説明

畦塗り機

【課題】畦塗り用の土を各耕耘爪から後方の畦塗り体に向けてスムーズに送り出すことができ、よって、効率良く適切な畦塗り作業ができる畦塗り機を提供する。
【解決手段】畦塗り機1は、トラクタTの走行にて畦に沿って移動しながら、ロータリー出力軸91の外周面からこのロータリー出力軸91の軸方向に所定間隔をおいた状態で突出した複数列の耕耘爪96で畦塗り用の土を耕耘して跳ね上げこの跳ね上げられた土を畦塗り体105で旧畦に塗り付ける。複数列の耕耘爪96は、それぞれ先端屈曲側が後方の畦塗り体105を向くように取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車の走行にて畦に沿って移動しながら畦塗り作業をする畦塗り機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の畦塗り機は、例えば、トラクタ等の走行車の走行に基いて畦に沿って移動しながら、前後方向の回転軸の外周面からこの回転軸の軸方向に所定間隔をおいた状態で突出した複数列の耕耘爪で畦塗り用の土を耕耘して跳ね上げ、この跳ね上げられた土を畦塗り体で旧畦に塗り付ける構成が採られている。
【0003】
そして、この駆動回転する回転軸から突出した複数列の耕耘爪は、それぞれ回転軸からの突出長さが等しく、回転軌跡が略円柱状となる構成とされている。また、特許文献1記載の畦塗り機は、前後方向に並ぶ複数列の耕耘爪を備え、これら複数列の耕耘爪のうちの後側の耕耘爪は回転方向を向いた板状部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−28903号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、このような畦塗り機に関し、畦塗り用の土を各耕耘爪から後方の畦塗り体に向けてスムーズに送り出すことができ、よって、効率良く適切な畦塗り作業ができるものが求められている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、畦塗り用の土を各耕耘爪から後方の畦塗り体に向けてスムーズに送り出すことができ、よって、効率良く適切な畦塗り作業ができる畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の畦塗り機は、走行車の走行にて畦に沿って移動しながら、前後方向の回転軸の外周面からこの回転軸の軸方向に所定間隔をおいた状態で突出した複数列の耕耘爪で畦塗り用の土を耕耘して跳ね上げこの跳ね上げられた土を畦塗り体で旧畦に塗り付ける畦塗り機において、前記複数列の耕耘爪は、それぞれ先端屈曲側が後方の畦塗り体を向くように取り付けられているものである。
【0008】
請求項2記載の畦塗り機は、請求項1記載の畦塗り機において、回転軸は、左右方向の回動中心軸線を中心として回動調節可能な構成としたものである。
【0009】
請求項3記載の畦塗り機は、請求項1または2記載の畦塗り機において、回転軸は、畦塗り体とともに上下方向の回動中心軸線を中心として回動調節可能な構成としたものである。
【0010】
請求項4記載の畦塗り機は、請求項1ないし3のいずれか一記載の畦塗り機において、耕耘爪は、出力軸の外周面に設けられた爪取付け部およびこの爪取付け部に着脱可能に取り付けられた爪本体にて構成され、前記爪本体は、平面視で略L字の形状をなすように、本体部とこの本体部の先端に連設された折曲部とにて構成されているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数列の耕耘爪をそれぞれ先端屈曲側が後方の畦塗り体を向くように取り付けたので、畦塗り用の土を各耕耘爪から後方の畦塗り体に向けてスムーズに送り出すことができ、よって、効率良く適切な畦塗り作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の畦塗り機の一実施の形態の平面図である。
【図2】同上畦塗り機の非作業時における平面図である。
【図3】同上畦塗り機の後退作業時における平面図である。
【図4】同上畦塗り機の側面図である。
【図5】同上畦塗り機の後面図である。
【図6】同上畦塗り機の伝動手段の断面図である。
【図7】同上畦塗り機の耕耘爪用の回転軸を上下方向の回動中心軸線を中心に回動調節した後の状態を示す図である。
【図8】同上畦塗り機の耕耘爪用の回転軸を左右方向の回動中心軸線を中心に回動調節した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の畦塗り機の一実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0014】
図1ないし図5において、1は牽引式の畦塗り機で、この畦塗り機1は、走行車としてのトラクタTに着脱可能に装着され、このトラクタTの走行にて畦に沿って移動しながら、畦塗り作業を行うものである。
【0015】
なお、畦塗り機1は、基本的には、図1に示す前進作業状態に設定された状態で、トラクタTの前進走行に基いて畦に沿って前方に移動しながら畦塗り作業を行うが、田、畑等の圃場の端部位置では、図3に示す後退作業状態に設定された状態で、トラクタTの後退走行に基いて畦に沿って後方に移動しながら畦塗り作業を行う。
【0016】
そして、この畦塗り機1は、図1、図4および図5に示すように、トラクタTの後端部に取り付けられた固定機枠であるトラクタ側フレーム2を備え、このトラクタ側フレーム2は、畦塗り機1のトラクタTと対向する側である前側位置に配置されている。
【0017】
このトラクタ側フレーム2は、後面が後方に向って開口した略箱形状のベース部3を有している。このベース部3には、トラクタTの後端部に設けられた作業機連結部としての三点リンク機構T1(三点ヒッチ式)に連結されたトラクタ連結部としての三点連結部4が前方に向って突設されている。この三点連結部4は、例えば、トップピン5を有するトップマスト6、ロワピン7を有する左右一対のロワアーム8,8等にて構成されている。
【0018】
また、ベース部3の下部の左右方向中央位置には、軸受け部11にて回転可能に軸支された入力軸12が前方に向って突設されている。この入力軸12の先端側には、トラクタTのPTO軸(図示せず)がユニバーサルジョイントを介して連結されているとともに、この入力軸12の基端側には、軸方向に伸縮自在の動力伝達軸体13の軸本体部材13cの一端側が連結部材13aを介して連結されている。なお、図5に示すように、動力伝達軸体13の外周側には保護カバー14が取り付けられている。この保護カバー14は、動力伝達軸体13と一体となって回転しないように図示しないチェーンで回転規制されている。
【0019】
さらに、ベース部3の上部の左右方向中央位置には、軸方向が上下方向に一致したアーム連結部としての第1の支軸体15が設けられている。
【0020】
この第1の支軸体15は、互いに上下に離間対向した上板部16および中間板部17間に跨った状態でベース部3に固着され、入力軸12とは互いに直交状に配置されている。なお、入力軸12および第1の支軸体15は、それぞれ、図1に示されるように、平面からみてトラクタTの左右方向の長さの中心を結んだ線である左右方向中心線X上に常に位置している。
【0021】
また、ベース部3の左右一対の矩形状の側板部18,19のうち一方の側板部19、すなわち右側の側板部19は、畦塗り機1の前後方向である幅方向の寸法が他方の左側の側板部18に比べて短い寸法となっている。そして、この右側の側板部19の左側の側板部18との対向面には、互いに離間対向した上下一対のピン保持体としてのピン保持板21,21が水平状に固着されている。
【0022】
各ピン保持板21は、畦塗り機1の前後方向に長手方向を有する細長矩形板形状に形成され、長手方向の一端部が左側の側板部18の後端位置より後方に位置し、上板部16および中間板部17の後端位置より畦塗り機1の後方に突出している。各ピン保持板21のベース部3から突出した一端部には、上下に貫通したピン挿通用孔22が形成されている。
【0023】
また、畦塗り機1は、細長形状の第1の連結アーム体23を備えており、この第1の連結アーム体23の長手方向の一端部である基端部が、トラクタ側フレーム2に第1の支軸体15を介して回動可能に連結されており、この第1の連結アーム体23は、第1の支軸体15すなわち第1の支軸体15の軸心を通る線である上下方向の回動中心軸線Y1を中心として回動調節可能な構成となっている。なお、第1の連結アーム体23は、例えば、長手方向の中間で折り曲げられることなく、長手方向に一直線状に形成された四角筒状の一本のアーム形成部材24のみで形成されている。
【0024】
この第1の連結アーム体23の基端部には、上下に開口した細長円筒形状の第1の連結部25aが形成され、この第1の連結部25a内に第1の支軸体15が挿通されている。なお、この第1の連結アーム体23の長手方向の他端部である先端部には、第1の連結部25aと同一形状の上下に開口した細長円筒形状の第2の連結部25bが形成されている。
【0025】
また、第1の連結アーム体23の長手方向の中央部下面には、軸方向が上下方向に一致した連結軸部26が下方に向って突出した状態に形成されている。
【0026】
この連結軸部26には、第1の連結アーム体23の回動を規制してこの第1の連結アーム体23をトラクタ側フレーム2に対して固定するための細長板形状の第1の固定体27の長手方向の一端部が回動可能に連結されており、この第1の固定体27は、上下方向の連結軸部26を中心として回動可能となっている。この第1の固定体27の長手方向の中央部には、上下面に貫通したオフセット調整用の複数、例えば3つの第1孔28a,28b,28cが長手方向に所定間隔をおいて互いに近接した状態で形成されている。また、この第1の固定体27の長手方向の他端部には、上下面に貫通した1つの第2孔29が形成されている。
【0027】
さらに、第1の連結アーム体23の長手方向に沿った一側面(図1中、右側の側面)における長手方向の略中央位置からは、上下に互いに離間対向した一対のピン保持体としての一側ピン保持板部31,31が側方に向って水平状に突出しており、各一側ピン保持板部31には上下に貫通したピン挿通用孔32が形成されている。
【0028】
また、第1の連結アーム体23の長手方向に沿った他側面(図1中、左側の側面)における長手方向中央より先端側寄りの位置からは、上下に互いに離間対向した一対のピン保持体としての他側ピン保持板部33,33が側方に向って水平状に突出しており、各他側ピン保持板部33には上下に貫通したピン挿通用孔34が形成されている。一側ピン保持板部31と他側ピン保持板部33とは同一の形状に形成されている。なお、第1の連結アーム体23は、図4に示されるように、トラクタ側フレーム2側の基端から先端に向って徐々に下方に傾斜した前高後低の傾斜状となるように配置されている。
【0029】
さらに、畦塗り機1は、細長形状の第2の連結アーム体35を備えており、この第2の連結アーム体35の長手方向の一端部である基端部が、第1の連結アーム体23の先端部に上下方向の第2の支軸体38を介して回動可能に連結されている。この第2の連結アーム体35は、第2の支軸体38すなわち第2の支軸体38の軸心を通る線である回動中心軸線Y2を中心として回動調節可能な構成となっている。
【0030】
そして、この第2の連結アーム体35は、例えば、細長い四角筒状の一本のアーム部材36、このアーム部材36の一端部に固着された断面コ字形状の連結部材37等にて構成されている。
【0031】
連結部材37は、鉛直面に沿った取付け板部37aで連結された互いに上下に離間対向した上板部37bおよび下板部37cを有し、これらの上板部37bおよび下板部37cによって第2の支軸体38が支持され、この第2の支軸体38の軸方向は上下方向に一致しており、この第2の支軸体38は第1の支軸体15と平行に配置されている。また、第2の支軸体38は、図5に示されるように、第1の連結アーム体23の先端部の第2の連結部25b内に挿通されている。
【0032】
また一方、アーム部材36は、長手方向の一端部が連結部材37の取付け板部37aに固着され、長手方向の中央近傍上面には軸方向が上下方向に一致した連結軸部48が上方に向って突出した状態に形成されている。
【0033】
この連結軸部48には、第2の連結アーム体35の回動を規制してこの第2の連結アーム体35を第1の連結アーム体23に対して固定するための細長板形状の第2の固定体39の長手方向の一端部が回動可能に連結されており、この第2の固定体39は、上下方向の連結軸部48を中心として回動可能となっている。この第2の固定体39の長手方向の他端部には、上下面に貫通した挿通孔40が形成されている。
【0034】
そして、畦塗り機1の図1に示す前進作業状態では、第1の固定体27の例えば第1孔28bとトラクタ側フレーム2のピン保持板21のピン挿通用孔22とが上下に一致し、この一致した第1孔28bおよびピン挿通用孔22に操作体としての第1の操作ピン43が挿通装着され、かつ、第2の固定体39の挿通孔40と第1の連結アーム体23の一側ピン保持板部31のピン挿通用孔32とが上下に一致し、この一致した挿通孔40およびピン挿通用孔32に操作体としての第2の操作ピン44が挿通装着されている。
【0035】
こうして、トラクタ側フレーム2に対して第1の連結アーム体23および第2の連結アーム体35が固定されており、この第2の連結アーム体35は、第1の連結アーム体23の後端部から右側方に向って突出した状態となっている。なお、この状態では、第2の連結アーム体35の回動中心軸線Y2は、トラクタTの左右方向中心線X上には位置せず、左右方向中心線XからトラクタTの一側である右側に所定距離だけずれた位置に位置する。また、第2の連結アーム体35は、第2の連結アーム体35の長手方向が畦塗り機1の左右水平方向に略一致した状態に位置する。
【0036】
また、図2に示すように、図1の前進作業状態から、第1の操作ピン43のみを一旦抜き取り、第1の連結アーム体23を回動中心軸線Y1を中心として第2の連結アーム体35とともに所定量回動させ、第1の固定体27の第2孔29とトラクタ側フレーム2のピン保持板21のピン挿通用孔22とを上下に一致させた状態とし、これらの第2孔29およびピン挿通用孔22に第1の操作ピン43を挿通して装着し直すと、第1の連結アーム体23および第2の連結アーム体35がトラクタ側フレーム2に対して固定され、畦塗り機1がトラクタTの後方位置に位置する非作業状態に設定された状態となる。なお、この状態では、第2の連結アーム体35の回動中心軸線Y2は、トラクタTの左右方向中心線X上には位置せず、左右方向中心線XからトラクタTの他側である左側に所定距離だけずれた位置に位置する。
【0037】
さらに、図3に示すように、図2の非作業状態から、第2の操作ピン44のみを一旦抜き取り、第1の連結アーム体23を固定させたまま、第2の連結アーム体35を回動中心軸線Y2を中心として所定量回動させ、第2の固定体39の挿通孔40と、第1の連結アーム体23の他側ピン保持板部33のピン挿通用孔34とを上下に一致させた状態とし、これらの挿通孔40およびピン挿通用孔34に第2の操作ピン44を挿通して装着し直すと、第1の連結アーム体23および第2の連結アーム体35がトラクタ側フレーム2に対して固定され、畦塗り機1がトラクタTの後退走行に基づいて畦塗り作業可能な後退作業状態に設定された状態となる。
【0038】
なお、この状態では、第2の連結アーム体35の回動中心軸線Y2は、トラクタTの左右方向中心線X上には位置せず、左右方向中心線XからトラクタTの他側である左側に所定距離だけずれた位置に位置する。また、第2の連結アーム体35は、第2の連結アーム体35の長手方向が畦塗り機1の左右水平方向に略一致した状態に位置する。
【0039】
また一方、畦塗り機1は、図1、図4および図5に示すように、第2の連結アーム体35の先端部に取り付けられた移動機枠である作業側フレーム51を備え、この作業側フレーム51に土作業手段45が吊下げ状態に支持されている。
【0040】
この作業側フレーム51は、第2の連結アーム体35のアーム部材36の長手方向の他端部上面から突出した二つの板部56,56からなる調節体取付け部材57と、アーム部材36の長手方向の他端部下面から突出した断面コ字形状の支軸体取付け部材58とを有している。
【0041】
そして、調節体取付け部材57の板部56には、細長板形状に形成された作業深さ調節用の調節体60の長手方向の一端部である基端部が、水平方向のピン61を介して回動可能に取り付けられている。この調節体60は、先端側が昇降するようにピン61を中心として回動可能となっており、先端部には左右に貫通した複数、例えば3つの調節用孔62a,62b,62cが形成されている。これらの3つの調節用孔62a,62b,62cは、調節体60の先端部に調節体60の長手方向に互いに所定間隔をおいて互いに近接した状態で並設されている。
【0042】
また、支軸体取付け部材58には、左右に互いに離間対向した板部58a,58b間に左右方向の支軸体65が水平状に架け渡され、この支軸体65の軸方向は水平方向に一致している。この支軸体65には、前後方向に長手方向を有する細長形状の支持アーム66の基端部が回動可能に取り付けられている。
【0043】
この支持アーム66は、先端側が昇降するように支軸体65すなわち支軸体65の軸心を通る線である回動中心軸線Aを中心として回動調節可能な構成となっており、この支持アーム66の先端部近傍の上面からは左右に互いに離間対向した板状の一対のピン保持部67,67が突出し、各ピン保持部67には左右に貫通したピン挿通用孔68が形成されている。
【0044】
そして、例えば図4に示す状態では、支持アーム66のピン挿通用孔68と選択された例えば調節用孔62bとが左右に一致し、この一致した調節用孔62bおよびピン挿通用孔68に操作体としての調節ピン69が挿通装着され、その結果、支持アーム66が回動しないよう支軸体65に対して固定された状態となっている。この状態では、支持アーム66の長手方向が畦塗り機1の前後水平方向に一致した状態となっている。
【0045】
また、作業側フレーム51は、図4に示されるように、支持アーム66に取付け部材71,71を介して固着された単一伝動ケース72を有している。
【0046】
この単一伝動ケース72は、土作業手段45を支持する支持フレームの機能を備えたもので、図6に示すように、中空状の入力軸用支持部74を有している。
【0047】
そして、この入力軸用支持部74の一側面部である前面部から略細長円筒形状で中空状のロータリー用支持部75が前方に向って突出し、入力軸用支持部74の他側面部である後面部から中空状の畦塗り体用支持部76が後方に向って突出している。
【0048】
この入力軸用支持部74は、左右方向の中間入力軸82を複数の軸受け部材81を介して回転可能に水平状に支持しており、この中間入力軸82の先端側は、入力軸用支持部74の一側面である左側面に開口形成された円形の挿通口74aを介して入力軸用支持部74外に突出して露出している。
【0049】
この中間入力軸82の入力軸用支持部74外に突出した先端部には、一端部を連結部材13aを介して入力軸12に連結した動力伝達軸体13の軸本体部材13cの他端部が連結部材13bを介して連結されている。連結部材13aおよび連結部材13bは、それぞれ、例えばダブル広角のユニバーサルジョイント等であり、連結部材13a、連結部材13bおよび軸本体部材13c等にて動力伝達軸体13が構成されている。なお、図1に示されるように、中間入力軸82の軸方向は、畦塗り機1の左右水平方向に略一致しており、平面からみて、入力軸12の軸方向と直交している。
【0050】
また、中間入力軸82の入力軸用支持部74内に収容された基端部には、第1べベルギア83および第1ギア84が軸方向に並んで固着されている。
【0051】
この中間入力軸82の第1べベルギア83には、複数の軸受け部材85にて回転可能に軸支された中間連絡軸86の第2べベルギア87が噛み合わされ、この中間連絡軸86の第2ギア88に前後方向の回転軸としてのロータリー出力軸91の第3ギア92が噛み合わされている。なお、第1べベルギア83、第2べベルギア87、第1ギア84、第2ギア88、第3ギア92および中間連絡軸86は、入力軸用支持部74内に収容されている。
【0052】
このロータリー出力軸91は、ロータリー用支持部75によって軸方向が前後方向に一致した状態に支持されており、このロータリー出力軸91は、入力軸用支持部74内の一方の軸受け部材93とロータリー用支持部75内の他方の軸受け部材94とで回転可能に軸支されている。
【0053】
そして、ロータリー出力軸91のロータリー用支持部75外に挿通口75aを介して突出した先端部である前端部の外周面には、畦塗り用の土を耕耘して跳ね上げる複数列状の耕耘爪96が突設されている。
【0054】
すなわち、ロータリー出力軸91の前端部外周面には、例えば異なる2方向に突出した細長状の複数の爪取付け部95,95が、ロータリー出力軸91の軸方向に等間隔をおいて複数列、例えば3列並設されており、これら3列の爪取付け部95はロータリー出力軸91の前側のものほど長さが短くなっている。つまり、前側の爪取付け部95の突出長さが後側の爪取付け部95の突出長さより順次短くなっている。
【0055】
また、各爪取付け部95の先端部には、長さが等しい互いに同一の所定形状をなす爪本体97が着脱可能に取り付けられている。各爪本体97は、先端側が後方に向って折り曲げられた形状つまり平面視で略L字の形状をなすように、本体部97aとこの本体部97aの先端に連設された折曲部97bとにて構成されている。折曲部97bの長さが前後に隣接する爪取付け部95,95間の距離と略等しく、折曲部97bの後端は1つ後方の本体部97aの近傍位置に位置している。
【0056】
そして、爪取付け部95および爪本体97にて段差を有した耕耘爪96が構成され、これら複数列、例えば3列の耕耘爪96は、前後方向のロータリー出力軸91の外周面から軸方向に等間隔をおいた状態で突出している。
【0057】
また、これら3列の耕耘爪96は、進行方向前側のものほどロータリー出力軸91からの突出長さHが短くなるように階段状に構成され、回転軌跡が段差のある略円錐台柱状となる。
【0058】
つまり、進行方向前側の耕耘爪96のロータリー出力軸91からの突出長さHが進行方向後側の耕耘爪96の突出長さより順次短くなっており、ロータリー出力軸91の前端位置の1列目の耕耘爪96の突出長さH=H1より2列目の耕耘爪96の突出長さH=H2の方が長く、2列目の耕耘爪96の突出長さH=H2より3列目の耕耘爪96の突出長さH=H3の方が長くなっている。
【0059】
なお、図6上では各列の耕耘爪96を同位相で示したが、2列目の耕耘爪96は1列目の耕耘爪96に対して位相が60度ずれ、3列目の耕耘爪96は2列目の耕耘爪96に対して位相が60度ずれている。また、これら3列の耕耘爪96にてロータリー98が構成されている。
【0060】
そして、ロータリー98は、トラクタTからの駆動力により、ロータリー出力軸91と一体となって駆動回転し、畦塗り用の土を耕起、砕土して跳ね上げる。なお、ロータリー98の上方および側方は、図1に示されるように土の飛散を防止するカバー体99にて覆われている。
【0061】
一方、入力軸用支持部74にて支持された中間入力軸82の第1ギア84には、畦塗り体出力軸101の第4ギア102が噛み合わされている。この畦塗り体出力軸101は、畦塗り体用支持部76によって軸方向が左右水平方向に一致した状態に支持されており、この畦塗り体出力軸101は、畦塗り体用支持部76内に設けられた複数の軸受け部材100にて回転可能に軸支されている。
【0062】
また、畦塗り体出力軸101は、基端側半分が畦塗り体用支持部76内に収容され、先端側半分が畦塗り体用支持部76外に挿通口76aを介して突出している。畦塗り体出力軸101の軸方向とロータリー出力軸91の軸方向とは平面視で直交状となるように配置されている。なお、図4および図5に示す状態では、回動中心軸線Aは、畦塗り体出力軸101の軸心を通る線である左右水平方向の回転中心軸線Bの近傍上方位置に位置し、この回転中心軸線Bと略平行であり、回動中心軸線Aと回転中心軸線Bと平面視で略一致している。
【0063】
そして、畦塗り体出力軸101の畦塗り体用支持部76外に突出した先端部に、截頭円錐形状の環状部材104を介して略筒状の畦塗り体105が取り付けられている。
【0064】
この畦塗り体105は、例えば、旧畦イの上面部を整畦する円筒形状の上面塗り部材106と旧畦イの傾斜状の側面部を整畦する截頭円錐形状の側面塗り部材107とにて構成されている。この畦塗り体105の上方は土の飛散を防止するカバー体108にて覆われている。なお、畦塗り体105およびロータリー98にて土作業手段45が構成されている。
【0065】
こうして、図1に示されるように、作業側フレーム51の単一伝動ケース72に、ロータリー98が前後方向のロータリー出力軸91を介して取り付けられかつ畦塗り体105が左右方向の畦塗り体出力軸101を介して取り付けられている。
【0066】
ここで、ロータリー出力軸91は、トラクタTの前輪、車輪を旧畦イに沿わせることができるように、畦塗り体105とともに上下方向の回動中心軸線Y1を中心として左右方向に回動調節可能となっている。すなわち、第1の連結アーム体23を第1の支軸体15を中心として回動させ、第1の操作ピン43を挿通する第1孔28a,28b,28cを切り換えることで、ロータリー出力軸91を左右方向に回動調節できる。
【0067】
また、ロータリー出力軸91は、ロータリー98の作業深さを所望の深さに設定できるように、左右方向の回動中心軸線Aを中心として回動調節可能となっている、すなわち、支持アーム66を支軸体65を中心として回動させかつ調節体60をピン61を中心として回動させ、調節ピン69を挿通する調節用孔62a,62b,62cを切り換えることで、ロータリー出力軸91を上下方向に回動調節できる。
【0068】
そして、土作業手段45が所望の状態に調節した後、トラクタT側からの駆動力が、入力軸12、動力伝達軸体13等を介して、中間入力軸82に入力されると、ロータリー出力軸91が所定方向に駆動回転するとともに畦塗り体出力軸101が所定方向に駆動回転する。その結果、ロータリー98の爪本体97で畦塗り用の土が耕耘されて跳ね上げられ、この土が畦塗り体105の上面塗り部材106にて旧畦イの上面部に塗り付けられ、側面塗り部材107にて旧畦イの側面部に塗り付けられ、新畦ロが形成される。畦塗り体105の回転速度は、トラクタTの車輪回転速度よりも速くなるように設定されている。
【0069】
また一方、畦塗り機1は、図4および図5に示すように、畦塗り作業時に、圃場の土から受ける力によってロータリー98および畦塗り体105が畦から浮き上がることを阻止する浮上り阻止手段111を備えている。
【0070】
この浮上り阻止手段111は、支持アーム66および単一伝動ケース72のロータリー用支持部75に取付け部材112を介して固定的に取り付けた上下方向に長手方向を有する細長板状の支持体113を有し、この支持体113の下端部に圃場の土中を走行可能な土中走行体115が一体に設けられている。
【0071】
この土中走行体115は、例えば、畦塗り体105の側面塗り部材107を旧畦の側面部に押え付ける側面塗り部材押付け部117と、畦塗り体105の上面塗り部材106を旧畦の上面部に押え付ける上面塗り部材押付け部116とにて構成されている。
【0072】
この側面塗り部材押付け部117は、例えば、上下方向に長手方向を有する細長板形状に形成され、図1に示すように傾斜状に配置されている。すなわち、側面塗り部材押付け部117は、幅方向の一端側から他端側に向って、すなわち、走行方向の後端側から前端側に向って、トラクタTの左右方向中心線Xからの距離が徐々に増大する方向に傾斜している。なお、図4に示すように、側面塗り部材押付け部117の走行方向前端縁部には地面を垂直状に切削する切削刃部117aが形成されている。
【0073】
また、上面塗り部材押付け部116は、略四角板形状に形成され、図4に示すように、側面塗り部材押付け部117の下端部に傾斜状に固定されている。すなわち、上面塗り部材押付け部116は、走行方向の後端側から前端側に向って下方向に傾斜し、走行方向前端側が先細形状に形成されている。
【0074】
そして、トラクタTの走行に基づく土中走行体115の走行時に、側面塗り部材押付け部117の走行方向前方を向いた一側面に土圧が作用し、その結果、側面塗り部材107が走行方向一側である右方に付勢され、側面塗り部材107の外面側が旧畦の傾斜した側面部に比較的強い押圧力で押え付けられる。同時に、上面塗り部材押え部116の上面に土圧が作用し、その結果、上面塗り部材106が下方に付勢され、上面塗り部材106の下面側が旧畦の上面部に比較的強い押圧力で押え付けられる。このため、畦塗り体105にて固く締った畦が形成される。
【0075】
なお、入力軸12、動力伝達軸体13、連結部材13a,13b、中間入力軸82、第1べベルギア83、第2べベルギア87、中間連絡軸86、第2ギア88、第3ギア92、ロータリー出力軸91、第1ギア84、第4ギア102および畦塗り体出力軸101にて伝動手段110が構成され、この伝動手段110は、トラクタT側からの動力をロータリー98および畦塗り体105からなる土作業手段45に伝達するものである。
【0076】
次に、上記一実施の形態を用いて、旧畦イを補修する畦塗り作業を行う場合について説明する。
【0077】
土作業である畦塗り作業を行うに際し、作業者は、トラクタTの三点リンク機構T1を利用して畦塗り機1全体を所定の高さ位置まで持ち上げて吊下げ保持した状態で、第1の操作ピン43および第2の操作ピン44を適宜に操作し、畦塗り機1を図1の前進作業状態に設定する。
【0078】
この図1の前進作業状態では、ロータリー98および畦塗り体105は、畦塗り機1の片側である右側に配置され、トラクタTより右側方にやや突出しており、ロータリー98がトラクタT側に位置し、このロータリー98の後方に畦塗り体105が位置する。
【0079】
ここで、例えば、トラクタTの大きさ、例えば左右車輪幅であるトレッド等に起因して、図1に示す状態つまり図7の2点鎖線で示す状態では、トラクタTの車輪を旧畦イの下端部に沿わせることができない場合には、図7の実線で示すように、第1の操作ピン43を第1孔28cに切り換えることで、ロータリー出力軸91を回動中心軸線Y1を中心に回動調節し、ロータリー出力軸91を前端ほど旧畦イ側に接近するように前後方向に対してやや傾斜させた状態とする。
【0080】
なお、このロータリー出力軸91の回動に伴って畦塗り体105が回動して左右方向中心線X側にやや変位する。図示しないが、第1の操作ピン43を第1孔28aに切り換えた際には、ロータリー出力軸91を前端ほど旧畦イ側から離反するように前後方向に対してやや傾斜した状態となる。
【0081】
また、例えば、図8の2点鎖線で示す状態では、旧畦イ側に供給されて塗り付けられる土の量が足らない場合には、図8の実線で示すように、調節ピン69を調節用孔62aに切り換えることで、ロータリー出力軸91を回動中心軸線Aを中心に回動調節し、ロータリー出力軸91を前端ほど田面ハ側に接近するように前低後高の傾斜状とし、ロータリー98の下端部を田面ハ内に位置させる。図示しないが、調節ピン69を調節用孔62cに切り換えた際には、ロータリー出力軸91を前高後低の傾斜状となる。
【0082】
こうして、ロータリー98および畦塗り体105を適切な作業位置に配置させた後、トラクタTの三点リンク機構T1による持上げ保持を解除し、トラクタTの車輪を旧畦イに沿わせながら、トラクタTを前進走行させると、トラクタTと一体となって畦塗り機1が旧畦イに沿って移動する。
【0083】
そして、この畦塗り機1の移動により、ロータリー98で畦塗り用の土が耕耘されて跳ね上げられ、この跳ね上げられた所望の量の土が畦塗り体105で旧畦イに塗り付けられて整畦され、新畦ロが形成される。なお、ロータリー98を構成する3列の耕耘爪96は、田面ハの表面部の土および旧畦イの側面部の土を掘り起すようにして耕耘する。
【0084】
運転席の作業者は、トラクタTの車輪を旧畦に沿わせることで、トラクタTの直進性を得ることができ、トラクタTを走行方向にまっすぐに走行させることができる。
【0085】
また、この畦塗り機1の走行時には、浮上り阻止手段111の土中走行体115は、田面ハの土の中を走行し、この土中走行体115には所定方向の土圧が作用し、その結果、畦塗り機1の重量がその分だけ増大し、畦塗り体105の側面塗り部材107が旧畦の傾斜した側面部に比較的強い押圧力で押え付けられ、畦塗り体105の上面塗り部材106が旧畦の上面部に比較的強い押圧力で押え付けられ、固く締った新畦ロが形成される。
【0086】
そして、新畦ロの形成が進み、トラクタTが圃場の端部に到達した場合、運転席の作業者は、トラクタTのハンドルをきってトラクタTの向きを反対にする。
【0087】
次いで、作業者は、トラクタTの三点リンク機構T1を利用して畦塗り機1を所定の高さ位置に持上げ保持した状態で、第1の操作ピン43を一旦抜き取り、第1の連結アーム体23を回動中心軸線Y1を中心として第2の連結アーム体35、作業側フレーム51等とともに所定量回動させ、第1の固定体27の第2孔29と、トラクタ側フレーム2のピン保持板21のピン挿通用孔22とを上下に一致させた状態とし、これらの第2孔29およびピン挿通用孔22に第1の操作ピン43を挿通して装着し直す。
【0088】
また、作業者は、第2の操作ピン44を一旦抜き取り、第1の連結アーム体23を固定させたまま、第2の連結アーム体35を回動中心軸線Y2を中心として作業側フレーム51等とともに所定量回動させ、第2の固定体39の挿通孔40と、第1の連結アーム体23の他側ピン保持板部33のピン挿通用孔34とを上下に一致させた状態とし、これらの挿通孔40およびピン挿通用孔34に第2の操作ピン44を挿通して装着し直す。なお、伝動手段110の動力伝達軸体13は、第1の連結アーム体23の回動調節時および第2の連結アーム体35の回動調節時において、入力軸12および中間入力軸82と連結させたままでよく、連結解除する必要はない。
【0089】
こうして、図3の後退作業状態とされた畦塗り機1のロータリー98および畦塗り体105は、畦塗り機1の片側である左側に配置され、トラクタTに対して左側方に突出しており、畦塗り体105がトラクタT側に位置し、この畦塗り体105の後方にロータリー98が位置する。なお、この状態では、ロータリー98および畦塗り体105は、上述の図1の前進作業姿勢時に比べて、トラクタTに対する突出量(トラクタTの左右中心線Xからの距離)が大きくなるように設定されている。
【0090】
そして、作業者は、トラクタTの三点リンク機構T1による持上げ保持を解除した後、トラクタTの車輪と新畦ロとの空間を維持したまま、トラクタTを後退走行させる。
【0091】
すると、トラクタTと一体となって畦塗り機1が旧畦イに沿って移動し、ロータリー98で畦塗り用の土が耕耘されて跳ね上げられ、この跳ね上げられた土が畦塗り体105で旧畦イに塗り付けられて整畦され、新畦ロが形成される。このとき、トラクタTの車輪で新畦ロを潰してしまうことがなく、また、ロータリー98で田面ハに形成された凹溝部に車輪が落ち込み、トラクタTが傾いてしまうこともない。
【0092】
一方、作業者は、畦塗り機1の運搬時、畦塗り機1のトラクタTへの脱着時等には、作業者は、ロータリー98および畦塗り体105からなる土作業手段45を図2の非作業状態に設定する。
【0093】
すなわち、図2に示すように、ロータリー98および畦塗り体105を、トラクタTの走行方向と交差する傾斜方向に並べた状態として、トラクタTの後方位置に設定する。
【0094】
このトラクタTの後方位置とは、例えば、畦塗り機1を持上げ保持した状態でのトラクタTの左右重量バランスを良好にできるように、畦塗り機1全体の重心がトラクタTの後方で左右方向中心線X上に位置する位置、或いは、例えば、畦塗り機1のトラクタT側方への出っ張りを少なくできるように、畦塗り機1の左右方向の寸法(幅方向寸法)の中心がトラクタTの後方で左右方向中心線X上に位置する位置である。なお、トラクタTの後方位置は、畦塗り機1全体の重心および畦塗り機1の左右方向の寸法(幅方向寸法)の中心が、ともにトラクタTの後方で左右方向中心線X上に位置する位置であればより好ましい。
【0095】
そして、上記一実施の形態によれば、複数列、例えば3列の耕耘爪96を前側の耕耘爪96の突出長さHが後側の耕耘爪96の突出長さHより順次短くなるよう階段状に構成したので、作業時における耕耘抵抗を確実に分散でき、各列の耕耘爪96,96,96に作用する土からの負荷の大小を抑制でき、よって、耕耘振動を比較的小さくでき、安定した畦塗り作業ができる。
【0096】
また、ロータリー出力軸91は、畦塗り体105とともに上下方向の回動中心軸線Y1を中心として回動調節可能な構成としたので、例えばトラクタTのトレッドに応じてロータリー98つまり耕耘爪96と畦塗り体105とを適切な作業位置に配置でき、車輪を旧畦イの下端部に沿わせつつトラクタTを前進走行できるため、トラクタTがふらつくようなことがなく、適切な畦塗り作業ができる。
【0097】
しかも、ロータリー出力軸91を前端ほど畦側に接近するように前後方向に対してやや傾斜させたとしても、3列の耕耘爪96が前側のものほどロータリー出力軸91からの突出長さが短くなっているため、1列目の耕耘爪96のみが畦側に行きすぎるようなことがなく、耕耘抵抗を適切に分散でき、耕耘振動を確実に小さくできる。
【0098】
さらに、ロータリー出力軸91は、左右方向の回動中心軸線Aを中心として回動調節可能な構成としたので、例えば田面ハの土質や旧畦イ側に供給される土量等に応じて耕耘爪96の作業深さを所望の深さに設定でき、適切な畦塗り作業ができる。
【0099】
しかも、ロータリー出力軸91を前低後高状となるように傾斜させたとしても、3列の耕耘爪96が前側のものほどロータリー出力軸91からの突出長さが短くなっているため、1列目の耕耘爪96の作業深さのみが深くなりすぎるようなことがなく、耕耘抵抗を適切に分散でき、耕耘振動を確実に小さくできる。
【0100】
さらには、屈曲状の各耕耘爪96は、それぞれ先端屈曲側が後方の畦塗り体105を向くように、ロータリー出力軸91に対して取り付けられているので、畦塗り用の土を各耕耘爪96の先端側から後方の畦塗り体105に向けてスムーズに送り出すことができ、よって、効率良く適切な畦塗り作業ができる。
【0101】
また、耕耘爪96に対する耕耘抵抗の分散により、耕耘振動を小さくできるため、土塊を小さくでき、耕耘爪96の砕土性を向上でき、確実に固く締った新畦ロが形成できる。
【0102】
なお、上記実施の形態では、ロータリー出力軸91の前端部外周面に、3列の耕耘爪96を突設した場合について説明したが、3列には限定されず、例えば2列或いは4列以上にしてもよい。
【0103】
また、上記いずれの実施の形態でも、各列の耕耘爪96は、異なる2方向を向いた2本構成としたが、放射状に多数の方向、例えば4方向、5方向、8方向等を向いた任意本数の構成でもよい。
【0104】
さらに、耕耘爪96は、異なる長さの爪取付け部95と同じ長さの爪本体97とで構成されたものには限定されず、例えば、図示しないが、同じ長さの爪取付け部と異なる長さの爪本体とで構成されたものでもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 畦塗り機
91 回転軸としてのロータリー出力軸
95 爪取付け部
96 耕耘爪
97 爪本体
97a 本体部
97b 折曲部
105 畦塗り体
T 走行車としてのトラクタ
A 左右方向の回動中心軸線
Y1 上下方向の回動中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車の走行にて畦に沿って移動しながら、前後方向の回転軸の外周面からこの回転軸の軸方向に所定間隔をおいた状態で突出した複数列の耕耘爪で畦塗り用の土を耕耘して跳ね上げこの跳ね上げられた土を畦塗り体で旧畦に塗り付ける畦塗り機において、
前記複数列の耕耘爪は、それぞれ先端屈曲側が後方の畦塗り体を向くように取り付けられている
ことを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】
回転軸は、左右方向の回動中心軸線を中心として回動調節可能な構成とした
ことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。
【請求項3】
回転軸は、畦塗り体とともに上下方向の回動中心軸線を中心として回動調節可能な構成とした
ことを特徴とする請求項1または2記載の畦塗り機。
【請求項4】
耕耘爪は、出力軸の外周面に設けられた爪取付け部およびこの爪取付け部に着脱可能に取り付けられた爪本体にて構成され、
前記爪本体は、平面視で略L字の形状をなすように、本体部とこの本体部の先端に連設された折曲部とにて構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の畦塗り機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−81945(P2010−81945A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11074(P2010−11074)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【分割の表示】特願2001−90787(P2001−90787)の分割
【原出願日】平成13年3月27日(2001.3.27)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】