説明

画面共有システム、画面共有方法、サーバ端末制御プログラム、クライアント端末制御プログラムおよび記録媒体

【課題】リアルタイムで同じ画面を共有しあい、電子会議をシームレスに違和感なく利用できるようにする。
【解決手段】サーバ端末10は、描画入力が可能な入力部11と、キャプチャ画面の画像データを送信する画像データ送信部12と、入力部11からの描画された画面を共有する背景が透明なホワイトボード14と、デスクトップの作業画面の上層にホワイトボード14を重ねて表示するディスプレイ16と、当該サーバ端末10を制御する制御部15を備え、クライアント端末20は、描画入力が可能な入力部21と、キャプチャ画面の画像データを受信する画像データ受信部22と、入力部21からの描画された画面を共有する背景が透明なホワイトボード24と、受信した画像データを共有画面として表示し、さらにその上層にホワイトボード24を重ねて表示するディスプレイ26と、当該クライアント端末20を制御する制御部25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイを有する1つのサーバ端末と、ディスプレイを有する少なくとも1つのクライアント端末と、がネットワークを介して接続され、各ディスプレイの画面を共有する画面共有システム、画面共有方法、サーバ端末制御プログラム、クライアント端末制御プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地にある拠点の端末同士をネットワークで接続して電子会議等を行うのに適したシステムとして、他拠点の端末の画面を手元に表示して操作したり、逆に自拠点の端末の画面を他拠点の端末の画面に表示するという、画面共有システムがある。
【0003】
従来技術における画面共有システムとしては、例えば、特許文献1に開示された会議支援システムがある。図1は、従来技術の会議支援システムを示す図である。図1において、会議支援システムは、1つのサーバと、2つのクライアントA、Bとを有する。
【0004】
サーバPC100は、デスクトップ画面50が最下面にあり、このデスクトップ画面50でアプリケーションを実行し、文書を開くことができる。デスクトップ画面50の上には、各クライアントのウインドウ51〜52と、サーバのウインドウ53とが背景を透明にして重ね合わせて重畳表示されるウインドウ54がある。
【0005】
クライアントPC200は、サーバPC100のウインドウ54との共有画面60が最下面にあり、その共有画面の上層には、各クライアントが書込を行うローカルのウインドウ61と、ローカルのウインドウ61と共有画面60とが重ね合わせ重畳表示されるウインドウ62がある。
【0006】
ここで、背景を透明にして重ね合わせるには、例えばMicrosoft社のWindows(登録商標)2000以上のOSであれば、LayeredWindowと呼ばれるウィンドウスタイルを使用することにより実現することができる。
【0007】
サーバPC100の画面では、デスクトップ画面50上で起動しているアプリケーションの画面の上に、ホワイトボードの書き込みが重ね合わされ重畳表示されたウインドウ54が、画面共有機能によって各クライアントPC200と共有される。
【0008】
【特許文献1】特開2006−31359号公報(第17頁−18頁、図20)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図1に示すような、従来の画面共有システムでは、ホワイトボードに書き込まれた描画像を消しゴムツール等で消した場合、消したユーザのクライアントPCではこのローカル描画はすぐに消えるが、下層の共有画面にはリアルタイムに反映されず、各クライアントのユーザはまだ描画されているものと認識してしまう。
【0010】
ローカル描画の消した情報が、サーバ側のホワイトボードに反映され、それを共有画面として配信され、それが下層の描画に反映されたときにはじめて消えたとユーザーは認識する。図1において、クライアントAで描画したペンの内容が、クライアントBに達するまでの時間は、
Δta-s:クライアントAからサーバへのペン描画データ転送時間
Δtswb:サーバのホワイトボードに反映される時間
Δtscap:サーバにて、共有画面が作成される時間
Δtspre:サーバにて共有画面をネットワーク送信する準備処理
Δts-b:サーバからクライアントBへ共有画像が送られる転送時間
Δtcdrw:クライアントBにて共有画像を展開し描画する時間
とすると、
ΔT=Δta-s+Δtswb+Δtscap+Δtspre+Δts-b+Δtcdrw・・・・式(1)
となり、ネットワークを2度通ったり、データ量の多い画像データとして転送されるためネットワークの帯域に大きく左右される。
【0011】
従って、下層の描画に反映するまでのレスポンスは、ネットワークの帯域幅が広帯域の場合には、高速に処理可能であるので、違和感を感じない程度で済む可能性はあるが、狭帯域の場合では、消しゴムツールのレスポンスが悪いと認識されてしまう虞がある。
【0012】
本発明が解決しようとする課題としては、リアルタイムで同じ画面を共有しあうことができ、電子会議をシームレスに違和感なく利用できる画面共有システム、画面共有方法、サーバ端末制御プログラム、クライアント端末制御プログラムおよび記録媒体を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の画面共有システムは、ディスプレイを有する1つのサーバ端末と、ディスプレイを有する少なくとも1つのクライアント端末と、がネットワークを介して接続され、各ディスプレイの画面を共有する画面共有システムであって、
前記サーバ端末は、
入力手段により描画入力が可能な入力部と、
デスクトップの作業画面のみを繰り返しキャプチャし、該キャプチャ画面の画像データを他の端末へ送信する画像データ送信部と、
前記入力部からの入力により描画された画面を他の端末と共有する背景が透明なホワイトボードと、
前記デスクトップの作業画面の上層に前記ホワイトボードを重ねて表示するディスプレイと、
当該サーバ端末を制御する制御部と、を備え、
前記クライアント端末は、
入力手段により描画入力が可能な入力部と、
前記サーバ端末から送信されたキャプチャ画面の画像データを受信する画像データ受信部と、
前記入力部からの入力により描画された画面を他の端末と共有する背景が透明なホワイトボードと、
前記画像データ受信部が受信した画像データを共有画面として表示し、さらにその上層に前記ホワイトボードを重ねて表示するディスプレイと、
当該クライアント端末を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の画面共有方法は、ディスプレイを有する1つのサーバ端末と、ディスプレイを有する少なくとも1つのクライアント端末と、がネットワークを介して接続され、各ディスプレイの画面を共有する画面共有方法であって、
前記サーバ端末及び前記クライアント端末のうちの所定の端末をペン描画モードに設定するステップと、
前記所定の端末のペン描画の検知を行うステップと、
ペン描画を検知した場合、当該ペン描画により描画されたペンデータ情報を取得するステップと、
前記所定の端末が備える背景を透明化したホワイトボードに描画するステップと、
前記ペンデータ情報を他の端末に送信するステップと、
前記他の端末は、受信した前記ペンデータ情報をペン描画として、前記他の端末が備える背景を透明化したホワイトボードに表示するステップと、
を含むことによって、全ての端末のホワイトボードの画像を共有化し、
前記サーバ端末のデスクトップの作業画面のみを繰り返しキャプチャするステップと、
該キャプチャ画面を画像データとして前記クライアント端末へ送信するステップと、
前記クライアント端末が前記画像データを受信するステップと、
前記クライアント端末は受信した前記画像データを共有画面に表示するステップと、
を含むことによって、前記サーバ端末のディスプレイに、前記デスクトップの作業画面の上層に前記ホワイトボードを重ねて表示し、前記クライアント端末のディスプレイに、前記デスクトップの作業画面の上層に、前記画像データ受信部が受信した画像データを共有画面として表示し、さらにその上層に前記ホワイトボードを重ねて表示することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載のサーバ端末制御プログラムは、ディスプレイを有する1つのサーバ端末と、ディスプレイを有する少なくとも1つのクライアント端末と、がネットワークを介して接続され、各ディスプレイの画面を共有するシステムにおける前記サーバ端末のコンピュータに、
前記サーバ端末をペン描画モードに設定するステップと、
前記サーバ端末のペン描画の検知を行うステップと、
ペン描画を検知した場合、当該ペン描画により描画されたペンデータ情報を取得するステップと、
前記ペンデータ情報を前記サーバ端末が備える背景を透明化したホワイトボードに描画するステップと、
前記ペンデータ情報を前記クライアント端末に送信するステップと、
前記サーバ端末のデスクトップの作業画面のみのキャプチャを行うステップと、
キャプチャ画面を画像データとして前記クライアント端末へ送信するステップと、
を実行させることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載のクライアント端末制御プログラムは、ディスプレイを有する1つのサーバ端末と、ディスプレイを有する少なくとも1つのクライアント端末と、がネットワークを介して接続され、各ディスプレイの画面を共有するシステムにおける前記クライアント端末のコンピュータに、
前記クライアント端末をペン描画モードに設定するステップと、
前記クライアント端末のペン描画の検知を行うステップと、
ペン描画を検知した場合、当該ペン描画により描画されたペンデータ情報を取得するステップと、
前記ペンデータ情報を前記クライアント端末が備える背景を透明化したホワイトボードに描画するステップと、
前記ペンデータ情報を前記サーバ端末および他のクライアント端末に送信するステップと、
前記画像データを受信するステップと、
受信した前記画像データを共有画面として表示するステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る画面共有システムの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図2は、本発明に係る実施の形態の一例を示す画面共有システムを示す概略構成図である。
【0018】
図2に示すように、本実施の形態に係る画面共有システム1は、1つのサーバ端末10がネットワーク2を介して、少なくとも1つのクライアント端末20によって構成される。なお、図示しないが、複数のクライアント端末が接続されたシステムであってもよい。
【0019】
サーバ端末10は主に、入力手段(電子ペン又はマウス等)により描画入力が可能な入力部11と、キャプチャ画面の画像データを送信する画像データ送信部12と、ユーザにより描画された画面を共有するホワイトボード14及び双方向通信が可能なホワイトボード通信部14aと、サーバ端末10を制御する制御部15と、画像を表示するディスプレイ16と、画像データ等を記憶する記憶部17とを備える。なお、さらに、画像データ受信部13を備えてもよい。また、入力設定切換部19を備えてもよい。
【0020】
クライアント端末20は主に、入力手段(電子ペン又はマウス等)により描画入力が可能な入力部21と、キャプチャ画面の画像データを受信する画像データ受信部22と、ユーザにより描画された画面を共有するホワイトボード24及び双方向通信が可能なホワイトボード通信部24aと、クライアント端末20を制御する制御部25と、画像を表示するディスプレイ26と、画像データ等を記憶する記憶部27とを備える。なお、さらに、画像データ送信部23を備えていてもよい。また、入力設定切換部29を備えてもよい。
【0021】
さらに、本実施の形態に係る画面共有システムの画面表示について図3を用いて詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る画面共有システムのディスプレイの画面表示に関する説明図である。
【0022】
図3に示すように、サーバ端末10のホワイトボード14と、クライアント端末20のホワイトボード24とは両端末同士で共有される。即ち、ネットワーク2を介してホワイトボード通信部14a,24a間で常時双方向通信を行いデータが共有される。
【0023】
ホワイトボード通信部14a、24a間の通信は、ペンデータ情報(ペン操作の位置、軌跡、線の太さ、線種、色などの情報)のみの通信であるので、一方のホワイトボード14(又は24)に対する電子ペン(又はマウス等)による描画結果は、即時ペンデータ情報として他方のホワイトボード24(又は14)に送信され、すみやかにその描画結果が反映される。
【0024】
上記のホワイトボード14,24は、背景を透明化したホワイトボード(例えば、Microsoft社のWindows(登録商標)2000以降であれば、レイヤードウィンドウにてホワイトボードの背景色を透明色に設定することにより実現できる)を配置する。このように、背景を透明化したホワイトボードとは、「背景が透明である」および「レイヤードウィンドウスタイルである」という特徴を有していれば、通常のPC(パーソナルコンピュータ)等に搭載されるホワイトボード機能を用いることにより実現できる。
【0025】
また、サーバ端末10は、ホワイトボード14をキャプチャせずに、デスクトップの作業画面16b(アプリケーションを起動して作業している画面)のみをキャプチャしてキャプチャ画面18を取得する。そして、このキャプチャ画面18の画像データは、クライアント端末20に送信され、共有画面28としてデスクトップの作業画面26bの上層に重ねて表示される。共有画面28は、ホワイトボード14,24とは、全く別の層となっているので、ペン描画の内容は共有画面28には反映されない。
【0026】
よって、図3に示すように、サーバ端末10のディスプレイ16には、デスクトップの作業画面16bの上層に、背景が透明なホワイトボード14を重ねた画面表示16aがなされる。また、クライアント端末20のディスプレイ26には、デスクトップの作業画面26bの上層にキャプチャ画面18を重ね、さらにその上層に背景が透明なホワイトボード24を重ねた画面表示16aがなされる。
【0027】
また、本実施の形態に係る画面共有方法の一例について図2〜図5を参照して説明する。図4及び図5は、本実施の形態に係る画面共有方法の一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、サーバ端末10において、制御部15の制御により、ペン描画モードに設定する(ステップS1)。
【0028】
これにより、ユーザによる入力部11からの入力が行えるようになり、制御部15は、入力部11(電子ペン、マウスなど)におけるペン描画の検知を行う(ステップS2)。
【0029】
ペン描画を検知した場合(ステップS2:YES)、制御部15は、この描画されたペンデータ情報(ペン操作の位置、軌跡、線の太さ、線種、色などの情報)を取得する(ステップS3)。なお、既に描画された画像を消す消しゴムツールとして入力部11(電子ペン、マウスなど)を用いた場合は、消去情報としてのペンデータ情報を取得する。
【0030】
そして、取得したペンデータ情報(描画あるいは消去)は、記憶部17に記憶され、ホワイトボード14に画像として表示する(ステップS4)。これにより、図3に示すように、サーバ端末10のディスプレイ16には、デスクトップの作業画面16bと背景が透明なホワイトボード14を重ね合わせた画面表示16aがなされる。
【0031】
また、取得したペンデータ情報(描画あるいは消去)は、ホワイトボード14の通信部14aからクライアント端末20のホワイトボード通信部24aに送信される(ステップS5)。
【0032】
受信したペンデータ情報は、記憶部27に記憶され、制御部25の制御によりペン描画の画像に変換され、ホワイトボード24に、サーバ端末10で描画されたペン描画を表示する(ステップS6)。
【0033】
また、クライアント端末20からのペン描画も上記ステップS1〜S6のフローと同様の手順によって、サーバ端末10のホワイトボード14に送信され表示される。このようにして、ホワイトボード14とホワイトボード24の間で描画データを共有することができる。
【0034】
また、図5に示すように、サーバ端末10の制御部15は、所定時間ごとに、サーバ端末10のデスクトップの作業画面16bのみのキャプチャを行う(ステップS11)。キャプチャ画面18は、画像データ送信部12から画像データとして送信される(ステップS12)。なお、画面キャプチャーデータは全て送らずに、前回のキャプチャー画像からの差分(変更領域)だけ送信するようにしてもよい。
クライアント端末20は、この画像データを画像データ受信部22で受信する(ステップS13)。受信した画像データは、制御部25の制御により、共有画面28に表示される(ステップS14)。
【0035】
なお、サーバ端末10のデスクトップの作業画面16bが動画である場合は、上記の所定時間を短く設定することにより、クライアント端末20の共有画面28に表示される動画の動きをスムーズにすることができる。
【0036】
以上、図4のフロー(ステップS1〜S6)と図5のフロー(ステップS11〜S14)は、それぞれ独立して実行され、クライアント端末20のディスプレイ26には、デスクトップの作業画面26bの上層に共有画面28を重ね、さらにその上層に背景が透明なホワイトボード24を重ねた画面表示26aがなされる。
【0037】
また、上述のホワイトボード14,24に、以下のように、ペン描画モードとマウスモードの設定を持たせて、これらの設定を切り換える入力設定切換部19(29)を備える(図2に点線で示す)ようにすることもできる。
【0038】
以下、本実施の形態に係る画面共有システムにおいて、ホワイトボードにペン描画モードとマウスモードの設定を持たせた変形例について説明する。
図6はペン描画モードとマウスモードの動作の説明図であり、図7は本実施の形態に係る画面共有システムにおいて、サーバ端末側のホワイトボードをマウスモードとし、クライアント端末側のホワイトボードをペン描画モードとしたときの説明図である。
【0039】
図6(a)に示すように、入力設定切換部19(29)によりペン描画モードに設定すると、マウス操作(マウスイベント)を通過させない通常のウィンドウスタイルとなり、ホワイトボード14(24)に対してのみマウス操作が可能となり、下層のデスクトップの作業画面16b(26b)に対するマウス操作はできなくなる。
なお、Windows(登録商標)では、表示するウィンドウについて、視覚スタイルに関する種々のウィンドウスタイルが設定される。図6(a)では、本機能のために特に適用するウィンドウスタイルのみを示している。例えば、Microsoft社のWindows(登録商標)2000以降であれば、ホワイトボードの背景色(ホワイトボード自体の色)をペン描画には使用しない色に設定しておき、当該背景色を指定してWS_EX_LAYEREDを適用することにより、ペン描画以外の部分つまり背景が透明になる。
【0040】
また、図6(b)に示すように、入力設定切換部19(29)によりマウスモードに設定すると、マウス操作を通過させるウィンドウ設定となり、ホワイトボード14(24)を通過して、下層のデスクトップの作業画面16b(26b)に対してのみマウス操作ができるようになる。
なお、Windows(登録商標)では、表示するウィンドウについて、視覚スタイルに関する種々のウィンドウスタイルが設定される。図6(b)では、本機能のために特に適用するウィンドウスタイルのみを示している。例えば、Microsoft社のWindows(登録商標)2000以降であれば、ウィンドウスタイルWS_EX_LAYEREDとWS_EX_TRANSPARENTを組み合わせることにより背景を透明にしかつマウスイベントを通過させる。
【0041】
これにより、図7に示すように、サーバ端末10側をマウスモードに設定し、クライアント端末20側をペン描画モードに設定することにより、画面提供側(サーバ端末10側)にて、他拠点のクライアント端末20に見せるウィンドウを操作している最中に受信側(クライアント端末20側)のユーザが、サーバ端末10側の操作を邪魔することなくペン書きにて間違えや要望を指示することができる。即ち、会議の流れ中断せずに議論を続けることが可能である。
【0042】
また、クライアント端末20側から指示された内容を確認しながら、サーバ端末10側のユーザは指示通りの操作が可能となる。例えば、「これをこの辺にこの位に拡大し配置し、他のレイアウトはこのようにする。」などの指示が電子ペンで行われたとすると、その電子ペンの指示内容を残したまま、その下層で、その指示を見ながらウィンドウ操作などが可能となる。
【0043】
なお、上述の実施の形態において、図2の点線で示すように、サーバ端末10に画像データ受信部13を備え、クライアント端末20に画像データ送信部23を備えることにより、端末をサーバとするかクライアントとするかを切り替えて設定することができる。例えば、端末にサーバ端末制御プログラムとクライアント端末制御プログラムを持たせて、プログラムを切り替えて使用することにより、この端末をサーバ端末10あるいはクライアント端末20として機能させることができる。
【0044】
また、サーバ端末10側から一方的にプレゼンテーションを行う場合でも、サーバ端末10側の作業画面16bでアプリケーション(アニメーションや動画)を動かしながら、そのアプリケーション画面の所望の位置を指し示すように上層のホワイトボード14にマーキングやペン描きをしたり、マークやペン描きが残っている状態で下層の作業画面16bのアプリケーションを動かしたり、などの効果的なプレゼンテーションを行うこともできる。
また、図3において、クライアント端末20の共有画面28においてクライアント端末20のマウス情報を取得し、サーバ10側のマウス操作をするというような、リモートコントロール(遠隔操作)のシステムにも適用が可能である。
【0045】
以上詳述したように、本実施の形態に係る画面共有システムは、ディスプレイ16を有する1つのサーバ端末10と、ディスプレイ26を有する少なくとも1つのクライアント端末20と、がネットワーク2を介して接続され、各ディスプレイ16(26)の画面を共有する画面共有システム1であり、サーバ端末10は、入力手段により描画入力が可能な入力部11と、デスクトップの作業画面16bのみを繰り返しキャプチャし、該キャプチャ画面18の画像データを他の端末へ送信する画像データ送信部12と、入力部11からの入力により描画された画面を他の端末と共有する背景が透明なホワイトボード14と、デスクトップの作業画面16bの上層にホワイトボード14を重ねて表示するディスプレイ16と、当該サーバ端末10を制御する制御部17と、を備え、クライアント端末20は、入力手段により描画入力が可能な入力部21と、サーバ端末10から送信されたキャプチャ画面18の画像データを受信する画像データ受信部22と、入力部21からの入力により描画された画面を他の端末と共有する背景が透明なホワイトボード24と、画像データ受信部22が受信した画像データを共有画面28として表示し、さらにその上層にホワイトボード24を重ねて表示するディスプレイ26と、当該クライアント端末20を制御する制御部26と、を備える。
【0046】
また、本実施の形態に係る画面共有方法は、ディスプレイ16を有する1つのサーバ端末10と、ディスプレイ26を有する少なくとも1つのクライアント端末20と、がネットワーク2を介して接続され、各ディスプレイ16(26)の画面を共有する画面共有方法であり、サーバ端末10及びクライアント端末20のうちの所定の端末をペン描画モードに設定するステップS1と、所定の端末のペン描画の検知を行うステップS2と、ペン描画を検知した場合、当該ペン描画により描画されたペンデータ情報を取得するステップS3と、所定の端末が備える背景を透明化したホワイトボード14(24)に描画するステップS4と、ペンデータ情報を他の端末に送信するステップS5と、他の端末は、受信したペンデータ情報をペン描画として、他の端末が備える背景を透明化したホワイトボード24(14)に表示するステップS6と、を含むことによって、全ての端末のホワイトボードの画像を共有化し、サーバ端末10のデスクトップの作業画面16bのみを繰り返しキャプチャするステップS11と、キャプチャ画面18を画像データとしてクライアント端末20へ送信するステップS12と、クライアント端末20が画像データを受信するステップとS13、クライアント端末20は受信した画像データを共有画面28に表示するステップS14と、を含むことによって、サーバ端末のディスプレイ16に、デスクトップの作業画面16bの上層にホワイトボード14を重ねて表示し、クライアント端末20のディスプレイ26に、デスクトップの作業画面26bの上層に、画像データ受信部22が受信した画像データを共有画面28として表示し、さらにその上層にホワイトボード24を重ねて表示する。
【0047】
また、本実施の形態に係るサーバ端末制御プログラムは、ディスプレイ16を有する1つのサーバ端末10と、ディスプレイ26を有する少なくとも1つのクライアント端末20と、がネットワーク2を介して接続され、各ディスプレイの画面を共有するシステムにおけるサーバ端末10のコンピュータに、サーバ端末10をペン描画モードに設定するステップS1と、サーバ端末10のペン描画の検知を行うステップS2と、ペン描画を検知した場合、当該ペン描画により描画されたペンデータ情報を取得するステップS3と、ペンデータ情報をサーバ端末10が備える背景を透明化したホワイトボード14に描画するステップS4と、ペンデータ情報をクライアント端末20に送信するステップS5と、サーバ端末10のデスクトップの作業画面16bのみのキャプチャを行うステップS11と、キャプチャ画面18を画像データとしてクライアント端末20へ送信するステップS12と、を実行させる。
また、本実施の形態に係るクライアント端末制御プログラムは、ディスプレイ16を有する1つのサーバ端末10と、ディスプレイ26を有する少なくとも1つのクライアント端末20と、がネットワーク2を介して接続され、各ディスプレイの画面を共有するシステムにおけるクライアント端末20のコンピュータに、クライアント端末20をペン描画モードに設定するステップS1と、クライアント端末20のペン描画の検知を行うステップS2と、ペン描画を検知した場合、当該ペン描画により描画されたペンデータ情報を取得するステップS3と、ペンデータ情報をクライアント端末20が備える背景を透明化したホワイトボード24に描画するステップS4と、ペンデータ情報をサーバ端末10および他のクライアント端末20に送信するステップS5と、画像データを受信するステップS13と、受信した画像データを共有画面28として表示するステップS14と、を実行させる。
【0048】
以上、本実施の形態によれば、動画やアニメーションなどの動きがあるものに対しても、ペン描画が可能となる。また、サーバ端末10側で操作中の場合も、その操作を中断させることなくクライアント端末20側からペン入力による指示ができる。
また、画面共有システム1を使用して会議を行った場合は、会議の流れを中断せず議論が可能である。さらに、会議本来の目的である議論以外の点で、意識の中断が発生してしまうことを避けることができる。
また、動画やアニメーションなどのコンテンツを利用した時間軸方向もあわせ議論が可能である。つまり、静止画にペン記録をするのではなく、動きのあるものにペン書きができることになることにより、一時的な画面でなく時間軸を捕らえた議論が可能となる。
よって、リアルタイムな指示が可能である。画面共有によりペン情報を閲覧しているのではなくホワイトボード機能をベースとしているため、各拠点の端末に対してレスポンスのよいペン描画が可能である。例えば、「ここ」と発言しながら描画すれば、その音声とペン描画がほとんどズレのないタイミングで他の拠点の端末に届くため、誤認識や受け手のストレスも軽減できる。
また、サーバ端末側にて、デスクトップを操作している最中に、クライアント端末側にて間違え場所や指摘箇所に、マーキングしたり指示することができる。即ち、ペン描画が、サーバー側の入力操作を妨げることがない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】従来技術の会議支援システムを示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態の一例を示す画面共有システムを示す概略構成図である。
【図3】本実施の形態に係る画面共有システムのディスプレイの画面表示に関する説明図である。
【図4】本実施の形態に係る画面共有方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態に係る画面共有方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】ペン描画モードとマウスモードの動作の説明図である。
【図7】本実施の形態に係る画面共有システムにおいて、サーバ端末側のホワイトボードをマウスモードとし、クライアント端末側のホワイトボードをペン描画モードとしたときの説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 画面共有システム
2 ネットワーク
10 サーバ端末
20 クライアント端末
11,21 入力部
12,22 画像データ送信部
13,23 画像データ受信部
14,24 ホワイトボード
14,24a ホワイトボード通信部
15,25 制御部
16 (サーバ端末の)ディスプレイ
26 (クライアント端末の)ディスプレイ
16a,26a (ディスプレイの)画面表示
16b,26b (デスクトップの)作業画面
17,27 記憶部
18 キャプチャ画面
28 共有画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを有する1つのサーバ端末と、ディスプレイを有する少なくとも1つのクライアント端末と、がネットワークを介して接続され、各ディスプレイの画面を共有する画面共有システムであって、
前記サーバ端末は、
入力手段により描画入力が可能な入力部と、
デスクトップの作業画面のみを繰り返しキャプチャし、該キャプチャ画面の画像データを他の端末へ送信する画像データ送信部と、
前記入力部からの入力により描画された画面を他の端末と共有する背景が透明なホワイトボードと、
前記デスクトップの作業画面の上層に前記ホワイトボードを重ねて表示するディスプレイと、
当該サーバ端末を制御する制御部と、を備え、
前記クライアント端末は、
入力手段により描画入力が可能な入力部と、
前記サーバ端末から送信されたキャプチャ画面の画像データを受信する画像データ受信部と、
前記入力部からの入力により描画された画面を他の端末と共有する背景が透明なホワイトボードと、
前記画像データ受信部が受信した画像データを共有画面として表示し、さらにその上層に前記ホワイトボードを重ねて表示するディスプレイと、
当該クライアント端末を制御する制御部と、を備えることを特徴とする画面共有システム。
【請求項2】
前記サーバ端末の制御部は、所定時間ごとに、前記サーバ端末のデスクトップの作業画面のみのキャプチャを行うことを特徴とする請求項1に記載の画面共有システム。
【請求項3】
前記入力手段は、電子ペン又はマウスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画面共有システム。
【請求項4】
前記ホワイトボードに対し、
マウス操作を通過させないウィンドウ設定とするペン描画モードと、マウス操作を通過させるウィンドウ設定とするマウスモードと、を切り換える入力設定切換部を備えることを特徴とする請求項3に記載の画面共有システム。
【請求項5】
ディスプレイを有する1つのサーバ端末と、ディスプレイを有する少なくとも1つのクライアント端末と、がネットワークを介して接続され、各ディスプレイの画面を共有する画面共有方法であって、
前記サーバ端末及び前記クライアント端末のうちの所定の端末をペン描画モードに設定するステップと、
前記所定の端末のペン描画の検知を行うステップと、
ペン描画を検知した場合、当該ペン描画により描画されたペンデータ情報を取得するステップと、
前記所定の端末が備える背景を透明化したホワイトボードに描画するステップと、
前記ペンデータ情報を他の端末に送信するステップと、
前記他の端末は、受信した前記ペンデータ情報をペン描画として、前記他の端末が備える背景を透明化したホワイトボードに表示するステップと、
を含むことによって、全ての端末のホワイトボードの画像を共有化し、
前記サーバ端末のデスクトップの作業画面のみを繰り返しキャプチャするステップと、
該キャプチャ画面を画像データとして前記クライアント端末へ送信するステップと、
前記クライアント端末が前記画像データを受信するステップと、
前記クライアント端末は受信した前記画像データを共有画面に表示するステップと、
を含むことによって、前記サーバ端末のディスプレイに、前記デスクトップの作業画面の上層に前記ホワイトボードを重ねて表示し、前記クライアント端末のディスプレイに、前記デスクトップの作業画面の上層に、前記画像データ受信部が受信した画像データを共有画面として表示し、さらにその上層に前記ホワイトボードを重ねて表示することを特徴とする画面共有方法。
【請求項6】
ディスプレイを有する1つのサーバ端末と、ディスプレイを有する少なくとも1つのクライアント端末と、がネットワークを介して接続され、各ディスプレイの画面を共有するシステムにおける前記サーバ端末のコンピュータに、
前記サーバ端末をペン描画モードに設定するステップと、
前記サーバ端末のペン描画の検知を行うステップと、
ペン描画を検知した場合、当該ペン描画により描画されたペンデータ情報を取得するステップと、
前記ペンデータ情報を前記サーバ端末が備える背景を透明化したホワイトボードに描画するステップと、
前記ペンデータ情報を前記クライアント端末に送信するステップと、
前記サーバ端末のデスクトップの作業画面のみのキャプチャを行うステップと、
キャプチャ画面を画像データとして前記クライアント端末へ送信するステップと、
を実行させることを特徴とするサーバ端末制御プログラム。
【請求項7】
ディスプレイを有する1つのサーバ端末と、ディスプレイを有する少なくとも1つのクライアント端末と、がネットワークを介して接続され、各ディスプレイの画面を共有するシステムにおける前記クライアント端末のコンピュータに、
前記クライアント端末をペン描画モードに設定するステップと、
前記クライアント端末のペン描画の検知を行うステップと、
ペン描画を検知した場合、当該ペン描画により描画されたペンデータ情報を取得するステップと、
前記ペンデータ情報を前記クライアント端末が備える背景を透明化したホワイトボードに描画するステップと、
前記ペンデータ情報を前記サーバ端末および他のクライアント端末に送信するステップと、
前記画像データを受信するステップと、
受信した前記画像データを共有画面として表示するステップと、
を実行させることを特徴とするクライアント端末制御プログラム。
【請求項8】
請求項6及び/又は請求項7のプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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