説明

画像読取装置およびメモリーチェック方法

【課題】 装置の起動時における処理開始に遅延が発生する可能性を低減する。
【解決手段】 画像読取装置において、CPU6は、プログラムに従って動作し、汎用の標準メモリー1のメモリーチェックの完了後に、システム起動に並行して、オプションメモリー2のメモリーチェックをメモリーチェック装置7に実行させ、オプションメモリー2のメモリーチェックの完了後に、スキャンメモリー3のメモリーチェックをメモリーチェック装置7に実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置およびメモリーチェック方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、起動時にRAM(Random Access Memory)に対してメモリーチェックが実行される(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、メモリーの一部領域のメモリーチェックが完了すると、オペレーティングシステムが起動し、システムの初期化と、残りの領域のメモリーチェックとが並行して実行される。
【0004】
また、特許文献2に記載の技術では、標準メモリーのメモリーチェックが完了すると、システムの立ち上げと、オプションメモリーのメモリーチェックとが並行して実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−140920号公報
【特許文献2】特開2004−355569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像読取装置には、画像読取に関するデータ専用のスキャンメモリーが搭載されているものがある。
【0007】
このように、汎用のメモリーとは別に特定用途のスキャンメモリーが存在する場合、特許文献2に記載の技術のようにしてスキャンメモリーのメモリーチェックを実行することが考えられる。この場合において、オプションメモリーが増設されていると、オプションメモリーとスキャンメモリーのメモリーチェックを実行する必要がある。
【0008】
オプションメモリーおよびスキャンメモリーのメモリーチェックを並行に実行させる場合、システム起動が完了しても、オプションメモリーおよびスキャンメモリーのメモリーチェックがエラーなく完了するまで、オプションメモリーおよびスキャンメモリーのいずれかを使用する処理を開始できない。特に、オプションメモリーは汎用に使用されるメモリーであるため、処理開始に遅延が発生する可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、装置の起動時における処理開始に遅延が発生する可能性を低減することができる画像読取装置およびメモリーチェック方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0011】
本発明に係る画像読取装置は、汎用の標準メモリーと、増設される汎用のオプションメモリーと、画像読取時に使用されるスキャンメモリーと、標準メモリー、オプションメモリーおよびスキャンメモリーのメモリーチェックを行うメモリーチェック装置と、標準メモリーのメモリーチェックの完了後に、システム起動に並行して、オプションメモリーのメモリーチェックをメモリーチェック装置に実行させ、オプションメモリーのメモリーチェックの完了後に、スキャンメモリーのメモリーチェックをメモリーチェック装置に実行させる演算処理装置とを備える。
【0012】
これにより、オプションメモリーのメモリーチェックが完了した後は、オプションメモリーを使用する処理を、スキャンメモリーのメモリーチェックに並行して実行することができるため、装置の起動時における処理開始に遅延が発生する可能性を低減することができる。
【0013】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、演算処理装置は、標準メモリーのメモリーチェックの完了後に、オプションメモリーのメモリーチェックに並列して標準メモリーへのカーネル転送を行い、オプションメモリーのメモリーチェックの完了後に、スキャンメモリーのメモリーチェックに並列してアプリケーションの初期化を行う。
【0014】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の画像読取装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、演算処理装置は、ブートローダーおよびシステムとして動作する。ブートローダーは、標準メモリーのメモリーチェックの完了後に標準メモリーへのカーネル転送を行い、システムは、カーネルを含み、スキャンメモリーのメモリーチェックに並列してアプリケーションの初期化を行う。
【0015】
本発明に係るメモリーチェック方法は、汎用の標準メモリーのメモリーチェックの完了後に、システム起動に並行して、増設される汎用のオプションメモリーのメモリーチェックを実行するステップと、オプションメモリーのメモリーチェックの完了後に、システム起動に並行して、画像読取時に使用されるスキャンメモリーのメモリーチェックを実行するステップとを備える。
【0016】
これにより、オプションメモリーのメモリーチェックが完了した後は、オプションメモリーを使用する処理を、スキャンメモリーのメモリーチェックに並行して実行することができるため、装置の起動時における処理開始に遅延が発生する可能性を低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像読取装置などの装置の起動時における処理開始に遅延が発生する可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す画像読取装置の起動時の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の構成を示すブロック図である。図1において、標準メモリー1は、システムにより各種処理に使用される汎用のRAMである。オプションメモリー2は、増設スロットなどに増設された各種処理に使用される汎用のRAMである。スキャンメモリー3は、スキャナー8による画像読取時に使用されるRAMである。スキャンメモリー3には、画像読取に関するデータ以外のデータは記憶されない。
【0021】
この実施の形態では、標準メモリー1、オプションメモリー2、およびスキャンメモリー3に対するデータの読み書きは、バス4を介して行われる。なお、バス4を使用せずに、メモリーコントローラーなどを使用して各メモリー1,2,3に対してデータの読み書きを直接行うようにしてもよい。
【0022】
記憶装置5は、各種プログラムを記憶している不揮発性メモリーなどの記憶装置である。記憶装置5には、ブートプログラム11、システムプログラム12、およびアプリケーションプログラム13が記憶されている。
【0023】
CPU(Central Processing Unit)6は、プログラムに従って各種処理を実行する演算処理装置である。CPU6は、標準メモリー1のメモリーチェックの完了後に、システム起動に並行して、オプションメモリー2のメモリーチェックをメモリーチェック装置7に実行させ、オプションメモリー2のメモリーチェックの完了後に、スキャンメモリー3のメモリーチェックをメモリーチェック装置7に実行させる。
【0024】
CPU6は、ブートプログラム11を実行することでブートローダーとして動作し、システムプログラム12を実行することでシステムとして動作する。ブートローダーは、標準メモリー1のメモリーチェックの完了後に標準メモリー1へのカーネル転送を行う。カーネルは、システムプログラム12の一部である。システムは、そのカーネルを含み、スキャンメモリー3のメモリーチェックに並列して、アプリケーションプログラム13によるアプリケーションの初期化を行う。アプリケーションの初期化は、例えば、アプリケーションプログラム13の実行開始、アプリケーションプログラム13のイベントハンドラーの登録などである。
【0025】
メモリーチェック装置7は、バス4を介して検査データの読み書きを行うことにより、標準メモリー1、オプションメモリー2、およびスキャンメモリー3のメモリーチェックを行う装置である。
【0026】
スキャナー8は、原稿の画像を読み取り、その画像の画像データを生成して出力する内部デバイスである。スキャナー8により出力される画像データは、スキャンメモリー3に記憶される。
【0027】
次に、上記画像読取装置の起動時の動作について説明する。図2は、図1に示す画像読取装置の起動時の動作について説明するフローチャートである。
【0028】
当該装置の電源がオンされると、CPU6は、ブートプログラム11を記憶装置5から読み出して実行する。CPU6は、まず、ブートプログラム11に従って、CPU6、デバイスコントローラーなどのハードウェアの初期化を行い(ステップS1)、その後、メモリーチェック装置7にコマンドを供給して、標準メモリー1のメモリーチェックを実行させる(ステップS2)。
【0029】
メモリーチェック装置7は、標準メモリー1のメモリーチェックが終了すると、チェック結果(エラーなしまたはエラー検出)をCPU6に供給する。CPU6は、ブートプログラム11に従って、そのチェック結果に基づいて、標準メモリー1でエラーが検出されたか否かを判定し(ステップS3)、標準メモリー1でエラーが検出されなかった場合、オプションメモリー2が装着されているか否かを判定する(ステップS4)。
【0030】
オプションメモリー2が装着されている場合、CPU6は、ブートプログラム11に従って、メモリーチェック装置7にコマンドを供給して、オプションメモリー2のメモリーチェックを開始させた後(ステップS5)、記憶装置5から標準メモリー1へのカーネル転送を、オプションメモリー2のメモリーチェックに並行して実行する(ステップS6)。
【0031】
メモリーチェック装置7は、オプションメモリー2のメモリーチェックが終了すると、チェック結果(エラーなしまたはエラー検出)をCPU6に供給する。
【0032】
カーネル転送などの処理が完了すると、CPU6は、ブートプログラム11に従って、メモリーチェック装置7からのチェック結果を待ち(ステップS7)、チェック結果を受け付けると、そのチェック結果に基づいて、オプションメモリー2でエラーが検出されたか否かを判定する(ステップS8)。
【0033】
一方、オプションメモリー2が装着されていない場合、CPU6は、ブートプログラム11に従って、記憶装置5から標準メモリー1へのカーネル転送を実行する(ステップS6a)。
【0034】
オプションメモリー2が装着されていない場合、あるいはオプションメモリー2でエラーが検出されなかった場合、その後、CPU6は、ブートプログラム11に従って、システムプログラム12の残りを標準メモリー1に展開する(ステップS9)。なお、この実施の形態では、オプションメモリー2のメモリーチェックの終了後に、システムプログラム12の残りを標準メモリー1に展開しているが、その代わりに、カーネル転送の完了時に、オプションメモリー2のメモリーチェックが終了していなければ、標準メモリー1へのシステムプログラム12の残りの展開をただちに開始してもよい。
【0035】
そして、システムプログラム12の展開が完了すると、CPU6は、システムプログラム12の実行を開始し、スキャンメモリー3が装着されているか否かを判定する(ステップS10)。
【0036】
スキャンメモリー3が装着されている場合、CPU6は、システムプログラム12に従って、メモリーチェック装置7にコマンドを供給して、スキャンメモリー3のメモリーチェックを開始させた後(ステップS11)、アプリケーションプログラム13によるアプリケーションの初期化を、スキャンメモリー3のメモリーチェックに並行して実行する(ステップS12)。
【0037】
メモリーチェック装置7は、スキャンメモリー3のメモリーチェックが終了すると、チェック結果(エラーなしまたはエラー検出)をCPU6に供給する。
【0038】
アプリケーションの初期化が完了すると、CPU6は、システムプログラム12に従って、メモリーチェック装置7からのチェック結果を待ち(ステップS13)、チェック結果を受け付けると、そのチェック結果に基づいて、スキャンメモリー3でエラーが検出されたか否かを判定する(ステップS14)。
【0039】
一方、スキャンメモリー3が装着されていない場合、CPU6は、システムプログラム12に従ってアプリケーションの初期化を実行する(ステップS12a)。
【0040】
スキャンメモリー3が装着されていない場合、あるいはスキャンメモリー3でエラーが検出されなかった場合、その後、CPU6は、システムプログラム12に従って、システム起動通知を図示せぬ操作パネルなどに表示させる(ステップ15)。これにより、システム起動が完了する。
【0041】
一方、ステップS3、ステップS8、またはステップS14においてエラーが検出された場合、CPU6は、エラー通知を図示せぬ操作パネルなどに表示させ、システム起動を中止する(ステップ16)。
【0042】
以上のように、上記実施の形態によれば、CPU6は、汎用の標準メモリー1のメモリーチェックの完了後に、システム起動に並行して、オプションメモリー2のメモリーチェックをメモリーチェック装置7に実行させ、その後、スキャンメモリー3のメモリーチェックをメモリーチェック装置7に実行させる。
【0043】
これにより、オプションメモリー2のメモリーチェックが完了した後は、オプションメモリー2を使用する処理をスキャンメモリー3のメモリーチェックに並行して実行することができるため、装置の起動時における処理開始に遅延が発生する可能性を低減することができる。
【0044】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば、画像読取装置、複合機などに適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 標準メモリー
2 オプションメモリー
3 スキャンメモリー
6 CPU(演算処理装置の一例)
7 メモリーチェック装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汎用の標準メモリーと、
増設される汎用のオプションメモリーと、
画像読取時に使用されるスキャンメモリーと、
前記標準メモリーおよび前記スキャンメモリーのメモリーチェックを行うメモリーチェック装置と、
前記標準メモリーのメモリーチェックの完了後に、システム起動に並行して、前記オプションメモリーのメモリーチェックを前記メモリーチェック装置に実行させ、前記オプションメモリーのメモリーチェックの完了後に、前記スキャンメモリーのメモリーチェックを前記メモリーチェック装置に実行させる演算処理装置と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記演算処理装置は、前記標準メモリーのメモリーチェックの完了後に、前記オプションメモリーのメモリーチェックに並列して前記標準メモリーへのカーネル転送を行い、前記オプションメモリーのメモリーチェックの完了後に、前記スキャンメモリーのメモリーチェックに並列してアプリケーションの初期化を行うことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記演算処理装置は、ブートローダーおよびシステムとして動作し、
前記ブートローダーは、前記標準メモリーのメモリーチェックの完了後に前記標準メモリーへのカーネル転送を行い、
前記システムは、前記カーネルを含み、前記スキャンメモリーのメモリーチェックに並列してアプリケーションの初期化を行うこと、
を特徴とする請求項1または請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
汎用の標準メモリーのメモリーチェックの完了後に、システム起動に並行して、増設される汎用のオプションメモリーのメモリーチェックを実行するステップと、
前記オプションメモリーのメモリーチェックの完了後に、システム起動に並行して、画像読取時に使用されるスキャンメモリーのメモリーチェックを実行するステップと、
を備えることを特徴とするメモリーチェック方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−178087(P2012−178087A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41163(P2011−41163)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】