畦削機
【課題】畦の上面と法面を一度に削ることができるとともに、コンパクトな畦削機を提供する。
【解決手段】畦削機20は、トラクタに取り付けられるとともに、上面削り部30と、法面削り部31と、を備える。上面削り部30は、畦の上面の土を削るとともに、削った土を第1方向に向けて搬送して除去する。法面削り部31は、畦の法面の土を削るとともに、削った土を第2方向に向けて搬送して除去する。そして、平面視において第1方向と第2方向は平行であり、上面削り部30と法面削り部31は、第1方向及び第2方向に直交する方向に並んで配置されている。
【解決手段】畦削機20は、トラクタに取り付けられるとともに、上面削り部30と、法面削り部31と、を備える。上面削り部30は、畦の上面の土を削るとともに、削った土を第1方向に向けて搬送して除去する。法面削り部31は、畦の法面の土を削るとともに、削った土を第2方向に向けて搬送して除去する。そして、平面視において第1方向と第2方向は平行であり、上面削り部30と法面削り部31は、第1方向及び第2方向に直交する方向に並んで配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畦を削るための畦削機の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
稲作では、水田に新しく水を張る前に、「畦塗り」という作業が行われる。この畦塗りとは、畦に泥土を塗り付けて、旧い畦の割れ目やモグラ穴などを塞ぐ作業である。これにより水田から水が抜けにくくなり、水管理も容易になる。かつて畦塗りは全て手作業で行われていたが、近年では畦塗機が用いられることが多い。
【0003】
畦塗機は、旧い畦の表面の土を崩すとともに、圃場の底面にたまっている泥土を畦の表面まで搬送し、崩した旧畦の土と、圃場の泥土と、を一緒に押し固めて新畦を形成するように構成されている。旧畦の土をいったん崩してから泥とともに押し固めることにより、隙間のない畦を形成することができるのである。
【0004】
ところで畦塗りにおいては、旧畦に対して圃場の泥土を追加することにより新畦を形成するので、泥土を追加した分だけ畦が大きくなる。具体的には、畦塗りを行うことにより、畦の幅が拡大するとともに、畦の高さが高くなる。従って、畦塗りを毎年重ねていくと、畦の幅が徐々に拡大して圃場(水田)の面積が縮小してしまうという問題がある。また、畦の高さも徐々に高くなっていくが、畦の高さが高くなり過ぎると、畦塗り機による畦塗りを適切に行うことができなくなってしまう。そこで、畦塗りを行う前に、畦の法面と上面の土を予め削っておきたいというニーズがあった。
【0005】
なお、畦塗り機にも畦を削る機能を備えたものがあるが、これは土を崩して固めなおすためのものであり、削った土を除去することは必ずしも考慮されていないため、畦が大きくなることを防止する作用は期待できない。また、畦塗機には塗り付けた土を押し固める機能があるから、その反作用として、畦塗機が畦から遠ざかる方向の力が働く。従って、畦塗機においては、畦を削るための部材を畦に対して強く押し付けることが難しい。このため、畦塗機では、畦を効率的に深く削ることができなかったのである。
【0006】
この点、特許文献1及び2は、畦を削ることができる土作業機を開示している。特許文献1及び2が開示する土作業機は、進行方向に交差する方向に反転垂直旋回可能に設けられた旋回部材と、旋回部材に設けた循環帯体と、循環帯体に配置された対土部材と、を備えている。特許文献1及び2は、これにより、対土部材を各種作業に適合した姿勢に可変保持できるので、畦の上面や側面の土削り作業等を汎用的に行うことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3281964号公報
【特許文献2】特許第3451445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1又は2が開示している土作業機で一度に削ることができるのは、畦の上面又は法面の何れか一方である。従って、特許文献1又は2の構成では、畦塗りを行う前に、旧畦を削る作業を最低でも2回(上面を削る作業と法面を削る作業)行わなければならず、改善の余地があった。
【0009】
また、畦が大きくなってしまうことを防止するという観点からは、畦の土を削るだけではなく、削った土を畦に残さずに除去することも考慮しなければならない。しかし特許文献1及び2の構成は、必ずしもこの点について十分に配慮したものではない。更に、土を効率良く削るためには、土を削るための部材を、土に対して或る程度の力で押し付けることが好ましい。しかし、特許文献1及び2の構成はこの点について何ら考慮されていない。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、畦の上面と法面を一度に削ることができるとともに、コンパクトな畦削機を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の観点によれば、以下の構成の畦削機が提供される。即ち、この畦削機は、作業車両に取り付けられるとともに、上面削り部と、法面削り部と、を備える。前記上面削り部は、畦の上面の土を削るとともに、削った土を第1方向に向けて搬送して除去する。前記法面削り部は、畦の法面の土を削るとともに、削った土を第2方向に向けて搬送して除去する。そして、平面視において前記第1方向と前記第2方向は平行であり、前記上面削り部と前記法面削り部は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向に並んで配置されている。
【0013】
この畦削機により、畦の上面と法面を同時に削ることができる。また、第1方向と第2方向を平行とすることにより、上面削り部と法面削り部が干渉しないので、上面削り部と法面削り部を接近させて配置することができる。そして、上面削り部と法面削り部を、第1方向及び第2方向に直交する方向に並べて配置することにより、畦削機全体をコンパクトに構成することができる。
【0014】
上記の畦削機において、上記第2方向は、畦の法面の傾きに沿って下を向いていることが好ましい。
【0015】
これにより、法面を削った土は、下向きに搬送されるので、当該土が畦の上面に運ばれてしまうことがない。従って、法面を削った土を、畦の上からきれいに除去することができる。
【0016】
上記の畦削機は、平面視において、前記法面削り部が、前記作業車両の前後方向で前記上面削り部よりも後ろに配置されていることが好ましい。
【0017】
即ち、作業車両は通常前方に向かって走行するので、上記構成によれば、上面削り部が上面を削った後で、後から法面削り部が法面を削ることになる。従って、上面削り部が削った土が法面に落ちている場合であっても、法面削り部が後からこの土を搬送して除去することができる。
【0018】
上記の畦削機において、上記第2方向は、畦の法面の傾きに沿って上を向いていても良い。
【0019】
この構成により、法面削り部が土を削って搬送する反作用によって、畦削機を下に向けて押し付けるような力が働く。これにより、上面削り部を畦の上面に対して押し付けることができるので、畦の上面を効率良く削ることができる。
【0020】
上記の畦削機は、平面視において、前記法面削り部が、前記作業車両の前後方向で前記上面削り部よりも前に配置されていることが好ましい。
【0021】
即ち、法面削り部によって土を上に向けて削ると、当該土が畦の上面にあがってしまう。しかし上記の構成によれば、法面削り部が法面を削った後で、後から上面削り部が上面を削ることになるので、上面にあがってしまった土を上面削り部によって除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る畦削機を備えたトラクタの側面図。
【図2】畦削機を備えたトラクタの背面図。
【図3】畦削機を備えたトラクタの平面図。
【図4】(a)上面削り部の構成を示す図。(b)法面削り部の構成を示す図。
【図5】畦削機の駆動伝達機構を示す模式図。
【図6】畦削機の拡大背面図。
【図7】第1方向を斜め後方に向けた様子を示す平面図。
【図8】第1方向を斜め前方に向けた様子を示す平面図。
【図9】第2実施形態における畦削機の駆動伝達機構を示す模式図。
【図10】第2実施形態に係る畦削機を備えたトラクタの平面図。
【図11】変形例に係る畦削機の駆動伝達機構を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1から図3に示すように、本実施形態に係る畦削機20は、農業用トラクタ(作業車両)10の後方に取り付けられて使用される。この畦削機20は、畦塗り作業の前に、旧い畦の上面と法面を削って、当該畦の高さと幅を整えることを目的としたものである。
【0024】
トラクタ10は、左右で一対の前輪11及び後輪12を有する車体13を備えている。もっとも、車輪に代えてクローラを備えたタイプのトラクタであっても良い。車体13の前部に配置されたボンネット14の内部には、駆動源たるエンジン15が配置されている。このエンジン15の駆動力によって後輪12が駆動され、車体13を走行させることができる。なおトラクタ10は、前輪11及び後輪12の両方を駆動する四輪駆動方式によって車体13を走行させることも可能である。
【0025】
車体13の後部には、畦削機20を連結するための連結部材である連結アーム16が設けられている。この連結アーム16は図略の昇降手段によって駆動可能に構成されており、連結アーム16に連結された畦削機20を上下昇降動させることができるように構成されている。なお、この連結アーム16には、本実施形態の畦削機20のほか、耕耘機、草刈機、畦塗機など他の種類の作業機を連結することもできる。また、同じく車体13の後部には、エンジン15の駆動力を作業機に出力する図略のPTO軸(駆動取り出し軸)が設けられている。
【0026】
前記PTO軸には、ユニバーサルジョイント等を介して駆動伝達軸17が接続されている。この駆動伝達軸17は、更にユニバーサルジョイント18を介して、畦削機20の駆動入力軸36に接続されている。以上の構成で、トラクタ10のPTO軸から出力されるエンジン15の駆動力を、畦削機20に入力し、当該畦削機20を駆動して畦を削ることができる。
【0027】
次に、本実施形態の畦削機20の構成について説明する。
【0028】
この畦削機20は、上面削り部30と、法面削り部31と、上面削り部30及び法面削り部31を支持するフレーム32と、ゲージ輪34と、を主に備えている。
【0029】
上面削り部30は、畦の上面(水平になっている部分)を削るように構成されている。また法面削り部31は、畦の法面(斜めになっている部分)を削るように構成されている。なお、上面削り部30及び法面削り部31の詳細な構成は、後述する。
【0030】
フレーム32は、取付フレーム32aと、左側支持フレーム32bと、右側支持フレーム32cと、を主に備えている。取付フレーム32aは、トラクタ10の連結アーム16に固定されている。左側支持フレーム32bは、取付フレーム32aの左側から斜め後方に延伸して設けられている。また右側支持フレーム32cは、取付フレーム32aの右側から斜め後方に延伸して設けられている。そして、左右の支持フレーム32b,32cの後端には、上面削り部30及び法面削り部31が支持されている。
【0031】
なお、本実施形態において畦削機20で畦を削る際には、図2で示すように、トラクタ10の右手に畦を見ながら当該トラクタ10を走行させることを想定している。従って、本実施形態の畦削機20において、上面削り部30及び法面削り部31は、その一部が車体13の右側面から突出するような姿勢で配置される。そこで、上面削り部30及び法面削り部31を上記のような姿勢で支持するために、左右の支持フレーム32b,32cは、図3に示すように右後方に向かって斜めになるように配置されている。
【0032】
ゲージ輪34は、圃場の地面に接して転動可能な車輪であり、高さ調整部材35を介して、上面削り部30又は法面削り部31の適宜の位置に固定されている。これにより、上面削り部30及び法面削り部31の高さ(圃場の地面から上面削り部30及び法面削り部31までの距離)を安定させることができる。なお、高さ調整部材35は、法面削り部31(又は上面削り部30)に対してスライド可能に構成されており、これによりゲージ輪34の位置を調整できる。これにより、畦の高さに応じて、上面削り部30及び法面削り部31の高さを調整することができる。
【0033】
次に、上面削り部30及び法面削り部31について、図4及び図5を参照して詳しく説明する。本実施形態では、上面削り部30と法面削り部31はそれぞれ、チェーン駆動により畦を削るように構成されている。
【0034】
より具体的には、上面削り部30は、図4(a)に示すように、上面駆動スプロケット(駆動力入力側上面駆動伝達部材)40と従動スプロケット(従動側上面駆動伝達部材)41に、無端チェーン(循環帯体)42を懸架した構成となっている。また、法面削り部31は、図4(b)に示すように、法面駆動スプロケット(駆動力入力側法面駆動伝達部材)43、第1従動スプロケット(第1の従動側法面駆動伝達部材)44、及び第2従動スプロケット(第2の従動側法面駆動伝達部材)45に、無端チェーン(循環帯体)46を懸架した構成となっている。なお、図4及び図5等は模式図であり、スプロケットのギア歯、無端チェーンの各プレートなどは省略して描かれている。
【0035】
図5に示すように、上面駆動スプロケット40と、法面駆動スプロケット43は、駆動入力軸36に固定されている。この構成で、PTO軸から出力されたエンジン15の駆動力が前記駆動入力軸36に入力されると、上面駆動スプロケット40及び法面駆動スプロケット43が同じ方向に回転駆動され、上面削り部30の無端チェーン42と、法面削り部31の無端チェーン46が、同じ方向に循環駆動される。なお、図5に示すように、上面駆動スプロケット40と法面駆動スプロケット43は、駆動入力軸36の軸線方向で隣接させて配置されている。このように、上面駆動スプロケット40と法面駆動スプロケット43を隣接させて駆動入力軸36に固定する構成とすることにより、駆動入力軸36に入力された駆動力を上面削り部30及び法面削り部31に分配するための機構を、コンパクトに構成することができる。
【0036】
図4に示すように、無端チェーン42,46には、当該無端チェーン42,46の長手方向に沿って、複数の土搬送体47が等間隔(又は略等間隔)で取り付けられている。この構成で、無端チェーン42,46を循環駆動することにより、当該無端チェーン42,46に取り付けられた土搬送体47を、当該無端チェーン42,46の長手方向に添う方向に循環走行させることができる。土搬送体47は、上記のように循環走行する際に土を削って搬送することができるような形状(例えば爪状や鋤状など)に形成されている。
【0037】
また、上面削り部30は、上面駆動スプロケット40、従動スプロケット41、無端チェーン42、及び土搬送体47を外側から覆うチェーンケース48を備えている。また、法面削り部31は、法面駆動スプロケット43、第1従動スプロケット44、第2従動スプロケット45、無端チェーン46、及び土搬送体47を外側から覆うチェーンケース49を備えている。
【0038】
このチェーンケース48,49により、循環走行する土搬送体47が不必要に露出しないので安全性を向上させることができる。なお、チェーンケース48,49はスプロケット支持フレームを兼ねており、各スプロケットは,チェーンケース48又はチェーンケース49によって支持されている。
【0039】
前記チェーンケース48,49の一部は切り欠き状に形成されており、土搬送体47の走行軌跡の一部が露出するように構成されている。そして、前記露出した走行軌跡を畦に対して押し当てながら土搬送体47を循環走行させることにより、循環走行する土搬送体47が畦の表面の土を削ることができる。更に、削られた土は、循環走行する土搬送体47によって、当該土搬送体47の走行方向に向けて搬送される。以上の構成により、畦の土を削って除去することができる。なお、図4に示すように、上面削り部30における土搬送体47の走行軌跡のうち、畦の上面に接触して土を削る部分を特に上面作用部と呼ぶ。また、法面削り部31における土搬送体47の走行軌跡のうち、畦の法面に接触して土を削る部分を特に法面作用部と呼ぶ。
【0040】
図4に示すように、上面作用部及び法面作用部において、土搬送体47は直線状に走行するように構成されている。これにより、畦の表面を直線状に削ることができる。ここで、上面作用部において土搬送体47が走行する方向を、第1方向と呼ぶ。また、法面作用部において土搬送体47が移動する方向を、第2方向と呼ぶ。
【0041】
図6に示すように、第1方向と第2方向に直交する方向から見たときに、上面作用部と法面作用部は一部が重なり合うように配置されている。これにより、畦の肩の部分(上面と法面の境界部分)を良好に削ることができる。
【0042】
また図3に示すように、平面視において、第1方向及び第2方向は、車体13の前後方向に平行ではない方向を向くように構成されている。例えば図3において、第1方向及び第2方向は、車体の左右方向に平行な方向を向いている。この構成で、車体13を前方に走行させながら畦削機20を駆動させると、車体が移動する方向とは異なる方向に土を削って搬送しつつ、当該削って搬送する軌跡が徐々に前方に移動していくので、いわば掃引(スイープ)するようにして土を削ることができる。即ち、上面削り部30及び法面削り部31自体は直線状に土を削って除去することができるのみであるが、上記のように掃引しながら土を削ることにより、畦の表面の土を広い範囲で除去することができる。
【0043】
また同じく図3に示すように、平面視において、第1方向と第2方向は平行とされている。これにより、上面作用部において走行する土搬送体47と、法面作用部において走行する土搬送体47と、が干渉してしまうことがない。このため、図3に示すように、上面削り部30と法面削り部31を、第1方向及び第2方向に直交する方向(図3の場合は車体前後方向)で接近させて並べて配置することができる。これにより、畦削機20をコンパクトに構成することができる。
【0044】
また、図6に示すように、上面作用部において土搬送体47が走行する方向(第1方向)は、水平(又は略水平)であり、かつ、畦の法面側(畦の内側)に向かうように設定されている。これにより、上面削り部30によって、畦の上面を水平(又は略水平)に削ることができる。また、上面作用部において土搬送体47を畦の内側に向けて走行させることにより、当該土搬送体47によって畦の内側に向けて土を搬送することができる。これにより、上面削り部30が削った上面の土を畦の内側(圃場内)に向けて落とすことができるので、当該上面削り部30が削った土が畦の上面に残ってしまうことがない。
【0045】
また、図6に示すように、法面作用部において土搬送体47が走行する方向(第2方向)は、畦の法面の傾きと一致(又は略一致)し、かつ、下に向かうように設定されている。これにより、法面削り部31によって、畦の法面の傾きを保ったまま当該法面を削ることができる。なお、近年において畦塗りは畦塗機で行われているので、畦の法面の傾きはほぼ一定であると考えることができる。従って、上記第2方向の傾きは固定しておいて良い。また、法面作用部において土搬送体47を下向きに走行させることにより、当該土搬送体47によって土を下方に向けて搬送することができる。これにより、法面削り部31が削った法面の土を圃場内に落とすことができるので、当該法面削り部31が削った土が畦の法面に残ってしまうことがない。
【0046】
更に、本実施形態において、法面削り部31は、車体13の前後方向で上面削り部30よりも後方に配置されている。これにより、削った土を畦に残すことなく除去することができる。即ち、上面削り部30が畦の上面を削った土は、第1方向に駆動される土搬送体47によって畦の内側に向けて搬送されるので、このとき搬送される土の少なくとも一部は、畦の法面の上に落ちてしまう。しかしながら、本実施形態では上面削り部30の後方に法面削り部31を配置しているので、車体13を前進走行させることにより、上面削り部30の後から法面削り部31が畦を削る。これにより、上面削り部30が法面に落としてしまった土を、後から法面削り部31によって除去することができる。
【0047】
なお、上面削り部30及び法面削り部31が削った土は、畦の内側に向けて搬送され、最終的に畦ぎわ(畦の法面の最下端部近傍)に堆積することになる。ところが、畦削機20が削った土が畦ぎわに堆積したままであると、圃場の畦ぎわの底に貯まった泥土を利用することができなくなるので、後工程の畦塗りを適切に行うことができない。そこで、畦削機20は、上面削り部30及び法面削り部31の後方に、土寄せ部材53を有している。この土寄せ部材53は、圃場の畦ぎわを牽引されることにより、畦ぎわの土を圃場の内側(畦から離れる方向)に寄せるためのものである。この土寄せ部材53により、上面削り部30及び法面削り部31が畦ぎわに落とした土を圃場の内側に寄せておくことができるので、後工程の畦塗りで圃場の畦ぎわの底に貯まった泥土を利用することができる。
【0048】
以上のように、本実施形態の畦削機20は、単に畦の上面と法面を同時に削ることができるというだけでなく、上面削り部30及び法面削り部31の配置及び土搬送体47の走行方向を工夫することにより、削った土を畦の上から良好に除去して畦の形状を好適に整えることができるという効果を発揮することができる。
【0049】
また本実施形態では、上面作用部において土搬送体47を走行させる方向(第1方向)は畦の内側に向く方向としているので、この土搬送体47が土を削って搬送する反作用によって、畦削機20の全体が畦の外側へ向けて流されるような力が発生する。一方、法面削り部31は畦の法面を削るためのものであるから、当然、法面削り部31の法面作用部は畦の内側に配置されている。従って、上記反作用によって畦削機20が畦の外側に流される力が発生すると、法面削り部31の法面作用部は、畦の法面に対して押し付けられることになる。これにより、法面削り部31によって、畦の法面を効率良く削ることができる。
【0050】
また仮に、上記反作用によって畦削機20全体が畦の外側へ向けて際限無く流されてしまうと、当該畦削機20を牽引するトラクタを直進させることが極めて困難となる。この点、本実施形態の畦削機20は法面削り部31を備えているので、当該法面削り部31が畦の法面に押し付けられて一種のストッパの役割を果たし、畦削機20全体が畦の外側へ際限無く流されてしまうことを防ぐことができる。これにより、畦削機20を牽引するトラクタを直進させることが容易になる。
【0051】
以上のように、本実施形態の畦削機20は、上面削り部30が畦の上面を削って土を搬送する反作用を利用して法面削り部31を畦の法面に押し付けるという構成を採用することにより、畦の法面を効率良く削ることが可能となり、しかもトラクタの直進性を向上させることができるという効果を発揮することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、法面作用部において土搬送体47を走行させる方向(第2方向)は下を向く方向としているので、この土搬送体47が土を削って搬送する反作用によって、畦削機20全体が上に浮き上がるような力が発生する。この力によって上面削り部30の上面作用部が畦の上面から浮き上がってしまうと、上面削り部30によって畦の上面を削ることができなくなってしまう。
【0053】
そこで本実施形態では、上面削り部30のチェーンケース48にウェイト取付部50を設け、このウェイト取付部50にウェイト51を取り付けることができるように構成している。このウェイト51の重量によって、上面作用部が畦の上面から浮き上がってしまうことを防止することができる。またウェイト取付部50に取り付けるウェイト51の数は変更可能であり、畦の土の固さなどに応じてウェイトの数を調整することができる。なお、畦削機20の自重によって上面作用部の浮き上がりを防止できる場合には、ウェイト51を省略しても良い。
【0054】
ところで、土搬送体47によって土を削りながら車体13を走行させると、土搬送体47が車体進行方向に引き摺られることになるので、当該土搬送体47に対して、車体進行方向に沿った方向の力が加わる。そして、土搬送体47に力が加わると、無端チェーンにも同じ方向の力が加わる。ここで、例えば図3のように第1方向及び第2方向を車体13の左右方向に平行な方向としている場合、無端チェーンの長手方向も車体13の左右方向に向いているから、車体13を前進走行させると、無端チェーンに対して、当該無端チェーンの長手方向に直交する方向の力が加わる。
【0055】
このように無端チェーンの長手方向に直交する方向の力が当該無端チェーンに加わると、当該無端チェーンとスプロケットの噛み合い部分に過度な抵抗が発生するおそれがあり、騒音や振動の原因になるとともに無端チェーン及びスプロケットの耐久性が低下してしまう可能性がある。そこで本実施形態の畦削機20は、第1方向及び第2方向を、平面視において車体左右方向に対して斜めにすることができるように構成されている。
【0056】
具体的には以下のとおりである。即ち、本実施形態において、右側支持フレーム32cは伸縮可能となっている。一方、左側支持フレーム32bの後端部には回動支軸32dが配置されており、上面削り部30及び法面削り部31は、この回動支軸32dを中心にして水平面内で回動可能に支持されている。この構成で、右側支持フレーム32cを伸縮させることにより、回動支軸32dを中心にして上面削り部30及び法面削り部31を回動させることができる。なお、上記右側支持フレーム32cの伸縮に対応できるようにするため、当該右側支持フレーム32cは、その前端部を中心にして、取付フレーム32aに対して水平面内で回動可能に構成されている。同じく、上記右側支持フレーム32cの伸縮に対応できるようにするため、当該右側支持フレーム32cは、その後端部を中心にして、上面削り部30及び法面削り部31に対して水平面内で回動可能であるように構成されている。
【0057】
以上の構成により、平面視において第1方向及び第2方向を車体左右方向に対して傾けることが可能となるので、第1方向が斜め後方に向かう状態(図7)、又は、第1方向が斜め前方に向かう状態(図8)とすることができる。なお、右側支持フレーム32cを伸縮させる構成は適宜のもので良く、例えば油圧シリンダによって伸縮させるようにしても良いし、作業者が手作業で伸縮させるようにしても良い。また、右側支持フレーム32cの伸縮に対応するため、駆動伝達軸17も伸縮可能に構成されている。
【0058】
上記のように、平面視において、第1方向及び第2方向を車体左右方向に対して傾けることにより、車体13を前進走行させた際に、無端チェーンに対して加わる力の方向を、当該無端チェーンの長手方向に直交する方向からズラすことができる。これにより、無端チェーンとスプロケットの噛み合い部分の抵抗を低減することができるので、畦削機20の騒音や振動を低減できるとともに、無端チェーン及びスプロケットの耐久性を向上させることができる。
【0059】
更に、第1方向が平面視で斜め後方に向かうように設定した場合(図7の状態)、以下のような効果を得ることができる。即ち、この場合、上面作用部の土搬送体47は、斜め後方に向かって土を削りつつ搬送するので、この反作用により、畦削機20全体が、斜め前方に向かって流されるような力を受ける。即ち、畦削機20が自発的に前に向かって進もうとするので、トラクタ10で畦削機20を牽引する際の抵抗を低減することができる。従って、例えば圃場の足場が悪くてトラクタ10による牽引力が十分に発揮できない場合などに好適である。
【0060】
一方、第1方向が平面視で車体の斜め前方に向かうように設定した場合(図8の状態)、以下のような効果を得ることができる。即ち、この場合、上面作用部の土搬送体47は、無端チェーン42の循環駆動により斜め前方に向かって走行するので、前方に向かう速度成分を有している。従って、車体13を前進走行させることにより、上面作用部の土搬送体47が前方に向かう速度成分を増加させることができる。即ち、無端チェーン42の循環駆動による駆動力と、車体13が前進する力と、を合成して土搬送体47を移動させることができるので、畦の上面をより強力に削ることができる。従って、例えば畦の土が固くて無端チェーン42の駆動だけでは十分に畦を削ることができない場合などに好適である。
【0061】
上記のような効果は、第1方向と、車体13の左右方向と、がなす角度が大きいほど強くなる。そこで、畦削機20は、車体13の左右方向に対する第1方向及び第2方向の傾きを、任意に設定できるように構成されている。これにより、畦の固さや圃場の足場の状態などに応じて上記角度を適宜変更することができるので、状況に応じた畦削りが本実施形態の畦削機20によって可能となる。
【0062】
しかしながら、第1方向と車体13の左右方向とがなす角度が大きくなると、上面削り部30によって畦の上面を奥まで削ることができなくなるので、上面削り部30によって畦の上面を削ることができる範囲が狭くなってしまう。この点、図3のように第1方向を車体13の左右方向と平行になるように設定すれば、騒音や耐久性の問題などが生じる可能性はあるものの、上面削り部30によって畦の上面を削ることができる範囲を最大にすることができる。従って、畦の上面を広く削りたい場合は、図3に示すように、第1方向を車体13の左右方向と平行になるように設定すれば良い。
【0063】
以上で説明したように、本実施形態の畦削機20は、トラクタ10に取り付けられるとともに、上面削り部30と、法面削り部31と、を備える。上面削り部30は、畦の上面の土を削るとともに、削った土を第1方向に向けて搬送して除去する。法面削り部31は、畦の法面の土を削るとともに、削った土を第2方向に向けて搬送して除去する。そして、平面視において第1方向と第2方向は平行であり、上面削り部30と法面削り部31は、第1方向及び第2方向に直交する方向に並んで配置されている。
【0064】
この畦削機20により、畦の上面と法面を同時に削ることができる。また、第1方向と第2方向を平行とすることにより、上面削り部30と法面削り部31が干渉しないので、上面削り部30と法面削り部31を接近させて配置することができる。そして、上面削り部30と法面削り部31を、第1方向及び第2方向に直交する方向に並べて配置することにより、畦削機全体をコンパクトに構成することができる。
【0065】
また本実施形態の畦削機20において、第2方向は、畦の法面の傾きに沿って下を向いている。
【0066】
これにより、法面を削った土は、下向きに搬送されるので、当該土が畦の上面に運ばれてしまうことがない。従って、法面を削った土を、畦の上からきれいに除去することができる。
【0067】
また本実施形態の畦削機20は、平面視において、法面削り部31が、トラクタ10の前後方向で上面削り部31よりも後ろに配置されている。
【0068】
即ち、トラクタ10は通常前方に向かって走行するので、上記構成によれば、上面削り部30が上面を削った後で、後から法面削り部31が法面を削ることになる。従って、上面削り部30が削った土が法面に落ちている場合であっても、法面削り部31が後からこの土を搬送して除去することができる。
【0069】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0070】
この第2実施形態は、法面削り部31の土搬送体47を、上記第1実施形態とは逆向きに走行させるように構成したのである。
【0071】
具体的には、図9に示すように、駆動入力軸36に平行なカウンター軸37を設け、当該カウンター軸37にカウンターギア38と法面駆動スプロケット43とを固定する。駆動入力軸36には、上面駆動スプロケット(駆動入力側上面駆動伝達部材)40と法面駆動出力ギア(駆動入力側法面駆動伝達部材)39とを固定しておき、前記カウンターギア38と法面駆動出力ギア39とを噛み合わせる。この構成により、法面駆動スプロケット43を、上面駆動スプロケット40とは逆回転させることができるので、上面削り部30の無端チェーン42と法面削り部31の無端チェーン46を逆方向に循環駆動させることができる。
【0072】
以上の構成により、法面作用部における土搬送体47の走行方向(第2方向)は、上記第1実施形態における第2方向の逆方向となっている。即ち、本実施形態において、法面作用部において土搬送体47が走行する方向(第2方向)は、畦の法面の傾きと一致(又は略一致)し、かつ、上に向かうように設定されている。
【0073】
このように、第2方向を上に向けることにより、法面作用部の土搬送体47が土を上に向けて削って搬送する反作用によって、畦削機20全体を下に向けて押し付けるような力が発生する。これにより、上面削り部30の上面作用部を、畦の上面に対して押し付けることができるので、畦の上面を効率良く削ることができる。また、第1実施形態で必要だったウェイト取付部50及びウェイト51を省略することができる。
【0074】
ただし、上記のように構成した場合、法面削り部31によって削られた土が上に向かって搬送されるため、当該土が畦の上面にまで運ばれてしまう。そこで、本実施形態では、図10に示すように、上面削り部30を、車体13の前後方向で法面削り部31の後方に配置している。これによれば、法面削り部31が畦の法面を削った土が畦の上面に運ばれてしまった場合であっても、当該上面に運ばれた土を、上面削り部30によって除去することができる。
【0075】
以上で説明したように、本実施形態の畦削機20において、第2方向は、畦の法面の傾きに沿って上を向いている。
【0076】
この構成により、法面削り部31が土を削って搬送する反作用によって、畦削機20を下に向けて押し付けるような力が働く。これにより、上面削り部30を畦の上面に対して押し付けることができるので、畦の上面を効率良く削ることができる。
【0077】
また本実施形態の畦削機20は、平面視において、法面削り部31が、トラクタ10の前後方向で上面削り部30よりも前に配置されている。
【0078】
即ち、法面削り部31によって土を上に向けて削ると、当該土が畦の上面にあがってしまう。しかし上記の構成によれば、法面削り部31が法面を削った後で、後から上面削り部30が上面を削ることになるので、上面にあがってしまった土を上面削り部30によって除去することができる。
【0079】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0080】
左側支持フレーム32bは、その前端部を中心として、取付フレーム32aに対して水平面内で回動可能に構成されていても良い。この構成によれば、取付フレーム32a、左右の支持フレーム32b,32c、上面削り部30及び法面削り部31によって、一種の四節リンク機構が構成される。従って、上面削り部30及び法面削り部31を、水平面内で、車体13の左右方向に移動させることができる。この構成によれば、例えばトラクタ10を路面走行させる際に、畦削機20を車体13の左右方向中央寄りの位置に寄せることが可能となるので、車体の左右バランスを良好にすることができる。
【0081】
上記実施形態において、上面削り部は2つのスプロケットに無端チェーンを懸架した構成、法面削り部は3つのスプロケットに無端チェーンを懸架した構成としたが、スプロケットの数や配置は適宜変更することができる。例えば、法面削り部のスプロケットは2つとすることもできる。これによれば、法面削り部を小型化及び軽量化するとことができる。この場合、例えば図11に示すように、上面削り部に追加の従動スプロケット55を設け、この従動スプロケット55に固定された伝動軸56を介して法面駆動スプロケット43を駆動するように構成することもできる。ただし、図5のように駆動入力軸36に法面駆動スプロケット43を固定して、当該法面駆動スプロケット43によって無端チェーン46を直接駆動するように構成すれば、良好な駆動伝達効率を実現できるので特に好適である。
【0082】
上記実施形態では、ゲージ輪34の位置を変えることにより、上面削り部30及び法面削り部31の高さを変更できるとしたが、上面削り部30及び法面削り部31の位置を高くすると、畦の法面の下の部分が削れなくなってしまう。そこで、法面削り部31の第2従動スプロケット45の位置を変更することができるように構成されていても良い。この場合、第2従動スプロケット45は、第2方向に平行な方向で移動させる。これによれば、第2方向の傾きを変えることなく、法面作用部の長さを変更して、法面削り部31によって削ることができる法面の長さを変更することができる。これにより、上面削り部30及び法面削り部31の高さ変更に対応することができる。
【0083】
上記実施形態では、上面削り部30及び法面削り部31は、チェーン駆動によって土を削って搬送する構成としたが、これに限らず、土を削って搬送できる他の構成を採用することもできる。例えば、上面削り部及び法面削り部の両方又は何れか一方を、スクリューコンベアによって構成しても良い。即ち、スクリューコンベアの軸が第1方向又は第2方向と平行になるように配置し、当該スクリューコンベアを回転駆動しながら畦の表面に押し付けることにより、当該スクリューコンベアの送り作用によって土を削りつつ、前記第1方向又は第2方向に向けて土を搬送することができる。この場合、スクリューコンベアの羽を土搬送体として把握することができる。なお、上記実施形態で採用したチェーン駆動方式の畦削機は、スクリューコンベアにくらべて高速駆動可能であるから、土を高速で搬送して効率良く畦を削るという観点からは、チェーン駆動方式によって畦削機を構成することが特に好適である。
【0084】
上記実施形態では、第2方向を下向きにした場合は上面削り部30を法面削り部31の前に配置し(第1実施形態)、第2方向を上向きにした場合は上面削り部30を法面削り部31の後に配置している(第2実施形態)が、上面削り部30及び法面削り部31の前後関係は必ずしもこれに限らない。
【0085】
例えば、第2方向を下向きにした場合において、上面削り部30を法面削り部31の後に配置しても良い。この場合、上面削り部30が圃場側に向けて搬送する土の一部が、畦の法面の上に落ちて残ってしまう。ただし、上面削り部30が畦の法面に落とす土の量が少ない場合には、この構成でも問題はない。
【0086】
また例えば、第2方向を上向きにした場合において、上面削り部30を法面削り部31の前に配置しても良い。この場合、法面削り部31が上向きに搬送する土が畦の上面に残ってしまう。この場合、畦の上面の土を圃場側に寄せて落とすための土寄せ部材を、法面削り部31の後方に設ければ良い。
【符号の説明】
【0087】
10 トラクタ
20 畦削機
30 上面削り部
31 法面削り部
37 土搬送体
【技術分野】
【0001】
本発明は、畦を削るための畦削機の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
稲作では、水田に新しく水を張る前に、「畦塗り」という作業が行われる。この畦塗りとは、畦に泥土を塗り付けて、旧い畦の割れ目やモグラ穴などを塞ぐ作業である。これにより水田から水が抜けにくくなり、水管理も容易になる。かつて畦塗りは全て手作業で行われていたが、近年では畦塗機が用いられることが多い。
【0003】
畦塗機は、旧い畦の表面の土を崩すとともに、圃場の底面にたまっている泥土を畦の表面まで搬送し、崩した旧畦の土と、圃場の泥土と、を一緒に押し固めて新畦を形成するように構成されている。旧畦の土をいったん崩してから泥とともに押し固めることにより、隙間のない畦を形成することができるのである。
【0004】
ところで畦塗りにおいては、旧畦に対して圃場の泥土を追加することにより新畦を形成するので、泥土を追加した分だけ畦が大きくなる。具体的には、畦塗りを行うことにより、畦の幅が拡大するとともに、畦の高さが高くなる。従って、畦塗りを毎年重ねていくと、畦の幅が徐々に拡大して圃場(水田)の面積が縮小してしまうという問題がある。また、畦の高さも徐々に高くなっていくが、畦の高さが高くなり過ぎると、畦塗り機による畦塗りを適切に行うことができなくなってしまう。そこで、畦塗りを行う前に、畦の法面と上面の土を予め削っておきたいというニーズがあった。
【0005】
なお、畦塗り機にも畦を削る機能を備えたものがあるが、これは土を崩して固めなおすためのものであり、削った土を除去することは必ずしも考慮されていないため、畦が大きくなることを防止する作用は期待できない。また、畦塗機には塗り付けた土を押し固める機能があるから、その反作用として、畦塗機が畦から遠ざかる方向の力が働く。従って、畦塗機においては、畦を削るための部材を畦に対して強く押し付けることが難しい。このため、畦塗機では、畦を効率的に深く削ることができなかったのである。
【0006】
この点、特許文献1及び2は、畦を削ることができる土作業機を開示している。特許文献1及び2が開示する土作業機は、進行方向に交差する方向に反転垂直旋回可能に設けられた旋回部材と、旋回部材に設けた循環帯体と、循環帯体に配置された対土部材と、を備えている。特許文献1及び2は、これにより、対土部材を各種作業に適合した姿勢に可変保持できるので、畦の上面や側面の土削り作業等を汎用的に行うことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3281964号公報
【特許文献2】特許第3451445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1又は2が開示している土作業機で一度に削ることができるのは、畦の上面又は法面の何れか一方である。従って、特許文献1又は2の構成では、畦塗りを行う前に、旧畦を削る作業を最低でも2回(上面を削る作業と法面を削る作業)行わなければならず、改善の余地があった。
【0009】
また、畦が大きくなってしまうことを防止するという観点からは、畦の土を削るだけではなく、削った土を畦に残さずに除去することも考慮しなければならない。しかし特許文献1及び2の構成は、必ずしもこの点について十分に配慮したものではない。更に、土を効率良く削るためには、土を削るための部材を、土に対して或る程度の力で押し付けることが好ましい。しかし、特許文献1及び2の構成はこの点について何ら考慮されていない。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、畦の上面と法面を一度に削ることができるとともに、コンパクトな畦削機を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の観点によれば、以下の構成の畦削機が提供される。即ち、この畦削機は、作業車両に取り付けられるとともに、上面削り部と、法面削り部と、を備える。前記上面削り部は、畦の上面の土を削るとともに、削った土を第1方向に向けて搬送して除去する。前記法面削り部は、畦の法面の土を削るとともに、削った土を第2方向に向けて搬送して除去する。そして、平面視において前記第1方向と前記第2方向は平行であり、前記上面削り部と前記法面削り部は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向に並んで配置されている。
【0013】
この畦削機により、畦の上面と法面を同時に削ることができる。また、第1方向と第2方向を平行とすることにより、上面削り部と法面削り部が干渉しないので、上面削り部と法面削り部を接近させて配置することができる。そして、上面削り部と法面削り部を、第1方向及び第2方向に直交する方向に並べて配置することにより、畦削機全体をコンパクトに構成することができる。
【0014】
上記の畦削機において、上記第2方向は、畦の法面の傾きに沿って下を向いていることが好ましい。
【0015】
これにより、法面を削った土は、下向きに搬送されるので、当該土が畦の上面に運ばれてしまうことがない。従って、法面を削った土を、畦の上からきれいに除去することができる。
【0016】
上記の畦削機は、平面視において、前記法面削り部が、前記作業車両の前後方向で前記上面削り部よりも後ろに配置されていることが好ましい。
【0017】
即ち、作業車両は通常前方に向かって走行するので、上記構成によれば、上面削り部が上面を削った後で、後から法面削り部が法面を削ることになる。従って、上面削り部が削った土が法面に落ちている場合であっても、法面削り部が後からこの土を搬送して除去することができる。
【0018】
上記の畦削機において、上記第2方向は、畦の法面の傾きに沿って上を向いていても良い。
【0019】
この構成により、法面削り部が土を削って搬送する反作用によって、畦削機を下に向けて押し付けるような力が働く。これにより、上面削り部を畦の上面に対して押し付けることができるので、畦の上面を効率良く削ることができる。
【0020】
上記の畦削機は、平面視において、前記法面削り部が、前記作業車両の前後方向で前記上面削り部よりも前に配置されていることが好ましい。
【0021】
即ち、法面削り部によって土を上に向けて削ると、当該土が畦の上面にあがってしまう。しかし上記の構成によれば、法面削り部が法面を削った後で、後から上面削り部が上面を削ることになるので、上面にあがってしまった土を上面削り部によって除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る畦削機を備えたトラクタの側面図。
【図2】畦削機を備えたトラクタの背面図。
【図3】畦削機を備えたトラクタの平面図。
【図4】(a)上面削り部の構成を示す図。(b)法面削り部の構成を示す図。
【図5】畦削機の駆動伝達機構を示す模式図。
【図6】畦削機の拡大背面図。
【図7】第1方向を斜め後方に向けた様子を示す平面図。
【図8】第1方向を斜め前方に向けた様子を示す平面図。
【図9】第2実施形態における畦削機の駆動伝達機構を示す模式図。
【図10】第2実施形態に係る畦削機を備えたトラクタの平面図。
【図11】変形例に係る畦削機の駆動伝達機構を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1から図3に示すように、本実施形態に係る畦削機20は、農業用トラクタ(作業車両)10の後方に取り付けられて使用される。この畦削機20は、畦塗り作業の前に、旧い畦の上面と法面を削って、当該畦の高さと幅を整えることを目的としたものである。
【0024】
トラクタ10は、左右で一対の前輪11及び後輪12を有する車体13を備えている。もっとも、車輪に代えてクローラを備えたタイプのトラクタであっても良い。車体13の前部に配置されたボンネット14の内部には、駆動源たるエンジン15が配置されている。このエンジン15の駆動力によって後輪12が駆動され、車体13を走行させることができる。なおトラクタ10は、前輪11及び後輪12の両方を駆動する四輪駆動方式によって車体13を走行させることも可能である。
【0025】
車体13の後部には、畦削機20を連結するための連結部材である連結アーム16が設けられている。この連結アーム16は図略の昇降手段によって駆動可能に構成されており、連結アーム16に連結された畦削機20を上下昇降動させることができるように構成されている。なお、この連結アーム16には、本実施形態の畦削機20のほか、耕耘機、草刈機、畦塗機など他の種類の作業機を連結することもできる。また、同じく車体13の後部には、エンジン15の駆動力を作業機に出力する図略のPTO軸(駆動取り出し軸)が設けられている。
【0026】
前記PTO軸には、ユニバーサルジョイント等を介して駆動伝達軸17が接続されている。この駆動伝達軸17は、更にユニバーサルジョイント18を介して、畦削機20の駆動入力軸36に接続されている。以上の構成で、トラクタ10のPTO軸から出力されるエンジン15の駆動力を、畦削機20に入力し、当該畦削機20を駆動して畦を削ることができる。
【0027】
次に、本実施形態の畦削機20の構成について説明する。
【0028】
この畦削機20は、上面削り部30と、法面削り部31と、上面削り部30及び法面削り部31を支持するフレーム32と、ゲージ輪34と、を主に備えている。
【0029】
上面削り部30は、畦の上面(水平になっている部分)を削るように構成されている。また法面削り部31は、畦の法面(斜めになっている部分)を削るように構成されている。なお、上面削り部30及び法面削り部31の詳細な構成は、後述する。
【0030】
フレーム32は、取付フレーム32aと、左側支持フレーム32bと、右側支持フレーム32cと、を主に備えている。取付フレーム32aは、トラクタ10の連結アーム16に固定されている。左側支持フレーム32bは、取付フレーム32aの左側から斜め後方に延伸して設けられている。また右側支持フレーム32cは、取付フレーム32aの右側から斜め後方に延伸して設けられている。そして、左右の支持フレーム32b,32cの後端には、上面削り部30及び法面削り部31が支持されている。
【0031】
なお、本実施形態において畦削機20で畦を削る際には、図2で示すように、トラクタ10の右手に畦を見ながら当該トラクタ10を走行させることを想定している。従って、本実施形態の畦削機20において、上面削り部30及び法面削り部31は、その一部が車体13の右側面から突出するような姿勢で配置される。そこで、上面削り部30及び法面削り部31を上記のような姿勢で支持するために、左右の支持フレーム32b,32cは、図3に示すように右後方に向かって斜めになるように配置されている。
【0032】
ゲージ輪34は、圃場の地面に接して転動可能な車輪であり、高さ調整部材35を介して、上面削り部30又は法面削り部31の適宜の位置に固定されている。これにより、上面削り部30及び法面削り部31の高さ(圃場の地面から上面削り部30及び法面削り部31までの距離)を安定させることができる。なお、高さ調整部材35は、法面削り部31(又は上面削り部30)に対してスライド可能に構成されており、これによりゲージ輪34の位置を調整できる。これにより、畦の高さに応じて、上面削り部30及び法面削り部31の高さを調整することができる。
【0033】
次に、上面削り部30及び法面削り部31について、図4及び図5を参照して詳しく説明する。本実施形態では、上面削り部30と法面削り部31はそれぞれ、チェーン駆動により畦を削るように構成されている。
【0034】
より具体的には、上面削り部30は、図4(a)に示すように、上面駆動スプロケット(駆動力入力側上面駆動伝達部材)40と従動スプロケット(従動側上面駆動伝達部材)41に、無端チェーン(循環帯体)42を懸架した構成となっている。また、法面削り部31は、図4(b)に示すように、法面駆動スプロケット(駆動力入力側法面駆動伝達部材)43、第1従動スプロケット(第1の従動側法面駆動伝達部材)44、及び第2従動スプロケット(第2の従動側法面駆動伝達部材)45に、無端チェーン(循環帯体)46を懸架した構成となっている。なお、図4及び図5等は模式図であり、スプロケットのギア歯、無端チェーンの各プレートなどは省略して描かれている。
【0035】
図5に示すように、上面駆動スプロケット40と、法面駆動スプロケット43は、駆動入力軸36に固定されている。この構成で、PTO軸から出力されたエンジン15の駆動力が前記駆動入力軸36に入力されると、上面駆動スプロケット40及び法面駆動スプロケット43が同じ方向に回転駆動され、上面削り部30の無端チェーン42と、法面削り部31の無端チェーン46が、同じ方向に循環駆動される。なお、図5に示すように、上面駆動スプロケット40と法面駆動スプロケット43は、駆動入力軸36の軸線方向で隣接させて配置されている。このように、上面駆動スプロケット40と法面駆動スプロケット43を隣接させて駆動入力軸36に固定する構成とすることにより、駆動入力軸36に入力された駆動力を上面削り部30及び法面削り部31に分配するための機構を、コンパクトに構成することができる。
【0036】
図4に示すように、無端チェーン42,46には、当該無端チェーン42,46の長手方向に沿って、複数の土搬送体47が等間隔(又は略等間隔)で取り付けられている。この構成で、無端チェーン42,46を循環駆動することにより、当該無端チェーン42,46に取り付けられた土搬送体47を、当該無端チェーン42,46の長手方向に添う方向に循環走行させることができる。土搬送体47は、上記のように循環走行する際に土を削って搬送することができるような形状(例えば爪状や鋤状など)に形成されている。
【0037】
また、上面削り部30は、上面駆動スプロケット40、従動スプロケット41、無端チェーン42、及び土搬送体47を外側から覆うチェーンケース48を備えている。また、法面削り部31は、法面駆動スプロケット43、第1従動スプロケット44、第2従動スプロケット45、無端チェーン46、及び土搬送体47を外側から覆うチェーンケース49を備えている。
【0038】
このチェーンケース48,49により、循環走行する土搬送体47が不必要に露出しないので安全性を向上させることができる。なお、チェーンケース48,49はスプロケット支持フレームを兼ねており、各スプロケットは,チェーンケース48又はチェーンケース49によって支持されている。
【0039】
前記チェーンケース48,49の一部は切り欠き状に形成されており、土搬送体47の走行軌跡の一部が露出するように構成されている。そして、前記露出した走行軌跡を畦に対して押し当てながら土搬送体47を循環走行させることにより、循環走行する土搬送体47が畦の表面の土を削ることができる。更に、削られた土は、循環走行する土搬送体47によって、当該土搬送体47の走行方向に向けて搬送される。以上の構成により、畦の土を削って除去することができる。なお、図4に示すように、上面削り部30における土搬送体47の走行軌跡のうち、畦の上面に接触して土を削る部分を特に上面作用部と呼ぶ。また、法面削り部31における土搬送体47の走行軌跡のうち、畦の法面に接触して土を削る部分を特に法面作用部と呼ぶ。
【0040】
図4に示すように、上面作用部及び法面作用部において、土搬送体47は直線状に走行するように構成されている。これにより、畦の表面を直線状に削ることができる。ここで、上面作用部において土搬送体47が走行する方向を、第1方向と呼ぶ。また、法面作用部において土搬送体47が移動する方向を、第2方向と呼ぶ。
【0041】
図6に示すように、第1方向と第2方向に直交する方向から見たときに、上面作用部と法面作用部は一部が重なり合うように配置されている。これにより、畦の肩の部分(上面と法面の境界部分)を良好に削ることができる。
【0042】
また図3に示すように、平面視において、第1方向及び第2方向は、車体13の前後方向に平行ではない方向を向くように構成されている。例えば図3において、第1方向及び第2方向は、車体の左右方向に平行な方向を向いている。この構成で、車体13を前方に走行させながら畦削機20を駆動させると、車体が移動する方向とは異なる方向に土を削って搬送しつつ、当該削って搬送する軌跡が徐々に前方に移動していくので、いわば掃引(スイープ)するようにして土を削ることができる。即ち、上面削り部30及び法面削り部31自体は直線状に土を削って除去することができるのみであるが、上記のように掃引しながら土を削ることにより、畦の表面の土を広い範囲で除去することができる。
【0043】
また同じく図3に示すように、平面視において、第1方向と第2方向は平行とされている。これにより、上面作用部において走行する土搬送体47と、法面作用部において走行する土搬送体47と、が干渉してしまうことがない。このため、図3に示すように、上面削り部30と法面削り部31を、第1方向及び第2方向に直交する方向(図3の場合は車体前後方向)で接近させて並べて配置することができる。これにより、畦削機20をコンパクトに構成することができる。
【0044】
また、図6に示すように、上面作用部において土搬送体47が走行する方向(第1方向)は、水平(又は略水平)であり、かつ、畦の法面側(畦の内側)に向かうように設定されている。これにより、上面削り部30によって、畦の上面を水平(又は略水平)に削ることができる。また、上面作用部において土搬送体47を畦の内側に向けて走行させることにより、当該土搬送体47によって畦の内側に向けて土を搬送することができる。これにより、上面削り部30が削った上面の土を畦の内側(圃場内)に向けて落とすことができるので、当該上面削り部30が削った土が畦の上面に残ってしまうことがない。
【0045】
また、図6に示すように、法面作用部において土搬送体47が走行する方向(第2方向)は、畦の法面の傾きと一致(又は略一致)し、かつ、下に向かうように設定されている。これにより、法面削り部31によって、畦の法面の傾きを保ったまま当該法面を削ることができる。なお、近年において畦塗りは畦塗機で行われているので、畦の法面の傾きはほぼ一定であると考えることができる。従って、上記第2方向の傾きは固定しておいて良い。また、法面作用部において土搬送体47を下向きに走行させることにより、当該土搬送体47によって土を下方に向けて搬送することができる。これにより、法面削り部31が削った法面の土を圃場内に落とすことができるので、当該法面削り部31が削った土が畦の法面に残ってしまうことがない。
【0046】
更に、本実施形態において、法面削り部31は、車体13の前後方向で上面削り部30よりも後方に配置されている。これにより、削った土を畦に残すことなく除去することができる。即ち、上面削り部30が畦の上面を削った土は、第1方向に駆動される土搬送体47によって畦の内側に向けて搬送されるので、このとき搬送される土の少なくとも一部は、畦の法面の上に落ちてしまう。しかしながら、本実施形態では上面削り部30の後方に法面削り部31を配置しているので、車体13を前進走行させることにより、上面削り部30の後から法面削り部31が畦を削る。これにより、上面削り部30が法面に落としてしまった土を、後から法面削り部31によって除去することができる。
【0047】
なお、上面削り部30及び法面削り部31が削った土は、畦の内側に向けて搬送され、最終的に畦ぎわ(畦の法面の最下端部近傍)に堆積することになる。ところが、畦削機20が削った土が畦ぎわに堆積したままであると、圃場の畦ぎわの底に貯まった泥土を利用することができなくなるので、後工程の畦塗りを適切に行うことができない。そこで、畦削機20は、上面削り部30及び法面削り部31の後方に、土寄せ部材53を有している。この土寄せ部材53は、圃場の畦ぎわを牽引されることにより、畦ぎわの土を圃場の内側(畦から離れる方向)に寄せるためのものである。この土寄せ部材53により、上面削り部30及び法面削り部31が畦ぎわに落とした土を圃場の内側に寄せておくことができるので、後工程の畦塗りで圃場の畦ぎわの底に貯まった泥土を利用することができる。
【0048】
以上のように、本実施形態の畦削機20は、単に畦の上面と法面を同時に削ることができるというだけでなく、上面削り部30及び法面削り部31の配置及び土搬送体47の走行方向を工夫することにより、削った土を畦の上から良好に除去して畦の形状を好適に整えることができるという効果を発揮することができる。
【0049】
また本実施形態では、上面作用部において土搬送体47を走行させる方向(第1方向)は畦の内側に向く方向としているので、この土搬送体47が土を削って搬送する反作用によって、畦削機20の全体が畦の外側へ向けて流されるような力が発生する。一方、法面削り部31は畦の法面を削るためのものであるから、当然、法面削り部31の法面作用部は畦の内側に配置されている。従って、上記反作用によって畦削機20が畦の外側に流される力が発生すると、法面削り部31の法面作用部は、畦の法面に対して押し付けられることになる。これにより、法面削り部31によって、畦の法面を効率良く削ることができる。
【0050】
また仮に、上記反作用によって畦削機20全体が畦の外側へ向けて際限無く流されてしまうと、当該畦削機20を牽引するトラクタを直進させることが極めて困難となる。この点、本実施形態の畦削機20は法面削り部31を備えているので、当該法面削り部31が畦の法面に押し付けられて一種のストッパの役割を果たし、畦削機20全体が畦の外側へ際限無く流されてしまうことを防ぐことができる。これにより、畦削機20を牽引するトラクタを直進させることが容易になる。
【0051】
以上のように、本実施形態の畦削機20は、上面削り部30が畦の上面を削って土を搬送する反作用を利用して法面削り部31を畦の法面に押し付けるという構成を採用することにより、畦の法面を効率良く削ることが可能となり、しかもトラクタの直進性を向上させることができるという効果を発揮することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、法面作用部において土搬送体47を走行させる方向(第2方向)は下を向く方向としているので、この土搬送体47が土を削って搬送する反作用によって、畦削機20全体が上に浮き上がるような力が発生する。この力によって上面削り部30の上面作用部が畦の上面から浮き上がってしまうと、上面削り部30によって畦の上面を削ることができなくなってしまう。
【0053】
そこで本実施形態では、上面削り部30のチェーンケース48にウェイト取付部50を設け、このウェイト取付部50にウェイト51を取り付けることができるように構成している。このウェイト51の重量によって、上面作用部が畦の上面から浮き上がってしまうことを防止することができる。またウェイト取付部50に取り付けるウェイト51の数は変更可能であり、畦の土の固さなどに応じてウェイトの数を調整することができる。なお、畦削機20の自重によって上面作用部の浮き上がりを防止できる場合には、ウェイト51を省略しても良い。
【0054】
ところで、土搬送体47によって土を削りながら車体13を走行させると、土搬送体47が車体進行方向に引き摺られることになるので、当該土搬送体47に対して、車体進行方向に沿った方向の力が加わる。そして、土搬送体47に力が加わると、無端チェーンにも同じ方向の力が加わる。ここで、例えば図3のように第1方向及び第2方向を車体13の左右方向に平行な方向としている場合、無端チェーンの長手方向も車体13の左右方向に向いているから、車体13を前進走行させると、無端チェーンに対して、当該無端チェーンの長手方向に直交する方向の力が加わる。
【0055】
このように無端チェーンの長手方向に直交する方向の力が当該無端チェーンに加わると、当該無端チェーンとスプロケットの噛み合い部分に過度な抵抗が発生するおそれがあり、騒音や振動の原因になるとともに無端チェーン及びスプロケットの耐久性が低下してしまう可能性がある。そこで本実施形態の畦削機20は、第1方向及び第2方向を、平面視において車体左右方向に対して斜めにすることができるように構成されている。
【0056】
具体的には以下のとおりである。即ち、本実施形態において、右側支持フレーム32cは伸縮可能となっている。一方、左側支持フレーム32bの後端部には回動支軸32dが配置されており、上面削り部30及び法面削り部31は、この回動支軸32dを中心にして水平面内で回動可能に支持されている。この構成で、右側支持フレーム32cを伸縮させることにより、回動支軸32dを中心にして上面削り部30及び法面削り部31を回動させることができる。なお、上記右側支持フレーム32cの伸縮に対応できるようにするため、当該右側支持フレーム32cは、その前端部を中心にして、取付フレーム32aに対して水平面内で回動可能に構成されている。同じく、上記右側支持フレーム32cの伸縮に対応できるようにするため、当該右側支持フレーム32cは、その後端部を中心にして、上面削り部30及び法面削り部31に対して水平面内で回動可能であるように構成されている。
【0057】
以上の構成により、平面視において第1方向及び第2方向を車体左右方向に対して傾けることが可能となるので、第1方向が斜め後方に向かう状態(図7)、又は、第1方向が斜め前方に向かう状態(図8)とすることができる。なお、右側支持フレーム32cを伸縮させる構成は適宜のもので良く、例えば油圧シリンダによって伸縮させるようにしても良いし、作業者が手作業で伸縮させるようにしても良い。また、右側支持フレーム32cの伸縮に対応するため、駆動伝達軸17も伸縮可能に構成されている。
【0058】
上記のように、平面視において、第1方向及び第2方向を車体左右方向に対して傾けることにより、車体13を前進走行させた際に、無端チェーンに対して加わる力の方向を、当該無端チェーンの長手方向に直交する方向からズラすことができる。これにより、無端チェーンとスプロケットの噛み合い部分の抵抗を低減することができるので、畦削機20の騒音や振動を低減できるとともに、無端チェーン及びスプロケットの耐久性を向上させることができる。
【0059】
更に、第1方向が平面視で斜め後方に向かうように設定した場合(図7の状態)、以下のような効果を得ることができる。即ち、この場合、上面作用部の土搬送体47は、斜め後方に向かって土を削りつつ搬送するので、この反作用により、畦削機20全体が、斜め前方に向かって流されるような力を受ける。即ち、畦削機20が自発的に前に向かって進もうとするので、トラクタ10で畦削機20を牽引する際の抵抗を低減することができる。従って、例えば圃場の足場が悪くてトラクタ10による牽引力が十分に発揮できない場合などに好適である。
【0060】
一方、第1方向が平面視で車体の斜め前方に向かうように設定した場合(図8の状態)、以下のような効果を得ることができる。即ち、この場合、上面作用部の土搬送体47は、無端チェーン42の循環駆動により斜め前方に向かって走行するので、前方に向かう速度成分を有している。従って、車体13を前進走行させることにより、上面作用部の土搬送体47が前方に向かう速度成分を増加させることができる。即ち、無端チェーン42の循環駆動による駆動力と、車体13が前進する力と、を合成して土搬送体47を移動させることができるので、畦の上面をより強力に削ることができる。従って、例えば畦の土が固くて無端チェーン42の駆動だけでは十分に畦を削ることができない場合などに好適である。
【0061】
上記のような効果は、第1方向と、車体13の左右方向と、がなす角度が大きいほど強くなる。そこで、畦削機20は、車体13の左右方向に対する第1方向及び第2方向の傾きを、任意に設定できるように構成されている。これにより、畦の固さや圃場の足場の状態などに応じて上記角度を適宜変更することができるので、状況に応じた畦削りが本実施形態の畦削機20によって可能となる。
【0062】
しかしながら、第1方向と車体13の左右方向とがなす角度が大きくなると、上面削り部30によって畦の上面を奥まで削ることができなくなるので、上面削り部30によって畦の上面を削ることができる範囲が狭くなってしまう。この点、図3のように第1方向を車体13の左右方向と平行になるように設定すれば、騒音や耐久性の問題などが生じる可能性はあるものの、上面削り部30によって畦の上面を削ることができる範囲を最大にすることができる。従って、畦の上面を広く削りたい場合は、図3に示すように、第1方向を車体13の左右方向と平行になるように設定すれば良い。
【0063】
以上で説明したように、本実施形態の畦削機20は、トラクタ10に取り付けられるとともに、上面削り部30と、法面削り部31と、を備える。上面削り部30は、畦の上面の土を削るとともに、削った土を第1方向に向けて搬送して除去する。法面削り部31は、畦の法面の土を削るとともに、削った土を第2方向に向けて搬送して除去する。そして、平面視において第1方向と第2方向は平行であり、上面削り部30と法面削り部31は、第1方向及び第2方向に直交する方向に並んで配置されている。
【0064】
この畦削機20により、畦の上面と法面を同時に削ることができる。また、第1方向と第2方向を平行とすることにより、上面削り部30と法面削り部31が干渉しないので、上面削り部30と法面削り部31を接近させて配置することができる。そして、上面削り部30と法面削り部31を、第1方向及び第2方向に直交する方向に並べて配置することにより、畦削機全体をコンパクトに構成することができる。
【0065】
また本実施形態の畦削機20において、第2方向は、畦の法面の傾きに沿って下を向いている。
【0066】
これにより、法面を削った土は、下向きに搬送されるので、当該土が畦の上面に運ばれてしまうことがない。従って、法面を削った土を、畦の上からきれいに除去することができる。
【0067】
また本実施形態の畦削機20は、平面視において、法面削り部31が、トラクタ10の前後方向で上面削り部31よりも後ろに配置されている。
【0068】
即ち、トラクタ10は通常前方に向かって走行するので、上記構成によれば、上面削り部30が上面を削った後で、後から法面削り部31が法面を削ることになる。従って、上面削り部30が削った土が法面に落ちている場合であっても、法面削り部31が後からこの土を搬送して除去することができる。
【0069】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0070】
この第2実施形態は、法面削り部31の土搬送体47を、上記第1実施形態とは逆向きに走行させるように構成したのである。
【0071】
具体的には、図9に示すように、駆動入力軸36に平行なカウンター軸37を設け、当該カウンター軸37にカウンターギア38と法面駆動スプロケット43とを固定する。駆動入力軸36には、上面駆動スプロケット(駆動入力側上面駆動伝達部材)40と法面駆動出力ギア(駆動入力側法面駆動伝達部材)39とを固定しておき、前記カウンターギア38と法面駆動出力ギア39とを噛み合わせる。この構成により、法面駆動スプロケット43を、上面駆動スプロケット40とは逆回転させることができるので、上面削り部30の無端チェーン42と法面削り部31の無端チェーン46を逆方向に循環駆動させることができる。
【0072】
以上の構成により、法面作用部における土搬送体47の走行方向(第2方向)は、上記第1実施形態における第2方向の逆方向となっている。即ち、本実施形態において、法面作用部において土搬送体47が走行する方向(第2方向)は、畦の法面の傾きと一致(又は略一致)し、かつ、上に向かうように設定されている。
【0073】
このように、第2方向を上に向けることにより、法面作用部の土搬送体47が土を上に向けて削って搬送する反作用によって、畦削機20全体を下に向けて押し付けるような力が発生する。これにより、上面削り部30の上面作用部を、畦の上面に対して押し付けることができるので、畦の上面を効率良く削ることができる。また、第1実施形態で必要だったウェイト取付部50及びウェイト51を省略することができる。
【0074】
ただし、上記のように構成した場合、法面削り部31によって削られた土が上に向かって搬送されるため、当該土が畦の上面にまで運ばれてしまう。そこで、本実施形態では、図10に示すように、上面削り部30を、車体13の前後方向で法面削り部31の後方に配置している。これによれば、法面削り部31が畦の法面を削った土が畦の上面に運ばれてしまった場合であっても、当該上面に運ばれた土を、上面削り部30によって除去することができる。
【0075】
以上で説明したように、本実施形態の畦削機20において、第2方向は、畦の法面の傾きに沿って上を向いている。
【0076】
この構成により、法面削り部31が土を削って搬送する反作用によって、畦削機20を下に向けて押し付けるような力が働く。これにより、上面削り部30を畦の上面に対して押し付けることができるので、畦の上面を効率良く削ることができる。
【0077】
また本実施形態の畦削機20は、平面視において、法面削り部31が、トラクタ10の前後方向で上面削り部30よりも前に配置されている。
【0078】
即ち、法面削り部31によって土を上に向けて削ると、当該土が畦の上面にあがってしまう。しかし上記の構成によれば、法面削り部31が法面を削った後で、後から上面削り部30が上面を削ることになるので、上面にあがってしまった土を上面削り部30によって除去することができる。
【0079】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0080】
左側支持フレーム32bは、その前端部を中心として、取付フレーム32aに対して水平面内で回動可能に構成されていても良い。この構成によれば、取付フレーム32a、左右の支持フレーム32b,32c、上面削り部30及び法面削り部31によって、一種の四節リンク機構が構成される。従って、上面削り部30及び法面削り部31を、水平面内で、車体13の左右方向に移動させることができる。この構成によれば、例えばトラクタ10を路面走行させる際に、畦削機20を車体13の左右方向中央寄りの位置に寄せることが可能となるので、車体の左右バランスを良好にすることができる。
【0081】
上記実施形態において、上面削り部は2つのスプロケットに無端チェーンを懸架した構成、法面削り部は3つのスプロケットに無端チェーンを懸架した構成としたが、スプロケットの数や配置は適宜変更することができる。例えば、法面削り部のスプロケットは2つとすることもできる。これによれば、法面削り部を小型化及び軽量化するとことができる。この場合、例えば図11に示すように、上面削り部に追加の従動スプロケット55を設け、この従動スプロケット55に固定された伝動軸56を介して法面駆動スプロケット43を駆動するように構成することもできる。ただし、図5のように駆動入力軸36に法面駆動スプロケット43を固定して、当該法面駆動スプロケット43によって無端チェーン46を直接駆動するように構成すれば、良好な駆動伝達効率を実現できるので特に好適である。
【0082】
上記実施形態では、ゲージ輪34の位置を変えることにより、上面削り部30及び法面削り部31の高さを変更できるとしたが、上面削り部30及び法面削り部31の位置を高くすると、畦の法面の下の部分が削れなくなってしまう。そこで、法面削り部31の第2従動スプロケット45の位置を変更することができるように構成されていても良い。この場合、第2従動スプロケット45は、第2方向に平行な方向で移動させる。これによれば、第2方向の傾きを変えることなく、法面作用部の長さを変更して、法面削り部31によって削ることができる法面の長さを変更することができる。これにより、上面削り部30及び法面削り部31の高さ変更に対応することができる。
【0083】
上記実施形態では、上面削り部30及び法面削り部31は、チェーン駆動によって土を削って搬送する構成としたが、これに限らず、土を削って搬送できる他の構成を採用することもできる。例えば、上面削り部及び法面削り部の両方又は何れか一方を、スクリューコンベアによって構成しても良い。即ち、スクリューコンベアの軸が第1方向又は第2方向と平行になるように配置し、当該スクリューコンベアを回転駆動しながら畦の表面に押し付けることにより、当該スクリューコンベアの送り作用によって土を削りつつ、前記第1方向又は第2方向に向けて土を搬送することができる。この場合、スクリューコンベアの羽を土搬送体として把握することができる。なお、上記実施形態で採用したチェーン駆動方式の畦削機は、スクリューコンベアにくらべて高速駆動可能であるから、土を高速で搬送して効率良く畦を削るという観点からは、チェーン駆動方式によって畦削機を構成することが特に好適である。
【0084】
上記実施形態では、第2方向を下向きにした場合は上面削り部30を法面削り部31の前に配置し(第1実施形態)、第2方向を上向きにした場合は上面削り部30を法面削り部31の後に配置している(第2実施形態)が、上面削り部30及び法面削り部31の前後関係は必ずしもこれに限らない。
【0085】
例えば、第2方向を下向きにした場合において、上面削り部30を法面削り部31の後に配置しても良い。この場合、上面削り部30が圃場側に向けて搬送する土の一部が、畦の法面の上に落ちて残ってしまう。ただし、上面削り部30が畦の法面に落とす土の量が少ない場合には、この構成でも問題はない。
【0086】
また例えば、第2方向を上向きにした場合において、上面削り部30を法面削り部31の前に配置しても良い。この場合、法面削り部31が上向きに搬送する土が畦の上面に残ってしまう。この場合、畦の上面の土を圃場側に寄せて落とすための土寄せ部材を、法面削り部31の後方に設ければ良い。
【符号の説明】
【0087】
10 トラクタ
20 畦削機
30 上面削り部
31 法面削り部
37 土搬送体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両に取り付けられる畦削機であって、
畦の上面の土を削るとともに、削った土を第1方向に向けて搬送して除去する上面削り部と、
畦の法面の土を削るとともに、削った土を第2方向に向けて搬送して除去する法面削り部と、
を備え、
平面視において前記第1方向と前記第2方向は平行であり、前記上面削り部と前記法面削り部は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向に並んで配置されていることを特徴とする畦削機。
【請求項2】
請求項1に記載の畦削機であって、
上記第2方向は、畦の法面の傾きに沿って下を向いていることを特徴とする畦削機。
【請求項3】
請求項2に記載の畦削機であって、
平面視において、前記法面削り部が、前記作業車両の前後方向で前記上面削り部よりも後ろに配置されていることを特徴とする畦削機。
【請求項4】
請求項1に記載の畦削機であって、
上記第2方向は、畦の法面の傾きに沿って上を向いていることを特徴とする畦削機。
【請求項5】
請求項4に記載の畦削機であって、
平面視において、前記法面削り部が、前記作業車両の前後方向で前記上面削り部よりも前に配置されていることを特徴とする畦削機。
【請求項1】
作業車両に取り付けられる畦削機であって、
畦の上面の土を削るとともに、削った土を第1方向に向けて搬送して除去する上面削り部と、
畦の法面の土を削るとともに、削った土を第2方向に向けて搬送して除去する法面削り部と、
を備え、
平面視において前記第1方向と前記第2方向は平行であり、前記上面削り部と前記法面削り部は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向に並んで配置されていることを特徴とする畦削機。
【請求項2】
請求項1に記載の畦削機であって、
上記第2方向は、畦の法面の傾きに沿って下を向いていることを特徴とする畦削機。
【請求項3】
請求項2に記載の畦削機であって、
平面視において、前記法面削り部が、前記作業車両の前後方向で前記上面削り部よりも後ろに配置されていることを特徴とする畦削機。
【請求項4】
請求項1に記載の畦削機であって、
上記第2方向は、畦の法面の傾きに沿って上を向いていることを特徴とする畦削機。
【請求項5】
請求項4に記載の畦削機であって、
平面視において、前記法面削り部が、前記作業車両の前後方向で前記上面削り部よりも前に配置されていることを特徴とする畦削機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−60979(P2012−60979A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210172(P2010−210172)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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