説明

異形成の検出方法

本発明は、バレット食道に罹患した患者において異形成部位を決定するのに有用なイメージング方法を提供する。本方法は、EGFRの細胞外ドメインを標的とするベクターを含む光学イメージング剤の使用を含んでなり、かかるベクターはまたHer2よりもEGFRに対して選択的である。かかるベクターは、500〜1200nmの緑色乃至近赤外波長の光を用いるインビボイメージングのために適した光学レポーターで標識されている。また、本方法で使用するのに適した新規な光学イメージング剤も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレット食道に罹患した患者において異形成(dysplasia)の部位を決定するのに有用なイメージング方法を提供する。本方法は、EGFRの細胞外ドメインを標的とするベクターを含む光学イメージング剤の使用を含んでなり、かかるベクターはまたHer2よりもEGFRに対して選択的である。かかるベクターは、500〜1200nmの緑色乃至近赤外波長の光を用いるインビボイメージングのために適した光学レポーターで標識されている。また、本方法で使用するのに適した新規な光学イメージング剤も提供される。
【背景技術】
【0002】
食道癌はすべての報告された癌症例の5%未満であるが、米国では毎年約30000の新しいかかる症例が診断され、生存率は低い(下記参照)。食道癌は、悪性である細胞のタイプに応じて2つの主要タイプ(扁平上皮癌及び腺癌)に分類できる。バレット食道は、食道癌(特に腺癌)の発生リスクの増加と関連した前悪性状態である[Kiesslich et al,Clin.Gastroenterol.Hepatol.,,979−987(2006)]。慢性逆流はバレット食道のリスクを増加させ、したがって胃食道逆流(GERD)は食道癌の危険因子であることが示唆されてきた。
【0003】
米国及び西欧では、食道の腺癌は扁平上皮癌より多い。食道癌は治療可能な疾患であり得るが、滅多に治癒しない。総合5年生存率は5〜30%である。食道癌の早期診断は患者の生存率を向上させる。主な治療法には、手術のみ又は放射線と組み合わせた化学療法がある。食道癌の治療で使用される化学療法には、5−フルオロウラシル及びシスプラチンがある。正確な手術前ステージングのないことが臨床上の大きな問題である。
【0004】
バレット食道における低グレードの異形成(即ち、異常な組織増殖)の存在は食道癌発生の危険因子であるが、監視は現在では組織病理学に頼っている[Lim et al,Endoscopy,39,581−7(2007)]。バレット食道における異形成の診断は、現在では1〜2cmごとのランダム4象限生検(シアトルプロトコル)によるが、これは多大の時間及び費用がかかる[DaCosta et al,Best Pract.Res.Clin.Gastroenterol.,20(1),41−57(2006)]。バレット食道における異形成は、常用内視鏡検査中に見えないのが普通である[Endlicher et al,Gut,48,314−319(2001)]。
【0005】
米国特許第6,035,229号(Washington Research Foundation)には、カテーテルの末端にある照明及びイメージング用プローブを用いてバレット食道を検出するためのシステムが記載されている。この文書には、光学造影剤は開示されていない。
【0006】
高度の異形成組織又は悪性組織の検出に際してメチレンブルー色素を使用することで、インビボでのバレット食道組織の染色がインビトロでの生検試料の染色と比較された[Canto et al,Endoscopy,33,391−400(2001)]。
【0007】
Kiesslich et al[Clin.Gastroenterol.Hepatol.,,979−987(2006)]は、共焦点レーザー内視鏡検査を用いたバレット上皮及び関連する新形成(neoplasia)の検出を助けるためにフルオレセインを使用することを報告した。
【0008】
国際公開第2005/058371号には、インビボでの食道癌及びバレット食道のイメージングのための光学イメージング用造影剤が開示されている。かかる造影剤は、バレット食道において異常に発現される生物学的標的に対して親和性を有している。国際公開第2005/058371号の造影剤は、好ましくは次の式を有する。
【0009】
V−L−R
式中、
Vは食道癌又はバレット食道において異常に発現される標的に対して親和性を有する1以上のベクター部分であり、
Lはリンカー部分又は化学結合(bond)であり、
Rは光学イメージングにおいて検出可能な1以上のレポーター部分である。
【0010】
バレット食道、扁平上皮癌又は腺癌において過剰発現又はダウンレギュレートされる広範囲の標的が記載されている。標的は、好ましくはE−カドヘリン、CD44、P62/c−myc(HGFレセプター)、P53及びEGFR/erB−2から選択される(請求項5)。ベクター(V)は、好ましくはペプチド、ペプトイド成分、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖、脂肪関連化合物及び旧来の有機薬物様小分子から選択されると述べられている。レポーター(R)は、好ましくは電磁スペクトルの紫外部から近赤外部までの波長領域の光と相互作用する色素である。
【0011】
上皮増殖因子(EGF)及びEGFレセプター(EGFR)はリガンド−レセプター対である。ヒト上皮増殖因子レセプター(HER)ファミリーは、次のような4種の密接に関連したErbBレセプターチロシンキナーゼからなっている。
EGFR(ErbB−1又はHER−1としても知られる)、
ErbB−2(HER−2又はNeuとしても知られる)、
ErbB−3(HER−3としても知られる)、及び
ErbB−4(HER−4としても知られる)。
【0012】
EGFRは細胞表面に位置する170kDaのタンパク質であって、アミノ末端細胞外リガンド結合ドメイン、単一の疎水性トランスメンブランヘリックス、並びにチロシンキナーゼドメイン及び重要なチロシン残基とレセプター調節モチーフを含むカルボキシ末端領域を含んだ細胞内ドメインからなっている。EGFのようなリガンドが細胞外ドメインに結合すると、いくつかのC末端チロシン残基においてレセプター二量化、活性化及びレセプター自己リン酸化が生じる。これらのリン酸化チロシンは、多数の細胞質シグナル伝達分子に対する結合部位として役立つ。EGFRの下流にあるこれらの経路の活性化は、細胞増殖、分化、移動/運動、付着、アポトーシスからの保護、生存の強化、及び遺伝子転写をもたらす。EGFRは、多くの上皮腫瘍において異常に活性化することが知られている[Mendolsohn et al,Semin.Oncol.,33(4),369−385(2006)]。
【0013】
Cai et al[Eur.J.Nucl.Med.Mol.Imaging,35,186−208(2008)]は、PET、SPECT、光学及びMRIに基づくヒトEGFレセプター(EGFR、HER2、HER3及びHER4)のマルチモダリティーイメージングのためのアプローチを総説している。
【0014】
バレット食道は、扁平食道上皮が円柱上皮で置き換えられたこと(化生(metaplasia))を特徴とする状態である。一定割合のバレット食道患者は食道腺癌を発生し、この過程での臨界段階は異形成を生じることである。したがって、異形成を診断された患者は、疾患の程度に応じ、抗逆流投薬、内視鏡粘膜切除及び外科的切除を含み得る治療を受ける(図1:“Guidelines for the Diagnosis and Management of Barrett’s Columnar−lined Oesophagus”,UK Society of Gastroenterology,August 2005;www.bsg.org.ukからの要約)。
【0015】
治療された患者を6ヶ月間隔で追跡することで、療法に対する応答が評価される。応答者(即ち、療法が有効であることを示す証拠が得られた患者)は低リスク患者と見なされる一方、非応答者に対しては治療の継続/追加が考慮される。
【0016】
Curvers et al[Gastroenterol.,134,670−679(2008)]は、各種の診断イメージング技法(即ち、拡大白色光内視鏡検査(WLE)、狭帯域イメージング(NBI)、インジゴカルミン色素内視鏡検査(ICC)及び酢酸色素内視鏡検査(AAC))をバレット食道において比較した。彼等は、一部の技法は向上した画像品質を与えるものの、観察者が異形成領域を異形成のない領域から識別する能力を向上させることはないという結論を下した。したがって、食道腺癌を発症するリスクのあるバレット食道患者の部分集合の一層信頼できる早期診断法、特に異形成部位を正常組織から識別する早期診断法に対するニーズが存在している。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、バレット食道に罹患した患者において異形成部位を決定するのに有用なイメージング方法を提供する。本方法は、EGFRの細胞外ドメインを標的とするベクターを含む光学イメージング剤の使用を含んでいる。かかるベクターは、500〜1200nmの緑色乃至近赤外波長の光を用いるインビボイメージングのために適した光学レポーターで標識されている。
【0018】
本発明は、バレット食道患者の異形成部位ではEGFR発現が顕著なアップレギュレーションを示すことを示している。発現の程度は、異形成の程度と相関することが判明した。したがって、本発明のイメージング方法は生検(即ち、異常が良性であるか癌性であるかをインビトロで確認するために異形成部位から組織試料を得ること)を誘導するために使用できる。それはまた、患者の診断及び層別化を助けると共に、治療(例えば、組織切除)を誘導及び/又はモニターするためにも使用できる。本発明は、疾患の早期段階において「リスクのある」患者の診断を容易にし、かくして必要に応じて治療を開始するための早期臨床介入を可能にする。
【0019】
また、本方法で使用するのに適した新規な光学イメージング剤も提供される。細胞内EGFRではなく細胞外EGFRを標的とすることは、イメージング剤が細胞膜を通過する必要がなく、したがって所望の標的へのアクセスが細胞膜を横切っての輸送プロセス及びイメージング剤の透過性によって支配されないという利点を有している。光学イメージングは、(i)現行の診断手続きに矛盾しないと共に、(ii)患者の放射線被曝を最小にするという2つの理由で好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の態様では、本発明は、バレット食道に罹患した患者において潜在性異形成部位を決定するのに使用するためのインビボイメージング方法であって、
(i)EGFRの細胞外ドメインを標的とするベクターを含むイメージング剤であって、前記ベクターが500〜1200nmの波長の光を用いてインビボで哺乳動物体のイメージングを行うのに適した光学レポーターイメージング成分で標識されているイメージング剤を用意する段階、
(ii)段階(i)からのイメージング剤を用いて前記患者の食道の少なくとも一部分の光学イメージングを行う段階、
(iii)段階(ii)のイメージングから、患者の食道の1以上の位置においてバックグラウンドに対するイメージング剤の取込みの増加が存在するか否かについて判定を行う段階、及び
(iv)段階(iii)の判定が少なくとも1つのかかる位置について取込みの増加を示す場合には、その位置を潜在性異形成部位として同定する段階
を含んでなる方法を提供する。
【0021】
「判定」という用語は、食道組織バックグラウンドに対してイメージング剤の取込みが増加した部位の位置及び範囲を確認することを意味する。
【0022】
「患者」という用語は、生きている哺乳動物被験体、好ましくはヒト被験体を意味する。
【0023】
「バレット食道に罹患した」という用語は、患者が既にバレット食道に罹患していると診断或いはバレット食道に罹患している疑いがあることを意味する。診断は、臨床的症状に加えて、通例は第一選択内視鏡検査を用いた確認に基づいて行われてきた。かかる第一選択内視鏡検査は、ランダム4象限生検試料を集めるため、現在では白色光を用いて実施される。これらの生検試料の組織学的評価により、疾患の程度が確認される。
【0024】
「イメージング剤」という用語は、インビボで人体のイメージングを行うために適した化合物を意味する。イメージングは侵襲的(例えば、手術中検査又は内視鏡検査)であってもよいし、或いは非侵襲的であってもよい。好ましいイメージング方法は内視鏡検査である。これは、食道の表面を光で照射するのを可能にすると共に、組織から放出される光を減衰させる介在組織なしに、したがってイメージングを容易にするための外科的介入の必要なしに蛍光の検出を可能にするからである。かくして、イメージングは介入を最小限に抑えながら患者のインタクトな身体に関して実施するのが好ましい。
【0025】
「異形成」という用語は、それの通常の意味を有し、即ち異常な組織増殖を意味する。かかる増加は良性、前癌性又は癌性であり得る。本発明の方法は、好ましくは前癌段階で、即ち以前に食道腺癌と診断されていない患者に関して使用される。「潜在性異形成」という語句は、イメージングのみによって検出された疑似異常をいう。真の異形成は、通例、(例えば生検による)組織試料採取及びインビトロでの組織試料の詳細な試験によって確認される。このように、本発明のイメージング剤及び方法は診断を助ける手段である。
【0026】
「ベクター」という用語は、インビボ診断イメージングの分野におけるそれの通常の意味を有し、即ちレセプター又は酵素のような特定の生物学的部位を標的とする化合物を意味する。
【0027】
「EGFRの細胞外ドメインを標的とする」という用語は、ベクターがバックグラウンド組織及び他の潜在的標的又は結合パートナーに比べてEGFRに対する実質的に高い親和性を有することを意味する。ベクターは、高い親和性(0〜50nMの範囲内、好ましくは1〜20nM、最も好ましくは10nM未満のKi値)をもって標的に結合できる。ベクターはまた、EGFRの細胞外ドメインに対して特異的であり、したがってEGFRのトランスメンブランドメイン又は細胞内ドメインに対してほとんど又は全く親和性を有しない。EGFRは好ましくはヒトEGFRである。
【0028】
「で標識されている」という用語は、ベクターの官能基が光学レポーターにコンジュゲートされていることを意味する。好ましくは、コンジュゲーションは共有化学結合による。
【0029】
「光学レポーターイメージング成分」(IM)という用語は、緑色ないし近赤外波長(500〜1200nm、好ましくは600〜1000nm)の光を用いる光学イメージング方法で直接又は間接に検出できる蛍光色素又は発色団を意味する。好ましくは、レポーターは蛍光性を有し、さらに好ましくは蛍光色素である。光学レポーターはインビボでの哺乳動物体のイメージングのために適するものでなければならないので、それはまた生体適合性でなければならない。「生体適合性」という用語は、無毒性であり、したがって副作用或いは投与時の苦痛又は不快感なしに哺乳動物体(特に人体)に投与するのに適していることを意味する。
【0030】
光学レポーターは、光学イメージング方法で直接又は間接に検出できる任意の成分である。レポーターは、光散乱剤(例えば、着色又は無着色粒子)、吸光剤又は発光剤であり得る。さらに好ましくは、レポーターは発色団又は蛍光化合物のような色素である。色素は、紫外域乃至近赤外域の波長をもった電磁スペクトル中の光と相互作用する任意の色素であり得る。最も好ましくは、レポーターは蛍光性を有する。
【0031】
光学レポーターは、任意にはリンカー基(L)を介してベクターにコンジュゲートすることができる。ここで、Lは式−(A)−の合成リンカー基である。式中、各Aは独立に−CR−、−CR=CR−、−C≡C−、−CRCO−、−COCR−、−NRCO−、−CONR−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SONR−、−NRSO−、−CROCR−、−CRSCR−、−CRNRCR−、C4−8シクロヘテロアルキレン基、C4−8シクロアルキレン基、C5−12アリーレン基又はC3−12ヘテロアリーレン基、或いはアミノ酸、糖又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)構成単位であり、各Rは独立にH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシアルキル及びC1−4ヒドロキシアルキルから選択され、mは1〜20の値を有する整数である。
【0032】
光学イメージングモダリティー及び測定技法には、特に限定されないが、ルミネセンスイメージング、内視鏡検査、蛍光内視鏡検査、光学コヒーレンス断層撮影、透過率イメージング、時間分解透過率イメージング、共焦点イメージング、非線形顕微鏡検査、光音響イメージング、音響光学イメージング、スペクトル分析、反射スペクトル分析、干渉分析、コヒーレンス干渉分析、拡散光学断層撮影及び蛍光媒介拡散光学断層撮影(連続波、時間ドメイン及び周波数ドメインシステム)、並びに光の散乱、吸光、偏光、ルミネセンス、蛍光寿命、量子収量及び消光の測定がある。
【0033】
段階(i)のイメージング剤は、当技術分野で公知の通り、静脈内投与又は経口投与のような通常の患者投与経路によって送達できる。食道への一層効率的な送達のために薬物を製剤化する方法は当技術分野で公知であり[Batchelor,Pharmaceut.Res.,22(2),175−181(2005]及びCollaud et al,J.Control.Rel.,123,203−210(2007)]、したがって本発明の段階(i)のイメージング剤を任意にはかかる製剤を介して送達することができる。
【0034】
ベクターは、EGFRの細胞外領域に対する内因性又は外因性リガンドを含み得るが、好ましくは合成品である。
【0035】
好ましい態様
イメージング剤の分子量は、好ましくは20000ダルトン(20kDa)以下、さらに好ましくは15kDa以下、最も好ましくは12kDa以下であり、6kDa以下が理想的である。抗体のような大きい分子は、顕著に高い分子量(インタクトな抗体に関しては約150kDa、FAbフラグメントに関しては約60kDa、scFvフラグメントに関しては約30kDa)を有している。かかる化学種の薬物動態は、遅いクリアランス及び不良な組織浸透のため、イメージングのためにはあまり適さないと考えられる。
【0036】
ベクターは、好ましくはHer2よりもEGFRに対して選択的である。「Her2よりもEGFRに対して選択的」という用語は、Her2に比べてEGFRに対するベクターの結合親和性が、内視鏡検査に際してEGFRの選択的イメージングを可能にする倍率だけ高いことを意味する。
【0037】
EGFRの細胞外領域に対する内因性リガンドを含むベクターは、好ましくは以下のものから選択される。
(i)ヒトEGF(hEGF)又はそのフラグメント、
(ii)TGF−α又はそのフラグメント、
(iii)アンフィレグリン。
【0038】
EGFは、約1nMのKをもってEGFRの細胞外ドメインに結合する6kDaのタンパク質である。組換えヒトEGFは、Sigma Chemical Companyから商業的に入手できる。EGFは、光学レポーターとのコンジュゲーションに適するいくつかのアミン部位を有している。したがって、EGFを標識する場合、標識部位は特異的に標的化されるわけではなく、様々な位置に生じ得る。hEGFは2つのリシン残基、5つのグルタミン酸残基及び7つのアスパラギン酸残基を含んでいる。したがって、光学レポーターは2つのリシン残基のアミノ基又はN末端にコンジュゲートできる。EGFは、シアニン色素Cy5.5に関してKe et al[Cancer Res.,63,7870−7875(2003)]により記載されたような光学レポーター、又はシアニン色素Cy5.5及びIRDye(登録商標)800CW−NHSに関してAdams et al[J.Biomed.Opt.,12(2)024017(2007)]により記載されたような光学レポーターで標識することができる。EGFは強いマイトジェン活性及び血管新生活性を有するものとして記載されており、したがって本発明にとってあまり好ましくないベクターである。EGFRの細胞外領域に結合するEGFの10〜15マーフラグメント(例えば、EGF21−31)[Lutsenko,New Res.Biotechnol.Med.,211−220(2006)]もまた、本発明の技術的範囲内にある。
【0039】
TGF−αは、高い親和性(約1nMのK)をもってEGFRに結合する50アミノ酸ペプチド(分子量5.5kDa)である。EGFRの細胞外領域に結合するTGF−αの10〜15マーフラグメント(例えば、TGF22−31)もまた、本発明の技術的範囲内にある。組換えヒトTGF−αは、Sigma Chemical Companyから商業的に入手できる。TGF−αは、好ましくはN末端又は4−Lys残基のアミノ基において光学レポーターで標識される。
【0040】
アンフィレグリン(AR;ケラチノサイト自己分泌因子としても知られる)は、EGFR(HER1)に対して選択的な内因性リガンドである。天然のARタンパク質は78又は84のアミノ酸残基を含み、N結合及びO結合したオリゴ糖を有する。メチオニンの代わりにロイシン−86残基を有し、AR1−90(leu86)と名付けられたC末端延長形のAR(分子量約9.4kDa)は、天然のAR1−84に比べて向上したEGFRに対する結合親和性を有する[Adam et al.,Biochim.Biophys.Acta,1266,83−90(1995)]。
【0041】
98アミノ酸残基(ロング形)のARは、R&D Systems社から商業的に入手できる。本発明の好ましいARはAR1−90(leu86)である。
【0042】
EGFRの細胞外領域に対する外因性リガンドを含むベクターは、好ましくは以下のものから選択される。
(i)ペプチド配列CKSPEPQHC(GE9)を含む9〜20マーペプチド、
(ii)ペプチド配列LHLWVPEPWTQT(GE10)を含む12〜20マーペプチド、
(iii)ペプチド配列YHWYGYTPQNVI(GE11)を含む12〜20マーペプチド、
(iv)ペプチド配列MLYNPTTYQMDVNPEGK(インヘルビン1)を含む17〜20マーペプチド、
(v)ペプチド配列LVYNKLTFQLEPNPHTK(インヘルビン3)を含む17〜20マーペプチド、
(vi)アフィボディ(Affibody(商標))、
(vii)ナノボディ(Nanobody(商標))、
(viii)ペプチド配列LARLLT(D4)を含む6〜15マーペプチド。
【0043】
本発明のペプチドは、P.Lloyd−Williams,F.Albericio and E.Girald;Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins,CRC Press,1997に記載されているような通常の固相ペプチド合成法によって得ることができる。GE9は好ましくは(2つのシステイン残基を介して)環化されるが、これは環状形が開鎖形に比べて安定性の増加を示すと予想されるからである。GE9に関しては、光学レポーターはリンカー基を介してC末端又はN末端に結合できる。ペプチドGE11は、Li et al[FASEB J.,19,1978−1985(2005)]によって記載されている。GE11に関しては、光学レポーターのコンジュゲーションのために好適な部位は、(フルオレセインイソチオシアネートに関してLi et alにより記載されているように)ペプチドのN末端のアミン基である。また、光学レポーターをGE11のC末端にコンジュゲートすること、或いはGE11のC末端又はN末端に結合したリンカーにコンジュゲートすることも可能である。しかし、12〜20マーペプチド又はリンカー基に追加のリシン又はシステイン残基を含め、リシン残基のアミンブチル側鎖又はシステイン残基のチオール側鎖に光学レポーターをコンジュゲートすることも可能である。ペプチドGE9又はGE10を標識するための好ましい部位は、GE11に関して記載したようなN末端又はリシン残基である。
【0044】
ペプチドであるインヘルビン1及びインヘルビン3は、国際公開第2007/115571号(Enkam Pharmaceuticals A/S)に記載されている。インヘルビン1及びインヘルビン3を光学レポーターで標識するための好ましい部位は、GE11に関して記載したようなN末端、リシン残基又はシステイン残基である。
【0045】
外因性リガンド(i)〜(v)のペプチドの残りのアミノ酸残基は、任意のアミノ酸からなっていてよい。「アミノ酸」という用語は、L−又はD−アミノ酸、アミノ酸類似体(例えば、ナフチルアラニン)或いはアミノ酸模倣体を意味し、これらは天然のもの又は純粋に合成由来のものであってよく、光学的に純粋なもの(即ち、単一の鏡像異性体)、したがってキラルなものであるか、或いは鏡像異性体の混合物であってよい。本明細書中では、アミノ酸に関する通常の三文字略語又は一文字略語が使用される。好ましくは、本発明のアミノ酸は光学的に純粋なものである。「アミノ酸模倣体」という用語は、アイソスター(即ち、天然化合物の立体構造及び電子構造を模倣するように設計されたもの)である天然アミノ酸の合成類似体を意味する。かかるアイソスターは当業者にとって公知であり、特に限定されないが、デプシペプチド、レトロ−インベルソペプチド、チオアミド、シクロアルカン又は1,5−二置換テトラゾールを包含する[M.Goodman,Biopolymers,24,137(1985)を参照されたい]。
【0046】
「ペプチド」という用語は、ペプチド結合(即ち、1つのアミノ酸のアミンを別のアミノ酸のカルボキシルに連結するアミド結合)によって連結された(上記で定義したような)2以上のアミノ酸を含む化合物を意味する。「ペプチド模倣体」又は「模倣体」という用語は、ペプチド又はタンパク質の生物学的活性を模倣するが、化学的性質がペプチド的でない(即ち、いかなるペプチド結合(つまり、アミノ酸間のアミド結合)も含まない)生物学的活性化合物をいう。ここでは、ペプチド模倣体という用語は広い意味で使用され、性質が完全にはペプチド的でない分子(例えば、プソイドペプチド、セミペプチド及びペプトイド)を包含する。
【0047】
アフィボディ(Affibody(商標))分子は、ブドウ球菌タンパク質AのIgG結合ドメインの1つから導かれる58アミノ酸残基ドメインに基づいている。アフィボディは単量体又は二量体の形態で使用でき、Nygren[FEBS J.,275,2668−2676(2008)]及びNilsson et al[Curr.Opin.Drug.Disc.Dev.,10,167−175(2007)]によって総説されている。Friedman et alは、EGFRの細胞外ドメインに対して特異的に結合するアフィボディ二量体分子(ZEGFR:955)を報告している[Protein Eng.Des.Select.,20(4),189−199(2007)]。Friedman et alはまた、EGFRの細胞外ドメインに対して選択的に結合する3種の選択された単量体アフィボディ(ZEGFR:942、ZEGFR:948及びZEGFR:955)も記載している。色素標識されかつ放射性ヨウ素化された(ZEGFR:955)に関するさらなる研究がNordberg et al[Nucl.Med.Biol.,34,609−618(2007)]によって報告された。Nordberg et alは、EGFRに基づく放射性核種イメージング用としてアフィボディ分子(ZEGFR:955)を検討すべきであると結論づけた。向上したEGFR結合親和性(約20倍の向上、Biacore分析によれば5.3nMのK)を有する第二世代のアフィボディ単量体ZEGFR:1907が、Orlova et al[Cancer Biother.Biopharm.,22(5),573−584(2007);J.Lab.Comp.Radiopharm.,50(Suppl.1):S70(2007)]によって報告されている。
【0048】
これらのアフィボディの比較的小さいサイズは、10〜20倍大きい抗体(約150kDa)に比べて良好な標的組織浸透及び血中クリアランスを可能にするはずである。アフィボディはまた、一定範囲のpH条件(pH5.5〜11)下で安定であるという利点も有している。アフィボディは、好ましくは[(ZEGFR:955)に関して上記のFriedman et alにより記載されたように]C末端システイン残基の位置におけるマレイミド官能化レポーターとのコンジュゲーション、或いはレポーターとの共有アミド結合によって光学レポーターで標識される。本発明の好ましいアフィボディは、単量体又は二量体形態のZEGFR:942、ZEGFR:948、ZEGFR:955及びZEGFR:1907であり、特にZEGFR:1907である。
【0049】
ラクダ科の動物は、単一のN末端ドメインが完全な抗原結合を可能にする、L鎖の欠落した機能性抗体を産生する。これらの単一ドメイン抗体フラグメント(VHH又はナノボディ)は、バイオテクノロジー用途に関していくつかの利点を有している。ナノボディは、Muyldermans[J.Biotechnol.,74,277−302(2001)]によって総説されている。その製造及び用途は、さらに最近になってHarmsen et al[App.Microbiol.Biotechnol.,77,13−22(2007)]により総説されている。細胞外EGFRに対して特異的なナノボディは、Gainkam et al[J.Nucl.Med.,49,788−795(2008)];Huang et al[Mol.Imaging Biol.,10,167−175(2008)]及びRoovers et al[Cancer Immunol.Immunother.,56,303−317(2007)]によって記載されている。Gainkam et alは、99mTc標識7C12が有望な腫瘍イメージング剤であると結論づけた。本発明で使用するための好ましいナノボディは、7C12、7D12及び8B6と名付けられたものである。
【0050】
D4ペプチドは、Song[FASEB J.,23(5),1396−1404(2009)及び国際公開第2009/059450号]によって記載されている。
【0051】
本発明のさらに好ましいベクターは、TGF−α、EGFRに対して特異的なアフィボディ、並びにペプチドであるGE9、GE10、GE11、D4、インヘルビン1及びインヘルビン3から選択される。本発明の最も好ましいベクターは、アフィボディ並びにペプチドであるGE9、GE10、GE11、インヘルビン1及びインヘルビン3から選択される。
【0052】
好ましい有機発色性及び発蛍光性レポーターには、広範な非局在化電子系を有する群、例えばシアニン類、メロシアニン類、インドシアニン類、フタロシアニン類、ナフタロシアニン類、トリフェニルメチン類、ポルフィリン類、ピリリウム色素、チアピリリウム色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、インドアニリン類、ベンゾフェノキサジニウム色素、ベンゾチアフェノチアジニウム色素、アントラキノン類、ナフトキノン類、インダスレン類、フタロイルアクリドン類、トリスフェノキノン類、アゾ色素、分子内及び分子間電荷移動色素及び色素錯体、トロポン類、テトラジン類、ビス(ジチオレン)錯体、ビス(ベンゼン−ジチオレート)錯体、ヨードアニリン色素、ビス(S,O−ジチオレン)錯体がある。緑色蛍光タンパク質(GFP)及び異なる吸収/発光特性を有するGFPの変種のような蛍光タンパク質も有用である。特定の状況においてはある種の希土類金属(例えば、ユウロピウム、サマリウム、テルビウム又はジスプロシウム)の錯体が使用され、蛍光ナノ結晶(量子ドット)についても同様である。好ましくは、本発明の光学レポーターは金属錯体を含まず、好ましくは合成有機色素である。
【0053】
使用できる発色団の具体例には、フルオレセイン、スルホローダミン101(Texas Red)、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン19、インドシアニングリーン、シアニン色素であるCy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、Marina Blue、Pacific Blue、Oregon Green 88、Oregon Green 514、テトラメチルローダミン、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700及びAlexa Fluor 750がある。
【0054】
イメージング成分は、好ましくは光学レポーター、さらに好ましくは蛍光性の緑色乃至近赤外色素である。かかるNIR色素は、好適には緑色乃至近赤外波長500〜1200nm中に吸収極大を有している。NIR色素は、好ましくはシアニン色素又はベンゾピリリウム色素である。発蛍光団である好ましいシアニン色素は、次の式Iのものである。
【0055】
【化1】

【0056】
式中、
各X’は独立に−C(CH)、−S−、−O−及び−C[(CH)CH][(CH)M]−(式中、aは0〜5の値を有する整数であり、bは1〜5の値を有する整数であり、MはG基であるか、或いはSO及びHから選択される。)から選択され、
各Y’は独立にH、−CHNH、−SO、−CHCOOM、−NCS、F及びG基からなる群から選択される1〜4の基を表し、Y’基は芳香環の任意の位置に配置されており、
Q’は独立にH、SO、NH、COOM、アンモニウム、エステル基、ベンジル及びG基からなる群から選択され、
はH又はB(ここに、Bは生体適合性陽イオンである。)であり、
lは1〜3の整数であり、
mは1〜5の整数であり、
X’、Y’及びQ’の少なくとも1つはG基からなり、
Gはベクターへの結合のために適した反応基又は官能基である。
【0057】
「生体適合性陽イオン」(B)という用語は、イオン化して負に帯電した基と共に塩を形成する正に帯電した対イオンを意味する。この場合、前記正に帯電した対イオンも無毒性であり、したがって哺乳動物体(特に人体)への投与に適している。好適な生体適合性陽イオンの例には、アルカリ金属であるナトリウム及びカリウム、アルカリ土類金属であるカルシウム及びマグネシウム、並びにアンモニウムイオンがある。好ましい生体適合性陽イオンはナトリウム及びカリウムであり、最も好ましくはナトリウムである。
【0058】
G基はベクターの相補的な基と反応して、シアニン色素発蛍光団とベクターとの間に共有結合を形成する。Gはペプチドの相補的な官能基と反応し得る反応基であってもよいし、或いは別法としてベクターの反応基と反応し得る官能基を含んでいてもよい。反応基及び官能基の例には、活性エステル、イソチオシアネート、マレイミド、ハロアセトアミド、酸ハライド、ヒドラジド、ビニルスルホン、ジクロロトリアジン、ホスホラミダイト、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、カルボニル、カルボン酸及びチオホスフェートがある。好ましくは、Gは活性エステルである。
【0059】
「活性化エステル」又は「活性エステル」という用語は、良好な脱離基であり、したがってアミンのような求核性化合物との一層容易な反応を可能にするように設計された関連カルボン酸のエステル誘導体を意味する。好適な活性エステルの例は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、スルホスクシンイミジルエステル、ペンタフルオロフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、p−ニトロフェノール、ヒドロキシベンゾトリアゾール及びPyBOP(即ち、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)である。好ましい活性エステルは、N−ヒドロキシスクシンイミド又はペンタフルオロフェノールエステル、特にN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。
【0060】
さらに好ましいシアニン色素は、次の式Iaのものである。
【0061】
【化2】

【0062】
式中、
及びYは独立に−O−、−S−、−NR−又は−CR−であり、Y及びYの少なくとも一方が−CR−であるように選択され、
及びRは独立にH、−SO又はRであり、
はH、C1−5アルキル、C1−6カルボキシアルキル又はR基であり、
〜Rは独立にC1−5アルキル、C1−6カルボキシアルキル又はRであり、
はH又はC1−3アルキルであり、
はR又はC1−6カルボキシアルキルであり、
は独立にC1−4スルホアルキルであり、
は式Iで定義した通りであり、
式Iaのシアニン色素は1以上のR基並びにR、R及びR基に由来する全部で1〜6のスルホン酸置換基を有することを条件とする。
【0063】
「スルホン酸置換基」という用語は、式−SO(式中、Mは上記で定義した通りである。)の置換基を意味する。式Iaの好ましい色素は、3〜6のスルホン酸置換基を有している。−SO置換基は炭素原子に共有結合しており、炭素原子はアリール(即ち、R又はR基)又はアルキル(即ち、R基)であり得る。式Ia中では、R基は好ましくは式−(CH)SOを有する。式中、Mは上記で定義した通りであり、kは1〜4の値を有する整数である。kは好ましくは3又は4である。
【0064】
特に好ましいシアニン色素は、次の式Ibのものである。
【0065】
【化3】

【0066】
式中、
及びR10は独立にH又はSOであって、R及びR10の少なくとも一方はSOであり、
11及びR12は独立にC1−4アルキル又はC1−6カルボキシアルキルであり、
13、R14、R15及びR16は独立にR基(式中、RはC1−4アルキル、C1−6カルボキシアルキル又は−(CH)SOであり、qは3又は4の値を有する整数である。)であり、
は式I及び式Iaに関して定義した通りであり、
シアニン色素はR、R10及びR基中に全部で1〜4のSO置換基を有することを条件とする。
【0067】
式Ibの好ましいシアニン色素は、ベクターへのコンジュゲーションを容易にするため、1以上のC1−6カルボキシアルキル基が存在するように選択される。
【0068】
式Ibの好ましい個別シアニン色素を表1にまとめて示す。
【0069】
【表1】

【0070】
特に好ましいシアニン色素は、下記式Icのものである。
【0071】
【化4】

【0072】
式中、
は独立にR基又はC1−6カルボキシアルキルであり、
17〜R20は独立にC1−5アルキル又はR基であり、R17=R18=R又はR19=R20=R(式中、RはC1−2アルキルである。)であるように選択され、
及びMは式Iに関して上記で定義した通りである。
【0073】
式Ib及び式Icの特に好ましいシアニン色素はCy5**及びAlexa 647であり、Cy5**が理想的である。
【0074】
「ベンゾピリリウム色素」という用語は、その通常の意味を有する。本発明の好適なベンゾピリリウム色素はBzpで表され、次の式IIを有する。
【0075】
【化5】

【0076】
式中、
は次の式Y又は式Yの基であり、
【0077】
【化6】

【0078】
21〜R24及びR29〜R33は独立にH、−SO、Hal、R及びC3−12アリールから選択され、
25はH、C1−4アルキル、C1−6カルボキシアルキル、C3−12アリールスルホニル又はClであり、或いはR25は任意にはR26、R34、R35又はR36の1つと共に五員又は六員の不飽和脂肪族環、不飽和ヘテロ脂肪族環又は芳香環を形成でき、
26及びR36は独立にR基であり、
27及びR28は独立にC1−4アルキル、C1−4スルホアルキル又はC1−6ヒドロキシアルキルであり、或いは任意にはR29及び/又はR30の一方又は両方と共に五員又は六員のN含有複素環又はヘテロアリール環を形成でき、
Xは−CR3435−、−O−、−S−、−Se−、−NR36−又は−CH=CH−(式中、R34〜R36は独立にR基である。)であり、
はC1−4アルキル、C1−4スルホアルキル、C1−6カルボキシアルキル又はC1−6ヒドロキシアルキルであり、
wは1又は2であり、
Jは生体適合性陰イオンであり、
は式Iに関して定義した通りであり、
BzpはR21〜R36基から選択される1以上のスルホン酸置換基を含むことを条件とする。
【0079】
「生体適合性陰イオン」(J)という用語は、イオン化して正に帯電した基(この場合にはインドリニウム基)と共に塩を形成する負に帯電した対イオンを意味する。この場合、前記負に帯電した対イオンも無毒性であり、したがって哺乳動物体(特に人体)への投与に適している。対イオン(J)は、モル相当量で存在することでBzp色素上の正電荷をバランスさせる陰イオンを表す。電荷をバランスさせる量が存在する限り、陰イオン(J)は好適には単一又は複数の電荷を有する。陰イオンは好適には無機酸又は有機酸から導かれる。好適な陰イオンの例には、塩化物イオン又は臭化物イオンのようなハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、クエン酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン及びホウ酸イオンがある。好ましい陰イオンは塩化物イオンである。
【0080】
式IIのベンゾピリリウム色素(Bzp)は、緑色乃至近赤外波長(500〜1200nm、好ましくは550〜1000nm、さらに好ましくは600〜800nm)の光を用いる光学イメージング方法で直接又は間接に検出できる蛍光色素又は発色団である。好ましくは、Bzpは蛍光性を有する。
【0081】
本発明の好適なイメージング剤は、Bzpが次の式IIa又は式IIbを有するものである。
【0082】
【化7】

【0083】
式中、X、w、J及びR21〜R33は式IIに関して定義した通りである。
【0084】
25がR26/R34〜R36の1つと共に五員又は六員の不飽和脂肪族環、不飽和ヘテロ脂肪族環又は芳香環を形成する場合、好適なかかる芳香環には、フェニル、フラン、チアゾール、ピリジル、ピロール及びピラゾール環がある。好適な不飽和環は、少なくともR25が結合したC=Cを含んでいる。
【0085】
27及び/又はR28がR29及び/又はR30の一方又は両方と共に五員又は六員のN含有複素環又はヘテロアリール環を形成する場合、好適なかかる環には、チアゾール、ピリジル、ピロール及びピラゾール環並びにこれらの部分水素化変種がある。好ましくは、ピリジル又はジヒドロピリジルである。
【0086】
ベンゾピリリウム色素の好ましい特徴
ベクターは、好ましくは式IIのBzpのR25、R26、R34、R35又はR36の位置、さらに好ましくはR26、R34、R35又はR36の位置、最も好ましくはR26、R34又はR35の位置に結合している。結合を容易にするため、関連するR25、R26、R34、R35又はR36置換基は好ましくはC1−6カルボキシアルキル、さらに好ましくはC3−6カルボキシアルキルである。
【0087】
ベンゾピリリウム色素(Bzp)は、好ましくは2以上のスルホン酸置換基、さらに好ましくは2〜6のスルホン酸置換基、最も好ましくは2〜4のスルホン酸置換基を有する。好ましくは、スルホン酸置換基の少なくとも1つはC1−4スルホアルキル基である。かかるスルホアルキル基は、好ましくは式IIのR26、R27、R28、R34、R35又はR36の位置にあり、さらに好ましくはR26、R27、R28、R34又はR35の位置にあり、最も好ましくはR27及びR28の一方又は両方と共にR26の位置にある。式IIのスルホアルキル基は、好ましくは式−(CH)SO(式中、MはH又はBであり、kは1〜4の値を有する整数であり、Bは(上記で定義したような)生体適合性陽イオンである。)を有する。kは好ましくは3又は4である。
【0088】
式II中、wは好ましくは1である。R25は好ましくはH又はC1−4カルボキシアルキルであり、最も好ましくはHである。Xは好ましくは−CR3435−又は−NR36−であり、最も好ましくは−CR3435−である。
【0089】
好ましいBzp色素は次の式IIIを有する。
【0090】
【化8】

【0091】
式中、Y、R21〜R24、R26、R34、R35及びJは式IIに関して定義した通りである。
【0092】
式IIIの好適な色素は、次の式IIIa又は式IIIbを有する。
【0093】
【化9】

【0094】
式III、式IIIa及び式IIIbの好ましいR21〜R24及びR26〜R33基は、式IIa及び式IIbに関して上記で定義した通りである。式III、式IIIa及び式IIIb中、R34及びR35は好ましくは一方がR基でありかつ他方がR基であるように選択される。RはC1−2アルキル、最も好ましくはメチルである。RはC1−4アルキル、C1−6カルボキシアルキル又はC1−4スルホアルキル、好ましくはC3−6カルボキシアルキル又は−(CH)SO(式中、kは3又は4であるように選択される。)である。
【0095】
好ましくは、式IIIの色素は、ベクターへの容易な共有結合を可能にするためにC1−6カルボキシアルキル置換基を有する。
【0096】
式II又は式III中、R27及び/又はR28がR29及び/又はR30の一方又は両方と共に五員又は六員のN含有複素環又はヘテロアリール環を形成する場合、好ましいかかる環はピリジル又はジヒドロピリジルである。R28基がR30と共に環化された好ましいかかるY基は、次の式Yを有する。
【0097】
【化10】

【0098】
27及びR28基の両方が環化された好ましいかかるY基は、次の式Yを有する。
【0099】
【化11】

【0100】
式中、
27、R29及びR31〜R33は上記で定義した通りであり、
各Xは独立にH又はC1−4アルキルである。
【0101】
式Y中、好ましくは下記の通りである。
各XはCHであり、
=R31=Hであり、
32はHであり、
33はCH又は−C(CH)、さらに好ましくは−C(CH)である。
【0102】
式Y中、好ましくは下記の通りである。
29はHであり、
32はHであり、
33は好ましくはCH又は−C(CH)、さらに好ましくは−C(CH)である。
【0103】
式IIの−NR2728基は下記のいずれかであることが好ましい。
(i)この基は開鎖形態にある。即ち、R27/R28基はR29/R30の一方又は両方と共に環化されていない。好ましいかかるR27及びR28基は、C1−4アルキル及びC1−4スルホアルキルから独立に選択され、最も好ましくはエチル及びC3−4スルホアルキルから独立に選択される。
(ii)この基は環化されて、式Y又は式Y、さらに好ましくは式Yの環状Y置換基を生じる。
開鎖形態(i)が最も好ましい。
【0104】
式IIIの特に好ましい色素は、次の式IIIc、式IIId又は式IIIeを有する。
【0105】
【化12】

【0106】
式中、
及びJは上記で定義した通りであり、
37及びR38は独立にC1−4アルキル及びC1−4スルホアルキルから選択され、
39はH又はC1−4アルキルであり、
40はC1−4アルキル、C1−4スルホアルキル又はC1−6カルボキシアルキルであり、
41はC1−4スルホアルキル又はC1−6カルボキシアルキルであり、
42はC1−4アルキル、C1−4スルホアルキル又はC1−6カルボキシアルキルであり、
,X及びXは独立にH又はC1−4アルキルである。
式IIId、式IIIe及び式IIIfの色素は、好ましくはR40〜R42の1以上がC1−4スルホアルキルであるように選択される。
【0107】
式IIIdの好ましい特定の色素は、次式のDY−631及びDY−633である。
【0108】
【化13】

【0109】
式IIIeの好ましい特定の色素は、次式のDY−652である。
【0110】
【化14】

【0111】
好ましい特定の色素はDY−631及びDY−652であり、DY−652が最も好ましい。
【0112】
存在する場合、リンカー基−(A)−の役割の1つは、光学レポーターをベクターの活性部位から遠ざけることにあると想定されている。これは、レポーターが比較的バルキーであり、したがって有害な立体的相互作用が起こり得る場合に特に重要である。これは、レポーターが活性部位から離れて位置する自由を与えるたわみ性(例えば、単純アルキル鎖)及び/又はレポーターを活性部位から離すように定位させる剛性(例えば、シクロアルキル又はアリールスペーサー)を組み合わせることで達成できる。リンカー基の性質はまた、イメージング剤の生体分布を調整するためにも使用できる。即ち、例えばリンカー中にエーテル基を導入することは、血漿タンパク質結合を最小限に抑えるために役立つ。−(A)−がポリエチレングリコール(PEG)構成単位又は1〜10のアミノ酸残基を有するペプチド鎖からなる場合、リンカー基はインビボでイメージング剤の薬物動態及び血中クリアランス速度を調整するために機能し得る。かかる「バイオモディファイアー」リンカー基は、バックグラウンド組織(例えば、筋肉又は肝臓)及び/又は血液からのイメージング剤のクリアランスを促進することで、バックグラウンド妨害を少なくして一層良好な診断画像を与えることができる。バイオモディファイアーリンカー基はまた、特定の排泄経路(例えば、肝臓経由ではなく腎臓経由の排泄)を有利にするためにも使用できる。
【0113】
「糖」という用語は、単糖、二糖又は三糖を意味する。好適な糖には、グルコース、ガラクトース、マルトース、マンノース及びラクトースがある。任意には、アミノ酸への容易なカップリングを可能にするように糖を官能化することができる。即ち、例えばアミノ酸のグルコサミン誘導体は、ペプチド結合を介して他のアミノ酸にコンジュゲートすることができる。(NovaBiochem社から商業的に入手できる)アスパラギンのグルコサミン誘導体はこれの一例である。
【0114】
【化15】

【0115】
合成リンカー基(L)が存在する場合、それは好ましくはベクター及び光学レポーターへのコンジュゲーションを容易にする末端官能基を含む。Lが1〜10のアミノ酸残基を有するペプチド鎖からなる場合、アミノ酸残基は好ましくはグリシン、リシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びセリンから選択される。LがPEG部分からなる場合、それは好ましくは次の式Bio1又は式Bio2の単分散PEG様構造のオリゴマー化で導かれる単位を含む。
【0116】
【化16】

【0117】
かかるPEG様構造は、式Bio1(式中、pは1〜10の整数である。)の17−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15−テトラオキサヘプタデカン酸であり得る。別法として、式Bio2のプロピオン酸誘導体に基づくPEG様構造も使用できる。
【0118】
【化17】

【0119】
式中、pは式Bio1に関して定義した通りであり、qは3〜15の整数である。式Bio2中、pは好ましくは1又は2であり、qは好ましくは5〜12である。
【0120】
リンカー基がPEG又はペプチド鎖からなっていない場合、好ましいL基は、2〜10の原子、最も好ましくは2〜5の原子、特に好ましくは2又は3の原子を含む−(A)−部分を構成する結合原子の主鎖を有している。2つの原子を含む最小リンカー基主鎖は、いかなる望ましくない相互作用も最小限に抑えられるように光学レポーターを十分に引き離すという利点を与える。
【0121】
第1の態様のイメージング剤は、好ましくは医薬組成物として提供される。かかる組成物は、イメージング剤を生体適合性キャリヤーと共に哺乳動物への投与に適した形態で含んでいる。「生体適合性キャリヤー」とは、組成物が生理学的に許容され得るようにして(即ち、毒性又は過度の不快感なしに哺乳動物体に投与できるようにして)イメージング剤を懸濁又は溶解できる流体(特に液体)である。生体適合性キャリヤーは、好適には、無菌のパイロジェンフリー注射用水、(有利には注射用の最終生成物が等張性になるように平衡させ得る)食塩水のような水溶液、或いは1種以上の張度調整物質(例えば、生体適合性対イオンを有する血漿陽イオンの塩)、糖(例えば、グルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えば、グリセロール)又は他の非イオン性ポリオール物質(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液のような注射可能なキャリヤー液体である。好ましくは、生体適合性キャリヤーはパイロジェンフリー注射用水又は等張食塩水である。
【0122】
イメージング剤及び生体適合性キャリヤーはそれぞれ、注射器又はカニューレによる溶液の追加及び抜取りを許しながら、無菌保全性及び/又は放射能安全性の維持、さらに任意には不活性ヘッドスペースガス(例えば、窒素又はアルゴン)の維持を可能にする密封容器からなる適当なバイアル又は容器に入れた状態で供給される。好ましいかかる容器は、気密クロージャーを(通例はアルミニウムからなる)オーバーシールと共にクリンプ加工した隔壁密封バイアルである。クロージャーは、無菌保全性を維持しながら皮下注射針による1回又は数回の穿刺に適したもの(例えば、クリンプ加工した隔壁シールクロージャー)である。かかる容器は、(例えば、ヘッドスペースガスの変更又は溶液のガス抜きのために)所望される場合にはクロージャーが真空に耐え得ると共に、酸素又は水蒸気のような外部大気ガスの侵入を許すことなしに減圧のような圧力変化にも耐え得るという追加の利点を有している。好ましい複数用量容器は、複数の患者用量を含む(例えば、容積10〜30cmの)単一のバルクバイアルからなり、したがって臨床的状況に合わせて製剤の実用寿命中に様々な時間間隔で1回分の患者用量を臨床グレードの注射器中に抜き取ることができる。予備充填注射器は1回分のヒト用量又は「単位用量」を含むように設計され、したがって好ましくは臨床用に適した使い捨て注射器又は他の注射器である。本発明の医薬組成物は、好ましくは1人の患者用に適した用量を有し、上述したように適当な注射器又は容器に入れて供給される。
【0123】
かかる医薬組成物は、抗菌防腐剤、pH調整剤、フィラー、安定剤又は重量オスモル濃度調整剤のような追加賦形剤を任意に含むことができる。「抗菌防腐剤」という用語は、潜在的に有害な微生物(例えば、細菌、酵母又はかび)の増殖を阻止する薬剤を意味する。抗菌防腐剤はまた、使用する用量に応じて多少の殺菌性を示すこともある。本発明の抗菌防腐剤の主な役割は、医薬組成物中におけるこのような微生物の増殖を阻止することである。しかし、抗菌防腐剤は、任意には投与に先立って前記組成物を製造するために使用されるキットの1種以上の成分中における潜在的に有害な微生物の増殖を阻止するためにも使用できる。好適な抗菌防腐剤には、パラベン類(即ち、メチル、エチル、プロピル又はブチルパラベン或いはこれらの混合物)、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、セトリミド及びチオメルサールがある。好ましい抗菌防腐剤はパラベン類である。
【0124】
「pH調整剤」という用語は、組成物のpHがヒト又は哺乳動物への投与のために許容される範囲(およそpH4.0〜10.5)内にあることを保証するために有用な化合物又は化合物の混合物を意味する。好適なかかるpH調整剤には、トリシン、リン酸塩又はTRIS[即ち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]のような薬学的に許容される緩衝剤、及び炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの混合物のような薬学的に許容される塩基がある。組成物をキットの形態で使用する場合には、pH調整剤を任意には独立のバイアル又は容器に入れて供給することができ、その結果としてキットのユーザーは多段操作の一部としてpHを調整することができる。
【0125】
「フィラー」という用語は、製造及び凍結乾燥中における材料の取扱いを容易にすることができる薬学的に許容される増量剤を意味する。好適なフィラーには、塩化ナトリウムのような無機塩、及びスクロース、マルトース、マンニトール又はトレハロースのような水溶性糖又は糖アルコールがある。
【0126】
かかる医薬組成物は、無菌製造条件下で(即ち、クリーンルーム内で)製造して所望の無菌で非発熱性の生成物を得ることができる。基本構成部分、特に関連する試薬並びにイメージング剤に接触する装置部品(例えば、バイアル)は無菌であることが好ましい。かかる構成部分及び試薬は、無菌濾過或いは(例えば、γ線照射、オートクレーブ処理、乾熱又は(例えば、エチレンオキシドによる)化学処理を用いる)終末滅菌をはじめとする、当技術分野で公知の方法によって滅菌できる。一部の構成部分を予め滅菌しておけば、最小数の操作を実施すれば済むので好ましい。しかし、予防策として、医薬組成物の製造における最終段階として少なくとも無菌濾過段階を含めることが好ましい。
【0127】
かかる医薬組成物はまた、第4の態様(下記)に記載するように、キットから製造することもできる。
【0128】
第1の態様の方法は、好ましくは、下記に記載するように(a)異形成のないバレット食道、(b)異形成、及び(c)癌を識別するために使用される。その判定は蛍光強度による。本方法は、主として異形成のないバレット食道を異形成又は腺癌から識別するため、好ましくは(a)、(b)及び(c)の各々を識別するため、最も好ましくはさらに(b)において「低グレード」又は「高グレード」異形成を識別するために使用される。ここで、これらの用語は図1(上記)に関係するものである。
【0129】
第1の態様の方法は、好ましくは、さらに(v)段階(iv)からの潜在性異形成部位に関して生検を行う段階を含む。このようにすれば、組織試料を採取してエクスビボで詳細に試験することで任意の疾患の性質及び程度を確認することができる。生検は標準的な技法によって実施される[例えば、Barr et al,MedGenMed,8,66−88(2006)を参照されたい]。
【0130】
生検段階を含んでも含まなくても、第1の態様の方法は好ましくは局所療法を送達すべき部位の案内に使用される。任意の疾患の性質及び程度に関する一層正確な知識は、個々の患者に対する最も適切な療法の決定を可能にする。かかる療法は、プロトンポンプ阻害剤による化学療法、内視鏡粘膜切除及び外科的切除を含むことがある(図1参照)。疾患が検出されて療法が開始された場合、第1の態様の方法は、例えば適当な時間間隔で追跡反復イメージングを行うことで、療法の効力をモニターするために有利に使用できる。
【0131】
光学レポーターは、通常の方法によってベクターにコンジュゲートすることができる。これに関しては、Achilefu[Technol.Cancer.Res.Treat.,,393−409(2004)],Li et al[Org.Lett.,(17),3623−26(2006)及びBullok et al[J.Med.Chem.,48,5404−5407(2005)]を参照されたい。シアニン色素を生物学的分子にコンジュゲートするための一般的方法は、Licha et al[Topics Curr.Chem.,222,1−29(2002);Adv.Drug Deliv.Rev.,57,1087−1108(2005)]によって記載されている。本発明で使用するためのペプチド、タンパク質及びオリゴヌクレオチドベクターは、末端位置で標識することもできるし、或いは別法として1以上の内部位置で標識することもできる。蛍光色素標識試薬を用いるタンパク質標識の総説及び例に関しては、“Non−Radioactive Labelling,a Practical Introduction”,Garman,A.J.,Academic Press,1997、及び“Bioconjugation − Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences”,Aslam,M.and Dent,A.,Macmillan Reference Ltd.(1998)を参照されたい。合成ペプチドにおいて部位特異的標識を達成するためのプロトコルが利用できる。例えば、Hermanson,G.T.,“Bioconjugate Techniques”,Academic Press(1996)を参照されたい。
【0132】
好適な光学レポーター、特に色素をアミノ酸及びペプチドにコンジュゲートする方法は、Licha(上記参照)並びにFlanagan et al[Bioconj.Chem.,,751−756(1997)]、Lin et al[ibid,13,605−610(2002)]及びZaheer[Mol.Imaging,(4),354−364(2002)]によって記載されている。リンカー基(L)をベクターにコンジュゲートする方法は、色素のみをコンジュゲートする方法と類似の化学作用を使用し、当技術分野で公知である。
【0133】
ペプチドへのコンジュゲーションに適するように官能化された光学レポーター色素は、GE Healthcare Limited、Atto−Tec社、Dyomics社、Molecular Probes社などから商業的に入手できる。かかる色素の多くはNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)活性化エステルとして入手できる。ベクターへのコンジュゲーションに適するように官能化されたベンゾピリリウム色素(Bzp)は、Dyomics社(Dyomics GmbH、Winzerlaer Str.2A、D−07745 Jena、ドイツ、www.dyomics.com)から商業的に入手できる。この場合、反応性官能基はNHSエステル、マレイミド、アミノ又はカルボン酸である。
【0134】
第2の態様では、本発明は、第1の態様の方法で有用なイメージング剤であって、以下のものから選択されるイメージング剤を提供する。
(i)式Iaのシアニン色素又はベンゾピリリウム色素である光学レポーターで標識されたhEGF又はそのフラグメント、
(ii)式Iaのシアニン色素又はベンゾピリリウム色素である光学レポーターで標識されたTGF−α又はそのフラグメント、
(iii)第1の態様で定義した光学レポーターで標識されたアンフィレグリン、
(iv)シアニン色素又はベンゾピリリウム色素である光学レポーターで標識された、アミノ酸配列CKSPEPQHC(GE9)を含む9〜20マーペプチド、
(v)シアニン色素又はベンゾピリリウム色素である光学レポーターで標識された、アミノ酸配列LHLWVPEPWTQT(GE10)又はYHWYGYTPQNVI(GE11)を含む12〜20マーペプチド、
(vi)第1の態様で定義した光学レポーターで標識された、アミノ酸配列MLYNPTTYQMDVNPEGK(インヘルビン1)を含む17〜20マーペプチド、
(vii)第1の態様で定義した光学レポーターで標識された、アミノ酸配列LVYNKLTFQLEPNPHTK(インヘルビン3)を含む17〜20マーペプチド、
(viii)式Iaのシアニン色素又はベンゾピリリウム色素である光学レポーターで標識された、第1の態様で定義したアフィボディ(Affibody(商標))、
(ix)シアニン色素又はベンゾピリリウム色素である光学レポーターで標識された、第1の態様で定義したナノボディ(Nanobody(商標))。
【0135】
第2の態様のイメージング剤の光学レポーターの好ましい態様は、第1の態様(上記)に定義された通りである。特に(i)〜(vii)のベクターは、好ましくは式Iaのシアニン色素又はベンゾピリリウム色素である光学レポーターで標識される。シアニン色素及びベンゾピリリウム色素の好ましい態様は、第1の態様に定義された通りである。
【0136】
第3の態様では、本発明は、第2の態様のイメージング剤を含んでなる医薬組成物を提供する。医薬組成物及びその好ましい実施形態は、第1の態様(上記)に記載された通りである。第3の態様の医薬組成物の好ましい態様は、第2の態様に記載された通りである。
【0137】
第4の態様では、本発明は、第3の態様の医薬品組成物を製造するためのキットを提供する。好適なキットは第1の態様のイメージング剤を無菌固体形態で含んでいて、生体適合性キャリヤーの無菌供給物で再構成すれば溶解が起こって所望の医薬品組成物が得られる。
【0138】
その場合、イメージング剤及び上述したような他の任意賦形剤は、凍結乾燥粉末として適当なバイアル又は容器に入れて供給できる。イメージング剤は、次いで所望の生体適合性キャリヤーを用いて再構成することで、哺乳動物への投与が可能な無菌で非発熱性の形態の医薬品組成物を与えるように設計されている。「生体適合性キャリヤー」という用語及びその好ましい実施形態は、第1の態様(上記)に記載された通りである。
【0139】
イメージング剤の好ましい無菌固体形態は凍結乾燥固体である。無菌固体形態は、好ましくは医薬組成物に関して(上記に)記載されたような医薬品用容器に入れて供給される。キットを凍結乾燥する場合、配合物は糖類(好ましくはマンニトール、マルトース及びトリシン)から選択される凍結保護剤を任意に含むことができる。
【0140】
第5の態様では、本発明は、第1の態様のインビボイメージング方法における、第1又は第2の態様で定義したイメージング剤の使用を提供する。このような使用のためのイメージング剤の好ましい態様は、第1及び第2の態様に記載された通りである。
【0141】
第6の態様では、本発明は、第1の態様の方法における、第1の態様のイメージング剤を製造するためのキットの使用を提供する。
【0142】
第7の態様では、本発明は、第1の態様の方法で使用するためのイメージング剤の製造における、第1の態様の段階(i)で定義したベクターの使用を提供する。
【実施例】
【0143】
以下の実施例によって本発明を例証する。本発明の化合物を表2(下記)に示す。化合物1〜3はGE11類似体である。化合物4〜7はTGFα22−31フラグメント類似体であり、化合物8〜11はEGF21−31フラグメント類似体である。
【0144】
実施例1は、本発明の好ましいシアニン色素であるCy5**の合成法を示す。実施例2は、Cy5**の活性化エステルの合成法を示す。実施例3は、シアニン色素(Cy5**)をコンジュゲートした本発明のペプチドの合成法を示す。実施例4は、シアニン色素(Cy5**)をコンジュゲートした本発明のタンパク質(抗EGFRアフィボディを含む)の合成法を示す。実施例5は化合物1〜14に関するHPLC精製条件を示し、実施例6は化合物1〜14の特性決定を示す。実施例7は本発明の化合物に関する結合アッセイデータを示し、適当な光学レポーターで標識された本発明のベクターがなおもEGFRへの結合を維持することを示している。
【0145】
実施例8は、組織マイクロアッセイ方法によって得られた、バレット食道患者からの患者組織試料中におけるEGFRの発現に関するデータを示す。実施例8は、EGFR発現がバレット組織では低く、低グレード異形成から高グレード異形成、さらに腺癌となるに従って次第に増加することを実証している。EGFR発現はまた、異形成/腺癌の部位に隣接したバレット組織中でも増加している。扁平上皮組織中でのEGFR発現は、この標的の適性に影響を及ぼさない。その理由は、扁平上皮組織が食道の正常な内張りであると共に、広い表面積を占めるバレット組織が真のバックグラウンドであり、白色光の下では扁平上皮組織から容易に識別されるからである(バレット組織はピンク色であり、したがって容易に識別できる)。結果は、「リスクのある」患者(バレット組織を超えて進行した患者)におけるEGFR発現の有意なアップレギュレーションを示しており、生検案内のためのEGFR標的化を支持している。所見は異形成におけるEGFR発現の増加である。
【0146】
実施例9は、食道癌において、高EGFR発現患者では生存期間が短い傾向を示している。これは、その病態のマーカーとしてのEGFの重要性を実証している。
【0147】
略語
通常の一文字又は三文字アミノ酸略語を使用する。
Acm: アセトアミドメチル
ACN: アセトニトリル
Boc: tert−ブチルオキシカルボニル
Cy5**: 実施例1参照
DBU: 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン
DCM: ジクロロメタン
DIEA: ジイソプロピルエチルアミン
DCC: N,N’−ジシクロヘキシル−カルボジイミド
DMSO: ジメチルスルホキシド
Fmoc: 9−フルオレニルメトキシカルボニル
HBTU: O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチ ルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOBt: 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HSPyU: O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチレン ウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
ivDde: 1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3 −メチルブチル
LC−MS: 液体クロマトグラフィー質量分析法
NHS: N−ヒドロキシスクシンイミド
NMM: N−メチルモルホリン
NMP: 1−メチル−2−ピロリジノン
Pbf: 2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホ ニル
PyAOP: 7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ピロリジノ) ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
rhEGF: 組換えヒトEGF
rhTGFα: 組換えヒトTGFα
RP−HPLC:逆相HPLC
tBu: tert−ブチル
TFA: トリフルオロ酢酸
TIS: トリイソプロピルシラン
Trt: トリチル
【0148】
【表2】

【0149】
実施例1:シアニン色素2−{(1E,3E,5E)−5−[1−(5−カルボキシペンチル)−3,3−ジメチル−5−スルホ−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−イリデン]ペンタ−1,3−ジエニル}−3−メチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(Cy5**)の合成
【0150】
【化18】

【0151】
(1a)5−メチル−6−オキソヘプタン−1−スルホン酸
【0152】
【化19】

【0153】
水素化ナトリウム(鉱油中60%NaHの12.0g)のDMF(100ml)懸濁液に、氷浴で冷却しながらエチル2−メチルアセトアセテート(50g)のDMF(25ml)溶液を1時間かけて滴下した(内部温度0〜4℃)。この混合物を撹拌しながら45分間放置して周囲温度まで温めた後に再冷却した。次いで、1,4−ブタンスルトン(45g)のDMF(25ml)溶液を15分かけて滴下した。最終混合物を60℃で18時間加熱した。溶媒を回転蒸発によって除去し、残留物を水とジエチルエーテルとの間に分配した。水性層を集め、新鮮なジエチルエーテルで洗浄し、回転蒸発させて粘着性の泡状物を得た。この中間体を水(100ml)に溶解し、撹拌しながら水酸化ナトリウム(17.8g)を15分かけて添加した。混合物を90℃で18時間加熱した。冷却した反応混合物を濃塩酸(約40ml)の添加で約pH2に調整した。溶液を回転蒸発させ、真空下で乾燥した。黄色の固体を、2%の塩酸を含むエタノール(3×150ml)で洗浄した。エタノール溶液を濾過し、回転蒸発させ、真空下で乾燥して黄色の固体を得た。収量70g。
【0154】
(1b)2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドール−5−スルホン酸二カリウム塩
【0155】
【化20】

【0156】
4−ヒドラジノベンゼンスルホン酸(40g)、(1aからの)5−メチル−6−オキソヘプタン−1−スルホン酸(60g)及び酢酸(500ml)を混合し、還流させながら6時間加熱した。溶媒を濾過し、回転蒸発させ、真空下で乾燥した。固体をメタノール(1L)に溶解した。これに水酸化カリウムの2Mメタノール溶液(300ml)を添加した。混合物を3時間撹拌し、次いで回転蒸発を用いて溶媒の体積を50%減少させた。得られた沈殿を濾別し、メタノールで洗浄し、真空下で乾燥した。収量60g。MS(LCMS):MH 362。正確な質量:実測値362.0729。MH=C1420NOはm/z 362.0732(−0.8ppm)を要求する。
【0157】
(1c)2,3−ジメチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート二カリウム塩
【0158】
【化21】

【0159】
(1bからの)2,3−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−3H−インドール−5−スルホン酸(60g)を1,4−ブタンスルトン(180g)及びテトラメチレンスルホン(146ml)と共に140℃で16時間加熱した。得られた赤色固体をジエチルエーテルで洗浄し、粉砕して粉末にし、真空下で乾燥した。収量60g。
【0160】
(1d)TFA塩としてのCy5**
1−(5’−カルボキシペンチル)−2,3,3−トリメチル−インドレニウムブロミド−5−スルホン酸K塩(2.7g)、マロンアルデヒドビス(フェニルイミン)一塩酸塩(960mg)、無水酢酸(36ml)及び酢酸(18ml)を120℃で1時間加熱して暗赤褐色の溶液を得た。反応混合物を周囲温度に冷却した。(1cからの)2,3−ジメチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネート(8.1g)及び酢酸カリウム(4.5g)を混合物に添加し、混合物を周囲温度で18時間撹拌した。得られた青色の溶液を酢酸エチルを用いて沈殿させ、真空下で乾燥した。粗色素を液体クロマトグラフィー(RPC18、水+0.1%TFA/MeCN+0.1%TFA勾配)によって精製した。主色素ピークを含む画分を集め、プールし、真空下で蒸発させることで、2gの標記化合物を得た。UV/Vis(水+0.1%TFA):650nm。MS(MALDI−TOF):MH 887.1。MH=C385014はm/z 887.1を要求する。
【0161】
実施例2:2−[(1E,3E,5E)−5−[1−{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}−3,3−ジメチル−5−スルホ−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−イリデン)ペンタ−1,3−ジエニル]−3−メチル−1,3−ビス(4−スルホブチル)−3H−インドリウム−5−スルホネートジイソプロピルエチルアミン塩(Cy5**のNHSエステル)の合成
【0162】
【化22】

【0163】
Cy5**(実施例1、10mg)を無水DMSO(3ml)に溶解し、これにHSPyU(20mg)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(80μl)を添加した。得られた溶液を3時間混合したところ、TLC(RPC18、水/MeCN)が反応の完了を示した。酢酸エチル/ジエチルエーテル中での沈殿によって色素を単離し、濾別し、酢酸エチルで洗浄し、真空下で乾燥した。UV/Vis(水)650nm。MS(MALDI−TOF)MH 983.5。MH=C425316はm/z 984.16を要求する。
【0164】
実施例3:化合物1〜11の合成
Rink Amide MBHA樹脂(Novabiochem社製、典型的充填量0.72mmol/g、1、2、3、5、6、7、9、10及び11の合成)、Fmoc−Ala−Wang樹脂(Novabiochem社製、充填量0.52mmol/g、4の合成)又はFmoc−Cys(Trt)−Sasrin樹脂(Bachem社製、充填量0.45mmol/g、8の合成)上において、標準的な固相ペプチド化学[Barany,Int.J.Peptide Protein Res.,30,705−739(1987)]により表2中の化合物1〜11の配列に対応するペプチジル樹脂をアセンブルした。50%DCM:DMF中でPyAOP/コリジン活性化を用いて、Rink Amide MBHA樹脂上にFmoc−Cys(Trt)−OHを手作業でロードした(6及び10の合成)。すべての他のアミノ酸は、マイクロ波支援ペプチド合成機(CEM Liberty社)を用いて、固相で手作業によりアセンブルした。(カルボキシル末端からの)残基は、通例、0.45mmolのHBTU及びHOBt(DMF中における両試薬の0.45M溶液)を添加し、次いで1mmolのDIEA(NMP中の2M溶液)を添加することで活性化した0.5mmolのFmoc−アミノ酸(NMP中の0.2M溶液)の単一カップリングサイクル(75℃で5分間)を用いて0.1mmolスケールでカップリングした。His及びArg残基は、二重カップリング手法を用いて組み込んだ。Fmoc脱保護は、NMP中の20%ピペリジンを用いて達成した。洗浄溶媒はNMPであった。使用したポリエチレングリコール(PEG)残基であるFmoc−アミノPEGジグリコール酸はPolypure社から入手した(3の合成)。すべての他のアミノ酸はCEM社から入手した。使用したアミノ酸側鎖保護基は、Asp、Glu、Ser、Thr及びTyrに関してはtBuであり、Lys、Trp及びHisに関してはBocであり、Asn、Cys及びGlnに関してはトリチルであり、7中のLys29及び11中のLys28に関してはivDdeであった。
【0165】
b)化合物5a、7a、9a及び11aのペプチド樹脂前駆体のクロロアセチル化
5a、7a、9a及び11aのペプチド樹脂前駆体を0.1mmolスケールでクロロアセチル化した。クロロ酢酸(5eq)及びDCU(2.5eq)をDCM(5mL)に溶解し、混合物を30分間撹拌した。生じた固体尿素を濾過によって除去し、濾液を減圧下で蒸発乾固させた。残留物(対称無水物)をNMP(5mL)に溶解し、窒素バブラー装置に入れたペプチド樹脂に添加した。2時間後、陰性のKaiser試験によって反応の完了が確認された。
【0166】
c)脱保護及び樹脂からの切断
手動窒素バブラー装置[Wellings,D.A.,Atherton,E.(1997)in Methods in Enzymology(Fields,G.Ed),289,p.53−54,Academic Press,New York]を用いて、2.5%TIS及び2.5%水を含むTFAでペプチド樹脂を2時間処理した。8、9、10及び11の場合、エタンジチオールがTFA切断混合物の追加成分であった。これらの条件下では、ペプチドが樹脂から切断され、それと同時にivDde基及びFmoc基を除くすべての側鎖保護基がペプチドから除去された。切断混合物を濾過し、少量のニートTFAで洗浄した。濾液及び洗液を合わせ、回転蒸発によって濃縮し、次いでジエチルエーテルでトリチュレートして粗ペプチドを得た。沈殿を遠心分離によって単離し、エーテルで洗浄し、次いで50%ACN−0.1%TFA水溶液から凍結乾燥して粗生成物を得た。Trp残基を含む化合物1a、2a及び3aは、Trp脱保護段階を完了させるため、凍結乾燥に先立って50%ACN−水中で一晩撹拌した。
【0167】
d)化合物5a、7a、9a及び11aの環化
ペプチドを脱気した60%ACN−水に溶解し、pHを25%アンモニア水で7.5〜8に調整した。アルゴンブランケット下で環化を2.5時間進行させ、混合物を酸性化して凍結乾燥することで、5b、7b、9b及び11bを得た。
【0168】
e)Cy5**コンジュゲーション
化合物1a、2a、3a、4a、5b、7b、8a、9b及び11bは、Nα−アミノ酸(1a、4a及び8a)又はC末端Lys側鎖残基のNε−アミノ酸(2a、3a、5b、7b、9b及び11b)の位置でCy5**にコンジュゲートした。Cy5**(実施例1、3eq)をDMF(1mL)に溶解し、固体HBTU(2.7eq)を添加し、次いでNMM又はDIEA(20eq)を添加して約10〜25分間反応させた。予備活性化色素を固体ペプチド(0.01mmol)に添加した。LC−MSモニタリングは1.5〜2時間後にコンジュゲーションの完了を示し、生成物を分取RP−HPLC(条件下記)により精製して純粋な1b、4b、5c及び9cを得た。純粋な2b及び3bは、続いてDMF(1.5mL)中のDBU(5eq)及びN−(2−メルカプトエチル)アミノメチルポリスチレン樹脂(10eq)を用いてFmoc脱保護を1時間行い、最後にRP−HPLC精製(条件下記)を行った後に得られた。純粋な7c及び11cは、続いてDMF(1mL)中の2%ヒドラジンを用いてivDde脱保護を15分間行い、次いで酸性化し、最後にRP−HPLC精製(条件下記)を行った後に得られた。
【0169】
化合物6a及び10aは、C末端Cys側鎖残基のチオール基の位置でCy5**にコンジュゲートした。テトラスルホン化シアニン色素Cy5**−N−(2−アミノエチル)マレイミドを使用した。これは、対応する遊離酸(1.1eq)をDMF中のHBTU(1eq)及び対称コリジン(5eq)で活性化し、予備活性化した色素をN−(2−アミノエチル)マレイミドと反応させ、次いで分取RP−HPLCによって精製することで製造した。DMF−0.05M PBF緩衝液(1:2、3mL)中における6a又は10a(0.004mmol、1eq)及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)(5eq)の溶液を固体Cy5**−N−(2−アミノエチル)マレイミド(3eq)に添加した。LC−MSモニタリングは1.5〜2時間後にコンジュゲーションの完了を示し、反応混合物を分取RP−HPLCによって精製した。
【0170】
f)精製
粗ペプチドを分取RP−HPLC(Beckman System Goldクロマトグラフィーシステム)によって精製した。40分、60分又は80分にわたる勾配(表2)を用いて、カラム(Phenomenex Luna C18 5μ、22×250mm)を10mL/分で溶出した。使用した溶離剤は、0.1%TFA、0.05%TFA又は0.1%ギ酸(FA)を含む水(溶媒A)、及び0.1%TFA、0.05%TFA又は0.1%FAを含むACN(溶媒B)であった。溶出液はλ=214nmでモニターした。所望のピーク画分をプールし、凍結乾燥して純生成物を得た。個々の化合物に関して使用した条件は表3を参照されたい。
【0171】
g)特性決定
化合物の特性決定はLC−MSによって行った(表4)。LC−MSデータは以下の3種の計測器の1つを用いて記録した。1)エレクトロスプレーイオン化(ESI)を用いるLCD DECA XP MAX計測器(Thermo Finnigan社)。これは、5500Da/sの走査速度をもって4.5kVのポジティブモードで操作されると共に、下記の条件下で運転されるThermo Finnigan Surveyor PDAクロマトグラフィーシステムに結合されている。運転条件は、5分勾配を用いる溶媒A=水/0.1%TFA、0.05%TFA又は0.1%FA及び溶媒B=ACN/0.1%TFA、0.05%TFA又は0.1%FA、流量:0.6mL/分、カラム:Phenomenex Luna 3μm C18(2) 20×2mm、検出:PDAである。2)ESIを用いるQuatro Premier計測器(Micromass Technologies/Waters UK社)。これは、2000Da/sの走査速度をもって3.0kVのポジティブモードで操作されると共に、1525□バイナリーHPLCポンプ、2777c Sample Manager及び2996 PDA検出器を備えかつ上記に記載されたのと同じ条件下で運転されるWatersクロマトグラフィーシステムに結合されている。3)下記の条件下で運転されるAcquity Ultra Performanceクロマトグラフィーシステム(Waters社)に結合されたLCT Premier ESI飛行時間計測器(Micromass Technologies/Waters UK社)。運転条件は、10分勾配を用いる上記の溶媒A及び溶媒B、流量:0.5mL/分、カラム:Zorbax SB−AQ 3.5mm,3×100mm、PDA検出である。データの取得及び処理は、Xcaliber(計測器1)又はMasslynx 4.0(計測器2及び3)データシステムを用いて実施した。個々の条件及び結果については表4を参照されたい。
【0172】
実施例4:化合物12〜14の合成
a)rhEGFのCy5**標識(化合物12)
組換えヒトEGF(rhEGF、約0.5mgのEGFを含む約4mgのPBS塩、R&D Systems社製)を水(0.4mL)に溶解し、0.1M NaHCO(0.05mL)に添加した。Cy5**−NHSエステル(実施例2)の4mg/mL水溶液(5eq、0325mL)を添加し、pHを0.1M NaHCOで8.3に調整した。LC−MSモニタリングは、約2時間後に約70〜80%のEGF消費を示した。この時点で、20%ACN−01%TFA水溶液の添加によって反応混合物を奪活し、RP−HPLC(実施例3 f)及び表2に記載した条件を参照)によって精製した。LC−MS分析によってモノ標識rhEGF 12として確認された主ピークの画分を凍結乾燥した(実施例3 g)及び表3に記載した条件を参照)。
【0173】
b)rhTGFαのCy5**標識(化合物13)
組換えヒトTGFα(rhTGFα、約0.5mg、R&D Systems社製)を水に溶解し(1.25mg/mL、0.4mL、1eq)、0.05mLの0.1M NaHCOを添加して約8.5のpHにした。Cy5**−NHSエステル(実施例2)の水溶液(4mg/mL、0.1mL、5eq)をTGFα溶液に添加し、pHを0.1M NaHCOで約8.2に調整した。90分後のLC−MS分析は良好な反応進行を示し、モノ色素標識生成物への転化率は約60%であった。3時間後に反応を完了近くまで推進するためには、追加のCy5**−NHSエステル(2.5eq)が必要であった。次いで、20%ACN−01%TFA水溶液の添加によって反応物を奪活し、分取RP−HPLC(実施例3 f)及び表3に記載した条件を参照)によって精製した。LC−MS分析によって所望のモノ標識rhTGFα 13として確認された主ピークの画分を凍結乾燥した(実施例3 g)及び表4に記載した条件を参照)。
【0174】
c)抗EGFRアフィボディHis−ZEGFR:1907−CysのCy5**標識
His−ZEGFR:1907−Cysアフィボディを0.1M PBS緩衝液、pH7.4(0.2ml)に溶解し、TCEPのPBS緩衝液溶液(1mg/mL、0.2mL)を添加し、混合物を冷蔵庫内に2時間入れてCys残基を完全に還元した。テトラスルホン化Cy5**−N−(2−アミノエチル)マレイミド(1.3mg)をPBS緩衝液(0.2mL)に溶解した溶液を添加し、反応の進行をLC−MSによってモニターした。6時間後、所望生成物への全転化が認められ、0.05%TFAに基づく溶離剤を用いる分取RP−HPLC精製(実施例3 f)及び表3に記載した条件を参照)によってCy5**コンジュゲーテッドアフィボディを単離した。1M酢酸アンモニウム緩衝液を受けバイアルに添加して溶出液を中和した。これは、アフィボディが4.5未満のpHで凝集しやすいからである。LC−MS分析によって所望のモノ標識抗EGFRアフィボディ14として確認された主ピークの画分を凍結乾燥した(実施例3 g)及び表4に記載した条件を参照)。
【0175】
実施例5:化合物1〜14のRP−HPLC精製
詳細を表3にまとめて示す。
【0176】
【表3】

【0177】
実施例6:化合物1〜14の特性決定
詳細を表4にまとめて示す。
【0178】
【表4】

【0179】
実施例7:蛍光偏光結合アッセイ
化合物12、13及び14をヒトEGFRに対する蛍光偏光結合アッセイで試験した。
【0180】
蛍光偏光結合測定は、ex646/em678nmでTecan Safire蛍光偏光プレートリーダーを使用しながら、384ウェルマイクロプレート中において結合緩衝液(PBS、0.01%Tween−20、pH7.5)中40μLの体積で三重反復試験として実施した。

色素標識リガンドの濃度を一定(5nM)に保つと共に、標的(R&D Systems社からのヒト組換えEGFR/Fcキメラ、カタログ番号344−ER)の濃度を0〜258nMの範囲内で変化させた。結合混合物をマイクロプレート中において30℃で10分間平衡させた。観察された異方性の変化を次の式に当てはめた。
【0181】
【数1】

【0182】
式中、robsは観察された異方性、rfreeは遊離ペプチドの異方性、rboundは結合ペプチドの異方性、Kは解離定数、cTは総標的濃度、Pは総色素標識ペプチド濃度である。この式は、リガンド及びレセプターが溶液中において1:1の化学量論比で可逆複合体を形成することを仮定している。SigmaPlotソフトウェア(バージョン10)を用いて非線形回帰によりデータ当てはめを行うことでK値を得た。
【0183】
結果は化合物12及び13に関してそれぞれ11.9±1.4nM及び22.1±3.7nMのKを示している一方、化合物14はヒトEGFRに対して4.1±0.4nMのK値を有している。
【0184】
実施例8:組織マイクロアレイ
一定範囲の組織学的所見を有するバレット食道患者から新鮮な生検組織試料を集めた。20の胃対照、7の扁平上皮対照、20のバレット化生、20の低グレード異形成、20の高グレード異形成及び20の腺癌を含む全部で107の試料を得た。上記組織試料について組織マイクロアレイを実施したが、各コアは約0.6mmの直径を有し、深さは可変であった。組織マイクロアレイ用のプロトコルは、Camp et al[“Validation of tissue microarray technology in breast carcinoma”.Lab.Invest.80,1943−1949(2000)]によって記載されている。コアを得たのと同じパラフィンブロックから全切片スライドを作成した。すべての組織は患者の生検からのものであり、いずれの患者も食道の異形成/腺癌に対して特異的な化学療法は受けていなかった。
【0185】
生物学的マーカーEGFRの発現は、EGFR標的化抗体を用いた免疫組織化学的染色によって測定し、次いで0〜3基準のスコアリングを行った。さらに、−/+/++/+++/++++/+++++スコアリング方法を用いて、同じ分析を全切片スライドで行った。結果を下記に記載する。化生とは組織の性質の異常な変化(食道化生では、正常な扁平上皮が円柱上皮に置き換わること)をいうのに対し、異形成とは異常な組織増殖(食道異形成では、化生円柱上皮が増殖の抑制を失い始めること)をいう。
【0186】
EGFR発現
組織アレイ又は全組織スライドを用いて、食道発癌の様々な段階におけるEGFR発現を免疫組織化学分析によって評価した。結果を図2に示す。
【0187】
実施例9:EGFR発現及び診断後患者生存期間のKaplan−Meier曲線分析
原始患者生存期間データ(利用可能な場合)を用いてKaplan−Meier曲線分析を実施した。Kaplan−Meier分析は、パラメーターを患者生存期間と相関させるための公知臨床ツールである。生存期間が個体のEGFR発現(即ち、低EGFRレベル(緑色群)又は高EGFRレベル(青色群))と相関するかどうかを確かめるため、食道癌患者を長期にわたって調べた。観察初日である0日目には、両群ともすべての患者が生きていた。約300日目には、両群とも40%の患者が生きていた。即ち、EGFR発現の影響はまだ見られなかった。しかし、約700日目までには、強いEGFRレベルを示した患者のすべてが死んだのに対し、低いEGFR発現を示した患者は一層長い生存期間を有していた(最後の1人はそれから約2年後に死んだ)。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】バレット患者の管理に関する現行のガイドラインを示す図。
【図2】組織アレイ又は全組織スライドを用いて、食道発癌の様々な段階におけるEGFR発現を免疫組織化学分析によって評価した結果を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレット食道に罹患した患者において潜在性異形成部位を決定するのに使用するためのインビボイメージング方法であって、
(i)EGFRの細胞外ドメインを標的とするベクターを含むイメージング剤であって、前記ベクターが500〜1200nmの波長の光を用いてインビボで哺乳動物体のイメージングを行うのに適した光学レポーターイメージング成分で標識されているイメージング剤を用意する段階、
(ii)段階(i)からのイメージング剤を用いて前記患者の食道の少なくとも一部分の光学イメージングを行う段階、
(iii)段階(ii)のイメージングから、患者の食道の1以上の位置においてバックグラウンドに対するイメージング剤の取込みの増加が存在するか否かについて判定を行う段階、及び
(iv)段階(iii)の判定が少なくとも1つのかかる位置について取込みの増加を示す場合には、その位置を潜在性異形成部位として同定する段階
を含んでなる方法。
【請求項2】
ベクターが20kDa以下の分子量を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ベクターが、以下のものから選択されるEGFRの細胞外領域に対する内因性リガンドを含む、請求項1又は請求項2記載の方法。
(i)ヒトEGF(hEGF)又はそのフラグメント、
(ii)TGF−α又はそのフラグメント、
(iii)アンフィレグリン。
【請求項4】
ベクターが、以下のものから選択されるEGFRの細胞外領域に対する外因性リガンドを含む、請求項1又は請求項2記載の方法。
(i)ペプチド配列CKSPEPQHC(GE9)を含む9〜20マーペプチド、
(ii)ペプチド配列LHLWVPEPWTQT(GE10)を含む2〜20マーペプチド、
(iii)ペプチド配列YHWYGYTPQNVI(GE11)を含む12〜20マーペプチド、
(iv)ペプチド配列MLYNPTTYQMDVNPEGK(インヘルビン1)を含む17〜20マーペプチド、
(v)ペプチド配列LVYNKLTFQLEPNPHTK(インヘルビン3)を含む17〜20マーペプチド、
(vi)アフィボディ(Affibody(商標))、
(vii)ナノボディ(Nanobody(商標))、
(viii)ペプチド配列LARLLT(D4)を含む6〜15マーペプチド。
【請求項5】
光学レポーターが蛍光色素である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
色素がシアニン色素である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
シアニン色素が次の式Iaのものである、請求項6記載の方法。
【化1】

(式中、
及びYは独立に−O−、−S−、−NR−又は−CR−であり、Y及びYの少なくとも一方が−CR−であるように選択され、
及びRは独立にH、−SO(式中、MはH又はBであり、Bは生体適合性陽イオンである。)又はRであり、
はH、C1−5アルキル、C1−6カルボキシアルキル又はR基であり、
〜Rは独立にC1−5アルキル、C1−6カルボキシアルキル又はRであり、
はH又はC1−3アルキルであり、
はR又はC1−6カルボキシアルキルであり、
はC1−4スルホアルキルであり、
は式Iで定義した通りであり、
式Iaのシアニン色素は1以上のR基並びにR、R及びR基に由来する全部で1〜6のスルホン酸置換基を有することを条件とする。)
【請求項8】
色素がベンゾピリリウム色素である、請求項5記載の方法。
【請求項9】
請求項1の段階(i)のイメージング剤が医薬組成物として提供される、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
イメージングが(a)異形成のないバレット食道、(b)異形成、及び(c)癌を識別するために使用される、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
請求項1の方法がさらに次の段階を含む、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
(v)段階(iv)からの潜在性異形成部位に関して生検を行う段階。
【請求項12】
イメージングが局所療法を送達すべき部位の案内に使用される、請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
イメージングが療法の効力のモニタリングに使用される、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の方法で有用なイメージング剤であって、以下のものから選択されるイメージング剤。
(i)請求項7又は請求項8で定義した光学レポーターで標識されたhEGF又はそのフラグメント、
(ii)請求項7又は請求項8で定義した光学レポーターで標識されたTGF−α又はそのフラグメント、
(iii)請求項1及び請求項5乃至請求項8のいずれか1項で定義した光学レポーターで標識されたアンフィレグリン、
(iv)請求項6乃至請求項8のいずれか1項で定義した光学レポーターで標識された、アミノ酸配列CKSPEPQHC(GE9)を含む9〜20マーペプチド、
(v)請求項6乃至請求項8のいずれか1項で定義した光学レポーターで標識された、アミノ酸配列LHLWVPEPWTQT(GE10)又はYHWYGYTPQNVI(GE11)を含む12〜20マーペプチド、
(vi)請求項1及び請求項5乃至請求項8のいずれか1項で定義した光学レポーターで標識された、アミノ酸配列MLYNPTTYQMDVNPEGK(インヘルビン1)を含む17〜20マーペプチド、
(vii)請求項1及び請求項5乃至請求項8のいずれか1項で定義した光学レポーターで標識された、アミノ酸配列LVYNKLTFQLEPNPHTK(インヘルビン3)を含む17〜20マーペプチド、
(viii)請求項7又は請求項8で定義した光学レポーターで標識された、請求項4で定義したアフィボディ(Affibody(商標))、
(ix)請求項6乃至請求項8のいずれか1項で定義した光学レポーターで標識された、請求項4で定義したナノボディ(Nanobody(商標))。
【請求項15】
光学レポーターが請求項7又は請求項8で定義したものである、請求項14記載のイメージング剤。
【請求項16】
請求項14又は請求項15記載のイメージング剤を含んでなる医薬組成物。
【請求項17】
請求項16記載の医薬組成物を製造するためのキット。
【請求項18】
請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の方法における、請求項1乃至請求項8、請求項14及び請求項15のいずれか1項で定義したイメージング剤の使用。
【請求項19】
請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の方法における、請求項1乃至請求項8、請求項14及び請求項15のいずれか1項で定義したイメージング剤を製造するためのキットの使用。
【請求項20】
請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の方法で使用するためのイメージング剤の製造における、請求項1乃至請求項4のいずれか1項の段階(i)で定義したベクターの使用。

【公表番号】特表2012−500191(P2012−500191A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522522(P2011−522522)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060571
【国際公開番号】WO2010/018230
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(396019387)ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ (82)
【Fターム(参考)】