説明

画質認定、実践医学生涯教育、および、事業組織レベルでの認定管理と分析の方法と機器

画像機器ユーザーの認定法および機器を説明する。本方法および機器は、受講者の高画質作成能力を基に、電子機器による実践医学生涯教育の単位/時間数をも提供する。さらに、ここで開示される方法と機器を用いることにより、得られる画質が専門家ユーザーの能力に依存する超音波検査システムのような他の画像機器の性能を高め、それにより、前記システムが、最良の画像を得たと判断された時点で、その静止画像を自動的に得ることが可能となる。又、ここで開示される発明は、事業組織レベルでの認定分析の方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本発明者により2005年7月20日に出願された仮特許出願米国シリアル番号60/701,321の利益を主張する。米国シリアル番号60/701,321の内容は、その参考資料として明瞭に本明細書に引用される。
以下の参考資料は、その参考資料としてここに明示的に引用される。
1.2004年8月7日公開の、ChoquetへのWIPO公報番号WO/2004/057554,出願番号PCT/CA2003/001987
2.Shraga Rottem, Method and System for enhancing the quality of device images (「機器画質を向上させるための方法とシステム」)、米国特許審査中20040122307, PCT優先日2001年3月8日。2004年6月24日公開
3.Rottem S, Bronshtein M, Thaler I, Brandes JM, First trimester transvaginal sonographic diagnosis of fetal anomalies(第一期における、胎児異常の経膣超音波検査), Lancet. 1989; 1 (8635): 444-5.
4.Shraga Rottem, IRONFAN: new time-oriented malformation work-up and classification of fetal anomalies (新しい胎児異常の時系列先天性異常精密検査および分類), Ultrasound in Obsterics & Gynecology, 1997; 10; 373-74
5.Abdullah, S. C. & Cooley, R. E. (2000) Using constraints to develop and deliver adaptive tests (適応型テストの開発と実施のための、制約事項の使用) in H. Cooper & S. Clowes, editors, Proceedings of the Fourth International Computer Assisted Assessment Conference, Loughborough University, UK; 93-101
6.Lil Valentin, High-quality gynecological ultrasound can be highly beneficial, but poor-quality gynecological ultrasound can do harm (高性能の産婦人科用超音波検査は非常に有益だが、低性能の産婦人科用超音波検査は実際に弊害をもたらす), Ultrasound in Obstetrics and Gynecology 2002; 13, 1 p. 1-7
本発明は、画質認定、実践医学生涯教育、および、事業組織レベルでの認定管理と分析の方法と機器に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波検査システムは、今日、肝臓、腎臓、卵巣、甲状腺、前立腺、乳房、筋肉、眼、さらに胎児までを含むほぼすべての臓器にかかわる数多くの疾病が無いことを確認したり、診断するために用いられている。ほとんどの国では、このような機器は、各種の専門分野を担当するソノグラフ技師、技術者、医師、また、一般開業医、研修医、看護士、医師助手、および助産婦などの資格を持つ職員によって操作される。超音波検査の免許は、医療技術者やソノグラフ技師の養成コース、あるいは医学部を卒業することにより、また、場合によっては、公認医療ソノグラフ検査技師(registered diagnostic medical sonographer, 「RDMS」)の免許を獲得することにより、授与される。
【0003】
つい最近では、米国の保健維持機構(HMO)は、超音波検査施設および開業医に対し、米国超音波医療学会(「AIUM」)などの専門協会による認定を義務付けることを開始し、その認定を請求書送付や費用償還特権の必須条件としている。そのような協会は、さらに、検査施設に対し、たとえば、全般的な業務の質を証明するものとして、(一つの施設における各専門部門につき)約50枚の高画質超音波写真を送付するなど、認定された従業員を雇用していることを証明するように義務づけることを開始した。Nuchal Translucency(「NT」)あるいは鼻骨(「NB]」)計測(第一期において、ダウン症候群のスクリーニングで用いられる検査)などのテストについては、ソノグラフ技師がNT/NB計測および結果の解釈の試験に合格するまで、HMOは開業医に対して費用償還をしない。このテストには、項部あるいは鼻のスキャンにおけるキャリパーの正しい配置を示す多数のNT/NB画像の提出が含まれる。
【0004】
産婦人科などの専門分野の研修医は、研修プログラムの一環として、4週間交代で超音波検査施設において訓練を受けなければならない。専門課程終了後、研修医は、独立した専門家として、(その他の処置とともに)ソノグラム検査を行い、それに対して請求書を送付できるようになる。米国検査医療ソノグラフ登録協会(「ARDMS」)などの米国の協会は、RDMSによって免許を獲得した者に対するのと同様に、個人が免許を維持するために、毎年、最低限の実践医学生涯教育の単位、あるいは時間数を要求している。これらの単位は、医学学会に出席することにより、あるいは、専門誌の記事を読んだり、超音波システムのメーカのウエブサイトを含むウエブサイトに掲載された記事を調べた後、多肢選択試験を受けることにより獲得することができる。
【0005】
機器が体をスキャンし、画像を生成するCTやMRIなどの画像処理とは異なり、超音波試験においては、画像は患者をスキャンする技師によって提供される。したがって、ソノグラムの質は、良質の画像を得るまで、プローブを移動し、機器を調整する技師の技術に大きく依存している。
【0006】
現在の米国における訓練、免許授与、資格付与、認定、および、超音波技師の年次資格証明更新は一定の過程を終了し、専門学会に出席し多肢選択試験を受けることによる単位の蓄積に基づいている。この過程は、専門家が高品質のソノグラムを作成する手技能の証明とはほとんど関係が無い。たとえば、学会で実践医学生涯教育の単位を蓄積するのではなく、技師の資格付与を、技能の証明としての画像の質を基にして行なうならば、多くの超音波検査の診断ミスを防ぐことができるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本出願に記述されている本発明の第一の側面は、超音波検査システムなどのコンピュータ化された機器が、患者をスキャンしている間に、技師の生成する画像の質を認定することを可能にする方法と過程である。たとえば、産婦人科の患者をスキャン後、ソノグラフ技師は、テキストと画像からなるレポートを作成し、そのレポートには以下のような計測値と所見が記載されるであろう。
a) 右卵巣は正常な外見で、正常な大きさ、2.5 cm x 2 cm、および左卵巣は正常で2.8 x 1.8 cmの大きさ。
b) 子宮は正常な外見で、正常な大きさ、8.7 cm x 5.3で、子宮内膜の厚さ0.3 cm。
c) 円蓋は正常で、必要最低限の遊離液体を認める。
もう一つの例は、ダウン症候群のスクリーニングに用いられる産科の部位である。この第一期の検査は、時系列胎児ノモグラム内の超音波によるNTおよびNBの計測とレポートである。前記検査のレポートは、さらに、上記a)〜c)に記載されているようなすべてのソノグラムデータを含み、画像保管通信システム(「PACS」)あるいは代替的には、web-PACS、PC、CD−ROM、また時折超音波検査システムの記憶回路基板上などの場所に格納される。
【0008】
本発明によると、技師が日常のスキャンで作成した画像は以下から自動的に抽出される。
i) 超音波検査システムから検査施設内の他の機器あるいはウエブベースのシステムに送信されたデータ、または、スキャン画像の3次元復元データ、
ii) ソノグラムレポートシステム、あるいは、
iii) 患者の記録
抽出処理は、単語あるいは用語マッチング、および、抽出手法によってなされ、超音波検査を行なった各技師の個人画像ライブラリに格納される。
【0009】
本発明の第二の側面は、各技師のためのパスワードによって管理されるフォルダと、以下のような情報源からの画像によって、そのフォルダを使用可能にすることである。
i) 日常のスキャンあるいは3次元復元過程
ii) 技師が、CD-ROM、DVD、あるいはウエブを介してなど、媒体に画像を格納するプロセス
iii) 超音波検査機器の代わりに、質の高い標準画像を生成するウエブベース/ハードウエアベースの目/手協調シミュレータ機器。
【0010】
図面に関して述べると、図1は、「実習生、事業組織アクセスとナビゲーション」画面である。参照番号1は、事業組織による要件セクションである。参照番号2は、使用者の作業状況のリアルタイムの概要である。参照番号3は、事業組織による訂正または承認、あるいは質の低い画像の自動拒絶の前後の使用者の画像ライブラリを示す。参照番号4は改善すべき箇所が事業組織によって印がつけられている画像を含む画像レビューエリアである。図2は、「事業組織レビューセクション」である。
【0011】
図1および図2は、個人フォルダ内の可能なナビゲーション、および、技師が認定要件を満たす完全なライブラリ生成を達成するまで、画質分析とフィードバックのため、高い標準の画像を有するライブラリを人間の検閲者、あるいはパターン認識システムに送る手段を説明している。
【0012】
本発明によって、病院やそれ以外の場所でスキャンする全ての職員が、日常のスキャンの過程でスムーズにソノグラムの質について認定を受けることができる。これにより、クラスに出席したり、試験を受けたり、画像を提出することなく、再認定されることが可能となる。月に一度、本発明で説明したシステムは、病院内の全ての超音波検査技師に、どの画像が個人ライブラリにまだ入っていないかを示す個人統計を送ることができる。
【0013】
本発明の第三の側面は、訓練および認定組織により理想的なものとしてあらかじめ選択されたフレーム、つまりホット・マッチング・フレーム上の、たとえば、リアルタイムのソノグラム、デジタル化した訓練用のビデオ、あるいはシミュレータによって生成された画像などのデジタル媒体を(技師による)手動で、または自動的に/機械によって、選択および凍結することである。したがって、スキャン中に、技師に代わって、超音波検査システムが、高画質のフレーム上の、患者から得られたリアルタイム画像を自動的に凍結することが可能となる。これによって高品質の画像を確実にいつも得ることができるようになる。したがって、前記自動画像凍結は、日常繰り返されるスキャンによる技師の疲れ、あるいは、技師間の技能のばらつきによる、スキャン画像のばらつき、および画質の劣化を減少させる。
【0014】
本発明の本側面の一部として、デジタル化したビデオや目/手協調シミュレータによる画像が技師/訓練生によって手動で凍結されている間、システムは、適切なタイミングで凍結された場合、技師に対し、画像に、主要な解剖学的構造の名前を割り当てるように促す。使用者/訓練生は、矢印、キャリパー、および、名前の標識をドラッグし、正しい構造や部位、すなわち、ホット・マッチング・エリアに配置することができる。前記機器は、与えられた矢印、キャリパー、あるいは指標、たとえば、第一期ダウン症候群検査におけるNTあるいはNBを計測するキャリパーを適宜に承認または拒否する。
【0015】
本発明のさらなる側面は、認定を担当する組織や協会が(あるいは超音波システムのキャリブレーションの一部として)、初心者あるいは熟練の技師/訓練生が達成するのが求められる画質に従って、ホット・フレームの数を調整できる点である。連続した複数のホット・フレームを認めることにより、高標準の画像および、ほぼ最適な質の結果を含めることができる。高い標準がただ一つのフレームに基づくと、より高度な訓練を達成することができる。
【0016】
本発明の第四の要素は、訓練と画質認定システムの事業/組織レベルでの管理および分析を可能にする方法とサーバーである。そのような組織は、米国防総省あるいは米国医師会や米国産婦人科学会などの専門学校であり得る。
【0017】
図3および図4は訓練および認定の過程を管理するためのナビゲーション手段を説明している。図は、米国海軍などの組織における個人および項目/画像レベルでの可能な問題の分析を示す。図3において、参照番号5は、全ての現場セクションである。参照番号6は分析セクションである。参照番号7は、専門領域(診断)で、参照番号8は専門領域(スクリーニング)である。また参照番号9で示されるのは、使用者の操作能力セクションである。参照番号10は、使用者の個人操作能力であり、参照番号11は、使用者の事業組織内における操作能力である。最後に、参照番号12は、臓器/部位ベースの相対的な操作能力および警告システムである。図5は、「使用者に対する重み付けされた警告システムおよび全ての利用できる変数を用いた訓練システムの性能」を示す。
【0018】
本発明の第五の側面は、本出願で説明されている要素を組み合わせた、実践的な医学生涯教育(continuing medical education、「CME」)のための機器と方法である。本発明は、超音波を使用する機器および方法について説明しているが、本機器は、本発明の元の範囲から逸脱することなく、内視鏡検査やボロスコープによる検査など、他の医療あるいは非医療画像処理過程のために適応させることができると考えられる。従来のCMEの過程は、クラス、セミナー、会議などに出席する、および/または、多肢選択試験を受けることに基づいており、画像処理専門領域の理論的な知識を証明するが、専門家が高い質の画像を作成できる能力を証明することはない。
【0019】
前述の説明において、特定の用語および視覚描写が好適な実施形態を図示するために使用された。しかし、用語および図示は単に例示的であって、本発明の範囲を制限することを意図しないため、先行技術で示されるものを超えて、不必要な制限が使用された用語または描写された図示によりなされるものではない。付録の請求項に記述されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、他の修正が本発明になされてもよいことがさらに理解される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
技師の機器操作能力の試験結果のレポートを生成するステップと、
前記レポートを前記技師の個人ライブラリに格納するステップと、
前記技師の個人ライブラリ内の前記レポートを基に前記技師の操作能力に関する統計データを編集生成するステップと、を含む、
医療機器の技師を訓練し認定する方法。
【請求項2】
人の臓器あるいは部位の最良の画像を獲得する過程において、前記最良の画像を選択、凍結、また、記録する画像処理機器を提供するステップであって、前記画像の選択は、最高の質を有するフレームのコンピュータ化された選択に基づくステップと、
前記最良の画像のすべて、あるいは、一部を含む記録されたセッションを生成するステップ、
を含む方法。
【請求項3】
前記記録されたセッションを目/手協調シミュレータに配置し、前記記録されたセッションを訓練の目的で使用するプロセスをさらに含み、その訓練において、訓練生は仮想プローブあるいはスコープを使用して、前記凍結機能で最良のフレームを収集し、主要構造に名前を割り当て、前記請求項2に記載のコンピュータ化された選択とマッチするまで操作をする練習をする、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
技師の経験レベルに応じて調整される、請求項3に記載の記録されたセッション。
【請求項5】
認定への個人別、部位/臓器別進歩状況を報告し、初期の段階で使用者、臓器、あるいは機器に関連する問題を報告する
機器を提供する
事業組織レベルにおける、訓練の自動分析および画質認定システムの方法。
【請求項6】
高い質の画像作成における、専門家の、手動の、また、手、および/または、目の技術を提供する実践CME過程を提供するためにさらに適応される請求項1、2、3、4、または5のいずれかに記載のシステム。

【公表番号】特表2009−503654(P2009−503654A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522969(P2008−522969)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/028241
【国際公開番号】WO2007/012047
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(503328171)
【Fターム(参考)】