説明

画像読取部支持機構及びこの画像読取部支持機構を備える画像形成装置

【課題】画像読取部支持部材を、装置使用時にオプション機器の設置や事務用品置きに出来るようにすることにより、支持部材を廃棄や保管せず利用できるようにした画像読取部支持機構を備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置使用時にオプション機器の設置又は事務用品置きのために使用することができる画像読取部支持機構であって、胴内排紙空間の開放された2面のどちらかに備えられる支持部材1と、支持部材1を、画像読取部又はプリンタ部に連結する連結手段とを備え、支持部材1を、支持部材1と支持部材1が設置される胴内排紙空間の開放面との角度を60°〜120°で固定することができることを特徴とする画像読取部支持機構とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いられる画像読取部支持機構及びその画像読取部支持機構を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取部とプリンタ部との間に排紙空間を設け、用紙をプリンタ部上面に排出しスタックする、いわゆる胴内排紙型の画像形成装置が提案され、商品化されている。
【0003】
このような複写機では、排紙部は装置前面と一方の側面が開放され、この2面を除く2方の装置面が壁部によって取り囲まれている。画像読取部がこのような片持ち支持構造によって支持されていることで、排紙部における用紙のスタックスペースが十分に確保され、また用紙の取り出しも容易に行うことができる。
【0004】
しかしながら、このような画像読取部支持方法を用いた画像形成装置では、画像読取部の支持が片持ち構造であるため、振動、衝撃で画像読取部が大きく振動して、画像読取部や画像読取部を支持する構造体が変形してしまう危険がある。しかし、このような危険を回避するために、画像読取部を支持する構造体を頑丈にして片持ち支持構造の強度を強くすると、コストがかかり、重量も重くなってしまうという不具合がある。
【0005】
従って、このような片持ち支持構造の画像形成装置では、特に製品の運搬、輸送時に振動、衝撃等に対する画像読取部の大きな慣性力によって画像読取部が大きく揺れて画像読取部を支持する構造体が撓んで変形してしまうことがないように、工場出荷のために製品が梱包されている状態では、排紙空間に緩衝材が詰められている。このことによって、製品の工場出荷からユーザまでの運搬・輸送時には緩衝材の働きで画像形成部や構造体の変形を防ぐようにしている。しかし、排紙空間に緩衝材を詰める場合、発泡剤等の緩衝材はコスト面で不利であるという問題がある。又廃棄物が増えると、地球環境に悪影響を及ぼすという問題もある。
【0006】
特許文献1には、排紙空間の底部であるプリンタ部上面のカバー部材に排出用紙を保持するためのエンドフェンス取り付け用の凹部を設け、該凹部に下端を嵌合させるとともに上端を画像読取部の下面に当接させて画像読取部を支持する支持部材を脱着可能に設けたことを特徴とする画像形成装置、が開示されている。
このような画像読取部支持方法を用いた画像形成装置では、支持部材は装置使用時には取り外す構成となっており、取り外した支持部材は、廃棄又は保管する必要がある。支持部材を廃棄してしまうと地球環境に悪影響を及ぼし、また再度画像形成装置を輸送する際に画像読取部を支持できず、画像読取部や画像読取部を支持する構造体が変形してしまう危険がある。支持部材を保管するにしても、保管場所の確保に困るという問題があり、また再度画像形成装置を輸送する際に支持部材を装着し忘れて画像読取部や画像読取部を支持する構造体が変形してしまう危険がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−1608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、運搬・輸送時には必要であるが装置使用時には不要となる画像読取部の支持部材を、装置使用時に廃棄することなくオプション機器の設置や事務用品置きに使用出来るようにすることにより、支持部材を廃棄や保管せず利用できるようにした画像読取部支持機構を備える画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、装置使用時にオプション機器の設置又は事務用品置きのために使用することができる画像読取部支持機構であって、胴内排紙空間の開放された2面のどちらかに備えられる支持部材と、前記支持部材を、画像読取部又はプリンタ部に連結する連結手段とを備え、前記支持部材を、前記支持部材と前記支持部材が設置される前記胴内排紙空間の開放面との角度を60°〜120°で固定することができることを特徴とする画像読取部支持機構に関する。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の画像読取部支持機構を備えていることを特徴とする画像形成装置に関する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記支持部材は開放した状態において前記画像形成装置の本体側面から突出した状態で固定され、前記支持部材が突出する前記本体側面には前記本体を運搬する際に使用する取手部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、支持部材が、前記支持部材と前記支持部材が設置される前記胴内排紙空間の開放面との角度が60°〜120°で固定することができることにより、装置使用時に支持部材をオプション機器の設置や事務用品置きに使用することができることで支持部材を廃棄する必要がなく地球環境に優しい、且つ支持部材が画像読取部又はプリンタ部に連結していることにより、輸送時に支持部材を装着し忘れることがなく、装置使用時に支持部材の保管場所が必要ない画像読取部支持機構を提供することができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、上記効果を有する画像読取部支持機構を備える画像形成装置を提供することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、画像形成装置本体を運搬する際に、運搬のために使用する取手部が支持部材と同じ本体側面に設けられているため、運搬する時に支持部材により画像読取部を支持し忘れることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像読取部支持機構及びこの画像読取部支持機構を備える画像形成装置の輸送時の概略図、及び開放面を説明するための図である。
【図2】画像読取部支持機構及びその画像読取部支持機構を備える画像形成装置の装置使用時の概略図である。
【図3】装置使用時の画像読取部の支持部材の使用例を説明するための概略図である。(a)カードリーダーを設置した時、(b)ハンドセットを設置した時の図である。
【図4】支持部材が画像読取部側に連結されている実施例における、画像読取部支持機構及びこの画像読取部支持機構を備える画像形成装置の輸送時の概略図である。
【図5】支持部材が画像読取部側に連結されている実施例における、画像読取部支持機構及びその画像読取部支持機構を備える画像形成装置の(a)装置使用時、(b)ハンドセットを設置した時の概略図である。
【図6】支持部材がプリンタ部上面に連結されている実施例における、画像読取部支持機構及びこの画像読取部支持機構を備える画像形成装置の輸送時の概略図である。
【図7】支持部材がプリンタ部上面に連結されている実施例における、(a)装置使用時に支持部材を使用しない時、(b)装置使用時に支持部材を使用する時の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像読取部支持機構及びこの画像読取部支持機構を備える画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る画像読取部支持機構及びこの画像読取部支持機構を備える画像形成装置の輸送時の概略図、及び開放面を説明するための図である。
図1に示すように、画像形成装置(10)は、画像読取部(11)の下部にプリンタ部(12)を備えており、画像読取部(11)とプリンタ部(12)の間に排紙空間(13)を備えている。プリンタ部(12)によって作像された用紙は、排紙空間(13)に排出されスタックされる。
排紙空間(13)は、装置前面に前開放面(M)、及び左側面に左開放面(L)が設けられ、その他の2面は壁部によって取り囲まれている。この前開放面(M)と左開放面(L)は、排出された用紙を取り出しやすくするために設けられる。図示例では左側面に左開放面(L)が設けられているが、右側面を開放面としてもよい。
輸送時に画像読取部(11)を支持するための支持部材(1)が左開放面(L)に備えられる。図示例では左開放面(L)に備えられているが、前開放面(M)に備えられてもよい。
支持部材(1)は、ヒンジ等の連結手段でプリンタ部(12)と連結されている。輸送時には図示されるように、支持部材(1)の上面と画像読取部(11)が当接し、画像読取部(11)が支持されることで、輸送時の振動や衝撃による画像読取部(11)及び画像読取部(11)支持構造体の撓みを防止することができる。支持部材(1)のプリンタ部(12)への連結手段は、ヒンジに限定されない。
【0018】
図2は、画像読取部支持機構及びその画像読取部支持機構を備える画像形成装置の装置使用時の概略図である。
装置使用時には、支持部材(1)は、装置外側に回転して、支持部材(1)と胴内排紙空間の左開放面(L)との角度(α)が60°〜120°、望ましくは90°になるように固定される(図2参照)。プリンタ部側面凹部(16)上面がストッパとなり、支持部材(1)は支持部材(1)の下面と当接する所で固定される。或いは、スプリング付トルクヒンジ等、角度固定できる連結手段を使用してもよい。角度(α)を60°〜120°とする理由は、60°未満或いは120°を超える角度であると、オプション機器の設置又は事務用品置きに不適であるからである。
【0019】
図3は、装置使用時の画像読取部の支持部材の使用例を説明するための図である。(a)カードリーダーを設置した時、(b)ハンドセットを設置した時の図である。
支持部材(1)は、装置外側へ回転し固定されることで、カードリーダー(14)又はハンドセット(15)を設置することができ、事務用品を置くこともできる。
装置設置場所に余裕がない場合は、支持部材(1)を輸送時の位置にセットすることで使用できる。
【0020】
図4は、支持部材が画像読取部側に連結されている実施例における、輸送時の概略図である。
支持部材(1)は、スプリング付きトルクヒンジ等の角度固定可能な連結手段により画像読取部(11)と連結される。輸送時には図示されるように支持部材(1)の下面とプリンタ部(12)が当接し、支持部材(1)が画像読取部(11)とプリンタ部(12)に嵌合することにより、画像読取部(11)を支持し、輸送時の振動や衝撃による画像読取部(11)及び画像読取部(11)支持構造体の撓みを防止することができる。支持部材(1)と画像読取部(11)の連結手段は、スプリング付きトルクヒンジに限定されなく、角度固定可能な連結手段であればよい。
支持部材(1)が設けられたプリンタ部(12)の側面(18)の下方には装置を輸送する際に使用するための取手部(19)が2箇所設けられている。支持部材(1)と取手部(19)が側面(18)側に設けられているため、輸送する際に支持部材(1)が画像読取部(11)を支持した状態になっているか確認し忘れることがない。また、支持部材(1)が画像読取部(11)を支持しない状態では、支持部材(1)が側面(18)から突出しているため、支持状態に設定し忘れることもない。
【0021】
図5は、支持部材が画像読取部側に連結されている実施例における、(a)装置使用時、(b)ハンドセットを設置した時の概略図である。
支持部材(1)を、装置外側へ角度(α)を60°〜120°、望ましくは90°になるように固定する。その支持部材(1)上にハンドセット(15)を設置することができる。また、カードリーダーの設置、事務用品置きにも使用することができる。
【0022】
図6は、支持部材がプリンタ部上面に連結されている実施例における、画像読取部支持機構及びこの画像読取部支持機構を備える画像形成装置の輸送時の概略図である。
輸送時には、支持部材(1)は左開放面(L)(図1参照)に対し垂直になるように連結されている。プリンタ部(12)上面には、プリンタ部上面凹部(17)が設けられ、支持部材(1)はプリンタ部上面凹部(17)の上面と連結され、画像読取部(11)を支持している。
【0023】
図7は、支持部材がプリンタ部上面に連結されている実施例における、(a)装置使用時に支持部材を使用しない時、(b)装置使用時に支持部材を使用する時の概略図である。
装置使用時には、図(a)で示されるように、支持部材(1)をプリンタ部上面凹部(17)に折り畳んで使用してもよい。排出されスタックされた用紙を取り出す際、邪魔になるものがないので取り出しやすいという利点がある。
また、図(b)で示されるように、支持部材(1)を左開放面(L)に平行にも連結できるようにし、装置使用時はオプション機器の設置又は事務用品置きとして使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、電子写真方式のプリンタ、複写機、ファクシミリ等の、画像読取部支持機構を備えた画像形成装置に対して好適に利用される。
【符号の説明】
【0025】
1 支持部材
10 画像形成装置
11 画像読取部
12 プリンタ部
13 排紙空間
14 カードリーダー
15 ハンドセット
16 プリンタ部側面凹部
17 プリンタ部上面凹部
18 側面
19 取手部
L 左開放面
M 前開放面
α 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置使用時にオプション機器の設置又は事務用品置きのために使用することができる画像読取部支持機構であって、
胴内排紙空間の開放された2面のどちらかに備えられる支持部材と、
前記支持部材を、画像読取部又はプリンタ部に連結する連結手段とを備え、
前記支持部材を、前記支持部材と前記支持部材が設置される前記胴内排紙空間の開放面との角度を60°〜120°で固定することができることを特徴とする画像読取部支持機構。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取部支持機構を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記支持部材は開放した状態において前記画像形成装置の本体側面から突出した状態で固定され、前記支持部材が突出する前記本体側面には前記本体を運搬する際に使用する取手部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−78521(P2012−78521A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222919(P2010−222919)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】