説明

画像読取装置の制御方法

【課題】 低コストで、部品点数及び組立工数を増加させずに、キャリッジの破損や光学的精度の狂い等を防止することができる画像読取装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の画像処理装置の制御方法は、キャリッジ6の固定時には読取り光路中に存在し、キャリッジ6の固定解除時には読取り光路中から退避するキャリッジ固定具9と、キャリッジ6を移動させるキャリッジ移動手段24と、を備えた画像読取装置の制御方法であって、キャリッジ6がキャリッジ固定具9により固定される位置にあるとき、画像を読取り、読取った画像データに基づいてキャリッジ固定具9が読取り光路中に存在するか否かを判断し、キャリッジ固定具9が読取り光路中に存在しないと判断した場合に限り、キャリッジ移動手段24に対してキャリッジ6の移動を許可するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読取る画像読取装置の制御方法に関し、詳しくは、輸送時等においてキャリッジをピン等の固定具で固定することができる画像読取装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置が具備するフラットベッドスキャナ(FBS:Flat Bed Scanner)は、プラテンガラス上に載置された原稿にキャリッジにより光を照射し、原稿から反射された光をCCD(Charge Coupled Device)等で電気信号に変換することにより、原稿の画像を読取っている。前記キャリッジは、原稿読取りの際に、副走査方向に移動しながら、原稿に光を照射する。このような従来の画像読取装置においては、装置の輸送中にキャリッジが動いて破損することを防止するため、キャリッジをピン等の固定具で移動不能に固定することができるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記キャリッジは、電源投入後に予め設定された位置に移動するようになっている。そのため、ユーザが装置の輸送後にキャリッジの固定を解除し忘れて電源を投入すると、キャリッジが移動不能に固定されたまま、キャリッジに駆動力を与えるモータが回転するので、モータやキャリッジが破損したり、キャリッジの光学的精度が狂うという問題が生じる。このような問題が生じることを防止するため、従来の画像読取装置には、キャリッジが固定具により固定されている状態を検出するセンサを設け、センサによって固定されている状態が検出された場合に、モータの駆動電源を遮断する等して、キャリッジに駆動力を与えるモータ等の駆動手段を制御するものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2001−133905号公報
【特許文献2】特開2003−207855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記モータやキャリッジの破損、キャリッジの光学的精度の狂い等を防止するために、センサ等を設けると、部品点数、組立工数が増加するので、装置の生産コストが上昇するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、低コストで、部品点数及び組立工数を増加させずに、キャリッジの破損や光学的精度の狂い等を防止することができる画像読取装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像読取装置の制御方法は、キャリッジの固定時には読取り光路中に存在し、キャリッジの固定解除時には読取り光路中から退避するキャリッジ固定具と、キャリッジを移動させるキャリッジ移動手段と、を備えた画像読取装置の制御方法であって、前記キャリッジが前記キャリッジ固定具により固定される位置にあるとき、画像データを読取り、読取った画像データに基づいて前記キャリッジ固定具が前記読取り光路中に存在するか否かを判断し、前記キャリッジ固定具が前記読取り光路中に存在しないと判断した場合に限り、前記キャリッジ移動手段に対して前記キャリッジの移動を許可することを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の画像読取装置の制御方法は、請求項1記載の画像読取装置の制御方法において、前記キャリッジ固定具が前記読取り光路中に存在すると判断した場合に前記キャリッジ固定具による前記キャリッジの固定の解除を要求する旨の情報を報知することを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の画像読取装置の制御方法は、請求項1又は2記載の画像読取装置の制御方法において、前記キャリッジ固定具が前記読取り光路中に存在するか否かの判断は、読取った画像データが2値化されたものに基づいて行われることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の画像読取装置の制御方法によれば、センサ等を設けることなく、低コストで、部品点数及び組立工数を増加させずに、キャリッジの破損や光学的精度の狂い等を防止することができる。
【0010】
請求項2記載の画像読取装置の制御方法によれば、キャリッジ固定具によるキャリッジの固定が解除されていない場合に、キャリッジ固定具によるキャリッジの固定の解除を要求する旨の情報が報知されるので、キャリッジが固定されていることを確実にユーザに気付かせることができる。
【0011】
請求項3記載の画像読取装置の制御方法によれば、2値化された画像データは、多値の画像データに比べてデータ量が少ないので、キャリッジ固定具が読取り光路中に存在するか否かの判断処理のために装置にかかる負担が軽減するという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の制御方法を図面に基づいて説明する。図1は、画像読取装置1が具備するフラットベッドスキャナ2の構成を示す概略縦断面図である。図示するように、フラットベッドスキャナ2は、プラテンガラス3の下方において原稿Pの読取面に沿って移動するフルレートキャリッジ4、及びフルレートキャリッジ4を略半分の速さで追従するハーフレートキャリッジ5からなるキャリッジ6と、光を収束するレンズ7と、画像データを読取るCCD8と、キャリッジ6を移動不能に固定するキャリッジ固定具9と、を備える。
【0013】
CCD8により原稿Pの画像を読取る場合、フルレートキャリッジ4は、所定の位置から副走査方向下流側に移動しながら、原稿Pに光源10の光を照射してその反射光を副走査方向上流側へ導く。ハーフレートキャリッジ5は、フルレートキャリッジ4に追従しながら、フルレートキャリッジ4からの反射光を反射ミラー11により反射して副走査方向下流側へ導く。CCD8は、レンズ7によって収束されたハーフレートキャリッジ5からの反射光を電気信号に変換することにより、画像を読取る。なお、図1中の2点鎖線は、光源10から発せられた光がCCD8に到達するまでに通過する読取り光路を示している。また、本明細書においては、キャリッジ6の移動方向を「副走査方向」といい、副走査方向と直交する方向を「主走査方向」という。
【0014】
画像読取装置1では、装置1を輸送する場合にキャリッジ6を移動不能に固定するため、図4に示す操作部31又は表示部32から輸送モードを指定することができる。この輸送モードが指定されると、キャリッジ6は、副走査方向の上流側へ移動し、CCD8が白色のプレート12を読取ることができる固定位置で停止する。キャリッジ固定具9は、この固定位置に停止しているキャリッジ6を移動不能に固定することができるようになっている。キャリッジ固定具9は、主走査方向にもう1つ設けられており、画像読取装置1には計2個のキャリッジ固定具9が設けられている。なお、キャリッジ固定具9の設置数は、2個より増減してもよい。
【0015】
図2は、固定位置に停止しているキャリッジ6をキャリッジ固定具9が移動不能に固定している状態を示した図であり、図3は、図2における矢符Aの方向から見たキャリッジ固定具9周辺の拡大図である。なお、図3においては、フレーム13の側壁14を省略している。図示するように、キャリッジ固定具9は、主走査方向に垂直且つ水平に設けられた回転軸15に一端が固定されており、該回転軸15は、取付具16よってフレーム13の底板17に回転可能に固定されている。キャリッジ固定具9は、回転軸15を支点に回動可能となっており、底板17に対して図3中の2点鎖線で示す倒伏姿勢から同図実線で示す起立姿勢までの間で回動可能となっている。前記回転軸15の基端部は、側壁14から突出しており、この突出端部に凹溝18が設けられている。ユーザは、図示しないマイナスドライバーや硬貨などを前記凹溝18に嵌合して回転させることにより、回転軸15の先端部に固定されたキャリッジ固定具9を前記のように回動させることができる。なお、回転軸15と取付具16との間には適度の回転摩擦力が発生しているため、輸送時の振動などでは、回転軸15に固定されたキャリッジ固定具9は回動しないようになっている。
【0016】
キャリッジ固定具9は、キャリッジ6が固定位置に停止している場合に、倒伏姿勢から反時計回り方向に回動されると、フルレートキャリッジ4に設けられた長孔19と、ハーフレートキャリッジ5に設けられた長孔20とを通過して起立姿勢となり、フルレートキャリッジ4とハーフレートキャリッジ5を挟持し、キャリッジ6を移動不能に固定する。キャリッジ固定具9は、キャリッジ6の固定時には、図2中に2点鎖線で示すプレート12の読取り光路中に存在する。また、キャリッジ固定具9は、キャリッジ6を固定している状態で時計回り方向に回動されると、起立姿勢から長孔19、20を通過して倒伏姿勢となる。この際に、キャリッジ6からキャリッジ固定具9が抜けて、キャリッジ固定具9によるキャリッジ6の固定が解除される。キャリッジ固定具9は、キャリッジ6の固定解除時には、プレート12の読取り光路中から退避する。キャリッジ固定具9によりキャリッジ6が移動不能に固定されると、画像読取装置1の輸送時に振動が加わること等により生じ得るキャリッジ6の破損が防止される。
【0017】
図4は、画像読取装置1の構成例を示したブロック図である。図示するように、画像読取装置1は、制御部(MPU:Microprocessing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、キャリッジ駆動回路24、CCD8、スキャナ画像処理回路25、スキャナ用コーデック26、画像メモリ27、プリンタ用コーデック28、プリンタ画像処理回路29、プリンタ30、操作部31、及び表示部32を備えたものであって、各部21乃至32はバス33によって通信可能に接続されている。
【0018】
制御部21は、ROM22に格納された制御プログラムに従って、この画像読取装置1を構成する各部を制御する。RAM23は、制御部21の主メモリ、ワークエリア等として機能し、各種の設定情報等を記憶している。
【0019】
キャリッジ駆動回路24は、キャリッジ6を動作させるものである。例えば、原稿の画像データを読取る際に、モータ34を駆動してキャリッジ6を移動させるとともに、光源10を点灯させる。モータ34が駆動されると、モータ34の駆動力が図示しないギアやベルト等を介してキャリッジ6に伝達され、キャリッジ6は副走査方向に移動する。なお、キャリッジ6の動作は、キャリッジ駆動回路24を通じて制御部21により制御される。CCD8は、上述したように、画像データを読取るものである。CCD8が読取った画像の信号は、スキャナ画像処理回路25に出力される。
【0020】
スキャナ画像処理回路25は、CCD8から出力されたアナログ画像信号をデジタル画像データに変換するA/D変換、プレート12の読取りデータに基づき画像データに対する光量ムラや光学部品の影響等を補正するためのシェーディング補正、多値の画像データを2値化する2値化処理等の画像処理を行うものである。スキャナ画像処理回路25で画像処理が行われた画像データは、イメージバス35を介して接続されるスキャナ用ページメモリ36に格納された後、スキャナ用コーデック26に出力される。
【0021】
スキャナ用コーデック26は、画像データを符号化するものである。画像メモリ27は、スキャナ用コーデック26により符号化された画像データを蓄積するものである。プリンタ用コーデック28は、符号化されている画像データを復号するものである。画像メモリ27に蓄積された符号化されている画像データは、プリンタ30の印字処理の進行状況に応じてプリンタ用コーデック28に出力された後、プリンタ用コーデック28により復号される。復号後の画像データは、イメージバス37を介して接続されるプリンタ用ページメモリ38に一時的に格納された後、プリンタ画像処理回路29に出力される。
【0022】
プリンタ画像処理回路29は、イメージバス37を介してプリンタ用ページメモリ38から出力された画像データに対して、解像度変換、スムージング処理等の画像処理を行うものである。プリンタ画像処理回路29において画像処理が行われた画像データは、プリンタ30に出力される。プリンタ30は、プリンタ画像処理回路29において画像処理が行われた画像データの画像を用紙に印字するものである。このプリンタ30における印字方式としては、例えば、電子写真方式を用いることができる。
【0023】
操作部31は、図示しないが、原稿の読取り開始を指示するためのスタートキー、コピー部数等を入力するためのテンキー、各種設定を行うためのカーソルキーなど、表示部32と連動した各種操作キーを備えている。表示部32は、図示しないが、各種の設定状態や画像読取装置1の動作状態などを文字や図形などで表示する液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)、点灯又は消灯で表示するLEDランプなどを備えている。ユーザは、この操作部31又は表示部32から上記の輸送モードを指定することができる。
【0024】
上記構成を備えた画像読取装置1においては、キャリッジ6が固定されている状態でモータ34が駆動することにより生じ得るキャリッジ6やモータ34の破損等を防止するために、画像読取装置1の電源投入時には、キャリッジ駆動回路24がモータ34を駆動しないようになっている。以下、電源が投入された後、画像読取装置1において行われる処理動作を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下のフローチャートに基づいて説明する画像読取装置1の処理動作は、ROM22に格納されている制御プログラムに基づいて制御部21が発行する命令に従って行われる。また、ここでは、キャリッジ固定具9によりキャリッジ6が固定されて装置1が輸送された後、キャリッジ固定具9によるキャリッジ6の固定が解除されているか否かにかかわらず、画像読取装置1の電源が投入された場合について説明する。
【0025】
制御部21は、まず初期化を行う(S1)。次に、キャリッジ駆動回路24により光源10を点灯し(S2)、CCD8等により画像データを読取る(S3)。このとき、キャリッジ6は、キャリッジ固定具9により固定される固定位置にある。続いて、読取った画像データに基づいてキャリッジ固定具9が読取り光路中に存在するか否かを判断する(S4)。具体的には、CCD8等により読取った画像データに対してスキャナ画像処理回路25により画像処理が行われた後、制御部21は、スキャナ用ページメモリ36に格納されている2値化された画像データに基づいて、キャリッジ固定具9がプレート12の読取り光路中に存在するか否かを判断する。
【0026】
図6は、キャリッジ固定具9がキャリッジ6を固定している状態で主走査方向に読取られた画像データの画素値を示した図であり、図7は、キャリッジ固定具9がキャリッジ6を固定していない状態で主走査方向に読取られた画像データの画素値を示した図である。図示する画像データの画素値は、スキャナ画像処理回路25により2値化された画像データの画素値であり、画素値「0」は白色に相当し、画素値「1」は黒色に相当する。キャリッジ固定具9は、キャリッジ6を固定している場合、プレート12の読取り光路中に存在し、プレート12からの反射光の一部を遮るので、図6に示すように、キャリッジ固定具9と対応する位置の画素値は「1」となり、白色のプレート12が読取られた位置の画素値は「0」となる。キャリッジ固定具9と対応する位置の画素値が「1」である場合、キャリッジ固定具9が読取り光路中に存在し、キャリッジ固定具9によるキャリッジ6の固定が解除されていないこととなる。したがって、制御部21は、キャリッジ固定具9と対応する位置の画素値が「1」である場合にキャリッジ6の固定が解除されていないと判断するようになっている。
【0027】
また、キャリッジ固定具9は、キャリッジ6を固定していない場合、プレート12の読取り光路中に存在しないので、CCD8により読取られる対象物は、白色のプレート12のみとなる。したがって、図6に示した画像データの画素値と異なり、図7に示すように、キャリッジ固定具9と対応する位置の画素値を含めて全ての画素値は「0」となる。キャリッジ固定具9と対応する位置の画素値が「0」である場合、キャリッジ固定具9が読取り光路中に存在せず、キャリッジ固定具9によるキャリッジ6の固定が解除されていることとなる。したがって、制御部21は、キャリッジ固定具9と対応する位置の画素値が「0」である場合にキャリッジ6の固定が解除されていると判断するようになっている。なお、キャリッジ固定具9が読取り光路中に存在している場合、プレート12からの反射光の一部がキャリッジ固定具9によって遮られるとともに、その位置においてはキャリッジ固定具9の画像がCCD8により読取られるので、キャリッジ固定具9を黒色とすると、キャリッジ固定具9と対応する位置の画素値が「1」となる可能性が大きくなり、誤判断を減少させることができる。
【0028】
制御部21は、上述のように、キャリッジ固定具9が読取り光路中に存在すると判断した場合(S4:YES)、キャリッジ固定具9によるキャリッジ6の固定の解除を要求する旨の情報を報知する(S5)。例えば、表示部32に「キャリッジの固定を解除して下さい。」というようなメッセージを表示する。なお、画像読取装置1に発音手段を更に設けて、その旨のメッセージを音声によりアナウンスしたり、特定の音、例えばブザー音等を発生することによりその旨を報知するようにしてもよい。
【0029】
次に、制御部21は、処理をS3に戻し、S4においてキャリッジ固定具9が読取り光路中に存在しないと判断するまで、S3乃至S5のうちの必要な処理を繰り返す。キャリッジ固定具9が読取り光路中に存在しないと判断した場合(S4:NO)、キャリッジ駆動回路24に対してキャリッジ6の移動を許可する(S6)。キャリッジ駆動回路24は、キャリッジ6の移動を許可されると、モータ34を駆動してキャリッジ6を固定位置から予め設定された位置に移動させる。
【0030】
以上説明したように、画像読取装置1においては、画像読取装置1に既存のCCD8等を用いて、キャリッジ固定具9によるキャリッジ6の固定が解除されているか否かが判断され、キャリッジ6の固定が解除されている場合にはキャリッジ6の移動が許可され、キャリッジ6の固定が解除されてない場合にはキャリッジ6の移動が許可されないので、低コストで、部品点数及び組立工数を増加させずに、キャリッジ6やモータ34の破損、キャリッジ6の光学的精度の狂い等を防止することができる。
【0031】
また、画像読取装置1においては、キャリッジ固定具9によるキャリッジ6の固定が解除されていない場合に、キャリッジ固定具9によるキャリッジ6の固定の解除を要求する旨の情報が報知されるので、キャリッジ6が固定されていることを確実にユーザに気付かせることができる。また、多値の画像データよりデータ量が少ない2値化された画像データに基づいて、キャリッジ固定具9が読取り光路中に存在するか否かが判断されるので、判断処理のために制御部21にかかる負担が軽減するという利点がある。また、読取った画像データの2値化には、画像読取装置1に既存のスキャナ画像処理回路25を利用しているので、装置のコストが上昇することがないという利点がある
【0032】
なお、本実施の形態においては、スキャナ画像処理回路25により2値化された画像データに基づいて、S4の判断を行うようにしたが、CCD8が読取った画像のアナログ信号、2値化前の多値のデジタル画像データ等に基づいて、S4の判断を行うようにしてもよい。この場合、キャリッジ固定具9と対応する位置の画素値が閾値以上である場合に、キャリッジ固定具9が読取り光路中に存在すると判断し、キャリッジ固定具9と対応する位置の画素値が閾値未満である場合に、キャリッジ固定具9が読取り光路中に存在しないと判断する。
【0033】
また、キャリッジ固定具9を黒色とし、プレート12を白色とすると、多値の画像データにおいて、キャリッジ固定具9と対応する位置の画素値とそれ以外の画素値との値の差が明確に現れるので、上記閾値の設定が容易となる等の利点があるが、キャリッジ固定具9とプレート12の色はこれに限定されず、多値の画像データにおいて、キャリッジ固定具9と対応する位置の画素値とそれ以外の画素値とに差が現れる色であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、例えば、固定具でキャリッジを固定することができる画像読取装置を具備した複写機やファクシミリ装置、これらの複合機等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像読取装置が具備するフラットベッドスキャナの構成を示す概略縦断面図である
【図2】固定位置に停止しているキャリッジをキャリッジ固定具が移動不能に固定している状態を示した図である。
【図3】図2における矢符A方向から見たキャリッジ固定具周辺の拡大図である。
【図4】画像読取装置の構成例を示したブロック図である。
【図5】電源が投入された後、画像読取装置1において行われる処理動作を示したフローチャートである。
【図6】キャリッジ固定具がキャリッジを固定している状態で主走査方向に読取られた画像データの画素値を示した図である。
【図7】キャリッジ固定具がキャリッジを固定していない状態で主走査方向に読取られた画像データの画素値を示した図である。
【符号の説明】
【0036】
1 画像読取装置
6 キャリッジ
8 CCD
9 キャリッジ固定具
21 制御部
22 ROM
23 RAM
24 キャリッジ駆動回路
25 スキャナ画像処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリッジの固定時には読取り光路中に存在し、キャリッジの固定解除時には読取り光路中から退避するキャリッジ固定具と、キャリッジを移動させるキャリッジ移動手段と、を備えた画像読取装置の制御方法であって、
前記キャリッジが前記キャリッジ固定具により固定される位置にあるとき、画像データを読取り、読取った画像データに基づいて前記キャリッジ固定具が前記読取り光路中に存在するか否かを判断し、前記キャリッジ固定具が前記読取り光路中に存在しないと判断した場合に限り、前記キャリッジ移動手段に対して前記キャリッジの移動を許可することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項2】
前記キャリッジ固定具が前記読取り光路中に存在すると判断した場合に前記キャリッジ固定具による前記キャリッジの固定の解除を要求する旨の情報を報知することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置の制御方法。
【請求項3】
前記キャリッジ固定具が前記読取り光路中に存在するか否かの判断は、読取った画像データが2値化されたものに基づいて行われることを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−301068(P2006−301068A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119529(P2005−119529)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】