図は、ノイズ周期を4区間に分割した場合に、各ラインにおけるノイズのピーク位置を示す図である。
【0051】
図示するように、ノイズ周期を4区間に分割した場合には、読取制御部120は、連続する4ラインにおいて、それぞれノイズのピーク位置が存在する区間を異ならせる。例えば、読取制御部120は、連続する4ラインのうちの1ライン目の読み取りでは、4分割した区間のうち1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する4ラインのうちの2ライン目の読み取りでは、4分割した区間のうち3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する4ラインのうちの3ライン目の読み取りでは、4分割した区間のうち2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する4ラインのうちの4ライン目の読み取りでは、4分割した区間のうち4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。
【0052】
こうして決定されたダミー期間がシフト周期に挿入されると、連続する4ラインについては、ノイズのピーク位置が揃わないため、最終的に生成される画像データに含まれるノイズ成分を目立たなくすることができる。
【0053】
ただし、図6(B)の右図に示すように、5ライン以上の読み取りを行う場合には、読取制御部120は、上記の4ライン分の処理(ダミー期間を決定する処理)を繰り返し実行する。
【0054】
また、図6(C)の左図は、ノイズ周期を5区間に分割した場合に、各ラインにおけるノイズのピーク位置を示す図である。
【0055】
例1に示すように、ノイズ周期を5区間に分割した場合には、読取制御部120は、連続する5ラインにおいて、それぞれノイズのピーク位置が存在する区間を異ならせる。例えば、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの1ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの2ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの3ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの4ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの5ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。
【0056】
また、別の例としては、例2に示すように、例えば、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの1ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの2ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの3ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの4ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの5ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。
【0057】
例1、例2のいずれにせよ、こうして決定されたダミー期間がシフト周期に挿入されると、連続する5ラインについては、ノイズのピーク位置が揃わないため、最終的に生成される画像データに含まれるノイズ成分を目立たなくすることができる。
【0058】
ただし、図6(C)の右図に示すように、6ライン以上の読み取りを行う場合には、読取制御部120は、上記の5ライン分の処理(ダミー期間を決定する処理)を繰り返し実行する。
【0059】
以上のように、読取制御部120は、ライン毎に、シフト周期に挿入するダミー期間を決定する。ここでは、ノイズ周期を3区間に分割する例、4区間に分割する例、5区間に分割する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。また、ノイズ周期を分割する区間数は、多ければ多いほど、各ラインに入るノイズのピーク位置が揃いにくくなるため、最終的に生成される画像データに含まれるノイズ成分を、より目立たなくすることができる。可能であれば、ノイズ周期を5区間以上に分割するのが好ましい。
【0060】
次に、読取制御部120は、処理をステップS102に移行して、オフセット補正を行う(ステップS102)。ここで、オフセット補正とは、シフト周期にダミー期間を挿入する前に、各ラインに入るノイズのピーク位置を揃えておくための補正をいう。
【0061】
図7は、オフセット補正を説明するための図である。例えば、図示するように、読取制御部120は、各ラインの先頭位置(センサー読み出しの開始位置)に入るノイズの位相を一致させるために、ラインごとに、センサー読み出しの開始位置をずらす量(補正量α)を決定する。
【0062】
具体的には、読取制御部120は、数式(1)「補正量α(k)=前ラインの補正量α(k−1)+(差分T)」によって、補正量αを決定する。
【0063】
なお、「k」は、読み取られるラインの順番を示す整数値である。また、「T」は、ノイズ周期の整数倍であり、ダミー期間を挿入する前に予め定められたシフト周期(以下では「基準シフト周期(間隔)」とよぶ)以上の最小値と、基準シフト周期と、の差分を示す値である。
【0064】
図示する例で説明すると、1ライン目の補正量α(1)については、読取制御部120は、「補正量α(1)=0」とし、ノイズ周期の整数倍であって基準シフト周期以上の最小値から、基準シフト周期を減算して「差分T」を求める。
【0065】
そして、2ライン目の補正量α(2)については、読取制御部120は、上記の数式(1)を用いて、補正量α(2)を決定する(α(2)=α(1)+T)。また、2ライン目以降の補正量αについても、同様に、上記の数式(1)を用いて、「3ライン目の補正量α(3)=2ライン目の補正量α(2)+T」、「4ライン目の補正量α(4)=3ライン目の補正量α(3)+T」、「5ライン目の補正量α(5)=4ライン目の補正量α(4)+T」を求めて、補正量αを決定する。
【0066】
ただし、補正量αがノイズ周期以上(補正量α≧ノイズ周期)となる場合には、数式(2)「補正量α(k)=前ラインの補正量α(k−1)+(差分T)−ノイズ周期」によって、補正量αを決定する。図示する例では、5ライン目の補正量α(5)については、数式(2)を用いて補正量αを決定している。
【0067】
そして、以上のように決定した補正量α分だけ、センサー読み出しの開始を遅らせることにより、各ラインの先頭位置(センサー読み出しの開始位置)に入るノイズの位相を一致させることができる。
【0068】
次に、読取制御部120は、処理をステップS103に移行して、センサー読み出しの開始位置を決定する処理を行う(ステップS103)。具体的には、読取制御部120は、ライン毎に、ステップS102で決定したオフセット補正量αに、ステップS101で決定したダミー期間を加えて、センサー読み出しの開始位置を決定する。
【0069】
それから、読取制御部120は、ステップS103で決定されたセンサー読み出しの開始位置に従って、原稿の読取制御を行う(ステップS104)。
【0070】
具体的には、読取制御部120は、ステップS103で決定されたセンサー読み出しの開始位置(タイミング)で、イメージセンサー220に対してシフトパルスを提供する。なお、シフトパルスをイメージセンサー220に対して提供するタイミングは、予め備えられたタイマー(タイミングジェネレーターなど)を用いて計ることができる。
【0071】
また、読取制御部120は、イメージセンサー220の読み取り動作に合わせて、LED光源210の赤色LED、緑色LED、青色LEDを同時に、所定時間、発光させる。
【0072】
また、読取制御部120は、イメージセンサー220に対して読み出しクロックの供給を行い、シフトレジスターに格納されている電荷をA/D変換部110へ出力させる。
【0073】
そして、シフトレジスターから出力された電気信号には、A/D変換部110までの転送中に、ノイズ強度が周期的に変化するノイズが入る。
【0074】
それから、A/D変換部110は、シフトレジスターから転送される電気信号から、予め定められている「読み出し時間」分の成分を抽出してデジタルデータに変換し、データ補正処理部130へ出力する。
【0075】
データ補正処理部130では、A/D変換部110から出力された1ライン分のデジタルデータを、記憶部140に格納する。
【0076】
図8は、以上のステップS104で読取制御部120がシフトパルスを出力するタイミング(センサー読み出しの開始タイミング)について、図6(C)の例1に示す例を用いて説明するための図である。なお、オフセット補正の補正量αについては省略している。
【0077】
例えば、1ライン目の読取制御では、ステップS101でノイズ周期を5分割した区間のうち1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が決定されている。そのため、図示するように、読取制御部120は、センサー読み出しの開始タイミングを変更せずに、基準となるタイミング(基準シフト周期に従ったタイミング)でシフトパルスをイメージセンサー220へ提供する。もちろん、図示していないが、オフセット補正される場合には、読取制御部120は、基準となるタイミングから、ステップS102で決定された補正量α分だけ遅らせてシフトパルスをイメージセンサー220へ提供する。
【0078】
また、2ライン目の読取制御では、ステップS101でノイズ周期を5分割した区間のうち4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が決定されている。そのため、図示するように、読取制御部120は、基準となるタイミング(基準シフト周期に従ったタイミング)から、ノイズ周期を5分割した場合の2区間分(オフセット補正される場合にはステップS102で決定された補正量αを加えた分)だけ遅らせて、シフトパルスをイメージセンサー220へ提供する。
【0079】
また、3ライン目の読取制御では、ステップS101でノイズ周期を5分割した区間のうち2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が決定されているため、図示するように、読取制御部120は、基準となるタイミング(基準シフト周期に従ったタイミング)から、ノイズ周期を5分割した場合の4区間分(オフセット補正される場合にはステップS102で決定された補正量αを加えた分)だけ遅らせて、シフトパルスをイメージセンサー220へ提供する。
【0080】
また、4ライン目の読取制御では、ステップS101でノイズ周期を5分割した区間のうち5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が決定されているため、図示するように、読取制御部120は、基準となるタイミング(基準シフト周期に従ったタイミング)から、ノイズ周期を5分割した場合の1区間分(オフセット補正される場合にはステップS102で決定された補正量αを加えた分)だけ遅らせて、シフトパルスをイメージセンサー220へ提供する。
【0081】
また、5ライン目の読取制御では、ステップS101でノイズ周期を5分割した区間のうち3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が決定されているため、図示するように、読取制御部120は、基準となるタイミング(基準シフト周期に従ったタイミング)から、ノイズ周期を5分割した場合の3区間分(オフセット補正される場合にはステップS102で決定された補正量αを加えた分)だけ遅らせて、シフトパルスをイメージセンサー220へ提供する。
【0082】
なお、ノイズ周期をn分割した区間のうちk番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにするためには、ダミー期間は「n−k+1」個の区間を合計した期間分に決定される。
【0083】
図9は、図8に示す読取制御によって画像が読み取られた場合における、1ライン目から5ライン目に入るノイズの強弱を示す図である。ただし、ノイズの強弱は、黒色の濃淡で表されている。図示するように、図8に示す読取制御によって読み取られた画像データでは、各ラインに入ったノイズのピーク位置は揃っておらず、ノイズが従来よりも目立たない。
【0084】
ところで、1ライン分の読取制御が終わると、読取制御部120は、処理をステップ105に移行する。そして、読取制御部120は、処理対象の画像データに含まれる全ラインについて読み取られたか否か判別する(ステップS105)。
【0085】
ここで、読取制御部120は、まだ全ラインについて読み取られていない場合には(ステップS105;No)、処理をステップS104に戻し、全ラインについての読み取りが終了するまでステップS104の処理を繰り返す。
【0086】
一方、全ラインについて読み取られた場合には(ステップS105;Yes)、読取制御部120は、本フローを終了する。本フロー終了後、データ補正処理部130は、記憶部140に格納された画像データに対して、シェーディング補正などの各種補正を施して、出力部150に出力する。そして、出力部150は、各種補正が施されたデジタルデータを、ホストコンピューターに送信する。
【0087】
以上の画像読取処理を行うことにより、本実施形態の画像読取装置50は、従来よりもノイズの目立たない画像データを読み取ることができる。
【0088】
なお、上記した各フローの各処理単位は、画像読取装置50を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。画像読取装置50が行う処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
【0089】
また、上記の実施形態は、本発明の要旨を例示することを意図し、本発明を限定するものではない。多くの代替物、修正、変形例は当業者にとって明らかである。
【0090】
例えば、以下に、カラー画像を読み取る場合の画像読取処理について説明する。
【0091】
<画像読取処理(カラー画像)>
カラー画像を読み取る場合には、読取制御部120は、RGBの色ごとに、シフトパルスをイメージセンサー220に提供する。そのため、読取制御部120は、ダミー期間とオフセットの補正量αについても、RGBの色ごとに決定する。
【0092】
例えば、ステップS101では、読取制御部120は、RGBの色ごとに、ノイズ周期を複数の区間に分割する。そして、読取制御部120は、同色内では、分割した区間数の連続する各ラインにおいて、それぞれノイズのピーク位置(或いはボトム位置)が存在する区間を異ならせる。すなわち、ノイズ周期をn区間に分割した場合には、分割した区間をs個(sは0からn−1までの整数)合計した期間をダミー期間とし、かつ、分割した区間数の連続する各ラインにおいて、合計する区間の個数sを、それぞれ異ならせる。これとともに、読取制御部120は、異色の対応するライン同士でも、ノイズのピーク位置(或いはボトム位置)が存在する区間を異ならせる。
【0093】
図10は、ノイズ周期を5区間に分割する場合において、各ラインにおけるノイズのピーク位置を、RGBの色別に示す図である。なお、太枠はピーク位置が存在する区間を表す。
【0094】
図示するように、R画像の読み取りにおいて、読取制御部120は、同色内で連続する5ラインにおいて、それぞれノイズのピーク位置が存在する区間を異ならせる。例えば、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの1ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの2ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの3ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの4ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの5ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。
【0095】
また、G画像の読み取りにおいても、読取制御部120は、同色内で連続する5ラインにおいて、それぞれノイズのピーク位置が存在する区間を異ならせる。これとともに、読取制御部120は、R画像において対応するラインと、ノイズのピーク位置が存在する区間を異ならせる。例えば、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの1ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。これは、R画像の1ライン目とG画像の1ライン目で、ノイズのピーク位置が異なるように決定されている。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの2ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。これは、R画像の2ライン目とG画像の2ライン目で、ノイズのピーク位置が異なるように決定されている。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの3ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。これは、R画像とG画像の3ライン目同士では、ノイズのピーク位置が一致してしまっている。本来は、例外なく、異色の対応するライン同士では、ノイズのピーク位置が存在する区間を異ならせるべきであるが、不可能な場合には、例外を認めるものとしている。このような場合には、後述するB画像の3ライン目のノイズピーク位置がR画像とG画像の3ライン目のノイズピーク位置と一致しないようにダミー期間を決定する。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの4ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。これは、R画像の4ライン目とG画像の4ライン目で、ノイズのピーク位置が異なるように決定されている。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの5ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。これは、R画像の5ライン目とG画像の5ライン目で、ノイズのピーク位置が異なるように決定されている。
【0096】
また、B画像の読み取りにおいても、読取制御部120は、同色内で連続する5ラインにおいて、それぞれノイズのピーク位置が存在する区間を異ならせる。これとともに、読取制御部120は、R画像とG画像において対応するラインと、ノイズのピーク位置が存在する区間を異ならせる。例えば、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの1ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。これは、R画像、G画像、B画像の全ての1ライン目で、ノイズのピーク位置がそれぞれ異なるように決定されている。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの2ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。これは、R画像、G画像、B画像の全ての2ライン目で、ノイズのピーク位置がそれぞれ異なるように決定されている。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの3ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。これは、先に述べたように、3ライン目においてR画像、G画像のノイズ位置は一致するものの、B画像とはノイズのピーク位置が異なるように決定されている。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの4ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。これは、R画像、G画像、B画像の全ての4ライン目で、ノイズのピーク位置がそれぞれ異なるように決定されている。また、読取制御部120は、連続する5ラインのうちの5ライン目の読み取りでは、5分割した区間のうち1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間を決定する。これは、R画像とB画像の5ライン目同士では、ノイズのピーク位置が異なるが、G画像とB画像の5ライン目同士では、ノイズのピーク位置が一致してしまっている。5ライン目についても本来は、例外なく、異色の対応するライン同士では、ノイズのピーク位置が存在する区間を異ならせるべきであるが、不可能な場合には、例外を認めるものとしている。
【0097】
それから、ステップS102では、読取制御部120は、上記のオフセット補正を、RGBの色ごとに行う。
【0098】
そして、ステップS103では、読取制御部120は、ステップS102で色ごとに決定したオフセット補正量αに、ステップS101で色ごとに決定したダミー期間を加えて、色ごとにセンサー読み出しの開始位置を決定する。
【0099】
さらに、ステップS104では、読取制御部120は、ステップS103で色ごとに決定されたセンサー読み出しの開始位置に従って、原稿の読取制御を行う。具体的には、読取制御部120は、ステップS103で色ごとに決定されたセンサー読み出しの開始位置(タイミング)で、イメージセンサー220に対してシフトパルスを提供する。
【0100】
もちろん、読取制御部120は、カラー画像を読み取る場合には、RGBの3色の光を所定の順序で、所定時間ずつ発生する。
【0101】
図11は、カラー画像を読み取る場合に、ステップS104で読取制御部120がシフトパルスを出力するタイミングについて、図10に示す例を用いて説明するための図である。なお、オフセット補正の補正量αについては省略している。
【0102】
例えば、1ライン目の読取制御では、R画像については、ステップS101でノイズ周期を5分割した区間のうち1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が決定されている。そのため、図示するように、読取制御部120は、R画像の読み取りについては、センサー読み出しの開始タイミングを変更せずに、基準となるタイミング(基準シフト周期に従ったタイミング)でシフトパルスをイメージセンサー220へ提供する。もちろん、図示していないが、オフセット補正される場合には、読取制御部120は、基準となるタイミングから、ステップS102で決定された補正量α分だけ遅らせてシフトパルスをイメージセンサー220へ提供する。
【0103】
また、G画像(1ライン目)については、ステップS101でノイズ周期を5分割した区間のうち3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が決定されている。そのため、図示するように、読取制御部120は、G画像の読み取りについては、基準となるタイミング(基準シフト周期に従ったタイミング)から、ノイズ周期を5分割した場合の3区間分(オフセット補正される場合にはステップS102で決定された補正量αを加えた分)だけ遅らせて、シフトパルスをイメージセンサー220へ提供する。
【0104】
また、B画像(1ライン目)については、ステップS101でノイズ周期を5分割した区間のうち4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が決定されている。そのため、図示するように、読取制御部120は、B画像の読み取りについては、基準となるタイミング(基準シフト周期に従ったタイミング)から、ノイズ周期を5分割した場合の2区間分(オフセット補正される場合にはステップS102で決定された補正量αを加えた分)だけ遅らせて、シフトパルスをイメージセンサー220へ提供する。
【0105】
なお、ノイズ周期をn分割した区間のうちk番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにするためには、モノクロの場合と同様に、ダミー期間は「n−k+1」区間分に決定される。
【0106】
以下、2ライン目、3ライン目、4ライン目、5ライン目についても、同様に、読取制御部120は、シフトパルスをイメージセンサー220へ提供するタイミングを変更する。なお、詳細については、図11に示される通りである。
【0107】
以上のように、上記実施形態の画像読取処理を変形することによって、本願の読取制御部120は、カラー画像を読み取る場合においても、従来よりもノイズの目立たない画像データを読み取ることができる。
【0108】
図12は、上記の変形例によって読み取られるカラー画像において、1ライン目から5ライン目に入るノイズの強弱を色ごとに示す図である。ただし、ノイズの強弱は、黒色の濃淡で表されている。図示するように、上記の変形例によって読み取られたカラー画像では、R画像、G画像、B画像の全ての画像において、同色内の各ラインに入ったノイズのピーク位置は揃っておらず、また、異色の対応するライン同士に入ったノイズのピーク位置は一致しない(例外を除く)ため、従来よりもノイズが目立たない。
【0109】
また、上記の実施形態や変形例では、読取制御部120は、ラインごと、或いは、色ごとに、固定のダミー期間をシフト周期に挿入している。しかし、本発明は、これに限定されない。例えば、読取制御部120は、シフト周期に挿入するダミー期間の長さを、ラインごと、或いは、色ごと(すなわち、挿入毎)にランダムに決定し、基準となるタイミング(基準シフト周期に従ったタイミング)から、ランダムに決定されたダミー期間(オフセット補正される場合にはステップS102で決定された補正量αを加えた分)だけ遅らせて、シフトパルスをイメージセンサー220へ提供する。
【0110】
また、上記実施形態では、モノクロ画像を読み取る場合のステップS101において、読取制御部120は、ノイズ周期を複数の区間(n区間)に分割し、その分割数n分の連続する各ラインについて、それぞれノイズのピーク位置(或いはボトム位置)が存在する区間を異ならせている。
【0111】
ただし、図6(A)〜(C)の右図等に示すように、ノイズ周期の分割数nを超えるラインを読み取る場合には、ダミー期間の挿入パターンは繰り返されることになる。
【0112】
そのため、読み取られたモノクロ画像(「モノクロ読み取り画像」ともいう)を所定の圧縮方式(例えば、ニアレストネイバー法)により圧縮すると、圧縮後のモノクロ画像データに入るノイズの強弱位置(ピーク位置およびボトム位置)が各ラインで揃ってしまうことがある。
【0113】
例えば、図13は、モノクロ読み取り画像をニアレストネイバー法により圧縮した場合において、ノイズの強弱位置が各ラインで揃ってしまう例を示す図である。左図は、圧縮前のモノクロ読み取り画像の例を示す図であり、右図は、圧縮後のモノクロ画像データの例を示す図である。なお、黒塗りのマス目は、ピーク位置が存在する区間を表す。
【0114】
左図に示すように、圧縮前のモノクロ読み取り画像では、連続する1ライン目から6ライン目までは、それぞれノイズのピーク位置が不揃いとなっている。すなわち、連続する6ラインのうちの1ライン目には、6分割した区間のうち1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入され、2ライン目には、4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入され、3ライン目には、2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入され、4ライン目には、5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入され、5ライン目には、3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入され、6ライン目には、6番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入されている。
【0115】
また、7ライン目以降については、上記の1ライン目から6ライン目までにダミー期間を挿入したパターンAが繰り返される。すなわち、(6×i−5)ライン目については、上記1ライン目と同様に、6分割した区間のうち1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入され、(6×i−4)ライン目については、上記2ライン目と同様に、4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入され、(6×i−3)ライン目については、上記3ライン目と同様に、2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入され、(6×i−2)ライン目については、上記4ライン目と同様に、5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入され、(6×i−1)ライン目については、上記5ライン目と同様に、3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入され、(6×i)ライン目については、上記6ライン目と同様に、6番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入されている。ただし、iは1以上の整数とする。
【0116】
こうして、図13の左図に示すようなモノクロ読み取り画像に対して、ニアレストネイバー法により6分の1に圧縮すると、(6×i−5)ライン目の画像が縦に並んでしまい、図13の右図に示すように、ノイズのピーク位置が縦に揃ってしまう。これでは、最終的に生成される画像データ(すなわち、圧縮後の画像データ)に含まれるノイズ成分が目立ってしまう。
【0117】
そこで、モノクロ読み取り画像を所定の圧縮方式(例えば、ニアレストネイバー法)により圧縮する場合には、読取制御部120は、連続する複数ラインをまとめてブロックとし、当該ブロックごとに、ダミー期間を挿入するパターンを異ならせるようにする。
【0118】
なお、ノイズ周期をn分割する場合には、nの整数倍(1倍も含む)分のラインをまとめてブロックとするのが好ましい。
【0119】
<モノクロ画像の例1>
図14は、モノクロ読み取り画像を圧縮する場合において、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせる第1の方法(例1)を示す図である。
【0120】
図示するように、第1の方法では、読取制御部120は、ダミー期間の挿入パターンを予め複数個(図示する例では、パターンA、パターンB、パターンC)用意しておき、その中から1つのパターンをランダムに選択して、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせる。
【0121】
例えば、1ライン目から6ライン目までは、上記のパターンAと同様にダミー期間が挿入され、7ライン目から12ライン目までは、上記パターンAとは異なるパターンBでダミー期間が挿入され、13ライン目から18ライン目までは、上記パターンAやパターンBとは異なるパターンCでダミー期間が挿入される。
【0122】
パターンBについてより具体的にみてみると、例えば、7ライン目については、6分割した区間のうちの3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、8ライン目については、1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、9ライン目については、5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、10ライン目については、2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、11ライン目については、6番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、12ライン目については、4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。なお、黒塗りのマス目は、ピーク位置が存在する区間を表す。
【0123】
こうして、7ライン目から12ライン目までのブロックに含まれるノイズのピーク位置をラインごとに異ならせることができ、これとともに、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせることもできる。
【0124】
また、パターンCについてより具体的にみてみると、例えば、13ライン目については、6分割した区間のうちの6番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、14ライン目については、3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、15ライン目については、5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、16ライン目については、1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、17ライン目については、4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、18ライン目については、2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。
【0125】
こうして、13ライン目から18ライン目までのブロックに含まれるノイズのピーク位置をラインごとに異ならせることができ、これとともに、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせることもできる。
【0126】
なお、図示する例では、最初のブロックに対してパターンAのダミー期間を挿入し、続くブロックに対して、パターンB、パターンCのダミー期間を挿入しているが、パターンの順序、パターンの個数はこれに限定されない。
【0127】
以上のようにダミー期間が挿入されて読み取られたモノクロ画像であれば、ニアレストネイバー法で圧縮される場合でも、図14の右図に示すように、ノイズのピーク位置を不揃いにすることができる。その結果、最終的に生成される画像データ(すなわち、圧縮後の画像データ)に含まれるノイズ成分を目立たなくすることができる。
【0128】
<モノクロ画像の例2>
次に、図15は、モノクロ読み取り画像を圧縮する場合において、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせる第2の方法(例2)を示す図である。
【0129】
図示するように、第2の方法では、読取制御部120は、ダミー期間の挿入パターンを予め1つ(図示する例では、パターンA)用意しておき、そのパターンに変更を加えることにより、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせる。
【0130】
例えば、1ライン目から6ライン目までは、上記のパターンAと同様にダミー期間が挿入され、7ライン目から12ライン目までは、上記パターンAのダミー期間をラインごとに所定量ずつシフトさせたパターンA’でダミー期間が挿入され、13ライン目から18ライン目までは、上記パターンA’のダミー期間をラインごとに所定量ずつシフトさせたパターンA’’でダミー期間が挿入される。
【0131】
パターンA’についてより具体的にみてみると、例えば、7ライン目については、1ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、7ライン目には、6分割した区間のうちの3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、8ライン目については、2ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、8ライン目には、6分割した区間のうちの6番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、9ライン目については、3ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、9ライン目には、6分割した区間のうちの4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、10ライン目については、4ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトする(ただし、右へシフトできない場合はn−2区間分左へシフトする)ようにダミー期間が挿入される。すなわち、10ライン目には、6分割した区間のうちの1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、11ライン目については、5ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、11ライン目には、6分割した区間のうちの5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、12ライン目については、6ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトする(ただし、右へシフトできない場合はn−2区間分左へシフトする)ようにダミー期間が挿入される。すなわち、12ライン目には、6分割した区間のうちの2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。なお、点線のマス目は、シフト前のピーク位置が存在する区間を表し、黒塗りのマス目は、シフト後のピーク位置が存在する区間を表す。また、nは、ノイズ周期の分割数を表す(図示する例では「n=6」)。
【0132】
こうして、7ライン目から12ライン目までのブロックに含まれるノイズのピーク位置をラインごとに異ならせることができ、これとともに、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせることもできる。
【0133】
また、パターンA’’についてより具体的にみてみると、例えば、13ライン目については、7ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、13ライン目には、6分割した区間のうちの5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、14ライン目については、8ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトする(ただし、右へシフトできない場合はn−2区間分左へシフトする)ようにダミー期間が挿入される。すなわち、14ライン目には、6分割した区間のうちの2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、15ライン目については、9ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、15ライン目には、6分割した区間のうちの6番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、16ライン目については、10ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、16ライン目には、6分割した区間のうちの3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、17ライン目については、11ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトする(ただし、右へシフトできない場合はn−2区間分左へシフトする)ようにダミー期間が挿入される。すなわち、17ライン目には、6分割した区間のうちの1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、18ライン目については、12ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、18ライン目には、6分割した区間のうちの4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。
【0134】
こうして、13ライン目から18ライン目までのブロックに含まれるノイズのピーク位置をラインごとに異ならせることができ、これとともに、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせることもできる。
【0135】
なお、図示する例では、最初のブロックに対してパターンAのダミー期間を挿入し、続くブロックに対して、パターンA’、パターンA’’のダミー期間を挿入しているが、パターンの個数はこれに限定されない。
【0136】
以上のようにダミー期間が挿入されて読み取られたモノクロ画像であれば、ニアレストネイバー法で圧縮される場合でも、図15の右図に示すように、ノイズのピーク位置を不揃いすることができる。その結果、最終的に生成される画像データ(すなわち、圧縮後の画像データ)に含まれるノイズ成分を目立たなくすることができる。さらに、上記第1の方法と比較して、予め用意しておく挿入パターンの個数を減らすことができるため、挿入パターンを記憶しておくために用意される記憶領域の容量を抑えることができる。
【0137】
<モノクロ画像の例3>
次に、図16は、モノクロ読み取り画像を圧縮する場合において、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせる第3の方法(例3)を示す図である。
【0138】
図示するように、第3の方法においても、第2の方法と同様に、読取制御部120は、ダミー期間の挿入パターンを予め1つ(図示する例では、パターンA)用意しておき、そのパターンに変更を加えることにより、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせる。
【0139】
ただし、第3の方法では、ラインごとにノイズのピーク位置はランダムに(乱数で求まる量ずつ)シフトされる。
【0140】
例えば、1ライン目から6ライン目までは、上記のパターンAと同様にダミー期間が挿入され、7ライン目から12ライン目までは、上記パターンAのダミー期間をラインごとにランダムにシフトさせたパターンA’でダミー期間が挿入され、13ライン目から18ライン目までは、上記パターンAまたは上記パターンA’のダミー期間をラインごとにランダムにシフトさせたパターンA’’でダミー期間が挿入される。
【0141】
パターンA’についてより具体的にみてみると、例えば、7ライン目については、1ライン目のノイズのピーク位置が4区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、7ライン目には、6分割した区間のうちの5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、8ライン目については、2ライン目のノイズのピーク位置が3区間分右へシフトする(ただし、右へシフトできない場合はn−3区間分左へシフトする)ようにダミー期間が挿入される。すなわち、8ライン目には、6分割した区間のうちの1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、9ライン目については、3ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、9ライン目には、6分割した区間のうちの4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、10ライン目については、4ライン目のノイズのピーク位置が1区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、10ライン目には、6分割した区間のうちの3番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、11ライン目については、5ライン目のノイズのピーク位置が3区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、11ライン目には、6分割した区間のうちの6番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、12ライン目については、6ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトする(ただし、右へシフトできない場合はn−2区間分左へシフトする)ようにダミー期間が挿入される。すなわち、12ライン目には、6分割した区間のうちの2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。なお、点線のマス目は、シフト前のピーク位置が存在する区間を表し、黒塗りのマス目は、シフト後のピーク位置が存在する区間を表す。また、nは、ノイズ周期の分割数を表す(図示する例では「n=6」)。
【0142】
こうして、7ライン目から12ライン目までのブロックに含まれるノイズのピーク位置をラインごとに異ならせることができ、これとともに、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせることもできる。
【0143】
また、パターンA’’についてより具体的にみてみると、例えば、13ライン目については、7ライン目のノイズのピーク位置が1区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、13ライン目には、6分割した区間のうちの6番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、14ライン目については、8ライン目のノイズのピーク位置が3区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、14ライン目には、6分割した区間のうちの4番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、15ライン目については、9ライン目のノイズのピーク位置が5区間分右へシフトする(ただし、右へシフトできない場合はn−5区間分左へシフトする)ようにダミー期間が挿入される。すなわち、15ライン目には、6分割した区間のうちの1番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、16ライン目については、10ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、16ライン目には、6分割した区間のうちの5番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、17ライン目については、11ライン目のノイズのピーク位置が2区間分右へシフトする(ただし、右へシフトできない場合はn−2区間分左へシフトする)ようにダミー期間が挿入される。すなわち、17ライン目には、6分割した区間のうちの2番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。また、18ライン目については、12ライン目のノイズのピーク位置が4区間分右へシフトするようにダミー期間が挿入される。すなわち、18ライン目には、6分割した区間のうちの6番目の区間にノイズのピーク位置がくるようにダミー期間が挿入される。
【0144】
こうして、13ライン目から18ライン目までのブロックに含まれるノイズのピーク位置をラインごとに異ならせることができ、これとともに、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせることもできる。
【0145】
なお、図示する例では、最初のブロックに対してパターンAのダミー期間を挿入し、続くブロックに対して、パターンA’、パターンA’’のダミー期間を挿入しているが、パターンの個数はこれに限定されない。
【0146】
以上のようにダミー期間が挿入されて読み取られたモノクロ画像であれば、ニアレストネイバー法で圧縮される場合でも、図16の右図に示すように、ノイズのピーク位置を不揃いすることができる。その結果、最終的に生成される画像データ(すなわち、圧縮後の画像データ)に含まれるノイズ成分を目立たなくすることができる。さらに、上記第1の方法と比較して、予め用意しておく挿入パターンの個数を減らすことができるため、挿入パターンを記憶しておくために用意される記憶領域の容量を抑えることができる。また、ダミー期間のシフト量をランダムに決定しているため、上記第2の方法よりも、圧縮後の画像データに含まれるノイズ成分を目立たなくすることができる場合がある。
【0147】
<カラー画像の例1>
また、カラー画像を読み取る場合においても、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせることもできる。
【0148】
例えば、カラー画像を読み取る場合のステップS101では、読取制御部120は、RGBの色ごとに、ノイズ周期を複数の区間(n区間)に分割する。そして、読取制御部120は、同色内では、モノクロ読み取り画像の場合と同様に、連続する複数ラインをまとめてブロックとし、当該ブロックごとに、ダミー期間を挿入するパターンを異ならせる。これとともに、読取制御部120は、各色(異色)の対応するブロック同士でも、ダミー期間を挿入するパターンを異ならせる。
【0149】
図17は、各色の対応するブロック同士で、ダミー期間の挿入パターンを異ならせる第1の方法(例1)を示す図である。なお、太枠はピーク位置が存在する区間を表す。
【0150】
図示するように、R画像の読み取りについては、読取制御部120は、上記第1の方法によって、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせる。すなわち、R画像の読み取りについては、読取制御部120は、ダミー期間の挿入パターンを予め複数個(図示する例では、パターンA、パターンB、パターンC)用意しておき、その中から1つのパターンをランダムに選択して、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせる。
【0151】
また、G画像の読み取りについては、読取制御部120は、R画像において対応するブロックとは異なるパターンでダミー期間を挿入する。例えば、図示するように、R画像の1ライン目から6ライン目までのブロックにパターンAのダミー期間が挿入された場合、G画像の1ライン目から6ライン目までのブロックには、パターンAとは異なるパターンBのダミー期間が挿入される。また、R画像の7ライン目から12ライン目までのブロックにパターンBのダミー期間が挿入された場合、G画像の7ライン目から12ライン目までのブロックには、パターンBとは異なるパターンCのダミー期間が挿入される。また、R画像の13ライン目から18ライン目までのブロックにパターンCのダミー期間が挿入された場合、G画像の13ライン目から18ライン目までのブロックには、パターンCとは異なるパターンAのダミー期間が挿入される。
【0152】
同様に、B画像の読み取りについては、読取制御部120は、R画像およびG画像において対応するブロックとは異なるパターンでダミー期間を挿入する。例えば、図示するように、R画像とG画像の1ライン目から6ライン目までのブロックにパターンAとパターンBのダミー期間が挿入された場合、B画像の1ライン目から6ライン目までのブロックには、パターンA、パターンBとは異なるパターンCのダミー期間が挿入される。また、R画像とG画像の7ライン目から12ライン目までのブロックにパターンBとパターンCのダミー期間が挿入された場合、B画像の7ライン目から12ライン目までのブロックには、パターンB、パターンCとは異なるパターンAのダミー期間が挿入される。また、R画像とG画像の13ライン目から18ライン目までのブロックにパターンCとパターンAのダミー期間が挿入された場合、B画像の13ライン目から18ライン目までのブロックには、パターンC、パターンAとは異なるパターンBのダミー期間が挿入される。
【0153】
以上のようにダミー期間が挿入されて読み取られたカラー画像(すなわち、対応する領域にある各色のブロックについては、色ごとに、ダミー期間の挿入パターンが異なる画像)であれば、ニアレストネイバー法で圧縮される場合でも、R画像、G画像、B画像の全ての画像において、対応するライン同士に入ったノイズのピーク位置はほぼ一致しなくなる。その結果、最終的に生成される画像データ(すなわち、圧縮後のカラー画像データ)に含まれるノイズ成分を目立たなくすることができる。
【0154】
<カラー画像の例2>
また、R画像におけるダミー期間の挿入パターンに変更を加えて、G画像、B画像でのダミー期間の挿入パターンを決定してもよい。
【0155】
図18は、各色の対応するブロック同士で、ダミー期間の挿入パターンを異ならせる第2の方法(例2)を示す図である。
【0156】
図示するように、R画像の読み取りについては、読取制御部120は、上記第1の方法によって、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせる。すなわち、R画像の読み取りについては、読取制御部120は、ダミー期間の挿入パターンを予め複数個(図示する例では、パターンA、パターンB、パターンC)用意しておき、その中から1つのパターンをランダムに選択して、ブロックごとにダミー期間の挿入パターンを異ならせる。
【0157】
また、G画像の読み取りについては、読取制御部120は、図示するように、R画像の1ライン目から6ライン目までのブロックにパターンAのダミー期間が挿入された場合、G画像の1ライン目から6ライン目までのブロックには、パターンAのダミー期間をラインごとに所定量(例えば、2区間分)ずつシフトさせたパターンA’でダミー期間が挿入される。また、R画像の7ライン目から12ライン目までのブロックにパターンBのダミー期間が挿入された場合、G画像の7ライン目から12ライン目までのブロックには、パターンBのダミー期間をラインごとに所定量(例えば、2区間分)ずつシフトさせたパターンB’でダミー期間が挿入される。また、R画像の13ライン目から18ライン目までのブロックにパターンCのダミー期間が挿入された場合、G画像の13ライン目から18ライン目までのブロックには、パターンCのダミー期間をラインごとに所定量(例えば、2区間分)ずつシフトさせたパターンC’でダミー期間が挿入される。
【0158】
同様に、B画像の読み取りについては、読取制御部120は、図示するように、G画像の1ライン目から6ライン目までのブロックにパターンA’のダミー期間が挿入された場合、B画像の1ライン目から6ライン目までのブロックには、パターンA’のダミー期間をラインごとに所定量(例えば、2区間分)ずつシフトさせたパターンA’’でダミー期間が挿入される。また、G画像の7ライン目から12ライン目までのブロックにパターンB’のダミー期間が挿入された場合、B画像の7ライン目から12ライン目までのブロックには、パターンB’のダミー期間をラインごとに所定量(例えば、2区間分)ずつシフトさせたパターンB’’でダミー期間が挿入される。また、G画像の7ライン目から12ライン目までのブロックにパターンC’のダミー期間が挿入された場合、B画像の7ライン目から12ライン目までのブロックには、パターンC’のダミー期間をラインごとに所定量(例えば、2区間分)ずつシフトさせたパターンC’’でダミー期間が挿入される。
【0159】
以上のようにダミー期間が挿入されて読み取られたカラー画像であれば、ニアレストネイバー法で圧縮される場合でも、R画像、G画像、B画像の全ての画像において、対応するライン同士に入ったノイズのピーク位置はほぼ一致しなくなる。その結果、最終的に生成される画像データ(すなわち、圧縮後のカラー画像データ)に含まれるノイズ成分を目立たなくすることができる。また、ダミー期間をシフトさせているため、上記カラー画像の例1よりも、ダミー期間の挿入パターンを多様にできるため、圧縮後の画像データに含まれるノイズ成分を目立たなくすることができる場合がある。
【0160】
なお、上記の実施形態や変形例では説明していないが、上記のノイズ周期や基準シフト周期は、予め不図示の記憶装置に格納されており、読取制御部120は、適宜、記憶装置からノイズ周期や基準シフト周期を読み出して、上記の各種演算を行うものとする。
【0161】
また、ダミー期間の挿入パターン(パターンA、パターンB、パターンC)についても、予め不図示の記憶装置に格納されており、読取制御部120は、適宜、記憶装置から挿入パターンを読み出して、上記の各種演算を行うものとする。
【符号の説明】
【0162】
50・・・画像読取装置、100・・・コントローラー、110・・・A/D変換部、120・・・読取制御部、130・・・データ補正処理部、140・・・記憶部、150・・・出力部、200・・・キャリッジ、210・・・LED光源、220・・・イメージセンサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
光電変換素子に蓄積された電荷を、シフトゲートを介してシフトレジスターへ転送するイメージセンサーと、
前記光電変換素子から電荷を転送するシフト周期にダミー期間を挿入することにより、センサー読み出しの開始タイミングをラインごとにずらし、読み出された画像に含まれるノイズのピーク位置をラインごとに異ならせる読取制御部と、を備え、
前記読取制御部は、
連続する複数ラインをまとめてブロックとし、当該ブロックごとに、前記ダミー期間を挿入するパターンを異ならせる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記読取制御部は、
前記ノイズの1周期をn個(nは2以上の整数)の区間に分割し、当該分割した区間をs個(sは0からn−1までの整数)合計した期間を前記ダミー期間とし、かつ、前記ブロック内の連続する各ラインにおいてそれぞれ前記sの数を異ならせ、
前記ブロックに含まれるライン数は、前記nの整数倍とし、当該ブロックごとに、前記ダミー期間を挿入するパターンを異ならせる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像読取装置であって、
前記読取制御部は、
カラー画像の読み取りを行う場合には、色ごとに、連続する複数ラインをまとめてブロックとし、
対応する領域にある各色のブロックについては、色ごとに、前記ダミー期間を挿入するパターンを異ならせる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置であって、
前記読取制御部は、
予め用意された複数のパターンから1つのパターンを選択することにより、ブロックごとに、前記ダミー期間を挿入するパターンを異ならせる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置であって、
前記読取制御部は、
予め用意された1つのパターンに変更を加えることにより、ブロックごとに、前記ダミー期間を挿入するパターンを異ならせる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像読取装置であって、
前記読取制御部は、
予め用意された1つのパターンについて、センサー読み出しの開始タイミングをラインごとに所定量ずつシフトさせ、ブロックごとに、前記ダミー期間を挿入するパターンを異ならせる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項5に記載の画像読取装置であって、
前記読取制御部は、
予め用意された1つのパターンについて、センサー読み出しの開始タイミングをラインごとに乱数で求まる量ずつシフトさせ、ブロックごとに、前記ダミー期間を挿入するパターンを異ならせる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
光源と、
光電変換素子に蓄積された電荷を、シフトゲートを介してシフトレジスターへ転送するイメージセンサーと、
前記光電変換素子から電荷を転送するシフト周期にダミー期間を挿入することにより、センサー読み出しの開始タイミングをラインごとにずらし、読み出された画像に含まれるノイズのピーク位置をラインごとに異ならせる読取制御部と、
を備える画像読取装置における画像読取方法であって、
前記読取制御部は、
連続する複数ラインをまとめてブロックとするステップと、
前記ブロックごとに、前記ダミー期間を挿入するパターンを異ならせるステップと、を行う、
ことを特徴とする画像読取方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−90245(P2013−90245A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230999(P2011−230999)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】