説明

画質評価装置

【課題】フレームレート変換以外の要因による画質劣化による影響を排除しつつ、フレームレート変換によって生成される補間フレームの画質評価を精度よく行う。
【解決手段】ブロック評価値計算手段10は、原画像に対する評価対象画像の歪みを、フレーム内分割によるブロック単位のブロック評価値として計算する。非補間フレーム歪み集計手段20は、非補間フレームにおけるブロック評価値に基づいて歪み閾値を決定する。歪みブロック評価手段30は、ブロック評価値のうちの補間フレームにおけるブロック評価値と歪み閾値に基づいて、補間フレームにおける歪みブロックを判定して歪みブロック番号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル動画像の画質評価を行う画質評価装置に関し、特に、フレームレート変換によって生成された補間フレーム画像の画質評価を精度よく行うことができる画質評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワンセグ放送の送信側などでは、例えば、30フレーム/秒の原画像を15フレーム/秒などの低フレームレートに落とした上でH.264に従って圧縮符号化し、送信する。一方、受信側では、前後のフレームでの動き特徴を抽出し、抽出された動き特徴に基づき、フレームレート変換技術を用いて補間フレームを擬似的に生成して高フレームレート化を図り、送信側での低フレームレート化によって損なわれる動きの滑らかさを補うことができる。
【0003】
図10は、送信側および受信側の構成を示すブロック図である。送信側は、フレーム間引器60およびH.264エンコーダ70を備え、受信側は、H.264デコーダおよびフレームレート変換器90を備える。原画像信号は、送信側のフレーム間引器60で低フレームレート化され、H.264エンコーダ70で符号化された後、放送波として送信される。受信側で受信された符号化画像は、H.264デコーダで復号され、さらにフレームレート変換器90で高フレームレート化され、変換後画像信号として出力される。
【0004】
ここで、受信側でのフレームレート変換において、画面内の動きの複雑さやテクスチャの複雑さ、圧縮歪みなどに起因して動き特徴が誤検出され、不自然な補間フレーム画像が生成される可能性がある。そこで、フレームレート変換の性能を評価するため、補間フレームの画質評価を行うことができる画質評価装置が必要となる。
【0005】
補間フレームの画質評価は、基本的には、フレームレート変換によって生成された補間フレーム画像と、原画像における、補間フレーム画像と同じ再生時刻のフレーム画像を比較し、歪みを測定することによって行うことができる。
【0006】
特許文献1には、主観評価結果に近い評価結果を得ることができるデジタル画像品質評価装置が記載されている。このデジタル画像品質評価装置では、ビデオコーデックやデジタル画像伝送路などの画像品質の評価対象システムからの評価対象画像(再生画像)データの値と原画像データの値との差分値に基づくSN比を算出し、フレーム全体の原画像データの交流成分の電力に基づいて前記SN比の重み付けを行う。
【0007】
特許文献2には、人間の視覚特性が反映され、評価精度を向上させることができる画質評価方法が記載されている。これでは、原画像から時空間領域を抽出し、評価対象画像を各時空間領域に分割し、分割された時空間領域ごとに画質劣化判定を行う。
【特許文献1】特開平9−307930号公報
【特許文献2】特開2008−28707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のデジタル画像品質評価装置や特許文献2の画質評価方法によれば、原画像と評価対象画像との間の歪みを基に評価対象画像の画質を評価できる。原画像が圧縮符号化されず、単にフレームレートが低下され、このフレームレートが低下された画像からフレームレート変換によって補間フレーム画像が生成される場合には、補間フレーム画像の画質は、補間フレーム画像と、原画像における、補間フレーム画像と同じ再生時刻のフレーム画像とを比較することにより評価できる。
【0009】
一方、原画像のフレームレートが低下されて圧縮符号化され、このフレームレートが低下された画像からフレームレート変換によって補間フレーム画像が生成される場合、補間フレーム画像の画質劣化の要因として、圧縮符号化による歪みと不自然なフレーム補間による歪みの両方が混在することになる。
【0010】
フレームレート変換の性能を判定するには、圧縮符号化による歪みに左右されず、フレーム補間による歪みのみに起因する画質劣化を評価できるものである必要がある。
【0011】
しかし、原画像のフレームレートが低下されて圧縮符号化され、このフレームレートが低下された画像からフレームレート変換によって補間フレーム画像が生成される場合、従来技術のいずれを適用したとしても、補間フレーム画像の画質劣化がフレームレート補間による歪みに起因するものか、圧縮符号化による歪みに起因するものかの判定ができないという課題がある。
【0012】
本発明の目的は、圧縮符号化などの、フレームレート変換以外の要因による画質劣化による影響を排除しつつ、フレームレート変換によって生成される補間フレームの画質評価を精度よく行うことができる画質評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は、原画像と、該原画像が一旦低フレームレート化され、フレームレート変換によって再び高フレームレート化された、補間フレームを含む評価対象画像を入力とし、フレームレート変換による補間フレームの画質評価を行う画質評価装置であって、原画像に対する評価対象画像の歪みを、フレーム内分割によるブロック単位のブロック評価値として計算するブロック評価値計算手段と、非補間フレームにおけるブロック評価値に基づいて歪み閾値を決定する非補間フレーム歪み集計手段と、前記ブロック評価値計算手段により計算されたブロック評価値のうちの補間フレームにおけるブロック評価値と、前記非補間フレーム歪み集計手段によって計算された歪み閾値に基づいて、補間フレームにおける歪みブロックを判定して歪みブロック番号を出力する歪みブロック評価手段を備えた点に第1の特徴がある。
【0014】
また、本発明は、前記ブロック評価値計算手段が、原画像と評価対象画像の対応するブロックの同一位置にある画素の差分絶対値和あるいは差分二乗和をブロック評価値として計算する点に第2の特徴がある。
【0015】
また、本発明は、前記ブロック評価値計算手段が、原画像に対する評価対象画像の歪みを、フレーム内分割によるブロック単位で計算する評価値計算部と、前記評価値計算部により計算されたブロック評価値のうちの非補間フレームにおけるブロック評価値を記憶する非補間フレーム評価値記憶メモリと、前記評価値計算部により計算されたブロック評価値のうちの補間フレームにおけるブロック評価値を記憶する補間フレーム評価値記憶メモリを有する点に第3の特徴がある。
【0016】
また、本発明は、前記非補間フレーム歪み集計手段が、前記ブロック評価値計算手段により計算されたブロック評価値のうちの非補間フレームにおける全ブロックのブロック評価値の最大値を歪み閾値として決定する点に第4の特徴がある。 また、本発明は、前記歪みブロック評価手段が、補間フレームにおける各ブロックのブロック評価値が前記歪み閾値を上回っている場合に、該ブロックのブロック番号を歪みブロック番号として出力する点に第5の特徴がある。
【0017】
また、本発明は、さらに、前記歪みブロック評価手段から出力される歪みブロック番号に基づいて歪みブロック出現率を計算して出力する歪みブロック集計手段を備えた点に第6の特徴がある。
【0018】
さらに、本発明は、前記歪みブロック集計手段が、前記歪みブロック番号の出現回数を集計し、非補間フレームの全ブロック数に対する歪みブロックの出現回数の割合を歪みブロック出現率として出力する点に第7の特徴がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、圧縮符号化などの、フレームレート変換以外の要因による画質劣化による影響を排除しつつ、フレームレート変換によって生成される補間フレームの画質評価を精度よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明の第1実施形態を示すブロック図である。第1実施形態の画質評価装置は、ブロック評価値計算手段10、非補間フレーム歪み集計手段20および歪みブロック評価手段30を備える。ブロック評価値計算手段10は、評価値計算部11、切替部12、非補間フレーム評価値記憶メモリ13および補間フレーム評価値記憶メモリ14を備える。これらの各手段、各部は、ハードウエアでもソフトウエアでも実現できる。
【0021】
原画像信号および変換後画像信号をブロック評価値計算手段10の評価値計算部11に入力する。変換後画像信号とは、原画像信号が間引きされて一旦低フレームレートに落とされ、フレームレート変換によって再び高フレームレート化された、補間フレームを含む画像信号である。以下では、原画像信号のフレーム画像を原フレーム画像と称し、変換後画像信号の画像を評価対象画像、そのフレーム画像を評価対象フレーム画像と称する。
【0022】
図2は、原画像および評価対象画像のフレームの対応関係の例を示す概念図である。原画像のフレームレートをFとしたとき、原画像は、再生時刻がt,t+1/F,t+2/F,・・・である時間間隔1/Fの原フレーム画像(1),(2),(3),・・・からなる。原画像のうち、偶数番目の原フレーム画像(2),・・・は間引きされ、奇数番目の原フレーム画像(1),(3),・・・だけが符号化されてH.264符号化画像とされる。すなわち、H.264符号化画像は、H.264符号化フレーム画像(1′),(3′),・・・からなり、低フレームレートに落とされている。
【0023】
評価対象画像は、H.264符号化フレーム画像(1′),(3′),・・・の復号画像から生成される。この例では、評価対象画像のフレームレートは、原画像のフレームレートと同じであり、再生時刻がt,t+2/F,・・・の奇数番目の評価対象フレーム画像(1″),(3″),・・・はそれぞれ、H.264符号化フレーム画像(1′),(3′),・・・を復号することにより生成され、再生時刻がt+1/F,t+3/F,・・・の評価対象画像(2″),(4″),・・・は、H.264符号化フレーム画像(1′),(3′),・・・を復号し、さらに、フレームレート変換器50でフレームレート変換することにより生成される。例えば、再生時刻がt+1/Fの評価対象画像(2″)は、H.264符号化フレーム画像(1′),(3′)を復号し、それらを補間処理して生成される。
【0024】
原画像は、例えば、30フレーム/秒である。H.264符号化画像は、原画像が15フレーム/秒にフレームレート変換され、圧縮符号化されたものであり、各H.264符号化フレーム画像は、圧縮符号化よって歪みを受けている。評価対象画像は、H.264符号化画像が復号され、さらに30フレーム/秒にフレームレート変換されたものである。
【0025】
図1に戻って、評価値計算部11は、各原フレーム画像(1),(2),(3),・・・と各評価対象フレーム画像(1″),(2″),(3″),・・・をそれぞれ単位ブロックに分割し、評価対象フレーム画像と原フレーム画像との間での単位ブロックごとのブロック評価値を計算する。ブロック評価値は、評価対象フレーム画像の単位ブロック内の画像が、それと同じ再生時刻の原フレーム画像の、位置的に対応する単位ブロック内の画像に対してどの程度違うかを示す。ここで、単位ブロックのサイズは任意であるが、一般的な単位ブロックは、16x16画素サイズである。
【0026】
ブロック評価値の計算は、原フレーム画像と評価対象フレーム画像の再生時刻が同じ全フレームについて行う。例えば、図2の場合、原フレーム画像(1)と評価対象フレーム画像(1″)との間、原フレーム画像(2)と評価対象フレーム画像(2″)の間、原フレーム画像(3)と評価対象フレーム画像(3″)の間、・・・についてブロック評価値を計算する。
【0027】
図3は、評価値計算部11の動作を示す概念図である。評価値計算部11は、原フレーム画像と評価対象フレーム画像をそれぞれ単位ブロックに分割し、両者の同一位置の単位ブロックごとに差分ノルムを計算し、これをブロック評価値とする。差分ノルムは、原フレーム画像と評価対象フレーム画像の違いを表す値であり、原フレーム画像と評価対象フレーム画像の同一位置にある画素の差分絶対値和あるいは差分二乗和などが利用できる。例えば、原フレーム画像と評価対象フレーム画像における図示太枠の単位ブロック内の同一位置にある各画素の差分絶対値和あるいは差分二乗和を求め、これを当該単位ブロックのブロック評価値とする。この場合、差分ノルムの大きい単位ブロックは、原フレーム画像に対して評価対象フレーム画像の歪みが大きくなっていることを示す。
【0028】
切替部12は、評価値計算部11で計算された非補間フレームについてのブロック評価値Pを非補間フレーム評価値記憶メモリ13に入力し、補間フレームについてのブロック評価値Rを補間フレーム評価値記憶メモリ14に入力するように動作する。
【0029】
非補間フレーム評価値記憶メモリ13は、評価値計算部11で計算された非補間フレームについてのブロック評価値Pを記憶し、補間フレーム評価値記憶メモリ14は、補間フレームについてのブロック評価値Rを記憶する。
【0030】
非補間フレーム歪み集計手段20は、全ての非補間フレームの再生時刻における原フレーム画像と評価対象フレーム画像の全ブロックについてのブロック評価値Pを集計し、補間フレームにおける歪みブロックを判定するための閾値(歪み閾値)Thrを決定する。
【0031】
図4は、非補間フレーム歪み集計手段20の動作を示す概念図である。再生時刻がt,t+2/F,t+4/F,・・・の評価対象画像(1″),(3″),(5″),・・・のフレームは、非補間フレームであり、フレームレート変換器50により生成される。これらの評価対象フレーム画像(1″),(3″),(5″),・・・と原フレーム画像(1),(3),(5),・・・との間のブロック評価値Pは、評価値計算手段11により計算されて非補間フレーム評価値記憶メモリ13に記憶されている。非補間フレーム歪み集計手段20は、このブロック評価値Pを集計し、例えば、全フレームを通して最大値となるブロック評価値Pを歪み閾値Thrとして歪みブロック評価手段30に与える。
【0032】
歪みブロック評価手段30は、補間フレーム評価値記憶メモリ14に記憶されている補間フレームにおけるブロック評価値Rを、非補間フレーム歪み集計手段20から与えられる歪み閾値Thrと比較し、ブロック評価値Rが歪み閾値Thrを上回るブロックの番号を歪みブロック番号として出力する。
【0033】
図5は、歪みブロック評価手段30における動作を示す概念図である。再生時刻がt+1/F,t+3/F,・・・の評価対象フレーム画像(2″),(4″),・・・のフレームは、補間フレームであり、これらの評価対象フレーム画像(2″),(4″),・・・と原フレーム画像(2),(4),・・・との間のブロック評価値Rは、評価値計算部11により計算されて非補間フレーム評価値記憶メモリ13に記憶されている。歪みブロック評価手段30は、このブロック評価値Rを非補間フレーム歪み集計手段20から与えられる歪み閾値Thrと比較し、ブロック評価値Rが歪み閾値Thrを上回るブロックの番号を歪みブロック番号として出力する。歪みブロック評価手段30は、全補間フレームの全ブロックについての歪みブロック番号を出力する。非補間フレームにおけるブロック評価値が歪み閾値Thrを上回っているブロックでは、圧縮符号化以外の要素による影響で歪みが発生していることを示している。
【0034】
図6は、圧縮符号化以外の要素による影響で発生した歪みを持つ画像の例を示す図である。ここでは、太枠で示すブロックにおいて原画像にはない線や領域が評価対象画像で発生している例を示している。この線や領域は、圧縮符号化以外の要素による影響で発生した歪みであり、歪みブロック評価手段30では、このようなブロックをフレームレート変換によって発生する不自然な歪みブロックとして判定できる。判定された歪みブロックを、例えば赤枠で囲んだり、その部分の表示を変化させたりして画像表示すれば、圧縮符号化による歪み以外の歪みの発生箇所を容易に認識できる。
【0035】
図7は、第1実施形態における画質評価手順を示すフローチャートである。ここでは、非補間フレームについてのブロック評価値Pが既に非補間フレーム評価値記憶メモリ13に記憶され、補間フレームについてのブロック評価値Rが既に補間フレーム評価値記憶メモリ14に記憶されているものとする。以下のS2〜S5のステップは、非補間フレーム歪み集計手段20が行う処理であり、S6〜S9のステップは、歪みブロック評価手段30が行う処理である。
【0036】
まず、補間フレームにおける歪みブロックを判定するための歪み閾値Thrを初期値0に設定する(S1)。S2〜S5のステップは、非補間フレーム全てを通し、それらの各ブロックについて実行する。S2のステップでは、各非補間フレーム内の各ブロックについてのブロック評価値Pを取得する。当初は、最初の非補間フレーム内の最初のブロックについてのブロック評価値Pを取得する。次に、S2で取得されたブロック評価値Pが歪み閾値Thrを上回っているか否かを判定し(S3)、上回っていないと判定した場合には、S5に進むが、上回っていると判定した場合には、歪み閾値Thrをそのブロック評価値Pとする(S4)。つまり歪み閾値Thrをブロック評価値Pに書き換える。
【0037】
次に、当該ブロックが最終ブロックであるか否かを判定し(S5)、最終ブロックであると判定した場合には、S6に進むが、最終ブロックでないと判定した場合には、S2に戻る。
【0038】
S2では、次のブロックについてのブロック評価値Pを取得し、以下、S3〜S5のステップを繰り返す。S2〜S5のステップの繰り返しにより、非補間フレーム全体におけるブロック評価値Pの最大値が歪み閾値Thrとして得られる。
【0039】
以下のS6〜S9のステップは、補間フレーム全てを通し、それらの各ブロックについて実行する。S6では、各補間フレーム内の各ブロックについてのブロック評価値Rを取得する。当初は、最初の補間フレーム内の最初のブロックについてのブロック評価値Rを取得する。次に、S6で取得されたブロック評価値Rが歪み閾値Thrを上回っているか否かを判定し(S7)、上回っていないと判定した場合には、S9に進むが、上回っていると判定した場合には、当該ブロックの番号を歪みブロック番号として出力する。
【0040】
次に、当該ブロックが最終ブロックであるか否かを判定し(S9)、最終ブロックであると判定した場合には、処理を終了するが、最終ブロックでないと判定した場合には、S6に戻る。
【0041】
S6では、次のブロックについてのブロック評価値Rを取得し、以下、S7〜S9のステップを繰り返す。S6〜S9のステップの繰り返しにより、補間フレーム全体を通してブロック評価値Rが歪み閾値Thrを上回っているブロックの番号が歪みブロック番号として出力される。
【0042】
図8は、本発明の第2実施形態を示すブロック図である。図8において図1と同じあるいは同等部分には同一符号を付している。第2実施形態の画質評価装置は、歪みブロック集計手段40が追加されている点が第1実施形態と異なる。
【0043】
ブロック評価値計算手段10、非補間フレーム歪み集計手段20および歪みブロック評価手段30の構成および動作は、第1実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0044】
歪みブロック集計手段40は、歪みブロック評価手段30での、ブロック評価値Rが歪み閾値Thrを上回っているか否かの判定結果を基に、補間フレーム全体での各ブロックを対象として歪みブロックの発生数をカウントする。そして、補間フレーム全体でのブロック数をNとし、歪みブロックの発生数をDとしたとき、D/Nを歪みブロック出現率として出力する。
【0045】
図9は、第2実施形態における画質評価手順を示すフローチャートである。図9において図7と同じあるいは同等部分には同一符号を付している。ここで、S1〜S9のステップは、図7と同じであるので、説明を省略する。S10,S11が追加されている点が図7と異なっており、これらは歪みブロック集計手段40が行う処理である。
【0046】
S10では、S7でブロック評価値Rが歪み閾値Thrを上回っていると判定されたブロックの発生数、すなわち、歪みブロックの発生数個数をカウントする。また、S11では、補間フレーム全体のブロック数をNとしたとき、S10でのカウント値Dとブロック数NとからD/Nを歪みブロック出現率として計算して出力する。この歪みブロック出現率D/Nが高い場合、フレームレート変換による不自然な画像歪みが頻発していることを示す。
【0047】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、種々に変形可能である。例えば、120フレーム/秒の原画像が60フレーム/秒に落とされて圧縮符号化され、それから再び120フレーム/秒にフレームレート変換される場合、60フレーム/秒の原画像が15フレーム/秒に落とされて圧縮符号化され、それから再び60フレーム/秒に変換される場合など、複数の同じ再生時刻において原画像と評価対象画像の両方のフレームを取得できる場合であれば本発明を適用できる。
【0048】
また、本発明は、変換後画像の所定区間のフレームについての画質評価を行うものとしても有効である。これは、変換後画像の所定区間のフレーム画像とそれに再生時間が対応する原画像のフレーム画像を処理対象とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】原画像および評価対象画像のフレームの対応関係の例を示す概念図である。
【図3】評価値計算部の動作を示す概念図である。
【図4】非補間フレーム歪み集計手段の動作を示す概念図である。
【図5】歪みブロック評価手段における動作を示す概念図である。
【図6】圧縮符号化以外の要素による影響で発生した歪みを持つ画像の例を示す図である。
【図7】第1実施形態における画質評価手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
【図9】第2実施形態における画質評価手順を示すフローチャートである。
【図10】送信側および受信側の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0050】
10・・・ブロック評価値計算手段、11・・・評価値計算部、12・・・切替部、13・・・非補間フレーム評価値記憶メモリ、14・・・補間フレーム評価値記憶メモリ、20・・・非補間フレーム歪み集計手段、30・・・歪みブロック評価手段、40・・・歪みブロック集計手段、50,90・・・フレームレート変換器、60・・・フレーム間引器、70・・・H.264エンコーダ、80・・・H.264デコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原画像と、該原画像が一旦低フレームレート化され、フレームレート変換によって再び高フレームレート化された、補間フレームを含む評価対象画像を入力とし、フレームレート変換による補間フレームの画質評価を行う画質評価装置であって、
原画像に対する評価対象画像の歪みを、フレーム内分割によるブロック単位のブロック評価値として計算するブロック評価値計算手段と、
非補間フレームにおけるブロック評価値に基づいて歪み閾値を決定する非補間フレーム歪み集計手段と、
前記ブロック評価値計算手段により計算されたブロック評価値のうちの補間フレームにおけるブロック評価値と、前記非補間フレーム歪み集計手段によって計算された歪み閾値に基づいて、補間フレームにおける歪みブロックを判定して歪みブロック番号を出力する歪みブロック評価手段を備えたことを特徴とする画質評価装置。
【請求項2】
前記ブロック評価値計算手段は、原画像と評価対象画像の対応するブロックの同一位置にある画素の差分絶対値和あるいは差分二乗和をブロック評価値として計算することを特徴とする請求項1に記載の画質評価装置。
【請求項3】
前記ブロック評価値計算手段は、原画像に対する評価対象画像の歪みを、フレーム内分割によるブロック単位で計算する評価値計算部と、前記評価値計算部により計算されたブロック評価値のうちの非補間フレームにおけるブロック評価値を記憶する非補間フレーム評価値記憶メモリと、前記評価値計算部により計算されたブロック評価値のうちの補間フレームにおけるブロック評価値を記憶する補間フレーム評価値記憶メモリを有することを特徴とする請求項1または2に記載の画質評価装置。
【請求項4】
前記非補間フレーム歪み集計手段は、前記ブロック評価値計算手段により計算されたブロック評価値のうちの非補間フレームにおける全ブロックのブロック評価値の最大値を歪み閾値として決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに画質評価装置。
【請求項5】
前記歪みブロック評価手段は、補間フレームにおける各ブロックのブロック評価値が前記歪み閾値を上回っている場合に、該ブロックのブロック番号を歪みブロック番号として出力することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画質評価装置。
【請求項6】
さらに、前記歪みブロック評価手段から出力される歪みブロック番号に基づいて歪みブロック出現率を計算して出力する歪みブロック集計手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画質評価装置。
【請求項7】
前記歪みブロック集計手段は、前記歪みブロック番号の出現回数を集計し、非補間フレームの全ブロック数に対する歪みブロックの出現回数の割合を歪みブロック出現率として出力することを特徴とする請求項6に記載の画質評価装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−87754(P2010−87754A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253376(P2008−253376)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】