説明

界面活性剤担持用顆粒群

【課題】液状界面活性剤組成物の担持容量/担持力/担持速度に優れた界面活性剤担持用顆粒群を噴霧乾燥を用いない方法にて製造すること、並びに該界面活性剤担持用顆粒群を用いてなる高嵩密度洗剤粒子群、該洗剤粒子群を含有してなる洗剤組成物を提供すること。
【解決手段】以下の工程1(a)〜2を含む嵩密度550g/l以下の界面活性剤担持用顆粒群の製造方法;工程1(a):粘土鉱物粉末と、粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料を混合する工程、及び工程2:工程1(a)により得られた混合粉末に水又はバインダー水溶液を添加し、低剪断造粒機によって顆粒化する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は界面活性剤担持用顆粒群及びその製造法に関する。さらに本発明は、かかる界面活性剤担持用顆粒群を用いた高嵩密度洗剤粒子群及び該洗剤粒子群を含有してなる洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末洗剤を得る方法の一つとして、液状の界面活性剤を界面活性剤担持用顆粒群に担持させる工程を含む製法がある。該製法において界面活性剤担持用顆粒群には、液状界面活性剤に対する高い担持能が求められる。即ち、界面活性剤担持用顆粒群に求められる担持能は多量の液状界面活性剤を担持できること(担持容量)と、一旦吸収した液状界面活性剤をしみ出させることなく顆粒内部に強く保持できること(担持力)の2つの因子からなる。それぞれ、担持容量は洗浄性能の為に必要な量の界面活性剤を配合する上で、又、担持力は液状界面活性剤のシミだしを抑制する上、並びに粉末洗剤の流動性の低下、ケーキング及び容器やその表面へ液状界面活性剤が移行することを防ぐ上で重要である。
【0003】
更には生産性の観点から液状界面活性剤を速く吸収する特性(担持速度)も界面活性剤担持用顆粒群に求められている。
【0004】
このような界面活性剤担持用顆粒群については、これまでにも種々検討が行われている。例えば、特許文献1には、水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有する調製液を噴霧乾燥する界面活性剤担持用顆粒群が開示されている。しかしながら、この顆粒群の製造には噴霧乾燥が必須であり、経済性の観点からは噴霧乾燥を用いない製造方法が求められている。
【0005】
一方、例えば、特許文献2には、水和した無機塩と重合体有機結合剤からなる組成物を乾燥させる方法が開示されている。しかしながら、この方法は、本質的には乾燥によって水和水を放出して吸収能(本願における担持容量に相当)を増す技術であり、担持力や担持速度に関して調整は極めて困難である。その為、担持容量/担持力/担持速度の全てに優れた界面活性剤担持用顆粒群が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−244644号公報
【特許文献2】特表2002−541267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の課題は、液状界面活性剤組成物の担持容量/担持力/担持速度に優れた界面活性剤担持用顆粒群を噴霧乾燥を用いない方法にて製造することにある。また、該界面活性剤担持用顆粒群を用いてなる高嵩密度洗剤粒子群、該洗剤粒子群を含有してなる洗剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 以下の工程1(a)〜2を含む嵩密度550g/l以下の界面活性剤担持用顆粒群の製造方法;
工程1(a):粘土鉱物粉末と、粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料を混合する工程、及び
工程2:工程1(a)により得られた混合粉末に水又はバインダー水溶液を添加し、低剪断造粒機によって顆粒化する工程;
〔2〕 以下の工程1(b)〜2を含む嵩密度550g/l以下の界面活性剤担持用顆粒群の製造方法;
工程1(b):粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料を混合する工程、及び
工程2:工程1(b)により得られた混合粉末に水又はバインダー水溶液を添加し、低剪断造粒機によって顆粒化する工程;
〔3〕 以下の成分を含有する嵩密度550g/l以下の界面活性剤担持用顆粒群;
粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料:40〜95重量%
粘土鉱物粉末:0〜45重量%
バインダー:0〜35重量%
水:0〜15重量%
〔4〕 前記〔1〕又は〔2〕記載の製造方法により作製される界面活性剤担持用顆粒群又は前記〔3〕記載の界面活性剤担持用顆粒群を含有する顆粒群に界面活性剤組成物を担持させてなる高嵩密度洗剤粒子群;並びに
〔5〕 前記〔4〕記載の洗剤粒子群を含有してなる洗剤組成物;に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液状界面活性剤組成物の担持容量/担持力/担持速度に優れた界面活性剤担持用顆粒群を噴霧乾燥を用いない方法で得ることができるという効果が奏される。更には該界面活性剤担持用顆粒群に液状界面活性剤組成物を担持することにより、良好な洗浄性能、品質等を有する洗剤粒子群を効率的に得ることができるという効果が奏される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、界面活性剤担持用顆粒とは、少なくとも、粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料、及び水又はバインダー水溶液を含む顆粒である。好ましくは、少なくとも、粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料を含む混合粉末に水又はバインダー水溶液を添加し、低剪断造粒機によって顆粒化することで得られる顆粒であって、液状界面活性剤組成物を担持させるために使用される。その顆粒の集合体を界面活性剤担持用顆粒群という。洗剤粒子とは、界面活性剤担持用顆粒に液状界面活性剤組成物を担持させてなる界面活性剤及びビルダー等を含有する粒子であり、洗剤粒子群とはその集合体を意味する。洗剤組成物とは、洗剤粒子群を含有し、所望により洗剤粒子群以外に別途添加された洗剤成分(例えば、ビルダー顆粒、蛍光染料、酵素、香料、消泡剤、漂白剤、漂白活性化剤等)を含有する組成物を意味する。
水溶性とは25℃の水に対する溶解度が0.5g/100g以上であることを意味し、水不溶性とは、25℃の水に対する溶解度が0.5g/100g未満であることを意味する。
【0011】
液状界面活性剤組成物とは、界面活性剤担持用顆粒群に担持させる際に液状又はペースト状である界面活性剤を含む組成物である。
【0012】
<界面活性剤担持用顆粒群の組成>
1.粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料
本発明における必須の成分として、粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料が挙げられる。吸油能とは、後述の品質評価方法に記載の方法で決定される値である。粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の吸油能を持つ粉末原料とは、粉末内部に10μm以下の微細な細孔を有する本質的に多孔質な物質であり、その細孔に界面活性剤を担持させることのできる物質である。吸油能の上限は、特に限定されるものでないが、例えば1.0ml/g以下であることが望ましい。
【0013】
顆粒化の観点から、該粉末原料の平均粒径としては50〜250μmが好ましく、50〜200μmがより好ましく、80〜200μmが更に好ましい。
【0014】
また、溶解性の観点からは水溶性の物質であることが好ましい。かかる粉末原料の例としては、重曹を焼成して作成したライト灰又はソーダ灰、芒硝、トリポリリン酸Naの水和物を乾燥して作成した多孔質粉末等が挙げられる。ハンドリングの容易さ及び入手のし易さの観点から、特にライト灰が好ましい。
【0015】
粉末原料としてライト灰を用いる場合、重曹焼成時の温度を調整することにより、更に界面活性剤担持能を向上させることができる。担持能の観点から、焼成温度は120〜250℃が好ましく、150〜220℃が好ましく、150〜200℃が更に好ましい。
【0016】
該粉末原料の含有量としては、担持能の観点から、界面活性剤担持用顆粒群中、40〜95重量%が好ましく、45〜90重量%がより好ましく、50〜85重量%が更に好ましく、50〜80重量%が特に好ましい。尚、乾燥工程によって上記組成に調整する場合においては、乾燥工程を行う前の顆粒群中、25〜80重量%が好ましく、30〜77重量%がより好ましく、32〜77重量%が更に好ましく、32〜73重量%が特に好ましい。
【0017】
2.バインダー
本発明における界面活性剤担持用顆粒群は、水又はバインダー水溶液を添加し、低剪断造粒機を使用することによって、粉末原料の混合物を顆粒化する。粘土鉱物を用いる場合、粘土鉱物と粉末原料との混合物が顆粒化される。水を用いる場合は、粉末原料が一部水に溶解することで生じる粘結性或いは粘土鉱物の粘結性を顆粒化に利用する。バインダー水溶液を用いる場合は、さらにバインダーによる粘結性が利用できるため、顆粒化がより容易になる。
【0018】
また、乾燥工程を含む場合、水を用いる場合は乾燥に伴い、粒子強度の低下が懸念されるが、バインダー水溶液を用いる場合は乾燥後もバインダーによる効果が期待できる。その為、バインダー水溶液を用いることが好ましい。
【0019】
バインダーとしては、粉末原料中の粒子を構成する成分同士を結合させる能力を持ち、水中で速やかに溶解及び/又は分散する性質を有するものであれば特に限定されない。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びそれらの誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、水溶性セルロース誘導体(これらの誘導体としては、エーテル化合物等が挙げられる)、カルボン酸系ポリマー、澱粉、糖類等の有機系ポリマー、非晶質の珪酸塩等の無機ポリマー等が挙げられる。
【0020】
粘結性及び洗浄力の観点からは、水溶性セルロース誘導体、糖類及びカルボン酸系ポリマーが好ましく、アクリル酸−マレイン酸コポリマーの塩、ポリアクリル酸塩がより好ましい。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好ましい。尚、カルボン酸系ポリマーの重量平均分子量としては、1000〜100000が好ましく、2000〜80000がより好ましい。
【0021】
界面活性剤担持用顆粒群中のバインダーの含有量は、粘結性及び吸油能の観点から、界面活性剤担持用顆粒群中、0〜35重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、8〜20重量%が更に好ましく、10〜20重量%が特に好ましい。尚、乾燥工程によって上記組成に調整する場合においては、乾燥工程を行う前の顆粒群中、0〜30重量%が好ましく、3〜25重量%がより好ましく、5〜17重量%が更に好ましく、7〜17重量%が特に好ましい。
【0022】
バインダー水溶液の濃度については特に限定はされないが、顆粒化時の粒径はバインダー水溶液の体積によって大きく影響を受けるため、必要なバインダー量と所望の顆粒粒径から濃度を決定すれば良い。
【0023】
3.粘土鉱物
粘土鉱物は層状構造を有しており、その層間に液状界面活性剤を担持することが可能である。その為、粘土鉱物を配合することによって、液状界面活性剤の担持容量を増加させると同時に担持力を向上させることができる。
【0024】
また、粘土鉱物は水を含有することにより粘結性を発現するため、その配合量の調整によって、界面活性剤担持用顆粒の粒径制御も可能である。
【0025】
担持能及び粒径制御の観点から、担持容量/担持力を向上させる成分として、粘土鉱物を添加してもよい。
【0026】
このような粘土鉱物としては、例えば、タルク、パイロフィライト、スメクタイト(サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スティーブンサイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等)、バーミキュライト、雲母(金雲母、黒雲母、チンワルド雲母、白雲母、パラゴナイト、セラドナイト、海緑石等)、緑泥石(クリノクロア、シャモサイト、ニマイト、ペナンタイト、スドーアイト、ドンバサイト等)、脆雲母(クリントナイト、マーガライト等)、スーライト、蛇紋石鉱物(アンチゴライト、リザーダイト、クリソタイル、アメサイト、クロンステダイト、バーチェリン、グリーナライト、ガーニエライト等)、カオリン鉱物(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト等)等が挙げられる。中でも、柔軟性能の点で、タルク、スメクタイト、膨潤性雲母、バーミキュライト、クリソタイル、カオリン鉱物等が好ましく、スメクタイトがより好ましく、モンモリロナイトがさらに好ましい。これらは単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、界面活性剤担持能の観点から、以下の一般式(I):
[Si(MgAl)O20(OH)X−・MeX+ (I)
で表される粘土鉱物を、粘土鉱物の主成分とすることが好ましい。ここで、a、b及びxは、0<a≦6、0<b≦4、x=12−2a−3bであり、MeはNa、K、Li、Ca1/2、Mg1/2及びNHから選ばれる少なくとも1種のイオンである。
【0028】
前記一般式(I)で表される粘土鉱物としては、ズード・ケミ社製の「ラウンドロジルDGA212」、「ラウンドロジルPR414」、「ラウンドロジルDG214」、「ラウンドロジルDGAパウダー」、「EXM0242」、「フラソフト−1パウダー」、ラヴィオッサ社製の「デタソフトGIS」、「デタソフトGIB」、「デタソフトGISW」、CSM社製のピュアベントナイト、スタンダードベントナイト、プレミアムベントナイト等が挙げられる。上記の粘土鉱物の例として挙げた中には、バインダー成分を添加し、造粒された顆粒タイプのものも存在するが、該バインダー成分は本発明の効果を損なわない限り添加されていてもよい。
【0029】
上記に挙げる粘土鉱物を本発明にて使用する場合、顆粒化の観点からその形態が粉末状のものが好ましく、造粒物であれば好適な粒度になるまで事前に解砕することが好ましい。解砕に利用できる粉砕機としては、ハンマクラッシャー等の衝撃破砕機、アトマイザー、ピンミル等の衝撃粉砕機、フラッシュミル等の剪断粗砕機等が挙げられる。これらは、1段操作でも良く同種又は異種粉砕機の多段操作でも良い。
【0030】
粘土鉱物粉末の平均粒径としては100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましい。
【0031】
また、担持力及び溶解性の観点から、一般式(I)で表される粘土鉱物は、アルカリ金属イオン(Naイオン、Kイオン、Liイオン)の合計とアルカリ土類金属イオン(Caイオン、Mgイオン)の合計のモル比[(Na+K+Li)/(Ca+Mg)]は、1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましい。
【0032】
アルカリ金属イオンの比率が高い粘土鉱物を得るには、天然品であれば、産地を選択すればよいし、粘土造粒物を製造する際に、アルカリ金属塩を添加して調製することもできる。また、合成品であれば公知の方法にて任意に調製が可能である。
【0033】
4.水分
本発明における界面活性剤担持用顆粒群は、製造工程で使用される適当量の水分を含有する。赤外線水分計で測定した水分量は、該顆粒群の液状界面活性剤組成物の担持容量を多くする観点から少ない方が好ましく、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
【0034】
5.その他成分
尚、本発明における界面活性剤担持用顆粒群には、上記1〜4に挙げた以外の物質であっても、必要に応じて適宜配合することができる。しかし、これらの物質の配合量は担持能の観点から20重量%以下が好ましく、10重量%以下が更に好ましく、5重量%以下が特に好ましい。配合できる物質の例を以下に示す。
【0035】
・キレート剤
金属イオンによる洗浄作用阻害を抑制する為、配合することができる。水溶性キレート剤としては、金属イオン封鎖能を保持する物質であれば特に規定はされないが、結晶性珪酸塩,トリポリリン酸塩,オルトリン酸塩,ピロリン酸塩等が使用可能である。中でも、結晶性珪酸塩及びトリポリリン酸塩が好ましい。水不溶性キレート剤については、水中での分散性の観点から、粒子の平均粒径が0.1〜20μmのものが好ましい。好適な水不溶性キレート剤としては、結晶性アルミノ珪酸塩が挙げられ、例えばA型ゼオライト,P型ゼオライト,X型ゼオライト等があるが、金属イオン封鎖能及び経済性の点でA型ゼオライトが好ましい。
【0036】
・水溶性無機塩
洗濯液のイオン強度を高め、皮脂汚れ洗浄等の効果を向上させる為、水溶性無機塩を添加することが好ましい。
溶解性良好で、洗浄力に悪影響を与えない物質であれば特に規定はされない。例えば、硫酸根,亜硫酸根を持つアルカリ金属塩,アンモニウム塩等が挙げられる。
中でも、イオン乖離度の高い硫酸ナトリウム,亜硫酸ナトリウム,硫酸カリウムを賦形剤として使用することが好ましい。又、溶解速度向上の観点からは硫酸マグネシウムとの併用も好ましい。
【0037】
・水不溶性賦形剤
水中での分散性良好で、洗浄力に悪影響を与えない物質であれば特に規定はされない。例えば結晶性もしくは非晶質のアルミノ珪酸塩や、二酸化珪素、水和珪酸化合物等が挙げられる。水中での分散性の観点から、一次粒子の平均粒径が0.1〜20μmのものが好ましい。
【0038】
・その他補助成分
蛍光染料、顔料、染料等が挙げられる。
【0039】
尚、前記成分の平均粒径の測定は、後述の物性の測定方法に記載の方法で測定することができる。
【0040】
<界面活性剤担持用顆粒群の製法>
本発明の界面活性剤担持用顆粒群は、噴霧乾燥工程を含まず、少なくとも、粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料を撹拌又は混合する工程、及び得られた混合粉末に水又はバインダー水溶液を添加し、低剪断造粒機によって顆粒化する工程を含む方法により調製することが出来る。
【0041】
1.工程1(a)
粘土鉱物粉末と粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料を混合する工程においては、それらが実質的に均一に混合できればどのような方法を用いても良い。例えば、工程2で使用する低剪断造粒機を使用して混合しても良いし、予め別の混合機を用いて混合した後、低剪断造粒機へと移送しても良い。粉体混合に使用される該別の混合機としては、例えば、ドラム型ミキサー、パン型ミキサー、リボンミキサー、ナウターミキサー、シュギミキサー、レディゲミキサー、ハイスピードミキサー等が挙げられる。
【0042】
ここで、粘土鉱物の含有量としては、担持能及び粒径制御の観点から、界面活性剤担持用顆粒群中、1〜45重量%が好ましく、2〜40重量%がより好ましく、3〜40重量%が更に好ましく、3〜35重量%が更に好ましく、4〜30重量%が特に好ましい。尚、顆粒化の後、所望により乾燥させてもよいが、このような乾燥工程によって上記組成に調整する場合においては、乾燥工程を行う前の顆粒群中、1〜40重量%が好ましく、2〜35重量%がより好ましく、3〜30重量%が更に好ましく、3〜25重量%が更に好ましく、6〜25重量%が特に好ましい。
【0043】
また、粘土鉱物と粉末原料の重量比(粘土鉱物/粉末原料)は、好ましくは、1/1〜1/30であり、より好ましくは、1/1〜1/20であり、特に好ましくは、1/2〜1/20である。
【0044】
2.工程1(b)
粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料を撹拌又は混合する工程においては、それらが実質的に均一に混合できればどのような方法を用いても良い。例えば、工程2で使用する低剪断造粒機を使用して混合しても良いし、予め上述の混合機を用いて混合した後、低剪断造粒機へと移送しても良い。
【0045】
尚、本明細書中で粘土鉱物を除く粉末原料とは、実質的に粘土鉱物を含まない粉末原料であり、粉末原料中0〜1.2重量%の粘土鉱物を含んでいてもよい。かかる粘土鉱物の含有量としては、粉末原料中0〜1.0重量%がより好ましく、0〜0.8重量%が更に好ましく、0〜0.6重量%が特に好ましい。
【0046】
界面活性剤担持用顆粒群及びその顆粒群に界面活性剤組成物を担時させてなる洗剤粒子群の色相の観点から、粘土鉱物の含有量としては、界面活性剤担持用顆粒群中0〜1重量%が好ましく、0〜0.8重量%がより好ましく、0〜0.6重量%が更に好ましく、0〜0.5重量%が特に好ましい。尚、顆粒化の後、所望により乾燥させてもよいが、このような乾燥工程によって上記組成に調整する場合においては、乾燥工程を行う前の顆粒群中、0〜0.9重量%が好ましく、0〜0.7重量%がより好ましく、0〜0.5重量%が更に好ましく、0〜0.4重量%が特に好ましい。
【0047】
3.工程2
工程1(a)又は工程1(b)によって得られた混合粉末に水又はバインダー水溶液を添加し、低剪断造粒機によって顆粒化する工程である。この工程において、粉末原料が緩やかに凝集した構造の顆粒を生成する。
又、工程1(a)又は工程1(b)と工程2は同時に行うことも可能である。
【0048】
この工程に用いられる低剪断造粒機とは、顆粒に強い剪断を与えて大きく圧密することのない装置であれば良い。例えば、本来、高剪断力を与えうる主翼と解砕翼を備えた竪型或いは横型造粒機においても、回転数や以下に記載するフルード数を低く設定し圧密を抑制することで、本発明の顆粒製造に利用することができる。即ち、本明細書における低剪断造粒機には、顆粒に高剪断力を与えうる造粒機であっても、操作条件の設定等により剪断力を低下させて操作することができる造粒機も包含される。
【0049】
低剪断造粒機としては、顆粒化の容易さ及び担持能向上の観点から、本体胴部の回転によって顆粒化が進行するパン型造粒機或いはドラム型造粒機が好ましい。これらの装置はバッチ式、連続式いずれの方法においても用いることができる。尚、粉末混合性及び固液混合性の観点からは、パン或いはドラムに混合を補助する邪魔板を設けることが好ましい。
【0050】
又、低剪断造粒機として使用するためには、担持能の観点から、以下の式で定義される造粒機のフルード数を1.0以下に設定するのが好ましく、0.8以下がより好ましく、0.6以下が更に好ましく、0.4以下が特に好ましい。
【0051】
フルード数:Fr=V2/(R×g)
V:周速[m/s] R:回転中心から回転物の円周までの半径[m] g:重力加速度[m/s2]
【0052】
又、混合粉末に水又はバインダー水溶液を均一に添加する観点から、造粒機のフルード数を0.005以上に設定するのが好ましく、0.01以上に設定するのがより好ましい。
【0053】
尚、主翼や解砕翼を備えた竪型或いは横型造粒機においては、V及びRは主軸の値を用い、本体胴部の回転によって顆粒化が進行するパン型造粒機或いはドラム型造粒機においては、V及びRは本体胴部の値を用いることとする。また、解砕翼を備えたパン型造粒機においては、V及びRは解砕翼の値を用いることとする。
【0054】
本発明においては、低剪断で顆粒化し緩やかに凝集した構造の顆粒を得ることが重要であるが、低剪断の場合水又はバインダー水溶液が均一に分散されにくいといった課題がある。その為、液添加方法によりバインダーを均一分散させることが好ましい。バインダーを均一に分散させる方法としては1流体ノズルや2流体ノズル等の多流体ノズルを用いて、バインダーを微細化する方法がある。
【0055】
多流体ノズルとは、バインダーと微粒化用気体(エアー,窒素等)を独立の流路を通してノズル先端部近傍まで流通させ、混合・微粒化するノズルであり、2流体ノズルや3流体ノズル,4流体ノズル等を用いることができる。また、バインダーと微粒化用気体の混合部は、ノズル先端部内で混合する内部混合型、或いはノズル先端部外で混合する外部混合型のいずれであっても良い。
【0056】
特に2流体ノズル等の多流体ノズルを用いて微細液滴化して添加することが好ましい。このような多流体ノズルとしては、例えば、広角ラウンドタイプの2流体ノズル(スプレーイングシステムスジャパン(株)製)や4流体ノズル(藤崎電機(株)製)等が使用可能である。
【0057】
また、バインダーの添加速度を上げたい場合には、これらの1流体或いは他流体ノズルを複数個使用し、液滴の微細化を維持しつつ添加速度を上げることも効果的である。
【0058】
このような方法を用いることで、高粘度のバインダー水溶液においても均一な分散が可能となり、収率が向上し粒度分布のシャープな界面活性剤担持用顆粒群が得られる。
【0059】
4.工程3
工程2によって得られた顆粒を乾燥する、任意の工程である。水分を除去することにより、粒子内の空隙が増加し、更に担持容量を向上させることができる。
【0060】
顆粒の崩壊による担持容量の低下を抑制する観点から、強い剪断力をできるだけ与えない乾燥方式が好ましい。例えば、バッチ式では、容器に入れて電気乾燥機や熱風乾燥機で乾燥させる方法、バッチ式流動層で乾燥させる方法等が挙げられ、連続式では、振動流動層やロータリー乾燥機、スチームチューブドライヤー等が挙げられる。
【0061】
乾燥温度については、乾燥速度の観点から80℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、150℃以上が更に好ましく、180℃以上が特に好ましい。又、バインダーとして有機バインダーを用いる場合は、バインダーの分解抑制の観点から、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、220℃以下が特に好ましい。
【0062】
<界面活性剤担持用顆粒群の物性>
本発明における界面活性剤担持用顆粒群は、少なくとも、粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料が緩やかに凝集した構造の顆粒群である。その為、(1)粉末原料間の大きな空隙、(2)粉末原料内の小さな空隙(例えば10μm以下の空隙)の2つの担持サイトを持っている。このうち、担持容量及び担持力には(1)、(2)の双方が、担持速度には(1)が大きく影響し、この2つの担持サイトの調整により所望の担持能を持つ界面活性剤担持用顆粒群を得ることができる。
【0063】
また、粘土鉱物を配合した場合は、その層間にも液状界面活性剤組成物を担持することができる為、担持力の向上が見込まれる。
【0064】
本発明の界面活性剤担持用顆粒群の嵩密度は、液状界面活性剤組成物の担持容量を確保する観点及び液状界面活性剤組成物を担持した後の高い嵩密度を確保する観点から、550g/L以下であり、400〜550g/Lが好ましく、400〜500g/Lがより好ましい。本発明の担持用顆粒群の比較的低い嵩密度は、前記する低剪断造粒機によって顆粒化することで達成されると考えられる。
【0065】
又、界面活性剤担持用顆粒群に液状界面活性剤組成物を担持してなる洗剤粒子群を含む洗剤組成物を使用した際の粉立ち性及び溶解性の観点から担持用顆粒群の平均粒径としては、140〜600μmが好ましく、200〜500μmがより好ましく、200〜400μmが更に好ましい。
【0066】
界面活性剤担持用顆粒群の液状界面活性剤組成物の吸油能は、液状界面活性剤組成物配合量の許容範囲を大きくする観点から、好ましくは0.4ml/g以上、さらに好ましくは0.45ml/g以上、特に好ましくは0.5ml/g以上である。本発明の担持用顆粒群の比較的高い吸油能は、前記する低剪断造粒機によって顆粒化することで達成されると考えられる。
【0067】
界面活性剤担持用顆粒群の赤外線水分計で測定した水分量は、該顆粒群の液状界面活性剤組成物の担持容量を多くする観点から少ない方が好ましく、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
【0068】
本発明の界面活性剤担持用顆粒群の具体的な組成としては、例えば、嵩密度が550g/l以下であって、粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料が40〜95重量%、粘土鉱物粉末が0〜45重量%、バインダーが0〜35重量%、及び水が0〜15重量%という組成が挙げられる。
【0069】
尚、前記嵩密度、平均粒径、液状界面活性剤組成物の吸油能、水分量は、後述の物性の測定方法に記載の方法で測定することができる。
【0070】
<洗剤粒子群の組成及び物性>
本発明の洗剤粒子群は、本発明による界面活性剤担持用顆粒群(即ち、本発明の製造方法により得られた界面活性剤担持用顆粒群及び上記の本発明の界面活性剤担持用顆粒群)に界面活性剤組成物を担持させてなる高嵩密度洗剤粒子群である。
【0071】
尚、この洗剤粒子群においては、本発明による界面活性剤担持用顆粒群を含有していればそれは単独でなくても良く、噴霧乾燥他の方法による界面活性剤担持用顆粒群と併用することもできる。尚、併用する場合は本発明による顆粒群と噴霧乾燥他の方法による顆粒群の混合物を界面活性剤担持用顆粒群として取り扱うことができる。
【0072】
界面活性剤組成物において、例えば、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤をそれぞれ単独で用いることもできるが、両者を混合して用いるのがより好ましい。特に30℃以下に融点を有する非イオン性界面活性剤を用いる場合は、界面活性剤の融点を上昇させる作用を有する、融点45〜100℃、分子量1千〜3万の水溶性非イオン性有機化合物(以下、融点上昇剤という)又はこの水溶液を併用する事が好ましい。なお、本発明で用いることのできる融点上昇剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プルロニック型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。又、両性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤を目的に合わせ併用することもできる。又、低温の水中における洗剤粒子群の分散性を向上する観点から、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の陰イオン性界面活性剤を洗剤粒子群中に好ましくは5〜25重量%配合することもできる。
【0073】
界面活性剤組成物としては、例えば、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤よりなる群から選ばれた1種以上を用いることができる。陰イオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩又はこのエステル、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤等が例示される。特に直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩又はアルキルエーテル硫酸塩が好ましく、対イオンとしてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミンが好ましい。
【0074】
更に、消泡効果を得るために脂肪酸塩を併用することができる。
【0075】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテル、商標プルロニックに代表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド、アルキルグルコースアミド、アルキルアミンオキサイド等があげられる。中でも親水性の高いもの及び水と混和した際に生じる液晶の形成能の低い若しくは液晶を生じないものが好ましく、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルが特に好ましい。好ましくはアルコールのエチレンオキサイド(以下EO)付加物、その他にアルコールのEO付加物及びプロピレンオキサイド(以下PO)付加物であることが好ましい。付加順序としてはEOを付加した後にPOを付加したもの、POを付加した後にEOを付加したもの、あるいはEOとPOをランダムに付加したものを用いることが好ましいが、特に好ましい付加順序を有するものとしては、EOをブロック付加した後、POをブロック付加し、更にEOをブロック付加した一般式:
R−O−(EO)X−(PO)Y−(EO)Z−H
〔式中、Rは炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、X、Y及びZはそれぞれ平均付加モル数を表す。〕
で表されるものであり、その中でも最も好ましい平均付加モル数の関係に関しては、X>0、Z>0、X+Y+Z=6〜14であり、X+Z=5〜12であり、Y=1〜4である。
【0076】
陽イオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボベタイン型のもの、スルホベタイン型のもの等が例示される。
【0077】
界面活性剤組成物中の陰イオン性界面活性剤の配合量は、非イオン性界面活性剤100重量部に対し0〜300重量部が好ましく、更に好ましくは20〜200重量部、特に好ましくは30〜180重量部である。非イオン性界面活性剤の融点上昇剤の配合量は、非イオン性界面活性剤100重量部に対し1〜100重量部が好ましく、更に好ましくは5〜50重量部である。この範囲において、該組成物は、該組成物の流動点以上の温度で該組成物の粘度が好ましくは10Pa・s以下、より好ましくは5Pa・s以下、特に好ましくは2Pa・s以下となる温度域を有し、且つ該組成物の流動点より低く非イオン性界面活性剤の融点より高い温度範囲において該組成物の進入硬度が好ましくは10kPa以上、より好ましくは30kPa以上、特に好ましくは50kPa以上となる温度域を有することで、該組成物及び洗剤粒子群の製造時の取り扱い性が良好となることと洗剤粒子群の保存時における非イオン性界面活性剤のシミ出しを抑制できることから、好適である。
【0078】
界面活性剤組成物の物性値は以下の方法により測定することができる。流動点は、JIS K 2269の方法により測定することができる。融点は、FP800サーモシステムの「メトラーFP81」(Mettler Instrumente AG製)を用い、昇温速度0.2℃/minで測定される。粘度は、B型粘度計(TOKYO KEIKI社製 「DVM−B型」)、ローターNo.3、60r/minの条件で測定して求める。又、該条件での測定値が2Pa・sを越え、測定不能となる場合は、ローターNo.3、12r/minの条件で測定して求める。進入硬度は、レオメーター(「NRM−3002D」、不動工業(株)製)と直径8mm、底面積0.5cm2の円形アダプター(No.3、8φ)を用い、アダプターが界面活性剤組成物の内部に進入速度20mm/minで20mm進入したときの荷重を円形アダプターの底面積で除した値である。
【0079】
界面活性剤組成物の添加量は、洗浄性及び溶解性の観点から、界面活性剤担持用顆粒群100重量部に対して、10〜100重量部の範囲が好ましく、20〜80重量部の範囲がより好ましく、30〜60重量部の範囲が特に好ましい。
【0080】
界面活性剤組成物と界面活性剤担持用顆粒群とを混合する際に、所望により前記粉末原料以外の粉体原料を添加してもよく、添加量としては該顆粒群100重量部に対して、0〜150重量部が好ましい。該粉体原料としては、例えば、アルミノ珪酸塩、プリフィード(トクヤマシルテック社製)等の結晶性珪酸塩等が挙げられる。
【0081】
本発明による洗剤粒子群の好ましい物性は、以下の通りである。
嵩密度は、好ましくは500〜1000g/L、より好ましくは600〜1000g/L、特に好ましくは650〜900g/Lである。平均粒径は、好ましくは150〜500μm、より好ましくは180〜400μmである。
尚、前記嵩密度、平均粒径は、後述の物性の測定方法に記載の方法で測定することができる。
【0082】
<洗剤粒子群の製法>
洗剤粒子群を得る好適な製法は、以下の工程(I)を含んでなり、更に必要に応じて工程(II)を含んでもよい。
工程(I):界面活性剤組成物が液状又はペースト状の条件下にて、該界面活性剤組成物を本発明の製法で得られた界面活性剤担持用顆粒群を含む顆粒群と混合する工程。
工程(II):工程(I)で得られた混合物と表面被覆剤とを混合し、得られる洗剤粒子群の表面を該表面被覆剤で被覆する工程。但し、工程(II)は解砕が同時に進行していてもよい。
【0083】
1.工程(I)
担持用顆粒群へ界面活性剤組成物を担持させる方法としては、例えば、回分式や連続式の混合機を用いて、担持用顆粒群と界面活性剤組成物とを混合する方法が挙げられる。ここで、回分式で行う場合に、混合機への仕込み方法としては、(1)混合機に先ず担持用顆粒群を仕込んだ後、界面活性剤組成物を一気に添加する、(2)混合機に担持用顆粒群と、界面活性剤組成物を少量ずつ添加するのを繰り返す、(3)担持用顆粒群の一部を混合機に仕込んだ後、残りの担持用顆粒群と界面活性剤組成物とを少量ずつ添加するのを繰り返す等の方法をとることができる。
【0084】
界面活性剤組成物の中で、実用上の温度範囲内の温度、例えば、50〜90℃まで昇温しても固体あるいはペースト状で存在するものについては、これらを予め、粘性の低い非イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤水溶液又は水中に、分散又は溶解させて界面活性剤組成物の混合液又は水溶液を調製し、該混合液又は水溶液の形態で担持用顆粒群に添加すれば良い。この方法により、固体あるいはペースト状で存在する界面活性剤組成物をも容易に担持用顆粒群に添加することができる。粘性の低い界面活性剤組成物又は水と固体あるいはペースト状の界面活性剤組成物の混合比率は、得られる混合液又は水溶液が噴霧可能である粘度範囲であれば好ましい。
【0085】
上記混合液の製法は、例えば、粘性の低い界面活性剤又は水に固体あるいはペースト状の界面活性剤組成物を投入して混合する方法や、粘性の低い界面活性剤中又は水中で界面活性剤の酸前駆体、例えば、陰イオン性界面活性剤の酸前駆体をアルカリ剤(例えば水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液)で中和することにより界面活性剤組成物の混合液を調製する方法であってもよい。
【0086】
又、この工程において、界面活性剤組成物の添加前、界面活性剤組成物の添加と同時、界面活性剤組成物の添加途中、又は界面活性剤組成物添加後に陰イオン性界面活性剤の酸前駆体を添加することも可能である。陰イオン性界面活性剤の酸前駆体を添加することで、界面活性剤の高配合化、担持用顆粒群の担持能、担持能コントロール及び洗剤粒子群の非イオン性界面活性剤のシミ出し抑制、流動性等の物性・品質の向上が可能となる。
【0087】
本発明で用いることのできる陰イオン性界面活性剤の酸前駆体としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸、アルキル又はアルケニル硫酸、α−オレフィンスルホン酸、α−スルホン化脂肪酸、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸、脂肪酸等が挙げられる。脂肪酸を界面活性剤の添加後に添加することが洗剤粒子群の流動性向上の観点より特に好ましい。
【0088】
陰イオン性界面活性剤の酸前駆体の使用量は、担持用顆粒群100重量部に対して0.5〜30重量部が好ましく、1〜20重量部がより好ましく、1〜10重量部がさらに好ましく、1〜5重量部が特に好ましい。又、陰イオン性界面活性剤の酸前駆体の添加方法としては、常温で液体のものは噴霧して供給することが好ましく、常温で固体のものは粉末として添加してもよく、溶融させた後噴霧して供給してもよい。ただし、粉末で添加する場合は、粉末が溶融する温度まで混合機中の洗剤粒子群の温度を昇温するのが好ましい。
【0089】
好ましい混合装置として具体的には、以下のものが挙げられる。回分式で行う場合は、以下の(1)〜(3)のものが好ましい。(1)ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、レディゲミキサー(松坂技研(株)製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)、特開平10−296064号公報記載の混合装置、特開平10−296065号公報記載の混合装置等、(2)リボンミキサー(日和機械工業(株)製)、バッチニーダー(佐竹化学機械工業(株)製)、リボコーン((株)大川原製作所製)等、(3)ナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製)、SVミキサー(神鋼パンテック(株)製)等がある。上記の混合機の中でも好ましくは、レディゲミキサー、プロシェアミキサー、特開平10−296064号公報記載の混合装置、特開平10−296065号公報記載の混合装置等があり、後述の工程(II)を同一の装置で行うことができるので、設備の簡略化の点から好ましい。中でも、特開平10−296064号公報記載の混合装置、特開平10−296065号公報記載の混合装置は通気によって混合物の湿分や温度を調節し、界面活性剤担持用顆粒群の崩壊を抑制できることから好ましい。また、強い剪断力を与えることなく、粉体と液体の混合が可能なナウターミキサー、SVミキサー、リボンミキサー等の混合装置も、界面活性剤担持用顆粒群の崩壊を抑制できる点から好ましい。
【0090】
又、連続型の装置を用いて担持用顆粒群と界面活性剤組成物を混合させてもよい。又、連続型の装置としては、フレキソミックス型((株)パウレック製)、タービュライザー(ホソカワミクロン(株)製)等が挙げられる。
【0091】
又、この工程において、非イオン性界面活性剤が使用される場合、この界面活性剤の融点を上昇させる作用を有する、融点45〜100℃、分子量1千〜3万の水溶性非イオン性有機化合物(以下、融点上昇剤)又はこの水溶液を、界面活性剤組成物の添加前、界面活性剤組成物の添加と同時、界面活性剤組成物の添加途中、又は界面活性剤組成物添加後、あるいは界面活性剤組成物に予め混合して添加することが好ましい。融点上昇剤を添加することで、洗剤粒子群のケーキング性、洗剤粒子群中の界面活性剤のシミ出し性を抑制することができる。尚、これらの融点上昇剤としては、前述の洗剤粒子群の組成の融点上昇剤において例示したものと同じものを使用することができる。融点上昇剤の使用量は、担持用顆粒群100重量部に対して0.5〜8重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましく、1〜3重量部が最も好ましい。この範囲が、洗剤粒子群に含有される洗剤粒子の粒子間の凝集の抑制、高速溶解性、及びシミ出し性やケーキング性の抑制の点から好ましい。融点上昇剤の添加方法として、予め界面活性剤と任意の方法で混合して添加すること、又は界面活性剤の添加後に融点上昇剤を添加することが洗剤粒子群のシミ出し性やケーキング性の抑制に有利である。
【0092】
本工程における混合機内の温度は、界面活性剤組成物の流動点以上に昇温して混合を行えば、より好ましい。なお、界面活性剤組成物の流動点は、JIS K 2269に規定の方法によって測定される。ここで、昇温させる温度としては、界面活性剤組成物の担持を促進させるために添加する界面活性剤組成物の流動点より高ければよいが、実用的な範囲を挙げると流動点を越えて流動点より50℃高い温度までが好ましく、流動点より10℃〜30℃高い温度がより好ましい。又、この工程で陰イオン性界面活性剤の酸前駆体を添加する場合は、当該陰イオン性界面活性剤の酸前駆体が反応できる温度に昇温して混合を行えばより好ましい。
【0093】
好適な洗剤粒子群を得るための回分式の混合時間、及び連続式の混合における平均滞留時間は、1〜20分間が好ましく、2〜10分間が更に好ましい。
【0094】
又、界面活性剤組成物として、界面活性剤の水溶液や水溶性非イオン性有機化合物水溶液を添加した場合には余剰の水分を混合中及び/又は混合後に乾燥する工程を有してもよい。
【0095】
界面活性剤組成物の添加前、その添加と同時、その添加途中又はその添加後に粉末の界面活性剤及び/又は粉末ビルダーを添加することも可能である。粉末ビルダーを添加することで、洗剤粒子群の粒子径をコントロールすることができ、又洗浄力の向上を図ることができる。特に陰イオン性界面活性剤の酸前駆体を添加する場合は該酸前駆体を添加する前にアルカリ性を呈する粉末ビルダーを添加することが中和反応を促進する観点から有効である。尚、ここで言う粉末ビルダーとは、界面活性剤以外の、粉末の洗浄力強化剤を意味し、具体的には、ゼオライト、クエン酸塩等の金属イオン封鎖能を示す基剤や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ能を示す基剤、結晶性珪酸塩等の金属イオン封鎖能・アルカリ能いずれも有する基剤、その他硫酸ナトリウム等のイオン強度を高める基剤等を指す。
【0096】
ここで結晶性珪酸塩として、特開平5−279013号公報第3欄第17行(特に、500〜1000℃で焼成して結晶化させたものが好ましい。)、特開平7−89712号公報第2欄第45行、特開昭60−227895号公報第2頁右下欄第18行(特に第2表の珪酸塩が好ましい。)に記載の結晶性珪酸塩を好ましい粉末ビルダーとして用いることができる。ここで、アルカリ金属珪酸塩のSiO/MO(但しMはアルカリ金属を表す。)が0.5〜3.2のもの、好ましくは1.5〜2.6のものがより好適に用いられる。
【0097】
当該粉末ビルダーの使用量としては、担持用顆粒群100重量部に対して0.5〜12重量部が好ましく、1〜6重量部がさらに好ましい。当該洗剤用粉末ビルダーはこの範囲において、溶解性が良好である。
【0098】
更に、工程(I)の後に、洗剤粒子群を表面改質する工程(II)を加えることが好ましい。
【0099】
2.工程(II)
本発明においては、工程(I)により界面活性剤が担持された洗剤粒子群の粒子表面を改質するために、添加時の形態として以下の(1)微粉体、(2)液状物のような種々の表面被覆剤を添加する工程(II)を一工程以上行ってもよい。
【0100】
本発明の洗剤粒子群の粒子表面を被覆すると、洗剤粒子群の流動性と耐ケーキング性が向上する傾向があるため、表面改質工程を設けることは好ましい。工程(II)で使用される装置は、例えば、工程(I)で例示した混合機のうち、攪拌翼と解砕翼を両方具備したものが好ましい。以下に表面被覆剤についてそれぞれ説明する。
【0101】
(1)微粉体
微粉体としては、その一次粒子の平均粒径が10μm以下であることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。平均粒径がこの範囲において、洗剤粒子群の粒子表面の被覆率が向上し、洗剤粒子群の流動性と耐ケーキング性の向上の観点から好適である。当該微粉体の平均粒径は、光散乱を利用した方法、例えばパーティクルアナライザー(堀場製作所製)、又は顕微鏡観察による測定等で測定される。又、該微粉体が高いイオン交換能や高いアルカリ能を有していることが洗浄力の観点から好ましい。
【0102】
該微粉体としては、アルミノ珪酸塩が望ましく、結晶性、非晶質の何れでも構わない。アルミノ珪酸塩以外では、硫酸ナトリウム、珪酸カルシウム、二酸化珪素、ベントナイト、タルク、クレイ、非晶質シリカ誘導体、結晶性珪酸塩のような微粉体も好ましい。又、一次粒子の平均粒径が0.1〜10μmの金属石鹸、粉末の界面活性剤(例えばアルキル硫酸塩等)や水溶性有機塩も同様に用いることができる。結晶性珪酸塩を用いる場合、吸湿や吸炭酸ガスによる結晶性珪酸塩の凝集等による劣化を防ぐ目的から、結晶性珪酸塩以外の微粉体と混合して用いることが好ましい。
【0103】
微粉体の使用量としては、洗剤粒子群100重量部に対して0.5〜40重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましく、2〜20重量部が特に好ましい。当該微粉体の使用量はこの範囲において、流動性が向上し、消費者に良好な使用感を与える。
【0104】
(2)液状物
液状物としては、水溶性ポリマーや脂肪酸等が挙げられ、水溶液や溶融状態で添加することができる。
【0105】
(2−1)水溶性ポリマー
水溶性ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸とマレイン酸の共重合体又はその塩等のポリカルボン酸塩等が挙げられる。当該水溶性ポリマーの使用量としては、洗剤粒子群100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましく、2〜6重量部が特に好ましい。当該水溶性ポリマーの使用量はこの範囲において、良好な溶解性、良好な流動性、耐ケーキング性を示す洗剤粒子群を得ることができる。
【0106】
(2−2)脂肪酸
脂肪酸としては、例えば、炭素数10〜22の脂肪酸等が挙げられる。当該脂肪酸の使用量としては、洗剤粒子群100重量部に対して0.5〜5重量部が好ましく、0.5〜3重量部が特に好ましい。常温で固体のものの場合は、流動性を示す温度まで加温した後に、噴霧して供給することが好ましい。
【0107】
<洗剤組成物>
本発明における洗剤組成物は、上述の洗剤粒子群を含有してなる組成物であり、さらに該洗剤粒子群以外に別途添加された洗剤成分(例えば、ビルダー顆粒、蛍光染料、酵素、香料、消泡剤、漂白剤、漂白活性化剤等)を含有してなる組成物である。
【0108】
洗剤組成物中の洗剤粒子群の含有量は、洗浄力の点から50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上、100重量%以下が特に好ましい。
【0109】
洗剤粒子群以外の洗剤成分の洗剤組成物中における含有量は、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、20重量%以下が特に好ましい。
【0110】
<洗剤組成物の製法>
洗剤組成物の製法は、特に限定はなく、例えば、前記洗剤粒子群及び別途添加された洗剤成分を混合する方法が挙げられる。このようにして得られた洗剤組成物は、界面活性剤の担持容量の多い洗剤粒子を含有しているため、少量でも十分な洗浄効果を発現しうるものである。かかる洗剤組成物の用途としては粉末洗剤を用いる用途であれば特に限定はないが、例えば、衣料用粉末洗剤、自動食器用洗剤等が挙げられる。
【0111】
<物性の測定方法>
1.嵩密度
嵩密度は、JIS K 3362により規定された方法で測定する。
【0112】
2.平均粒径
平均粒径については、以下の2つの方法により測定した。
(1)平均粒径が80μm以上のものについては、JIS K 8801の標準篩(目開き2000〜125μm)を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率からメジアン径を算出する。より詳細には、目開き125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの9段の篩と受け皿を用いて、受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ね、最上部の2000μmの篩の上から100gの粒子を添加し、蓋をしてロータップ型ふるい振とう機(HEIKO製作所製、タッピング156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、5分間振動させたあと、それぞれの篩及び受け皿上に残留した該粒子の重量を測定し、各篩上の該粒子の重量割合(%)を算出した。受け皿から順に目開きの小さな篩上の該粒子の重量割合を積算していき合計が50%となる粒径を平均粒径とした。
【0113】
尚、平均粒径が125μm以下の物については、目開き45μm、63μm、90μm、125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの12段の篩と受け皿を用いて同様の測定を行い、平均粒径の算出を行った。
【0114】
(2)平均粒径が80μm未満のものについては、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所(株)製)を用い、該粒子を溶解させない溶媒に分散させて測定したメジアン径を平均粒径とした。尚、(2)に関しては、150μm以下のものについても測定することができる。
【0115】
3.水分
顆粒群の水分測定は赤外線水分計法により行う。即ち、試料3gを重量既知の試料皿にはかり採り、赤外線水分計(ケット科学研究所(株)製FD−240)を用いて200℃で加熱し、30秒間重量変化がなくなった時点を乾燥終了とした。そして、乾燥後の重量と乾燥前重量から水分量を算出する。
【0116】
4.流動性
流動時間は、JIS K 3362により規定された嵩密度測定用のホッパーから、100mLの粉末が流出するのに要する時間とする。流動時間として10秒以下が好ましく、8秒以下がより好ましく、7秒以下が更に好ましい。
【0117】
<品質評価方法>
1.吸油能
吸収量測定器((株)あさひ総研製S410)に粉末を30〜35g投入し、駆動羽根200r.p.m.で回転させる。ここに液状のノニオン(花王(株)製エマルゲン108)を液供給速度4ml/minで滴下し、最大トルクとなる点を見極める。この最大トルクとなる点の70%のトルクとなる点での液添加量を粉末投入量で除算し、吸油能とした。
【0118】
2.粒度分布
粒度分布の指標としては1410μmの篩を通過させた洗剤粒子群をフィッティングし、Rosin-Rammler数を算出して用いる。Rosin-Rammler数の算出には以下の式を用いる。
【0119】
log(log(100/R(Dp)))=nlog(Dp/De)
R(Dp) :粒径Dpμm以上の粉体の累積率[%]
Dp :粒径[μm]
De :平均粒径[μm]
n :Rosin-Rammler数
【0120】
Rosin-Rammler数nが高い程、粒度分布がシャープであることを示す。nとしては1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。
【0121】
3.溶解性
本発明における溶解性の指標としては、以下に説明する洗剤粒子群の60秒間溶解率を用いることができる。溶解率は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。尚、洗剤組成物についても同様の方法で評価可能である。
【0122】
洗剤粒子群の60秒間溶解率は以下の方法で算出する。
硬度が71.2mgCaCO/リットルに相当する5℃に冷却した1リットルの硬水(Ca/Mgモル比7/3)を1リットルビーカー(内径105mm、高さ150mmの円筒型、例えば岩城硝子社製1リットルガラスビーカー)の中に満たし、5℃の水温をウォーターバスにて一定に保った状態で、攪拌子(長さ35mm、直径8mm、例えば型式:ADVANTEC社製、テフロン(登録商標)SA(丸型細型))にて水深に対する渦巻きの深さが略1/3となる回転数(800r.p.m.)で攪拌する。1.0000±0.0010gとなるように縮分・秤量した洗剤粒子群を攪拌下に水中に投入・分散させ攪拌を続ける。投入から60秒後にビーカー中の洗剤粒子群分散液を、重量既知のJIS Z 8801に規定の目開き74μmの標準篩(直径100mm)で濾過し、篩上に残留した含水状態の洗剤粒子群を篩と共に重量既知の開放容器に回収する。尚、濾過開始から篩を回収するまでの操作時間を10±2秒とする。回収した洗剤粒子群の溶残物を105℃に加熱した電気乾燥機にて1時間乾燥し、その後、シリカゲルを入れたデシケーター(25℃)内で30分間保持して冷却する。冷却後、乾燥した洗剤の溶残物と篩と回収容器の合計の重量を測定し、式(1)によって洗剤粒子群の溶解率(%)を算出する。
【0123】
溶解率(%)={1−(T/S)}×100・・・(1)
S:洗剤粒子群の投入重量(g)
T:上記攪拌条件にて得られた水溶液を上記篩に供したときに、篩上の残存する洗剤粒子群の溶残物の乾燥重量(g)(乾燥条件:105℃の温度下に1時間保持した後、シリカゲルを入れたデシケーター(25℃)内で30分間保持する)
【0124】
4.顆粒収率
本発明における顆粒収率とは、全顆粒のうち特定粒径範囲の顆粒の割合によって決定される。例えば、125−1000μmの顆粒収率とは、全顆粒のうち125μm以上1000μm以下の顆粒の割合を示す。
【0125】
5.洗剤収率
本発明における洗剤収率とは、前記洗剤粒子群及び別途添加された洗剤成分を混合して得られた洗剤組成物中、1180μm以下の粒子の割合を示す。
【実施例】
【0126】
本実施例においては、特に記載のない限り下記の原料を用いた。
ライト灰1:平均粒径100μm
(セントラル硝子(株)製 吸油能0.45ml/g)
ライト灰2:平均粒径175μm
(セントラル硝子(株)製 吸油能0.69ml/g)
粘土鉱物:ラウンドロジルDGAパウダー(ズード・ケミ社製)
ポリアクリル酸ナトリウム:重量平均分子量1万(花王(株)製)
デンス灰:平均粒径290μm(セントラル硝子(株)製)
硫酸ナトリウム:無水中性芒硝(四国化成(株)製)
【0127】
実施例1
粘土鉱物2.1kgとライト灰1の4.9kg(粘土鉱物/粉末原料=3/7)を邪魔板を有した70Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm/回転数32r.p.m./フルード数0.23)中で混合した。2分間混合した後、水2.5kgを1流体ノズル(スプレーイングシステムスジャパン(株)製:バインダー噴霧圧0.4MPa)を用いて、3分間で添加した。添加後、3分間顆粒化を行った後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて200℃で3時間乾燥を行った。乾燥後の水分は1.1重量%であった。
【0128】
得られた顆粒群1は平均粒径204μm、嵩密度490g/Lの顆粒群であり、吸油能0.52ml/gであった。また、125−1000μmの顆粒収率は56%であり、Rosin-Rammler数は1.0であった。
【0129】
実施例2
粘土鉱物2.1kgとライト灰1の4.2kg(粘土鉱物/粉末原料=1/2)を邪魔板を有した70Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm/回転数32r.p.m./フルード数0.23)中で混合した。2分間混合した後、25%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液3.8kgを2流体ノズル(スプレーイングシステムスジャパン(株)製:バインダー噴霧圧0.15MPa/微粒化用Air噴霧圧0.3MPa)を用いて、5分間で添加した。添加後、3分間顆粒化を行った後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて200℃で3時間乾燥を行った。乾燥後の水分は1.3重量%であった。
【0130】
得られた顆粒群2は平均粒径320μm、嵩密度495g/Lの顆粒群であり、吸油能0.51ml/gであった。また、125−1000μmの顆粒収率は56%であり、Rosin-Rammler数は1.6であった。
【0131】
実施例3
粘土鉱物2.1kgとライト灰2の4.2kg(粘土鉱物/粉末原料=1/2)を邪魔板を有した70Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm/回転数32r.p.m./フルード数0.23)中で混合した。2分間混合した後、25%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液3.8kgを2流体ノズルを用いて、5分間で添加した。添加後、3分間顆粒化を行った後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて200℃で3時間乾燥を行った。乾燥後の水分は0.9重量%であった。
【0132】
得られた顆粒群3は平均粒径390μm、嵩密度430g/Lの顆粒群であり、吸油能0.58ml/gであった。また、125−1000μmの顆粒収率は93%であり、Rosin-Rammler数は2.5であった。
【0133】
製造例1
混合槽に水375重量部を入れ、水温が35℃に達した後に、硫酸ナトリウム127重量部、亜硫酸ナトリウム5重量部、蛍光染料1重量部を添加して10分間攪拌した。炭酸ナトリウム127重量部を添加し、40重量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液75重量部を添加し10分間攪拌して第1調製液とした。微細結晶析出剤である塩化ナトリウム24重量部を第1調製液に添加し、10分間攪拌した。更にゼオライト266重量部を添加し、30分間攪拌して均質な第2調製液を得た(スラリー水分42重量%)。
【0134】
第2調製液をポンプで噴霧乾燥塔(向流式)に供給し、塔頂付近に設置した圧力噴霧ノズルから噴霧圧2.5MPaで噴霧を行った。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が200℃で供給され、塔頂より90℃で排出された。得られた顆粒群4の水分は4重量%であった。得られた顆粒群は平均粒径285μm、嵩密度476g/Lの顆粒群であった。
【0135】
実施例5
ライト灰1の100重量部と粘土鉱物0.6重量部を邪魔板を有した70Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm/回転数32r.p.m./フルード数0.23)中に投入し、35%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液55.9重量部を2流体ノズルを用いて、5.5分間で添加した。添加後、3分間顆粒化を行った後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて200℃で3時間乾燥を行った。乾燥後の水分は1.0重量%であった。
【0136】
得られた顆粒群5は平均粒径317μm、嵩密度489g/Lの顆粒群であり、吸油能0.51ml/gであった。また、125−1000μmの顆粒収率は97%であり、Rosin-Rammler数は2.9であった。
【0137】
実施例6
ライト灰1の100重量部を邪魔板を有した70Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm/回転数32r.p.m./フルード数0.23)中に投入し、35%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液55.6重量部を2流体ノズルを用いて、5.5分間で添加した。添加後、3分間顆粒化を行った後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて200℃で3時間乾燥を行った。乾燥後の水分は0.9重量%であった。
【0138】
得られた顆粒群6は平均粒径328μm、嵩密度448g/Lの顆粒群であり、吸油能0.61ml/gであった。また、125−1000μmの顆粒収率は95.2%であり、Rosin-Rammler数は2.5であった。
【0139】
実施例8
界面活性剤組成物(ポリオキシエチレンアルキルエーテル/ポリエチレングリコール/アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム/水=42/8/42/8(重量比))を80℃にした。次に、レディゲミキサー(松坂技研(株)製、容量130L、ジャケット付)に、得られた界面活性剤担持用顆粒群3を100重量部投入し、主軸(攪拌翼、回転数:60rpm、周速:1.6m/s)の攪拌を開始した。尚、ジャケットに80℃の温水を10L/分で流した。そこに、上記界面活性剤組成物50重量部を2分間で投入し、その後5分間攪拌を行った。更に、6重量部の無定形アルミノ珪酸塩を投入し、主軸(回転数:120rpm、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を1分間行い、洗剤粒子群1を排出した。
【0140】
得られた洗剤粒子群1は、平均粒径481μm、嵩密度800g/L、流動性5.8sであった。
【0141】
実施例9
実施例3にて製造した界面活性剤担持用顆粒群3と、製造例1の噴霧乾燥による界面活性剤担持用顆粒群4を用いて次に示す方法で洗剤粒子群2を製造した。
【0142】
界面活性剤組成物(ポリオキシエチレンアルキルエーテル/ポリエチレングリコール/アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム/水=42/8/42/8(重量比))を80℃にした。次に、レディゲミキサー(松坂技研(株)製、容量130L、ジャケット付)に得られた界面活性剤担持用顆粒群3を50重量部、界面活性剤担持用顆粒群4を50重量部投入し、主軸(攪拌翼、回転数:60rpm、周速:1.6m/s)の攪拌を開始した。尚、ジャケットに80℃の温水を10L/分で流した。そこに、上記界面活性剤組成物50重量部を2分間で投入し、その後5分間攪拌を行った。更に、6重量部の無定形アルミノ珪酸塩を投入し、主軸(回転数:120rpm、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を1分間行い、洗剤粒子群2を排出した。
【0143】
得られた洗剤粒子群2は、平均粒径342μm、嵩密度807g/Lであった。また、溶解率93%、流動性6.2sであった。
【0144】
実施例10
次に、界面活性剤担持用顆粒群3に代えて界面活性剤担持用顆粒群5を100重量部用いた他は実施例8と同様にして洗剤粒子群3を製造した。
得られた洗剤粒子群3は、平均粒径356μm、嵩密度768g/L、流動性6.0sであった。
【0145】
実施例11
界面活性剤担持用顆粒群3に代えて界面活性剤担持用顆粒群6を100重量部用いた他は実施例8と同様にして洗剤粒子群4を排出した。
得られた洗剤粒子群4は、平均粒径315μm、嵩密度808g/L、流動性5.9sであった。
【0146】
比較例1
粘土鉱物1.5kgとライト灰1の3.5kg(粘土鉱物/粉末原料=3/7)をインテンシブミキサー(アイリッヒ社製02VAC;パン回転数44r.p.m.;解砕翼回転数1650r.p.m./フルード数213)で混合した。2分間混合した後、水1.25kgを1流体ノズルを用いて、1分間で添加した。添加後、3分間顆粒化を行った後、インテンシブミキサーから排出し、電気乾燥機を用いて200℃で3時間乾燥を行った。乾燥後の水分は1.0重量%であった。
【0147】
得られた顆粒群9は平均粒径352μm、嵩密度715g/Lの顆粒群であり、吸油能0.16ml/gであった。また、125−1000μmの顆粒収率は92%であり、Rosin-Rammler数は2.0であった。
【0148】
比較例2
ライト灰1の100重量部と粘土鉱物42.9重量部(粘土鉱物/粉末原料=3/7)10Lハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製;アジテータ回転数200r.p.m./フルード数8.94;解砕翼回転数3600r.p.m./フルード数398)で混合した。35%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液45.3重量部を1流体ノズルを用いて、1分間で添加した。添加後、4分間顆粒化を行った後、造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて200℃で3時間乾燥を行った。乾燥後の水分は1.0重量%であった。
【0149】
得られた顆粒群10は平均粒径362μm、嵩密度736g/Lの顆粒群であり、吸油能0.30ml/gであった。また、125−1000μmの顆粒収率は55%であり、Rosin-Rammler数は1.5であった。
【0150】
比較例3
界面活性剤担持用顆粒群3の代わりに比較例2で製造した界面活性剤担持用顆粒群10の100重量部を用いて、実施例8と同様にして洗剤粒子群6を製造した。
【0151】
得られた洗剤粒子群6は、平均粒径876μm、嵩密度830g/L、流動性6.5sであった。
【0152】
比較例4
界面活性剤担持用顆粒群3の50重量部に代えてライト灰1を35重量部、粘土鉱物を15重量部とした他は実施例9と同様の方法で洗剤粒子群7を製造した。
【0153】
得られた洗剤粒子群7は、平均粒径424μm、嵩密度835g/L、流動性6.1sであった。
【0154】
上記の実施例等の条件、結果を以下の表に示す。
【0155】
【表1】

【0156】
【表2】

【0157】
実施例1と比較例1及び比較例2との比較より、低剪断造粒を行うことで、好ましくはフルード数が1.0以下となる低剪断造粒を行うことで、所望の嵩密度、吸油能の顆粒群が得られることが明らかになった。
【0158】
また実施例2、3、5及び6より、本発明の製造方法によれば、粘土鉱物の含有量に拠らず所望の物性を示す顆粒群が得られることが判り、実施例8〜11により、それらの顆粒群を用いた洗剤粒子群においても、対応する原料となる顆粒群とほぼ同等の物性・品質を示すことが明らかになった。
【0159】
一方、比較例3から、高剪断ミキサー、具体的にはフルード数が1.0を超えるミキサーで製造した顆粒群を用いた場合には、品質及び生産性の観点から、低剪断ミキサーで製造した顆粒群を用いた洗剤粒子群よりも劣る洗剤粒子群となることが明らかとなった。
【0160】
また、実施例9と比較例4の比較により、本発明の界面活性剤担持用顆粒群の代わりに顆粒化していない原料を含有する洗剤粒子群は、良好な溶解率を示さず、本発明の担持用顆粒群を含有するものに比べて品質が劣るものであった。この結果より、低剪断造粒による顆粒化が洗剤粒子の品質に重要であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明によれば、液状界面活性剤組成物の担持容量/担持力/担持速度に優れた界面活性剤担持用顆粒群を噴霧乾燥を用いない方法で得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程1(a)〜2を含む嵩密度550g/l以下の界面活性剤担持用顆粒群の製造方法;
工程1(a):粘土鉱物粉末と、粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料を混合する工程、及び
工程2:工程1(a)により得られた混合粉末に水又はバインダー水溶液を添加し、低剪断造粒機によって顆粒化する工程。
【請求項2】
以下の工程1(b)〜2を含む嵩密度550g/l以下の界面活性剤担持用顆粒群の製造方法;
工程1(b):粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料を混合する工程、及び
工程2:工程1(b)により得られた混合粉末に水又はバインダー水溶液を添加し、低剪断造粒機によって顆粒化する工程。
【請求項3】
低剪断造粒機のフルード数が1.0以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
更に、工程3を含む請求項1〜3いずれか記載の製造方法;
工程3:工程2によって得られた顆粒を乾燥する工程。
【請求項5】
水又はバインダー水溶液を多流体ノズルを用いて添加する請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
【請求項6】
多流体ノズルが2流体ノズルである請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
粉末原料がライト灰を含む請求項1〜6いずれか記載の製造方法。
【請求項8】
以下の成分を含有する嵩密度550g/l以下の界面活性剤担持用顆粒群。
粘土鉱物を除く吸油能0.4ml/g以上の粉末原料:40〜95重量%
粘土鉱物粉末:0〜45重量%
バインダー:0〜35重量%
水:0〜15重量%
【請求項9】
請求項1〜7いずれか記載の製造方法により作製される界面活性剤担持用顆粒群又は請求項8記載の界面活性剤担持用顆粒群を含有する顆粒群に界面活性剤組成物を担持させてなる高嵩密度洗剤粒子群。
【請求項10】
請求項9記載の洗剤粒子群を含有してなる洗剤組成物。

【公開番号】特開2010−1460(P2010−1460A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116683(P2009−116683)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】