説明

画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】1枚目の原稿読み取りから黒筋の発生を無くす。
【解決手段】画像読取装置は、原稿をコンタクトガラスに搬送する原稿搬送部と、白色板と、イメージセンサーと、原稿に光を照射し反射光をイメージセンサーに導く光学部と、光学部を副走査方向で移動させる移動部と、イメージセンサーの出力に基づき画像データを生成する生成部と、黒筋を発生させる異常画素を検知する筋検知部と、前回の読み取りでの光学部の位置情報と異常画素の有無を示す有無情報を記憶する記憶部と、を有し、原稿の読み取り開始前、移動部は搬送前位置に光学部を移動させ、筋検知部が異常画素の存在を検知しないとき、原稿読取開始に際して光学部を移動させず、筋検知部が異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に光学部を搬送前位置と異なる位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の読取を行う画像読取装置に関する。又、この画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、原稿に光を照射する光源や、原稿の反射光を受光して光電変換を行うイメージセンサー等を含み、原稿の画像データを出力する。そして、画像読取装置には、コンタクトガラス上を通過する原稿の読み取りを行うものもある。ここで、コンタクトガラスに塵埃、糊等の汚れが付着することがある。汚れが付着すると、付着部分に対応する位置のイメージセンサーの受光素子の受光量が低下する。そのため、画像データには、シートの搬送方向(副走査方向)に沿って周りの画素よりも暗い筋(黒筋)が発生する。このような黒筋発生に関する技術が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、原稿読み取り手段を所定の原稿読み取り位置で停止させた状態で原稿をフィードさせることにより読み込む原稿読み取り方法において、原稿を読み込む前のタイミングで、所定のシートスルー原稿読み取り位置で原稿を読み取るために停止する第1のステップと、読み取り主走査を行い読み込んだデータ値の異常値を検出する第2のステップと、第2のステップで異常値を検出しなかった場合は前記原稿読み取り手段を停止させた状態で原稿を読み取る第3のステップと、第2のステップで異常値を検出した場合は原稿読み取り手段の停止位置を所定の距離だけ変更するとともに、画像読み込み開始タイミングを所定のカウントだけ変更させて第2のステップに戻る第4のステップとを有する。この構成により、画像上に黒筋等を発生させることのないシートスルー原稿読み取り装置や原稿読み取り方法を提供する(特許文献1:請求項1、段落[0008]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3577477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の技術は、画像上に黒筋等を発生させることのないシートスルー原稿読み取り装置や原稿読み取り方法を提供できる。しかし、特許文献1記載の発明は、原稿を読み取ってから異常が有れば(筋が発生していれば)、原稿読み取り手段の停止位置を所定の距離だけ変更する。そのため、場合によっては、原稿の読み取り開始から最初のページでは筋が発生してしまうことがあり得る。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、複雑な動作や処理を伴うことなく、1枚目の原稿読み取りから黒筋の発生を無くすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る画像読取装置は、原稿をコンタクトガラスに向けて搬送する原稿搬送部と、前記コンタクトガラスと搬送される原稿を挟むように設けられる白色板と、主走査方向のラインの読み取りを行うイメージセンサーと、前記コンタクトガラスを通過する原稿に主走査方向に沿って光を照射し、原稿からの反射光を前記イメージセンサーに導く光学部と、前記光学部を副走査方向で移動させる移動部と、前記イメージセンサーの出力に基づき、画像データを生成する生成部と、画像データに基づき黒筋を発生させる異常画素を検知する筋検知部と、前回の読み取りでの前記光学部の位置情報と、前記位置情報に対応させて前回の読み取りでの前記異常画素の有無を示す有無情報を記憶する記憶部と、を有し、原稿の読み取り開始前、前記移動部は、前記有無情報に基づき、前回の読み取りで前記異常画素が無ければ前回の原稿読み取りと同じ位置であり、前回の読み取りで前記異常画素が有れば前回の原稿読み取りと異なる位置である搬送前位置に前記光学部を移動させ、前記光学部は前記搬送前位置でコンタクトガラスに向けて光を照射し、前記イメージセンサーは読み取りを行い、前記筋検知部は、前記搬送前位置での画像データでの前記異常画素の有無を検知し、前記移動部は、前記筋検知部が前記異常画素の存在を検知しないとき、原稿読取開始に際して前記光学部を移動させず、前記筋検知部が前記異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に前記光学部を前記搬送前位置と異なる位置に移動させることとした。
【0008】
この構成によれば、移動部は、有無情報に基づき、前回の読み取りで異常画素が無ければ前回の原稿読み取りと同じ位置であり、前回の読み取りで異常画素が有れば前回の原稿読み取りと異なる位置である搬送前位置に光学部を移動させる。これにより、イメージセンサーがコンタクトガラス内で読み取りを行うライン位置(読取ラインの位置)を、筋を発生させるようなキズや汚れの無い可能性が高い位置に合わせることができる。従って、読み取った画像データでの黒筋発生確率を下げることができる。
【0009】
更に、移動部は、筋検知部が異常画素の存在を検知しないとき、原稿読取開始に際して光学部を移動させず、筋検知部が異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に光学部を搬送前位置と異なる位置に移動させる。これにより、原稿の読取開始前に、前もって搬送前位置でのコンタクトガラスでの読取ラインでのキズや汚れの有無を確認し、黒筋発生のおそれが無ければ搬送前位置のまま原稿の読み取りが開始され、黒筋発生のおそれが有れば光学部が移動される。従って、原稿読取開始前にラインの読み取りを1回行うだけで、イメージセンサーのコンタクトガラスでの読取ラインの位置を、筋が発生しない位置にあわせることができ、原稿の1枚目からの黒筋の発生を無くすことができる。
【0010】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記イメージセンサーは、白黒読取用ラインセンサーと複数色分のカラー読取用ラインセンサーを含み、白黒で原稿を読み取るとき、前記移動部は、前記筋検知部が前記搬送前位置での白黒の画像データに前記異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に、白黒読取用ラインセンサーが読み取りを行う前記コンタクトガラスでの読取ラインの位置が、異常画素が無いと検知された色の前記カラー読取用ラインセンサーが読み取りを行った前記コンタクトガラスでの読取ラインの位置となるように前記光学部を移動させることとした。
【0011】
この構成によれば、白黒で原稿を読み取るとき、移動部は、筋検知部が搬送前位置での白黒の画像データに異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に、白黒読取用ラインセンサーが読み取りを行うコンタクトガラスでの読取ラインの位置が、異常画素が無いと検知された色のカラー読取用ラインセンサーが読み取りを行ったコンタクトガラスでの読取ラインの位置となるように光学部を移動させる。これにより、白黒のラインセンサーが読み取るコンタクトガラスでの読取ラインに筋を発生させるキズや汚れが有れば、ブラックのコンタクトガラス内での読取を行うライン位置が、異常画素(キズや汚れ)等の無いと検知された色(ラインセンサー)の読取ラインの位置に合わせられる。従って、原稿読取開始前に、ラインの読み取りを1回行うだけで、白黒読取用のラインセンサーのコンタクトガラスでの読取ラインの位置が、汚れやキズの無いに位置に合わせられ、1枚目の原稿読み取りでの筋の発生を防ぐことができる。
【0012】
又、請求項3に係る発明は、請求項2の発明において、前記移動部は、前記筋検知部が前記搬送前位置での全色の画像データで前記異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に、白黒読取用ラインセンサーが読み取りを行う前記コンタクトガラスでの読取ラインの位置を、前記搬送前位置でのいずれの色の読取ラインの位置から外れるように前記光学部を移動させることとした。
【0013】
この構成によれば、移動部は、筋検知部が搬送前位置での全色の画像データで異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に、白黒読取用ラインセンサーが読み取りを行うコンタクトガラスでの読取ラインの位置を、搬送前位置でのいずれの色の読取ラインの位置から外れるように光学部を移動させる。これにより、全ての色のコンタクトガラスでの読取ライン内に汚れやキズがあるとき、どの色の読取ラインの位置に白黒読取用ラインセンサーの読取ラインの位置をあわせても黒筋が発生してしまうところ、意図的に、筋の発生する可能性が低い位置に光学部を移動させ、ブラックの読取ラインでの筋の発生確率を下げることができる。
【0014】
又、請求項4に係る発明は、請求項2又は3の発明において、前記白黒読取用ラインセンサー及びカラー読取用ラインセンサーが読み取りを行う前記コンタクトガラスでの各色の読取ラインの間隔は、一定間隔となるように設定され、前記移動部は、原稿読取開始前に前記搬送前位置から前記光学部を移動させるとき、前記一定の間隔で前記光学部を移動させることとした。
【0015】
この構成によれば、移動部は、原稿読取開始前に搬送前位置から光学部を移動させるとき一定の間隔で光学部を移動させる。これにより、一定の間隔で光学部を移動させて、白黒読取用ラインセンサーのコンタクトガラスでの読取ラインの位置を、汚れの付着やキズの付着の無い位置にずらすことができる。
【0016】
又、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4の発明において、前記記憶部は、前回の読み取りでの最終頁の読み取り完了時の前記光学部の位置情報と前記有無情報を記憶することとした。
【0017】
この構成によれば、前回の読み取りでの最終頁の読み取り完了時の光学部の位置情報と有無情報を記憶する。これにより、記憶部が記憶すべきデータを絞りつつ、読取ラインに筋が現れない可能性が高い搬送前位置を設定することができる。
【0018】
又、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の発明において、前記記憶部は、前記異常画素が検知されたときの前記光学部の位置を示す異常位置情報を記憶し、前記移動部は、前記異常位置情報に基づき、前記異常画素の検知されていない位置が前記搬送前位置となるように前記光学部を移動させることとした。
【0019】
この構成によれば、移動部は、異常位置情報に基づき、異常画素の検知されていない位置が搬送前位置となるように光学部を移動させる。これにより、読取ラインで筋が現れない可能性が高い搬送前位置を設定することができる。
【0020】
又、請求項7に係る画像形成装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像読取装置を含むこととした。
【0021】
この構成によれば、原稿読取開始前に、ラインの読み取りを1回行うだけで、1枚目の原稿から筋の発生が極めて抑えられた画像データに基づき印刷を行える。従って、筋の発生が抑えられた高画質の画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複雑な動作や処理を伴うことなく、1枚目の原稿読み取りでの筋の発生確率を大きく減らし、1枚目の原稿から黒筋の無い画像データを出力する画像読取装置や、印刷物に筋がない画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】複合機の概略構成を示す正面視模型的断面図である。
【図2】画像読取装置の一例を示す模型的断面図である。
【図3】複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】画像読取装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】イメージセンサーの構成の一例を示す説明図である。
【図6】各ラインセンサーの搬送読取用コンタクトガラスでの読み取りを行うラインの位置の一例を示す拡大説明図である。
【図7】原稿読取時の異常画素の有無を記憶する制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】原稿読取開始時の黒筋発生回避制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図1〜図8を用いて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0025】
(画像形成装置の概略)
まず、図1を用いて、実施形態に係る画像読取装置100を含む電子写真方式の複合機200(画像形成装置に相当)の概略を説明する。図1は、複合機200の概略構成を示す正面視模型的断面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る複合機200は、上方に画像読取装置100を有する。画像読取装置100は、搬送読取用コンタクトガラス11又は載置読取用コンタクトガラス12上面に向け光を照射し、反射光に基づきイメージセンサー15により画像データを生成する画像読取部1と、画像読取部1の上方に設けられ、画像読取部1に対し上下方向に開閉し、搬送読取用コンタクトガラス11に向けて原稿を搬送する原稿搬送部2を含む。尚、画像読取装置100の詳細は後述する。
【0027】
又、図1に破線で示すように、画像読取部1の正面側に操作パネル3が設けられる。操作パネル3は、複合機200の設定用のキーを表示し、タッチパネル式であり、使用者の入力を受け付ける液晶表示部30を有する。又、液晶表示部30は、ジャムや用紙切れ等のエラー等の複合機200の状態を表示できる。又、操作パネル3にコピー部数等の数字入力を行うためのテンキー部31や、コピー実行を指示するためのスタートキー32等が配される。
【0028】
そして、図1に示すように、本実施形態の複合機200は、本体内部に、給紙部4a、搬送路4b、画像形成部5a、中間転写部5b、定着部5c等を備える。複合機200本体内の複数の給紙部4aは、それぞれ、各サイズ(例えば、A4、B4等のA型、B型用紙等)、各種用紙(例えば、コピー用紙、再生紙、厚紙、OHPシート等)を複数枚収容する。各給紙部4aは、それぞれ回転駆動する給紙ローラー41を備える。印刷時、いずれかの給紙部4aの給紙ローラー41が回転し、1枚ずつ搬送路4bに用紙を送り込む。
【0029】
搬送路4bは、装置内で用紙を搬送する通路である。そして、搬送路4bには、用紙の案内のためのガイド板や、用紙搬送時に回転駆動する搬送ローラー対42(図1おいて、上方から42a、42b、42cの計3つ)や、搬送される用紙を画像形成部5aの手前で待機させ、形成されたトナー像の転写タイミングに合わせ用紙を送り出すレジストローラー対43等が設けられる。又、定着完了後の用紙を排出トレイ44に排出する排出ローラー対45も設けられる。
【0030】
画像形成部5aは、複数の画像形成ユニット50(ブラック用の50Bk、イエロー用の50Y、シアン用の50C、マゼンタ用の50M)と露光装置51を含む。露光装置51は、画像読取部1で読み取られた画像データ等に基づき、レーザ光を点消灯しつつ出力し、各感光体ドラムを走査露光する。各画像形成ユニット50は、回転駆動可能に支持された感光体ドラムや、感光体ドラムの周囲に配設された帯電装置、現像装置、清掃装置等を備える。そして、各画像形成ユニット50と露光装置51によって、感光体ドラムの周面上にトナー像が形成される。
【0031】
中間転写部5bは、各画像形成ユニット50からトナー像の1次転写を受け、用紙に2次転写を行う。中間転写部5bは、各1次転写ローラー52Bk〜52M、中間転写ベルト53、駆動ローラー54、複数の従動ローラー55a、55b、2次転写ローラー56、ベルト清掃装置57等で構成される。各1次転写ローラー52Bk〜52Mと対応する各感光体ドラムは、無端状の中間転写ベルト53を挟み込む。各1次転写ローラー52Bk〜52Mには、転写用電圧が印加され、トナー像は中間転写ベルト53に転写される。
【0032】
中間転写ベルト53は、駆動ローラー54や各1次転写ローラー52Bk〜52M等に張架される。そして、中間転写ベルト53は、モーター等の駆動機構(不図示)に接続される駆動ローラー54の回転駆動により周回する。又、駆動ローラー54と2次転写ローラー56は、中間転写ベルト53を挟み込む。各画像形成ユニット50で形成されたトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)は、順次、ずれなく重畳して中間転写ベルト53に1次転写された後、所定の電圧を印加された2次転写ローラー56により、シートに転写される。
【0033】
定着部5cは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。定着部5cは、主として、発熱体を内蔵する加熱ローラー58とこれに圧接する加圧ローラー59からなる。用紙が、加熱ローラー58と加圧ローラー59のニップを通過すると、トナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。定着部5cからの排出用紙は排出トレイ44に送られる。
【0034】
(画像読取装置100の構成)
次に、図2を用いて、実施形態に係る画像読取装置100の一例を説明する。図2は、画像読取装置100の一例を示す模型的断面図である。
【0035】
まず、原稿搬送部2は、読み取りを行う原稿を1枚ずつ、自動的に連続して搬送読取用コンタクトガラス11に搬送する。原稿搬送部2は、原稿搬送方向上流側から順に、原稿トレイ21、原稿供給ローラー22、原稿搬送路23、複数の原稿搬送ローラー対24、原稿排出ローラー対25、原稿排出トレイ26等を備える。又、原稿搬送部2は、図2の紙面奥側を支点として画像読取部1に上下方向に開閉自在に取り付けられ、画像読取部1の各コンタクトガラスを上方から押さえるカバーとして機能する。
【0036】
尚、搬送読取用コンタクトガラス11の上面には、白色板27が設けられる。原稿は、搬送読取用コンタクトガラス11と白色板27の間を通過しつつ搬送される。言い換えると、白色板27は、原稿搬送におけるガイドとして機能する。そして、原稿が搬送されていないときに読取を行うと、イメージセンサー15は白色板27を読み取ることになる。
【0037】
読み取りを行う複数枚の原稿は原稿トレイ21に載置される。そして、原稿供給ローラー22は、原稿トレイ21に載置された原稿のうち最上位の原稿に当接する。例えば、スタートキー32が押された等、原稿読取を行う旨の入力が複合機200に入力されると、原稿供給ローラー22は、原稿搬送路23に原稿を1枚ずつ送り出す。
【0038】
原稿トレイ21から送り出された原稿は、複数の原稿搬送ローラー対24やガイドに導かれ、画像読取部1上面に設けられた搬送読取用コンタクトガラス11の上面を通過する。この通過の際、画像読取部1が読取を行う。そして、読取が完了した原稿は、原稿排出ローラー対25から原稿排出トレイ26に排出される(原稿搬送経路を2点鎖線で図示)。尚、上記の各回転体(原稿供給ローラー22、原稿搬送ローラー対24、原稿排出ローラー対25)は、原稿搬送モーター28(図4参照)を駆動源として回転する。
【0039】
次に、本実施形態における画像読取部1を説明する。図1や図2に示すように、画像読取部1は、箱形の筐体を有する。そして、画像読取部1の上面左側に、主走査方向(図2の紙面に垂直な方向)を長手方向とし、透明板状の搬送読取用コンタクトガラス11が配される。そして、画像読取部1の上面で搬送読取用コンタクトガラス11の右側に、透明板状の載置読取用コンタクトガラス12が配される。書籍等の原稿を1枚ずつ読み取るとき、使用者は、原稿搬送部2を持ち上げ、読取面を下向きにして、載置読取用コンタクトガラス12に原稿を載置する。
【0040】
又、図2に示すように、画像読取部1の筐体内に、第1移動枠61(光学部に相当)、第2移動枠62(光学部に相当)、ワイヤー63(移動部に相当)、巻取ドラム64(移動部に相当)、レンズ14と、原稿に照射された光が入射され、1ライン毎に原稿を読み取り、画像データを生成するためのイメージセンサー15等が配される。
【0041】
第1移動枠61は、主走査方向に沿って原稿に光を照射する光源610と下方に第1ミラー611を支持する。尚、光源610として、LEDランプや蛍光管(例えば、冷陰極管)によるランプなどを用いることができ、特にランプの種類に制限はない。そして、第2移動枠62は、上方に第2ミラー622を、下方で第3ミラー623を支持する。又、第1移動枠61は第2移動枠62の上方に配される。尚、光源610、第1ミラー611、第2ミラー622、第3ミラー623は、主走査方向(図2の紙面垂直方向)に延びる形状である。
【0042】
複数本のワイヤー63が、第1移動枠61及び第2移動枠62には取り付けられる(尚、図2では、便宜上、ワイヤー63は1本のみ図示)。又、ワイヤー63の他端は巻取ドラム64に接続される。巻取ドラム64は、巻取モーター65(移動部に相当、図4参照)を駆動源とする。巻取モーター65の正逆回転により、巻取ドラム64は正逆回転する。これにより、第1移動枠61と第2移動枠62を水平方向に自在に移動させることができる。尚、各移動枠の位置による光源610からイメージセンサー15までの光路長の差を少なくするため、画像読取部1内部では複数のプーリー(不図示)が設けられる。そして、ワイヤー63の張り方とプーリーに対するワイヤー63の架け回しは第1移動枠61と第2移動枠62で異なっており、例えば、第1移動枠61の移動距離を1とすると、第2移動枠62の移動距離は0.5とされる(第1移動枠61の方が速く移動される)。
【0043】
光源610から発せられた光は、搬送読取用コンタクトガラス11上の原稿に当たり反射する。第1ミラー611、第2ミラー622、第3ミラー623は、反射させつつ反射光をレンズ14に導く。レンズ14は、反射光を集光しイメージセンサー15に入射する。イメージセンサー15は、例えば、ライン状に受光素子R(光電変換素子)を複数並べたラインセンサー7を含む(詳細は後述)。
【0044】
そして、イメージセンサー15の各受光素子R(各画素)は、反射光のレベル(受光量)に応じてアナログの電気信号に変換する。原稿の主走査方向(原稿搬送方向と垂直な方向)にライン単位で読取が行われ、ライン単位の読取を副走査方向(原稿搬送方向)に連続して繰り返し行って、1枚の原稿が読み取られる。
【0045】
ここで、具体的な原稿読取動作の一例を説明しておく。まず、原稿搬送部2により搬送される原稿の読取の場合、巻取モーター65が駆動し、第1移動枠61と第2移動枠62は、搬送読取用コンタクトガラス11の下方位置に固定される。そして、通過する原稿に対し光源610は光を照射する。一方、載置読取用コンタクトガラス12上に載置された原稿を読み取る場合、光源610を点灯させつつ第1移動枠61及び第2移動枠62を巻取ドラム64やワイヤー63等により、ホームポジションから図2の右方向に水平に移動させる。そして、イメージセンサー15による、走査動作を、順次原稿先頭から後端まで連続的に行うことで、原稿全体が読み取られ、原稿画像が電気信号に変換される。
【0046】
(複合機200のハードウェア構成)
次に、図3に基づき本発明の実施形態に係る複合機200のハードウェア構成の一例を説明する。図3は、複合機200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0047】
まず、複合機200には、複合機200の全体の制御を司る主制御部8が設けられる。主制御部8には、中央演算処理装置として、CPU81が設けられる。又、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)やHDD(Hard disk drive)やフラッシュROM等の不揮発性と揮発性のメモリからなる記憶装置82が、主制御部8内(主制御部8外でもよい)に設けられる。
【0048】
記憶装置82は、複合機200を制御するためのプログラム、データ等を記憶する。主制御部8は、記憶部16のプログラムやデータを利用して、各部を制御し、印刷を行わせる。尚、主制御部8は、全体制御や通信制御や画像処理を行うメイン制御部や、トナー像形成制御や各種回転体を回転させるモーター等のON/OFF等を行い、印刷を制御するエンジン制御部等、機能ごとに分割して複数種設けられてもよい。
【0049】
又、主制御部8には、画像読取装置100から出力される画像データに基づき、画像処理を行う画像処理部83が設けられる。例えば、画像処理部83は、ASICや画像メモリー等で構成され、濃度変換処理や、拡大縮小処理や、回転処理や、画像データの圧縮、伸張処理などの各種画像処理を行える。尚、画像処理部83は、その他の画像処理(例えば、枠消し処理)等を行うこともできるが、公知の画像処理を行えるものとして説明を割愛する。
【0050】
そして、主制御部8は、給紙部4a、搬送路4b、画像形成部5a、中間転写部5b、定着部5c、操作パネル3等と接続される。主制御部8は、用紙搬送やトナー像形成等、各部の動作制御を行う。又、操作パネル3での設定やコピー実行指示は、主制御部8に伝達される。主制御部8は、画像読取装置100とも接続される。例えば、コピー実行時等、主制御部8は、画像読取装置100に対して動作指示を与え、原稿の画像データを画像読取部1から受け取り、画像データに基づき、画像形成部5aにトナー像形成(印刷)を行わせる(コピー)。
【0051】
又、複合機200には、外部との通信インターフェイスとしての通信部84を含む。通信部84は、例えば、外部のコンピューター300(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)やFAX装置400と、ネットワークやケーブルや公衆回線を介して通信を行う。通信部84は、例えば、ネットワークやケーブルや公衆回線と接続するための複数のコネクタや、通信制御用のコントローラー、チップ、モデム等の通信用回路を含む。この通信部84により、複合機200はコンピューター300等から画像データや印刷の設定データを含む印刷用データを受け、印刷を行うことができる(プリンタ機能)。又、画像読取部1で原稿を読み取って得られた画像データを外部のコンピューター300やFAX装置400に送信することができる(送信機能)。
【0052】
(画像読取装置100のハードウェア構成)
次に、図4、図5に基づき、実施形態に係る画像読取装置100のハードウェア構成の一例を説明する。図4は、画像読取装置100の構成の一例を示すブロック図である。図5は、イメージセンサー15の構成の一例を示す説明図である。
【0053】
上述したように、本実施形態の画像読取装置100は、原稿搬送部2と画像読取部1を含む。そこで、まず、原稿搬送部2から説明する。
【0054】
原稿搬送部2は、コピー機能や送信機能を用いるため、原稿の読み取りを行うとき、原稿トレイ21に載置された原稿を搬送読取用コンタクトガラス11に向けて、1枚ずつ連続的、自動的に搬送する。原稿搬送部2は、ADF(Auto Document Feeder)と呼ばれることもある。
【0055】
そして、原稿搬送部2には、原稿搬送部2の動作の制御を行う原稿搬送制御部20が設けられる。原稿搬送制御部20は、上述の主制御部8や読取制御部10と通信可能に接続される。原稿搬送制御部20は、例えば、中央演算処理装置としてのCPUや、制御用のプログラムやデータを記憶するROM、RAMを含む基板である。原稿搬送制御部20は主制御部8等と通信を行い、又、主制御部8等からの原稿搬送開始の指示を受け、原稿搬送部2の動作制御を行う。例えば、主制御部8から原稿の読取指示があった場合、原稿搬送モーター28を駆動させ、原稿供給ローラー22や原稿搬送ローラー対24等を回転させる。
【0056】
次に、画像読取部1を説明する。まず、画像読取部1には、画像読取部1の動作の制御を行う読取制御部10が設けられる。読取制御部10は、上述の主制御部8や原稿搬送制御部20と通信可能に接続される。そして、読取制御部10は、主制御部8からの指示、信号を受け、原稿の読み取りを行う。読取制御部10は、処理装置としてのCPUやASICを含む基板である。
【0057】
そして、読取制御部10には、画像読取装置100の制御に必要なプログラム、データを記憶するROM、RAMを含む記憶部16が通信可能に接続される。尚、記憶部16は、読取制御部10に実装される形態でもよい。
【0058】
そして、例えば、操作パネル3のスタートキー32が押された場合等、コピー機能や送信機能を用いるため、原稿の読み取りを行うとき、主制御部8の指示を受け、読取制御部10は、画像読取部1内の各部材の動作制御や、読取で得られた画像データの主制御部8への送信制御を行う。
【0059】
又、読取制御部10は、巻取モーター65と接続される。これにより、巻取モーター65の回転を制御し、巻取ドラム64を回転させ、各移動枠(第1移動枠61、第2移動枠62)を水平方向に移動させる。例えば、巻取モーター65はパルスモーターである。そして、読取制御部10は、各移動枠を移動させる分だけのパルスを巻取モーター65に入力する。これにより、読取制御部10から受けたパルス数だけ巻取モーター65が回転し、各移動枠が移動する。
【0060】
例えば、巻取モーター65は、1パルスあたり、1画素分(例えば、600dpiならば約0.0423mm)、第1移動枠61を移動させる。これにより、搬送読取用コンタクトガラス11内でのイメージセンサー15の読取ラインの位置を1画素単位でずらすことができる。
【0061】
又、読取制御部10は、光源610を点灯させる点灯回路612やイメージセンサー15やA/D変換部17(生成部に相当)や補正処理部18等と接続され、主制御部8からの指示に応じ、原稿の読み取りを行うべき旨の指示、言い換えると、駆動すべき旨の指示を与える。
【0062】
点灯回路612は、光源610を点灯させる回路である。例えば、光源610がLEDの場合、点灯回路612はLEDに直流電流を流す回路である。又、光源610が蛍光管(例えば、冷陰極管)の場合、点灯回路612は、例えばインバーターである。そして、読取制御部10は、主制御部8からの読み取り開始の指示に基づき、点灯回路612に光源610を点灯させる。
【0063】
イメージセンサー15は、原稿に照射された光を受け、各画素についてR(Red)、G(Green)、B(Blue)、Bk(Black/White)の4種のアナログの電気信号を出力する。各画素の電気信号の大きさは、受光量に応じ異なる。
【0064】
ここで、図5を用いて、本実施形態に係るイメージセンサー15の構成を説明する。本実施形態のイメージセンサー15は、例えば、600dpiでの読み取りが可能である。そして、図5に示すように、イメージセンサー15には、主走査方向(複合機200の前後方向、原稿搬送方向と垂直な方向)にのびるラインセンサー7が4つ設けられる。
【0065】
例えば、各ラインセンサー7は、図4に示すように、ラインセンサー7Bk/W(白黒用)、ラインセンサー7B(ブルー用)、ラインセンサー7G(グリーン用)、ラインセンサー7R(レッド用)の順に設けられる。尚、各色の配置、順番は、入れ替えてもよい。又、以下の説明では、Bk/W、B、G、Rの色の区別を示す符号を省略して、単にラインセンサー7と称することがある。そして、4つのラインセンサー7を同時に動作させることができる。
【0066】
本実施形態の画像読取装置100、複合機200では、操作パネル3で白黒(白黒モード)で原稿読み取りを行うか、カラー(カラーモード)で原稿の読み取りを行うかを設定することができる。従って、操作パネル3は、原稿読み取りでのカラー設定(白黒モードとカラーモードの選択)を受け付ける入力部として機能する。
【0067】
そして、白黒(白黒モード)での読み取りを行うとき、ラインセンサー7Bk/Wを用いて原稿の読み取りがなされる。言い換えると、白黒での読み取りを行うとき、ラインセンサー7Bk/Wの出力に基づき画像データが生成される。
【0068】
一方、カラー(カラーモード)での読み取りを行うとき、ラインセンサー7B(ブルー用)、ラインセンサー7G(グリーン用)、ラインセンサー7R(レッド用)を用いて原稿の読み取りがなされる。言い換えると、白黒での読み取りを行うとき、ラインセンサー7B(ブルー用)、ラインセンサー7G(グリーン用)、ラインセンサー7R(レッド用)の出力に基づき、R、G、Bの画像データが生成される。尚、主制御部8の画像処理部83は、R、G、Bの画像データから輝度情報(白黒を示す情報)を生成できる。
【0069】
そして、図5に示すように、4本の各ラインセンサー7は、相互に平行に配される。そして、各ラインセンサー7には、それぞれ受光素子R(光電変換素子)がライン状に並べられる。例えば、ラインセンサー7B、ラインセンサー7G、ラインセンサー7Rには、それぞれの色ごとに色分解フィルタが設けられる。一方、ラインセンサー7Bk/Wには、色分解フィルタは設けられていない。
【0070】
又、図5に示すように、例えば、ラインセンサー7Bk/Wとラインセンサー7Bの間隔D1と、ラインセンサー7Bとラインセンサー7Gの間隔D1と、ラインセンサー7Gとラインセンサー7Rの間隔D1は等しくされる。
【0071】
又、読取制御部10は、ホームポジションセンサーHSと接続される。ホームポジションセンサーHSは、第1移動枠61がホームポジションに到達したことを検知するセンサーである。第1移動枠61は、ジョブが完了するとホームポジションに戻る。ホームポジションは任意に定めることができるが、例えば、載置読取用コンタクトガラス12と搬送読取用コンタクトガラス11の間の下方とされる。尚、第1移動枠61の位置に応じて第2移動枠62の位置は予め決まっているので、第1移動枠61をホームポジションにあわせることにより、第2移動枠62もホームポジションに戻るといえる。
【0072】
又、例えば、ホームポジションからどれだけ移動させた範囲が、第1移動枠61が搬送読取用コンタクトガラス11の下方に位置するか(イメージセンサー15の読取ラインが搬送読取用コンタクトガラス11上に位置する範囲)を示す情報が、記憶部16に記憶される。原稿を搬送して読み取りを行うとき(搬送読取用コンタクトガラス11を通過する原稿を読み取るとき)、読取制御部10は、イメージセンサー15内の各ラインセンサー7の読取ラインが搬送読取用コンタクトガラス11内に収まる範囲内で、第1移動枠61を移動させ、第1移動枠61や第2移動枠62を搬送読取用コンタクトガラス11の下方で固定する。
【0073】
又、読取制御部10は、載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿の読み取りを行うとき、巻取モーター65を動作させ、ホームポジションから第1移動枠61や第2移動枠62を載置読取用コンタクトガラス12の左端から右端方向に移動させる。
【0074】
又、A/D変換部17は、イメージセンサー15によって得られた各画素のアナログの電気信号の転送を受けて、量子化を行ってディジタル信号に変換し、画像データを生成する。これにより、濃度を示す画素値が各画素に与えられる。例えば、A/D変換部17は、R、G、B、Bkについて、例えば、それぞれ8〜10ビットに量子化を行う。
【0075】
補正処理部18は、A/D変換部17が出力した画像データを受け、画像処理を施す。尚、本実施形態では、補正処理部18を画像読取部1に、画像処理部83を主制御部8に設ける例を説明するが、例えば、画像処理部83を本体側に一つだけ設け、1つだけ設けた画像処理部83に、本説明での補正処理部18の処理と画像処理部83の処理を行わせるようにしてもよい。
【0076】
補正処理部18は、画像データの処理のための作業領域であるワークメモリや画像処理用の回路を含む。補正処理部18は、画像データに対し、ガンマ補正やシェーディング補正等、光源610やイメージセンサー15等の特性に由来する歪みを補正する。そして、補正処理部18によって処理された画像データは、画像メモリー19に蓄えられた後、主制御部8に転送される。更に、主制御部8は、印刷を行うとき、画像処理部83による画像処理後の画像データを露光装置51に送信し、画像データに基づく印刷(トナー像形成)を行わせる。あるいは、主制御部8は、送信を行うとき、画像処理部83による画像処理後の画像データを通信部84に送信し、外部のコンピューター300等への送信を行わせる。
【0077】
又、画像読取部1には、筋検知部9が設けられる。筋検知部9は、イメージセンサー15の出力(A/D変換部17が生成し補正処理部18が処理した画像データ)に基づき、各ラインセンサー7が読み取った画像データでの黒筋を発生させる異常画素を検知する。例えば、筋検知部9は、搬送読取用コンタクトガラス11への原稿通過前や搬送読取用コンタクトガラス11からの原稿通過後に、白色板27をイメージセンサー15(各ラインセンサー7)が読み取ったときの各色の画像データに基づき筋が発生しているか否かを検知する。この筋の検知の詳細は後述する。
【0078】
(搬送読取用コンタクトガラス11での読取ラインの位置)
次に、図6を用いて、本実施形態の各ラインセンサー7の搬送読取用コンタクトガラス11での読み取りを行うラインの位置について説明する。図6は、各ラインセンサー7の搬送読取用コンタクトガラス11での読み取りを行うラインの位置の一例を示す拡大説明図である。
【0079】
図6は、搬送読取用コンタクトガラス11及び第1ミラー611を複合機200の正面側(前側)から見た模式的な図である。尚、便宜上、光源610や第2移動枠62等の図示は省略している。
【0080】
原稿搬送部2により搬送される原稿の読み取りを行うとき、第1移動枠61は、搬送読取用コンタクトガラス11の下方に位置される。そして、搬送読取用コンタクトガラス11内での各ラインセンサー7が読み取りを行うライン(読取ライン)の位置は、上述のイメージセンサー15内の各ラインセンサー7の配置に応じ、本実施形態では、右側から順に白黒の読取ラインLBk、ブルーの読取ラインLB、グリーンの読取ラインLG、レッドの読取ラインLRとなる。
【0081】
本実施形態では、600dpiで原稿を読み取る。そのため、原稿での1画素の1辺の長さは、42.3μmとなる(23.4mm(1インチ)÷600)。この画素が各ラインセンサー7の各受光素子Rに対応する。一辺が42.3μmの画素は、レンズ14によって縮小され、受光素子Rのピッチに変換される。又、各色の読取ラインの間隔D2は、例えば、1画素の12倍、すなわち42.3[μm]×12≒0.5[mm]とされる。そのため、イメージセンサー15の各ラインセンサー7の間隔D1も約0.5mmをレンズ14の縮小率で割った長さとなる。
【0082】
(筋検知の概要)
次に、図4、図6を用いて、本実施形態での筋検知の概要を説明する。
【0083】
本実施形態の画像読取部1には、図4に示すように、各ラインセンサー7の搬送読取用コンタクトガラス11での読取ラインに黒筋の発生の原因となるキズや汚れの存在の有無を検知する筋検知部9が設けられる。
【0084】
筋検知部9は、白色板27を読み取ったときの各ラインセンサー7の画像データに基づき、黒筋を発生させる異常画素の有無を判断する。本来、白色板27を読み取ったので、主走査1ラインの画像データ内の各画素の画素値は、白色を示す値となるはずである。しかし、搬送読取用コンタクトガラス11にキズがあれば、読取ライン内のキズを読み取った位置の画素の画素値は、キズが無い部分に比べて暗くなる(グレーや黒)。又、搬送読取用コンタクトガラス11に汚れ、埃、ゴミ、糊、インクなどが付着していても、読取ライン内の汚れ等を読み取った位置の画素の画素値は、付着が無い部分に比べて暗くなる(グレーや黒)。
【0085】
そこで、筋検知部9は、白色板27を読み取ったときの各ラインセンサー7の画像データ(例えば、主走査1ライン分)内に、予め定められた閾値よりも暗い(濃い、黒い)方向の画素値を有する画素が存在するか否かを確認する。この予め定められた閾値は、例えば、画像読取部1内の記憶部16に記憶される。そして、筋検知部9は、記憶部16に記憶された閾値を読み出し、各色について、黒筋を発生させる異常な画素値を有する異常画素が画像データに含まれているか否か(存在するか否か)を検知する。
【0086】
尚、異常画素の検知の正確性を高めるため、同じ位置で白色板27を数回〜数十回(例えば、10回)読み取り、筋検知部9は、各読み取りで得られた画像データについて、各ラインセンサー7の1ライン分の画像データ内での異常画素の有無を判断し、予め定められた回数以上(例えば、5回以上)、同じ位置に異常画素があれば、異常画素があると判断してもよい。
【0087】
筋検知部9は、異常画素が含まれる色と異常画素が含まれない色を示す情報を読取制御部10に通知する。言い換えると、筋検知部9は、搬送読取用コンタクトガラス11での読取ライン上にキズや汚れが存在する色(ラインセンサー7)を読取制御部10に通知する。この通知を受け、図5で破線で示すように、読取制御部10は、各ラインセンサー7の搬送読取用コンタクトガラス11での読取ラインの位置がキズや汚れやゴミ等のない位置となるように、巻取モーター65を動作させ、各移動枠を移動できる。
【0088】
例えば、読取制御部10は、各色の読取ラインの間隔D2の単位(本実施形態では、12画素分)で、第1移動枠61を移動させる。この場合、読取制御部10は、巻取モーター65に12パルスを与え、12画素分、読取ラインの位置をキズや汚れ等を避ける位置にするため第1移動枠61を移動させる。
【0089】
(黒筋発生回避制御の流れ)
次に、図7、図8を用いて、本実施形態の画像読取装置100での黒筋発生を回避するための制御の流れの一例を説明する。図7は、原稿読取時の異常画素の有無を記憶する制御の流れの一例を示すフローチャートである。図8は、原稿読取開始時の黒筋発生回避制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0090】
まず、本実施形態の画像読取装置100(読取制御部10)は、前回の原稿読取時の第1移動枠61の位置のとき、各色の画像データに黒筋を発生させる異常画素が含まれたか否かを示す有無情報を、第1移動枠61の位置情報に関連付けて記憶する。そして、位置情報に関連付けた有無情報の記憶を、次の原稿読取のとき、1枚目の原稿読取からの黒筋発生の回避に利用する。
【0091】
尚、ワイヤー63の架け回しにより、第1移動枠61の位置に対する第2移動枠62の位置は予め決まっているので、第2移動枠62の位置を位置情報と扱うこともできるが、本実施形態では、第1移動枠61の位置に基づく位置情報を扱うものとして説明する。
【0092】
そこで、原稿読取のときにおける第1移動枠61の位置情報に関連付けた有無情報の記憶制御の流れを説明する。尚、第1移動枠61の位置情報に関連付けた有無情報の記憶は原稿搬送部2から複数の原稿が搬送されている間(例えば、原稿と原稿の間)でも行える。しかし、例えば、原稿に付着するインクや糊や修正液などの汚れの原因物が、原稿搬送中に搬送読取用コンタクトガラス11に付着することも考えられる。そこで、本説明では原稿トレイ21に載置された原稿のうち、最終ページの読み取り完了に伴い、第1移動枠61の位置情報に関連付けて有無情報を記憶する例を説明する。
【0093】
まず、図7のスタートは、原稿搬送部2を用いた原稿読取が開始された時点である。そして、読取制御部10は、原稿トレイ21に載置された原稿のうち、最終のページの原稿読み取りか否かを確認する(ステップ♯1)。この最後のページの原稿の読み取りか否かは、原稿検知センサー29(図4参照)の出力に基づき判断される。例えば、原稿検知センサー29は、原稿トレイ21の上面に設けられる反射型や透過型の光センサーである。原稿検知センサー29は、原稿トレイ21上の原稿の存在を検知しているときと検知していないときで出力が変化する。尚、原稿検知センサー29は、光センサーに限られず、原稿の存在の有無を検知できるものであればよい。
【0094】
原稿搬送制御部20は、原稿搬送中、原稿検知センサー29の出力を確認し、原稿トレイ21から原稿が無くなったことを検知する。原稿搬送制御部20は、原稿トレイ21から原稿が無くなったことを読取制御部10に通知する。この通知があったとき、読取制御部10は、最後のページの原稿読み取りであると認識する。
【0095】
もし、最終ページで無ければ(ステップ♯1のNo)、読取制御部10は、原稿搬送制御部20からの通知を待ち続ける(ステップ♯1のループ)。尚、このループの間、読取制御部10や原稿搬送制御部20は、原稿の読み取りの制御を行い、原稿の各ページの読み取りがなされる。
【0096】
一方、最終ページであれば(ステップ♯1のYes)、読取制御部10は、第1移動枠61を移動させないで、原稿が通過してから、白色板27の読み取りをイメージセンサー15に行わせる(ステップ♯2)。このとき、全色のラインセンサー7が読み取りを行う。尚、白色板27の読み取りの間、読取制御部10は光源610を点灯させる。
【0097】
そして、筋検知部9は、各色のラインセンサー7の出力に基づき生成された各色の画像データ(例えば、主走査1ライン分の画像データ)内に、筋を発生させる異常画素が存在するか否かを確認する(ステップ♯3)。
【0098】
そして、読取制御部10は、筋検知部9の検知結果に基づき、現在の第1移動枠61の位置情報(ホームポジションからの移動量、例えば、ホームポジションからのパルス数)に関連付けて、各色について異常画素の有無を示す有無情報を記憶部16に記憶させる(ステップ♯4)。
【0099】
例えば、全色の画像データに異常画素が含まれていなければ、読取制御部10は、第1移動枠61の位置情報に関連付けて全色について異常画素が含まれない旨の有無情報を記憶部16に記憶させる。又、例えば、レッドの画像データのみに異常画素が存在すれば、読取制御部10は、第1移動枠61の位置情報に関連付けてレッドには異常画素が含まれ、レッド以外の色(白黒、ブルー、グリーン)には異常画素が含まれない旨の有無情報を記憶部16に記憶させる。これにより、位置情報と有無情報の記憶制御は終了する(エンド)。
【0100】
次に、図8に基づき、原稿読取開始時の黒筋発生回避制御の流れを説明する。図8のスタートは、主制御部8が画像読取装置100(読取制御部10や原稿搬送制御部20)に対して、原稿読取開始要求が合った旨を通知した時点である。例えば、コピーや画像データの送信等のため、操作パネル3のスタートキー32が押されたことが、原稿読取開始要求となる。このとき、主制御部8は、操作パネル3での読み取りの色設定(白黒モードでの読み取りか、カラーモードでの読み取りか)を示す情報を合わせて読取制御部10に通知する。
【0101】
この通知を受け、読取制御部10は、記憶部16に記憶された前回の読み取りでの第1移動枠61の位置情報と有無情報を確認する(ステップ♯11)。そして、読取制御部10は、有無情報に基づき、前回の読み取りでの第1移動枠61の位置で、何れかの色の画像データ内で異常画素を検出したか否かを確認する(ステップ♯12)。
【0102】
もし、異常画素が無ければ(ステップ♯12のNo)、読取制御部10は、前回の読み取りでの位置情報に基づき、巻取モーター65を回転させ、前回の読み取りでの位置を搬送前位置として第1移動枠61を移動させる(ステップ♯13)。
【0103】
一方、異常画素があり(ステップ♯12のYes)、黒筋が発生しそうであれば、読取制御部10は、前回の読み取りとは異なる位置を搬送前位置として第1移動枠61を移動させる(ステップ♯14)。尚、後述するように、いずれかの色の画像データに異常画素が検知されたときの第1移動枠61の位置を示す異常位置情報と、異常画素が検知された色を示す異常色情報を記憶部16に累積して記憶させておくことができる。そこで、ステップ♯14で搬送前位置に第1移動枠61を移動させるとき、読取制御部10は、異常位置情報に基づき、いずれの色でも異常画素が検知されていない位置を搬送前位置として、第1移動枠61を移動させる。
【0104】
いずれにしても、搬送読取用コンタクトガラス11内でキズや汚れ等のない可能性が高い位置に、各色の搬送読取用コンタクトガラス11上の各ラインセンサー7の読取ラインが設定される。
【0105】
そして、読取制御部10は、これから実行する原稿の読み取りを白黒で行うか否か(白黒モードでの読み取りか)を確認する(ステップ♯15)。もし、白黒での読み取りで無ければ(カラーでの読み取りであれば、ステップ♯15のNo)、短時間の間で、ブルー、グリーン、レッドの3色とも異常画素が発生しないように読取ラインの位置を探し当て、設定することは困難なので、読取制御部10は、搬送前位置を原稿読み取りの実行位置と設定する(ステップ♯16)。言い換えると、読取制御部10は、カラーモードのとき第1移動枠61を搬送前位置で固定したまま原稿の読み取りを行わせる。
【0106】
尚、後述するように、いずれかの色の画像データに異常画素が検知されたときの第1移動枠61の位置を示す異常位置情報と、異常画素が検知された色を示す異常色情報を記憶部16に累積して記憶させておくことができる。そこで、カラーの読み取りのとき、ステップ♯16では、読取制御部10は、搬送前位置を原稿読み取りの実行位置と設定せず、異常位置情報に基づき、少なくとも、R、G、Bの各ラインセンサーが読み取った画像データに異常画素が検知されていない位置となるように(R、G、Bの3色で搬送読取用コンタクトガラス11での読取ラインの位置の位置がキズや汚れの無い位置となるように)に第1移動枠61を移動させ、移動後の位置をカラーモードのときの第1移動枠61の読み取りでの位置としてもよい。そして、本制御が終了し、実際に、原稿搬送部2が原稿搬送を開始し、画像読取部1は原稿の読み取りを開始する(エンド)。
【0107】
一方、白黒での読み取りで有れば(ステップ♯15のYes)、読取制御部10は、搬送前位置に第1移動枠61を固定した状態で、光源610を点灯させ、イメージセンサー15の全てのラインセンサー7に白色板27の読み取りを行わせる(ステップ♯17)。そして、筋検知部9が、各色の画像データに基づき、主走査方向のライン上に黒筋を発生させる異常画素の検知を行う(ステップ♯18)。
【0108】
読取制御部10は、筋検知部9の検知結果を受けて、白黒のラインセンサー7Bk/Wの画像データに異常画素が含まれているかを確認する(ステップ♯19)。言い換えると、読取制御部10は、ラインセンサー7Bk/Wの搬送読取用コンタクトガラス11での読取ライン上にキズや汚れ等や有るか否かを確認する(ステップ♯19)。
【0109】
もし、白黒のラインセンサー7Bk/Wの画像データに異常画素が含まれていなければ(ステップ♯19のNo)、読取制御部10は、搬送前位置を原稿読み取りの実行位置と設定する(ステップ♯20)。言い換えると、読取制御部10は、第1移動枠61を搬送前位置で固定したまま白黒用のラインセンサー7Bk/Wを用いて、原稿の読み取りを行わせる。
【0110】
一方、白黒のラインセンサー7Bk/Wの画像データに異常画素が含まれていれば(黒筋が発生するのであれば、ステップ♯19のYes)、読取制御部10は、筋検知部9の検知結果に基づき、カラー読取用のラインセンサー7(ラインセンサー7B、ラインセンサー7G、ラインセンサー7R)の画像データに異常画素が含まれているかを確認する(ステップ♯21)。
【0111】
もし、画像データに異常画素が含まれていない色が有れば(ステップ♯21のNo)、読取制御部10は、異常画素が含まれていない色の搬送読取用コンタクトガラス11での読取ラインの位置が白黒用のラインセンサー7Bk/Wの読取ラインの位置となるように、巻取モーター65を制御して、第1移動枠61を移動させる(ステップ♯22)。
【0112】
一方、全色の画像データに異常画素が含まれていれば(ステップ♯21のYes)、読取制御部10は、第1移動枠61を移動させ、搬送前位置からずらした位置を原稿読み取りの実行位置と設定する(ステップ♯23)。例えば、読取制御部10は、移動後の各色の搬送読取用コンタクトガラス11上での読取ラインの位置が、搬送前位置でのいずれの色の搬送読取用コンタクトガラス11上での読取ラインの位置と重複しない位置に第1移動枠61を移動させる。あるいは、読取制御部10は、異常画素が検知されたことの無い位置に第1移動枠61を移動させてもよい。
【0113】
そして、ステップ♯22とステップ♯23の後、読取制御部10は、異常画素が検知されたときの第1移動枠61の位置を示す異常位置情報と、異常画素が検知された色を示す異常色情報を記憶部16に記憶させる(ステップ♯24)。そして、ステップ♯24の後、本制御が終了し、実際に、原稿搬送部2が原稿搬送を開始し、画像読取部1は原稿の読み取りを開始する(エンド)
【0114】
このようにして、本実施形態の画像読取装置100は、原稿をコンタクトガラス(搬送読取用コンタクトガラス11)に向けて搬送する原稿搬送部2と、コンタクトガラスと搬送される原稿を挟むように設けられる白色板27と、主走査方向のラインの読み取りを行うイメージセンサー15と、コンタクトガラスを通過する原稿に主走査方向に沿って光を照射し、原稿からの反射光をイメージセンサー15に導く光学部(第1移動枠61、第2移動枠62)と、光学部を副走査方向で移動させる移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)と、イメージセンサー15の出力に基づき、画像データを生成する生成部(A/D変換部17)と、画像データに基づき黒筋を発生させる異常画素を検知する筋検知部9と、前回の読み取りでの光学部の位置情報と、位置情報に対応させて前回の読み取りでの異常画素の有無を示す有無情報を記憶する記憶部16と、を有し、原稿の読み取り開始前、移動部は、有無情報に基づき、前回の読み取りで異常画素が無ければ前回の原稿読み取りと同じ位置であり、前回の読み取りで異常画素が有れば前回の原稿読み取りと異なる位置である搬送前位置に光学部を移動させ、光学部は搬送前位置でコンタクトガラスに向けて光を照射し、イメージセンサー15は読み取りを行い、筋検知部9は、搬送前位置での画像データでの異常画素の有無を検知し、移動部は、筋検知部9が異常画素の存在を検知しないとき、原稿読取開始に際して光学部を移動させず、筋検知部9が異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に光学部を搬送前位置と異なる位置に移動させる。
【0115】
移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)は、搬送前位置に光学部(第1移動枠61、第2移動枠62)を移動させる。これにより、イメージセンサー15がコンタクトガラス(搬送読取用コンタクトガラス11)内で読み取りを行うライン位置(読取ラインの位置)を、筋を発生させるようなキズや汚れの無い可能性が高い位置に合わせることができる。従って、読み取った画像データでの黒筋発生確率を下げることができる。又、原稿の読取開始前に、前もって搬送前位置でのコンタクトガラスでの読取ラインでのキズや汚れの有無を確認し、黒筋発生のおそれが無ければ搬送前位置のまま原稿の読み取りが開始され、黒筋発生のおそれが有れば光学部が移動される。従って、原稿読取開始前にラインの読み取りを1回行うだけで、イメージセンサー15のコンタクトガラスでの読取ラインの位置を、筋が発生しない位置にあわせることができ、原稿の1枚目からの黒筋の発生を無くすことができる。
【0116】
又、イメージセンサー15は、白黒読取用ラインセンサー7と複数色分のカラー読取用ラインセンサー7を含み、白黒で原稿を読み取るとき、移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)は、筋検知部9が搬送前位置での白黒の画像データに異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に、白黒読取用ラインセンサー7が読み取りを行うコンタクトガラス(搬送読取用コンタクトガラス11)での読取ラインの位置が、異常画素が無いと検知された色のカラー読取用ラインセンサー7が読み取りを行ったコンタクトガラスでの読取ラインの位置となるように光学部(第1移動枠61、第2移動枠62)を移動させる。
【0117】
これにより、白黒のラインセンサー7が読み取るコンタクトガラス(搬送読取用コンタクトガラス11)での読取ラインに筋を発生させるキズや汚れが有れば、コンタクトガラス内での白黒のライン位置が、異常画素(キズや汚れ)等の無いと検知された色(ラインセンサー7)の読取ラインの位置に合わせられる。従って、原稿読取開始前に、ラインの読み取りを1回行うだけで、白黒読取用のラインセンサー7のコンタクトガラスでの読取ラインの位置が、汚れやキズの無いに位置に合わせられ、1枚目の原稿読み取りでの筋の発生を防ぐことができる。
【0118】
又、移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)は、筋検知部9が搬送前位置での全色の画像データで異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に、白黒読取用ラインセンサー7が読み取りを行うコンタクトガラス(搬送読取用コンタクトガラス11)での読取ラインの位置を、搬送前位置でのいずれの色の読取ラインの位置から外れるように光学部(第1移動枠61、第2移動枠62)を移動させる。これにより、全ての色のコンタクトガラスでの読取ライン内に汚れやキズがあるとき、どの色の読取ラインの位置に白黒読取用ラインセンサー7の読取ラインの位置をあわせても黒筋が発生してしまうところ、意図的に、筋の発生する可能性が低い位置に光学部(第1移動枠61、第2移動枠62)を移動させ、ブラックの読取ラインでの筋の発生確率を下げることができる。
【0119】
又、白黒読取用ラインセンサー7及びカラー読取用ラインセンサー7が読み取りを行うコンタクトガラス(搬送読取用コンタクトガラス11)での各色の読取ラインの間隔は、一定間隔となるように設定され、移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)は、原稿読取開始前に搬送前位置から光学部(第1移動枠61、第2移動枠62)を移動させるとき、一定の間隔で光学部を移動させる。これにより、一定の間隔で光学部を移動させて、白黒読取用ラインセンサー7のコンタクトガラスでの読取ラインの位置を、汚れの付着やキズの付着の無い位置にずらすことができる。
【0120】
又、記憶部16は、前回の読み取りでの最終頁の読み取り完了時の光学部(第1移動枠61、第2移動枠62)の位置情報と有無情報を記憶する。これにより、記憶部16が記憶すべきデータを絞りつつ、読取ラインに筋が現れない可能性が高い搬送前位置を設定することができる。
【0121】
又、記憶部16は、異常画素が検知されたときの光学部(第1移動枠61、第2移動枠62)の位置を示す異常位置情報を記憶し、移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)は、異常位置情報に基づき、異常画素の検知されていない位置が搬送前位置となるように光学部を移動させる。これにより、読取ラインで筋が現れない可能性が高い搬送前位置を設定することができる。
【0122】
又、画像形成装置(例えば、複合機200)は、本実施形態に係る画像読取装置100を含む。これにより、原稿読取開始前に、ラインの読み取りを1回行うだけで、1枚目の原稿から筋の発生が極めて抑えられた画像データに基づき印刷を行える。従って、筋の発生が抑えられた高画質の画像形成装置を提供することができる。
【0123】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、画像読取装置やこれを備えた画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 画像読取部 11 搬送読取用コンタクトガラス
15 イメージセンサー 16 記憶部
17 A/D変換部(生成部) 2 原稿搬送部
27 白色板 61 第1移動枠(光学部)
62 第2移動枠(光学部) 63 ワイヤー(移動部)
64 巻取ドラム(移動部) 65 巻取モーター(移動部)
7(7Bk/W、7B、7G、7R) ラインセンサー
7Bk/W ラインセンサー(白黒読取用ラインセンサー)
7B ラインセンサー(カラー読取用ラインセンサー)
7G ラインセンサー(カラー読取用ラインセンサー)
7R ラインセンサー(カラー読取用ラインセンサー)
9 筋検知部 100 画像読取装置
200 複合機(画像形成装置) D2 間隔(一定間隔)
LBk 読取ライン(白黒) LB 読取ライン(ブルー)
LG 読取ライン(グリーン) LR 読取ライン(レッド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿をコンタクトガラスに向けて搬送する原稿搬送部と、
前記コンタクトガラスと搬送される原稿を挟むように設けられる白色板と、
主走査方向のラインの読み取りを行うイメージセンサーと、
前記コンタクトガラスを通過する原稿に主走査方向に沿って光を照射し、原稿からの反射光を前記イメージセンサーに導く光学部と、
前記光学部を副走査方向で移動させる移動部と、
前記イメージセンサーの出力に基づき、画像データを生成する生成部と、
画像データに基づき黒筋を発生させる異常画素を検知する筋検知部と、
前回の読み取りでの前記光学部の位置情報と、前記位置情報に対応させて前回の読み取りでの前記異常画素の有無を示す有無情報を記憶する記憶部と、を有し、
原稿の読み取り開始前、
前記移動部は、前記有無情報に基づき、前回の読み取りで前記異常画素が無ければ前回の原稿読み取りと同じ位置であり、前回の読み取りで前記異常画素が有れば前回の原稿読み取りと異なる位置である搬送前位置に前記光学部を移動させ、
前記光学部は前記搬送前位置でコンタクトガラスに向けて光を照射し、前記イメージセンサーは読み取りを行い、前記筋検知部は、前記搬送前位置での画像データでの前記異常画素の有無を検知し、
前記移動部は、前記筋検知部が前記異常画素の存在を検知しないとき、原稿読取開始に際して前記光学部を移動させず、前記筋検知部が前記異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に前記光学部を前記搬送前位置と異なる位置に移動させることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記イメージセンサーは、白黒読取用ラインセンサーと複数色分のカラー読取用ラインセンサーを含み、
白黒で原稿を読み取るとき、
前記移動部は、前記筋検知部が前記搬送前位置での白黒の画像データに前記異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に、白黒読取用ラインセンサーが読み取りを行う前記コンタクトガラスでの読取ラインの位置が、異常画素が無いと検知された色の前記カラー読取用ラインセンサーが読み取りを行った前記コンタクトガラスでの読取ラインの位置となるように前記光学部を移動させることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記移動部は、前記筋検知部が前記搬送前位置での全色の画像データで前記異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に、白黒読取用ラインセンサーが読み取りを行う前記コンタクトガラスでの読取ラインの位置を、前記搬送前位置でのいずれの色の読取ラインの位置から外れるように前記光学部を移動させることを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記白黒読取用ラインセンサー及びカラー読取用ラインセンサーが読み取りを行う前記コンタクトガラスでの各色の読取ラインの間隔は、一定間隔となるように設定され、
前記移動部は、原稿読取開始前に前記搬送前位置から前記光学部を移動させるとき、前記一定の間隔で前記光学部を移動させることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前回の読み取りでの最終頁の読み取り完了時の前記光学部の位置情報と前記有無情報を記憶することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記異常画素が検知されたときの前記光学部の位置を示す異常位置情報を記憶し、
前記移動部は、前記異常位置情報に基づき、前記異常画素の検知されていない位置が前記搬送前位置となるように前記光学部を移動させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像読取装置を含むことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−248920(P2012−248920A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116619(P2011−116619)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】