説明

異なる滞留時間の流体搬送機構を使用するデバイスおよび方法

【課題】グラジエント液体クロマトグラフィで利用できるような、廃液を低減し、複雑でなく、再現性があり、また遅延時間を短縮した改良された流体技術を提供する。
【解決手段】共通入口から共通出口に延びる複数の流体搬送機構と、流体搬送機構を通して流体フローをもたらす手段とを備える流体デバイスを提供する。各機構は、異なる流体滞留時間を有する。流体フローをもたらす手段は流体搬送機構と協働し、流体搬送機構からの流体を合流させ、共通出口からの出力流れを生成する。出力流れは、滞留時間が異なることにより生じる少なくとも1つの所望の特徴を示す。これにより、微小な体積流量の流れを生じさせることができ、グラジエント液体クロマトグラフィにおいてもなめらかな勾配を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、異なる滞留時間の流体搬送機構を使用するデバイスおよび方法に関する。特に、本発明は、異なる滞留時間の流体搬送機構を使用して、少なくとも1つの所望の特徴、例えば、濃度勾配を示す出力流れ(出力ストリーム)を生成し、さらにその出力流れを微小流体分離等の用途に利用することができる流体デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体試料の分析は、試料を成分に分離することを含むことが多い。例えば、液体クロマトグラフィ(LC)分離は、通常、固定相、例えば分離媒体の表面を通って多成分試料を運搬する移動相を採用することを含む。任意の試料成分が、固定相を通って進む速度は、移動相と固定相との間の分配(分配性)に依存する。
【0003】
分離性能は、使用される固定相によって変わり得る。例えば、試料成分が、その疎水性に従って分離される逆相液体クロマトグラフィでは、疎水性表面を有する固定相が設けられる。移動相には、例えば水と有機溶媒の混合物も使用される。試料が移動相により固定相を通って運搬される際には、疎水性が最も低い試料成分が最初に固定相を通って進み、その後、疎水性がより高い成分が続く傾向がある。
【0004】
分離性能は、LCにおいて採用される移動相に応じて変わり得る。通常、移動相は、分離性能に関して重要な少なくとも1つの所望の特徴を示す。例えば、アイソクラティックLC(isocratic LC)は、所定期間にわたって一定の組成を有する移動相を利用する。対照的に、グラジエントLC(gradient LC)は、分離中に変動する組成を有する移動相を利用する。
【0005】
一般に、グラジエントLCは、アイソクラティックLCに比べて多くの利点を提供する。例えば、グラジエントLCは、高速かつ高分解能で広範囲の化合物を分離するのに好適である。さらに、移動相の組成は、例えば、固定相の上流部分において一定の試料構成成分を捕捉し、それによって、塩等の干渉化合物が洗い流されることが可能となる濃度勾配を示すように制御可能に変化させることができる。結果として、グラジエントLCは、分離効率を低下させることなく大きな試料体積の注入を可能にし、また低濃度試料の分析に好適である。
【0006】
微小流体(マイクロ流体)技術は、グラジエントLCの実施するために良好なものとして使用されている。例えば、集積微小流体LCデバイスが知られている(例えば、特許文献1を参照)。こうした微小流体デバイスは、単一の集積デバイス上に、複数の機能、例えば、試料の注入、分離およびフロー切換え機能を組み込んだ基板ならびにカバープレートからラボオンチップ(lab-on-a-chip)として形成することができる。微小流体技術で使用する流体は、一般に小体積であるので、この微小流体技術は、非常に稀でありかつ/または高価な流体を使用する場合において特に望ましい。
【0007】
したがって、微小流体を利用する場合での滑らかな勾配が必要となる。しかし、微小流体を利用する場合のための適切な流量で所定の勾配を示す移動相を生成し、送出することは簡単ではない。例えば、組成的に異なる2つの流体、例えば第1の流体および第2の流体の濃度勾配を示す移動相が必要であれば、第1の流体と第2の流体との比が所定期間にわたって変わるように流体を混合する場合がある。その場合、2つの流体を独立に圧送するために、2つのポンプを使用することもある。しかし、従来のLCポンプは、通常、一般には、1μl/分を超える一定の流量範囲内でのみ良好に機能する。したがって、第1の流体および第2の流体の線形的な勾配が望まれる場合、2つのポンプの一方は、組み合せた流量よりずっと低い流量で、時には、そのポンプの最適流量範囲から外れて流体を運搬しなければならないことがある。
【0008】
ポンプによる流体の送出をポンプの最適流量より低い流量で可能にする1つの方法は、ポンプをその最適流量で動作させ、しかし、過剰な流量は分流させることである。例えば、LCポンプによって運搬される流体を複数の流れに分割することができる(スプリットできる)。流れの一部は送出され、一方、他の流れは送出されない。しかし、その場合、分流された流体は、潜在的な廃液(不用物、waste)の発生源となる。
【0009】
さらに、低流量において所定の濃度勾配を有する移動相を、過剰な遅延時間なく生成し、送出することは、簡単ではない。遅延時間とは、所定の濃度勾配を有する移動相を生成し、その移動相を送出するのにかかる合計時間のことである。移動相の濃度勾配を生成するために、組成の異なる流体を混合させることが必要である。しかし、こうした混合では、通常、操作性向上のために、異なる流体の体積を必要とする機器を利用する。そのため、例えば、組み合わせられた従来のLCポンプ、圧力ダンパおよび合わせられた体積を有するミキサを含むシステムでは、遅延時間は、合わせられた体積を流量で割った商に等しくなっていてよい。遅延時間は流量に反比例するので、流量が著しく低ければ、遅延時間は著しく長くなるであろう。
【0010】
いずれにしても、多くの出版物および特許が、勾配を発生させる技術を記載している(例えば、非特許文献1〜4ならびに特許文献2および3を参照)。しかし、こうした技術には、一般に、廃液が多い、複雑性が高い、再現性が乏しい、遅延時間が長い等の問題がある。
【0011】
上記問題を克服するために、オンチップ勾配発生技術および流体導入技術が提案されている。例えば、LC用途において使用可能な微小流体のフロー(流れ)を制御するための摺動可能に切換えできる弁を利用するデバイスが知られている(例えば、特許文献4を参照)。さらに、チャネルネットワーク(網)を使用して移動相勾配をオンチップで生成する技術も知られている(例えば、特許文献5を参照)。
【特許文献1】Yinらへの米国特許出願公開第2003/0017609号
【特許文献2】Wiktorowiczらへの米国特許出願第2003/0180449号公報
【特許文献3】Munkへの米国特許4,942,018号
【特許文献4】Killeenらへの米国特許第6,702,256号
【特許文献5】Yinらへの米国特許出願第2003/0159993号公報
【非特許文献1】Dentinger, S.著(2001),「Generation of gradients having complex shapes using microfluidic networks」Analytical Chemistry, 72:1240-46
【非特許文献2】Deguchiら著(2004),「Nanoflow gradient generator for capillary high-performance liquid chromatography」Analytical Chemistry, 76:1524-28
【非特許文献3】Xieら著(2004),「An electrochemical pumping system for on-chip gradient generation」Analytical Chemistry, 76:3756-63
【非特許文献4】Bihanら著(2001),「Nanoflow Gradient Generator Coupled with μLC-ESI-MS/MS for Protein Identification」Analytical Chemistry, 73:1307-15
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
グラジエントLCにおける移動相を生成し送出するための従来技術の欠点を克服し、廃液を低減し、複雑でなく、再現性があり、また遅延時間を短縮した改良された流体技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、共通の入口(インレット)から共通の出口(アウトレット)に延びる複数の流体搬送機構と、流体搬送機構を通して流体フローをもたらす手段とを備える流体デバイスを提供する。この機構は、異なる流体滞留時間と関連する。流体フローをもたらす手段は、流体搬送機構と協働して、異なる滞留時間の結果として生成される少なくとも1つの所望の特徴を示す、共通出口からの出力流れを生成するのに有効な方法で、流体搬送機構からの流体を合流させる。
【0014】
流体搬送機構の構造および/または構成は、変化もしくは変更可能である。例えば、機構は、実質的に同じかまたは異なる長さ、実質的に同じまたは異なる断面積を有してもよい。いくつかの態様では、各機構を通して流れる流体の流量を実質的に同じにできるように機構を構築してもよい。機構は、複数の異なる段にグループ化されていてもよく、同じ段の機構は実質的に同じ構造を有し、異なる段の機構は異なる構造を有する。
【0015】
いくつかの態様では、少なくとも1つの流体搬送機構は、入口と出口との間で異なる断面積を示してもよい。例えば、流体搬送機構は、フロー制限部分と滞留時間制御部分とを含んでもよい。フロー制限部分は、滞留時間制御部分の上流にあっても下流にあってもよい。これらの部分の構成および構造は、同様に変化可能もしくは変更可能である。
【0016】
いくつかの微小流体の実施形態では、複数の基板が、例えば、積み重ねた状態で設けられてもよい。例えば、少なくとも1つの流体搬送機構は、積層体の内部表面上に配置されたチャネルによって少なくとも部分的に画定された導管として設けられていてもよい。3つ以上の基板が設けられる時、流体搬送機構が、積層体の隣接する任意の基板間に形成されてもよい。
【0017】
本発明は、入口の上流にある複数の流体源と共に使用されてもよい。切換え弁は、入口と流体源のうちの任意のものとの間で交互の連通を提供するのに使用されてもよい。流体源からの流体が組成的に異なる(流体の組成が異なる)場合、本発明は、所望の濃度プロファイル、例えば流体の実質的に線形的な勾配を示す出力流れを生成するのに使用されてもよい。上記流体源および上記切り換え弁により、流体搬送機構を通る流体フローが生成される。
【0018】
本発明はまた、少なくとも1つの所望の特徴を示す流体流を生成する方法を提供する。本方法は、共通入口から共通出口に延びる複数の流体搬送機構を設け、その場合、各流体搬送機構が異なる流体滞留時間と関連していることを含む。流体は共通入口内に導入され、それによって、流体搬送機構を通って流体フローをもたらし、さらにその流体フローは合流して、共通出口からの出力流れを生成する。出力流れは、異なる滞留時間の結果として生成される少なくとも1つの所望の特徴を示す。
【0019】
通常、第1の流体および第2の流体は、出力流れが第1の流体および第2の流体の所望のプロファイルを示すように、共通入口内に連続して導入される。例えば、第1の流体および第2の流体は、出力流れが混合物として第1の流体および第2の流体の所望の濃度プロファイルを示すように組成的に異なる。任意に、流体の所望のプロファイルを示す出力流れを生成するために、1つ以上のさらなる流体を、共通入口内に連続させてまたは並行させて導入してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を詳細に述べる前に、本発明は、特定の分離デバイスまたは特定の型の分析器具に限定されず、したがって、変わってもよいことが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を述べるためのものに過ぎず、限定することを意図しないことも理解されるべきである。
【0021】
さらに、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの」(a, an)および「その」、または「前記」(the)は、文脈が明確に別途指示しない限り、単数と複数の両方の指示対象を含む。そのため、例えば、「導管」に対する言及は、複数の導管および単一の導管を含み、「基板」に対する言及は、単一の基板および基板の組み合わせを含み、他も同様である。
【0022】
さらに、本発明の要素間の特定の空間的関係を示すかまたは示唆する用語は、使用についての文脈が、明確に反対のことを指示しない限り、絶対的な意味ではなく、相対的な意味で解釈される。例えば、第1の基板に対する第2の基板の空間的な向きを述べるのに使用される、用語「覆って(over)」および「上に(on)」は、第2の基板が第1の基板の上方に配置されることを、必ずしも示さない。そのため、第1の基板を覆って設置された第2の基板を含むデバイスにおいて、第2の基板は、デバイスの向きに応じて、第1の基板の上方か、第1の基板と同じ高さかまたは第1の基板の下方に配置されてもよい。同様に、基板の「上部の(upper)」表面は、基板の向きに応じて、基板のその他の部分の上方か、基板と同じ高さかまたは基板の下方にあってもよい。
【0023】
本明細書および添付の特許請求項の範囲において、多くの用語についての言及がなされることになり、用語は、用語が採用される文脈が明確に別途指示しない限り、以下の意味を有すると規定するものとする。
【0024】
本明細書で使用される用語「滞留時間」は、流体が流体搬送機構を通って流れるのにかかる時間を指す。一般に、流体搬送機構の滞留時間は、機構の体積と、機構を通って流れる流体の体積流量との積である。しかしながら、他の因子もまた、滞留時間に影響を及ぼす場合があり、流体フローの型(例えば、ポワズイユ(Pouseuille flow)または電気浸透流)、流体と機構との任意の相互作用、流体の圧縮性、機構の使用体積等を含む。
【0025】
本明細書で使用される用語「流路」は、流体がそこに沿って進むまたは移動するルートまたはコースを指す。流路は、微小流体デバイスの1つまたは複数の流体搬送機構から形成されてもよい。
【0026】
本明細書で使用される用語「流体搬送機構」は、流体フローを誘導する中実の物体(solid body)またはその一部分の配置構成を指す。本明細書で使用される場合、この用語は、毛細管、配管、チャンバ、リザーバ、導管、およびチャネルを含むが、それに限定されない。本明細書で使用される用語「導管」は、1つまたは複数の壁によって形成され、そこを通って流体を搬送することができる入口開口と出口開口を有する3次元閉囲部を指す。用語「チャネル」は、表面内の開いた溝またはトレンチを指すために本明細書で使用される。チャネルは、チャネルを覆う固体片と共に導管を形成する。
【0027】
用語「液密」は、物理的に接触状態にある2つの固体表面間の界面に流体が流れ込まなくなるような、表面間の空間的な関係を述べるために本明細書で使用される。
【0028】
接頭語「微小(微細)(micro)」は、マイクロメートル台の寸法を有し、マイクロリットル台の体積を有するアイテムを指す。そのため、例えば、用語「微小流体デバイス」は、マイクロメートル(ミクロン)またはマイクロメートル(ミクロン)以下の寸法の機構を有し、任意の数のプロセス(化学的プロセスまたはその他のプロセス)において使用することができ、非常に少量の流体を含むデバイスを指す。こうしたプロセスは、電気泳動(例えば、キャピラリー電気泳動すなわちCE)、クロマトグラフィ(例えば、μLC)、(例えば、ハイブリダイゼーションまたは他の結合手段を使用した)スクリーニングと診断、ならびに化学合成および生化学合成(例えば、ポリメラーゼ鎖反応、すなわち「PCR」を使用して行うことができるDNA増幅)ならびに(例えば、ペプチド消化による)分析を含むが、それに限定されない。微小流体デバイスの機構は、その特定の使用に適合される。例えば、分離プロセス、例えば、CEにおいて使用される微小流体デバイスは、直径が約1μm〜200μm、通常、直径が10μm〜75μmでかつ長さが約0.1〜50cmの微小チャネル(閉囲される時、すなわち、第2の基板が、微小チャネルを含む第1の基板表面上の所定の場所にある時に、本明細書で「微小導管」と呼ばれる)を含んでもよい。化学合成および生化学合成、例えば、DNA増幅において使用される微小流体デバイスは、一般に、約1nl〜約100nl、通常、約10nl〜20nlの体積を有する反応ゾーン(閉囲される時、すなわち、やはり、第2の基板が、微小チャネルを含む第1の基板表面上の所定の場所にある時に、本明細書で「反応チャンバ」と呼ばれる)を含むであろう。接頭語「微小(微細)」を含む他の用語、例えば「微小機構」は、同様に解釈される。
【0029】
複数のアイテムを述べるために使用される、用語「実質的に同じ」は、アイテムが、かなりの程度まで同じであるが、絶対的な同一性は必要とされないことを示すために使用される。例えば、流体が、「実質的に同じ流量」で異なる流体搬送機構を通って流れるものとして本明細書で述べられる時、流量は、同じであるかまたは流量の差が本質的に問題にならないくらいに十分に近い状態で同じであってもよい。用語「実質的な」および「実質的に」は、他の文脈においても同様に使用され、同様な定義を含む。
【0030】
そのため、本発明は、包括的に、異なる流体滞留時間に関連して複数の流体搬送機構を採用する流体デバイスおよび方法に関する。機構は、通常、共通入口と共通出口を有する。通常、異なる流体が連続して共通入口内に導入されるが、流体搬送機構によって画定される異なる流路に沿って進む異なる流れに分割される。異なる流路からの流体は、その後合流し、共通出口から出力流れを生成する。出力流れは、共通出口を通って進む流体の異なる滞留時間の結果として生成される少なくとも1つの所望の特徴を示す。
【0031】
本発明は、多くの異なる用途において使用されてもよい。例えば、本発明は、pH、温度、または粘度プロファイル等の所望の特徴を有する出力流れを生成するのに使用されてもよい。しかし、通常、本発明は、微小流体分離用途に適した所望の濃度勾配を示す出力流れを生成するのに使用される。例えば、第1の液体、すなわち、液体Aが、異なる組成の第2の液体、すなわち、液体Bと混合される時、所定期間にわたる異なる比率によって、グラジエントLC用途で使用するのに好適な、所定期間にわたって液体Bの直線濃度勾配を示し得る出力流れが形成される。図1は、液体Bの濃度が、第1の時点、すなわち、T1から、第2の時点、すなわち、T2にまたがる、或る期間にわたっていかに直線的に増加するかを示す、こうした出力流れについてのグラフを提供する。
【0032】
図2は、2段微小流体デバイスの形態の、本発明の例示的な一実施形態を示す。同じ部品が同じ数字で参照される、本明細書で参照される全ての図と同様に、図2は、必ずしも縮尺通りでなく、或る寸法は、提示を明確にするために誇張される場合がある。図2に示すように、微小流体デバイス10は、それぞれ、14と16で示す第1の実質的に平坦な対向する表面および第2の実質的に平坦な対向する表面を備える第1の基板12を含み、微小流体デバイスを通して搬送される流体に対して実質的に不活性な材料からなる。第1の基板12は、第1の微小チャネル18Aの形態の第1の流体搬送機構、第2の微小チャネル18Bの形態の第2の流体搬送機構を有し、各微小チャネルは、第1の平坦な表面14に配置される。この上部表面14には、混合機構20も配置されるが、以下で述べるように、種々の代替の混合技術が使用されてもよい。
【0033】
第1の微小チャネルおよび第2の微小チャネルは、それぞれの上流端部において共通入口終点24を共有する。第1の微小チャネルおよび第2の微小チャネルはそれぞれ、下流端部の混合機構20において終わる。図示するように、第1の微小チャネル18Aは、第2の微小チャネル18Bの長さの約半分の長さを有する。しかしながら、微小チャネル18Aおよび18Bは、実質的に同じ断面形状を有するが、微小チャネルの断面形状が同じであることは、本発明の必要条件ではない。
【0034】
微小流体デバイス10はまた、第1の基板12に対して相補的に形作られた第2の基板40を含み、それぞれ42と44で示す第1の実質的に平坦な対向する表面および第2の実質的に平坦な対向する表面を有する。第2の基板40は、以下で述べるように、第1の基板12を形成するための、任意の適した材料からなっていてよい。第2の基板40の接触表面42は、第1の基板12の接触表面14と密着して相互作用して表面間において液密接触を達成することが可能である。第2の基板40は、種々の機構を含んでもよい。図示するように、入口46は、第2の基板の接触表面42に垂直な方向に、第2の基板40を貫通して延びる導管として設けられて、表面42と表面44との間で流体連通をもたらす。同様に、出口48は、表面42から表面44へ延びる導管として設けられる。
【0035】
第2の基板40は、第1の基板の接触表面14を覆って実質的に固定される。結果として、第2の基板の接触表面42は第1の微小チャネル18Aと共に、第1の導管または第1の段19Aを画定する。同様に、第2の基板40は第2の微小チャネル18Bと共に、第2の導管または第2の段19Bを画定する。同様に、第2の基板40は混合機構20と共に、混合チャンバ21を形成する。第2の基板と第1の基板との接触表面は、液密接触状態にあるため、導管19Aおよび19Bならびに混合チャンバ21はすべて、全体として液密である。
【0036】
導管の流量は、その幾何形状(断面積、断面形状および/または長さ)または流れ抵抗を変えることによって、調整されてもよい。微小チャネル18Aおよび18Bの幾何形状は、第2の導管19Bが、たとえ第1の導管19Aの約2倍の長さであっても、実質的に同じ流量で実質的に同じ流体の貫流(through-flow)を可能にするように、両方の導管について選択されてもよい。導管は、概ね同じ断面形状(長方形、円形等)を有してもよいが、同じ断面積を有さない。追加的にまたは代替として、導管は、所望の最終勾配プロファイルをもたらす流量を供給するように構築されてもよい。いずれにしても、入口46は、入口終点24を覆って配置され、従って、各導管と流体連通する。同様に、出口48は、混合機構20と位置合わせされ、したがって、混合チャンバ21と流体連通する。
【0037】
したがって、2つの異なる流路が、微小流体デバイス10内に形成される。第1の流路は、入口46から、第1の導管19Aを通り、混合チャンバ21を通って出口48に延びる。第2の流路は、入口46から、第2の導管19Bを通り、混合チャンバ21を通って出口48に延びる。混合チャンバ21は、出口48から出る任意の出力流れが、実質的に一様な流体の混合物として供給されるように、導管19Aおよび19Bからの流体間で十分な混合作用を与えるのに有効なサイズおよび形状を有する。最適には、混合チャンバに関連する滞留時間は、導管19Aおよび19Bに関連する滞留時間に対して小さい。
【0038】
図3は、異なる組成の2つの液体、すなわち、液体Aおよび液体Bから出力流れを生成するために、図2の微小流体デバイスを採用することができることを示し、流れは、2つの液体の相対的な濃度の所定期間にわたる変化を示す。図3は、圧力誘導流(pressure induced flow)ではなく、動電流(electrokinetic flow)についての誘導流等の、「プラグ」流の下で使用されているデバイスを示す。以下で説明する、圧力誘導流は、放物型速度プロファイルをもたらすであろう。
【0039】
図3Aでは、デバイスの全ての流路は、液体Aで充填される。図3Bでは、液体Bが、入口46内に導入される。導管19Aおよび19Bは、実質的に同じ流量を実現するため、液体Bは、第1の流路および第2の流路に沿って流れる2つの流れに均等に分割される。結果として、液体Aは、導管19Aおよび19Bから追い出され、混合チャンバ21において合流し、出口48から出る出力流れを形成する。この時点で、出力流れは、液体Aのみを含む。
【0040】
図3Cでは、液体Bは、入口46内に導入され続けるが、導管19Aに関連する滞留時間が満たされるように、十分な期間が経過している。結果として、液体Bは、液体Aの全てを導管19Aから追い出してしまい、液体Bは、導管19Aから混合チャンバ21内に流れ始める。しかしながら、導管19Bについての滞留時間が、導管19Aの滞留時間の約2倍であるため、導管19Bの体積の上流の半分のみが、液体Bで充填されている。結果として、液体Aは、導管19Bから混合チャンバ内に流れ続ける。いずれにしても、導管19Aおよび19Bからの液体BおよびAは、混合チャンバ21内でそれぞれ混合されて、出口48から出る出力流れが形成される。したがって、出力流れは、100%の液体Aから50%の液体Aと50%の液体Bとを含む混合物へ変わる。
【0041】
図3Dでは、液体Bは、液体Aの全てを導管19Bから完全に追い出してしまっている。結果として、液体Bは、両方の導管19Aおよび19Bから混合チャンバ21内に流れる。結果として、混合チャンバ21からの出力流れは、50%の液体Aと50%の液体Bとを含む混合物から100%の液体Bへ変わる。簡潔に言えば、出力流れは、液体Aの階段状でかつ減少する濃度と、液体Bの階段状でかつ増加する濃度とを示すプロファイルを示す。
【0042】
図4は、さらなる流体搬送機構を含む本発明の別の実施形態を示す。概して、図4に示す勾配発生器は、2段ではなく6段が使用されること以外は、図2および図3に示す実施形態と同じように動作する。図4に示すように、共通入口46および共通出口48を共有する、19A〜19Fで示す6つの流体搬送機構が含まれる。これらの機構は、異なる長さでかつ実質的に同じ体積流量であるため、各流体搬送機構は、異なる滞留時間に関連する。任意に、機構19B〜19Fは、機構19Aの長さの整数倍で増加する長さを有する。
【0043】
動作時、液体Aは、入口46内に導入されて、全ての流体搬送機構を充填し、流体搬送機構からの合流した流体を含む出口48からの出力流れを形成する。次に、液体Bが入口46内に導入されてもよい。最初に、出力流れは、実質的に液体Aからなるであろう。液体Bが最も短い流体搬送機構19Aを通って進むことを可能にする短い遅延時間後に、液体Bは、第1の時点T1において、機構19Aから流れ出始め、出力流れ内に合流し、それによって、出力流れ内に含まれる液体Bのパーセンテージが上がることになる。しばらくした後、液体Bは、第2の時点T2において、次に短い機構19Bから流れ出始め、再び、出力流れにおける液体Bのパーセンテージが上がることになる。機構は、液体Bによって、連続してその全体が充填されるため、出力流れにおける液体Bのパーセンテージは、液体Bが、機構19C、19D、19E、および19Fからそれぞれ流れ出る連続する時点T3、T4、T5、およびT6において増加することになる。
【0044】
図5は、異なる仮定の下でのこうした出力流れについてのグラフを提供する。プラグ流(栓流)を仮定することができ、機構19A〜19Fのそれぞれを通る流量が同じであるとさらに仮定する、単純な理想化した場合において、出力流れは、実線で示すように、階段状の濃度勾配を示すことができる。各機構において同じ流量を有する標準的な圧力誘導流の場合、各チャネル内の液体の速度プロファイルは放物型となり、各チャネルからの液体Bの初期のフローは、瞬時には起こらないが、代わりに、所定期間にわたって起こる。これは、点線で示すように、階段状プロファイルの角部を丸くする。
【0045】
本発明は、同じかまたは実質的に同じ体積流量を有する流体搬送機構を必要としないが、こうした機構を使用して本発明を実行することが、より好都合であることが多い。設計の観点から、同じかまたは実質的に同じ体積流量によって、滞留時間を計算することが容易になる。同じかまたは実質的に同じ体積流量は、通常、製造の観点からも望ましい。
【0046】
流体搬送機構についての同じ体積流量は、機構の流れ抵抗を考慮することによって達成することができる。一般に、任意の流体搬送機構についての体積流量は、その長さと流れ抵抗との積である。そのため、長さLを有する流体搬送機構と同じ流量の、長さ2Lを有する流体搬送機構を作成するためには、より長い機構が、より短い機構の流れ抵抗の半分である流れ抵抗を有するような機構を作成しなければならない場合がある。さらに、複数の機構が、同じ断面形状であるが、異なる長さを有する時、より長い機構は、通常、両方の機構について同じ流量を確実にするために、より大きな有効断面積を必要とするであろう。
【0047】
それでも、図5で示されたように、特定の流体についての機構の滞留時間は、いくつかの因子に依存する。滞留時間に影響を及ぼす因子は、例えば、流体フローの型(例えば、ポワズイユ流または電気浸透流)、流体と機構との相互作用、流体の圧縮性、機構の使用体積、両者の混合または拡散等を含む。ポワズイユ流の場合、導管の中央を流れる流体はより速く流れ、壁に近い流体が導管の端部に到達する前に導管の端部に到達するであろう。導管が円形断面を有する場合、その中の速度プロファイルは、放物型となり得る。
【0048】
そのため、ポワズイユ流を示す本発明の実施形態の場合、第2の流体は、機構体積および流体流量だけから得られる滞留時間より早く機構から流れ出始め、流れ出る第2の流体のパーセンテージは100%ではない。第2の流体の100%が、機構から流れ出る前には、示唆される時間より長い時間がかかるであろう。対照的に、電気浸透だけに基づく導管内のフローは、機構体積と流体流量だけに基づく滞留時間を有することができる。当業者は、特定の所望の滞留時間のために本発明を採用する時に、こうした差を考慮することができるであろう。
【0049】
図6は、6つの流体搬送機構19A〜19Fを有する例示的な量子化勾配発生器(quantized gradient generator)を提供する本発明の別の実施形態を概略的に示す。一般に、図6に示す勾配発生器は、6つの流体搬送機構が実質的に同じ断面積を有すること以外は、図4に示す勾配発生器と同じように動作する。実質的に同じ断面積を有する機構は、通常、製造の観点から、より再現性があり、使用時の変動性を受けにくい。
【0050】
さらに、流体搬送機構は、6段ではなく、3段で配置されて示される。例えば、第1の段は、長さLを有する1つの流体搬送機構19Aを含む。第2の段は、実質的に同じ流体運搬能力を有するように、実質的に同じ形状とサイズを有する2つの機構19Bおよび19Cを含む。第2の段19Bおよび19Cは、第1の段の機構19Aの2倍の長さである。同様に、第3の段は、実質的に同じ流体運搬能力を有する3つの流体搬送機構19D〜19Fを含み、機構19Aの3倍の長さである。同じ断面積の流体搬送機構についての流れ抵抗が、機構の長さに比例すると仮定すると、3つの段のそれぞれについての総体積流量は、実質的に同じはずである。
【0051】
図6の勾配発生器は、図4の実施形態について述べた勾配発生器と同じように動作し得る。すなわち、液体Aは、入口46内に導入されて、3つの段全ての流体搬送機構を充填し、3つの段からの合流した流体を含む、出口48からの出力流れを形成することができる。こうして、段は、液体Bによって、連続してその全体が充填されるにつれ、出力流れ内の液体Bのパーセンテージが増加することになる。
【0052】
先に説明したように、任意の流体搬送機構についての体積流量は、一般に、その長さと流れ抵抗との積である。同様に、より長い流体搬送機構を含む段は、より短い流体搬送機構を有する段に等しい流量を提供するために、より大きな有効断面を必要とする。したがって、図6に例示する本発明の実施形態の場合、各段の体積には(L/Lの依存性が存在する(ここで、Lは段iの長さであり、Lは最も短い段の長さである)。流量は、各段において一定であるため、液体が、段iの長さを進むのにかかる時間量について(L/Lの依存性も存在する。
【0053】
したがって、図6に示す発生器と類似の多段発生器を使用して、所定期間にわたって、特定の流体、例えば、液体Bの、別の流体、例えば、液体Aに対する直線濃度勾配を示す出力流れを生成することは難しい場合がある。一般に、図6に示すような量子化段勾配発生器は、非直線勾配を有する出力流れを生成するのに使用することができる。図7および図8は、図8に記載したパラメータの下で、管(tube)を使用して、所定期間にわたって、図6に示す発生器と類似の多段発生器内に液体AおよびBを連続して導入することによって生成される、出力流れにおける所定期間にわたる液体Bの濃度を示すグラフを提供する。各データ線は、異なる数の段について正規化されたパーセントBを示す。横軸の目盛は、各データ線について、発生器から出て来るBが85%に達するのにかかる時間量に対して正規化されている。ここでも、各段についての放物型速度プロファイルによって、平滑化を行うことができる。
【0054】
図8は、2つのプロセスを示すプロットを提供する。「段1だけ」および「段2だけ」のデータ線は、個々の段1および2の中のフローを示す。100%は、その段から流れ出るフローの100%が液体Bであることを示す。他のデータ線は、7段システムの合計として液体Bのパーセントを示す。例えば、段1〜3についてのデータは、段1、2および3が合わせて、600秒後に合計出力の約43%の液体Bを提供することを示す。
【0055】
したがって、段数が増えるにつれて、一般に、時間に関してパーセントBの出力が逆放物型プロファイルに漸近的に近づく。すなわち、段数の増加は、必ずしも、直線勾配を有する出力流れをもたらさない。代わりに、非直線勾配プロファイルが形成され得る。いくつかの態様では、一段デバイスは、多段デバイスに比べて、直線勾配を有する出力流れを形成するのに適している場合がある。
【0056】
図9は、例示的な勾配発生器を提供する本発明のさらに別の実施形態を概略的に示す。ここでもまた、共通入口46と共通出口48を有する、6つの異なる段に相当する6つの流体搬送機構19A〜19Fが設けられる。各段は、システムの全ての他の段の部分と幾何形状、流量および長さが同じ、セクションIとして示すフロー制限部分を有する。各段のフロー制限部分の後に、セクションIIとして示す、異なる長さの滞留時間制御部分が続く。フロー制限部分は、各段を通して実質的に同じ流量を実現し得るが、滞留時間制御部分は、各段に関連する滞留時間および各段の体積を示し得る。滞留時間制御部分の下流に配置される各段の任意の最終部分は、点線で示す。セクションIIIにおいて流体搬送機構が各段の流量に及ぼす作用も考慮されるべきである。最も単純な場合において、各流体搬送機構の長さおよび断面は他のものと同じである。各段のフロー制限部分は、各段のセクションII部分またはセクションIII部分によって引き起こされる作用に対処するために、チャネルの幾何形状または長さが調節されてもよい。これによって、各段の流量が、所望の最終勾配プロファイルを提供するのに十分に調節されるであろう。
【0057】
図10は、制限規定式(restriction-defined)勾配発生デバイス(制限が規定されている勾配発生デバイス)の好ましい実施形態を概略的に示す。ここでもまた、共通入口46と共通出口48を有する、6つの異なる段に相当する流体搬送機構19A〜19Fが設けられる。デバイスは、図9のデバイスと同じように動作する。任意で、機構を追加するかまたは省略して、デバイスの段数を変えることもできる。例えば、機構19Fを省略し、それによって、5段デバイスとしてもよい。
【0058】
図9と図10の態様では、フロー制限部分を、滞留時間制御部分の上流に示しているが、両者の相対的な位置は逆であってもよい。さらに、フロー制御部分は、各段についてのフロー制限のほぼ全てを行うべきであり、滞留時間制御部分は、各段に関連する滞留時間に対するほぼ全ての制御を行うべきである。いずれにしても、最終部分が存在する場合、それらは同じ長さであり、その流れ制限(フロー制限)は、滞留時間制御部分より低くなっているべきである。
【0059】
図11は、各段に円形断面の機構を用いた8段勾配発生構成についてのモデル化された勾配を示す。このモデルは、段の各セクション内における流体の放物型速度プロファイルを考慮したものである。太線は、時間の関数としての、各チャネルにおける流体Bのパーセンテージを示し、一方、細線は、勾配発生器を出る流体Bの、組み合わされたパーセンテージを示す。このシミュレーションは、勾配発生プロセス中における流体AとBとの間の拡散混合の作用を含まない。
【0060】
上述した本発明の異なる機構は、異なる方法で組み合わされてもよい。例えば、特定の入力圧または流量が与えられると、特定の勾配プロファイルを生成することができるように、或る機構が選択されてもよい。さらに、異なるモジュールが、本発明の異なる態様を実行するために設計されてもよい。異なるモジュールを選択的に組み合わせることによって、任意の特定の用途について出力流れを生成することが可能であってもよい。
【0061】
モジュールは、例えば、図2とそれに付随する文章にそれぞれ示され、述べられるように、微小流体デバイスの形態で設けられてもよい。例えば、基板は、所望の特徴を示す出力流れを生成するための、微小チャネルの層を形成するように組み立てられてもよい。各基板は、特定の勾配特徴を提供するように構築されてもよい。異なる基板の微小チャネル間で流体連通を行うために、基板が積重ねられる時、勾配発生器は、特定の勾配プロファイルを提供するように形成されてもよい。勾配プロファイルを変えたい場合、異なる層のセットを選択し、新しい勾配プロファイルを形成するためにそれらの層を積重ねることが簡単であろう。これにより、アプリケーション開発者は、新しい微小流体デバイスを作製するのを待つ必要はなく、方法の開発中に勾配を変えることができる。
【0062】
上述した本発明の微小流体デバイスの基板を形成するのに使用される材料は、微小流体デバイスの適切な機能にとって望ましい物理的特徴と化学的特徴に関して選択される。基板は、マイクロメートル(ミクロン、μm)またはマイクロメートル以下の寸法である、高精細度(または高「分解能」)機構、すなわち、微小チャネル、チャンバ等の形成を可能にする材料から作製されてもよい。すなわち、材料は、所望の小型表面機構を有するために微細加工が可能でなければならない。
【0063】
基板は、基板の表面内、表面上かつ/または表面を貫通して機構を形成するように、微細加工できることが好ましい。これは、材料除去技術、例えば、ドライエッチング、ウェットエッチング、レーザエッチング、レーザアブレーション等を使用して行われてもよい。しかしながら、どの材料除去技術も、制御されない材料除去を避けるために、慎重に採用されるべきである。例えば、エッチングプロセスに伴う場合がある、制御されないアンダーカッティングを避けるために、エッチング組成物および/またはエッチングパラメータの慎重な選択が必要とされる場合がある。
【0064】
他の技術によって、微細構造を基板の表面上に形成することもできる。例えば、機構は、基板の表面上に成形されるかつ/またはエンボス加工されてもよい。さらに、付加的な技術が使用されてもよい。材料を基板に添加して、例えば、光画像形成可能なポリイミドを使用してガラス基板の表面上にポリマーチャネルを形成することによって、微細構造が形成されてもよい。同様に、使用される全てのデバイス材料は、流体試料を導入するために使用される時に接触する任意の物質に関して(例えば、pH、電界等に関して)、化学的に不活性でかつ物理的に安定であるべきである。
【0065】
本デバイスを形成するために適した材料は、ポリマー材料、セラミックス(酸化アルミニウム等を含む)、ガラス、金属、複合材およびそのラミネート(積層体)を含むが、それらに限定されない。一般に、用語「金属」、「セラミックス」、「半導体」、および「ポリマー」は、それらの通常の意味で本明細書において使用される。例えば、用語「金属」は、一般に、通常、光沢のある表面を有し、一般に、熱と電気の良導体であり、薄いシートまたはワイヤに形成することができる、或る種類の陽性元素のうちの任意のものを表す。同様に、用語「半導体」は、絶縁体より高いが、良導体より低い導電率を有する種々の固体結晶物質のうちの任意のものを示すのに使用される。例示的な半導体は、SiおよびGe等の元素固体ならびにGaAs等の化合物半導体を含む。用語「セラミックス」は、無機化合物、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、シリコン酸化物、チッ化物、および炭化物等の単一金属酸化物または混合金属酸化物を、高温で加熱することによって通常作られる、剛性があり、もろく、耐熱性があり、耐食性がある誘電体材料を示すのに使用される。セラミックス材料は、単結晶、多結晶またはガラスの場合のように、アモルファスであってもよい。
【0066】
ポリマー材料は、本明細書では特に好ましく、通常、ホモポリマーまたはコポリマー、自然発生かまたは合成、架橋結合であるかまたは非架橋結合である、有機ポリマーであろう。対象とする特定のポリマーは、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリフルオロカーボン、ポリスチレン、ポリスルフォン、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)(ABS)、ポリメチルメタクリレート等のアクリレートおよびアクリル酸ポリマー、ならびに、他の置換ポリオレフィンおよび非置換ポリオレフィン、ならびに、それらのコポリマーを含むが、それらに限定されない。或る場合には、ハロゲン化ポリマーが使用されてもよい。例示的な市販のフッ素化ポリマーおよび/または塩素化ポリマーは、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、およびそれらのコポリマーを含む。
【0067】
一般に、基板の少なくとも1つは、微小流体デバイスが、生物学的流体を搬送するのに採用される時に、耐生物付着性(biofouling-resistant)ポリマーを含む。ポリイミドは、特に重要であり、多くの環境において、非常に望ましい基板材料であることがわかっている。ポリイミドは、例えば、Kapton(登録商標)(DuPont、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington, Del))およびUpilex(登録商標)(Ube Industries, Ltd.、日本)という商品名で市販されている。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もまた、所望の耐生物付着特性を示す。
【0068】
本発明のデバイスはまた、「複合材」すなわち異なる材料からなる組成物から作製されてもよい。複合材は、ブロック複合材、例えば、A−B−Aブロック複合材、A−B−Cブロック複合材等であってもよい。あるいは、複合材は、材料のヘテロジェナスコンビネーション(不均一な組合せ、heterogeneous combination)(すなわち、材料が別個の相によって異なる)または異なる材料のホモジェナスコンビネーション(均一な組合せ、homogeneous combination)であってもよい。本明細書で使用される場合、用語「複合材」は、「ラミネート」複合材を含むように使用される。「ラミネート」は、同じかまたは異なる材料のいくつかの異なる結合層から形成された複合材料を指す。他の好ましい複合基板は、ポリマーラミネート、ポリマー−金属ラミネート、例えば、銅でコーティングしたポリマー、セラミックス−イン−金属(ceramic-in-metal)、またはポリマー−イン−金属(polymer-in-metal)複合材を含む。1つの好ましい複合材は、Kapton(登録商標)等のポリイミドの第1の層を、同じくDuPont(デラウェア州ウィルミントン)から入手できるKJ(登録商標)として知られる熱接着形態のポリイミドの第2の薄層とともに同時押出し成形することによって形成されるポリイミドラミネートである。
【0069】
微小流体デバイスの形態の本発明の実施形態は、微細成形および鋳造技術、エンボシング法、表面微細機械加工およびバルク微細機械加工を含むが、それらに限定されない任意の都合の良い方法を使用して作製することができる。後者の技術は、通常、ウェット化学エッチングまたは反応性イオンエッチング(「RIE」)を使用した、バルク材料内への直接エッチングによる微細構造の形成を含む。表面微細機械加工は、基板の表面上に堆積した膜からの作製を含む。
【0070】
本微小流体デバイスを作製するための好ましい技術はレーザアブレーションである。レーザアブレーションでは、強力な紫外光の短パルスが、材料の薄い表面層に吸収される。レーザアブレーション技術が使用される時、レーザは、除去される材料に応じて選択されなければならない。例えば、ガラスを気化するのに必要とされるエネルギーは、通常、有機材料の場合に必要とされるエネルギーの5〜10倍である。レーザアブレーションは、通常、F型、ArF型、KrCl型、KrF型、またはXeCl型の、あるいは、固体Nd−YAG型またはTi:サファイア型のエキシマレーザ等の高エネルギー光子レーザの使用を含むであろう。しかしながら、実質的に同じ光学波長とエネルギー密度を有する他の紫外光源もまた、使用されてもよい。レーザアブレーション技術は、例えば、Znotinsら著(1987)「Laser Focus Electro Optics」、54〜70頁によって、また、Schantzらに対する米国特許第5,291,226号および第5,305,015号に記載される。所定の材料についての好ましいパルスエネルギーは、約100ミリジュール/平方センチメートルより大きく、パルス継続時間は、約1マイクロ秒より短い。これらの条件下で、強力な紫外光は、基板表面の化学結合を光解離させる。吸収された紫外エネルギーは小さな体積の材料に集中するため、解離した断片を急速に加熱し、断片を基板表面から押し出す。これらのプロセスは急速に起こるため、熱が周辺材料に伝播する時間は存在しない。結果として、周辺領域は溶解せず、またはその他の方法で損傷を受けない。
【0071】
使用される作製技術は、機構の精密なアライメントもしくは「微小アライメント」を可能にするように、十分に高い精細度の機構、すなわち、微小スケール部品、チャネル、チャンバ等を実現しなければならない。すなわち、レーザアブレーションされた機構は、精密にかつ正確に位置合わせされ、例えば、相補的な微小チャネルの互いのアライメント、突出部と嵌合する窪みとのアライメント、溝と嵌合する隆起部とのアライメント等を含む。
【0072】
本発明のデバイスの基板を互いに対して固定するために、液密圧力シーリング技術が採用されてもよい。いくつかの態様では、部品(部材)を互いに付勢するのに(クリップ、引張ばねまたは関連するクランピング装置等の)外部手段を使用してもよい。はめ込み継手等の内部手段または溶接等の化学的手段もまた、有利には、使用されてもよい。同様に、基板間にシールが設けられてもよい。多くの材料のうちの任意のものがシールを形成するのに使用されてもよい。硬化可能なマスの(mass、塊状の)形態等の接着剤は、例えば、液体またはゲルとして、基板間に塗布され、基板間に接着性ポリマー層を形成するために、硬化条件にさらされてもよい。付加的な接着剤、例えば、感圧接着剤または溶媒含有接着溶液もまた、使用されてもよい。
【0073】
したがって、本発明は、流体技術において従来には知られていない利点を提供する。例えば、本発明は、高圧、中間圧、および低圧のLC勾配を生成するために、単一の高圧ポンプ、低圧ポンプ、微小流体デバイスまたはマクロ流体デバイス、および単一の切り換え弁の使用を可能にする。各ポンプは、単一の液体を圧送するのに使用されてもよい。本発明はまた、デバイスの幾何形状、使用される流体の組成、ならびに高圧ポンプ動作における圧力または流量の精度だけに依存する、再現性のあるLC勾配の作成を容易にする。さらに、本発明は、有利には、微小流体LC分離用途において、移動相における勾配発生と移動相の到着との間の遅延時間を減らすのに使用されてもよい。これは、遅延時間が分析の総実行時間のかなりの部分となる場合がある、低流量用途について特に重要である。圧送されたほとんど全ての溶媒が勾配発生に使用されるため、溶媒廃液は、勾配発生用途において減る場合がある。他の利点は、複雑性の低いデバイスを用いた高圧における低流量勾配、再現性、および流体ポンプの総体積についての絶対的な知識を含む。
【0074】
本発明の変形形態は、本明細書に含まれる開示に鑑みて、当業者には明らかであろう。例えば、本発明のデバイスは、デバイスの意図される使用に応じて特定の機構を包含するかまたは排除するように構成されてもよい。デバイスが、生物流体用途を意図しない時、デバイスは、耐生物付着性材料を必要としない可能性がある。さらに、本発明は、スケール不変であり、ほとんどあらゆるサイズの、微小流体デバイスまたはその他のデバイスに組み込まれてもよい。さらに、図2および図3の流体搬送微小機構は、一般に、長方形断面エリアを有するものとして示したが、機構は、任意特定の形状または幾何形状に限定されない。さらに、本発明は、基板上の微小チャネルを含む微小流体用途に限定されない。例えば、毛細管、配管、および他の流体搬送技術が使用されてもよい。
【0075】
混合が必要とされる時、当該技術分野で知られている多くの混合技術のうちの任意のものが使用されてもよい。例えば、図2および図3に示す技術以外の混合技術が使用されてもよい。いくつかの態様では、混合機構は、デバイス内のどこかにまだ残ったままの状態で、デバイスの勾配発生部から分離されてもよい。付加的にまたは代替的に、混合機構は、複数のチャネルの終点から単一のチャネルによって接続されてもよい。オフチップ(off-chip)ミキサもまた、有利には、使用されてもよい。本発明のさらなる変形形態は、本発明の精神から逸脱することなく、日常の実験によって発見されてもよい。
【0076】
以上、本発明の好ましい特定の実施形態に関連して述べたが、上記説明は、具体的な態様を示したものにすぎず、本発明の範囲を限定しないことが理解されるべきである。先に述べた発明から逸脱しない多くの代替形態および同等の形態が存在する。例えば、本発明の任意の特定の実施形態、例えば、本明細書の任意の図面に示される実施形態は、他の実施形態の機構を包含するかまたは排除するように変更されてもよい。本発明の範囲内にある他の態様、利点および変更は、当業者には明らかであろう。
【0077】
本明細書中で言及した全ての特許および特許出願は、先に述べた説明と矛盾しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】直線濃度勾配を示す出力流れれについての、所定期間にわたる液体Bの濃度プロファイルをプロットするグラフである。
【図2】本発明の例示的な微小流体デバイスを示す図であり、図2Aはこのデバイスの分解図であり、図2Bはこのデバイスの組み立て平面図である。
【図3】図3A〜図3Cから成り、図2のデバイスを使用して、所定期間にわたって階段状の濃度プロファイルを示す出力流れをいかに生成することができるかを示す図である。
【図4】図2に示すデバイスと同じように動作する6段発生器の略図である。
【図5】理想化されたプラグ流(実線)を仮定しかつポワズイユ流(破線)を仮定して、図4に示す発生器によって生成される出力流れについて、所定期間にわたる液体Bの濃度プロファイルをプロットするグラフである。
【図6】6つの流体搬送機構を採用する量子化3段勾配発生器の略図である。
【図7】量子化勾配発生器の実施態様から得られる液体Bのパーセントの理論的プロットを示すグラフである。
【図8】関連する異なる段に基づいて液体Bのパーセントのプロットを示すグラフである。
【図9】6段の固定構造勾配発生器の略図である。
【図10】固定狭窄(constriction)勾配発生器についての好ましい実施形態の略図である。
【図11】円形断面の微小導管を有する8段フロー制限勾配発生器のモデル化の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0079】
10 流体デバイス
12 第1の基板
19 流体搬送機構
40 第2の基板
46 入口(インレット)
48 出口(アウトレット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体デバイス(10)であって、
共通入口(46)から共通出口(48)に延びる複数の流体搬送機構(19)であって、該機構(19)の各々が異なる流体滞留時間と関連する、流体搬送機構(19)と、
前記流体搬送機構を通して流体フローをもたらす手段とを備え、
前記流体フローをもたらす手段が、前記流体搬送機構(19)と協働して、前記異なる滞留時間の結果として生成される少なくとも1つの所望の特徴を示す、前記共通出口(48)からの出力流れを生成するのに有効な方法で、前記流体搬送機構(19)からの流体を合流させる、流体デバイス。
【請求項2】
前記機構(19)が異なる長さを有する、請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項3】
前記機構(19)が、該機構(19)の各々を通って流れる流体が、実質的に同じ流量を示すことを可能にするように構築される、請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項4】
前記機構(19)が、実質的に同じ断面積を有する、請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項5】
第1の長さの第1の流体搬送機構(19A)と、前記第1の長さと異なる第2の長さの第2の流体搬送機構(19B)とを備えている、請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項6】
少なくとも1つの流体搬送機構(19)が、前記入口(46)および前記出口(48)の間で異なる断面積を示す、請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項7】
前記流体搬送機構(19)の各々が、滞留時間制御部分の上流にフロー制限部分を含む、請求項6に記載の流体デバイス。
【請求項8】
前記フロー制限部分の長さが実質的に同じである、請求項7に記載の流体デバイス。
【請求項9】
前記滞留時間制御部分の長さが異なる、請求項7に記載の流体デバイス。
【請求項10】
前記流体搬送機構(19)の各々が、滞留時間制御部分の下流にフロー制限部分を含む、請求項6に記載の流体デバイス。
【請求項11】
前記流体搬送機構(19)の下流で流体を混合する手段をさらに備える、請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項12】
第1の基板(12)と第2の基板(40)とをさらに備え、前記機構(19)は、該第1の基板(12)と該第2の基板(40)との間に配置される、請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項13】
少なくとも1つの機構(19)が、前記第1の基板(12)および/または前記第2の基板(40)の内部表面上に配置されるチャネルによって少なくとも部分的に画定される導管である、請求項12に記載の流体デバイス。
【請求項14】
第1の基板、第2の基板、第3の基板を積み重ねた状態でさらに備え、前記機構(19)の少なくともいくつかは、該第1の基板と該第2の基板との間かつ/または該第2の基板と該第3の基板との間に配置される、請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項15】
少なくとも1つの流体搬送機構(19)が微小機構である、請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項16】
前記機構を通して流体フローをもたらす前記手段が、前記入口の上流に、第1の流体の流体源と、第2の流体の流体源と、前記入口(46)と前記流体源のいずれか一方との間で交互の連通を可能にする切り換え弁とを備える、請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項17】
前記第1の流体および第2の流体は、組成的に異なり、前記出力流れは、前記第1の流体および第2の流体の所望の濃度プロファイルを示す、請求項16に記載の流体デバイス。
【請求項18】
前記所望の濃度プロファイルは、実質的に直線勾配である、請求項17に記載の流体デバイス。
【請求項19】
少なくとも1つの所望の特徴を示す流体流を生成する方法であって、
(a)共通入口(46)から共通出口(48)に延びる複数の流体搬送機構(19)を設けることであって、該流体搬送機構(19)の各々は異なる流体滞留時間と関連する、複数の流体搬送機構を設けること、および
(b)流体を前記共通入口内に導入することであって、それによって、前記流体搬送機構(19)を通って流体フローをもたらし、該流体フローは、次に、前記共通出口(48)からの出力流れを生成するように合流する、導入することを含み、
前記出力流れは、前記異なる滞留時間の結果として生成される少なくとも1つの所望の特徴を示す、少なくとも1つの所望の特徴を示す流体流を生成する方法。
【請求項20】
前記ステップ(b)は、第1の流体および第2の流体を連続して前記共通入口(46)内に導入することであって、それによって、前記出力流れは、前記第1の流体および前記第2の流体の所望のプロファイルを示す、導入することを含む、請求項19に記載の少なくとも1つの所望の特徴を示す流体流を生成する方法。
【請求項21】
前記第1の流体および前記第2の流体は、組成的に異なり、それによって、前記出力流れは、前記第1の流体および前記第2の流体の所望の濃度プロファイルを示す、請求項19に記載の少なくとも1つの所望の特徴を示す流体流を生成する方法。
【請求項22】
前記ステップ(b)は、第1の流体、第2の流体、および第3の流体を前記共通入口(46)内に導入することであって、それによって、前記出力流れは、前記流体の所望のプロファイルを示す、導入することを含む、請求項19に記載の少なくとも1つの所望の特徴を示す流体流を生成する方法。
【請求項23】
前記出力流れは、前記機構(19)の各々からの流体の混合物である、請求項19に記載の少なくとも1つの所望の特徴を示す流体流を生成する方法。
【請求項24】
微小流体デバイス(10)であって、
第1の対向する表面および第2の対向する表面(14、16)を有する第1の基板(12)と、
前記第1の基板(12)の前記第1の表面(14)に面する表面(42)を有する第2の基板(40)と、
共通入口(46)から共通出口(48)へ延びる複数の流体搬送微小機構(19)であって、該微小機構(19)の各々は、前記第1の基板(12)の前記第1の表面(14)の一部と前記第2の基板表面(42)の一部によって部分的に画定され、異なる流体滞留時間と関連する、複数の流体搬送微小機構と、
前記機構を通して流体フローをもたらす手段とを備え、
前記流体搬送機構(19)は前記流体フローをもたらす手段と共に、該流体搬送機構(19)からの流体が、合流して、前記共通出口(48)からの出力流れを生成するように動作し、前記出力流れは、前記異なる滞留時間の結果として生成される少なくとも1つの所望の特徴を示す微小流体デバイス。
【請求項25】
前記第2の基板表面(42)の一部によって少なくとも部分的に画定される、さらなる微小機構(19)を備える、請求項24に記載の微小流体デバイス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−139782(P2007−139782A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312863(P2006−312863)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】5301 Stevens Creek Boulevard Santa Clara California U.S.A.
【Fターム(参考)】