説明

畜舎における送風方法と、この畜舎における送風装置

【課題】従来の畜舎においては、畜舎の長手方向に区画した多数の畜舎部屋の天井面に、一定の領域を一単位とし、ファンを紐等で吊下し、各畜舎部屋の上方より、複数の家畜の背面から、全体的かつ所定の領域で総括的に送風する方法であり、家畜への個別かつ効率的な送風が期待できない。また単に畜舎内の空気を送風及び/又は撹拌することから、外気の導入を介して空冷又は換気を図ることは不可能であり、改良の余地がある。
【構成】本発明は、畜舎を多数の畜舎部屋とし、畜舎部屋の天井面に多数の透孔付きダクトを配備し、ダクトの基端にファンを設け、畜舎の妻面に開口する隙間に設置したファンで外気を吸込み、吸込み空気を、ダクトの下面であって、かつ各畜舎部屋の上方において開口した透孔を利用し、各畜舎部屋の上方より、家畜の背中に向って吹降ろす構成とした畜舎における送風方法である。家畜に効率的、かつ飼育に最適な送風ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畜舎における送風方法と、この畜舎における送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の牛舎、豚舎等の畜舎(畜舎)において実施されている構造(送風方法)を、図13、図14に示したので、この送風方法を説明する。この畜舎の長手方向に多数の畜舎部屋を区画形成し、この各畜舎部屋の天井面に、一定の領域を一単位とし、ファン(送風扇)を紐等の吊下げ方法を介して吊下し、各畜舎部屋の上方より、複数の家畜の背面から、全体的かつ所定の領域で総括的に送風する方法であり、家畜への個別かつ効率的な送風が期待できないと云われている。また従来は、この畜舎内に設置した送風扇で、該畜舎内の一定の領域に対し、送風と撹拌とを図る方法であるので、単に畜舎内の空気を送風及び/又は撹拌することから、外気の導入を介して空冷又は換気を図ることは不可能であり、改良の余地がある。
【0003】
そして、各家畜に個別に、適宜調整して、上方から吹降ろす構成ではないので、家畜の成長の向上と、疾病の減少化、又は乳牛では、乳の搾り量の向上、さらに肉牛(豚、鶏)では肉質の向上が図れない問題点がある。
【0004】
また従来の畜舎内の一定の領域を一単位とし、ファンを紐等の吊下げ方法を介して吊下する構成では、畜舎の形態(内部景観)が煩雑となること、その据付に手間と経験を要すること等の問題点を抱えている。殊に、送風扇を紐、番線等の吊下げ手段を介して吊下する方法であり、この吊下げに手間及び/又は熟練を要すること等の如く、設置に対して改良すべき問題点を抱えている。
【0005】
この図13、図14において示した従来の送風方法における問題点を解決するための一例として、先行文献を列挙すると、次の文献(1)と、文献(2)を挙げることができる。そこで、前述の問題点を解決することを視野に入れて、この文献(1)と、文献(2)の構成及び効果を説明する。
【0006】
先ず、文献(1)は、特開平8−294339の「送風用空気ダクト」であって、空気ダクトに関するものであり、その要旨は、鶏舎の上方に配備され、かつ鶏舎のケージ列の長手方向に配置する布地又はプラスチック・フィルムダクトであって、このダクトは、両端部に送風ファンを備えており、このダクトの下方に開設した多数の開口、又はノズルを介して鶏舎の下方に送風することで、この鶏舎の換気と、鶏糞の乾燥を図ることを意図する。
【0007】
次に、文献(2)は、特開平9−135648の「冷房設備を有する鶏舎」であって、鶏糞の乾燥を意図した冷房装置を有する鶏舎に関するものであり、その要旨は、細長い飼育ブロックを配設した鶏舎において、外気を吸入する吸入路と、室内空気を排気する排気路とを開口し、この吸入路に冷水フィルターを配設し、この冷水フィルターを備えた吸込路を介して冷却した外気を建物内に流入し、そして、前記飼育ブロックと建物床との間に糞乾燥チャンバーを設け、この糞乾燥チャンバーに鶏糞を水平方向に移送しながら乾燥する糞乾燥コンベアを多段に配設する構成であって、この建屋内の経済性な冷房と、またこの鶏糞の効率的な乾燥を図ることを意図する。
【0008】
【特許文献1】特開平8−294339
【特許文献2】特開平9−135648
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
文献(1)は、両端にファンを備えたダクトを、単に鶏舎の上方に配備し、かつ鶏舎のケージ列の長手方向に配置する構成である。しかし、この構成の如く、ファンを対峙して配備し、ダクトの両端より外気を吸込んだ場合には、外気のスムーズな流れが保証されないと考えられる。そして、この構成の如く、ダクトの開口より、吸込み空気(外気とする)を、できる限り等しく吹降ろすことに関し、改良すべき点が考えられる。尚、この文献(1)は、鶏舎部屋に飼育している鶏に対する外気の供給と、この外気の利点、例えば、鶏舎の空冷、新鮮な空気の供給、汚染の稀釈化等を考えた場合に、この発明では、充分に対応できない問題点が考えられる。
【0010】
また文献(2)は、外気を吸込口より糞乾燥チャンバー内に導き、この糞乾燥チャンバーの空気を排気口から鶏舎外に排気する構成であり、糞の乾燥と、鶏舎の冷房を図る構成である。しかし、この発明は、糞乾燥チャンバーを鶏舎の床面に設ける構成であるので、鶏舎のスペースが無駄となること、建築費が嵩むこと等の経済性の悪化が考えられること、また作業面での困難性もあり得ることから、日常の業務に支障が発生することが考えられる。さらにこの文献(2)の糞乾燥チャンバーは、鶏舎の床面に設ける構成であって、この鶏舎に固定的に設置される。従って、前記文献(1)と同様な問題点、例えば、外気の供給、外気の利点を充分活用していないこと等の改良点が考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、各畜舎部屋の上方に配備したダクトの透孔より、家畜の背中及び/又は頸部に向って吹降ろす構成であり、家畜に刺激を与えることなく送風が可能となること、家畜の成長の向上と、疾病の減少化、又は乳牛では、乳の搾り量の向上を、さらにその他、例えば、肉牛(豚、鶏)では肉質の向上を図ること等を意図する。また請求項1の発明は、畜舎への設置の容易化、簡便化等を図り、かつ経済的に有効な送風方法を提供すること等を意図する。さらに請求項1の発明は、上方から各家畜に個別に、適宜調整して、吹降ろしを図る構成であり、糞による細菌の蔓延を封じ込むことで、病気の発生防止と、衛生的な飼育環境を確保すること等を意図する。尚、請求項1の発明は、天井面の所定の箇所に吊下する構成と、直線的にダクトを配する構成を採用し、畜舎の形態の単純化、空間の有効利用を図ること、清掃の容易化を図ること等を意図する。
【0012】
請求項1は、牛舎、豚舎等の畜舎(畜舎)において、この畜舎の棟方向(長手方向)に多数の畜舎部屋を区画形成し、この畜舎部屋の天井面に多数の透孔を備えたビニール風管等のダクトを配備し、このダクトの基端にファンを設けた構成の畜舎における送風方法であって、
この送風方法は、前記畜舎の妻面に開口する隙間に設置した前記ファンを利用して外気を吸込み、この吸込み空気(外気)を、前記ダクトの下面であって、かつ各畜舎部屋の上方において開口した透孔を利用し、この各畜舎部屋の上方より、家畜の背中に向って吹降ろす構成とした畜舎における送風方法である。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なダクトの設置箇所の提供及び/又は吹降ろし送風を達成すること等を意図する。
【0014】
請求項2は、請求項1に記載の畜舎における送風方法において、そのダクトの透孔から家畜の頸部近傍に向って吹降ろす構成とし、このダクトを、建屋の天井の所定の位置に吊下する構成とした畜舎における送風方法である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なダクトの設置箇所の提供及び/又は水平方向において、その吹降ろし送風を、適宜選択可能とすること等を意図する。
【0016】
請求項3は、請求項1に記載の畜舎における送風方法において、そのファン及び/又はダクトを、この建屋の妻面方向(短手方向)に移動可能とし、前記各畜舎部屋の上方より、家畜の胴体及び/又は頸部の適所に向って吹降ろす構成とし、この吹降ろし位置を時宜により、変更可能とする構成とした畜舎における送風方法である。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成可能な畜舎の送風装置を提供することを意図する。
【0018】
請求項4は、牛舎、豚舎等の畜舎において、この畜舎の棟方向に多数の畜舎部屋を区画形成し、この畜舎部屋の天井面に多数の透孔を備えたビニール風管等のダクトを配備し、このダクトの基端にファンを設けた構成の畜舎における送風装置であって、
この送風装置は、前記畜舎の妻面に開口する隙間を形成し、この隙間に前記ファンを付設し、このファンに着脱自在にダクトを連設し、またこのダクトに開口する透孔を、このダクトの下面で、かつ前記各畜舎部屋の上方に位置する構成とし、
この構成を介してダクトに吸込んだ外気を、前記各畜舎部屋の上方より、家畜の背中及び/又は頸部近傍に向って吹降ろす構成とした畜舎における送風装置である。
【0019】
請求項5・6の発明は、請求項4の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なファン及び/又はダクトの構造を提供すること等を意図する。
【0020】
請求項5は、請求項4に記載の畜舎における送風装置において、そのファンを間欠的に駆動可能とすること、及び/又は、ダクトの透孔を適宜開閉可能とし、このダクトから吹降ろす外気を、必要とする前記各畜舎部屋の上方より、家畜の背中及び/又は頸部の適所に向って吹降ろす構成とした畜舎における送風装置である。
【0021】
請求項6は、請求項4に記載の畜舎における送風装置において、そのファンの間欠的な駆動及び/又はダクトの透孔の開閉を、制御手段を介して調整する構成とした畜舎における送風装置である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明は、牛舎、豚舎等の畜舎(畜舎)において、畜舎の棟方向(長手方向)に多数の畜舎部屋を区画形成し、畜舎部屋の天井面に多数の透孔を備えたビニール風管等のダクトを配備し、ダクトの基端にファンを設けた構成の畜舎における送風方法であって、
送風方法は、畜舎の妻面に開口する隙間に設置したファンを利用して外気を吸込み、吸込み空気(外気)を、ダクトの下面であって、かつ各畜舎部屋の上方において開口した透孔を利用し、各畜舎部屋の上方より、家畜の背中に向って吹降ろす構成とした畜舎における送風方法である。
【0023】
従って、請求項1は、各畜舎部屋の上方に配備したダクトの透孔より、家畜の背中及び/又は頸部に向って吹降ろす構成であり、家畜に刺激を与えることなく送風が可能であること、家畜の成長の向上と、疾病の減少化、又は乳牛では、乳の搾り量の向上、さらにその他、例えば、肉牛(豚、鶏)では肉質の向上を図れること等の特徴がある。また請求項1は、畜舎への設置の容易化、簡便化等が図れ、かつ経済的に有効な送風方法を提供できること等の利点がある。さらに請求項1は、上方から各家畜に個別に、適宜調整して、吹降ろしを図る構成であり、糞による細菌の蔓延を封じ込むことで、病気の発生防止と、衛生的な飼育環境が確保できること等の特徴がある。そして、請求項1は、天井面の所定の箇所に吊下する構成と、直線的にダクトを配する構成を採用し、畜舎の形態の単純化、空間の有効利用を図ること、清掃の容易化が図れること等の実用性を有する。
【0024】
請求項2の発明は、請求項1に記載の畜舎における送風方法において、ダクトの透孔から家畜の頸部近傍に向って吹降ろす構成とし、ダクトを、建屋の天井の所定の位置に吊下する構成とした畜舎における送風方法である。
【0025】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適なダクトの設置箇所の提供及び/又は吹降ろし送風を達成できること等の特徴を有する。
【0026】
請求項3の発明は、請求項1に記載の畜舎における送風方法において、ファン及び/又はダクトを、建屋の妻面方向(短手方向)に移動可能とし、各畜舎部屋の上方より、家畜の胴体及び/又は頸部の適所に向って吹降ろす構成とし、吹降ろし位置を時宜により、変更可能とする構成とした畜舎における送風方法である。
【0027】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適なダクトの設置箇所の提供及び/又は水平方向において、その吹降ろし送風が、適宜選択可能となること等の特徴を有する。
【0028】
請求項4の発明は、牛舎、豚舎等の畜舎において、畜舎の棟方向に多数の畜舎部屋を区画形成し、畜舎部屋の天井面に多数の透孔を備えたビニール風管等のダクトを配備し、ダクトの基端にファンを設けた構成の畜舎における送風装置であって、
送風装置は、畜舎の妻面に開口する隙間を形成し、隙間にファンを付設し、ファンに着脱自在にダクトを連設し、またダクトに開口する透孔を、ダクトの下面で、かつ各畜舎部屋の上方に位置する構成とし、
この構成を介してダクトに吸込んだ外気を、各畜舎部屋の上方より、家畜の背中及び/又は頸部近傍に向って吹降ろす構成とした畜舎における送風装置である。
【0029】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成可能な畜舎の送風装置を提供できる特徴を有する。
【0030】
請求項5の発明は、請求項4に記載の畜舎における送風装置において、ファンを間欠的に駆動可能とすること、及び/又は、ダクトの透孔を適宜開閉可能とし、ダクトから吹降ろす外気を、必要とする各畜舎部屋の上方より、家畜の背中及び/又は頸部の適所に向って吹降ろす構成とした畜舎における送風装置である。
【0031】
請求項6の発明は、請求項4に記載の畜舎における送風装置において、ファンの間欠的な駆動及び/又はダクトの透孔の開閉を、制御手段を介して調整する構成とした畜舎における送風装置である。
【0032】
従って、請求項5・6は、請求項4の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適なファン及び/又はダクトの構造を提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の一例を説明する。
【0034】
先ず、図面の説明をすると、図1は牛舎、豚舎、鶏舎等の畜舎(畜舎)の一例を示した俯瞰図、図2は図1の側面図、図3は図1の正面図、図4はファン(送風機)の第1の例を示した正面図、図5は図4の平面図、図6は図4の右側面図、図7は図4の左側面図、図8は図4の整流翼の第1の例を示した正面図、図9は図4の整流翼の第2の例を示した正面図、図10は図4の整流翼の第3の例を示した正面図である。
【0035】
また図11−1〜図11−5は、ファンの吹出口とダクト(ビニール風管)の取付け方の各例を示した要部断面図であり、図11−1は、吹出口に折返しを設けた一例を、図11−2は、吹出口にカール(巻絞り)を設けた一例を、図11−3は、吹出口にダクトの取付けパーツを設けた一例を、図11−4は、吹出口にダクトの他の取付けパーツを設けた一例を、図11−5は、吹出口にダクトのさらに他の取付けパーツを設けた一例を、それぞれ示しているが、ダクトの簡易な取付けと、このダクトの抜け防止、また風のスムーズな流れを確保すること等を意図する。
【0036】
そして、図12は図11−1に示したファンの吹出口とダクトとの関係を拡大して示した要部断面図である。
【0037】
尚、図13は従来の牛舎、豚舎、鶏舎等の畜舎(畜舎)の一例を示した俯瞰図、図14は図13の側面図である。
【0038】
以下、本発明の一実施例を説明すると、1は牛舎、豚舎、鶏舎等の畜舎(畜舎)で、この畜舎1の棟方向1a(長手方向)には、多数の畜舎部屋100、100、・・・・・・・・・・(原則として、100とする)を区画形成する。そして、この畜舎部屋100の天井面101、101、・・・・・・・・・・(原則として、101とする)に多数の透孔200を備えたビニール風管等のダクト2を配備する。そして、このダクト2の基端2aには、畜舎1の妻面方向(短手方向)1bに開口103する隙間103aに設置したファン3が接続される。
【0039】
このような構成において、その送風方法は、畜舎1の妻面102に設置したファン3を利用して外気Aを吸込み、吸込み空気A1(外気)を、ダクト2の下面であって、かつ各畜舎部屋100の上方において開口した透孔200を利用し、各畜舎部屋100の上方より、家畜C(主として、乳牛)の背中C1に向って吹降ろす構成とした畜舎1における送風方法である。
【0040】
この送風方法において、ダクト2が天井面101から家畜Cの背中C1に向って吹降ろす構成であり、この家畜Cに急激な刺激を与えず、かつ心地良い刺激となり、例えば、家畜Cの成長の向上と、疾病の減少化、又は乳牛では、図示したような、スポット的な送風を介して乳の搾り量の向上が図れる。そして、またその他、例えば、肉牛(豚、鶏)では、図示しないが、広角方向の送風を介して肉質の向上が図れる。尚、この広角方向の送風の一例として、ダクト2を分岐させて、多方向に送風することも可能である。さらにスポット的な送風及び/又は上方からの吹降ろし構成を採用することで、糞による細菌の蔓延を封じ込むことができるので、家畜Cの病気の発生防止と、家畜Cの衛生的な飼育環境が確保できること等の特徴があり得る。尚、この畜舎部屋100の天井面101にダクト2を設置する構成であり、例えば、畜舎1への設置の容易化、簡便化等が図れること、又は経済的に有効な送風装置及び/又は送風方法を提供できる。さらにファン3及び/又はダクト2は、妻面方向(短手方向)1bの方向に向って、移動する構成も可能であり、例えば、家畜Cの成育・飼育等の状態、吹降ろし箇所・吹降ろし方向の多様化を考慮して、変更する。この変更する一例を説明すると、後述する支持杆と、この支持杆を支持する板材(梁)と、この板材に開設した長孔との組合せの構成とし、この支持杆の移動で調整する方法でダクト2のみを移動(曲折を含む)する構成と、この移動に、ファン3の妻面方向(短手方向)1bへの移動を付加する構成等が考えられる。いずれにしても、畜舎1の構成、発明の目的等を考慮して決定する。
【0041】
尚、ダクト2の透孔200を複数個、畜舎1の妻面方向(短手方向)1bに併設する構成とすれば、頸部C2と背中C等の如く、複数に吹降ろすことが可能となり、有効であり、かつ前述の効果を達成できる特徴がある。勿論、尻側C3への吹降ろしも可能であり、原則として、吹降ろし箇所は、一個から複数個可能であり、家畜Cの成育と、成長環境、又は飼育環境、気候等を考慮して適宜変更する。
【0042】
また、その他の実施例としては、このダクト2への外気Aの吸込み及び/又は吸込み量の調整と、透孔200の全体及び/又は個別における吹降ろし等の調整を、図示しない制御手段を利用して制御することも可能である。そして、この制御手段は、前述と同様に、家畜Cの成育と、成長環境、又は飼育環境、気候等を考慮して適宜採用する。
【0043】
前述した妻面102に取付けられるファン3の好ましい一例と、このファン3とダクト2との関係を説明する。このファン3は、開口を有するベルマウス300aを備えた取付け枠体300(妻面102の躯体に取付けられる)と、この取付け枠体300に一端が固止された支持杆301と、この支持杆301の他端に設けたモータ302と、このモータ302の出力軸302aに設けた羽根車303と、前記取付け枠体300の一方側(反ファン側)に設けたダクト取付け兼送風開口となる吹出口304と、この吹出口304に設けたダクト2取付け用の係止手段305と、同じく必要により設ける吹出口304に設けた整流翼306とで構成されている。そして、前述の如く、畜舎1の妻面102の躯体(開口枠体)に、前記取付け枠体300を嵌入及び/又は取付け、望ましくは、畜舎1の天井面101の近傍に取付ける。これによって、畜舎部屋100の天井より家畜Cに向かって吸込み空気A1を吹降ろす構成である。その吹降ろし方法は、前述のとおりである。
【0044】
またダクト2の吹出口304の簡易な取付けと、このダクト2の吹出口304からの抜け防止、又は吹出口304からダクト2への風のスムーズな流れを確保する構成が、このダクト2と吹出口304に設けられているので、その一例を説明する。即ち、この吹出口304には、ダクト2係止用の係止手段305が設けられている。この係止手段305は、図11−1〜図11−5に示した各例があり、以下に説明する。先ず、図11−1は、吹出口304に折返し304−1を設け、この折返し304−1に緊締具(図示せず)を介してダクト2を係止する。図11−2は、吹出口304にカール(巻絞り)304−2を設け、このカール(巻絞り)304−2に緊締具を介してダクト2を係止する。図11−3は、吹出口304にダクト2の嵌合レール304−3を設け、この嵌合レール304−3に緊締具を介してダクト2を係止する。図11−4は、吹出口304に複合嵌合レール304−4を設け、この複合嵌合レール304−4に緊締具を介してダクト2を係止する。図11−5は、吹出口304に図11−4(図11−3)に示した複合嵌合レール304−4(嵌合レール304−3)を対で設け、この複合嵌合レール304−4(嵌合レール304−3)に各緊締具を介してダクト2を係止する。これらの係止手段305は、製造の簡便な例として、一体構造が考えられる折返し304−1と、カール(巻絞り)304−2とがあり、また引抜き製造が可能な嵌合レール304−3と、複合嵌合レール304−4とがあり、又強固な係止は、前記嵌合レール304−3と、複合嵌合レール304−4とがあり、さらに取付け、取外しの容易性は、前記各例があり、それぞれ取付け条件、合理性等を考慮して決定する。
【0045】
そして、図示しないが、ファン3は、畜舎1の家畜C頭数、生育・健康等の状態、また気候、畜舎1の環境等を考慮して、自動制御することも可能であり、ファン3とダクト2を、妻面方向(短手方向)1b及び/又は地上と天井面101間に移動可能とし、前述の各種の条件に対応することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は牛舎、豚舎、鶏舎等の畜舎(畜舎)の一例を示した俯瞰図
【図2】図2は図1の側面図
【図3】図3は図1の正面図
【図4】図4はファン(送風機)の第1の例を示した正面図
【図5】図5は図4の平面図
【図6】図6は図4の右側面図
【図7】図7は図4の左側面図
【図8】図8は図4の整流翼の第1の例を示した正面図
【図9】図9は図4の整流翼の第2の例を示した正面図
【図10】図10は図4の整流翼の第3の例を示した正面図
【図11−1】図11−1は、ファンの吹出口に折返しを設けた一例の要部断面図
【図11−2】図11−2は、ファンの吹出口にカール(巻絞り)を設けた一例の要部断面図
【図11−3】図11−3は、ファンの吹出口にダクトの取付けパーツを設けた一例の要部断面図
【図11−4】図11−4は、ファンの吹出口にダクトの他の取付けパーツを設けた一例の要部断面図
【図11−5】図11−5は、ファンの吹出口にダクトのさらに他の取付けパーツを設けた一例の要部断面図
【図12】図12は図11−1に示したファンの吹出口とダクトとの関係を拡大して示した要部断面図
【図13】図13は従来の牛舎、豚舎、鶏舎等の畜舎(畜舎)の一例を示した俯瞰図
【図14】図14は図13の側面図
【符号の説明】
【0047】
1 畜舎
1a 棟方向(長手方向)
1b 妻面方向(短手方向)
100 畜舎部屋
101 天井面
102 妻面
103 開口
103a 隙間
2 ダクト
2a 基端
200 透孔
3 ファン
300 取付け枠体
300a ベルマウス
301 支持杆
302 モータ
302a 出力軸
303 羽根車
304 吹出口
304−1 折返し
304−2 カール(巻絞り)
304−3 嵌合レール
304−4 複合嵌合レール
305 係止手段
306 整流翼
A 外気
A1 吸込み空気
C 家畜
C1 背中
C2 頸部
C3 尻側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
牛舎、豚舎等の畜舎(畜舎)において、この畜舎の棟方向(長手方向)に多数の畜舎部屋を区画形成し、この畜舎部屋の天井面に多数の透孔を備えたビニール風管等のダクトを配備し、このダクトの基端にファンを設けた構成の畜舎における送風方法であって、
この送風方法は、前記畜舎の妻面に開口する隙間に設置した前記ファンを利用して外気を吸込み、この吸込み空気(外気)を、前記ダクトの下面であって、かつ各畜舎部屋の上方において開口した透孔を利用し、この各畜舎部屋の上方より、家畜の背中に向って吹降ろす構成とした畜舎における送風方法。
【請求項2】
請求項1に記載の畜舎における送風方法において、そのダクトの透孔から家畜の頸部近傍に向って吹降ろす構成とし、このダクトを、建屋の天井の所定の位置に吊下する構成とした畜舎における送風方法。
【請求項3】
請求項1に記載の畜舎における送風方法において、そのファン及び/又はダクトを、この建屋の妻面方向(短手方向)に移動可能とし、前記各畜舎部屋の上方より、家畜の胴体及び/又は頸部の適所に向って吹降ろす構成とし、この吹降ろし位置を時宜により、変更可能とする構成とした畜舎における送風方法。
【請求項4】
牛舎、豚舎等の畜舎において、この畜舎の棟方向に多数の畜舎部屋を区画形成し、この畜舎部屋の天井面に多数の透孔を備えたビニール風管等のダクトを配備し、このダクトの基端にファンを設けた構成の畜舎における送風装置であって、
この送風装置は、前記畜舎の妻面に開口する隙間を形成し、この隙間に前記ファンを付設し、このファンに着脱自在にダクトを連設し、またこのダクトに開口する透孔を、このダクトの下面で、かつ前記各畜舎部屋の上方に位置する構成とし、
この構成を介してダクトに吸込んだ外気を、前記各畜舎部屋の上方より、家畜の背中及び/又は頸部近傍に向って吹降ろす構成とした畜舎における送風装置。
【請求項5】
請求項4に記載の畜舎における送風装置において、そのファンを間欠的に駆動可能とすること、及び/又は、ダクトの透孔を適宜開閉可能とし、このダクトから吹降ろす外気を、必要とする前記各畜舎部屋の上方より、家畜の背中及び/又は頸部の適所に向って吹降ろす構成とした畜舎における送風装置。
【請求項6】
請求項4に記載の畜舎における送風装置において、そのファンの間欠的な駆動及び/又はダクトの透孔の開閉を、制御手段を介して調整する構成とした畜舎における送風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図11−4】
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【図11−5】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−330231(P2007−330231A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169339(P2006−169339)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】