説明

畦塗り機

【課題】畦上面形成体の振動を抑制でき、所望硬さの畦上面を形成できる畦塗り機を提供する。
【解決手段】畦塗り機1は、土を盛り上げる盛土体3と、盛土体3による盛土を締め固めて畦を形成する畦形成体4とを備える。畦形成体4は、盛土を締め固めて畦側面を形成する回転可能な畦側面形成体32と、盛土を締め固めて畦上面を形成する回転可能な畦上面形成体33とを備える。畦上面形成体33は、外周面が非円筒状の非円筒上面ローラ部41と、外周面が円筒状の振動抑制用の円筒上面ローラ部42とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畦上面形成体の振動を抑制でき、所望硬さの畦上面を形成できる畦塗り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された畦塗り機が知られている。この従来の畦塗り機は、土を盛り上げる盛土体と、盛土体による盛土を締め固めて畦側面を形成する回転可能な畦側面形成体と、盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する回転可能な畦上面形成体とを備えている。また、畦上面形成体の外周面には圧締凸面部および掴持凹面部が形成され、この畦上面形成体の外周面が凸凹の非円筒状になっている。
【特許文献1】特開2000−135003号公報(図8等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の畦塗り機では、畦上面形成体の外周面が非円筒状になっているため、畦上面形成体が振動し、所望硬さの畦上面が形成されないおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、畦上面形成体の振動を抑制でき、所望硬さの畦上面を形成できる畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の畦塗り機は、土を盛り上げる盛土体と、この盛土体による盛土を締め固めて畦側面を形成する回転可能な畦側面形成体と、前記盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する回転可能な畦上面形成体とを備え、前記畦上面形成体は、外周面が非円筒状に形成された非円筒上面ローラ部と、外周面が円筒状に形成された振動抑制用の円筒上面ローラ部とを有するものである。
【0006】
請求項2記載の畦塗り機は、請求項1記載の畦塗り機において、畦上面形成体を側面視した場合に、非円筒上面ローラ部の外周線が円筒上面ローラ部の外周線より内側に位置するものである。
【0007】
請求項3記載の畦塗り機は、請求項1記載の畦塗り機において、非円筒上面ローラ部は、回転方向に並んで位置する弾性変形可能な複数の畦上面形成板部を有し、畦上面形成体を側面視した場合に、弾性変形前の状態では前記畦上面形成板部の回転方向後端側が円筒上面ローラ部の外周線より外側に位置し、弾性変形後の状態では前記畦上面形成板部の回転方向後端側が前記円筒上面ローラ部の外周線より内側に位置するものである。
【0008】
請求項4記載の畦塗り機は、請求項1ないし3のいずれか一記載の畦塗り機において、非円筒上面ローラ部は、複数の分割ローラにて構成され、軸方向長さ寸法が変更可能となっているものである。
【0009】
請求項5記載の畦塗り機は、請求項1ないし4のいずれか一記載の畦塗り機において、円筒上面ローラ部は、畦上面形成体の先端部に位置するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、畦上面形成体は、外周面が非円筒状に形成された非円筒上面ローラ部と、外周面が円筒状に形成された振動抑制用の円筒上面ローラ部とを有するため、畦上面形成体の振動を抑制でき、所望硬さの畦上面を形成できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、畦上面形成体を側面視した場合に、非円筒上面ローラ部の外周線が円筒上面ローラ部の外周線より内側に位置するため、畦上面形成体の振動を適切に抑制できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、畦上面形成体を側面視した場合に、弾性変形前の状態では畦上面形成板部の回転方向後端側が円筒上面ローラ部の外周線より外側に位置し、弾性変形後の状態では畦上面形成板部の回転方向後端側が円筒上面ローラ部の外周線より内側に位置するため、畦上面形成体の振動を適切に抑制できる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、非円筒上面ローラ部は、複数の分割ローラにて構成され、軸方向長さ寸法が変更可能となっているため、
畦上面の幅寸法に応じて非円筒上面ローラ部の軸方向長さ寸法を変更できる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、円筒上面ローラ部は、畦上面形成体の先端部に位置するため、畦上面形成体の振動を効果的に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の畦塗り機の一実施の形態を図1ないし図4を参照して説明する。
【0016】
図1において1は畦塗り機で、この畦塗り機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結され、トラクタの走行により進行方向前方に移動しながら畦塗り作業(畦修復作業)をする。
【0017】
畦塗り機1は、図1に示されるように、トラクタの後部の3点リンク(作業機昇降支持装置)に連結される機体2と、機体2の一側前部に回転可能に設けられ田面および元畦の土を耕耘して畦側面および畦上面に盛り上げる盛土体3と、機体2の一側後部に回転可能に設けられ盛土体3の後方で水平な左右方向の回転中心軸線Xを中心として回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて新たな畦(新畦)を形成する畦形成体4と、盛土体3の前方で元畦の畦上面を前処理すなわち例えば雑草等の除去のために耕耘して削る回転可能な前処理体である上面削り体5とを備えている。
【0018】
機体2は、トラクタの後部の3点リンクに連結される固定機枠7を有している。固定機枠7には回動アーム8の一端部が回動可能に取り付けられ、この回動アーム8の他端部には可動機枠9が回動可能に取り付けられている。可動機枠9には、盛土体3、畦形成体4および上面削り体5がそれぞれ回転可能に設けられている。
【0019】
また、固定機枠7は、軸保持部10を有し、この軸保持部10には略前後方向の入力軸11が回転可能に設けられ、この入力軸11はトラクタのPTO軸にジョイントおよび伝動シャフト等からなる動力伝達手段(図示せず)を介して接続される。一方、可動機枠9は伝動ケースを兼ね備えたもので、この可動機枠9は軸保持部12を有し、この軸保持部12には中間入力軸13が回転可能に設けられ、この中間入力軸13は入力軸11にジョイントおよび伝動シャフト等からなる動力伝達手段14を介して接続されている。そして、盛土体3、畦形成体4および上面削り体5は中間入力軸13側からの動力で所定方向に駆動回転する。なお、可動機枠9には、接地輪15が支持アーム16を介して取り付けられている。
【0020】
盛土体3は、可動機枠9の軸保持部19にて回転可能に保持された前後方向の回転軸21と、回転軸21に回転軸21の径方向外方に向って突設され回転軸21と一体となって回転しながら田面および元畦の土を耕耘して畦側面および畦上面に盛り上げる複数の盛土爪22とを有している。複数の盛土爪22の上方部は、図示しないカバー部材にて覆われている。盛土体3の回転軸21は、中間入力軸13側からの動力で所定方向に駆動回転する。
【0021】
上面削り体5は、可動機枠9の軸保持部20にて回転可能に保持された前後方向の回転軸23と、回転軸23に回転軸23の径方向外方に向って突設され回転軸23と一体となって回転しながら元畦の畦上面を前処理すなわち例えば耕耘して削る複数の削り爪(前処理爪)24とを有している。複数の削り爪24の上方部は、図示しないカバー部材にて覆われている。上面削り体5の回転軸23は、盛土体3の回転軸21側からの動力で所定方向に駆動回転する。
【0022】
畦形成体4は、可動機枠9にて回転可能に保持された左右方向の回転軸31と、回転軸31に取り付けられ回転軸31と一体となって回転中心軸線Xを中心として回転方向に回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて田面側に向って下り傾斜面状の畦側面を形成する略円錐台状つまり田面側に向って徐々に拡径する略円錐台状をなす回転可能な畦側面形成体(側面ローラ)32と、畦側面形成体32の縮径側端部に外側方に向って突設され畦側面形成体32と一体となって回転中心軸線Xを中心として回転方向に回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する略円筒状の回転可能な畦上面形成体(上面ローラ)33とを有している。畦形成体4の回転軸31は、中間入力軸13側からの動力で所定方向に駆動回転する。
【0023】
畦側面形成体32は、図2に示すように、円錐台状のベース部36と、ベース部36の外周面に回転中心軸線Xを中心として放射状に設けられ畦側面形成体32の回転方向に並んで位置し盛土体3による盛土を回転方向後端側で押し込んで締め固めて畦側面を形成する略扇形状でかつやや湾曲面状の複数の作用板部である畦側面形成板部(ディスク)37とを有している。回転方向に互いに隣り合う畦側面形成板部37間には段差部38が形成されている。
【0024】
なお、畦側面形成板部37は、例えばステンレス等の金属板、或いは合成樹脂板等にて形成されている。また、畦側面形成板部37は、畦塗り作業時に盛土との接触により弾性変形せず段差部38がそのまま維持される構成でもよく、盛土との接触により弾性変形して段差部38が小さくなる構成でもよい。
【0025】
畦上面形成体33は、図1ないし図4に示すように、外周面が段差部48を有して非円筒状に形成された非円筒上面ローラ部41と、この非円筒上面ローラ部41の先端部に設けられ畦上面形成体33の先端部(外端部)つまり畦側面形成板部37側とは反対側の端部に位置し外周面が回転中心軸線Xを中心とする円筒状に形成され畦塗り作業時に畦上面形成体33の上下振動を抑制する上下振動抑制用の円筒上面ローラ部42とを有している。
【0026】
非円筒上面ローラ部41は、外周面が回転中心軸線Xを中心とする円筒状に形成されたベース部45を有している。ベース部45は、畦側面形成体32のベース部36の縮径側端部から反田面側に向って突出している。ベース部45の外周面には、畦上面形成体33の回転方向に並んで位置し盛土体3による盛土を回転方向後端側で押し込んで締め固めて畦上面を形成する同一形状の複数(例えば8つ)の作用板部である畦上面形成板部46がベース部45の外周面に略沿うにように設けられている。
【0027】
各畦上面形成板部46は、いずれも、外面側が凸となるようにやや湾曲した曲面状で略矩形状に形成されている。つまり各畦上面形成板部46は、ベース部45の軸方向に長手方向を有する略矩形状で、その長手方向の長さ寸法がベース部45の軸方向の長さ寸法と略同じである。また、各畦上面形成板部46は、回転中心軸線Xからの距離が回転方向前端側から回転方向後端側に向って徐々に増大するように配置されている。つまり各畦上面形成板部46は、回転方向後端ほどベース部45の円筒状の外周面(仮想円筒面)からの距離が大きくなるように傾斜状に配置されている。各畦上面形成板部46の回転方向後端側外面にて、盛土を押し込む作用面47が構成されている。
【0028】
また、回転方向に互いに隣り合う畦上面形成板部46間には段差部48が形成され、各段差部48は、ベース部45の軸方向つまり回転中心軸線Xに沿って位置する。すなわち互いに隣り合う畦上面形成板部46は、一方の畦上面形成板部46の回転方向後端部と他方の畦上面形成板部46の回転方向前端部とが段差部48を介して互いに対向した状態になっており、他方の畦上面形成板部46の回転方向前端部外面が一方の畦上面形成板部46の回転方向後端部にて覆われている。
【0029】
なお、畦上面形成板部46は、例えばステンレス等の金属板、或いは合成樹脂板等にて形成されている。また、畦上面形成板部46は、畦塗り作業時に盛土との接触により弾性変形せず段差部48がそのまま維持される構成でもよく、盛土との接触により弾性変形して段差部48が小さくなる構成でもよい。
【0030】
そして、このような非円筒上面ローラ部41は、畦上面の幅寸法に応じて軸方向長さ寸法を変更できるように、軸方向に関して複数、例えば2つに分割されている。つまり非円筒上面ローラ部41は、複数、例えば2つの分割ローラである第1分割ローラ41aおよび第2分割ローラ41bにて構成され、これら分割ローラ41a,41bのいずれか一方の取り外しにより軸方向長さ寸法が変更可能となっている。
【0031】
第1分割ローラ41aは畦側面形成体32のベース部36の縮径側端部に脱着可能に取り付けられ、この第1分割ローラ41aの先端部に第2分割ローラ41bが脱着可能に取り付けられ、この第2分割ローラ41bの先端部に円筒上面ローラ部42が脱着可能に取り付けられている。
【0032】
そして、例えば図5に示すように、第1分割ローラ41aを取り外し、第2分割ローラ41bを畦側面形成体32のベース部36の縮径側端部に取り付けることにより、非円筒上面ローラ部41の軸方向長さ寸法を短くすることが可能である。
【0033】
一方、円筒上面ローラ部42は、畦上面形成体33の先端部を構成している。円筒上面ローラ部42は非円筒上面ローラ部41より径大状に形成され、図3に示されるように畦上面形成体33を軸方向先端側から側面視した場合に、非円筒上面ローラ部41の凸凹の外周線が円筒上面ローラ部42の円形の外周線より内側つまり回転中心軸線X側に位置する。つまり、畦上面形成体33は、側面視で非円筒上面ローラ部41が円筒上面ローラ部42の外周線から突出しない形状に形成されている。また、円筒上面ローラ部42にて、非円筒上面ローラ部41の先端面全体が覆われている。そして、円筒上面ローラ部42は、畦塗り作業時には上面削り体5にて前処理(耕耘処理)されていない硬い未耕の畦上面上を回転しながら移動し、畦上面形成体33全体の上下振動を抑制する。
【0034】
次に、上記畦塗り機1の作用等を説明する。
【0035】
トラクタの後部の3点リンクに畦塗り機1を連結してトラクタを走行させると、畦塗り機1はトラクタとともに前方に向って移動し、また盛土体3、畦形成体4および上面削り体5はそれぞれ所定方向に駆動回転する。なお、畦形成体4の回転速度はトラクタの車輪の回転速度より速い値に設定されており、畦形成体4は畦に対してスリップ回転する。
【0036】
そして、上面削り体5にて元畦の畦上面が前処理され、盛土体3にて土が元畦の畦側面および畦上面に盛り上げられ、畦形成体4の畦側面形成体32にて盛土体3による盛土が締め固められて畦側面が形成され、畦形成体4の畦上面形成体33にて盛土体3による盛土が締め固められて畦上面が形成される。
【0037】
この際、非円筒上面ローラ部41が盛土を叩いて締め固めることから畦上面形成体33に上下振動が発生するが、外周面が円筒状の円筒上面ローラ部42が上面削り体5にて前処理されていない硬い未耕の畦上面上を回転しながら移動するため、畦上面形成体33の上下振動が抑制される。
【0038】
このように畦塗り機1によれば、畦上面形成体33が、盛土の掻き込み機能および叩き機能を発揮する凹凸断面形状の非円筒上面ローラ部41と、この非円筒上面ローラ部41よりも塗り厚が薄くかつ上面削り体5および盛土体3にて耕耘されていない硬い未耕の畦上面上を回転しながら移動する円筒上面ローラ部42とを有するため、畦上面形成体33の上下振動を抑制でき、所望硬さの畦上面を安定して形成できる。
【0039】
また、畦上面形成体33の非円筒上面ローラ部41は、軸方向に分割した複数の分割ローラ41a,41bにて構成されて軸方向長さ寸法が変更可能となっているため、元畦の畦上面の幅寸法に応じて非円筒上面ローラ部41の軸方向長さ寸法を変更設定できる。
【0040】
なお、非円筒上面ローラ部41は、複数の板部材をベース部45にそれぞれ取り付けて複数の畦上面形成板部46を形成したものには限定されず、例えば図6(a)および(b)に示すように、一体成型した1つの筒状部材をベース部45に取り付けて複数の畦上面形成板部46を形成したものでもよい。なお、畦上面形成板部46の数は8つには限定されず、任意である。
【0041】
また、非円筒上面ローラ部41は、盛土の一部を畦側面形成体32側に移動させる螺旋状の凸部である突部を外周面に形成したものでもよい。
【0042】
すなわち例えば図7(a)および(b)に示す例では、突部は畦側面形成体32から離れるに従って回転方向に向う複数、例えば4つの螺旋状の細長板或いは丸棒等の段差部である突条部51にて構成され、各突条部51はベース部45の外周面に突設され、ベース部45の軸方向一端から他端にわたって位置している。なお、突条部51の数は任意で、3つ、6つ、8つ等でもよく、また1つでもよい。
【0043】
また、図8(a)および(b)に示す例では、突部は畦側面形成体32から離れるに従って回転方向に向う螺旋状に形成され盛土を徐々に加圧するように厚さ寸法が回転方向に向って徐々に減少すると凸状の複数の突面部である突板部52にて構成されている。またこの図8の非円筒上面ローラ部41は、側面視でその外周線が回転中心軸線Xを中心とする円形をなすものである。すなわち、4つの突板部52は、非円筒上面ローラ部41を側面視した場合に回転中心軸線Xを中心とする円周上に切れ間なく連続して位置するように配設されている。そして、隣接する突板部52のうちの一方の突板部52の回転方向前端と他方の突板部52の回転方向後端との連接部分に畦側面形成体32から離れるに従って回転方向に向う螺旋状の段差部53が形成されている。この非円筒上面ローラ部41は、例えば外周面が円筒状の円筒部材の外周面に幅方向一端から幅方向他端に向って徐々に厚さ寸法が減少する複数枚の板状部材を貼り付けて製作する。
【0044】
なお、この図8に示す非円筒上面ローラ部41は4つの螺旋状の突板部52を外周面に有する構成であるが、突板部52の数は任意で、3つ、6つ、8つ等でもよく、また図9(a)および(b)に示すように非円筒上面ローラ部41が1つの螺旋状の突板部52を外周面に有する構成でもよい。
【0045】
また一方、非円筒上面ローラ部41は、外周面が段差部を有して非円筒状に形成された段差付きのものには限定されず、例えば図10(a)および(b)に示すような羽根付きのものでもよい。この非円筒上面ローラ部41は、回転方向に並んで位置し盛土体3による盛土を回転方向後端側で押し込んで締め固めて畦上面を形成する弾性変形可能な複数の作用板部である畦上面形成板部(羽根)56を有している。各畦上面形成板部56は外面側が凸となるようにやや湾曲した金属製或いは樹脂製の弾性板57にて構成され、これら複数の弾性板57は回転方向前端部がベース部45の外周面に取り付けられ回転方向後端部がベース部45の外周面から離れて自由端部となっている。また、各畦上面形成板部56の回転方向後端側外面にて、盛土を押し込む作用面58が構成されている。さらに、図11に示されるように、この非円筒上面ローラ部41は、図4に示すものと同様、複数、例えば2つの分割ローラである第1分割ローラ41aおよび第2分割ローラ41bにて構成され、これら分割ローラ41a,41bのいずれか一方の取り外しにより軸方向長さ寸法が変更可能となっている。
【0046】
そして、図12および図13に示すように、畦上面形成体33を軸方向先端側から側面視した場合に、弾性変形前の状態では畦上面形成板部56の回転方向後端側が円筒上面ローラ部42の外周線より外側に位置し、畦塗り作業時に盛土との接触により弾性変形した状態では畦上面形成板部56の回転方向後端側が円筒上面ローラ部42の外周線より内側に位置する。
【0047】
また、上記実施の形態では、非円筒上面ローラ部41を複数の分割ローラ41a,41bにて構成した場合について説明したが、例えば図14に示すように、非円筒上面ローラ部41を1つのローラで構成したものでもよく、また非円筒上面ローラ部41と円筒上面ローラ部42とを一体に形成したものでもよい。
【0048】
さらに、例えば図15に示すように、非円筒上面ローラ部41を3つの分割ローラ41a,41b,41cにて構成し、先端側の分割ローラ41cに円筒上面ローラ部42を一体に形成したものでもよい。
【0049】
また、例えば図16に示すように、3つの分割ローラ41a,41b,41cと円筒上面ローラ部42とをそれぞれ別体に形成したものでもよい。すなわち例えば図17ないし図19に示すように、ボルトおよびナットを用いて分割ローラ41a,41b,41cと円筒上面ローラ部42と畦側面形成体32とを連結した構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施の形態に係る畦塗り機の概略平面図である。
【図2】同上畦塗り機の畦形成体の斜視図である。
【図3】同上畦塗り機の畦上面形成体の側面図である。
【図4】同上畦塗り機の畦上面形成体の平面図である。
【図5】軸方向長さを短くした畦上面形成体の平面図である。
【図6】(a)および(b)は非円筒上面ローラ部の変形例を示す図である。
【図7】(a)および(b)は非円筒上面ローラ部の変形例を示す図である。
【図8】(a)および(b)は非円筒上面ローラ部の変形例を示す図である。
【図9】(a)および(b)は非円筒上面ローラ部の変形例を示す図である。
【図10】(a)および(b)は非円筒上面ローラ部の変形例を示す図である。
【図11】同上非円筒上面ローラ部を有する畦上面形成体の平面図である。
【図12】同上非円筒上面ローラ部を有する畦上面形成体の側面図である。
【図13】同上非円筒上面ローラ部の畦上面形成板部が弾性変形した状態の一部側面図である。
【図14】畦上面形成体の変形例を示す平面図である。
【図15】畦上面形成体の変形例を示す平面図である。
【図16】畦上面形成体の変形例を示す平面図である。
【図17】同上畦上面形成体の断面図である。
【図18】同上畦上面形成体の円筒上面ローラ部の側面図である。
【図19】同上畦上面形成体の分割ローラの側面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 畦塗り機
3 盛土体
32 畦側面形成体
33 畦上面形成体
41 非円筒上面ローラ部
42 円筒上面ローラ部
56 畦上面形成板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土を盛り上げる盛土体と、
この盛土体による盛土を締め固めて畦側面を形成する回転可能な畦側面形成体と、
前記盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する回転可能な畦上面形成体とを備え、
前記畦上面形成体は、
外周面が非円筒状に形成された非円筒上面ローラ部と、
外周面が円筒状に形成された振動抑制用の円筒上面ローラ部とを有する
ことを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】
畦上面形成体を側面視した場合に、非円筒上面ローラ部の外周線が円筒上面ローラ部の外周線より内側に位置する
ことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。
【請求項3】
非円筒上面ローラ部は、回転方向に並んで位置する弾性変形可能な複数の畦上面形成板部を有し、
畦上面形成体を側面視した場合に、弾性変形前の状態では前記畦上面形成板部の回転方向後端側が円筒上面ローラ部の外周線より外側に位置し、弾性変形後の状態では前記畦上面形成板部の回転方向後端側が前記円筒上面ローラ部の外周線より内側に位置する
ことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。
【請求項4】
非円筒上面ローラ部は、複数の分割ローラにて構成され、軸方向長さ寸法が変更可能となっている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の畦塗り機。
【請求項5】
円筒上面ローラ部は、畦上面形成体の先端部に位置する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の畦塗り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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