説明

画像読取装置

【目的】 原稿の安定した読取走査を可能とし、且つ正確なシェーディングを可能とする。
【構成】 ガイド部材12を透明ガイド板4を挾んで読取手段11に対向させて配置する。ガイド部材12はシート状の弾性部材製とする。ガイド部材12を湾曲させて透明ガイド板4に密着可能とする湾曲装置13を備える。ガイド部材12の白色面を透明ガイド板4に密着させてシェーディング信号を得る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はファクシミリやデジタル複写機等で用いる画像読取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ファクシミリ等で使用されている画像読取装置は、その一例を図5乃至図7に示す如く、画像情報を有する原稿1を搬送するための搬送手段として、給紙ローラ2と排紙ローラ3とを有し、給紙ローラ2と排紙ローラ3の間に配置された透明ガイド板4上に搬送された原稿1に対し、所定読取走査位置において、ランプ5より照明光を当て、その反射光をレンズ6を通してイメージセンサ7で結像させ、それを光電変換することにより画像の読み取りを行うようにしてある。又、上記イメージセンサ7等からなる読取手段11の読取走査位置の対向位置には、白色のバックアップローラ8を配置すると共に、該バックアップローラ8の両端部にスペーサコロ9を回転自在に取り付けて、該スペーサコロ9により透明ガイド板4とバックアップローラ8との間に所要(0.2mm)の隙間Sを形成保持させ、且つ上記バックアップローラ8を、タイミングベルト10により給紙ローラ2と同期させて回転駆動させるようにし、原稿が読取走査位置に達する前に、上記バックアップローラ8の白色を基準としてシェーディング補正をかけることにより、ランプ5やレンズ6の光量むらなどによる読取誤差に対処できるようにしてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の画像読取装置の場合、広幅の装置では、バックアップローラ8の平面度や真直度等の部品精度の確保が困難であり、且つ自重撓みにより透明ガイド板4に対する隙間Sが少なくなって、透明ガイド板4に擦り傷を付けてしまう問題がある。通常、読取走査位置でのレンズ焦点深度は±0.3mm位と浅いため、部品精度等により上記レンズ焦点深度の範囲から外れると、読み取りを正確に行うことはできない。又、イメージセンサ7に結像される光量は、バックアップローラ8の位置によって変化してしまうため、シェーディング補正の基準白色のデータに光量むらが発生し、ホワイトバランスがとれず、画像の品質を低下させてしまう。
【0004】そこで、本発明は、原稿が常に理想的に読取走査位置を通過できるようにし、且つ安定したシェーディングを行えるようにしようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、画像情報を有する原稿を搬送する搬送手段と、該搬送手段により透明ガイド板上に搬送された原稿の画像情報を所定の読取走査位置にて読み取る読取手段を備えた画像読取装置において、上記透明ガイド板を挾んだ読取手段の対向位置に、少なくとも上記透明ガイド板への対向面を白色面としたシート状弾性部材製のガイド部材を配置し、且つ該ガイド部材を原稿搬送方向へ向けて透明ガイド板側へ湾曲させるための湾曲手段を有してなる構成とする。
【0006】
【作用】弾性部材製のガイド部材を、湾曲手段により湾曲させて透明ガイド板上に密着配置すると、平面度、真直度等の精度が容易に確保される。又、このガイド部材の白色面と原稿とを同一位置で走査できることになる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施例を示すもので、図5乃至図7に示すものと同様に、搬送手段としての給紙ローラ2及び排紙ローラ3により透明ガイド板4上に搬送された原稿1の画像情報を、イメージセンサ7等からなる読取手段11により所定の読取位置にて読み取るようにしてある画像読取装置において、上記透明ガイド板4を挾んだ読取手段11の対向位置に、表裏両面を白色面としたシート状(板状)弾性部材製ガイド部材12を配置し、且つ該ガイド部材12の中央部を原稿搬送方向へ向けて透明ガイド板4側へ湾曲させるための湾曲手段13を設ける。
【0008】上記湾曲手段13は、ガイド部材12の原稿搬送方向上流側の一辺部を固定支持する軸部材14と、ガイド部材12の原稿搬送方向下流側の対辺部を下面側から摺動自在に受ける支持部材15と、上記軸部材14を回転駆動する駆動手段(図示せず)とからなり、上記軸部材14を矢印方向へ回転させることによりガイド部材12を破線で示す如く湾曲させて透明ガイド板4上に密着させられるようにしてある。
【0009】又、上記排紙ローラ3の出口部に、原稿排紙検知器16を設け、該原稿排紙検知器16にて原稿1を検知したときに、上記湾曲手段13によりガイド部材12を透明ガイド板4上に密着させられるようにし、且つ上記給紙ローラ2の入口部に、原稿挿入検知器17を設け、該原稿挿入検知器17の信号に基づいて、ガイド部材12の白色面を走査してシェーディング信号を得た後、湾曲手段13によりガイド部材12の位置を実線で示す位置へ復帰させて、透明ガイド板4に対してガイド部材12を一定距離に保てるようにしてある。
【0010】原稿1を挿入すると、上記原稿挿入検知器17の信号に基づいて、湾曲手段13における軸部材14が矢印方向に回転させられることにより、ガイド部材12が透明ガイド板4上に密着させられる位置まで湾曲させられ、続いて、原稿1の読み取りに先立って、ガイド部材12の白色面が走査され、シェーディング補正用の信号を得た後、再び原稿読み取りと搬送に支障のない位置までガイド部材12が復帰させられ、透明ガイド板4との間が一定距離に保たれる。次に、図示しない駆動手段により給紙ローラ2と排紙ローラ3が回転させられ、原稿1が搬送され、透明ガイド板4上の所定の読取位置で画像が読取手段11によって読み取られ、排紙ローラ3によって排紙側へ搬送される。この際、排紙ローラ3の搬送速度は給紙ローラ2の搬送速度と同じか又は若干速めに設定され、排紙ローラ3の一方は発泡軟質ゴムローラとしてある。原稿1が排紙ローラ3側へ搬送されて原稿排紙検知器16にて検知されると、その検知信号に基づき、再び湾曲手段13が作動させられることにより、ガイド部材12が透明ガイド板4上に密着させられ、走査時の原稿1の浮き、波打ちが防止される。更に、原稿1の後端が原稿排紙検知器16を通過すると、一定時間後に、給紙ローラ2と排紙ローラ3の回転が停止させられる。
【0011】このように、本発明においては、シェーディング補正信号を得るときに白色面を有するガイド部材12を湾曲させて透明ガイド板4上に密着させるので、基準白色のデータに光量むらがなく、正確にホワイトバランスをとることができる。更に、原稿1の読取走査時にもガイド部材12を湾曲させて密着させるので、原稿1に浮きがなく、同一位置にて安定した読み取りが可能となる。又、上記において、ガイド部材12は弾性部材であってフレキシビリティを有し、且つ湾曲手段13によって透明ガイド板4に対するガイド部材12の隙間を微調整できるので、厚い原稿が挿入されても対応することができる。なお、ガイド部材12は表裏両面が白色面としてあるので、片面が汚れても表裏交換することで再使用でき、コスト的にも有利である。
【0012】次に、図2は本発明の第2実施例を示すもので、上記図1の実施例と同様な構成において、ガイド部材12の原稿搬送方向の両辺部を軸部材14に固定し、且つ各軸部材14を、図示しない側板に設けた原稿搬送方向の長孔18に摺動自在に支持させ、更に、上記各軸部材14を接離させる方向へ摺動させるための摺動手段(図示せず)を設けて湾曲手段13を構成したものである。
【0013】又、図3は本発明の第3実施例を示すもので、図1の実施例と同様な構成において、軸部材14を回転させる方式の湾曲手段13に代えて、支持部材15を、図示しない側板に設けた上下方向の長孔19に、変位段(図示せず)により摺動可能に支持させるようにしたものである。
【0014】更に、図4は本発明の第4実施例を示すもので、第3の実施例と同様な構成において、支持部材15を変形カム状に形成して側板に回動自在に支持させ、且つ該支持部材15を変位手段によって回動可能としたものである。
【0015】上記図2乃至図4に示す各実施例においても、図1の実施例と同様な作用効果が奏し得られる。図3R>3及び図4において、変位手段は軸部材14側に設けてもよい。
【0016】なお、本発明は上記実施例のみに限定されるものではなく、ガイド部材12は必ずしも表裏両面が白色でなくてもよいこと、又、原稿1の厚さを、たとえば、給紙ローラ2の軸間で検知し、その厚さ検知信号に基づきガイド部材12と透明ガイド板4との間の隙間を制御して、原稿搬送時の原稿の摩擦による負荷抵抗を減少させるようにしてもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0017】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明の画像読取装置によれば、次の如き優れた効果を発揮する。
(1) 弾性部材製のガイド部材を、湾曲手段により湾曲させて透明ガイド板上に密着させることができるようにしたので、白色基準走査面の平面度、真直度等の精度を容易に確保することができ、安定したシェーディングを行うことができる。
(2) ガイド部材を読取手段と対向させて配置したので、原稿走査面と白色基準走査面を同一個所で読み取ることができる。
(3) ガイド部材はフレキシビリティを有するので、厚い原稿を挿入しても搬送に支障を来すことがない。
(4) 湾曲手段の作動によってガイド部材の湾曲量を変えることができるので、ガイド部材と透明ガイド板との間の隙間を調整することができる。
(5) バックアップローラを用いる場合の如く、撓みにより透明ガイド板と接して擦り傷を付けてしまうようなおそれがない。
(6) ガイド板の表裏を白色とすれば、表裏交換が可能となってコスト的に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像読取装置の第1実施例を示す概要図である。
【図2】本発明の第2実施例を示す概要図である。
【図3】本発明の第3実施例を示す概要図である。
【図4】本発明の第4実施例を示す概要図である。
【図5】従来の画像読取装置の一例を示す概略斜視図である。
【図6】図5の正面図である。
【図7】図6の側面図である。
【符号の説明】
1 原稿
2 給紙ローラ(搬送手段)
3 排紙ローラ(搬送手段)
4 透明ガイド板
11 読取手段
12 ガイド部材
13 湾曲手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像情報を有する原稿を搬送する搬送手段と、該搬送手段により透明ガイド板上に搬送された原稿の画像情報を所定の読取走査位置にて読み取る読取手段を備えた画像読取装置において、上記透明ガイド板を挾んだ読取手段の対向位置に、少なくとも上記透明ガイド板への対向面を白色面としたシート状弾性部材製のガイド部材を配置し、且つ該ガイド部材を原稿搬送方向へ向けて透明ガイド板側へ湾曲させるための湾曲手段を有してなることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】 原稿読み取り前に湾曲手段によってガイド部材を透明ガイド板に密着させ、上記ガイド部材の白色面を走査してシェーディング信号を得た後、湾曲手段により上記ガイド部材の位置を復帰させて透明ガイド板に対し一定距離を保つようにする機能を具備した請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】 ガイド板の白色面の走査と位置復帰動作とを指令する原稿挿入検知器を、搬送手段の入口部に設け、湾曲手段にガイド部材の透明ガイド板への密着動作を指令する原稿排紙検知器を、搬送手段の出口部に設けた請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】 湾曲手段を、ガイド部材の原稿搬送方向の上流側一辺部を固定する軸部材と、ガイド部材の原稿搬送方向の下流側対辺部を受ける支持部材と、上記軸部材を回転駆動する駆動手段とからなる構成とした請求項1記載の画像読取装置。
【請求項5】 湾曲手段を、ガイド部材の原稿搬送方向の両辺部をそれぞれ固定する軸部材と、両軸部材を接離させる方向へ摺動させる摺動手段とからなる構成とした請求項1記載の画像読取装置。
【請求項6】 湾曲手段を、ガイド部材の原稿搬送方向の上流側一辺部を固定する軸部材と、ガイド部材の原稿搬送方向下流側の対辺部を受ける支持部材と、上記軸部材及び支持部材のいずれか一方を変位させる変位手段とからなる構成とした請求項1記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開平5−260260
【公開日】平成5年(1993)10月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−86547
【出願日】平成4年(1992)3月11日
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)