異方性反射媒体作成装置、異方性反射媒体作成方法、およびプログラム
【課題】スクラッチパターンを立体加工する異方性反射媒体において、生成した曲線群の近傍の曲線の密度を参照しながら各曲線を破線として描画することにより、高輝度で均一な輝度の異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成装置等を提供する。
【解決手段】異方性反射媒体作成装置1は、曲線群生成手段22により、より均一な曲線群を生成する。生成した曲線群をパラメータ入力手段23により入力された版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さに従って、近傍の曲線密度を参照しながら各曲線を破線化して描画する。曲線の破線化による孤立点の出現を防止するため、連続して描画するべき最短の長さである規定画素数Nを規定し、曲線セグメントが規定画素数N以上の長さとなるようにする。曲線セグメントが通過した画素の実際に描画する確率P(x,y)の累積誤差Errを積算することにより、曲線セグメントの描画判断を行う。
【解決手段】異方性反射媒体作成装置1は、曲線群生成手段22により、より均一な曲線群を生成する。生成した曲線群をパラメータ入力手段23により入力された版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さに従って、近傍の曲線密度を参照しながら各曲線を破線化して描画する。曲線の破線化による孤立点の出現を防止するため、連続して描画するべき最短の長さである規定画素数Nを規定し、曲線セグメントが規定画素数N以上の長さとなるようにする。曲線セグメントが通過した画素の実際に描画する確率P(x,y)の累積誤差Errを積算することにより、曲線セグメントの描画判断を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が曲線パターンによって立体加工される異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成装置、異方性反射作成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、同心円群のパターンや平行線群の組み合わせパターン等をエンボス加工、箔押し、あるいは印刷等によって微小な凹凸として実体化し、異方性反射により独特のデザインを表現するという方法が行われてきた。同心円群や平行線群以外でも、例えば「コート・ド・ジュネーブ」と呼ばれるもののように同心円を組み合わせたものや、正弦波を組み合わせたものなどのバリエーションがある。これらの方法では、経験的にパターンを組み合わせてデザインを行うものであり、抽象的に立体感が得られるものの、自由な立体面が見せる複雑な反射を再現するものではない。
そこで、任意の立体形状に基づいて方向性を制御した多数の曲線群を生成し、これを凹凸に加工することにより、元の立体形状を見せる反射の変化の様相を表す異方性反射を実現することができる。(例えば、特許文献1)
【0003】
しかしながら、特許文献1に示す方法では、パターンが無数の曲線で構成され、更に曲線群の向きを制御するための場が任意の状態を取りうるため、図13に示すように線の生成において重なりや隙間ができたりするが、この重なりや隙間を容易に回避することができない。
特許文献2では、個々の曲線を描画する際に排他的論理和をとるという方法が開示されているが、図14に示すように、線の生成において重なりや隙間を完全に回避することはできない。また、線が切れ切れになってしまい、設定よりも細い線が大量に生成されてしまう。
【0004】
特許文献3では、最初に図15に示すように曲線群をやや疎に生成しておき、その後、図16に示すように一定の隙間を確保しながら好ましくない隙間領域を周辺の画素値で埋めていくという方法が開示されている。
また、非特許文献1では、ベクタープロットを行う際、ぼけた画像で線の疎密度合いを評価し、密ならば点を移動させたり、線の幅を細くしたり、濃淡で調整を行う。再び疎密度合いを評価し、問題が解消されていれば動かした点の位置、線の幅を採用するという処理を全ての曲線に対して繰り返すという方法が開示されている。非特許文献2では、曲線を描画する際、線の疎密度合いが疎なところから線を引いていき、曲線間の内接円の大きさを比較し、内接円の半径が所定の値dよりも小さくならないように、すなわち、曲線間の距離が所定の値dに近づいたら線を引くのをやめるという方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−138700号公報
【特許文献2】特開2000−351263号公報
【特許文献3】特開2008−015952号公報
【非特許文献1】Image−Guided Streamline Placement、Proceedings of Siggraph、1996年、453〜460ページ
【非特許文献2】Farthest Point Seeding for Efficient Placement Streamlines、IEEE Visualization、2005年、479〜486ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に示す方法では、曲線間の隙間を埋めることはできるが、密な状態の曲線の塊を回避することはできない。
また、これらの版下をエッチング等で凹凸を実体化して作成した異方性反射媒体では、線と背景の境界部分に形成される斜面が異方性反射素子と同様の働きをすることにより、全体として異方性反射媒体としての絵柄を表現している。従って、絵柄の中で線の存在密度が一定でないと、絵柄の部分によって反射輝度が変化するため、異方性反射媒体としては好ましくない。
【0007】
非特許文献1、非特許文献2に示す方法では、流れの場に沿ってできるだけ均一に流線、すなわち曲線を配置する方法が提案されているが、任意の流れの場に沿って完全に均一に流線群を配置することは不可能である。例えば、非特許文献2では曲線間の距離dから2dの間を埋めることはできない。
【0008】
また、非特許文献1、非特許文献2に示す方法は、異方性反射媒体を前提としたものではないことから、本発明が対象とする異方性反射媒体の版下データの作成には適用できない。例えば、異方性反射媒体の版下データは2値で表す必要があるため、疎密度を均一化するために濃淡を調整して中間調の画素値を採用することはできない。また、所望の異方性反射を実現するためには、線の幅を均一にする必要がある。
【0009】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、スクラッチパターンを立体加工する異方性反射媒体特有の制約条件の下で、高輝度で均一な輝度の異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成装置等を提供することである。異方性反射媒体特有の制約条件とは、(1)絵柄の中で線の存在密度を一定とすること、(2)版下データを2値で表現すること、(3)線の幅を均一とすること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために第1の発明は、表面が曲線パターンによって立体加工される異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成装置であって、曲線を配置するためのベクトル場を入力するベクトル場入力手段と、版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さ等のパラメータを入力するパラメータ入力手段と、前記ベクトル場を用いて、前記パラメータに従って曲線群を生成する曲線群生成手段と、前記曲線群を、前記パラメータに従ってラスタ展開、ローパルフィルタリングした画像を生成し、前記画像の中の最小画素値を算出し、前記最小画素値と各画素の画素値を用いて、各画素の実際に描画される確率を算出する参照画像作成手段と、前記曲線群を、前記確率に従って描画する版下データ作成手段と、を具備することを特徴とする異方性反射媒体作成装置である。
【0011】
前記版下データ作成手段は、前記曲線群に含まれる曲線毎に、一定のセグメント長を保持しながら、前記確率に従って描画確率密度の累積誤差を積算し、累積誤差が一定未満となるように描画の継続、中断を判断することにより、曲線を破線化して描画する。
最初に生成した曲線群に基づいて、曲線セグメントには規定画素数N以上の長さを確保しながら、累積誤差を積算して曲線セグメントの描画判断を行うことにより、一定の曲線セグメント長を確保した破線化が可能となる。これにより、より均一な分布の溝を持ち、スクラッチパターンが目立たず、高輝度で均一な輝度を有する異方性反射媒体を実現することが可能となり、意匠的にも好ましい。
【0012】
前記版下データ作成手段は、前記曲線群をラスタ展開し、前記確率を参照して各画素を実際に描画するかどうかを判定するようにしてもよい。
曲線群を生成し、曲線密度が均一ではない部分に含まれる曲線群を破線化することにより、見た目で均一な曲線群を作成して版下画像を作成し、エンボス加工、盛り上げ印刷等を行うことで、より均一な分布の溝を持った異方性反射を実現することができる。
【0013】
第2の発明は、表面が曲線パターンによって立体加工される異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成方法であって、曲線を配置するためのベクトル場を入力するベクトル場入力ステップと、版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さ等のパラメータを入力するパラメータ入力ステップと、前記ベクトル場を用いて、前記パラメータに従って曲線群を生成する曲線群生成ステップと、前記曲線群を、前記パラメータに従ってラスタ展開、ローパルフィルタリングした画像を生成し、前記画像の中の最小画素値を算出し、前記最小画素値と各画素の画素値を用いて、各画素の実際に描画される確率を算出する参照画像作成ステップと、前記曲線群を、前記実際に描画される確率に従って描画する版下データ作成ステップと、を具備することを特徴とする異方性反射媒体作成方法である。
【0014】
第3の発明は、コンピュータを第1の発明の異方性反射媒体作成装置として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、スクラッチパターンを立体加工する異方性反射媒体において、生成した曲線群の近傍の曲線の密度を参照しながら各曲線を破線として描画することにより、高輝度で均一な輝度の異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成装置等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る異方性反射媒体作成装置1を実現するコンピュータのハードウェア構成図である。尚、図1のハードウェア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
異方性反射媒体作成装置1は、制御部3、記憶部5、メディア入出力部7、通信制御部9、入力部11、表示部13、周辺機器I/F部15等が、バス17を介して接続される。
【0018】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0019】
CPUは、記憶部5、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス17を介して接続された各装置を駆動制御し、異方性反射媒体作成装置1が行う後述する処理(図3等参照)を実現する。
ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。
RAMは、揮発性メモリであり、記憶部5、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部3が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0020】
記憶部5は、HDD(ハードディスクドライブ)であり、制御部3が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティングシステム)等が格納される。プログラムに関しては、OS(オペレーティングシステム)に相当する制御プログラムや、後述の処理に相当するアプリケーションプログラムが格納されている。
これらの各プログラムコードは、制御部3により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0021】
メディア入出力部7(ドライブ装置)は、データの入出力を行い、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、CDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、DVDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、MOドライブ等のメディア入出力装置を有する。
【0022】
通信制御部9は、通信制御装置、通信ポート等を有し、コンピュータとネットワーク19間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワーク19を介して、他のコンピュータ間との通信制御を行う。
【0023】
入力部11は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。
入力部11を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。
【0024】
表示部13は、CRTモニタ、液晶パネル等のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。
【0025】
周辺機器I/F(インタフェース)部15は、コンピュータに周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部15を介してコンピュータは周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部15は、USBやIEEE1394やRS−232C等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
【0026】
バス17は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0027】
次に、図2を参照しながら、異方性反射媒体作成装置1の機能を実現する構成について説明する。
図2は、異方性反射媒体作成装置1の機能の概要を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、異方性反射媒体作成装置1は、ベクトル場入力手段21、曲線群生成手段22、パラメータ入力手段23、参照画像作成手段24、版下データ作成手段25、線分版下データ26等を備える。
【0029】
ベクトル場入力手段21は、曲線を配置するためのベクトル場Vを入力する。入力されたベクトル場Vは、各位置における角度が2次元的に記録されているものである。異方性反射媒体を作成する場合、例えば、特許文献1に記載されている方法で曲線の走行方向を決定する。
【0030】
曲線群生成手段22は、ベクトル場入力手段21により入力されたベクトル場Vをトレースするように、パラメータ入力手段23により与えられるパラメータに従って曲線群を生成する。ベクトル場Vをトレースする曲線群の生成は、特許文献1に記載されている方法で行う。
生成された曲線群は、曲線を近似した点列で表現される。これらの点列は、例えば、スプライン補間のような補間方法により曲線としてラスタ化される。
【0031】
パラメータ入力手段23は、異方性反射媒体を作成するための版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さ等の各種パラメータを、異方性反射媒体装置1の入力部11等を介して入力する。
【0032】
参照画像作成手段24は、異方性反射装置を作成するための版下画像の全ての点において、実際に描画を行う確率分布を演算する。
参照画像作成手段24は、曲線群生成手段22により生成された曲線群をパラメータ入力手段23により指定された版下画像の解像度でラスタ展開し、ローパルフィルタリングを施した画像Lを生成する。画像Lの画素値L(x,y)は、その画素の近傍に現れる曲線エッジの数を表す。曲線エッジは黒画素で示され、異方性反射媒体では異方性反射素子、すなわち異方性反射媒体の溝の壁である。参照画像作成手段24は、全ての画素の中で画素値L(x,y)の最小値Mを算出する。そして、参照画像作成手段24は、画像全体の曲線密度を一定に近づけるため、画像の全ての位置において、近傍の曲線エッジ数がMとなるように曲線を破線化する。版下画像において、画素(x,y)を曲線が通過する場合、この画素(x,y)に実際に描画する確率P(x,y)を求める。実際に描画する確率P(x,y)は、式P(x,y)=M/L(x,y)により算出する。
近傍の曲線密度を参照しながら、実際に描画する確率P(x,y)を求めることにより、個々の曲線は破線化され、版下画像全体において曲線が均一に配置される。
【0033】
版下データ作成手段25は、曲線群生成手段22により生成した曲線群を版下画像としてラスタ展開し、線分版下データ26を生成する。ラスタ展開時、参照画像作成手段24により求めた実際に描画する確率P(x,y)を参照し、画素毎に実際に曲線を描画するかどうかを判定する。例えば、画素毎に0から1の間をとる一様分布乱数R(x,y)を生成し、P(x,y)>R(x,y)の条件が成立した場合にのみ、実際に画素(x、y)を描画する。
【0034】
次に、図3から図8を参照しながら、第1の実施の形態に係る異方性反射媒体作成装置1の詳細について説明する。
図3は、異方性反射媒体作成装置1が行う版下データ作成処理の流れを示すフローチャート、図4は、曲線群生成手段22により生成した曲線群の一例を示す図、図5は、参照画像作成手段24による処理の流れを示すフローチャート、図6は、曲線群生成手段22により生成した曲線群をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図、図7は、参照画像作成手段24により、曲線密度を一定に近づけて得た画像の一例を示す図、図8は、参照画像作成手段24により、曲線密度を一定に近づけて得た画像をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図である。
【0035】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、ベクトル場入力手段21により、曲線を配置するためのベクトル場Vを入力する(ステップS101)。入力されたベクトル場Vは、各位置における角度が2次元的に記録されている。
【0036】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、パラメータ入力手段23により、入力部11を介して版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さ等の各種パラメータを入力する(ステップS102)。
【0037】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、曲線群生成手段22により、図4に示すようにできるだけ均一な曲線群を生成する(ステップS103)。曲線群において、個々の曲線は重ならない程度に配置し、できるだけ密に曲線群を配置することが好ましい。各曲線は、曲線を近似する点列等でベクトル表現される。
【0038】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、参照画像作成手段24により、版下画像の各画素(x,y)にベクトルとして定義した曲線が通過する場合、画素(x,y)に実際に曲線を描画する確率P(x,y)を求める(ステップS104)。図5は、参照画像作成手段24によるステップS104の処理の詳細を示す。
【0039】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、参照画像作成手段24により、図4に示す曲線群生成手段22により生成した曲線群を、パラメータ入力手段23により入力された版下画像の解像度で、例えば、線幅1のような任意の幅でラスタ化し(ステップS201)、ガウシアンフィルタのようなローパスフィルタを利用してローパスフィルタリングし、図6に示すようなぼけた画像Lを生成する(ステップS202)。
画像Lの濃淡は、例えば0〜255の階調を持ち、画像中の各位置(x,y)の近傍に含まれる曲線エッジの疎密を表現する。各画素の画素値L(x,y)は、その近傍に含まれる曲線エッジ数を示す。画像Lの中の相対的に明るい位置では、その近傍に含まれる曲線エッジが少ないことを示し、相対的に暗い位置では、その近傍に含まれる曲線エッジが多いことを示す。曲線を均一に配置するため、画像L全体で最も明るい位置、すなわち最も曲線エッジが疎な位置に全体を合わせるように、個々の曲線を破線化する。なお、線幅1でラスタ化しているため、ローパスフィルタリングの結果で含まれる黒画素は、曲線エッジを表している。
【0040】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、画像Lを参照し、最も密度が低い、すなわち明るい位置のエッジ数Mを算出し(ステップS203)、画像Lの参照する画素(x,y)で実際に曲線を描画する確率P(x,y)=M/L(x,y)を求める。実際に曲線を描画する確率P(x,y)は、画素(x,y)における黒画素生成率である。
【0041】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、版下データ作成手段25により版下データとなる線分版下データ26を作成する(ステップS105)。
版下データ作成手段25は、参照画像作成手段24により求めた実際に描画する確率P(x,y)を参照し、曲線群生成手段22により生成した曲線群の各画素を実際に描画するかどうか決定する。例えば、画素毎に0から1の間をとる一様分布乱数R(x,y)を生成し、P(x,y)>R(x,y)の条件が成立した場合にのみ、実際に画素(x、y)を描画する。
以上のとおり、異方性反射媒体作成装置1は、異方性反射媒体の作成に用いる版下データを作成する。
【0042】
異方性反射媒体の作成工程では、前述した異方性反射媒体作成装置1を用いて作成した線分版下データ26を基に、異方性反射媒体を作成する。異方性反射媒体の作成工程では、印刷やエンボス加工などで曲線パターンを立体加工する。
【0043】
図8は、第1の実施の形態において、参照画像作成手段24により、曲線密度を一定に近づけて得た画像をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図である。図6に示す、曲線群生成手段22により生成した曲線群をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像と比べて、画像全体として明るさが均一となっており、曲線密度がより均一となっているといえる。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る異方性反射媒体作成装置1は、曲線群を生成し、曲線密度が均一ではない部分に含まれる曲線群を破線化することにより、見た目で均一な曲線群を作成して版下画像を作成し、エンボス加工、盛り上げ印刷等を行うことで、より均一な分布の溝を持った異方性反射を実現する。
【0044】
次に、図9から図12を参照しながら、第2の実施の形態に係る異方性反射媒体作成装置1の詳細について説明する。
図9は、点列で定義した曲線を説明する図、図10は、異方性反射媒体作成装置1が行う曲線描画の処理の流れを示すフローチャート、図11は、曲線群生成手段22により生成した曲線群の一例を示す図、図12は、曲線群生成手段22により生成した曲線群をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図である。
【0045】
第1の実施の形態では、最初に生成した曲線群が局所的に不均一であっても、曲線を破線化し、より均一な曲線密度の版下画像を得ることができる。一方、曲線密度の判定が画素毎に独立して行われるため、曲線を破線化することにより曲線が細かく分離され、1画素の孤立点が多く発生する。異方性反射媒体では、版下画像を凹凸に実体化して異方性反射素子となるが、曲線がある程度の長さを持たないと異方性反射素子として作用しないため、孤立点の出現を防ぐ必要がある。このため、連続で描画されるべき最短の曲線の長さをあらかじめ決めておき、この長さよりも短い曲線を生成しないよう、破線化した後の各曲線セグメントが一定の長さを保持することが好ましい。
そこで、第2の実施の形態では、各曲線を破線化しながらラスタ化する際、描画判断を画素毎ではなく曲線単位で行い、描画する曲線セグメントは予め決めたN画素以上の長さを確保する。
【0046】
異方性反射媒体作成装置1は、第2の実施の形態と同様に、図3に示すステップS101からステップS104の処理を行う。ステップS102のパラメータ入力の処理では、曲線セグメントの規定画素数Nも指定する。
【0047】
ステップS105の版下データの作成処理では、画像L内の曲線単位で図10に示す描画判断の処理を行う。図9に示す画像L内の画素(x0,y0)、(xi,yi)、(xn−1,yn−1)は、曲線群生成手段22により生成された特定の曲線を通る点列として定義したものである。図10に示す描画判断処理は、図9に示す点列として表現した曲線ごとに行う。規定画素数Nは、例えば5とする。この場合、曲線セグメントとして少なくとも5画素以上描画し続けなければならない。
【0048】
ある曲線に対する描画判断処理では、異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、初期条件として累積誤差Errを0、描画中の画素長Lcを0、変数iを0とする(ステップS301)。
ただし、最初に累積誤差Errを0とすると、曲線を描画するときに必ず1画素目が描画されて黒となり、曲線密度が密集してしまう可能性もあるため、Errを乱数として設定するようにしてもよい。
【0049】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、曲線を対象となる画素(xi,yi)に描画する(ステップS302)。この画素(xi,yi)には実際に描画する確率P(xi,yi)で描画するべきであるが、ステップS302で実際に画素(xi,yi)に描画したため、累積誤差Err=Err+(1−P(xi,yi))として累積誤差Errを更新し(ステップS303)、描画中の画素長LcをLc=Lc+1に、また変数iをi=i+1として更新する(ステップS304)。
【0050】
曲線の描画が終了した場合、すなわち、i==nとなり曲線上の全ての画素についての描画判断処理が終了したか判定し(ステップS305)、終了した場合は描画判断処理を終了する。
終了していない場合、描画中の画素長Lcが規定画素数N未満かどうかを判定し(ステップS306)、描画中の画素長Lcが規定画素数N未満の場合はステップS302に戻り、描画処理を続ける。
【0051】
描画中の画素長Lcが規定画素数N以上の場合、累積誤差Errが0未満であれば、描画を続けるためにステップS302に戻る。
累積誤差Errが0以上の場合、次の画素には曲線セグメントを描画しないため、変数iをi=i+1とし(ステップS308)、曲線の最終画素(xn−1,yn−1)の描画判断処理が終了したかどうか、すなわち、i==nでないかどうか判定し(ステップS309)、i==nでなければ次の処理に進む。
【0052】
画素(xi,yi)は実際に描画する確率P(xi,yi)で描画するべきであるが、画素(xi,yi)には曲線セグメントを描画しないと判断したため、累積誤差ErrはErr=Err−P(x,y)に更新する(ステップS310)。累積誤差Errが0未満かどうか判定し(ステップS311)、累積誤差Errが0未満ならば描画を再開するため、ステップS302に戻る。累積誤差Errが0以上の場合、曲線描画を中断したまま次の画素(xi+1,yi+1)に進むため、ステップS308に戻り処理を続ける。
【0053】
例えば、ある曲線が通過する画素(xi,yi)の実際に描画する確率P(xi,yi)が全て0.1、累積誤差Errの初期値は0であるとする。この場合、領域全体で実際に黒に描画する確率は0.1、すなわち1/10である。規定としてN=2、すなわち、黒画素は最低でも2画素連続する必要があるとする。
最初の画素を黒画素とすると、累積誤差ErrはErr=Err+(1−P(x,y))=0+(1−1/10)=9/10となる。すなわち、黒画素を描画することにより、9/10の誤差が累積される。
次の画素は、黒画素が最低でも2画素連続する必要があるため黒画素となり、累積誤差ErrはErr=9/10+(1−1/10)=18/10となる。累積誤差は0より大きいため、この画素は「描画しすぎてしまった黒」という評価になる。
【0054】
2画素連続して黒画素としたため、次の画素は描画しなくてもよく、また累積誤差も0より大きいことより次の画素は描画しない。これにより、累積誤差ErrはErr=18/10−(1−1/10)=17/10となる。以降、累積誤差が0となるまで黒画素を描画せず、白画素が18画素続くこととなる。
このように、最初に生成した曲線上で2画素の黒、18画素の白がそれぞれ交互に現れ、描画した黒画素の確率は2/20=1/10で、実際に描画する確率P(x,y)=1/10と一致することになる。
【0055】
図11は、第2の実施の形態により作成した曲線群の一例を示している。この曲線群をラスタ展開、ローパルフィルタリングして得た画像が図12である。図7に示す第1の実施の形態により作成した曲線群、図8に示す第1の実施の形態により得た画像と比べ、破線化による孤立点がなくなり、曲線密度がより均一となっている。
【0056】
第2の実施の形態では、最初に生成した曲線群に基づいて、曲線セグメントには規定画素数N以上の長さを確保しながら、累積誤差を積算して曲線セグメントの描画判断を行うことにより、一定の曲線セグメント長を確保した破線化が可能となる。
これにより、より均一な分布の溝を持ち、スクラッチパターンが目立たず、高輝度で均一な輝度を有する異方性反射媒体を実現することが可能となり、意匠的にも好ましい。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る異方性反射媒体作成装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】異方性反射媒体作成装置1を実現するコンピュータのハードウェア構成図
【図2】異方性反射媒体作成装置1の機能の概要を示すブロック図
【図3】異方性反射媒体作成装置1が行う版下データ作成処理の流れを示すフローチャート
【図4】曲線群生成手段22により生成した曲線群の一例を示す図
【図5】参照画像作成手段24による処理の流れを示すフローチャート
【図6】曲線群生成手段22により生成した曲線群をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図
【図7】参照画像作成手段24により、曲線密度を一定に近づけて得た画像の一例を示す図
【図8】参照画像作成手段24により、曲線密度を一定に近づけて得た画像をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図
【図9】点列で定義した曲線を説明する図
【図10】異方性反射媒体作成装置1が行う曲線描画の処理の流れを示すフローチャート
【図11】曲線群生成手段22により生成した曲線群の一例を示す図
【図12】曲線群生成手段22により生成した曲線群をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図
【図13】特許文献1で開示された方法で生成した曲線群の一例を示す図
【図14】特許文献2で開示された方法で生成した曲線群の一例を示す図
【図15】特許文献3で開示された方法で、やや疎に生成した曲線群の一例を示す図
【図16】特許文献3で開示された方法で、やや疎に生成した曲線群の隙間を埋めた結果の一例を示す図
【符号の説明】
【0059】
1………異方性反射媒体作成装置
3………制御部
5………記憶部
7………メディア入出力部
9………通信制御部
11………入力部
13………表示部
15………周辺機器I/F部
17………バス
19………ネットワーク
21………ベクトル場入力手段
22………曲線群生成手段
23………パラメータ入力手段
24………参照画像作成手段
25………版下データ作成手段
26………線分版下データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が曲線パターンによって立体加工される異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成装置、異方性反射作成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、同心円群のパターンや平行線群の組み合わせパターン等をエンボス加工、箔押し、あるいは印刷等によって微小な凹凸として実体化し、異方性反射により独特のデザインを表現するという方法が行われてきた。同心円群や平行線群以外でも、例えば「コート・ド・ジュネーブ」と呼ばれるもののように同心円を組み合わせたものや、正弦波を組み合わせたものなどのバリエーションがある。これらの方法では、経験的にパターンを組み合わせてデザインを行うものであり、抽象的に立体感が得られるものの、自由な立体面が見せる複雑な反射を再現するものではない。
そこで、任意の立体形状に基づいて方向性を制御した多数の曲線群を生成し、これを凹凸に加工することにより、元の立体形状を見せる反射の変化の様相を表す異方性反射を実現することができる。(例えば、特許文献1)
【0003】
しかしながら、特許文献1に示す方法では、パターンが無数の曲線で構成され、更に曲線群の向きを制御するための場が任意の状態を取りうるため、図13に示すように線の生成において重なりや隙間ができたりするが、この重なりや隙間を容易に回避することができない。
特許文献2では、個々の曲線を描画する際に排他的論理和をとるという方法が開示されているが、図14に示すように、線の生成において重なりや隙間を完全に回避することはできない。また、線が切れ切れになってしまい、設定よりも細い線が大量に生成されてしまう。
【0004】
特許文献3では、最初に図15に示すように曲線群をやや疎に生成しておき、その後、図16に示すように一定の隙間を確保しながら好ましくない隙間領域を周辺の画素値で埋めていくという方法が開示されている。
また、非特許文献1では、ベクタープロットを行う際、ぼけた画像で線の疎密度合いを評価し、密ならば点を移動させたり、線の幅を細くしたり、濃淡で調整を行う。再び疎密度合いを評価し、問題が解消されていれば動かした点の位置、線の幅を採用するという処理を全ての曲線に対して繰り返すという方法が開示されている。非特許文献2では、曲線を描画する際、線の疎密度合いが疎なところから線を引いていき、曲線間の内接円の大きさを比較し、内接円の半径が所定の値dよりも小さくならないように、すなわち、曲線間の距離が所定の値dに近づいたら線を引くのをやめるという方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−138700号公報
【特許文献2】特開2000−351263号公報
【特許文献3】特開2008−015952号公報
【非特許文献1】Image−Guided Streamline Placement、Proceedings of Siggraph、1996年、453〜460ページ
【非特許文献2】Farthest Point Seeding for Efficient Placement Streamlines、IEEE Visualization、2005年、479〜486ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に示す方法では、曲線間の隙間を埋めることはできるが、密な状態の曲線の塊を回避することはできない。
また、これらの版下をエッチング等で凹凸を実体化して作成した異方性反射媒体では、線と背景の境界部分に形成される斜面が異方性反射素子と同様の働きをすることにより、全体として異方性反射媒体としての絵柄を表現している。従って、絵柄の中で線の存在密度が一定でないと、絵柄の部分によって反射輝度が変化するため、異方性反射媒体としては好ましくない。
【0007】
非特許文献1、非特許文献2に示す方法では、流れの場に沿ってできるだけ均一に流線、すなわち曲線を配置する方法が提案されているが、任意の流れの場に沿って完全に均一に流線群を配置することは不可能である。例えば、非特許文献2では曲線間の距離dから2dの間を埋めることはできない。
【0008】
また、非特許文献1、非特許文献2に示す方法は、異方性反射媒体を前提としたものではないことから、本発明が対象とする異方性反射媒体の版下データの作成には適用できない。例えば、異方性反射媒体の版下データは2値で表す必要があるため、疎密度を均一化するために濃淡を調整して中間調の画素値を採用することはできない。また、所望の異方性反射を実現するためには、線の幅を均一にする必要がある。
【0009】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、スクラッチパターンを立体加工する異方性反射媒体特有の制約条件の下で、高輝度で均一な輝度の異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成装置等を提供することである。異方性反射媒体特有の制約条件とは、(1)絵柄の中で線の存在密度を一定とすること、(2)版下データを2値で表現すること、(3)線の幅を均一とすること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために第1の発明は、表面が曲線パターンによって立体加工される異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成装置であって、曲線を配置するためのベクトル場を入力するベクトル場入力手段と、版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さ等のパラメータを入力するパラメータ入力手段と、前記ベクトル場を用いて、前記パラメータに従って曲線群を生成する曲線群生成手段と、前記曲線群を、前記パラメータに従ってラスタ展開、ローパルフィルタリングした画像を生成し、前記画像の中の最小画素値を算出し、前記最小画素値と各画素の画素値を用いて、各画素の実際に描画される確率を算出する参照画像作成手段と、前記曲線群を、前記確率に従って描画する版下データ作成手段と、を具備することを特徴とする異方性反射媒体作成装置である。
【0011】
前記版下データ作成手段は、前記曲線群に含まれる曲線毎に、一定のセグメント長を保持しながら、前記確率に従って描画確率密度の累積誤差を積算し、累積誤差が一定未満となるように描画の継続、中断を判断することにより、曲線を破線化して描画する。
最初に生成した曲線群に基づいて、曲線セグメントには規定画素数N以上の長さを確保しながら、累積誤差を積算して曲線セグメントの描画判断を行うことにより、一定の曲線セグメント長を確保した破線化が可能となる。これにより、より均一な分布の溝を持ち、スクラッチパターンが目立たず、高輝度で均一な輝度を有する異方性反射媒体を実現することが可能となり、意匠的にも好ましい。
【0012】
前記版下データ作成手段は、前記曲線群をラスタ展開し、前記確率を参照して各画素を実際に描画するかどうかを判定するようにしてもよい。
曲線群を生成し、曲線密度が均一ではない部分に含まれる曲線群を破線化することにより、見た目で均一な曲線群を作成して版下画像を作成し、エンボス加工、盛り上げ印刷等を行うことで、より均一な分布の溝を持った異方性反射を実現することができる。
【0013】
第2の発明は、表面が曲線パターンによって立体加工される異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成方法であって、曲線を配置するためのベクトル場を入力するベクトル場入力ステップと、版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さ等のパラメータを入力するパラメータ入力ステップと、前記ベクトル場を用いて、前記パラメータに従って曲線群を生成する曲線群生成ステップと、前記曲線群を、前記パラメータに従ってラスタ展開、ローパルフィルタリングした画像を生成し、前記画像の中の最小画素値を算出し、前記最小画素値と各画素の画素値を用いて、各画素の実際に描画される確率を算出する参照画像作成ステップと、前記曲線群を、前記実際に描画される確率に従って描画する版下データ作成ステップと、を具備することを特徴とする異方性反射媒体作成方法である。
【0014】
第3の発明は、コンピュータを第1の発明の異方性反射媒体作成装置として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、スクラッチパターンを立体加工する異方性反射媒体において、生成した曲線群の近傍の曲線の密度を参照しながら各曲線を破線として描画することにより、高輝度で均一な輝度の異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成装置等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る異方性反射媒体作成装置1を実現するコンピュータのハードウェア構成図である。尚、図1のハードウェア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
異方性反射媒体作成装置1は、制御部3、記憶部5、メディア入出力部7、通信制御部9、入力部11、表示部13、周辺機器I/F部15等が、バス17を介して接続される。
【0018】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0019】
CPUは、記憶部5、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス17を介して接続された各装置を駆動制御し、異方性反射媒体作成装置1が行う後述する処理(図3等参照)を実現する。
ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。
RAMは、揮発性メモリであり、記憶部5、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部3が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0020】
記憶部5は、HDD(ハードディスクドライブ)であり、制御部3が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティングシステム)等が格納される。プログラムに関しては、OS(オペレーティングシステム)に相当する制御プログラムや、後述の処理に相当するアプリケーションプログラムが格納されている。
これらの各プログラムコードは、制御部3により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
【0021】
メディア入出力部7(ドライブ装置)は、データの入出力を行い、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、CDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、DVDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、MOドライブ等のメディア入出力装置を有する。
【0022】
通信制御部9は、通信制御装置、通信ポート等を有し、コンピュータとネットワーク19間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワーク19を介して、他のコンピュータ間との通信制御を行う。
【0023】
入力部11は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。
入力部11を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。
【0024】
表示部13は、CRTモニタ、液晶パネル等のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。
【0025】
周辺機器I/F(インタフェース)部15は、コンピュータに周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部15を介してコンピュータは周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部15は、USBやIEEE1394やRS−232C等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
【0026】
バス17は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0027】
次に、図2を参照しながら、異方性反射媒体作成装置1の機能を実現する構成について説明する。
図2は、異方性反射媒体作成装置1の機能の概要を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、異方性反射媒体作成装置1は、ベクトル場入力手段21、曲線群生成手段22、パラメータ入力手段23、参照画像作成手段24、版下データ作成手段25、線分版下データ26等を備える。
【0029】
ベクトル場入力手段21は、曲線を配置するためのベクトル場Vを入力する。入力されたベクトル場Vは、各位置における角度が2次元的に記録されているものである。異方性反射媒体を作成する場合、例えば、特許文献1に記載されている方法で曲線の走行方向を決定する。
【0030】
曲線群生成手段22は、ベクトル場入力手段21により入力されたベクトル場Vをトレースするように、パラメータ入力手段23により与えられるパラメータに従って曲線群を生成する。ベクトル場Vをトレースする曲線群の生成は、特許文献1に記載されている方法で行う。
生成された曲線群は、曲線を近似した点列で表現される。これらの点列は、例えば、スプライン補間のような補間方法により曲線としてラスタ化される。
【0031】
パラメータ入力手段23は、異方性反射媒体を作成するための版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さ等の各種パラメータを、異方性反射媒体装置1の入力部11等を介して入力する。
【0032】
参照画像作成手段24は、異方性反射装置を作成するための版下画像の全ての点において、実際に描画を行う確率分布を演算する。
参照画像作成手段24は、曲線群生成手段22により生成された曲線群をパラメータ入力手段23により指定された版下画像の解像度でラスタ展開し、ローパルフィルタリングを施した画像Lを生成する。画像Lの画素値L(x,y)は、その画素の近傍に現れる曲線エッジの数を表す。曲線エッジは黒画素で示され、異方性反射媒体では異方性反射素子、すなわち異方性反射媒体の溝の壁である。参照画像作成手段24は、全ての画素の中で画素値L(x,y)の最小値Mを算出する。そして、参照画像作成手段24は、画像全体の曲線密度を一定に近づけるため、画像の全ての位置において、近傍の曲線エッジ数がMとなるように曲線を破線化する。版下画像において、画素(x,y)を曲線が通過する場合、この画素(x,y)に実際に描画する確率P(x,y)を求める。実際に描画する確率P(x,y)は、式P(x,y)=M/L(x,y)により算出する。
近傍の曲線密度を参照しながら、実際に描画する確率P(x,y)を求めることにより、個々の曲線は破線化され、版下画像全体において曲線が均一に配置される。
【0033】
版下データ作成手段25は、曲線群生成手段22により生成した曲線群を版下画像としてラスタ展開し、線分版下データ26を生成する。ラスタ展開時、参照画像作成手段24により求めた実際に描画する確率P(x,y)を参照し、画素毎に実際に曲線を描画するかどうかを判定する。例えば、画素毎に0から1の間をとる一様分布乱数R(x,y)を生成し、P(x,y)>R(x,y)の条件が成立した場合にのみ、実際に画素(x、y)を描画する。
【0034】
次に、図3から図8を参照しながら、第1の実施の形態に係る異方性反射媒体作成装置1の詳細について説明する。
図3は、異方性反射媒体作成装置1が行う版下データ作成処理の流れを示すフローチャート、図4は、曲線群生成手段22により生成した曲線群の一例を示す図、図5は、参照画像作成手段24による処理の流れを示すフローチャート、図6は、曲線群生成手段22により生成した曲線群をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図、図7は、参照画像作成手段24により、曲線密度を一定に近づけて得た画像の一例を示す図、図8は、参照画像作成手段24により、曲線密度を一定に近づけて得た画像をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図である。
【0035】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、ベクトル場入力手段21により、曲線を配置するためのベクトル場Vを入力する(ステップS101)。入力されたベクトル場Vは、各位置における角度が2次元的に記録されている。
【0036】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、パラメータ入力手段23により、入力部11を介して版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さ等の各種パラメータを入力する(ステップS102)。
【0037】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、曲線群生成手段22により、図4に示すようにできるだけ均一な曲線群を生成する(ステップS103)。曲線群において、個々の曲線は重ならない程度に配置し、できるだけ密に曲線群を配置することが好ましい。各曲線は、曲線を近似する点列等でベクトル表現される。
【0038】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、参照画像作成手段24により、版下画像の各画素(x,y)にベクトルとして定義した曲線が通過する場合、画素(x,y)に実際に曲線を描画する確率P(x,y)を求める(ステップS104)。図5は、参照画像作成手段24によるステップS104の処理の詳細を示す。
【0039】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、参照画像作成手段24により、図4に示す曲線群生成手段22により生成した曲線群を、パラメータ入力手段23により入力された版下画像の解像度で、例えば、線幅1のような任意の幅でラスタ化し(ステップS201)、ガウシアンフィルタのようなローパスフィルタを利用してローパスフィルタリングし、図6に示すようなぼけた画像Lを生成する(ステップS202)。
画像Lの濃淡は、例えば0〜255の階調を持ち、画像中の各位置(x,y)の近傍に含まれる曲線エッジの疎密を表現する。各画素の画素値L(x,y)は、その近傍に含まれる曲線エッジ数を示す。画像Lの中の相対的に明るい位置では、その近傍に含まれる曲線エッジが少ないことを示し、相対的に暗い位置では、その近傍に含まれる曲線エッジが多いことを示す。曲線を均一に配置するため、画像L全体で最も明るい位置、すなわち最も曲線エッジが疎な位置に全体を合わせるように、個々の曲線を破線化する。なお、線幅1でラスタ化しているため、ローパスフィルタリングの結果で含まれる黒画素は、曲線エッジを表している。
【0040】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、画像Lを参照し、最も密度が低い、すなわち明るい位置のエッジ数Mを算出し(ステップS203)、画像Lの参照する画素(x,y)で実際に曲線を描画する確率P(x,y)=M/L(x,y)を求める。実際に曲線を描画する確率P(x,y)は、画素(x,y)における黒画素生成率である。
【0041】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、版下データ作成手段25により版下データとなる線分版下データ26を作成する(ステップS105)。
版下データ作成手段25は、参照画像作成手段24により求めた実際に描画する確率P(x,y)を参照し、曲線群生成手段22により生成した曲線群の各画素を実際に描画するかどうか決定する。例えば、画素毎に0から1の間をとる一様分布乱数R(x,y)を生成し、P(x,y)>R(x,y)の条件が成立した場合にのみ、実際に画素(x、y)を描画する。
以上のとおり、異方性反射媒体作成装置1は、異方性反射媒体の作成に用いる版下データを作成する。
【0042】
異方性反射媒体の作成工程では、前述した異方性反射媒体作成装置1を用いて作成した線分版下データ26を基に、異方性反射媒体を作成する。異方性反射媒体の作成工程では、印刷やエンボス加工などで曲線パターンを立体加工する。
【0043】
図8は、第1の実施の形態において、参照画像作成手段24により、曲線密度を一定に近づけて得た画像をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図である。図6に示す、曲線群生成手段22により生成した曲線群をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像と比べて、画像全体として明るさが均一となっており、曲線密度がより均一となっているといえる。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る異方性反射媒体作成装置1は、曲線群を生成し、曲線密度が均一ではない部分に含まれる曲線群を破線化することにより、見た目で均一な曲線群を作成して版下画像を作成し、エンボス加工、盛り上げ印刷等を行うことで、より均一な分布の溝を持った異方性反射を実現する。
【0044】
次に、図9から図12を参照しながら、第2の実施の形態に係る異方性反射媒体作成装置1の詳細について説明する。
図9は、点列で定義した曲線を説明する図、図10は、異方性反射媒体作成装置1が行う曲線描画の処理の流れを示すフローチャート、図11は、曲線群生成手段22により生成した曲線群の一例を示す図、図12は、曲線群生成手段22により生成した曲線群をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図である。
【0045】
第1の実施の形態では、最初に生成した曲線群が局所的に不均一であっても、曲線を破線化し、より均一な曲線密度の版下画像を得ることができる。一方、曲線密度の判定が画素毎に独立して行われるため、曲線を破線化することにより曲線が細かく分離され、1画素の孤立点が多く発生する。異方性反射媒体では、版下画像を凹凸に実体化して異方性反射素子となるが、曲線がある程度の長さを持たないと異方性反射素子として作用しないため、孤立点の出現を防ぐ必要がある。このため、連続で描画されるべき最短の曲線の長さをあらかじめ決めておき、この長さよりも短い曲線を生成しないよう、破線化した後の各曲線セグメントが一定の長さを保持することが好ましい。
そこで、第2の実施の形態では、各曲線を破線化しながらラスタ化する際、描画判断を画素毎ではなく曲線単位で行い、描画する曲線セグメントは予め決めたN画素以上の長さを確保する。
【0046】
異方性反射媒体作成装置1は、第2の実施の形態と同様に、図3に示すステップS101からステップS104の処理を行う。ステップS102のパラメータ入力の処理では、曲線セグメントの規定画素数Nも指定する。
【0047】
ステップS105の版下データの作成処理では、画像L内の曲線単位で図10に示す描画判断の処理を行う。図9に示す画像L内の画素(x0,y0)、(xi,yi)、(xn−1,yn−1)は、曲線群生成手段22により生成された特定の曲線を通る点列として定義したものである。図10に示す描画判断処理は、図9に示す点列として表現した曲線ごとに行う。規定画素数Nは、例えば5とする。この場合、曲線セグメントとして少なくとも5画素以上描画し続けなければならない。
【0048】
ある曲線に対する描画判断処理では、異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、初期条件として累積誤差Errを0、描画中の画素長Lcを0、変数iを0とする(ステップS301)。
ただし、最初に累積誤差Errを0とすると、曲線を描画するときに必ず1画素目が描画されて黒となり、曲線密度が密集してしまう可能性もあるため、Errを乱数として設定するようにしてもよい。
【0049】
異方性反射媒体作成装置1の制御部3は、曲線を対象となる画素(xi,yi)に描画する(ステップS302)。この画素(xi,yi)には実際に描画する確率P(xi,yi)で描画するべきであるが、ステップS302で実際に画素(xi,yi)に描画したため、累積誤差Err=Err+(1−P(xi,yi))として累積誤差Errを更新し(ステップS303)、描画中の画素長LcをLc=Lc+1に、また変数iをi=i+1として更新する(ステップS304)。
【0050】
曲線の描画が終了した場合、すなわち、i==nとなり曲線上の全ての画素についての描画判断処理が終了したか判定し(ステップS305)、終了した場合は描画判断処理を終了する。
終了していない場合、描画中の画素長Lcが規定画素数N未満かどうかを判定し(ステップS306)、描画中の画素長Lcが規定画素数N未満の場合はステップS302に戻り、描画処理を続ける。
【0051】
描画中の画素長Lcが規定画素数N以上の場合、累積誤差Errが0未満であれば、描画を続けるためにステップS302に戻る。
累積誤差Errが0以上の場合、次の画素には曲線セグメントを描画しないため、変数iをi=i+1とし(ステップS308)、曲線の最終画素(xn−1,yn−1)の描画判断処理が終了したかどうか、すなわち、i==nでないかどうか判定し(ステップS309)、i==nでなければ次の処理に進む。
【0052】
画素(xi,yi)は実際に描画する確率P(xi,yi)で描画するべきであるが、画素(xi,yi)には曲線セグメントを描画しないと判断したため、累積誤差ErrはErr=Err−P(x,y)に更新する(ステップS310)。累積誤差Errが0未満かどうか判定し(ステップS311)、累積誤差Errが0未満ならば描画を再開するため、ステップS302に戻る。累積誤差Errが0以上の場合、曲線描画を中断したまま次の画素(xi+1,yi+1)に進むため、ステップS308に戻り処理を続ける。
【0053】
例えば、ある曲線が通過する画素(xi,yi)の実際に描画する確率P(xi,yi)が全て0.1、累積誤差Errの初期値は0であるとする。この場合、領域全体で実際に黒に描画する確率は0.1、すなわち1/10である。規定としてN=2、すなわち、黒画素は最低でも2画素連続する必要があるとする。
最初の画素を黒画素とすると、累積誤差ErrはErr=Err+(1−P(x,y))=0+(1−1/10)=9/10となる。すなわち、黒画素を描画することにより、9/10の誤差が累積される。
次の画素は、黒画素が最低でも2画素連続する必要があるため黒画素となり、累積誤差ErrはErr=9/10+(1−1/10)=18/10となる。累積誤差は0より大きいため、この画素は「描画しすぎてしまった黒」という評価になる。
【0054】
2画素連続して黒画素としたため、次の画素は描画しなくてもよく、また累積誤差も0より大きいことより次の画素は描画しない。これにより、累積誤差ErrはErr=18/10−(1−1/10)=17/10となる。以降、累積誤差が0となるまで黒画素を描画せず、白画素が18画素続くこととなる。
このように、最初に生成した曲線上で2画素の黒、18画素の白がそれぞれ交互に現れ、描画した黒画素の確率は2/20=1/10で、実際に描画する確率P(x,y)=1/10と一致することになる。
【0055】
図11は、第2の実施の形態により作成した曲線群の一例を示している。この曲線群をラスタ展開、ローパルフィルタリングして得た画像が図12である。図7に示す第1の実施の形態により作成した曲線群、図8に示す第1の実施の形態により得た画像と比べ、破線化による孤立点がなくなり、曲線密度がより均一となっている。
【0056】
第2の実施の形態では、最初に生成した曲線群に基づいて、曲線セグメントには規定画素数N以上の長さを確保しながら、累積誤差を積算して曲線セグメントの描画判断を行うことにより、一定の曲線セグメント長を確保した破線化が可能となる。
これにより、より均一な分布の溝を持ち、スクラッチパターンが目立たず、高輝度で均一な輝度を有する異方性反射媒体を実現することが可能となり、意匠的にも好ましい。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る異方性反射媒体作成装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】異方性反射媒体作成装置1を実現するコンピュータのハードウェア構成図
【図2】異方性反射媒体作成装置1の機能の概要を示すブロック図
【図3】異方性反射媒体作成装置1が行う版下データ作成処理の流れを示すフローチャート
【図4】曲線群生成手段22により生成した曲線群の一例を示す図
【図5】参照画像作成手段24による処理の流れを示すフローチャート
【図6】曲線群生成手段22により生成した曲線群をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図
【図7】参照画像作成手段24により、曲線密度を一定に近づけて得た画像の一例を示す図
【図8】参照画像作成手段24により、曲線密度を一定に近づけて得た画像をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図
【図9】点列で定義した曲線を説明する図
【図10】異方性反射媒体作成装置1が行う曲線描画の処理の流れを示すフローチャート
【図11】曲線群生成手段22により生成した曲線群の一例を示す図
【図12】曲線群生成手段22により生成した曲線群をラスタ展開、ローパスフィルタリングして得た画像の一例を示す図
【図13】特許文献1で開示された方法で生成した曲線群の一例を示す図
【図14】特許文献2で開示された方法で生成した曲線群の一例を示す図
【図15】特許文献3で開示された方法で、やや疎に生成した曲線群の一例を示す図
【図16】特許文献3で開示された方法で、やや疎に生成した曲線群の隙間を埋めた結果の一例を示す図
【符号の説明】
【0059】
1………異方性反射媒体作成装置
3………制御部
5………記憶部
7………メディア入出力部
9………通信制御部
11………入力部
13………表示部
15………周辺機器I/F部
17………バス
19………ネットワーク
21………ベクトル場入力手段
22………曲線群生成手段
23………パラメータ入力手段
24………参照画像作成手段
25………版下データ作成手段
26………線分版下データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が曲線パターンによって立体加工される異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成装置であって、
曲線を配置するためのベクトル場を入力するベクトル場入力手段と、
版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さ等のパラメータを入力するパラメータ入力手段と、
前記ベクトル場を用いて、前記パラメータに従って曲線群を生成する曲線群生成手段と、
前記曲線群を、前記パラメータに従ってラスタ展開、ローパルフィルタリングした画像を生成し、前記画像の中の最小画素値を算出し、前記最小画素値と各画素の画素値を用いて、各画素の実際に描画される確率を算出する参照画像作成手段と、
前記曲線群を、前記確率に従って描画する版下データ作成手段と、
を具備することを特徴とする異方性反射媒体作成装置。
【請求項2】
前記版下データ作成手段は、前記曲線群に含まれる曲線毎に、一定のセグメント長を保持しながら、前記確率に従って描画確率密度の累積誤差を積算し、累積誤差が一定未満となるように描画の継続、中断を判断することにより、曲線を破線化して描画することを特徴とする請求項1記載の異方性反射媒体作成装置。
【請求項3】
前記版下データ作成手段は、前記曲線群をラスタ展開し、前記確率を参照して各画素を実際に描画するかどうかを判定することを特徴とする請求項1記載の異方性反射媒体作成装置。
【請求項4】
表面が曲線パターンによって立体加工される異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成方法であって、
曲線を配置するためのベクトル場を入力するベクトル場入力ステップと、
版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さ等のパラメータを入力するパラメータ入力ステップと、
前記ベクトル場を用いて、前記パラメータに従って曲線群を生成する曲線群生成ステップと、
前記曲線群を、前記パラメータに従ってラスタ展開、ローパルフィルタリングした画像を生成し、前記画像の中の最小画素値を算出し、前記最小画素値と各画素の画素値を用いて、各画素の実際に描画される確率を算出する参照画像作成ステップと、
前記曲線群を、前記実際に描画される確率に従って描画する版下データ作成ステップと、
を具備することを特徴とする異方性反射媒体作成方法。
【請求項5】
前記版下データ作成ステップは、前記曲線群に含まれる曲線毎に、一定のセグメント長を保持しながら、前記実際に描画される確率に従って描画確率密度の累積誤差を積算し、累積誤差が一定未満となるように描画の継続、中断を判断することにより、曲線を破線化して描画することを特徴とする請求項4記載の異方性反射媒体作成方法。
【請求項6】
前記版下データ作成ステップは、前記曲線群をラスタ展開し、前記実際に描画される確率を参照して各画素を実際に描画するかどうかを判定することを特徴とする請求項4記載の異方性反射媒体作成方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から請求項3のいずれかに記載の異方性反射媒体作成装置として機能させるプログラム。
【請求項1】
表面が曲線パターンによって立体加工される異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成装置であって、
曲線を配置するためのベクトル場を入力するベクトル場入力手段と、
版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さ等のパラメータを入力するパラメータ入力手段と、
前記ベクトル場を用いて、前記パラメータに従って曲線群を生成する曲線群生成手段と、
前記曲線群を、前記パラメータに従ってラスタ展開、ローパルフィルタリングした画像を生成し、前記画像の中の最小画素値を算出し、前記最小画素値と各画素の画素値を用いて、各画素の実際に描画される確率を算出する参照画像作成手段と、
前記曲線群を、前記確率に従って描画する版下データ作成手段と、
を具備することを特徴とする異方性反射媒体作成装置。
【請求項2】
前記版下データ作成手段は、前記曲線群に含まれる曲線毎に、一定のセグメント長を保持しながら、前記確率に従って描画確率密度の累積誤差を積算し、累積誤差が一定未満となるように描画の継続、中断を判断することにより、曲線を破線化して描画することを特徴とする請求項1記載の異方性反射媒体作成装置。
【請求項3】
前記版下データ作成手段は、前記曲線群をラスタ展開し、前記確率を参照して各画素を実際に描画するかどうかを判定することを特徴とする請求項1記載の異方性反射媒体作成装置。
【請求項4】
表面が曲線パターンによって立体加工される異方性反射媒体を作成する異方性反射媒体作成方法であって、
曲線を配置するためのベクトル場を入力するベクトル場入力ステップと、
版下画像の解像度、曲線の密度、曲線の長さ等のパラメータを入力するパラメータ入力ステップと、
前記ベクトル場を用いて、前記パラメータに従って曲線群を生成する曲線群生成ステップと、
前記曲線群を、前記パラメータに従ってラスタ展開、ローパルフィルタリングした画像を生成し、前記画像の中の最小画素値を算出し、前記最小画素値と各画素の画素値を用いて、各画素の実際に描画される確率を算出する参照画像作成ステップと、
前記曲線群を、前記実際に描画される確率に従って描画する版下データ作成ステップと、
を具備することを特徴とする異方性反射媒体作成方法。
【請求項5】
前記版下データ作成ステップは、前記曲線群に含まれる曲線毎に、一定のセグメント長を保持しながら、前記実際に描画される確率に従って描画確率密度の累積誤差を積算し、累積誤差が一定未満となるように描画の継続、中断を判断することにより、曲線を破線化して描画することを特徴とする請求項4記載の異方性反射媒体作成方法。
【請求項6】
前記版下データ作成ステップは、前記曲線群をラスタ展開し、前記実際に描画される確率を参照して各画素を実際に描画するかどうかを判定することを特徴とする請求項4記載の異方性反射媒体作成方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から請求項3のいずれかに記載の異方性反射媒体作成装置として機能させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図9】
【図10】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図5】
【図9】
【図10】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−108137(P2010−108137A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277907(P2008−277907)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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