説明

画質自動調整方法および画質自動調整ディスク

【課題】記録媒体に格納されたコンテンツに対してユーザが行った画質調整を、他の再生装置で再生する際にも反映可能とし、かつ、特定の再生装置等でなくても反映可能とする。
【解決手段】光ディスク20は、ROM領域とRE領域との両方を有し、ROM領域には映像コンテンツデータと、画質調整を行うためのアプリケーションプログラムと、画質調整の初期設定データとが格納され、RE領域には画質調整のユーザ設定データが格納可能である。記録再生装置10に光ディスク20が挿入されると、ROM領域からアプリケーションプログラムが読み出され作業用メモリ13に書き込まれる。その後は、アプリケーションプログラムに基づいて、RE領域にユーザ設定データが格納されている場合にはこのユーザ設定データを読み出して表示装置30の画質調整を行い、ユーザ設定データが格納されていない場合にはROM領域から初期設定データを読み出して画質調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録特性の異なる情報記録層を複数備え、記録された映像コンテンツの再生時にその画質を調整することが可能な画質自動調整ディスク、および画質自動調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
BD(Blu-ray Disc)メディア内の映像コンテンツを、プレーヤーなどの再生装置を用いて再生する場合、一般的に画質調整は再生装置側で行なう。映像コンテンツには様々なジャンルや画像特性のものがあり、最適な画質で視聴するには、映像コンテンツを変える度に再生装置側の画質調整操作をする必要がある。
【0003】
これに対し、特許文献1および2では、以下のような技術が考案されている。すなわち、記録媒体に格納されたあるコンテンツに対し、画質調整状態を画質調整データとしてメモリに書き込み、コンテンツ再生時にこのデータを読み出して再生装置の画質を調整する。特許文献1では、上記画質調整データは記録再生装置のメモリに記録され、特許文献2ではコンテンツが格納される記録媒体の書き換え可能領域に記録されることが記載されている。画質調整データは2通りの方法で保存される。1つは各コンテンツの識別データと関連付ける方法であり、もう1つは映像特性情報と関連付ける方法である。
【0004】
これにより、ユーザが1度画質を調整した後、同じコンテンツはもちろん、オーサリングやジャンルや映像特性が同じ映像コンテンツについて、再度画質調整操作をしなくても最適な画質で視聴することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−333350号公報(2001年11月30日公開)
【特許文献2】特開平10−40654号公報(1998年2月13日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来技術は以下の問題を有する。先ず、特許文献1のように、画質調整データを記録再生装置のメモリに記録する方法では、コンテンツを再生する装置を変えた場合は前回行った画質調整は反映されず、ユーザは再度画質調整を行うことが要求される。さらに、装置のメモリには容量の限界があるため、コンテンツ全てに対して1対1に画質調整データを保持できない。
【0007】
一方、特許文献2では、画質調整データは記録媒体の書き換え可能領域に記録されるため、装置を変えた場合であっても、前記画質調整データが記録媒体から読み出され画質調整が実行される。すなわち、ユーザは再度画質調整を行うことは要求されない。但し、特許文献2では、画質調整データを記録媒体から読み出して設定を行うためのアプリケーションプログラムは装置側に搭載されるため、該アプリケーションプログラムを搭載した装置(おそらくは同一メーカの装置)でないと上記効果は得られない。また、接続するテレビ等の機器によってデータが異なるため、接続機器が限定されてしまう。
【0008】
本願発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、記録媒体に格納されたコンテンツに対してユーザが一旦行った画質調整を、他の再生装置で上記コンテンツを再生する際にも反映可能とするものであり、かつ、特定の再生装置等でなくても反映可能とできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の画質自動調整方法は、記録再生装置および表示装置によって光記録媒体に格納された映像コンテンツを再生する時に、表示される映像の画質調整を行うための画質自動調整方法であって、上記光記録媒体は、再生専用領域と記録可能領域との両方を有し、上記再生専用領域には映像コンテンツデータと、画質調整を行うためのアプリケーションプログラムと、画質調整の初期設定データとを格納しており、上記記録可能領域には表示装置においてユーザが設定した画質調整のユーザ設定データが格納可能であり、上記記録再生装置に上記光記録媒体が挿入されると、上記記録再生装置が上記光記録媒体の再生専用領域から上記アプリケーションプログラムを読み出して、上記記録再生装置が内蔵する作業用メモリに書き込む第1工程と、上記記録可能領域に上記ユーザ設定データが格納されている場合には、このユーザ設定データを読み出して、表示装置の画質調整を行う第2工程と、上記記録可能領域に上記ユーザ設定データが格納されていない場合には、上記再生専用領域から上記初期設定データを読み出して、表示装置の画質調整を行う第3工程とを含み、上記第2および第3工程は、上記第1工程で読み出される上記アプリケーションプログラムに基づいて実行されることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、上記光記録媒体の記録可能領域に画質調整のユーザ設定データが格納可能であるため、ユーザが上記光記録媒体のコンテンツに対して画質調整を行うと、該コンテンツの再生を行うたびにその画質調整結果が反映される。また、上記ユーザ設定データが格納されていない場合には、上記初期設定データによってコンテンツメーカ等の推奨設定による画質調整が行える。
【0011】
さらに、上記光記録媒体の再生専用領域には、上記画質設定情報に基づいて表示装置の画質調整を行うためのアプリケーションプログラムも格納されているため、特定の記録再生装置でなくとも、上記効果を得ることができる。
【0012】
また、上記画質自動調整方法では、上記再生専用領域に格納される上記初期設定データは、表示装置の機器種別に対応して複数格納されているものであり、かつ、上記記録可能領域に格納される上記ユーザ設定データは画質調整を行った時の表示装置の機器種別が対応して格納されるものであり、上記第2工程では、接続されている表示装置の機器種別が上記ユーザ設定データに対応して格納されている機器種別と一致する場合には上記ユーザ設定データを用いて表示装置の画質調整を行い、一致しない場合には上記ユーザ設定データを、上記再生専用領域に格納される上記初期設定データのうち、画質調整を行った時の表示装置の機器種別に対応する初期設定データと、接続されている表示装置の機器種別に対応する初期設定データとを用いて変換し、この変換後のユーザ設定データを用いて表示装置の画質調整を行い、上記第3工程では、接続されている表示装置の機器種別に対応する初期設定データを用いて表示装置の画質調整を行う構成とすることができる。
【0013】
上記の構成によれば、表示装置の機器種別に応じて画質調整量を変換することができるため、コンテンツを再生する表示装置の機器種別に関わらず、ほぼ同様の画質を得ることができる。
【0014】
また、上記画質自動調整方法では、さらに、上記アプリケーションプログラムに基づいて実行される工程として、上記映像コンテンツデータの再生中にユーザが上記表示装置における画質調整を行った場合には、その画質調整結果を上記表示装置から上記記録再生装置に送信し、上記ユーザ設定データとして上記記録可能領域に書き込む第4工程を含む構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画質自動調整方法は、記録再生装置および表示装置によって光記録媒体に格納された映像コンテンツを再生する時に、表示される映像の画質調整を行うための画質自動調整方法であって、上記光記録媒体は、再生専用領域と記録可能領域との両方を有し、上記再生専用領域には映像コンテンツデータと、画質調整を行うためのアプリケーションプログラムと、画質調整の初期設定データとを格納しており、上記記録可能領域には表示装置においてユーザが設定した画質調整のユーザ設定データが格納可能であり、上記記録再生装置に上記光記録媒体が挿入されると、上記記録再生装置が上記光記録媒体の再生専用領域から上記アプリケーションプログラムを読み出して、上記記録再生装置が内蔵する作業用メモリに書き込む第1工程と、上記記録可能領域に上記ユーザ設定データが格納されている場合には、このユーザ設定データを読み出して、表示装置の画質調整を行う第2工程と、上記記録可能領域に上記ユーザ設定データが格納されていない場合には、上記再生専用領域から上記初期設定データを読み出して、表示装置の画質調整を行う第3工程とを含み、上記第2および第3工程は、上記第1工程で読み出される上記アプリケーションプログラムに基づいて実行される構成である。
【0016】
それゆえ、ユーザが上記光記録媒体のコンテンツに対して画質調整を行うと、該コンテンツの再生を行うたびにその画質調整結果が反映される。また、上記ユーザ設定データが格納されていない場合には、上記初期設定データによってコンテンツメーカ等の推奨設定による画質調整が行える。
【0017】
さらに、上記光記録媒体の再生専用領域には、上記画質設定情報に基づいて表示装置の画質調整を行うためのアプリケーションプログラムも格納されているため、特定の記録再生装置でなくとも、上記効果を得ることができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、記録再生装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記記録再生装置で再生される光ディスクの構成を示す図である。
【図3】上記記録再生装置の画質調整処理を示すフローチャートである。
【図4】上記光ディスクに格納される画質変換テーブルを示すものであり、(a)は標準設定の画像設定情報テーブル、(b),(c)は機器種別に対応して設定される画像設定情報テーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。先ずは、本実施の形態にかかる画質自動調整方法が適用される記録再生装置および表示装置の要部構成を図1に示す。
【0020】
図1に示す記録再生装置10は、制御部11、ディスクドライバ部12、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)13、作業用メモリ14、不揮発性メモリ15を備えている。また、図1における記録再生装置10は、例えば、映像データを再生するBD(Blu-ray Disc:登録商標)プレーヤ等であり、液晶テレビ等の表示装置30と接続されて使用される構成を例示している。尚、図1は、記録再生装置10と表示装置30とが接続された構成であるが、記録再生装置10に表示部が内蔵されている構成であっても良い。
【0021】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を含むものであり、記録再生装置10の全体を制御する手段であると共に、後述する情報処理等を行う。ディスクドライバ部12は、図示しないディスク挿入口に挿入された光ディスク(光記録媒体、画質自動調整ディスク)20に対してデータの読み出しおよび書き込みを行う。HDMI13は、記録再生装置10と表示装置30との間でデータ送信を行なうためのインターフェースである。HDMI13では、映像・音声信号の伝送方式としてTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)が用いられ、制御信号の伝送にはCEC(Consumer Electronics Control)/DDC(The Display Data Channel)が用いられている。
【0022】
作業用メモリ14は、制御部11が処理を行う際に用いられるメモリであり、DRAM等が用いられる。不揮発性メモリ15は、制御部11における制御プログラム等を格納するメモリであり、FLASHメモリ等が用いられる。
【0023】
また、表示装置30は、表示される映像の画質を調整するための画質調整機能(EDID:Extended Display Identification Data)を有しており、その調整データはHDMI13を介して記録再生装置10へ送信できるようになっている。
【0024】
本実施の形態においては、映像データを格納する記録媒体として光ディスク20を用いている。光ディスク20は、図2に示すように、再生専用領域(以降「ROM(Read Only Memory)領域」とも表記する)と記録可能領域(以降、説明のため「RE(RE-writable)領域」とも表記する)とを備えたハイブリッドディスクである。尚、光ディスク20において適用される記録媒体システムは特に限定されず、例えばBDシステムであっても良く、DVD(Digital Versatile Disc)システムであっても良い。
【0025】
光ディスク20において、再生される映像コンテンツデータはROM領域に記録されている。また、光ディスク20のRE領域には、上記コンテンツをユーザが好みの画質で見ることができるように、画質設定情報を格納することができる。さらに、光ディスク20に格納された画質設定情報に基づいて表示装置30の画質調整を行うためのアプリケーションプログラムは、光ディスク20のROM領域に格納されている。
【0026】
ユーザがコンテンツの再生時に表示装置30で画質調整を行った場合には、その画質設定情報(画質調整のユーザ設定データ)がHDMI13を介して記録再生装置10に送信される。記録再生装置10は、受け取った画質設定情報を光ディスク20のRE領域に書き込む。また、光ディスク20のROM領域に初期設定となる画質設定情報(画質調整の初期設定データ)を予め格納していてもよく、この初期設定となる画質設定情報は表示装置の機器メーカーに対応させて複数用意されていても良い。この初期設定データは、ROM領域にコンテンツが入っている場合はコンテンツメーカーによる推奨設定、またはディスクのメーカーによる推奨設定等とする。初期設定となる画質設定情報は、ROM領域に記載されていることで、ユーザーによる上書き・消去されず保持できる。
【0027】
記録再生装置10では、光ディスク20に記録される映像データを再生するときに、光ディスク20に画質設定情報が記録されていれば、その画質設定情報に基づいて表示装置30における画質調整処理を行う。この画質調整処理を図3のフローチャートを参照して説明する。
【0028】
光ディスク20が記録再生装置10のディスクドライバ部12に挿入されると(S1)、制御部11はディスクドライバ部12を通じて光ディスク20のROM領域からアプリケーションプログラムを読み出し、これを作業用メモリ14に書き込む(S2:第1工程)。以降の処理は、このアプリケーションプログラムに基づいて実行される。
【0029】
先ず、RE領域から画質設定情報の読み取りが行われる(S3)。RE領域から画質設定情報が読み取られた場合、その中に記録再生装置10と接続されている表示装置30と機器が一致する情報があるか否かが確認される(S4)。すなわち、画質設定情報は、表示装置30の機器の種類(例えば、製造メーカー)と対応して設定されている。これは、表示装置30における画質は機器によって異なる特徴があり、同じ画質を得ようとする場合の画質調整量は機器によって異なるためである。また、上記確認を行なうためには、記録再生装置10が、接続されている表示装置30の機器種類を認識できる必要があるが、この認識はHDMI接続によって可能である。すなわち、記録再生装置10と表示装置30とがHDMI接続されると、表示装置の機器情報(EDID)が読み取られて記録再生装置10に送信されるため、記録再生装置10はその機器情報を作業用メモリ14に格納する。
【0030】
S4において、接続されている機器と一致する情報があれば、制御部11は、その画質設定情報をRE領域から読み出し、作業用メモリ14に格納する(S5:第2工程)。また、S4において、接続されている機器と一致する情報がなければ、ROM領域から画質設定情報の読み取りが行われる(S6)。そして、その中に記録再生装置10と接続されている表示装置30と機器が一致する情報があるか否かが確認される(S7)。S7において、接続されている機器と一致する情報があれば、制御部11は、その画質設定情報をROM領域から読み出し、作業用メモリ14に格納する(S5:第3工程)。S7において、接続されている機器と一致する情報がなければ、標準の画質設定情報を作業用メモリ14に格納する(S8)。尚、ここでの標準の画質設定情報とは、表示装置30の機器の種類(例えば、製造メーカー)と対応して設定されているものではなく、平均的な画質調整パラメータを有するものである。本実施形態では、このような標準の画質設定情報もROM領域に格納されているものとする。
【0031】
S5またはS8において作業用メモリ14に画質設定情報が格納されると、制御部11は、その画質設定情報に基づいて、制御信号(HDMI CEC/DDC)を通して表示装置30での画質設定を行う(S9:第2および第3工程)。
【0032】
また、コンテンツの再生中にユーザが表示装置30における画質調整を行った場合には、その画質調整結果を所定のタイミングで表示装置30から記録再生装置10に送信し、RE領域に書き込む(第4工程)。
【0033】
上述のように、本実施の形態にかかる記録再生装置10では、光ディスク20のRE領域に、ユーザが行った画質調整における画質設定情報が格納される。このため、ユーザが光ディスク20のコンテンツに対して画質調整を行うと、該コンテンツの再生を行うたびにその画質調整結果が反映される。また、画質調整を行ったときと異なる記録再生装置10で再生を行っても、画質設定情報が光ディスク20から読み出されるため、ユーザによて再調整の手間を省くことができる。さらに、光ディスク20のROM領域には、上記画質設定情報に基づいて表示装置30の画質調整を行うためのアプリケーションプログラムも格納されているため、特定の記録再生装置10でなくとも、上記効果を得ることができる。すなわち、光ディスク20に格納されているコンテンツに対応する再生装置、またはその画質設定データに対応した再生装置ではなくても、アプリケーションプログラムを読み込んで再生可能となる。
【0034】
さらに、本実施の形態にかかる記録再生装置10では、接続されている表示装置の機器に対応させて画質設定を行えるようになっている。これを可能とするため、光ディスク20は、ROM領域に画質変換テーブルを有する構成となっている。以下に、変換テーブルの構成および機能について図4を参照して説明する。但し、図4に示す画質変換テーブルはあくまで一構成例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
図4(a)は、標準設定(コンテンツメーカーまたはディスクのメーカーによる推奨設定)の画像設定情報テーブルであり、表示装置30において調整可能な再生パラメータと、各パラメータにおける調整量とが対応して記載されている。図4(b),(c)は、機器種別に対応して設定される画像設定情報テーブルであり、この例では、標準設定とは異なるパラメータにおいて、その調整量の差が記載されている。この例では、画質変換テーブルは、標準設定の画像設定情報テーブルと、機器種別に対応して設定される画像設定情報テーブルとのセットとして提供されている。尚、機器種別に対応して設定される画像設定情報テーブルの数は特に限定されない。
【0036】
例えば、記録再生装置10に接続されている表示装置30が機器Aであり、該機器Aの標準的な画質では明るさがやや明るく、色の濃さがやや薄いような場合、機器Aに対応する画像設定情報では、明るさを押さえ、色の濃さを濃くするような画質調整を行うべきである。このため、図4(b)の画像設定情報テーブルでは、明るさの調整量が(−1)、色の濃さの調整量が(+2)に設定されている。実際に機器Aである表示装置30の画質調整を行う場合には、明るさについては、標準設定における調整量(+3)に、機器Aに対応する調整量(−1)を足して、(+2)の調整量にて画質調整される。色の濃さについても同様に、標準設定における調整量(0)に、機器Aに対応する調整量(+2)を足して、(+2)の調整量にて画質調整される。機器Aの画像設定情報テーブルにおいて調整量が設定されていないパラメータについては、標準設定の調整量が用いられる。上述のような画質変換テーブルを光ディスク20を備えることにより、コンテンツを再生する表示装置の機器種別に関わらず、ほぼ同様の画質を得ることができる。
【0037】
また、ユーザがコンテンツの再生中の自分の好みとなるように表示装置30で画質調整を行った場合は、その調整したパラメータの調整量が表示装置30の機器種別情報と共にRE領域に書き込まれる。これにより、例えば機器Aでのコンテンツ再生中にユーザが画質調整を行い、その画像設定情報がRE領域に格納された場合は、それ以降の機器Aでのコンテンツ再生のたびにRE領域に格納された画像設定情報が反映される。
【0038】
さらに、機器Aでのコンテンツ再生中にユーザが画質調整を行い、その画像設定情報がRE領域に格納されている場合、そのコンテンツを機器Bで再生する時には、上記画質変換テーブルを用いて機器Bでも上記画質調整結果を反映させることができる。
【0039】
例えば、機器Aでのコンテンツ再生中に、ユーザが明るさのパラメータを(+2)の調整量から(+3)に変更し、この設定情報がRE領域に格納されたとする。そして、上記コンテンツを機器Bで再生する際には、記録再生装置10では、光ディスク10のRE領域から、ユーザ設定に画質設定情報として(+3)の調整量を読み出す。しかしながら、これは機器Aについての調整量であるため、機器Bで再生を行う場合には、機器Aに対応する画像設定情報テーブル(すなわち図4(b))での明るさの調整量を減算し、機器Bに対応する画像設定情報テーブル(すなわち図4(c))での明るさの調整量を加算する。これにより、この場合の明るさの調整量は、(+3)−(−1)+(0)=(+4)となり、機器Bでの再生時の明るさの調整量は(+4)となる。
【0040】
ユーザが画質調整を行った場合、その画質設定情報の光ディスク20への書き込みを行うタイミングは特に限定されないが、ユーザの好みの画質が確定した可能性が高いタイミングとして、再生停止または終了時点とすることが好ましい。例えば、映像再生終了時に書き込みを行う構成とする場合、映像再生終了時点で、記録再生装置10は制御信号(CEC/DDC)を介してその時の画像設定情報を入手する。この画像設定情報は、作業用メモリ14に一旦書き込まれ、再生前の設定と相違があるか否かが確認される。相違があれば、光ディスク20のRE領域にその画像設定情報が格納される。
【0041】
尚、画質設定情報によって調整される画質はコンテンツごとに設定できる。また、RE領域への書き込みのため、この設定は消去・上書き可能である。
【0042】
〔補足〕
最後に、記録再生装置10の各ブロック、特に制御部11は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0043】
すなわち、記録再生装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである記録再生装置10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、前記記録再生装置10に供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0044】
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0045】
また、記録再生装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0046】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、映像コンテンツが格納されるBD等を再生する際に、調整された画質にて沙精することができるものであり、BDプレーヤー等に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 記録再生装置
11 制御部
12 ディスクドライブ部
13 HDMI
14 作業用メモリ
15 不揮発性メモリ
20 光ディスク(光記録媒体、画質自動調整ディスク)
30 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録再生装置および表示装置によって光記録媒体に格納された映像コンテンツを再生する時に、表示される映像の画質調整を行うための画質自動調整方法であって、
上記光記録媒体は、再生専用領域と記録可能領域との両方を有し、上記再生専用領域には映像コンテンツデータと、画質調整を行うためのアプリケーションプログラムと、画質調整の初期設定データとを格納しており、上記記録可能領域には表示装置においてユーザが設定した画質調整のユーザ設定データが格納可能であり、
上記記録再生装置に上記光記録媒体が挿入されると、上記記録再生装置が上記光記録媒体の再生専用領域から上記アプリケーションプログラムを読み出して、上記記録再生装置が内蔵する作業用メモリに書き込む第1工程と、
上記記録可能領域に上記ユーザ設定データが格納されている場合には、このユーザ設定データを読み出して、表示装置の画質調整を行う第2工程と、
上記記録可能領域に上記ユーザ設定データが格納されていない場合には、上記再生専用領域から上記初期設定データを読み出して、表示装置の画質調整を行う第3工程とを含み、
上記第2および第3工程は、上記第1工程で読み出される上記アプリケーションプログラムに基づいて実行されることを特徴とする画質自動調整方法。
【請求項2】
上記再生専用領域に格納される上記初期設定データは、表示装置の機器種別に対応して複数格納されているものであり、かつ、上記記録可能領域に格納される上記ユーザ設定データは画質調整を行った時の表示装置の機器種別が対応して格納されるものであり、
上記第2工程では、
接続されている表示装置の機器種別が上記ユーザ設定データに対応して格納されている機器種別と一致する場合には上記ユーザ設定データを用いて表示装置の画質調整を行い、
一致しない場合には上記ユーザ設定データを、上記再生専用領域に格納される上記初期設定データのうち、画質調整を行った時の表示装置の機器種別に対応する初期設定データと、接続されている表示装置の機器種別に対応する初期設定データとを用いて変換し、この変換後のユーザ設定データを用いて表示装置の画質調整を行い、
上記第3工程では、接続されている表示装置の機器種別に対応する初期設定データを用いて表示装置の画質調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の画質自動調整方法。
【請求項3】
さらに、上記アプリケーションプログラムに基づいて実行される工程として、
上記映像コンテンツデータの再生中にユーザが上記表示装置における画質調整を行った場合には、その画質調整結果を上記表示装置から上記記録再生装置に送信し、上記ユーザ設定データとして上記記録可能領域に書き込む第4工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の画質自動調整方法。
【請求項4】
再生専用領域と記録可能領域との両方を有し、上記再生専用領域には映像コンテンツデータと、画質調整を行うためのアプリケーションプログラムと、画質調整の初期設定データとを格納しており、上記記録可能領域には表示装置においてユーザが設定した画質調整のユーザ設定データが格納可能であり、
上記アプリケーションプログラムは、上記請求項1から3のいずれか一項に記載の画質自動調整方法における各工程を上記記録再生装置のCPUに実行させるためのプログラムであることを特徴とする画質自動調整ディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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