説明

画像読取装置および画像読取装置を備えた画像形成装置

【課題】自動原稿搬送装置を使用して原稿の画像を読み取る際に、自動原稿搬送装置と第2読取面の位置合わせをすることができる画像読取装置および当該画像読取装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置は、原稿台31と、開閉可能なカバー32と、カバー32に設けられる自動原稿搬送装置3Bと、原稿を載置することができる第1位置と、第1位置と異なる位置にある第2位置との間を変位可能な載置トレイ332と、カバー32に設けられ、下面332から原稿台31へ向けて突出した突出位置と、下面332から突出していない退避位置とに移動可能に構成される突出部材100と、原稿台31に設けられる位置決め穴313と、を備えている。突出部材100は、カバー32が閉じた状態で、載置トレイ332が第2位置から第1位置へ変位するのに連動して、退避位置から突出位置に移動し、位置決め穴313に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置と、当該画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像読取装置として、フラットベッドスキャナと自動原稿搬送装置ADF(Auto Document Feeder)を備えたものが知られている。フラットベッドスキャナは、原稿台ガラス(第1読取面)上に載置された原稿を、原稿台ガラスとカバーで挟み、原稿台ガラスの下面に沿ってイメージセンサが走査することで、原稿の画像を読み取ることができるようになっている。自動原稿搬送装置ADFは、フラットベッドスキャナのカバーに設けられており、下面にイメージセンサが配置されているADF読取部(第2読取面)に複数の原稿を順次搬送することで、複数の原稿の画像を連続して読み取ることができるようになっている。
【0003】
ところで、自動原稿搬送装置ADFは、ADF読取部に対して開閉するカバーに設けられており、カバーを開閉することで自動原稿搬送装置ADFとADF読取部との位置がずれてしまい、画像を正確に読みとれないおそれがあるため、使用時には、自動原稿搬送装置ADFとADF読取部との位置決めを行う必要がある。そこで、従来、フラットベッドスキャナと自動原稿搬送装置ADFを備えた画像読取装置として、原稿台ガラス上の原稿の有無を、センサを用いて検知し、原稿台ガラス上に原稿がない場合は、自動原稿搬送装置ADFを使用すると判断して、ソレノイドを用いて自動原稿搬送装置ADFが設けられているカバーとADF読取部との位置決めを行っているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−200400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術では、フラットベッドスキャナを使用したユーザが原稿台ガラス上に原稿を置き忘れたり、自動原稿搬送装置ADFを使用するユーザが一時的に原稿を原稿台ガラス上に置いていたりするときなど、原稿台ガラス上に原稿を置いた状態で自動原稿搬送装置ADFを使用して画像を読み取るときに、自動原稿搬送装置ADFとADF読取部の位置合わせができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、自動原稿搬送装置ADFを使用して原稿の画像を読み取るときに、自動原稿搬送装置ADFとADF読取部との位置合わせをより確実に行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明の画像読取装置は、載置された原稿の画像を読み取る第1読取面を有する画像読取部と、第1読取面の上方を覆う開閉可能なカバーと、カバーに設けられ、所定の経路で原稿を搬送する自動原稿搬送装置と、画像読取部に設けられ、自動原稿搬送装置によって搬送される原稿の画像を読み取る第2読取面と、原稿を載置することができる第1位置と、第1位置と異なる位置にある第2位置との間を変位可能となるように自動原稿搬送装置に支持される載置トレイと、突出部材と、位置決め部と、を備えている。
突出部材は、カバーおよび画像読取部の一方に設けられ、他方に対向する対向面から他方へ向けて突出した突出位置と、対向面から突出していない退避位置とに移動可能に構成される。
位置決め部は、他方に設けられ、突出部材が挿入される構成になっている。
そして、突出部材は、カバーが閉じた状態で、載置トレイが第2位置から第1位置へ変位するのに連動して、退避位置から突出位置に移動し、位置決め部に挿入されることを特徴とする。
【0008】
このように構成された画像読取装置によれば、載置トレイの開閉に連動して突出部材が突出するので、自動原稿搬送装置を使用するときに自動原稿搬送装置を第2読取面に対して位置決めすることができる。
【0009】
そして、前記した画像読取装置において、自動原稿搬送装置は、自動原稿搬送装置内に原稿を給紙するための第1開口と、自動原稿搬送装置内の原稿を自動原稿搬送装置外に排紙するための第2開口と、を有し、第1開口と第2開口は、上下方向において異なる位置に配置され、載置トレイは、第1開口および第2開口のいずれか上方に設けられている方に隣接して設けられているのが望ましい。
【0010】
このように構成された画像読取装置によれば、上方に配置される開口の方が原稿を載置するための面積が小さくなりやすいので、載置トレイを第2位置から第1位置へ変位させて原稿を載置するための面積を広くさせないと、自動原稿搬送装置が使用しにくいため、自動原稿搬送装置を使用するときに、より確実に自動原稿搬送装置を第2読取面に対して位置決めすることができる。
【0011】
また、前記した画像読取装置において、突出部材は、画像読取部に設けられ、載置トレイを第2位置から第1位置に変位させたときに、載置トレイに押圧されることによって、退避位置から突出位置へ移動するのが望ましい。
【0012】
このように構成された画像読取装置によれば、突出部材が、電気的制御によって退避位置から突出位置へ移動するように構成されている場合に比べて、自動原稿搬送装置を第2読取面に対して位置決めする機構を簡単な構成とすることができる。
【0013】
そして、前記した画像読取装置において、突出部材は、棒状に形成されており、カバーは、突出部材を、カバーが閉じた状態で、カバーと画像読取部が対向する方向にスライド移動可能に保持する保持部を有しているのが望ましい。
【0014】
このように構成された画像読取装置によれば、自動原稿搬送装置を第2読取面に対して位置決めする機構をより簡単な構成とすることができる。
【0015】
また、前記した載置トレイに押圧されることによって、退避位置から突出位置へ移動する突出部材を備えた画像読取装置は、突出部材を、突出位置から退避位置へ向けて付勢する付勢部材をさらに備えていることが望ましい。
【0016】
このように構成された画像読取装置によれば、自動原稿搬送装置の使用後、載置トレイを第1位置から第2位置へ変位させたときに、突出部材を簡単に退避位置に退避させることができる。
【0017】
そして、前記した画像読取装置において、突出部材は、先端に向かうほど細くなるように傾斜面が形成されているのが望ましい。
【0018】
このように構成された画像読取装置によれば、カバーを閉じたときに、突出部材と位置決め部の位置が多少ずれていても、傾斜面に沿って突出部材を位置決め部に挿入させることができる。
【0019】
また、前記した目的を達成するための本発明は、前記した画像読取装置を備える画像形成装置として提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、載置トレイの変位により自動原稿搬送装置を第2読取面に対して位置決めするので、自動原稿搬送装置を使用するときに確実に自動原稿搬送装置と第2読取面の位置合わせをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラー複合機の概略構成を示す側断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像読取装置を示す斜視図である。
【図3】画像読取装置の第1位置に載置トレイが配置された状態を示す斜視図である。
【図4】画像読取装置の後側の構成を示す斜視図である。
【図5】画像読取装置のカバーを開けた状態を示す斜視図である。
【図6】画像読取装置の突出部材周辺の構造を示す図であって、突出部材が退避位置に位置する状態を示す図(a)と、突出部材が突出位置に位置する状態を示す図(b)である。
【図7】変形例に係る画像読取装置の突出部材周辺の構造を示す図であって、突出部材が退避位置に位置する状態を示す図(a)と、突出部材が突出位置に位置する状態を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<カラー複合機の全体構成>
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラー複合機1の全体構成を説明した後、本発明の特徴部分である画像読取装置3を詳細に説明することとする。
【0023】
以下の説明において、方向は、カラー複合機使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側(手前側)」、紙面に向かって左側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0024】
図1に示すように、カラー複合機1は、本体ケース2と、本体ケース2の上方に設けられた画像読取装置3とを主に備えている。また、カラー複合機1は、本体ケース2内に、用紙Pを供給する給紙部4と、供給された用紙Pに画像を形成する画像形成部5とを主に備えている。
【0025】
本体ケース2の上部には、本体ケース2内から排出された用紙Pが載置される排紙トレイ22が設けられている。
【0026】
画像読取装置3は、排紙トレイ22の上方に空間Sを介して設けられている。この画像読取装置3は、複写などの際に、セットされた原稿に光を照射して画像を読み取ることで画像データを生成する。なお、画像読取装置3の詳細な構成については後述する。
【0027】
給紙部4は、本体ケース2内の下部に設けられ、本体ケース2に着脱可能に装着される給紙カセット41と、給紙カセット41の後部上方に設けられたピックアップローラ42と、分離ローラ43と、給紙ローラ44,45とを主に備えている。給紙カセット41内の用紙Pは、ピックアップローラ42で送り出され、分離ローラ43で一枚ずつ分離されて給紙ローラ44,45で上方へ送られ、画像形成部5(中間転写ベルト91と2次転写ローラ93の間)に供給される。
【0028】
画像形成部5は、露光ユニット6と、感光体ユニット7と、現像器ユニット8と、ベルトユニット9と、定着ユニット10とから主に構成されている。
【0029】
露光ユニット6は、給紙部4の上方に配置され、図示はしないが、公知のレーザ発光部、ポリゴンミラー、複数のレンズ、複数の反射鏡などを備えている。露光ユニット6では、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に対応させてレーザ発光部からのレーザ光が、ポリゴンミラーや反射鏡で反射されたり、レンズを通過したりした後に出射され、感光体ユニット7の感光体ドラム71の表面上に高速走査にて照射される。
【0030】
感光体ユニット7は、露光ユニット6の上方(現像器ユニット8とベルトユニット9との間)に配置され、前後方向に並列配置された4つの感光体ドラム71と、各感光体ドラム71に対応して設けられた帯電器72とを主に備えている。
【0031】
現像器ユニット8は、露光ユニット6と感光体ユニット7との間に配置され、各感光体ドラム71に対応して設けられた4つの現像器81を主に備えている。
【0032】
各現像器81は、感光体ドラム71に対向して配置された現像ローラ81Aと、現像ローラ81Aにトナーを供給する供給ローラ81Bと、トナーが収容されるトナー収容部81Cと、トナー収容部81C内に配置されたアジテータ81Dとを主に備えている。各現像器81では、トナー収容部81C内のトナーが、回転駆動するアジテータ81Dによって供給ローラ81Bに供給され、さらに供給ローラ81Bから現像ローラ81Aに供給されて、現像ローラ81A上に担持される。
【0033】
ベルトユニット9は、感光体ユニット7の上方に配置され、中間転写ベルト91、4つの1次転写ローラ92、2次転写ローラ93、駆動ローラ94、従動ローラ95、クリーニング部96などを主に備えている。
【0034】
中間転写ベルト91は、無端状のベルトであり、前後に離間して平行に配置された駆動ローラ94と従動ローラ95との間に張設されている。この中間転写ベルト91の外周面の下部には各感光体ドラム71が対向して接し、外周面の後部には2次転写ローラ93が対向して接している。
【0035】
各1次転写ローラ92は、中間転写ベルト91の内周面に接し、各感光体ドラム71との間で中間転写ベルト91を挟持するように各感光体ドラム71と対向して配置されている。2次転写ローラ93は、中間転写ベルト91を挟持するように駆動ローラ94と対向して配置されている。1次転写ローラ92および2次転写ローラ93には転写時に転写バイアスが印加される。
【0036】
クリーニング部96は、中間転写ベルト91の前寄り上方に配置され、中間転写ベルト91上に残留したトナーを除去して貯留するように構成されている。
【0037】
定着ユニット10は、2次転写ローラ93および駆動ローラ94の上方に配置され、公知の構成を有する加熱ローラ11と、加熱ローラ11と対向配置されて加熱ローラ11を押圧する加圧ローラ12とを主に備えている。
【0038】
以上のように構成される画像形成部5では、まず、各感光体ドラム71の表面が、各帯電器72により一様に帯電された後、露光ユニット6から照射されるレーザ光により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光体ドラム71上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0039】
次いで、現像ローラ81Aと感光体ドラム71とが対向して接触するときに、現像ローラ81A上に担持されたトナーが、感光体ドラム71上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム71上でトナーが選択的に担持されて静電潜像が可視像化され、トナー像が形成される。
【0040】
各感光体ドラム71上に形成されたトナー像は、転写バイアスが印加された各1次転写ローラ92の作用により中間転写ベルト91上に順次重ね合わせて転写される。中間転写ベルト91上に転写された各色のトナー像は、画像形成部5に供給された用紙Pが中間転写ベルト91と2次転写ローラ93の間を通過するときに、転写バイアスが印加された2次転写ローラ93の作用により用紙P上に転写される。
【0041】
トナー像が転写された用紙Pは、定着ユニット10に搬送され、加熱ローラ11と加圧ローラ12との間を通過することでトナー像が熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、排紙ローラ23によって本体ケース2内から空間Sに排出され、排紙トレイ22上に蓄積される。
【0042】
<画像読取装置の構成>
次に、画像読取装置3の詳細な構成について説明する。
図2に示すように、画像読取装置3は、フラットベッドスキャナ3Aと自動原稿搬送装置3Bを主に有している。
【0043】
フラットベッドスキャナ3Aは、画像読取部の一例としての原稿台31と、カバー32と、ヒンジ部34(図4参照)と、突出部材100と、付勢部材の一例としてのコイルばね35(図6(a)参照)を主に備えて構成されている。
【0044】
原稿台31は、読み取る原稿が載置される台であり、図5に示すように、第1読取面の一例としての原稿台ガラス311と、第2読取面の一例としてのADF読取部312と、図示しないイメージセンサと、位置決め部の一例としての位置決め穴313を主に有している。
【0045】
原稿台ガラス311は、原稿が載置される面積の大きいガラス板であり、原稿台31の上面に設けられている。ADF読取部312は、自動原稿搬送装置3Bによって搬送される原稿がその上を通過するガラス板である。ADF読取部312は、左右の幅が小さく形成されており、原稿台ガラス311の左側に設けられている。
【0046】
イメージセンサは、原稿台31の内部において、原稿台ガラス311およびADF読取部312の下面に沿って左右に移動可能に設けられている。このイメージセンサは、原稿台ガラス311およびADF読取部312を通して、原稿の画像を読み取るように構成されている。
【0047】
位置決め穴313は、原稿台ガラス311を挟んで後述するヒンジ部34とは反対側に配置されている。より詳細には、位置決め穴313は、カバー32を閉じた状態において、上下方向から見て、後述する突出部材100と重なる位置に配置されている。位置決め穴313は、下に凹んだ底付きの穴として形成されている。
【0048】
カバー32は、原稿台ガラス311とADF読取部312の上方を覆うように(図2参照)、ヒンジ部34を介して原稿台31に対して開閉可能に設けられている。カバー32は、原稿台31と対向する下面(対向面)321に、押圧板322とADF押圧板323とを有している。
【0049】
押圧板322は、原稿台ガラス311上に載置された原稿を原稿台ガラス311に向けて押圧する部材であり、画像読取中に原稿がずれてしまうのを防止している。
ADF押圧板323は、自動原稿搬送装置331によって搬送される原稿をADF読み取り部312に向けて押圧する部材であり、画像読取中に原稿が浮いたり、ずれてしまったりするのを防止している。
【0050】
ヒンジ部34は、図4に示すように、カバー32の後端の左右2箇所を回動可能に軸支し、原稿台31に保持されている。
【0051】
そして、カバー32は、図2に示すように、左側に、自動原稿搬送装置3Bを備えている。自動原稿搬送装置3Bは、原稿搬送部331と、載置トレイ332と、排出トレイ333と、を主に備えている。
【0052】
原稿搬送部331は、第1開口の一例としての給紙口334(図3参照)と、第2開口の一例としての排紙口335と、図示しない搬送経路と、保持部の一例としての保持孔336(図6(a)参照)と、を有している。
【0053】
給紙口334は、自動原稿搬送装置3B内に原稿を給紙するための開口であり、図3に示すように、原稿搬送部331の右側の上部に形成されている。
【0054】
排紙口335は、自動原稿搬送装置3B内の原稿を自動原稿搬送装置3B外へ排紙するための開口であり、原稿搬送部331の右側の下部に形成されている。つまり、給紙口334と排紙口335は、上下方向において異なる位置に配置されている。
【0055】
搬送経路(所定の経路)は、給紙口334から給紙された原稿を排紙口335に搬送するようになっている。そして、搬送経路は、原稿が、給紙口334から排紙口335に搬送される途中で、カバー32からADF読取部312側に原稿を露出させてADF読取部312の上を通過させ、再度カバー32内に搬送するように構成されている。
【0056】
保持孔336は、図6(a)に示すように、原稿搬送部331(カバー32)に形成される上下方向に貫通した孔である。この保持孔336は、給紙口334から右方に延びる面の前寄りの位置に形成されている(図2も参照)。この位置は、図6(b)に示すように、載置トレイ332が第1位置に位置するときに、載置トレイ332が被さる位置である。
【0057】
保持孔336の上端と下端には、内壁から径方向内側に突出するストッパ337,338が設けられている。
【0058】
図3に示すように、載置トレイ332は、給紙口334に隣接して設けられており、原稿を載置することができる第1位置(図3に示す位置)と、第1位置と異なる位置にある第2位置(図2に示す位置)との間を変位可能となるように原稿搬送部331に回動可能に支持されている。
【0059】
載置トレイ332は、第1位置に位置しているときに、給紙口334から右方へ向かって延び、上を向く載置面332Aを有している。そして、載置トレイ332は、第1の位置から約180度回転させることで、図2に示すように、載置面332Aが下を向いて原稿搬送部331上に被せられた第2位置に変位するようになっている。
【0060】
このように構成されることにより、自動原稿搬送装置3Bを使用しないときには、載置トレイ332を第2位置に位置させておき、自動原稿搬送装置3Bを使用するときには、載置トレイ332を第1位置に変位させて、載置面332A上に原稿を載置させることができるようになっている。
【0061】
排出トレイ333は、カバー32の上面に形成されており、読み取りが終了して排紙口335から排紙された原稿が載置されるようになっている。
【0062】
突出部材100は、図6(a)に示すように、上下方向に長い棒状の部材であり、保持孔336の上下方向の長さよりも長く形成されている。突出部材100は、下端(先端)に傾斜面110が形成されており、下端に向かうほど細くなっている。また、突出部材100は、上部に径方向外側に突出するフランジ部120を有している。
【0063】
突出部材100は、保持孔336内に、フランジ部120が保持孔336の上下のストッパ337,338の間に配置されるように保持されている。突出部材100は、保持孔336内において、上下方向(カバー32を閉じた状態のときの、カバー32と原稿台31が対向する方向)にスライド移動可能である。具体的には、突出部材100は、図6(b)に示すような、カバー32の下面321から原稿台31へ向けて下端が突出した突出位置と、図6(a)に示すような、カバー32の下面321から下端が退避して、カバー32の上面から上端が突出する退避位置とに移動可能となっている。
【0064】
コイルばね35は、突出部材100に挿通され、突出部材100のフランジ部120と保持孔336の下側のストッパ338の間に配置されており、突出部材100を突出位置から退避位置へ向けて付勢している。
【0065】
次に、以上のように構成された本発明の画像読取装置3の作用および効果について説明する。
原稿台ガラス311上に原稿を載置して画像を読み取る場合、載置トレイ332が第2位置に位置した状態でカバー32を閉じ、画像読取を行う。このとき、図6(a)に示すように、突出部材100は、コイルばね35の付勢力により、退避位置に退避しているので、突出部材100の下端が当接して原稿が傷つくのを防止することができる。
【0066】
自動原稿搬送装置3Bを使用して原稿の画像を読み取る場合、カバー32を閉じた状態で、載置トレイ332を第2位置から第1位置へ回動させ、載置面332A上に原稿を載置して画像読取を行う。
【0067】
カバー32を閉じた状態で、載置トレイ332を第2位置から第1位置へ回動させると、図6(b)に示すように、突出部材100は、第2位置から第1位置へ変位する載置トレイ332に押圧されて、退避位置から突出位置へ移動し、突出部材100の下端が原稿台31の位置決め穴313に挿入される。これにより、カバー32が原稿台31に対して位置決めされるので、自動原稿搬送装置3BをADF読取部312に対して位置決めすることができる。
【0068】
このように、本発明の画像読取装置3は、原稿を載置する載置トレイ332の第2位置から第1位置へ回動する動作に連動して、突出部材100が退避位置から突出位置へ移動し、位置決め穴313に挿入される構成であるので、自動原稿搬送装置3Bを使用するときに原稿を載置するために載置トレイ332を開くことで、自動原稿搬送装置3BをADF読取部312に対して位置決めすることができる。
【0069】
また、一般に排紙口と給紙口とが上下に配置されている場合、上に配置されている方が下に配置されている方よりも原稿を載置するためのスペースが小さくなりやすい。そこで、載置トレイ332を排紙口335よりも上方に設けられている給紙口334に隣接させて配置することで、自動原稿搬送装置3Bを使用するときに、ユーザが、原稿を載置するためのスペースを広くするために、載置トレイ332を第1位置に回動するのを促すことができる。よって、ユーザが自動原稿搬送装置3Bを使用するときに、より確実に自動原稿搬送装置3BをADF読取部312に対して位置決めすることができる。
【0070】
そして、突出部材100は、第2位置から第1位置へ回動する載置トレイ332に押圧されることによって、退避位置から突出位置へ移動するように構成されているので、突出部材100が電気的制御によって退避位置から突出位置へ移動するように構成されている場合に比べて、自動原稿搬送装置3BをADF読取部312に対して位置決めする機構を簡単な構成とすることができる。
【0071】
また、突出部材100は、棒状に形成され、カバー32に形成されている保持孔336に保持されているので、自動原稿搬送装置3BをADF読取部312に対して位置決めする機構をより簡単な構成とすることができる。
【0072】
そして、突出部材100は、先端に向かうほど細くなるように傾斜面110が形成されているので、カバー32を閉じたときに、突出部材100と位置決め穴313の位置が多少ずれていても、傾斜面110に沿って突出部材100を位置決め穴313に挿入し、自動原稿搬送装置3BをADF読取部312に対して位置決めできる。
【0073】
また、突出部材100は、コイルばね35によって突出位置から退避位置へ向けて付勢されているので、自動原稿搬送装置3Bの使用後、載置トレイ332を第1位置から第2位置へ回動させたときに、突出部材100を簡単に退避位置に退避させることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0075】
前記実施形態では、突出部材100が上下方向に長い棒状の部材であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、棒状ではない部材であってもよい。例えば、図7(a)に示すように、突出部材200は、側面視略L字状に形成された部材とすることができる。
【0076】
突出部材200は、カバー32に設けられている保持孔336の内壁に揺動可能に支持されている。突出部材200は、揺動軸から右斜め上方へ向けて延びる第1アーム210と、揺動軸から右斜め下方へ向けて延びる第2アーム220とを有している。
【0077】
この突出部材200は、第2アーム220の先端がカバー32の下面321から原稿台31に向けて突出した突出位置(図7(b)に示す位置)と、第2アーム220が下面321から突出せず、第1アーム210の先端がカバー32の上面から突出した退避位置(図7(a)に示す位置)との間を回動により移動可能となっている。
【0078】
また、突出部材200の揺動軸には、ねじりコイルばね36が支持されている。ねじりコイルばね36は、突出部材200を、突出位置から退避位置に付勢している。
【0079】
このように構成された突出部材200は、載置トレイ332を第2位置から第1位置へ回動させると、図7(b)に示すように、第1アーム210に載置トレイ332が当接し、図示時計回りに揺動する。これにより、突出部材200は、突出位置に移動し、第2アーム220が原稿台31に形成された左右に延びる位置決め溝313に挿入される。
【0080】
そして、前記実施形態では、突出部材100は、第2位置から第1位置へ変位する載置トレイに押圧されて、退避位置から突出位置へ移動するように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像読取装置3は、制御部と、載置トレイの位置を検知するセンサを備え、制御部による制御によって突出部材100を第2位置から第1位置へ変位させるように構成してもよい。具体的に、制御部は、センサを通じて載置トレイが第1位置にあると判断したとき、ソレノイドを用いて突出部材を退避位置から突出位置へ移動させるように構成することができる。
【0081】
また、前記実施形態では、突出部材100はカバー32に設けられ、位置決め穴313は原稿台31に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、突出部材は原稿台31に設けられ、位置決め部はカバー32に設けられていてもよい。
【0082】
そして、前記実施形態では、載置トレイ332は、排紙口335よりも上方に設けられている給紙口334に隣接して設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、排紙口335が給紙口334よりも上方に設けられており、載置トレイ332は、排紙口335に隣接して設けられている構成であってもよい。
【0083】
また、前記実施形態では、原稿台ガラス311とADF読取部312がそれぞれ別個のガラス板として設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、原稿台ガラスの一部がADF読取部となっていてもよい。
【0084】
前記実施形態では、画像形成装置として、カラー複合機1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複写機などであってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 カラー複合機
3 画像読取装置
3A フラットベッドスキャナ
3B 自動原稿搬送装置
31 原稿台
32 カバー
100 突出部材
110 傾斜面
311 原稿台ガラス
312 ADF読取部
313 位置決め穴
332 載置トレイ
334 給紙口
335 排紙口
336 保持孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置された原稿の画像を読み取る第1読取面を有する画像読取部と、
前記第1読取面の上方を覆う開閉可能なカバーと、
前記カバーに設けられ、所定の経路で原稿を搬送する自動原稿搬送装置と、
前記画像読取部に設けられ、前記自動原稿搬送装置によって搬送される原稿の画像を読み取る第2読取面と、
原稿を載置することができる第1位置と、前記第1位置と異なる位置にある第2位置との間を変位可能となるように前記自動原稿搬送装置に支持される載置トレイと、
前記カバーおよび前記画像読取部の一方に設けられ、他方に対向する対向面から前記他方へ向けて突出した突出位置と、前記対向面から突出していない退避位置とに移動可能に構成される突出部材と、
前記他方に設けられ、前記突出部材が挿入される位置決め部と、を備え、
前記突出部材は、前記カバーが閉じた状態で、前記載置トレイが前記第2位置から前記第1位置へ変位するのに連動して、前記退避位置から前記突出位置に移動し、前記位置決め部に挿入されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記自動原稿搬送装置は、前記自動原稿搬送装置内に原稿を給紙するための第1開口と、前記自動原稿搬送装置内の原稿を前記自動原稿搬送装置外に排紙するための第2開口と、を有し、
前記第1開口と前記第2開口は、上下方向において異なる位置に配置され、
前記載置トレイは、前記第1開口および前記第2開口のいずれか上方に設けられている方に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記突出部材は、前記画像読取部に設けられ、前記載置トレイを前記第2位置から前記第1位置に変位させたときに、前記載置トレイに押圧されることによって、前記退避位置から前記突出位置へ移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記突出部材は、棒状に形成されており、
前記カバーは、前記突出部材を、前記カバーが閉じた状態で、前記カバーと前記画像読取部が対向する方向にスライド移動可能に保持する保持部を有していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記突出部材を、前記突出位置から前記退避位置へ向けて付勢する付勢部材をさらに備えていることを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記突出部材は、先端に向かうほど細くなるように傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載された画像読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−48391(P2013−48391A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186581(P2011−186581)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】