説明

画像読取装置

【課題】センサ収納部に収納されたイメージセンサによって、コンタクトガラスを介して、イメージセンサと対向するシートの画像を読み取る画像読取装置に関し、センサ有能部に対する異物の進入を抑制可能な画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置1は、ADFユニット10によって、原稿搬送経路Rに沿って原稿を搬送しつつ、画像読取部30により、原稿の画像を読み取る。画像読取部30は、原稿搬送経路R側が開口された第1センサ収納部40内に、イメージセンサ31を収納し、開口をガラス部材32により閉塞して構成される。第1センサ収納部40は、上流開口縁に壁部41を有し、下流開口縁の2か所にガラス保持部材43が取り付けられる取付凹部42を有している。ガラス部材32は、その端縁を壁部41に接触させた状態で、下流開口縁側で取付凹部42にガラス保持部材43を取り付けることで、壁部41に対して密着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ収納部に収納されたイメージセンサによって、コンタクトガラスを介して、イメージセンサと対向するシートの画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置においては、イメージセンサが、一面側が開放された箱状に形成された収納部内に配設されている。収納部の開口部は、コンタクトガラスにより閉塞されている。イメージセンサが、コンタクトガラスを介して、イメージセンサと対向するシートに対して、光を照射する。画像読取装置は、シートからの反射光を受光することにより、シートの画像を読み取るように構成されている。
【0003】
そして、このような画像読取装置では、シート由来の紙粉等の異物が、収納部の開口縁とコンタクトガラスの端縁の間から、収納部内に進入してしまう場合がある。そして、異物が収納部内に進入してしまうと、イメージセンサによる画像の読取を阻害し、画像読取装置における画像の読取品質を低下させてしまう。
【0004】
この点に鑑みて為された画像読取装置に関する発明として、特許文献1記載の発明が知られている。特許文献1記載の画像読取装置は、原稿が搬送される搬送経路に沿うように配設されたコンタクトガラスと、コンタクトガラスを介して、搬送経路を搬送される原稿の画像を読み取るCCD等を含む光学ユニットを有して構成されている。そして、特許文献1記載の画像読取装置において、コンタクトガラスは、その端縁に沿ったガイド部材の支持部によって支持固定されている。支持部は、コンタクトガラスの一端縁全体に渡って、その上面がコンタクトガラスの下面と略平行となるように、ガイド部材から突出して形成されている。支持部は、コンタクトガラスを下面側から支持する。支持部の上面には、溝状に形成された凹部が形成されている。コンタクトガラスとの隙間を介して進入した紙粉等の異物が凹部内に貯留され、光学系ユニット側への異物の進入が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−219952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1記載の画像読取装置においては、紙粉等の異物を支持部に形成された凹部に貯留することにより、光学系ユニットに対する異物の進入を抑制している。しかしながら、凹部に一度貯留された異物が凹部から漏れ出てしまうと、光学系ユニットに進入してしまう。従って、特許文献1記載の画像読取装置の場合、支持部の自由端側において、支持部の上面とコンタクトガラスの下面とを十分に密着させる必要がある。特許文献1においては、支持部の上面とコンタクトガラスの下面との密着性を高める為に何等の措置も講じられておらず、紙粉等の異物が凹部から光学系ユニットへ進入してしまうおそれがある。このように、従来の画像読取装置では、センサ収容部に対する異物の進入を抑制することができなかった。
【0007】
本発明は、センサ収納部に収納されたイメージセンサによって、コンタクトガラスを介して、イメージセンサと対向するシートの画像を読み取る画像読取装置に関し、センサ収納部に対する異物の進入を抑制可能な画像読取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る画像読取装置は、搬送経路と、搬送部と、読取部とを有し、搬送部によって、前記搬送経路に沿って、搬送方向へシートを搬送しつつ、前記搬送経路に沿う位置に配設された読取部によって、シートから画像を読み取る。読取部は、読取面を前記搬送経路側に有するイメージセンサと、搬送経路側が開放された凹状に形成され、前記イメージセンサを内部に収納するセンサ収納部と、センサ収納部の開口部を閉塞する平板状のガラス部材と、壁面と、ガラス保持部材を有している。壁面は、前記センサ収納部の開口縁の内、上流開口縁、及び下流開口縁の一方において、前記ガラス部材の端縁と前記シートの搬送方向において対向し、前記搬送経路側に延出している。そして、ガラス保持部材は、前記センサ収納部の開口縁の内、前記上流開口縁、及び前記下流開口縁の他方において、前記ガラス部材と接触することによって、ガラス部材の端縁を前記壁面に対して密着させる。従って、画像読取装置によれば、ガラス保持部材によって、ガラス部材の端縁を壁面に対して密着させることにより、紙粉等の異物がガラス部材と壁面の間を介してセンサ収納部内に進入することを抑制しうる。
【0009】
そして、本発明の他の側面に係る画像読取装置であって、前記ガラス保持部材は、押圧部材であり、前記ガラス部材を前記壁面側に押圧することによって、前記ガラス部材の端縁を前記壁面に対して密着させる。従って、画像読取装置によれば、押圧部材によって、ガラス部材の端縁を壁面に対して押圧して密着させることにより、紙粉等の異物がガラス部材と壁面の間を介してセンサ収納部内に進入することを抑制しうる。
【0010】
又、本発明の他の側面に係る画像読取装置であって、前記ガラス保持部材は、ガラス保持リブであり、前記センサ収納部の開口部を前記ガラス部材によって閉塞する際に、ガラス部材との接触に伴って塑性変形することによって、ガラス部材の端縁を前記壁面に対して密着させる。従って、画像読取装置によれば、ガラス部材をセンサ収納部の開口部に取り付けると同時に、ガラス保持リブを塑性変形させて、ガラス部材の端縁を壁面に対して密着させることができる。よって、紙粉等の異物がガラス部材と壁面の間を介してセンサ収納部内に進入することを抑制しうる。
【0011】
そして、本発明の他の側面に係る画像読取装置であって、前記壁面は、前記センサ収納部の前記上流開口縁において、前記ガラス部材の端縁と前記シートの搬送方向において対向し、前記ガラス保持部材は、前記センサ収納部の前記下流開口縁において、前記ガラス部材と接触することによって、ガラス部材の端縁を前記壁面に対して密着させる。従って、画像読取装置によれば、センサ収納部における上流開口縁において、ガラス部材の端縁を壁面に対して押圧して密着させることができる。よって、紙粉等の異物が上流開口縁を介してセンサ収納部内に進入することを抑制しうる。
【0012】
又、本発明の他の側面に係る画像読取装置は、搬送経路と、搬送部と、読取部とを有し、搬送部によって、前記搬送経路に沿って、搬送方向へシートを搬送しつつ、前記搬送経路に沿う位置に配設された読取部によって、シートから画像を読み取る。読取部は、読取面を前記搬送経路側に有するイメージセンサと、搬送経路側が開放された凹状に形成され、前記イメージセンサを内部に収納するセンサ収納部と、センサ収納部の開口部を閉塞する平板状のガラス部材と、シール部を有している。シール部は、シール壁と、溝部とを有しており、前記センサ収納部の上流開口縁と下流開口縁において、前記ガラス部材の端縁と密着する。シール壁は、樹脂によって形成され、前記上流開口縁及び前記下流開口縁に沿い、且つ、前記搬送経路側へ延出すると共に、前記シートの搬送方向において、前記ガラス部材の端縁と密着する。溝部は、前記センサ収納部に対して、前記シール壁よりも外側において、前記シール壁の基端部に沿って形成されている。従って、画像読取装置によれば、センサ収納部における上流開口縁及び下流開口縁におけるシール部において、シール壁とガラス部材の端縁を密着させることができる。よって、紙粉等の異物がセンサ収納部内に進入することを抑制しうる。
【0013】
そして、本発明の他の側面に係る画像読取装置であって、前記シール壁は、弾性変形可能な樹脂により形成され、弾性変形に伴う付勢力を前記ガラス部材の端面に対して作用させることにより、前記シートの搬送方向において、前記ガラス部材の端縁と密着する。従って、画像読取装置によれば、弾性変形に伴う付勢力によって、シール壁とガラス部材の端縁とを密着させることができる。よって、上流開口縁及び下流開口縁におけるシール部において、シール壁とガラス部材の端縁とを密着させることができる。従って、紙粉等の異物がセンサ収納部内に進入することを抑制しうる。
【0014】
又、本発明の他の側面に係る画像読取装置であって、前記シール壁は、塑性変形可能な樹脂により形成され、前記センサ収納部の開口部を前記ガラス部材によって閉塞する際に、ガラス部材との接触に伴って塑性変形することにより、前記シートの搬送方向において、前記ガラス部材の端縁と密着する。従って、画像読取装置によれば、ガラス部材をセンサ収納部の開口部に取り付けると同時に、シール壁を塑性変形させて、ガラス部材の端縁をシール壁に対して密着させることができる。よって、紙粉等の異物がセンサ収納部内に進入することを抑制しうる。
【0015】
又、本発明の他の側面に係る画像読取装置であって、前記ガラス部材は、前記下流開口縁におけるシール壁に対して、前記ガラス部材の端縁を前記搬送方向上流側から押し当てつつ、前記搬送方向上流側に位置するガラス部材の端縁を、前記上流開口縁におけるシール壁に接触させることにより、前記センサ収納部の開口部を閉塞するように取り付けられる。従って、画像読取装置によれば、下流開口縁のシール壁を基準として、ガラス部材をセンサ収納部の開口部に取り付けるので、下流開口縁におけるシール壁に対して、ガラス部材の端縁を密着させることができる。よって、紙粉等の異物がセンサ収納部内に進入することを抑制しうる。
【0016】
そして、本発明の他の側面に係る画像読取装置であって、前記ガラス部材における搬送方向上流側の端縁は、ガラス部材における搬送方向下流側よりも前記搬送経路側に位置する。従って、画像読取装置によれば、上流開口縁側のシール壁に対して、ガラス部材の端縁を押し付けやすい構成となり、上流開口縁において、ガラス部材とシール壁の密着性を高めることができる。これにより、画像読取装置は、上流開口縁側におけるセンサ収納部内への異物の進入を適切に抑制しうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像読取装置1の構成を示す側断面図である。
【図2】上記画像読取装置1の画像読取部30の構成を示す説明図である。
【図3】上記画像読取部30の構成を示す平面図である。
【図4】図3におけるI−I断面の側断面図である。
【図5】第2実施形態に係る画像読取部30の構成を示す平面図である。
【図6】図5におけるII−II断面の側断面図である。
【図7】第3実施形態に係る画像読取部30の構成を示す平面図である。
【図8】図7におけるIII−III断面の側断面図である。
【図9】第4実施形態に係る画像読取部30の構成を示す平面図である。
【図10】図9におけるIV−IV断面の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像読取装置を、画像読取部30を有する画像読取装置1に具体化した実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
(第1実施形態)
先ず、画像読取装置1の概略構成について、図1を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の説明においては、画像読取装置1が使用可能に設置された状態を基準として、図1に示す上下方向及び左右方向を定義する。図1における紙面手前側を前方、紙面奥側を後方として定義して説明する。
【0020】
図1に示すように、画像読取装置1は、上部カバー5と、本体筐体60とを有している。上部カバー5は、本体筐体60上面の後端縁を軸に開閉自在に配設されており、その左側部分に、ADF(Auto Document Feeder)ユニット10を備えている。ADFユニット10は、画像読取部30によって原稿の画像を読み取るために、原稿を所定の原稿搬送経路Rに沿って搬送するユニットである。ADFユニット10の構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
そして、本体筐体60は、画像読取装置1におけるスキャナ機能を実現するための各種構成部品を、本体筐体60内部に収容している。具体的には、本体筐体60は、その上部にスキャナユニット70を有している。スキャナユニット70は、原稿の画像を読み取る。スキャナユニット70の構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
ここで、上部カバー5は、本体筐体60上面の後端縁を軸に開閉自在に配設されている。上部カバー5は、図1に示すように、上部カバー5が閉じられた場合に本体筐体60上面、即ち、スキャナユニット70の上面を覆う。従って、上部カバー5が閉じられた場合、上部カバー5は、スキャナユニット70の読取対象としてセットされた原稿をその位置に固定しうる。
【0023】
そして、本体筐体60は、画像読取装置1の制御の中枢を担う制御部を収容している。制御部は、CPU、ROM、RAM等を有しており、画像読取装置1の各機能に係る制御を担う。従って、制御部は、ADFユニット10、スキャナユニット70等を制御することにより、画像読取装置1におけるスキャナ機能を実現する。
【0024】
次に、画像読取装置1におけるADFユニット10の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、ADFユニット10は、原稿載置部15と、原稿搬送経路Rと、原稿搬送機構部20と、駆動モータMと、画像読取部30とを主に備える。ADFユニット10は、原稿載置部15に載置された原稿を所定の原稿搬送経路Rに沿って搬送し、画像読取部30によって、搬送途中の原稿から画像を読み取る。
【0025】
原稿載置部15は、上部カバー5の左右方向における中央部分に形成された平面である。ADFユニット10による搬送対象である原稿は、その長辺が左右方向に沿った状態で原稿載置部15に載置される。つまり、原稿は、短辺が画像読取装置1の前後方向に沿った状態で原稿載置部15に載置される。原稿載置部15は、原稿搬送経路Rにおいて、ADFユニット10の下方に位置する一端部に沿って形成されている。
【0026】
原稿載置部15の上方には、仕切板16が、原稿載置部15との間に一定の間隔を隔てて形成されている。仕切板16は、ADFユニット10内部において、上方部分と下方部分とを区分する仕切りとして機能する。又、仕切板16の上面には、ADFユニット10によって搬送された原稿が積層される。
【0027】
そして、原稿載置部15の左側であって、前記仕切板16の下方には、ガイド部材17が配設されている。ガイド部材17は、原稿搬送経路Rにおいて、ADFユニット10の下部を左右方向に延びる部分を、その下面によって構成する。又、ガイド部材17は、原稿搬送経路Rの一部を構成する下面に、画像読取部30を構成する第1センサ収納部40を有している。
【0028】
原稿搬送経路Rは、画像読取装置1の左右方向に沿って、原稿載置部15からガイド部材17の下面に沿って延びている。原稿搬送経路Rは、仕切板16表面を接続するように、ADFユニット10内部に形成されている。原稿搬送経路Rは、Uターン経路Ruを有している。上述したように、原稿は、原稿載置部15において、原稿の長辺が画像読取装置1の左右方向に沿って載置されている。原稿は、画像読取装置1の左右方向に沿って延びる原稿搬送経路Rに従って搬送される。従って、原稿は、その短辺が画像読取装置1の前後方向に沿った状態で、原稿搬送経路R上を搬送される。
【0029】
図1に示すように、Uターン経路Ruは、ADFユニット10内のガイド部材17よりも左側部分に、側面視略U字状に形成されている。Uターン経路Ruは、原稿載置部15から左方向に向かって搬送された原稿の搬送方向を180度変換しつつ、仕切板16表面に導くための経路である。従って、Uターン経路Ruは、原稿搬送経路Rの内、上部カバー5における最も左側に位置する。尚、本実施形態においては、原稿載置部15表面から原稿搬送経路Rに沿って仕切板16へ向かう方向を原稿の搬送方向という。
【0030】
そして、原稿搬送機構部20は、ADFユニット10において、原稿載置部15に載置された原稿を、給紙・搬送する為の機構部である。原稿搬送機構部20は、駆動モータMの駆動力が伝達されることにより、原稿を原稿搬送経路Rに沿って搬送方向下流側へ搬送する。
【0031】
原稿搬送機構部20は、原稿供給ローラ21、原稿接触部材21A、原稿分離ローラ22、分離パッド23、原稿搬送ローラ対24、メインローラ25、第1従動ローラ26、及び第2従動ローラ27を有している。原稿供給ローラ21は、原稿載置部15の搬送方向下流側において原稿搬送経路Rを搬送される原稿の下面に沿う位置に回転自在に支持されている。原稿供給ローラ21は、駆動モータMの駆動により、原稿載置部15に載置された原稿を搬送方向下流側へ搬送する。
【0032】
原稿接触部材21Aは、原稿搬送経路Rを介して、原稿供給ローラ21と対向する位置に揺動自在に配設されている。原稿接触部材21Aは、原稿供給ローラ21上に位置する原稿の上面と接触している。原稿接触部材21Aは、原稿載置部15に積載された原稿を、原稿供給ローラ21に押圧する。又、原稿接触部材21Aは、原稿の分離を円滑に行うために、原稿を捌く機能を有する。
【0033】
原稿分離ローラ22は、原稿供給ローラ21よりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路Rを搬送される原稿の下面に沿う位置に回転自在に支持されている。原稿分離ローラ22は、駆動モータMの駆動に伴って回転する。そして、原稿分離ローラ22は、分離パッド23と協働することで、一枚の原稿のみを分離して搬送方向下流側へ搬送する。
【0034】
分離パッド23は、所定の可撓性及び摩擦係数を有する材料で構成された薄板状の部材である。分離パッド23は、原稿接触部材21Aよりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路Rを介して、原稿分離ローラ22と対向する位置に配設されている。そして、分離パッド23は、原稿分離ローラ22上に位置する原稿の上面に接触するように配設されている。分離パッド23は、原稿に摩擦力を付与することによって、原稿分離ローラ22と協働して、原稿を一枚ずつに分離する。
【0035】
原稿搬送ローラ対24は、原稿分離ローラ22及び分離パッド23よりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路Rを介して相互に対向する位置に回転自在に支持されている。原稿搬送ローラ対24の内、原稿搬送経路Rの上部に位置するローラは、駆動モータMの駆動力によって回転駆動する。原稿搬送経路Rの下部に位置するローラは、対向するローラの回転に伴って従動する。原稿搬送ローラ対24は、原稿分離ローラ22等によって一枚ずつに分離された原稿を挟持しつつ回転する。これにより、原稿搬送ローラ対24は、原稿を、原稿搬送経路Rに沿って搬送方向下流側に搬送する。
【0036】
メインローラ25は、原稿搬送経路Rを構成するUターン経路Ruに沿う位置に回転自在に支持されている。メインローラ25は、駆動モータMの駆動により回転駆動する。又、メインローラ25の外周面は、Uターン経路Ruの一部を構成する。メインローラ25は、回転することによって、原稿搬送ローラ対24から搬送された原稿を、Uターン経路Ruに沿って搬送する。
【0037】
第1従動ローラ26は、メインローラ25の下側において、原稿搬送経路R、即ち、Uターン経路Ruを介して対向する位置に回転可能に支持されている。第1従動ローラ26は、メインローラ25の回転に伴って従動する。又、第2従動ローラ27は、メインローラ25の上側において、原稿搬送経路R、即ち、Uターン経路Ruを介して対向する位置に回転可能に支持されている。第2従動ローラ27は、メインローラ25の回転に伴って従動する。従って、原稿は、メインローラ25、第1従動ローラ26、及び第2従動ローラ27の回転によって、Uターン経路Ruに従って搬送される。
【0038】
駆動モータMは、ADFユニット10における原稿の搬送に関する駆動源である。駆動モータMは、制御部の制御に従って駆動する。図1に示すように、駆動モータMは、その一部が本体筐体60側に突出するように配設されている。従って、画像読取装置1は、上部カバー5の内部、即ち、ADFユニット10の内部に、駆動モータM全体を収納する場合と比較して、上部カバー5の厚み、即ち、上下方向の寸法を小さくしうる。
【0039】
図1に示すように、画像読取部30は、原稿搬送ローラ対24よりも搬送方向下流側であり、且つ、メインローラ25及び第1従動ローラ26よりも搬送方向上流側において、原稿搬送経路Rに沿った位置に配設されている。図2に示すように、第1実施形態に係る画像読取部30は、イメージセンサ31と、ガラス部材32と、スプリング33と、スペーサ34と、第1センサ収納部40とを有する。画像読取部30は、原稿搬送経路Rに沿って搬送される原稿から画像を読み取る。画像読取部30及び第1センサ収納部40の構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0040】
続いて、画像読取装置1における本体筐体60の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、本体筐体60上面には、凹部61が、上部カバー5における駆動モータMの配設位置に対応する部分に、下方に凹んだ凹状に形成されている。凹部61は、上部カバー5を閉じた場合に、上部カバー5の下方に突出する駆動モータMの一部を収容する。これにより、画像読取装置1は、上部カバー5における駆動モータMの配設位置及び凹部61との協働により、画像読取装置1の上下方向におけるサイズを小型化することができる。
【0041】
図1に示すように、本体筐体60は、上面側にスキャナユニット70を有している。スキャナユニット70は、図2等に示すように、原稿載置台として機能するコンタクトガラス71、読取センサ72、スライド軸、及びモータ等を備えている。コンタクトガラス71は、所謂「プラテンガラス」である。コンタクトガラス71は、本体筐体60の左右方向に沿って長辺が位置するA4サイズよりもやや大きな長方形状に形成されている。
【0042】
読取センサ72は、所謂、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)により構成される。読取センサ72は、コンタクトガラス71上に位置する原稿の画像を読み取る。読取センサ72は、主走査方向、即ち、本体筐体60における前後方向がA4サイズの短辺に相当する長さの読取範囲を有している。読取センサ72は、本体筐体60の左右方向に向かって伸びるスライド軸によって、左右方向の一定の範囲、即ちA4サイズの長辺寸法に相当する範囲内をスライド移動可能に保持されている。従って、画像読取装置1は、制御部によるモータの駆動制御に基づいて、読取センサ72をスライド軸に沿ってスライド移動しつつ、コンタクトガラス71上に載置された原稿の画像を読み取りうる。
【0043】
次に、第1実施形態に係る画像読取部30の構成について、図2〜図4を参照しつつ詳細に説明する。図2に示すように、第1実施形態に係る画像読取部30は、イメージセンサ31と、ガラス部材32と、スプリング33と、スペーサ34と、ガイド部材17に形成された第1センサ収納部40とを有している。
【0044】
上述したように、第1センサ収納部40は、ガイド部材17の下面に形成されており、イメージセンサ31をその内部に収納する。第1センサ収納部40は、原稿搬送経路R側に位置する下面側に開口部を有する凹状に形成されている。第1センサ収納部40は、画像読取装置1の前後方向に沿って、A4サイズの短辺よりもやや長い寸法の長辺を有している。
【0045】
そして、イメージセンサ31は、読取センサ72と同様に、所謂、密着型イメージセンサにより構成される。イメージセンサ31は、第1センサ収納部40の下方における原稿搬送経路Rを搬送される原稿の画像を読み取る。イメージセンサ31は、その一面側に撮像素子等が配設された読取面31Aを有している。イメージセンサ31は、主走査方向、即ち、本体筐体60における前後方向がA4サイズの短辺に相当する長さを有している。図2、及び図3に示すように、イメージセンサ31は、読取面31Aが下方となる態様で、第1センサ収納部40内に収納される。即ち、イメージセンサ31の読取面31Aは、原稿搬送経路Rに面している。
【0046】
ガラス部材32は、コンタクトガラス71と同様に、所謂「プラテンガラス」として機能する。ガラス部材32は、第1センサ収納部40の開口部を閉塞し、第1センサ収納部40の内部を密閉する。尚、第1センサ収納部40の開口部を閉塞するために、ガラス部材32を密着保持する構成については後述する。
【0047】
図2に示すように、スプリング33は、第1センサ収納部40内部において、第1センサ収納部40とイメージセンサ31の間に配設される。スプリング33は、イメージセンサ31を原稿搬送経路R側に付勢する。そして、スペーサ34は、第1センサ収納部40の両端部において、ガラス部材32とイメージセンサ31の読取面31Aの間に位置する。スペーサ34は、イメージセンサ31の読取面31Aを、原稿搬送経路Rから一定の距離に維持する。
【0048】
続いて、第1センサ収納部40の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける構成について、図2〜図4を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の説明において、センサ収納部の開口部の内、原稿搬送経路Rを搬送される原稿の搬送方向上流側、即ち画像読取装置1における右側の開口縁を上流開口縁という。センサ収納部の開口部の内、原稿の搬送方向下流側、即ち画像読取装置1における左側の開口縁を下流開口縁という。
【0049】
図2〜図4に示すように、第1センサ収納部40は、その開口部の上流開口縁に、壁部41を有している。壁部41は、図3に示すように、第1センサ収納部40の上流開口縁に沿った壁状に形成されている。壁部41は、図4に示すように、ガイド部材17の下面から、原稿搬送経路R側へ突出している。
【0050】
そして、第1センサ収納部40の下流開口縁においては、取付凹部42が、下流開口縁の両端側にあたる2か所に形成されている。取付凹部42は、それぞれ、ガイド部材17の下面を、平面視長方形の凹状に形成されており、後述するガラス保持部材43が係合される。
【0051】
図3、図4に示すように、ガラス保持部材43は、取付凹部42に取り付けられることで、ガラス部材32を第1センサ収納部40の開口部を閉塞する状態で保持する。ガラス保持部材43は、樹脂により形成されている。ガラス保持部材43は、当接部43Aと、付勢部43Bとを有している。付勢部43Bは、断面視円弧を描く板状に形成されている。付勢部43Bは、取付凹部42に対してはめ込まれることにより弾性変形する。当接部43Aは、図4に示すように、付勢部43Bの一端側に形成されている。当接部43Aは、ガラス保持部材43が取付凹部42に取り付けられると、ガラス保持部材43の端縁に当接する。
【0052】
次に、第1センサ収納部40の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける際の作業手順を説明する。第1センサ収納部40の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける際には、作業者は、まず、第1センサ収納部40の上流開口縁に位置する壁部41に対して、搬送方向下流側から、ガラス部材32の端縁を押し付ける。
【0053】
第1センサ収納部40の上流開口縁において、ガラス部材32の端縁を壁部41に押し付けた状態で、作業者は、ガラス保持部材43を、取付凹部42に取り付ける。この時、図4に示すように、ガラス保持部材43の当接部43Aは、下流開口縁側に位置するガラス部材32の端縁と接触している。
【0054】
ここで、ガラス保持部材43を取付凹部42に取り付ける場合、取付凹部42には、ガラス保持部材43の付勢部43Bがはめ込まれる。この時、付勢部43Bは、その断面形状における円弧の頂点が、より第1センサ収納部40の開口部に向かうようにたわみ変形する。この付勢部43Bのたわみ変形に伴って、ガラス保持部材43の当接部43Aは、下流開口縁におけるガラス部材32の端縁と接触し、ガラス部材32を搬送方向上流側へ押圧する。これにより、ガラス部材32は、第1センサ収納部40を閉塞し、ガラス部材32の端縁が壁部41と密着する。従って、第1実施形態に係る画像読取装置1によれば、第1センサ収納部40における上流開口縁において、ガラス部材32の端縁を壁部41に対して押圧して密着させる。この密着により、紙粉等の異物が上流開口縁を介して第1センサ収納部40内に進入することを抑制しうる。
【0055】
又、第1センサ収納部40においては、図4に示すように、上流開口縁における壁部41の端部は、下流開口縁よりも原稿搬送経路R側に位置している。ガラス部材32は、搬送方向下流側ほど下方となるように傾斜した態様で、第1センサ収納部40の開口部を閉塞している。従って、第1実施形態に係る画像読取装置1によれば、上流開口縁側の壁部41に対して、ガラス部材32の端縁を押し付けやすい構成となる。よって、上流開口縁において、ガラス部材32と壁部41の密着性を高めることができる。これにより、画像読取装置1は、上流開口縁側における第1センサ収納部40内への異物の進入を適切に抑制しうる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態と異なる別の第2実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、第2実施形態に係る画像読取装置1は、第1実施形態に係る画像読取装置1と同一の基本的構成を有しており、画像読取部30におけるセンサ収納部の構成が相違する。従って、第1実施形態と同一の構成に関する説明は省略する。
【0057】
図5、及び図6に示すように、第2実施形態に係る画像読取部30は、イメージセンサ31と、ガラス部材32と、スプリング33と、スペーサ34と、ガイド部材17に形成された第2センサ収納部45と、を有する。尚、イメージセンサ31、ガラス部材32、スプリング33、及びスペーサ34については、上述した第1実施形態と基本的に同一の構成であるため、再度の説明は省略する。
【0058】
続いて、第2センサ収納部45の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図5、及び図6に示すように、第2センサ収納部45は、その開口部の上流開口縁に、第2壁部46を有している。第2壁部46は、図5に示すように、第2センサ収納部45の上流開口縁に沿った壁状に形成されている。第2壁部46は、図6に示すように、ガイド部材17の下面から、原稿搬送経路R側へ突出している。
【0059】
そして、第2センサ収納部45の下流開口縁においては、ガラス保持リブ47が、塑性変形可能な樹脂によって、下流開口縁に沿って形成されている。ガラス保持リブ47は、図6に示すように、ガイド部材17の下面から、原稿搬送経路R側へ突出している。ガラス保持リブ47は、第2壁部46と協働することにより、ガラス部材32を保持しつつ、第2センサ収納部45の開口部を閉塞する。
【0060】
次に、第2センサ収納部45の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける際の作業手順を説明する。第2センサ収納部45の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける際には、作業者は、まず、第2センサ収納部45の上流開口縁に位置する第2壁部46に対して、搬送方向下流側から、ガラス部材32の端縁を押し付ける。
【0061】
第2センサ収納部45の上流開口縁において、ガラス部材32の端縁を第2壁部46に押し付けた状態で、作業者は、搬送方向下流側に位置するガラス部材の端縁を、ガラス保持リブ47にめり込ませつつ、第2センサ収納部45の開口部を閉塞する。
【0062】
ここで、ガラス保持リブ47は、第2センサ収納部45の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける際に、搬送方向下流側におけるガラス部材32の端縁と接触することによって塑性変形する。このガラス保持リブ47の塑性変形により、ガラス部材32は、搬送方向上流側へ押圧され、第2センサ収納部45の上流開口縁において、ガラス部材32の端縁は、第2壁部46に対して密着する。
【0063】
第2実施形態に係る画像読取装置1によれば、第2センサ収納部45の上流開口縁において、ガラス部材32の端縁と第2壁部46を密着させうる。又、第2実施形態に係る画像読取装置1によれば、第2センサ収納部45の下流開口縁において、ガラス部材32の端縁とガラス保持リブ47を密着させうる。従って、画像読取装置1によれば、第2センサ収納部45の上流開口縁及び下流開口縁において、紙粉等の異物が第2センサ収納部45内に進入することを抑制しうる。
【0064】
図6に示すように、第2センサ収納部45において、上流開口縁における第2壁部46の端部は、下流開口縁におけるガラス保持リブ47の端部よりも原稿搬送経路R側に位置している。ガラス部材32は、搬送方向下流側ほど下方となるように傾斜した態様で、第2センサ収納部45の開口部を閉塞している。従って、第2実施形態に係る画像読取装置1によれば、上流開口縁側の第2壁部46に対して、ガラス部材32の端縁を押し付けやすい構成となる。よって、上流開口縁において、ガラス部材32と第2壁部46の密着性を高めることができる。これにより、画像読取装置1は、上流開口縁側における第2センサ収納部45内への異物の進入を適切に抑制しうる。
【0065】
(第3実施形態)
続いて、上述した第1実施形態、及び第2実施形態と異なる別の第3実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、第3実施形態に係る画像読取装置1は、第1実施形態、及び第2実施形態に係る画像読取装置1と同一の基本的構成を有しており、画像読取部30におけるセンサ収納部の構成が相違する。従って、第1実施形態、第2実施形態と同一の構成に関する説明は省略し、これらの相違点についてのみ、図面を参照しつつ説明する。
【0066】
図7、及び図8に示すように、第3実施形態に係る画像読取部30は、イメージセンサ31と、ガラス部材32と、スプリング33と、スペーサ34と、ガイド部材17に形成された第3センサ収納部50と、を有する。尚、イメージセンサ31、ガラス部材32、スプリング33、及びスペーサ34については、上述した第1実施形態、及び第2実施形態と基本的に同一の構成であるため、再度の説明は省略する。
【0067】
続いて、第3センサ収納部50の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図7、及び図8に示すように、第3センサ収納部50は、その開口部の上流開口縁に、弾性変形可能な樹脂によって形成された上流側シール部51を有している。上流側シール部51は、上流側シール壁51Aと、上流側溝51Bとを備える。上流側シール部51は、第3センサ収納部50の上流開口縁において、ガラス部材32の端部と密着する。
【0068】
上流側シール壁51Aは、弾性変形可能な樹脂によって、第3センサ収納部50の上流開口縁に沿った壁状に形成されている。上流側シール壁51Aは、図8に示すように、ガイド部材17の下面から、原稿搬送経路R側へ突出している。そして、上流側溝51Bは、第3センサ収納部50に対して、上流側シール壁51Aよりも外側、即ち、搬送方向上流側において、原稿搬送経路R側が開放された溝状に形成されている。上流側溝51Bは、上流側シール壁51Aの基端部に沿っている。
【0069】
そして、第3センサ収納部50の下流開口縁においては、下流側シール部52が、弾性変形可能な樹脂によって、下流開口縁に沿って形成されている。図7、及び図8に示すように、下流側シール部52は、下流側シール壁52Aと、下流側溝52Bとを備える。下流側シール部52は、第3センサ収納部50の下流開口縁において、ガラス部材32の端部と密着する。
【0070】
下流側シール壁52Aは、弾性変形可能な樹脂によって、第3センサ収納部50の下流開口縁に沿った壁状に形成されている。下流側シール壁52Aは、図8に示すように、ガイド部材17の下面から、原稿搬送経路R側へ突出している。尚、図8に示すように、搬送方向に沿う方向において、下流側シール壁52Aの厚みは、上流側シール壁51Aの厚みよりも薄く形成されている。
【0071】
下流側溝52Bは、第3センサ収納部50に対して、下流側シール壁52Aよりも外側、即ち、搬送方向下流側において、原稿搬送経路R側が開放された溝状に形成されている。下流側溝52Bは、下流側シール壁52Aの基端部に沿っている。下流側溝52Bは、搬送方向に沿う方向における幅寸法に関し、上流側溝51Bよりも小さく形成されている。更に、下流側溝52Bの深さは、上流側溝51Bの深さよりも浅く形成されている。
【0072】
尚、図7に示すように、第3センサ収納部50の下流開口縁においては、第1実施形態と同様に、取付凹部53が形成されている。取付凹部53には、ガラス保持部材54が取り付けられる。ガラス保持部材54は、当接部54Aと、付勢部54Bとを有している。ガラス保持部材54は、ガラス部材32の端部と接触することで、上流側シール壁51Aにおける密着性を高めている。
【0073】
次に、第3センサ収納部50の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける際の作業手順を説明する。第3センサ収納部50の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける際には、作業者は、まず、第3センサ収納部50の下流側シール壁52Aに対して、搬送方向上流側から、ガラス部材32の端縁を押し付ける。これにより、下流側シール壁52Aは、ガラス部材32の端縁と接触することにより、第3センサ収納部50の開口部に対して外側方向に弾性変形する。
【0074】
第3センサ収納部50の下流開口縁において、ガラス部材32の端縁を下流側シール壁52Aに押し付けた状態で、作業者は、搬送方向上流側に位置するガラス部材32の端縁を、上流側シール壁51Aに接触させつつ、第3センサ収納部50の開口部を閉塞する。これにより、上流側シール壁51Aは、ガラス部材32の端縁と接触することにより、第3センサ収納部50の外側方向に弾性変形する。
【0075】
第3実施形態に係る画像読取装置1によれば、第3センサ収納部50の上流開口縁及び下流開口縁において、上流側シール壁51A及び下流側シール壁52Aが弾性変形する。この弾性変形により、ガラス部材32の端縁に対して、上流側シール壁51A及び下流側シール壁52Aを密着させうる。従って、画像読取装置1によれば、第3センサ収納部50の上流開口縁及び下流開口縁において、紙粉等の異物が第3センサ収納部50内に進入することを抑制しうる。
【0076】
図8に示すように、第3センサ収納部50において、上流側シール壁51Aの端部は、下流側シール壁52Aの端部よりも原稿搬送経路R側に位置している。ガラス部材32は、搬送方向下流側ほど下方となるように傾斜した態様で、第3センサ収納部50の開口部を閉塞している。従って、第3実施形態に係る画像読取装置1によれば、上流側シール壁51Aに対して、ガラス部材32の端縁を押し付けやすい構成となる。よって、上流開口縁及び下流開口縁におけるガラス部材32との密着性を高めることができる。これにより、画像読取装置1は、上流開口縁及び下流開口縁における第3センサ収納部50内への異物の進入を適切に抑制しうる。
【0077】
更に、図8に示すように、上流側シール壁51Aの厚みは、下流側シール壁52Aの厚みよりも厚く、上流側溝51Bの幅及び深さは、下流側溝52Bの幅及び深さよりも大きく形成されている。よって、画像読取装置1によれば、第3センサ収納部50の上流開口縁及び下流開口縁において、紙粉等の異物が第3センサ収納部50内に進入することを抑制しうる。
【0078】
(第4実施形態)
次に、上述した第1実施形態〜第3実施形態と異なる別の第4実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、第4実施形態に係る画像読取装置1は、第1実施形態〜第3実施形態に係る画像読取装置1と同一の基本的構成を有しており、画像読取部30におけるセンサ収納部の構成が相違する。従って、第1実施形態〜第3実施形態と同一の構成に関する説明は省略し、これらの相違点についてのみ、図面を参照しつつ説明する。
【0079】
図9、及び図10に示すように、第4実施形態に係る画像読取部30は、イメージセンサ31と、ガラス部材32と、スプリング33と、スペーサ34と、ガイド部材17に形成された第4センサ収納部55と、を有する。尚、イメージセンサ31、ガラス部材32、スプリング33、及びスペーサ34については、上述した第1実施形態〜第3実施形態と基本的に同一の構成であるため、再度の説明は省略する。
【0080】
続いて、第4センサ収納部55の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図9、及び図10に示すように、第4センサ収納部55は、その開口部の上流開口縁に、塑性変形可能な樹脂によって形成された上流側シール部56を有している。上流側シール部56は、上流側シール壁56Aと、上流側溝56Bとを備える。上流側シール部56は、第4センサ収納部55の上流開口縁において、ガラス部材32の端部と密着する。
【0081】
上流側シール壁56Aは、塑性変形可能な樹脂によって、第4センサ収納部55の上流開口縁に沿った壁状に形成されている。上流側シール壁56Aは、図10に示すように、ガイド部材17の下面から、原稿搬送経路R側へ突出している。そして、上流側溝56Bは、第4センサ収納部55に対して、上流側シール壁56Aよりも外側、即ち、搬送方向上流側において、原稿搬送経路R側が開放された溝状に形成されている。上流側溝56Bは、上流側シール壁56Aの基端部に沿っている。
【0082】
そして、第4センサ収納部55の下流開口縁においては、下流側シール部57が、塑性変形可能な樹脂によって、下流開口縁に沿って形成されている。図9、及び図10に示すように、下流側シール部57は、下流側シール壁57Aと、下流側溝57Bとを備える。下流側シール部57は、第4センサ収納部55の下流開口縁において、ガラス部材32の端部と密着する。
【0083】
下流側シール壁57Aは、塑性変形可能な樹脂によって、第4センサ収納部55の下流開口縁に沿った壁状に形成されている。下流側シール壁57Aは、図10に示すように、ガイド部材17の下面から、原稿搬送経路R側へ突出している。尚、図10に示すように、搬送方向に沿う方向において、下流側シール壁57Aの厚みは、上流側シール壁56Aの厚みよりも薄く形成されている。
【0084】
下流側溝57Bは、第4センサ収納部55に対して、下流側シール壁57Aよりも外側、即ち、搬送方向下流側において、原稿搬送経路R側が開放された溝状に形成されている。下流側溝57Bは、下流側シール壁57Aの基端部に沿っている。下流側溝57Bは、搬送方向に沿う方向における幅寸法に関し、上流側溝56Bよりも小さく形成されている。更に、下流側溝57Bの深さは、上流側溝56Bの深さよりも浅く形成されている。
【0085】
次に、第4センサ収納部55の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける際の作業手順を説明する。第4センサ収納部55の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける際には、作業者は、まず、第4センサ収納部55の下流側シール壁57Aに対して、搬送方向上流側から、ガラス部材32の端縁を押し付ける。これにより、下流側シール壁57Aは、ガラス部材32の端縁と接触することにより塑性変形する。
【0086】
第4センサ収納部55の下流開口縁において、ガラス部材32の端縁を下流側シール壁57Aに押し付けた状態で、作業者は、搬送方向上流側に位置するガラス部材32の端縁を、上流側シール壁56Aに接触させつつ、第4センサ収納部55の開口部を閉塞する。これにより、上流側シール壁56Aは、ガラス部材32の端縁と接触することで塑性変形する。
【0087】
ここで、上流側シール壁56A及び下流側シール壁57Aは、第4センサ収納部55の開口部に対して、ガラス部材32を取り付ける際に、ガラス部材32の端縁と接触することによって塑性変形する。この上流側シール壁56A及び下流側シール壁57Aの塑性変形により、ガラス部材32は、第4センサ収納部55の上流開口縁及び下流開口縁において、上流側シール壁56A及び下流側シール壁57Aに対して密着する。
【0088】
第4実施形態に係る画像読取装置1によれば、第4センサ収納部55の上流開口縁及び下流開口縁において、上流側シール壁56A及び下流側シール壁57Aを塑性変形させることができる。これにより、ガラス部材32の端縁に対して、上流側シール壁56A及び下流側シール壁57Aを密着させうる。従って、画像読取装置1によれば、第4センサ収納部55の上流開口縁及び下流開口縁において、紙粉等の異物が第4センサ収納部55内に進入することを抑制しうる。
【0089】
図10に示すように、第4センサ収納部55において、上流側シール壁56Aの端部は、下流側シール壁57Aの端部よりも原稿搬送経路R側に位置している。ガラス部材32は、搬送方向下流側ほど下方となるように傾斜した態様で、第4センサ収納部55の開口部を閉塞している。従って、第4実施形態に係る画像読取装置1によれば、上流側シール壁56Aに対して、ガラス部材32の端縁を押し付けやすい構成となる。よって、上流開口縁及び下流開口縁におけるガラス部材32との密着性を高めることができる。これにより、画像読取装置1は、上流開口縁及び下流開口縁における第4センサ収納部55内への異物の進入を適切に抑制しうる。
【0090】
更に、図10に示すように、上流側シール壁56Aの厚みは、下流側シール壁57Aの厚みよりも厚く、上流側溝56Bの幅及び深さは、下流側溝57Bの幅及び深さよりも大きく形成されている。従って、画像読取装置1によれば、第4センサ収納部55の上流開口縁及び下流開口縁において、紙粉等の異物が第4センサ収納部55内に進入することを抑制しうる。
【0091】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、画像読取装置1のADFユニット10に配設された画像読取部30に適用していたが、この態様に限定されるものではない。例えば、上記実施形態におけるスキャナユニット70において、コンタクトガラス71を密着保持する構成として適用することも可能である。即ち、本発明は、フラットベッドタイプのスキャナ装置に適用することも可能である。
【0092】
第1実施形態において、ガラス保持部材43は、樹脂により弾性変形可能に形成されている。又、第3実施形態においても、ガラス保持部材54は、樹脂により弾性変形可能に形成されている。又、上流側シール部56及び下流側シール部57も弾性変形可能な樹脂により形成されている。しかしながら、本発明は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、ガラス保持部材は、搬送方向上流側又は下流側に向けてガラス部材を押圧することでガラス部材を支持するコイルバネ、及び板バネ等のバネ部材であってもよい。
【0093】
又、第1実施形態、及び第2実施形態において、画像読取部30は、第3実施形態における上流側溝51B、及び下流側溝52Bに相当する溝を備えていない。しかしながら、本発明は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、センサ収納部の上流側開口縁にのみ、溝を形成してもよい。又、センサ収納部の下流側開口縁にのみ、溝を形成してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 画像読取装置
5 上部カバー
10 ADFユニット
30 画像読取部
31 イメージセンサ
32 ガラス部材
40 第1センサ収納部
41 壁部
42 取付凹部
43 ガラス保持部材
R 原稿搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが搬送される搬送経路と、
前記搬送経路に沿って、搬送方向へシートを搬送する搬送部と、
前記搬送経路に沿う位置に配設され、前記搬送部によって搬送されるシートから画像を読み取る読取部と、を有し、
前記読取部は、
画像を読み取る読取面を前記搬送経路側に有するイメージセンサと、
前記搬送経路側が開放された凹状に形成され、前記イメージセンサを内部に収納するセンサ収納部と、
前記イメージセンサの読取面よりも前記搬送経路側において、前記センサ収納部の開口部を閉塞する平板状のガラス部材と、
前記センサ収納部の開口縁の内、前記搬送方向上流側に位置する上流開口縁、及び前記搬送方向下流側に位置する下流開口縁の一方において、前記ガラス部材の端縁と前記シートの搬送方向において対向し、前記搬送経路側に延出した壁面と、
前記センサ収納部の開口縁の内、前記上流開口縁、及び前記下流開口縁の他方において、前記ガラス部材と接触することによって、ガラス部材の端縁を前記壁面に対して密着させるガラス保持部材と、を有する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像読取装置であって、
前記ガラス保持部材は、前記ガラス部材を前記壁面側に押圧することによって、前記ガラス部材の端縁を前記壁面に対して密着させる押圧部材である
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像読取装置であって、
前記ガラス保持部材は、前記センサ収納部の開口部を前記ガラス部材によって閉塞する際に、ガラス部材との接触に伴って塑性変形することによって、ガラス部材の端縁を前記壁面に対して密着させるガラス保持リブである
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の画像読取装置であって、
前記壁面は、前記センサ収納部の開口縁の前記上流開口縁において、前記ガラス部材の端縁と前記シートの搬送方向において対向し、
前記ガラス保持部材は、前記センサ収納部の開口縁の前記下流開口縁において、前記ガラス部材と接触することによって、ガラス部材の端縁を前記壁面に対して密着させる
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
シートが搬送される搬送経路と、
前記搬送経路に沿って、搬送方向へシートを搬送する搬送部と、
前記搬送経路に沿う位置に配設され、前記搬送部によって搬送されるシートから画像を読み取る読取部と、を有し、
前記読取部は、
画像を読み取る読取面を前記搬送経路側に有するイメージセンサと、
前記搬送経路側が開放された凹状に形成され、前記イメージセンサを内部に収納するセンサ収納部と、
前記イメージセンサの読取面よりも前記搬送経路側において、前記センサ収納部の開口部を閉塞する平板状のガラス部材と、
前記センサ収納部の開口縁の内、前記搬送方向上流側に位置する上流開口縁と、上流開口縁と対向する下流開口縁において、前記ガラス部材の端縁と密着するシール部と、を有し、
前記シール部は、
樹脂によって形成され、前記上流開口縁及び前記下流開口縁に沿い、且つ、前記搬送経路側へ延出すると共に、前記シートの搬送方向において、前記ガラス部材の端縁と密着するシール壁と、
前記センサ収納部に対して、前記シール壁よりも外側において、前記シール壁の基端部に沿って形成された溝部と、を有する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像読取装置であって、
前記シール壁は、弾性変形可能な樹脂により形成され、弾性変形に伴う付勢力を前記ガラス部材の端面に対して作用させることにより、前記シートの搬送方向において、前記ガラス部材の端縁と密着する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項5記載の画像読取装置であって、
前記シール壁は、塑性変形可能な樹脂により形成され、前記センサ収納部の開口部を前記ガラス部材によって閉塞する際に、ガラス部材との接触に伴って塑性変形することにより、前記シートの搬送方向において、前記ガラス部材の端縁と密着する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項5乃至請求項7の何れかに記載の画像読取装置であって、
前記ガラス部材は、
前記下流開口縁におけるシール壁に対して、前記ガラス部材の端縁を前記搬送方向上流側から押し当てつつ、前記搬送方向上流側に位置するガラス部材の端縁を、前記上流開口縁におけるシール壁に接触させることにより、前記センサ収納部の開口部を閉塞するように取り付けられる
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の画像読取装置であって、
前記ガラス部材における搬送方向上流側の端縁は、ガラス部材における搬送方向下流側よりも前記搬送経路側に位置する
ことを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−74465(P2013−74465A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211992(P2011−211992)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】