説明

異なるセッション制御サーバに基づくアクセスネットワーク間のハンドオーバ方法及びシステム

【課題】単一の無線モジュールしか搭載していない移動端末であっても、セッションの中断によるパケットロスを生じることなく、異なるP/S−CSCFによって制御されるアクセスネットワーク間でハンドオーバすることができるハンドオーバ方法等を提供する。
【解決手段】移動元アクセスルータPAR12は、移動先アクセスポイントNAP21のBSSIDと、NAR22の管理下の新アドレスNA(New Address)とを対応付けて記憶する。移動端末が、NAP21から取得したBSSIDを用いて、PAR12から新アドレスNAを受信する。その後、移動端末10は、移動先CSCFに対する位置登録要求REGISTERを、新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたその位置登録パケットを、PAR12を介してNAR22へ送信する。NAR22は、位置登録パケットのIPカプセルを除去し、その位置登録要求を、移動先CSCFへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なるセッション制御サーバに基づくアクセスネットワーク間のハンドオーバ方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来技術におけるシステム構成図である。
【0003】
図1のシステムによれば、第1のアクセスネットワーク1及び第2のアクセスネットワーク2が、IMS(IP Multimedia Subsystem)/MMD(MultiMedia Domain)コアネットワーク(IP(Internet Protocol)サブシステムネットワーク)3に接続されている。第1のアクセスネットワーク1と第2のアクセスネットワーク2とは、異なるドメインに属しており、異なる呼セッション制御機能(CSCF(Call Session Control Function))によって制御される。
【0004】
移動元の第1のアクセスネットワーク1は、移動端末UE(User Equipment)10から無線リンクを介して接続される移動元の第1のアクセスポイントPAP(Previous Access Point)11と、IMS/MMDコアネットワーク3に接続される移動元の第1のアクセスルータPAR(Previous Access Router)12とを有する。第2のアクセスネットワーク2は、移動端末10と通信中の相手方端末20と、移動端末10の移動先の第2のアクセスポイントNAP(New Access Point)21と、IMS/MMDコアネットワーク3に接続される第2のアクセスルータNAR(New Access Router)22とを有する。アクセスネットワーク1及び2は、例えば携帯電話網や、無線/有線ブロードバンドアクセス網である。移動端末10及び相手方端末20は、SIP(Session Initiation Protocol)クライアント機能を有する。図1によれば、PAP11に接続している移動端末10が、第2のアクセスネットワーク2に接続された相手方端末20と通信している際に、NAP21へハンドオーバしている。
【0005】
IMS/MMDコアネットワーク3は、第1のアクセスネットワーク1の第1のドメインを管理するために、呼セッション制御機能としての複数のP−CSCF(Proxy-CSCF)13及びS−CSCF(Serving-CSCF)14と、加入者情報サーバ(HSS(Home Subscriber Server))15とを有する。また、IMS/MMDコアネットワーク3は、第2のアクセスネットワーク2の第2のドメインを管理するために、複数のP−CSCF23及びS−CSCF24と、HSS25とを有する。
【0006】
P−CSCF13又は23は、端末から、アクセスネットワーク1又は2を介して直接的にアクセスされる。そして、P−CSCF13は、セッション毎にメディア情報を抽出し、セッション確立時にアクセスルータに対するゲート制御及びリソース制御を指示する。P−CSCF13は、端末からの位置登録時に決定され、端末との間にセキュアなIPsecトンネルを確立する。端末から受信したSIPメッセージは、S−CSCF14又は24へ転送される。
【0007】
S−CSCF14又は24は、サービス実行及び呼セッション制御のための中心的なSIPサーバである。S−CSCF14は、自身が管理するドメインを有し、そのドメインの範囲内のSIP-URI(SIP - Uniform Resource Identifier)について制御する。また、S−CSCF14又は24は、加入者プロファイル情報を管理するHSS15及び25に接続され、ユーザ認証を実行する。
【0008】
更に、IMS/MMDコアネットワーク3は、サービス集中継続アプリケーションサーバSCC−AS(Service Centralization and Continuity - Application Server)30を有する。SCC−AS30は、第1のS−CSCF14と第2のS−CSCF24とのに接続される。SCC−AS30は、異なるCSCFの管理下のアクセスネットワークの間で、移動端末10がハンドオーバした場合であっても、呼セッションを継続させるためのアプリケーションサーバである。
【0009】
図2は、従来技術におけるハンドオーバのシーケンス図である。
【0010】
(S201)移動端末10は、無線リンクを介してPAP11に接続する。そして、移動端末10は、PAP11を介して、PAR12へ、位置登録要求REGISTERを送信する。PAR12は、位置登録要求REGISTERを、第1のP−CSCF13へ転送し、第1のP−CSCF13は、その位置登録要求REGISTERを、第1のS−CSCF14へ転送する。
【0011】
第1のS−CSCF14は、その位置登録要求REGISTERについて、HSS15から加入者プロファイルを取得する。加入者プロファイルは、アプリケーションサーバに対する呼び出し条件としてのiFC(initial Filter Criteria)情報を含む。ここで、第1のS−CSCF14は、iFC情報に応じて、その位置登録要求REGISTERを、3rd party registrationによってSCC−AS30へ更に転送する。
【0012】
SCC−AS30は、位置登録要求REGISTERのSIP-URIを、第1のS−CSCF14に対応付けて位置登録をする。そして、SCC−AS30は、位置登録応答200OKを、第1のS−CSCF14へ返信する。第1のS−CSCFは、位置登録応答200OKを第1のP−CSCF13へ転送する。第1のP−CSCF13は、その位置登録応答200OKを、PAR12及びPAP11を介して、移動端末10へ転送する。
【0013】
(S202)通信の相手方端末20も、S201と同様のシーケンスで、第2のS−CSCF24及びSCC−AS30に対して、位置登録要求REGISTERを送信する。
【0014】
(S203)移動端末10は、相手方端末20に対して、呼接続要求INVITEを送信する。呼接続要求INVITEは、PAP11、PAP12及び第1のP−CSCF13を介して、第1のS−CSCF14によって受信される。第1のS−CSCF14は、呼接続要求INVITEを、iFC情報に基づいてSCC−AS30へ転送する。
【0015】
(S204)SCC−AS30は、一度セッションを終端した後、相手方端末20宛に新しいセッション情報を作成し、位置登録要求INVITEを、第1のS−CSCF14へ送信する。第1のS−CSCF14は、iFC情報に応じて、その位置登録要求INVITEを、第2のS−CSCF24へ転送する。第2のS−CSCF24は、iFC情報に応じて、その位置登録要求INVITEを、再度、SCC−AC30へ転送する。
【0016】
(S205)SCC−AS30は、再度セッションを終端した後、相手方端末20宛に新しいセッション情報を作成し、位置登録要求INVITEを、第2のS−CSCF24へ送信する。第2のS−CSCF24は、iFC情報に応じて、位置登録要求INVITEを第2のP−CSCF23へ送信する。第2のP−CSCF23は、その位置登録要求INVITEを、NAR22を介して相手方端末20へ転送する。相手方端末20は、ユーザの応答許可操作によって、呼接続応答200OKを返信する。
【0017】
(S206)移動端末10と相手方端末20との間で、SIPによる呼接続が確立し、ユーザデータを直接的に通信する。
【0018】
次に、移動端末10は、第2のアクセスネットワーク2が接続されたNAP21へハンドオーバする。
【0019】
(S211)移動端末10は、PAP11との間の無線リンクを切断する。
(S212)移動端末10は、第2のアクセスネットワーク2へ向けて移動する。
(S213)移動端末10は、第2のアクセスネットワーク2のNAP21との間で、無線リンクを接続する。
(S214)移動端末10は、第2のアクセスネットワークにおけるIPアドレスを取得し、呼を確立する。
(S215)移動端末10は、NAP21を介して、NAR22へ、位置登録要求REGISTERを送信する。NAR21は、位置登録要求REGISTERを、第2のP−CSCF23へ転送し、第2のP−CSCF23は、その位置登録要求REGISTERを、第2のS−CSCF24へ転送する。第2のS−CSCF24は、iFC情報に応じて、その位置登録要求REGISTERを、3rd party registrationによってSCC−AS30へ更に転送する。SCC−AS30は、位置登録要求REGISTERのSIP-URIを、第2のS−CSCF24に対応付けて位置登録をする。そして、SCC−AS30は、位置登録応答200OKを、移動端末10へ向けて返信する。
(S216)移動端末10は、相手方端末20に対して、呼接続要求INVITEを送信する。呼接続要求INVITEは、NAP21、NAP22及び第2のP−CSCF23を介して、第2のS−CSCF24によって受信される。第2のS−CSCF24は、呼接続要求INVITEを、iFC情報に基づいてSCC−AS30へ転送する。
【0020】
(S217)SCC−AS30は、一度セッションを終端した後、相手方端末20宛に新しいセッション情報を作成し、位置登録要求INVITEを、第1のS−CSCF14へ送信する。第1のS−CSCF14は、iFC情報に応じて、その位置登録要求INVITEを、第2のS−CSCF24へ転送する。第2のS−CSCF24は、iFC情報に応じて、その位置登録要求INVITEを、再度、SCC−AC30へ転送する。
【0021】
(S218)SCC−AS30は、再度セッションを終端した後、相手方端末20宛に新しいセッション情報を作成し、位置登録要求INVITEを、第2のS−CSCF24へ送信する。第2のS−CSCF24は、iFC情報に応じて、位置登録要求INVITEを第2のP−CSCF23へ送信する。第2のP−CSCF23は、その位置登録要求INVITEを、NAR22を介して相手方端末20へ転送する。相手方端末20は、ユーザの応答許可操作によって、呼接続応答200OKを返信する。
【0022】
(S219)移動端末10と相手方端末20との間で、SIPによる呼接続が確立し、ユーザデータを直接的に通信する。これによって、移動端末10のハンドオーバが完了する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】3GPP TS 23.237: "IP MultimediaSubsystem. (IMS) service continuity; Stage 2"
【非特許文献2】R. Koodli、「Fast Handovers for Mobile IPv6」、RFC4068、20005年5月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
前述した図2のシーケンスによれば、異なるP/S−CSCFによって制御されるアクセスネットワーク間でハンドオーバする場合について説明している。ここで、移動端末が、複数の無線モジュールを備えている場合、2つのセッションを同時に確立することができ、スムーズにハンドオーバをすることもできる。しかしながら、移動端末が、単一の無線モジュールしか備えていない場合、セッション継続中に生じる通信切断によって、パケットロスが生じる。この通信切断の時間は、移動端末が、移動先アクセスポイントを探索し、移動先アクセスネットワークからIPアドレスを取得し、SIPメッセージの再呼接続の確立するために生じる。具体的には、図2によれば、S212〜S218までの時間だけ、セッションが中断すると共に、パケットロスが生じる。
【0025】
そこで、本発明は、単一の無線モジュールしか搭載していない移動端末であっても、セッションの中断によるパケットロスを生じることなく、異なるP/S−CSCFによって制御されるアクセスネットワーク間でハンドオーバすることができるハンドオーバ方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明によれば、第1のドメインを管理する第1の呼セッション制御サーバと、第2のドメインを管理する第2の呼セッション制御サーバとを有するIPサブシステムネットワークと、
第1の呼セッション制御サーバによって制御される第1のアクセスルータと、端末によって接続される第1のアクセスポイントとを有する第1のアクセスネットワークと、
第2の呼セッション制御サーバによって制御される第2のアクセスルータと、端末によって接続される第2のアクセスポイントとを有する第2のアクセスネットワークと
を有するシステムについて、第1のアクセスポイントに接続された移動端末が、第2のアクセスネットワークに接続された相手方端末と通信している際に、第2のアクセスポイントへハンドオーバするためのハンドオーバ方法において、
第1のアクセスルータは、第2のアクセスネットワークに接続された第2のアクセスポイントのネットワーク識別子と、第2のアクセスネットワークに接続された第2のアクセスルータの管理下の新アドレスNA(New Address)とを対応付けて記憶しており、
移動端末が、第2のアクセスポイントから、ネットワーク識別子を含む電波を受信する第1のステップと、
移動端末が、ネットワーク識別子を第1のアクセスルータへ送信し、第1のアクセスルータからネットワーク識別子に対応した新アドレスNAを受信する第2のステップと、
移動端末が、第2の呼セッション制御サーバに対する位置登録要求を、新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたその位置登録パケットを、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信する第3のステップと、
第2のアクセスルータが、位置登録パケットのIPカプセルを除去し、その位置登録要求を、第2の呼セッション制御サーバへ送信する第4のステップと
を有することを特徴とする。
【0027】
本発明のハンドオーバ方法における他の実施形態によれば、
IPサブシステムネットワークは、第1の呼セッション制御サーバと第2の呼セッション制御サーバとに接続されるサービス集中継続アプリケーションサーバを更に有し、
移動端末が、移動後の第2のアクセスネットワークを介した第2の呼セッション制御サーバに対する呼接続要求を、新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたその呼接続パケットを、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信する第5のステップと、
第2のアクセスルータが、呼接続パケットのIPカプセルを除去し、その呼接続要求を、第2の呼セッション制御サーバへ送信する第6のステップと
第2の呼セッション制御サーバが、呼接続要求を、サービス集中継続アプリケーションサーバへ送信する第7のステップと、
サービス集中継続アプリケーションサーバが、相手方端末の対向セッションに対する更新呼接続要求を、第2の呼セッション制御サーバへ送信する第8のステップと、
第2の呼セッション制御サーバは、更新呼接続要求を、第2のアクセスネットワークを介して相手方端末へ送信する第9のステップと
を更に有することも好ましい。
【0028】
本発明のハンドオーバ方法における他の実施形態によれば、
第2のステップについて、移動端末が、ユーザデータの転送を要求する転送要求メッセージを、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信し、
第2のアクセスルータが、相手方端末から移動端末へのユーザデータを受信した際に、ユーザデータを新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたそのユーザデータパケットを、第1のアクセスルータを介して移動端末へ送信する第10のステップと、
移動端末が、第2のアクセスポイントに接続している移動前に、バッファ開始要求を、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信する第11のステップと、
第2のアクセスルータが、相手方端末から移動端末へのユーザデータを受信した際に、ユーザデータをバッファする第12のステップと、
移動端末が、第2のアクセスポイントに接続した移動後に、第2のアクセスルータへ、バッファ解除要求を送信する第13のステップと、
第2のアクセスルータが、バッファしていたユーザデータを、第2のアクセスポイントを介して移動端末へ送信する第14のステップと
を更に有することも好ましい。
【0029】
本発明のハンドオーバ方法における他の実施形態によれば、
IPサブシステムネットワークは、IMS/MMDコアネットワークであり、
位置登録要求は、SIPのREGISTERであり、
呼接続要求は、SIPのINVITEであり、
更新呼接続要求は、SIPのreINVITEであり、
第1のステップ及び第2のステップは、FMIPv6(Fast handovers for MIPv6)のシーケンスによって実行される
ことも好ましい。
【0030】
本発明によれば、第1のドメインを管理する第1の呼セッション制御サーバと、第2のドメインを管理する第2の呼セッション制御サーバとを有するIPサブシステムネットワークと、
第1の呼セッション制御サーバによって制御される第1のアクセスルータと、端末によって接続される第1のアクセスポイントとを有する第1のアクセスネットワークと、
第2の呼セッション制御サーバによって制御される第2のアクセスルータと、端末によって接続される第2のアクセスポイントとを有する第2のアクセスネットワークと
を有するシステムについて、第1のアクセスポイントに接続された移動端末が、第2のアクセスネットワークに接続された相手方端末と通信している際に、第2のアクセスポイントへハンドオーバするためのシステムにおいて、
第1のアクセスルータは、第2のアクセスネットワークに接続された第2のアクセスポイントのネットワーク識別子と、第2のアクセスネットワークに接続された第2のアクセスルータの管理下の新アドレスNA(New Address)とを対応付けた記憶テーブル手段を有し、
移動端末は、
第2のアクセスポイントから、ネットワーク識別子を含む電波を受信する電波受信手段と、
ネットワーク識別子を第1のアクセスルータへ送信し、第1のアクセスルータからネットワーク識別子に対応した新アドレスNAを受信する移動先アドレス取得手段と、
第2の呼セッション制御サーバに対する位置登録要求を、新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたその位置登録パケットを、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信する位置登録要求送信手段と
を有し、
第2のアクセスルータは、位置登録パケットのIPカプセルを除去し、その位置登録要求を、第2の呼セッション制御サーバへ送信する位置登録転送手段を有する
ことを特徴とする。
【0031】
本発明のハンドオーバ用のシステムにおける他の実施形態によれば、
IPサブシステムネットワークは、第1の呼セッション制御サーバと第2の呼セッション制御サーバとに接続されるサービス集中継続アプリケーションサーバを更に有し、
移動端末は、第2の呼セッション制御サーバに対する呼接続要求を新アドレスNAによってIPカプセル化した呼接続パケットを、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信する呼接続要求送信手段を有し、
第2のアクセスルータは、呼接続パケットのIPカプセルを除去し、その呼接続要求を、第2の呼セッション制御サーバへ送信する呼接続転送手段を有することも好ましい。
【0032】
本発明のハンドオーバ用のシステムにおける他の実施形態によれば、
移動端末は、
ユーザデータの転送を要求する転送要求メッセージを、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信する転送制御手段と、
第2のアクセスポイントに接続している移動前に、バッファ開始要求を、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信し、且つ、第2のアクセスポイントに接続した移動後に、第2のアクセスルータへ、バッファ解除要求を送信するバッファ制御通知手段と
を更に有し、
第2のアクセスルータは、
相手方端末から移動端末へのユーザデータを受信した際に、ユーザデータを新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたそのユーザデータパケットを、第1のアクセスルータを介して移動端末へ送信するユーザデータ転送手段と、
相手方端末から移動端末へのユーザデータを受信した際に、ユーザデータをバッファし、且つ、バッファしていたユーザデータを、第2のアクセスポイントを介して移動端末へ送信するバッファ手段と
を更に有することも好ましい。
【0033】
本発明のハンドオーバ用のシステムにおける他の実施形態によれば、
IPサブシステムネットワークは、IMS/MMDコアネットワークであり、
位置登録要求は、SIPのREGISTERであり、
呼接続要求は、SIPのINVITEであり、
更新呼接続要求は、SIPのreINVITEであり、
電波受信手段及び移動先アドレス取得手段は、FMIPv6のシーケンスによって実行されることも好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明のハンドオーバ方法及びシステムによれば、単一の無線モジュールしか搭載していない移動端末であっても、セッションの中断によるパケットロスを生じることなく、異なるP/S−CSCFによって制御されるアクセスネットワーク間でハンドオーバすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来技術におけるシステム構成図である。
【図2】従来技術におけるハンドオーバのシーケンス図である。
【図3】本発明における第1のシステム構成図である。
【図4】図3におけるシーケンス図である。
【図5】本発明における第2のシステム構成図である。
【図6】図5におけるシーケンス図である。
【図7】本発明の移動端末及びアクセスルータの機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0037】
図3は、本発明における第1のシステム構成図である。
【0038】
図3のシステムによれば、図1と比較して、位置登録要求REGISTERが、第1のアクセスルータPAR12から、第2のアクセスルータNAR22、第2のP−CSCF23及び第2のS−CSCF24を介して、SCC−AS30へ転送される。これにより、移動端末10は、ハンドオーバ前に、移動先の第2のアクセスネットワークにおける位置登録を完了することができる。従って、移動端末10は、ハンドオーバした後、直ぐに、第2のアクセスネットワークを介して通信を継続することができる。
【0039】
図3によれば、移動端末10は、ハンドオーバ前に、第2のS−CSCF24との間のSIPメッセージを、NAR22を介して送受信するために、IPカプセル化(IP in IP)する。そのために、移動端末10は、NAR22のアドレスを知る必要がある。
【0040】
PAR12は、NAP21のネットワーク識別子と、NAR22のアドレスNA(New Address)(NAR22自身のアドレス、及び、第2のP−CSCF23のアドレス)とを対応付けて記憶する。移動端末10は、NAP21のネットワーク識別子によって、PAR12から、NAR22のアドレスNAを取得することができる。
【0041】
図4は、図3におけるシーケンス図である。
【0042】
(S401)移動端末10と相手方端末20との間で、SIPによる呼接続が確立し、直接的に通信されている。
【0043】
S402〜S407は、FMIPv6のシーケンスが実行される。これによって、ハンドオーバ前に、移動先アクセスネットワーク2で付与されるアドレスを取得することができ、このアドレスを用いて移動端末10からSIPメッセージによる位置登録をすることができる。
【0044】
(S402)最初に、移動端末10が、NAP21から、ネットワーク識別子を含む電波を受信する。ここでのネットワーク識別子は、BSSID(Basic Service Set IDentifier)である。BSSIDは、例えばIEEE802.11の無線LANにおける48ビットのネットワークの識別子であって、通常、アクセスポイントのMAC(Media Access Control)アドレスである。
(S403)移動端末10は、ルータ要請代理(Router Solicitation Proxy:RtSolPr)メッセージを、通信中のPAP11を介して、PAR12へ送信する。ルータ要請代理メッセージは、S402で取得したNAP21のBSSIDを含む。
(S404)PAR12は、記憶テーブルを用いて、ルータ要請代理メッセージに含まれるBSSIDから、新アドレスNA(New Address)を取得する。そして、PAR12は、その新アドレスNAを含む代理ルータ広告(Proxy Router Advertisement: PrRtAdv)メッセージを、移動端末10へ返信する。即ち、代理ルータ広告メッセージには、NAR22のアドレスと、第2のP−CSCF23のアドレスとが含まれる。また、代理ルータ広告メッセージには、IPレイヤを設定するための情報(例えばプレフィックス)も含まれる。
(S405)移動端末10は、代理ルータ広告メッセージに含まれる新アドレスNAを取得する。ここまでは、FMIPv6のシーケンスによって実現できる。
【0045】
(S406)移動端末10は、ユーザデータの転送を要求する転送要求メッセージを、通信中のPAP11を介して、PAR11へ送信する。転送要求メッセージの宛先アドレスは、NAR22のアドレスを表す。
【0046】
(S407)NAR22は、転送要求メッセージを受信した際に、転送応答メッセージを、PAR12を介して移動端末10へ返信する。これによって、NAR22は、相手方端末20から受信したユーザデータを、PAR21を介して移動端末10へ送信すべきことを認識する。
【0047】
(S408)移動端末10は、第2のS−CSCF24に対する位置登録要求REGISTERを、新アドレスNAによってIPカプセル化する。IPカプセル化された位置登録パケットの宛先アドレスは、NAR22のアドレスを表す。移動端末10は、その位置登録パケットを、PAR12を介して、NAR22へ送信する。位置登録パケットを受信したNAR22は、位置登録パケットのIPカプセルを除去する。そして、その位置登録要求REGISTERを、第2のP−CSCF23を介して、第2のS−CSCF24へ送信する。第2のS−CSCF24は、その位置登録要求REGISTERをSCC−AS30へ転送する。
【0048】
(S409)移動端末10は、相手先端末20に対する呼接続要求INVITEを、新アドレスNAによってIPカプセル化する。IPカプセル化された呼接続要求パケットの宛先アドレスは、NAR22のアドレスを表す。移動端末10は、その呼接続要求パケットを、PAR12を介して、NAR22へ送信する。呼接続要求パケットを受信したNAR22は、その呼接続要求パケットのIPカプセルを除去する。そして、その位置登録要求REGISTERを、第2のP−CSCF23を介して、第2のS−CSCF24へ送信する。第2のS−CSCF24は、その呼接続要求INVITEをSCC−AS30へ転送する。
【0049】
(S410)SCC−AS30は、セッションを終端することなく、相手方端末20宛に更新した対向セッション情報を作成し、更新位置登録要求reINVITEを、第1のS−CSCF14へ送信する。第1のS−CSCF14は、iFC情報に応じて、その更新位置登録要求reINVITEを、第2のS−CSCF24へ転送する。第2のS−CSCF24は、iFC情報に応じて、その位置登録要求INVITEを、再度、SCC−AC30へ転送する。
【0050】
(S411)SCC−AS30は、セッションを終端することなく、相手方端末20宛に更新した対向セッション情報を作成し、更新位置登録要求reINVITEを、第2のS−CSCF24へ送信する。第2のS−CSCF24は、iFC情報に応じて、更新位置登録要求reINVITEを第2のP−CSCF23へ送信する。第2のP−CSCF23は、その位置登録要求INVITEを、NAR22を介して相手方端末20へ転送する。相手方端末20は、ユーザの応答許可操作によって、呼接続応答200OKを返信する。
【0051】
(S412)相手方端末20は、移動端末10へ、ユーザデータを送信する。相手方端末20は、既にreINVITEを受信済みであるために、そのユーザデータの宛先アドレスは、移動端末10の移動後のアドレスを表す。しかしながら、NAR22は、転送要求メッセージを既に受信しているので、受信したユーザデータは、PAR12へ転送すべきと認識する。そこで、NAR22は、移動前のアドレスで、そのユーザデータをIPカプセル化する。カプセル化されたユーザデータパケットは、PAR12を介して、移動前の移動端末10へ転送される。
【0052】
図5は、本発明における第2のシステム構成図である。
【0053】
図5のシステムによれば、移動端末10が移動する直前から、移動先アクセスネットワークのNAR22が、相手方端末20から移動端末10へ送信すべきユーザデータパケットをバッファする。移動端末10が第2のアクセスネットワークへの接続が完了した後、NAR22は、バッファしていたユーザデータパケットを、移動端末10へ送信する。
【0054】
図6は、図5におけるシーケンス図である。
【0055】
(S601)S412の状態にある。
(S602)移動端末10は、移動する直前に、バッファ開始要求メッセージを、PAR12を介してNAR22へ送信する。これによって、NAR22は、ユーザデータのバッファ処理を開始する。
(S603)NAR22は、PAR12に対して、バッファ開始応答メッセージを返信する。PAR12は、移動端末10へ、バッファ開始応答メッセージを転送する。
(S604)移動端末10は、PAP11との間の無線リンクを切断し、移動先アクセスネットワーク2へ向けて移動する。
(S605)NAR22は、相手方端末20から受信した移動端末10宛のユーザデータをバッファする。
(S606)移動端末10は、NAP22との間で、無線リンクを接続する。
(S607)移動端末10は、バッファ解除要求メッセージを、NAP21を介してNAR22へ送信する。
(S608)NAR22は、バッファ解除応答メッセージを、NAP21を介して移動端末10へ送信する。
(S609)NAR22は、バッファしていたユーザデータを、NAP21を介して移動端末10へ送信する。
(S610)その後、移動端末10と相手方端末20との間で、第2のアクセスネットワーク2を介した通信が継続する。
【0056】
図7は、本発明の移動端末及びアクセスルータの機能構成図である。
【0057】
移動端末10は、電波受信部101と、移動先アドレス取得部102と、位置登録要求送信部103と、呼接続要求部104と、ユーザデータ送受信部105と、転送制御通知部106と、バッファ制御通知部107とを有する。これら機能構成部は、移動端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0058】
電波受信部101は、移動先のアクセスポイントから、ネットワーク識別子(例えばBSSID)を含む電波を受信する。ネットワーク識別子は、移動先アドレス取得部102へ出力される。
【0059】
移動先アドレス取得部102は、ネットワーク識別子を移動元のアクセスルータへ送信し、そのアクセスルータからネットワーク識別子に対応した新アドレスNAを受信する。
【0060】
位置登録要求送信部103は、移動先の呼セッション制御サーバに対する位置登録要求を、新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたその位置登録パケットを、移動元のアクセスルータを介して移動先のアクセスルータへ送信する。
【0061】
呼接続要求送信部104は、移動先のアクセスネットワークを介した移動先の呼セッション制御サーバに対する呼接続要求を、新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたその呼接続パケットを、移動元のアクセスルータを介して移動先のアクセスルータへ送信する。
【0062】
ユーザデータ送受信部105は、相手方端末20との間で、ユーザデータを送受信する。
【0063】
転送制御通知部106は、ユーザデータの転送を要求する転送要求メッセージを、移動元のアクセスルータを介して移動先のアクセスルータへ送信する。
【0064】
バッファ制御通知部107は、移動先のアクセスポイントに接続する前に、バッファ開始要求メッセージを、移動元のアクセスルータを介して移動先のアクセスルータへ送信する。また。バッファ制御通知部107は、移動先のアクセスポイントに接続した後、移動先のアクセスルータへ、バッファ解除要求メッセージを送信する。
【0065】
アクセスルータは、記憶テーブル部121と、位置登録転送部122と、呼接続転送部123と、ユーザデータ転送部124と、バッファ部225とを有する。これら機能構成部は、アクセスルータに搭載されたコンピュータを機能させることによって実現される。
【0066】
記憶テーブル部121は、移動先のアクセスネットワークに接続された移動先のアクセスポイントのネットワーク識別子と、移動先のアクセスネットワークに接続された移動先のアクセスルータの管理下の新アドレスNAとを対応付けて記憶する。
【0067】
位置登録転送部122は、移動元のアクセスポイントから受信した位置登録パケットを、その宛先となる移動先のアクセスルータへ転送する。また、位置登録転送部122は、移動先のアクセスポイントから受信した位置登録パケットの位置登録パケットのIPカプセルを除去し、その位置登録要求を、移動先の第2のP−CSCFへ送信する。
【0068】
呼接続転送部123は、移動元のアクセスポイントから受信した呼接続パケットを、その宛先となる移動先のアクセスルータへ転送する。また、呼接続転送部123は、移動先のアクセスポイントから受信した位置登録パケットの呼接続パケットのIPカプセルを除去し、その呼接続要求を、移動先の第2のP−CSCFへ送信する。
【0069】
ユーザデータ転送部124は、移動先のアクセスポイントから受信した相手方端末から端末へのユーザデータを、新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたそのユーザデータパケットを、移動元のアクセスルータへ転送する。
【0070】
バッファ部225は、移動端末からバッファ開始要求を受信した後、移動先のアクセスポイントから受信した相手方端末から移動端末へのユーザデータを、バッファする。また、移動端末からバッファ解除要求を受信した後、バッファしていたユーザデータを、移動先のアクセスポイントを介して移動端末へ送信する。
【0071】
S−CSCF14は、iFC情報に応じて、P−CSCFとSCC−ASとの間で、SIPメッセージを相互に転送する。
【0072】
SCC−AS30は、第1のS−CSCFの管理下にあるアクセスネットワークに接続された移動端末が、第2のS−CSCFの管理下にあるアクセスネットワークへハンドオーバする場合、第2のS−CSCFから呼接続要求を受信した際に、相手方端末の対向セッションに対する更新呼接続要求reINVITEを、第2のS−CSCFへ送信する。
【0073】
以上、詳細に説明したように、本発明のハンドオーバ方法及びシステムによれば、単一の無線モジュールしか搭載していない移動端末であっても、セッションの中断によるパケットロスを生じることなく、異なるP/S−CSCFによって制御されるアクセスネットワーク間でハンドオーバすることができる。
【0074】
本発明によれば、更新呼接続要求reINVITEが転送されるだけであるので、ハンドオフ時間を短縮することもできる(図4のS411参照)。また、移動端末10の移動直前まで、移動先のアクセスルータから移動元のアクセスルータへのパケットの転送も可能となる(図6のS601参照)。
【0075】
前述した本発明の種々の実施形態において、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0076】
1 第1のアクセスネットワーク
10 移動端末
101 電波受信部
102 移動先アドレス取得部
103 位置登録要求送信部
104 呼接続要求部
105 ユーザデータ送受信部
106 転送制御通知部
107 バッファ制御通知部
11 第1のアクセスポイント、PAP
12 第1のアクセスルータ、PAR
121 記憶テーブル部
122 位置登録転送部
123 呼接続転送部
124 ユーザデータ転送部
225 バッファ部
13 第1のP−CSCF
14 第1のS−CSCF
15 第1のHSS
20 相手方端末
21 第2のアクセスポイント、NAP
22 第2のアクセスルータ、NAR
23 第2のP−CSCF
24 第2のS−CSCF
25 第2のHSS
3 IMS/MMSコアネットワーク
30 SCC−AS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のドメインを管理する第1の呼セッション制御サーバと、第2のドメインを管理する第2の呼セッション制御サーバとを有するIP(Internet Protocol)サブシステムネットワークと、
第1の呼セッション制御サーバによって制御される第1のアクセスルータと、端末によって接続される第1のアクセスポイントとを有する第1のアクセスネットワークと、
第2の呼セッション制御サーバによって制御される第2のアクセスルータと、端末によって接続される第2のアクセスポイントとを有する第2のアクセスネットワークと
を有するシステムについて、第1のアクセスポイントに接続された移動端末が、第2のアクセスネットワークに接続された相手方端末と通信している際に、第2のアクセスポイントへハンドオーバするためのハンドオーバ方法において、
第1のアクセスルータは、第2のアクセスネットワークに接続された第2のアクセスポイントのネットワーク識別子と、第2のアクセスネットワークに接続された第2のアクセスルータの管理下の新アドレスNA(New Address)とを対応付けて記憶しており、
前記移動端末が、第2のアクセスポイントから、前記ネットワーク識別子を含む電波を受信する第1のステップと、
前記移動端末が、前記ネットワーク識別子を第1のアクセスルータへ送信し、第1のアクセスルータから前記ネットワーク識別子に対応した新アドレスNAを受信する第2のステップと、
前記移動端末が、第2の呼セッション制御サーバに対する位置登録要求を、新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたその位置登録パケットを、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信する第3のステップと、
第2のアクセスルータが、前記位置登録パケットのIPカプセルを除去し、その位置登録要求を、第2の呼セッション制御サーバへ送信する第4のステップと
を有することを特徴とするハンドオーバ方法。
【請求項2】
前記IPサブシステムネットワークは、第1の呼セッション制御サーバと第2の呼セッション制御サーバとに接続されるサービス集中継続アプリケーションサーバを更に有し、
前記移動端末が、移動後の第2のアクセスネットワークを介した第2の呼セッション制御サーバに対する呼接続要求を、新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたその呼接続パケットを、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信する第5のステップと、
第2のアクセスルータが、前記呼接続パケットのIPカプセルを除去し、その呼接続要求を、第2の呼セッション制御サーバへ送信する第6のステップと
第2の呼セッション制御サーバが、前記呼接続要求を、前記サービス集中継続アプリケーションサーバへ送信する第7のステップと、
前記サービス集中継続アプリケーションサーバが、前記相手方端末の対向セッションに対する更新呼接続要求を、第2の呼セッション制御サーバへ送信する第8のステップと、
第2の呼セッション制御サーバは、前記更新呼接続要求を、第2のアクセスネットワークを介して相手方端末へ送信する第9のステップと
を更に有することを特徴とする請求項1に記載のハンドオーバ方法。
【請求項3】
第2のステップについて、前記移動端末が、ユーザデータの転送を要求する転送要求メッセージを、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信し、
第2のアクセスルータが、前記相手方端末から前記移動端末へのユーザデータを受信した際に、前記ユーザデータを新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたそのユーザデータパケットを、第1のアクセスルータを介して前記移動端末へ送信する第10のステップと、
前記移動端末が、第2のアクセスポイントに接続している移動前に、バッファ開始要求を、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信する第11のステップと、
第2のアクセスルータが、前記相手方端末から前記移動端末へのユーザデータを受信した際に、前記ユーザデータをバッファする第12のステップと、
前記移動端末が、第2のアクセスポイントに接続した移動後に、第2のアクセスルータへ、バッファ解除要求を送信する第13のステップと、
第2のアクセスルータが、バッファしていた前記ユーザデータを、第2のアクセスポイントを介して前記移動端末へ送信する第14のステップと
を更に有することを特徴とする請求項2に記載のハンドオーバ方法。
【請求項4】
前記IPサブシステムネットワークは、IMS(IP Multimedia Subsystem)/MMD(MultiMedia Domain)コアネットワークであり、
前記位置登録要求は、SIP(Session Initiation Protocol)のREGISTERであり、
前記呼接続要求は、SIPのINVITEであり、
前記更新呼接続要求は、SIPのreINVITEであり、
第1のステップ及び第2のステップは、FMIPv6(Fast handovers for MIPv6)のシーケンスによって実行される
ことを特徴とする請求項3に記載のハンドオーバ方法。
【請求項5】
第1のドメインを管理する第1の呼セッション制御サーバと、第2のドメインを管理する第2の呼セッション制御サーバとを有するIPサブシステムネットワークと、
第1の呼セッション制御サーバによって制御される第1のアクセスルータと、端末によって接続される第1のアクセスポイントとを有する第1のアクセスネットワークと、
第2の呼セッション制御サーバによって制御される第2のアクセスルータと、端末によって接続される第2のアクセスポイントとを有する第2のアクセスネットワークと
を有するシステムについて、第1のアクセスポイントに接続された移動端末が、第2のアクセスネットワークに接続された相手方端末と通信している際に、第2のアクセスポイントへハンドオーバするためのシステムにおいて、
第1のアクセスルータは、第2のアクセスネットワークに接続された第2のアクセスポイントのネットワーク識別子と、第2のアクセスネットワークに接続された第2のアクセスルータの管理下の新アドレスNA(New Address)とを対応付けた記憶テーブル手段を有し、
前記移動端末は、
第2のアクセスポイントから、ネットワーク識別子を含む電波を受信する電波受信手段と、
前記ネットワーク識別子を第1のアクセスルータへ送信し、第1のアクセスルータから前記ネットワーク識別子に対応した新アドレスNAを受信する移動先アドレス取得手段と、
第2の呼セッション制御サーバに対する位置登録要求を、新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたその位置登録パケットを、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信する位置登録要求送信手段と
を有し、
第2のアクセスルータは、前記位置登録パケットのIPカプセルを除去し、その位置登録要求を、第2の呼セッション制御サーバへ送信する位置登録転送手段を有する
ことを特徴とするハンドオーバ用のシステム。
【請求項6】
前記IPサブシステムネットワークは、第1の呼セッション制御サーバと第2の呼セッション制御サーバとに接続されるサービス集中継続アプリケーションサーバを更に有し、
前記移動端末は、第2の呼セッション制御サーバに対する呼接続要求を新アドレスNAによってIPカプセル化した呼接続パケットを、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信する呼接続要求送信手段を有し、
第2のアクセスルータは、前記呼接続パケットのIPカプセルを除去し、その呼接続要求を、第2の呼セッション制御サーバへ送信する呼接続転送手段を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のハンドオーバ用のシステム。
【請求項7】
前記移動端末は、
ユーザデータの転送を要求する転送要求メッセージを、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信する転送制御手段と、
第2のアクセスポイントに接続している移動前に、バッファ開始要求を、第1のアクセスルータを介して第2のアクセスルータへ送信し、且つ、第2のアクセスポイントに接続した移動後に、第2のアクセスルータへ、バッファ解除要求を送信するバッファ制御通知手段と
を更に有し、
第2のアクセスルータは、
前記相手方端末から前記移動端末へのユーザデータを受信した際に、前記ユーザデータを新アドレスNAによってIPカプセル化し、カプセル化されたそのユーザデータパケットを、第1のアクセスルータを介して前記移動端末へ送信するユーザデータ転送手段と、
前記相手方端末から前記移動端末へのユーザデータを受信した際に、前記ユーザデータをバッファし、且つ、バッファしていた前記ユーザデータを、第2のアクセスポイントを介して前記移動端末へ送信するバッファ手段と
を更に有することを特徴とする請求項6に記載のハンドオーバ用のシステム。
【請求項8】
前記IPサブシステムネットワークは、IMS/MMDコアネットワークであり、
前記位置登録要求は、SIPのREGISTERであり、
前記呼接続要求は、SIPのINVITEであり、
前記更新呼接続要求は、SIPのreINVITEであり、
前記電波受信手段及び前記移動先アドレス取得手段は、FMIPv6のシーケンスによって実行される
ことを特徴とする請求項7に記載のハンドオーバ用のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−171665(P2010−171665A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11433(P2009−11433)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】