説明

異物排出路

【課題】球通路における遊技球の移送性の低下を防止することができる異物排出路を提供する。
【解決手段】異物排出路20は、本体底部36と該本体底部36に立設された側壁32とからなる排出路本体30の内側に、複数の第1及び第2整流壁43,44と案内壁53を設けて形成されている。第1及び第2整流壁43,44における球通路56の遊技球導入口56a側には、遊技球Bの流下方向に沿って本体底部36側から上り傾斜する第1及び第2傾斜部43b,44bが形成されている。第1及び第2傾斜部43b,44bの上部には、同一方向へ向かって下り傾斜するガイド面Gが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球通路内に入った異物を排出させる構成とした異物排出路に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機が複数設置された島設備内において、各パチンコ機の下方域には排出樋が設けられている。この排出樋は所要の傾斜をなしており、各パチンコ機から排出された遊技球(パチンコ球)を前記傾斜により転動させて、島設備に設置された揚送装置へと移送するためのものである。また、島設備内において、前記排出樋よりも下流位置であり前記揚送装置の直前位置には、排出樋内に流入した硬貨やビス、さらには遊技球に付着した細塵等の異物を排除し揚送装置に流入するのを防ぐための異物排出路が配設されている。この異物排出路としては、例えば特許文献1に記載されるような異物排出路が提案されている。
【0003】
特許文献1の異物排出路には、複数の球通路が並設されている。各球通路は、遊技球が転動可能な必要最小幅を有する橋路を底面とし、その橋路の両側に側面視略直角三角形状の仕切壁が立設されて形成されている。前記仕切壁の斜辺となる位置には傾斜部が形成されている。この傾斜部は、前記球通路の遊技球の流下方向に直交する断面視が山形状に形成されている。すなわち、傾斜部は、仕切壁をその厚み方向へ二等分する中心線の両側に、傾斜部の上端縁から仕切壁の両壁面に向かって下り傾斜した斜面を備えている。また、各球通路において、隣り合う橋路の間には間隙が形成され、各球通路を形成する両仕切壁の下部は開放形成されて選別路が形成されている。
【0004】
そして、排出樋から異物排出路へ流下してきた多数の遊技球は、複数の仕切壁の傾斜部によって該仕切壁の両側の球通路へと分流され、各球通路内へと導入されるとともに異物排出路内にて整列される。さらに、傾斜部に乗り上げた遊技球は、傾斜部の斜面によって振分けられる。そして、遊技球は、振分けられた斜面を転動して、乗り上げた仕切壁の両側のうちいずれかの球通路内へ落下する。球通路内へ導入された遊技球は、球通路により整列状態を保ちながら揚送装置へ導入される。また、球通路内に硬貨やビス等の異物が混入した場合には、該異物は、橋路と仕切壁の間に形成される遊間から選別路を通過して異物排出路外へ排出されるようになっている。さらに、遊技球に付着した細塵等は、遊技球が仕切壁に摺接する際に遊技球から落下し、選別路から異物排出路外へ排出されるようになっている。
【特許文献1】実用新案登録第2563566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、仕切壁の傾斜部に乗り上げた遊技球が、いずれの斜面を転動して仕切壁両側の球通路のうちのいずれの球通路へ落下するかは、傾斜部上における遊技球のバランスによって決定される。このため、例えば、ある1つの球通路には、その球通路を形成する両仕切壁の傾斜部から遊技球が落下してくる可能性がある。このように、1つの球通路内へその両側から遊技球が落下してくると、落下してきた遊技球同士が接触したり、橋路上を流下する遊技球への接触機会が増加したりしてしまう。その結果、球通路における遊技球の流下速度が低下し、遊技球の移送性能が低下してしまう。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、球通路における遊技球の移送性の低下を防止することができる異物排出路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、遊技機が設置された島設備内に設けられ、複数の橋路が間隙をおいて並設された底部と該底部に立設された側壁とからなる排出路本体の内側に複数の仕切壁を設け、隣り合う仕切壁の間に前記橋路が位置するとともに仕切壁と橋路の間に空隙が形成されてなる球通路を複数並設し、前記排出路本体内を流下して前記球通路内に入った異物を前記空隙から排出路本体外へ排出させる構成とした異物排出路であって、各仕切壁における前記球通路の遊技球導入口側に前記遊技球の流下方向に沿って前記底部側から上り傾斜する傾斜部を形成し、該各傾斜部の上縁に前記仕切壁の厚み方向に向かって同一方向へ下り傾斜するガイド面を形成し、前記傾斜部には、前記底部に対して鉛直に立ち上がる球崩し部が遊技球の流下方向下流側に連設され、各球崩し部に前記仕切壁の厚み方向に向かって同一方向へ傾斜する案内面を前記ガイド面に連続させて形成し、前記球崩し部は、隣り合う仕切壁において前記流下方向に沿って前後に位置ずれして配置されていることを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の異物排出路において、前記ガイド面は、前記仕切壁の厚みにおいて少なくとも半分以上の厚みを有するように形成されていることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の異物排出路において、前記傾斜部は、隣り合う仕切壁において傾斜角度が異なるように形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、球通路における遊技球の移送性の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を島設備内に設けられる異物排出路に具体化した一実施形態を図1〜図9にしたがって説明する。
図1に示すように、遊技店(遊技場)に据え付けられた島設備10には、その設置島台S上に複数台のパチンコ遊技機(遊技機)Pが背面を対向させた状態で列設されている。隣り合うパチンコ遊技機Pの間には、硬貨を供することで遊技球を遊技者に貸し出す球貸機Nが設置されている。また、島設備10には、パチンコ遊技機Pの列設方向(図1では左右方向)の略中央に、球揚送装置11が設置されている。この球揚送装置11は図示しない研磨リフトを介して遊技球を研磨しながら上方へと揚送するものである。さらに、島設備10には、球揚送装置11の上方側に、該球揚送装置11によって揚送された多数の遊技球を貯留可能な島タンク12が設置されている。また、島設備10には、前記各パチンコ遊技機Pの上方域に、前記島タンク12内に貯留された遊技球を各パチンコ遊技機Pへ分配供給するための球供給樋14が設けられている。球供給樋14は、前記球揚送装置11側を上流端とする斜状態様で球揚送装置11の左右両側に設けられている。
【0012】
一方、前記島設備10内における各パチンコ遊技機Pの下方域には、各パチンコ遊技機Pから排出された遊技球(例えばアウト球等)を受け入れ転動移送させるための排出樋15が設けられている。この排出樋15は、前記球揚送装置11側を下流端とする斜状態様で球揚送装置11の左右両側に設けられている。また、島設備10の前記球揚送装置11の下方側には、排出樋15により転動移送された遊技球を回収するための球回収タンク19が設けられている。さらに、島設備10内において、前記排出樋15の下流端と前記球回収タンク19の間には、球回収タンク19内に異物が入るのを防ぐための異物排出路20が設けられている。この異物排出路20の上流端は、排出樋15の下流端と接続されている一方で、異物排出路20の下流端は、前記球回収タンク19と接続されている。この異物排出路20は、前記球回収タンク19側を下流端とする斜状態様で球回収タンク19の左右両側に設けられている。
【0013】
そして、パチンコ遊技機Pから排出された遊技球は、排出樋15及び異物排出路20を通過して球回収タンク19内へと放出される。このとき、遊技者の悪戯などにより、前記球貸機Nとパチンコ遊技機Pの間から、該パチンコ遊技機Pの機裏側へ転落し排出樋15内に入った硬貨や、パチンコ遊技機Pから外れて排出樋15内に入ったビス、さらには、遊技球Bに付着した細塵等の異物は、異物排出路20を流下する間に該異物排出路20の外側へ排出される。そして、球回収タンク19内に放出された遊技球Bは、球揚送装置11内に取り込まれて島タンク12へ揚送される。さらに、島タンク12へ揚送された遊技球は、各球供給樋14から複数の球分配シュート(図示略)を介して各パチンコ遊技機Pへ分配供給される。
【0014】
次に、前記異物排出路20について具体的に説明する。なお、図2及び図3の矢印Rに示すように、異物排出路20の上流側から下流側へと遊技球Bが流下する方向を遊技球Bの流下方向とする。さて、図2及び図3に示すように、異物排出路20は、大別すると、その外郭を形成する排出路本体30と、該排出路本体30の上方全体を覆蓋するカバー部材Cとから構成されている。最初に、排出路本体30について説明する。図2に示すように、排出路本体30は外郭が長尺状をなし、排出路本体30の底部をなす本体底部36の両側に側壁32が立設されて形成されている。前記側壁32は、その上方側が排出路本体30の内側へ延びるように略直角に折り曲げられ、その折り曲げ部位に前記カバー部材Cをビス止めするための複数のビス孔32aが穿設されている。
【0015】
この構成により異物排出路20は、島設備10に設置した状態において、排出樋15を転動案内された遊技球Bを受け入れ、該遊技球Bを球回収タンク19側に転動案内する通路構成を取り得る。なお、異物排出路20によって形成される通路は、機能毎に分けると2種類の通路に分けられることから、説明をわかり易くするために2種類の通路を「転動路」と「整流路」とし、図2及び図3においては「転動路」に「33」の符号を付すとともに「整流路」に「34」の符号を付す。転動路33は、異物排出路20の上流側(排出樋15側)の通路であり、排出樋15で転動案内された遊技球Bを受け入れ、該遊技球Bを整流路34側に流下方向に沿って転動案内する。一方、整流路34は、転動路33に連設され、異物排出路20の下流側(球回収タンク19側)の通路であり、転動路33を乱雑(雑然)状態で転動案内された遊技球Bを整流(整列)し、該遊技球Bを球回収タンク19側に整列状態で流下方向に沿って転動案内する。本実施形態の異物排出路20では、整流路34の通過時に異物が排出される。
【0016】
前記本体底部36は、転動路33の底部と整流路34の底部とから構成されている。前記転動路33の底部は、側壁32間に架設された平板状の底板31によって形成され、該底板31上にはマットMが敷設されている。一方、前記整流路34の底部は、側壁32間に架設された一対の支持部材35上に底形成部材39とマットMを流下方向に沿って並べて敷設することにより形成されている。一対の支持部材35のうち、一方の支持部材35は、前記底板31の下流側直近に設けられ、他方の支持部材35は異物排出路20の下流端側に設けられている。このように支持部材35を整流路34の両端側のみに設けることにより、整流路34における前記底形成部材39の配設部位(異物排出路20の下面部位)は、開口した状態とされている。
【0017】
前記底形成部材39は、図4に示すように、複数の長板状の橋路37と、それら橋路37の両側に溶接固定された一対の長板状の位置決め部材38と、複数の橋路37の中央に溶接固定された長板状の補強板29とから簀子状に形成されている。前記一対の位置決め部材38には、隣り合う前記橋路37の間に凹部38bが形成されている(本実施形態では七つ)。また、各位置決め部材38の両側及び中央には、底形成部材39を前記支持部材35にねじ止めするためのねじ止め孔38dが穿設されている。
【0018】
そして、底形成部材39には、隣り合う橋路37の間に間隙Kが形成されている。なお、前記間隙Kの幅は遊技球Bの直径より広く、かつ、一個の遊技球Bのみが通過可能な幅に設定されている。そして、底形成部材39に複数(本実施形態では七つ)の間隙Kが形成され、排出路本体30の底形成部材39の配設部位は開口した状態とされている。このため、異物排出路20の本体底部36において、整流路34の略全体は橋路37を除いて上下方向へ貫通することとなり、異物はこの整流路34の通過時に異物排出路20外へ排出される。
【0019】
次に、前記カバー部材Cについて説明する。なお、図2ではカバー部材Cのうちの第1の蓋部材40は図示せず、図3では2点鎖線で第1の蓋部材40を示す。図2及び図3に示すように、カバー部材Cは、第1の蓋部材40と、第2の蓋部材41と、第3の蓋部材51とから構成されている。
【0020】
前記第1の蓋部材40は、異物排出路20の転動路33を覆蓋するものであり、第2の蓋部材41と第3の蓋部材51は異物排出路20の整流路34を覆蓋するものである。前記第1の蓋部材40は、平板状に形成されている。前記第2の蓋部材41は、その全体が、例えば、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアセタール等の自己潤滑性を有する合成樹脂材料より形成されている。そして、図5に示すように、第2の蓋部材41は、蓋板42と、該蓋板42の下面に一体成形された四枚の長板状の第1整流壁43、及び三枚の長板状の第2整流壁44とから構成されている。すなわち、第2の蓋部材41には、第1整流壁43と第2整流壁44の形状の異なる2種類の整流壁が設けられている。前記第1整流壁43と第2整流壁44は、第1整流壁43が蓋板42の両側に位置し、さらに、第1整流壁43と第2整流壁44とが交互に並ぶように蓋板42に設けられている。隣り合う第1整流壁43と第2整流壁44の間隔は全て同じであり、該間隔は遊技球Bの直径より広く、遊技球Bが1列状態で通過し得る間隔に設定されている。
【0021】
図5及び図6(b)、(c)に示すように、第1整流壁43の縁部には、蓋板42の下面から真下へ鉛直に延びる第1球崩し部43aが形成されている。さらに、第1整流壁43の縁部には、前記第1球崩し部43aの下端から連続して直線状に下り傾斜した第1傾斜部43bが形成されている。一方、第2整流壁44の縁部には、蓋板42の下面から真下へ鉛直に延びる第2球崩し部44aが形成されている。さらに、第2整流壁44の縁部には、前記第2球崩し部44aの下端から連続して直線状に下り傾斜した第2傾斜部44bが形成されている。加えて、第2整流壁44の縁部には、前記第2傾斜部44bに連続して水平状に延びる水平部44cが形成され、さらに、その水平部44cから連続して直線状に下り傾斜した位置に第2傾斜部44bが形成されている。すなわち、第2整流壁44には、水平部44cの上下両側に第2傾斜部44bが形成され、各第2傾斜部44bの長さは、第1傾斜部43bの長さより短くなっている。
【0022】
図6(c)に示すように、第1整流壁43と第2整流壁44とは、第1球崩し部43aと第2球崩し部44aとが前後に位置ずれするように蓋板42に並設されている。また、第1球崩し部43aと第2球崩し部44aとは、鉛直方向への長さが異なるように形成され、第1球崩し部43aの鉛直方向への長さが、第2球崩し部44aの鉛直方向への長さよりも長く形成されている。
【0023】
さらに、第1整流壁43と第2整流壁44とは、第1傾斜部43bと、第2傾斜部44bの傾斜角度が互いに異なるように形成されている。ここで、図6(c)において、第1整流壁43及び第2整流壁44の下端縁に沿って延びる直線を仮想線Jとする。そして、前記仮想線Jと第1傾斜部43bの延長線との間に形成される角度を第1傾斜部43bの傾斜角度θ1とし、仮想線Jと第2傾斜部44bの延長線との間に形成される角度をそれぞれ第2傾斜部44bの傾斜角度θ2とする。傾斜角度θ1と傾斜角度θ2は異なっており、この傾斜角度θ1,θ2の違いから、第1及び第2整流壁43,44の並設方向に沿って第1傾斜部43bと第2傾斜部44bとには高低差が形成されている。詳しくは、第1傾斜部43bの先端側と第2傾斜部44bの先端側の高低差は、第1及び第2傾斜部43b,44bが、それら先端側よりも蓋板42側に位置する水平部44cへ向かうに従い徐々に小さくなっている。そして、両者の高低差が無くなる位置も存在している。さらに、第2整流壁44の水平部44cよりも蓋板42側、すなわち、第1傾斜部43bの基端側と第2傾斜部44bの基端側の高低差は、前記先端側における高低差よりも大きくなっている。なお、第2整流壁44の上下両第2傾斜部44bの間には水平部44cが形成されているため、第1傾斜部43bと水平部44cとにも高低差が形成されている。
【0024】
図6(b)の7b−7b線断面図(図7(b))に示すように、第1及び第2球崩し部43a,44aは、第1及び第2整流壁43,44の長さ方向の断面視が先細形状に形成されている。ここで、第1及び第2整流壁43,44の厚み方向に対向する一対の壁面を、一方の壁面としての右壁面43A,44Aと、他方の壁面としての左壁面43B,44Bとする。第1及び第2球崩し部43a,44aは、各球崩し部43a,44aの先端から基端側に向かうに従い、前記右壁面43A,44A側から左壁面43B,44B側へ徐々に拡幅するように傾斜形成されている。そして、第1及び第2球崩し部43a,44aにおける傾斜した部位に案内面Aが形成されている。すなわち、案内面Aは、第1及び第2整流壁43,44の厚み方向に向かって傾斜して形成されている。
【0025】
ここで、第1及び第2整流壁43,44をその厚み方向へ二等分する直線を二等分線Qとする。すると、前記案内面Aは、前記二等分線Qよりも右壁面43A,44A寄りの位置から左壁面43B,44B側へ拡幅するように傾斜している。すなわち、案内面Aは、第1及び第2球崩し部43a,44a(第1及び第2整流壁43,44)の厚みの半分以上を有している。また、案内面A上を通る平面を仮想平面Uとし、前記右壁面43A,44Aを通る平面を仮想平面UAとした場合、仮想平面UAと仮想平面Uの間に形成される角度のうち鋭角となる角度を角度θAとする。すると、案内面Aと右壁面43A,44Aは、前記角度θAを形成するように仮想平面U及び仮想平面UAに沿って形成されているため、案内面Aは右壁面43A,44Aに対して鋭角をなすように第1及び第2球崩し部43a,44aに形成されている。そして、全ての第1及び第2整流壁43,44において、案内面Aは同一方向へ同じ角度で傾斜している。
【0026】
一方、第1及び第2傾斜部43b,44bは、図6(c)の7a−7a線断面図(図7(a))に示すように、第1及び第2整流壁43,44の長さ方向に直交する断面視が先細形状に形成されている。第1及び第2傾斜部43b,44bは、その上縁から下方へ向かうに従い前記右壁面43A,44A側から左壁面43B,44B側へ下り傾斜するように形成されている。そして、全ての第1及び第2傾斜部43b,44bの上縁における傾斜した部位にガイド面Gが形成されている。すなわち、ガイド面Gは、各傾斜部43b,44bの上縁から下方へ向かうに従い、第1及び第2整流壁43,44の厚み方向に向かって下り傾斜して形成されている。
【0027】
前記ガイド面Gは、前記二等分線Qよりも右壁面43A,44A寄りの位置から左壁面43B,44Bへ下り傾斜している。すなわち、ガイド面Gは、第1及び第2傾斜部43b,44b(第1及び第2整流壁43,44)の厚みの半分以上を有している。また、ガイド面G上を通る平面を仮想平面Vとし、前記右壁面43A,44Aを通る平面を仮想平面VAとした場合、仮想平面VAと仮想平面Vの間に形成される角度のうち鋭角となる角度を角度θVとする。すると、ガイド面Gと右壁面43A,44Aは、前記角度θVを形成するように仮想平面Vと仮想平面VAに沿って形成されているため、ガイド面Gは右壁面43A,44Aに対して鋭角をなすように第1及び第2傾斜部43b,44bに形成されている。そして、全ての第1及び第2整流壁43,44において、全てのガイド面Gは同一方向へ同じ角度で傾斜している。なお、前記水平部44cにもその上縁から下方へ向かうに従い前記右壁面43A,44A側から左壁面43B,44B側へ下り傾斜するガイド面Gが形成されている。また、図5に示すように、第1及び第2傾斜部43b,44bには、それぞれ第1及び第2球崩し部43a,44aが連設されている。そして、第1及び第2球崩し部43a,44aには、案内面Aがガイド面Gに連続して形成されている。
【0028】
次に、第3の蓋部材51について説明する。図2及び図3に示すように、第3の蓋部材51は、その全体が、例えば、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアセタール等の自己潤滑性を有する合成樹脂材料より形成されている。そして、図9に示すように、第3の蓋部材51は、蓋板52と、該蓋板52の下面に一体成形された七枚の案内壁53とから構成されている。隣り合う案内壁53の間隔は全て同じである。隣り合う案内壁53の間隔は、前記隣り合う第1整流壁43と第2整流壁44の間隔と同じである。また、隣り合う案内壁53の間隔は遊技球Bの直径より広く、1列状態で遊技球Bが通過し得る間隔に設定されている。
【0029】
そして、上記構成の排出路本体30とカバー部材Cとから異物排出路20を形成するには、まず、図3に示すように、前記底板31上にマットMを敷設し、該マットMを底板31に固定する。続けて、一対の支持部材35上に底形成部材39の両位置決め部材38を支持させ、ねじ止め孔38dによって各位置決め部材38を支持部材35にねじ止めする。すると、底形成部材39を支持部材35に組付けるという一作業により、複数の橋路37及び一対の位置決め部材38の全てが側壁32間に組付けられる。続けて、底形成部材39よりも下流側の他方の支持部材35上にマットMを敷設し、該マットMを支持部材35に固定する。
【0030】
その結果、マットMを備えた転動路33と、底形成部材39及びマットMを備えた整流路34が形成されるとともに、転動路33の底部と整流路34の底部とから本体底部36が構成される。この本体底部36には、位置決め部材38が備えられることにより、凹部38bが複数箇所に設けられている。そして、本体底部36と該本体底部36から立設された側壁32とから排出路本体30が構成される。なお、転動路33のマットMの上面は、各橋路37上端よりも上側に位置し、各橋路37上端は、整流路34のマットMの上面より上側に位置している。そして、排出路本体30内は、上流側から下流側に向かうに従い高低差が形成されている。すなわち、転動路33のマットMの上面と各橋路37の上端との高低差、又は各橋路37の上端と整流路34のマットMの上面との高低差が逆転してしまうことが無いように各部材の高さが設定されている。その結果、転動路33のマットM、橋路37、又は整流路34のマットMの製造誤差や、組付け誤差等により高低差が逆転して遊技球Bの球詰まり等が発生することが防止される。
【0031】
続けて、第1の蓋部材40、第2の蓋部材41、及び第3の蓋部材51を、それぞれ側壁32上方の折り曲げ部位に載せる。なお、第2の蓋部材41を排出路本体30に組付けるとき、第1及び第2傾斜部43b,44bが位置決め部材38の凹部38bに挿入されるようにする。その後、ビス60を、第1の蓋部材40、第2の蓋部材41、及び第3の蓋部材51を貫通させてビス孔32aに固定する。すると、排出路本体30の上方全てが、第1の蓋部材40、第2の蓋部材41、及び第3の蓋部材51によって覆蓋される。その結果、カバー部材Cが排出路本体30に組付けられ、排出路本体30とカバー部材Cとからなる異物排出路20が構成される。
【0032】
上記のように構成された異物排出路20において、図2に示すように、排出路本体30内には、第1及び第2整流壁43,44の流下方向下流側にそれぞれ案内壁53が連設されている。また、第1及び第2整流壁43,44の第1及び第2傾斜部43b,44bの自由端の一部は、それぞれ位置決め部材38の凹部38bに挿入され、第1及び第2整流壁43,44は横方向への移動が規制されている。さらに、第1及び第2整流壁43,44において、第1及び第2傾斜部43b,44bの自由端の一部は間隙Kの内側に入り込み、間隙Kの内側に入り込んでいない残りの自由端は間隙Kよりも上方に位置している。また、案内壁53はその自由端の全てが、間隙Kよりも上方に位置している。
【0033】
そして、排出路本体30の内側には、仕切壁としての複数の第1及び第2整流壁43,44と、仕切壁としての複数の案内壁53が並設され、第1及び第2整流壁43,44と案内壁53によって排出路本体30内が区切られている。詳しくは、排出路本体30の内側は、第1整流壁43とその下流側の案内壁53、及び第2整流壁44とその下流側の案内壁53によって複数の区画に仕切られている。そして、排出路本体30の内側には一つの橋路37を底面とし、第1整流壁43とその下流側の案内壁53、及び第2整流壁44とその下流側の案内壁53を、橋路37両側の壁とする球通路56が複数(本実施形態では六列)並設されている。すなわち、排出路本体30内には、隣り合う第1整流壁43と第2整流壁44の間、及び隣り合う案内壁53の間に橋路37が位置している。各球通路56は、互いに間隙Kをおいて並設された複数の橋路37と、一定間隔をおいて並設された第1及び第2整流壁43,44と、案内壁53とを、交互に位置するように組み合わせることによって形成されている。
【0034】
そして、整流路34の上流端となる位置には、遊技球Bの流下方向上流側に開口する球通路56の遊技球導入口56aが形成されている。第1及び第2整流壁43,44において、前記遊技球導入口56a側には第1及び第2傾斜部43b,44bが設けられている。また、第1及び第2傾斜部43b,44bは遊技球Bの流下方向に沿って底部としての本体底部36側から上り傾斜している。
【0035】
また、図8に示すように、第1及び第2傾斜部43b,44b上縁の各ガイド面Gは、第1及び第2整流壁43,44の厚み方向に向かって下り傾斜して形成されている。詳しくは、各ガイド面Gは、各第1及び第2傾斜部43b,44bに隣り合う両側の橋路37のうち一方(図8では左方)の橋路37に向かって下り傾斜するように形成されている。すなわち、第1及び第2傾斜部43b,44bは、その左壁面43B,44Bに隣り合う橋路37に向かうように、第1及び第2傾斜部43b,44bの上端縁から下り傾斜している。
【0036】
さらに、図2に示すように、第1及び第2球崩し部43a,44aは、第1及び第2傾斜部43b,44bの流下方向下流側に連設されている。また、第1及び第2球崩し部43a,44aは、底部としての本体底部36に対して鉛直をなすように立ち上がっている。そして、第1球崩し部43aと、第2球崩し部44aとは、流下方向に沿って前後交互に位置ずれしている。すなわち、第1球崩し部43aは、第2球崩し部44aよりも流下方向前側に位置している。また、図8に示すように、第1及び第2球崩し部43a,44aの各案内面Aは、第1及び第2整流壁43,44の厚み方向に向かって傾斜して形成されている。詳しくは、各案内面Aは、各第1及び第2球崩し部43a,44aに隣り合う両側の球通路56のうち一方(図8では左方)の球通路56に向かって拡幅するように傾
斜形成されている。すなわち、第1及び第2球崩し部43a,44aは、その左壁面43B,44Bが球通路56内に面し、かつ、前記一方(図8では左方)の橋路37が底面をなす球通路56中央に向かうように傾斜している。
【0037】
各球通路56は、複数の遊技球Bが前記流下方向に一列に整列された状態で流下することが可能に形成されている。また、図9に示すように、各球通路56において、各橋路37と、該橋路37の側方に位置する第1整流壁43、第2整流壁44、及び案内壁53との間には、それぞれ空隙Tが形成されている。さらに、各球通路56の通路幅は、遊技球Bが球通路56を形成する隣り合う第1整流壁43と第2整流壁44、又は隣り合う案内壁53のうち、いずれか一方の壁面に摺接しながら橋路37上を流下する場合に、他方の壁面と遊技球Bとの間に遊間Yが形成されるように設定されている。
【0038】
一方、上記構成の異物排出路20において、ビス60を全ての蓋部材40,41,51から取外し、全ての蓋部材40,41,51を排出路本体30から組外すことにより、カバー部材Cを排出路本体30から組外すことができる。すなわち、全ての蓋部材40,41,51は、排出路本体30に対し着脱可能に形成されているため、カバー部材Cは排出路本体30に対し着脱可能に形成されている。さらに、各支持部材35に対するねじ止めを解除することにより、底形成部材39を支持部材35から組外すことができる。そして、底形成部材39を組外す方向は、全ての蓋部材40,41,51を排出路本体30から組外す方向と同じになっている。
【0039】
さて、上記構成の異物排出路20が島設備10内に設けられていると、排出樋15から流下してきた多量の遊技球Bは異物排出路20内に入り込む。そして、多量の遊技球Bは転動路33のマットM上を転動流下した後、整流路34へ転動移送され、該整流路34にて第1及び第2傾斜部43b,44bに接触する。すると、多量の遊技球Bは、第1及び第2傾斜部43b,44bにより分流、整流され、球通路56の遊技球導入口56aからその内側へ導入される。このとき、第1及び第2整流壁43,44は自己潤滑性を有するため、遊技球Bは第1及び第2整流壁43,44の外面を滑転していく。また、遊技球Bが第1及び第2整流壁43,44に接触する際に生じる応力は、第1及び第2整流壁43,44の基端から蓋板42に受承されるとともに、自由端側の位置決め部材38によって受承される。
【0040】
また、遊技球Bが多段になって流下して来た場合、上段の遊技球Bは、第1及び第2傾斜部43b,44bを上っていく。すると、図8に示すように、遊技球Bのほとんどは、各ガイド面Gによって、第1及び第2傾斜部43b,44b(第1及び第2整流壁43,44)に隣り合う両側の橋路37のうちの左方の橋路37に向かって傾くようにガイドされる。すなわち、遊技球Bのほとんどは、第1及び第2整流壁43,44の左壁面43B,44Bに隣り合う橋路37側へ傾くようにガイドされる。その結果、第1及び第2傾斜部43b,44bに乗り上げてきた遊技球Bは、その第1及び第2傾斜部43b,44bの両側に位置する球通路56のうち、左壁面43B,44Bが球通路56内に面する球通路56に向かって落下する。すなわち、第1及び第2傾斜部43b,44bに乗り上げてきたほとんどの遊技球Bは、ガイド面Gによって同一方向へ落下するようにガイドされる。
【0041】
さらに、第1及び第2傾斜部43b,44bを上り切りった遊技球Bは、第1及び第2球崩し部43a,44aに接触する。このとき、図6(c)に示すように、隣り合う第1球崩し部43aと第2球崩し部44aは、前記流下方向に沿って前後に位置ずれしている。このため、両球崩し部43a,44aに遊技球Bが同時に接触した場合には、両遊技球Bが落下する位置を、前記流下方向に沿った前後に位置ずれさせることができる。
【0042】
また、第1及び第2球崩し部43a,44aに接触した遊技球Bは、案内面Aによって第1及び第2整流壁43,44に隣り合う球通路56のうちの左方の球通路56に向かって傾くようにガイドされる。すなわち、遊技球Bのほとんどは、左壁面43B,44Bが球通路56内に面し、かつ、左方の橋路37が底面をなす球通路56に向かうようにガイドされ、そのまま該球通路56に向かって落下する。その結果、第1及び第2整流壁43,44を上る遊技球Bは、それぞれガイド面G及び案内面Aによって、左壁面43B,44Bが球通路56内に面する球通路56に向かって落下するようにガイドされる。すなわち、第1及び第2球崩し部43a,44aに接触したほとんどの遊技球Bは、案内面Aによって同一方向へ落下するようにガイドされる。
【0043】
なお、遊技球Bのうち、ガイド面Gにより、所望する方向、本実施形態では左壁面43B,44Bが球通路56内に面する球通路56へ落下するようにガイドされない遊技球Bも存在する。この場合、図6(c)に示すように、隣り合う第1傾斜部43bと第2傾斜部44bとは、互いに傾斜角度θ1,θ2が異なり、第1及び第2整流壁43,44の並設方向においては高低差が形成された箇所が存在している。この高低差は、第1及び第2整流壁43,44において、第2整流壁44の水平部44cよりも基端側が先端側よりも大きくなっている。そして、この第1傾斜部43bと第2傾斜部44bとの高低差により、第1傾斜部43bからの遊技球Bの落下高さと、第2傾斜部44bからの遊技球Bの落下高さとが異なるようになる。したがって、万一、一つの球通路56に対し、その両側の第1及び第2傾斜部43b,44bから遊技球Bが落下したとしても、両遊技球Bが球通路56に向かって落下する高さが同じになりにくくなる。
【0044】
さらに、遊技球Bのうち、案内面Aにより、所望する方向、本実施形態では左壁面43B,44Bが球通路56内に面する球通路56へ落下するようにガイドされない遊技球Bも存在する。この場合、隣り合う第1球崩し部43aと第2球崩し部44aとは、流下方向に沿って前後に位置ずれしている。このため、万一、一つの球通路56に対しその両側の第1及び第2球崩し部43a,44aから遊技球Bが落下しても、両遊技球Bが落下する位置を、前記流下方向に沿って前後に位置ずれさせることができる。
【0045】
そして、図9に示すように、球通路56内へ導入された遊技球Bは、案内壁53によって整列状態が維持されたまま流下方向下流側へ案内される。各球通路56内において、遊技球Bは、橋路37の両側の右壁面43A,44A、左壁面43B,44B、及び案内壁53の壁面に摺接しながら橋路37上を転動する。このため、遊技球Bに付着した細塵は、各壁面との摺接により遊技球Bから剥がれ落ちる。そして、その細塵は、空隙Tを通過して間隙Kから異物排出路20外へ排出される。その後、遊技球Bは、整流路34のマットM上を転動した後、球回収タンク19内に回収される。
【0046】
また、第1整流壁43、第2整流壁44、及び案内壁53には多量の遊技球Bが絶え間なく接触、摺接している。このため、第1整流壁43、第2整流壁44、及び案内壁53が、その外面を遊技球Bが滑転可能に形成され、発生する応力を各蓋部材41,51にて受承可能に形成されていても、第1整流壁43、第2整流壁44、及び案内壁53はその耐用年数の超過等により交換の必要性が生じてくる。ここで、第1及び第2整流壁43,44は第2の蓋部材41に一体成形され、案内壁53は第3の蓋部材51に一体成形されている。そして、第2の蓋部材41及び第3の蓋部材51は側壁32に対してビス60で固定して排出路本体30に組付けられている。
【0047】
また、第1整流壁43、第2整流壁43、及び案内壁53は、それぞれ排出路本体30の本体底部36に対してビス止め等により固定されておらず、側壁32に対しても組付けられていない。このため、ビス60をビス孔32aから取外し、第2の蓋部材41と第3の蓋部材51を上方へ組外すだけで、第1及び第2整流壁43,44と案内壁53を排出
路本体30から組外すことができる。しかも、第1及び第2整流壁43,44は全て第2の蓋部材41に一体成形され、案内壁53は全て第3の蓋部材51に一体成形されている。このため、第2の蓋部材41と第3の蓋部材51を、排出路本体30から組外す一作業のみで第1及び第2整流壁43,44と案内壁53の全てを排出路本体30から組外すことができる。
【0048】
そして、新たに別の第2の蓋部材41と、別の第3の蓋部材51を排出路本体30に組付け、各蓋部材41,51をビス60で側壁32にビス止めするだけで、排出路本体30内に新しい第1及び第2整流壁43,44と新しい案内壁53を設けることができる。すなわち、排出路本体30に対して第2の蓋部材41と第3の蓋部材51を着脱することにより、排出路本体30に第1及び第2整流壁43,44と案内壁53を着脱することができるとともに、異物排出路20を組み立てることができる。
【0049】
また、カバー部材Cは、3つの蓋部材40,41,51に分割可能であり、第1及び第2整流壁43,44と案内壁53に分割可能である。したがって、第2の蓋部材41のみを排出路本体30から組外すことにより、第1及び第2整流壁43,44のみを排出路本体30から組外すことができる。一方、第3の蓋部材51を排出路本体30から組外すことで、案内壁53のみを排出路本体30から組外すことも当然可能となる。そして、新たに別の第2の蓋部材41又は第3の蓋部材51を排出路本体30に組付け、ビス60で側壁32にビス止めするだけで、排出路本体30内に新しい第1及び第2整流壁43,44又は案内壁53を設けることができる。
【0050】
なお、パチンコ遊技機Pの機裏側へ転落し排出樋15から異物排出路20内へ入り込んだ硬貨は、その態様がほぼ水平状態のまま第1及び第2傾斜部43b,44bに乗り上げた場合、該硬貨は第1及び第2球崩し部43a,44aに係止した後、第1及び第2傾斜部43b,44bの高低差によって傾き球通路56内へ落下する。そして、硬貨は、遊技球Bと、第1整流壁43又は第2整流壁44との間に形成された遊間Y及び空隙Tを介して、間隙Kから異物排出路20外へ排出される。一方、硬貨の態様がほぼ起立状態の場合は、硬貨はそのまま遊技球Bと、第1整流壁43又は第2整流壁44との間に形成された遊間Y及び空隙Tを介して、間隙Kから異物排出路20外へ排出される。
【0051】
上記実施形態の異物排出路20によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1及び第2傾斜部43b,44bの上縁には、第1及び第2整流壁43,44の厚み方向に向かって同一方向へ下り傾斜したガイド面Gが形成されている。このため、第1及び第2傾斜部43b,44bを乗り上げてきた遊技球Bは、ガイド面Gによって同一方向へ向かって下り転動するようにガイドされる。すなわち、第1及び第2傾斜部43b,44bに乗り上げてきたほとんどの遊技球Bは、該第1及び第2傾斜部43b,44bに隣り合う橋路37のうち一方(左方)の橋路37が底面をなす球通路56内へと落下する。したがって、各球通路56には、該球通路56を形成する第1整流壁43(仕切壁)と第2整流壁44(仕切壁)の両方から遊技球Bが落下してくることが抑制される。その結果として、球通路56へと落下してきた遊技球B同士の接触機会や、橋路37上を流下する遊技球Bと落下してきた遊技球Bとの接触回数を減らすことができ、球通路56の遊技球Bの移送性低下を防止することができる。
【0052】
(2)ガイド面Gは、第1及び第2整流壁(仕切壁)43,44の厚みの半分以上を有している。したがって、第1及び第2傾斜部43b,44bに乗り上げてきた遊技球Bを同一方向へ下り転動させるというガイド面Gの機能を発揮させやすくすることができる。
【0053】
(3)第1及び第2傾斜部43b,44bの流下方向下流側には、第1及び第2球崩し部43a,44aが連設され、該第1及び第2球崩し部43a,44aにはガイド面Gに
連続させて案内面Aが形成されている。そして、案内面Aは、ガイド面Gと同様に、第1及び第2整流壁43,44の厚み方向に向かって同一方向へ傾斜するように形成されている。このため、第1及び第2球崩し部43a,44aに接触した遊技球Bは、案内面Aによって同一方向へ向かって転動するようにガイドされる。すなわち、第1及び第2球崩し部43a,44aに接触したほとんどの遊技球Bは、第1及び第2球崩し部43a,44aに隣り合う球通路56のうち一方(左方)の球通路56へ向かって転動する。したがって、各球通路56には、該球通路56を形成する第1整流壁43(仕切壁)と第2整流壁44(仕切壁)の両方から遊技球Bが落下してくることが抑制される。その結果として、球通路56へと落下してきた遊技球B同士の接触機会や、橋路37上を流下する遊技球Bと落下してきた遊技球Bとの接触回数を減らすことができ、球通路56の遊技球Bの移送性低下を防止することができる。
【0054】
(4)案内面Aはガイド面Gに連設されている。このため、ガイド面Gが下り傾斜する方向へガイド仕切れなかった遊技球Bを、案内面Aによって再度ガイドすることができる。したがって、案内面Aとガイド面Gの協働により、隣り合う第1及び第2整流壁(仕切壁)43,44からその間の球通路56に向かって遊技球Bが落下することを抑制することができる。
【0055】
(5)複数の第1及び第2整流壁(仕切壁)43,44が並設された状態で、隣り合う第1球崩し部43aと第2球崩し部44aは遊技球Bの流下方向に沿って位置ずれして配置されている。このため、第1球崩し部43aと第2球崩し部44aに接触した両遊技球Bの落下位置を流下方向前後に位置ずれさせることができる。したがって、万一、一つの球通路56へその両側の第1及び第2球崩し部43a,44aから遊技球Bが落下しても、それら遊技球Bが流下方向の同じ位置に集中して落下することを阻止することができる。また、球通路56へ落下した遊技球Bを橋路37上を流下する遊技球Bの間へ一つずつ入り込ませることができ、球通路56の遊技球Bの移送性低下の防止とに寄与することができる。
【0056】
(6)複数の第1及び第2整流壁(仕切壁)43,44が並設された状態で、隣り合う第1傾斜部43bと第2傾斜部44bはその傾斜角度θ1,θ2が異なっており、第1傾斜部43bと第2傾斜部44bとの間には高低差が形成されている。このため、排出路本体30内には、遊技球Bが上りやすい第1傾斜部43bと、遊技球Bが上り難い第2傾斜部44bとが存在することになる。すなわち、第1及び第2傾斜部43b,44bの傾斜角度θ1,θ2が全て同じ場合と異なり、第1及び第2傾斜部43b,44bの遊技球Bが球通路56に向かって落下する位置(高さ)が全て同じになりにくくなる。したがって、万一、一つの球通路56へ、その球通路56両側の第1及び第2傾斜部43b,44b上から遊技球Bが同時に落下しても、それら遊技球Bが落下時に衝突することを回避することができ、橋路37上を流下する遊技球Bの列に時間差をおいて落下させることができる。その結果、球通路56へ落下した遊技球Bを橋路37上を流下する遊技球Bの間へ一つずつ入り込ませることができ、球通路56の遊技球Bの移送性低下の防止に寄与することができる。
【0057】
(7)第1傾斜部43bの傾斜角度θ1と、第2傾斜部44bの傾斜角度θ2の2種類の傾斜角度が設定されている。このため、第1傾斜部43bと第2傾斜部44bが交互となるように第1整流壁43と第2整流壁44を配置することにより、隣り合う第1傾斜部43bと第2傾斜部44bの傾斜角度を異ならせることができる。したがって、傾斜部の傾斜角度が異なる3種類以上の整流壁を形成しなくても、隣り合う傾斜部の傾斜角度を異ならせることができ、整流壁の製造及び配置を容易とすることができる。
【0058】
(8)第2の蓋部材41の蓋板42には、ガイド面G及び案内面Aを備えた第1及び第2整流壁43,44が一体成形されている。このため、第2の蓋部材41を排出路本体30に組付けるだけで、ガイド面G及び案内面Aを備えた第1及び第2整流壁43,44を排出路本体30内に設けることができ、異物排出路20を容易に形成することができる。
【0059】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 実施形態において、整流壁を3種類以上設け、傾斜角度の異なる3種類以上の傾斜部を設けてもよい。このとき、隣り合う傾斜部の傾斜角度が異なるように整流壁を配置することが好ましい。
【0060】
・ 実施形態において、位置決め部材38における凹部38bを削除して、第1及び第2傾斜部43b,44bの自由端を位置決めしなくてもよい。
・ 実施形態において、底形成部材39の位置決め部材38以外となるマットMに第1及び第2傾斜部43b,44bの自由端を挿抜可能とする凹部を形成してもよい。
【0061】
・ 実施形態において、両整流壁43,44及び案内壁53のうち少なくともいずれか一方を底形成部材39(本体底部36)に一体成形してもよい。
・ 実施形態では、第2の蓋部材41に第1及び第2整流壁43,44を一体成形し、第3の蓋部材51に案内壁53を一体成形したが以下のように変更してもよい。すなわち、第2の蓋部材41を、蓋板42に別体の整流壁43,44を組付ける構成とし、第3の蓋部材51を、蓋板52に別体の案内壁53を組付ける構成として、蓋板42,52の排出路本体30に対する着脱と同時に、別体の第1及び第2整流壁43,44と案内壁53を排出路本体30に対し着脱可能な構成としてもよい。
【0062】
・ 実施形態において、第2の蓋部材41と第3の蓋部材51を一体化して一つの蓋部材とするとともに、第1及び第2整流壁43,44と案内壁53とを一体化して第1及び第2整流壁43,44と案内壁53とよりなる仕切壁を形成してもよい。
【0063】
・ 実施形態において、第1の蓋部材40と、第2の蓋部材41と、第3の蓋部材51とを一体化してカバー部材Cを一部材としてもよい。
・ 実施形態において、傾斜角度が同じとなるように第1整流壁43同士又は第2整流壁44同士を隣り合うように並設してもよい。
【0064】
・ 実施形態において、第1球崩し部43aと第2球崩し部44aとが流下方向に沿って前後に位置ずれしていなくてもよい。
・ 実施形態において、第1球崩し部43aが第2球崩し部44aよりも流下方向後側に位置するようにしてもよい。
【0065】
・ 実施形態において、第1球崩し部43aを第1傾斜部43bに連設せず、第1傾斜部43bに水平部を連設した後、その水平部に第1球崩し部43aを連設し、ガイド面Gと案内面Aとを連設しなくてもよい。
【0066】
・ 実施形態において、第1及び第2球崩し部43a,44aに案内面Aを形成しなくてもよい。
・ 実施形態において、ガイド面Gを、その一端が二等分線Qと一致するように形成して、ガイド面Gを、第1及び第2傾斜部43b,44bにおける厚みの半分を有するように形成してもよい。また、案内面Aを、その一端が二等分線Qと一致するように形成して、案内面Aを、第1及び第2球崩し部43a,44aにおける厚みの半分を有するように形成してもよい。
【0067】
・ 実施形態において、ガイド面Gを、第1及び第2傾斜部43b,44bに隣り合う橋路37のうち他方(図8では右方)の橋路37側へ下り傾斜するように、すなわち、左壁面43B,44B側から右壁面43A,44A側へ下り傾斜するように形成してもよい。言い換えれば、全てのガイド面Gの下り傾斜する方向を実施形態とは逆にしてもよい。この場合、案内面Aの拡幅しながら傾斜する方向も実施形態とは逆になる。
【0068】
・ 実施形態において、第1の蓋部材40、第2の蓋部材41、及び第3の蓋部材51を、それぞれ排出路本体30への組付け状態で排出路本体30内を透視可能とする透明又は半透明な合成樹脂材料により形成し、カバー部材C全体を透明又は半透明に形成してもよい。なお、このとき、第1〜第3の蓋部材40,41,51を、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアセタール等の自己潤滑性を有する合成樹脂材料で形成することが好ましい。このように構成すると、カバー部材Cが排出路本体30に組付けられたままの状態で、カバー部材Cを介して排出路本体30内を透視することができる。したがって、カバー部材Cを排出路本体30から組外すことなく、橋路37の汚れや第1及び第2整流壁43,44の変形、摩耗等を視認、把握することが可能となる。
【0069】
・ 実施形態では、排出路本体30内に複数の球通路56として六列形成したが、球通路56の数は六列に限定されず、橋路37の数、第1及び第2整流壁43,44の数、及び案内壁53の数を変更して球通路56の数を、例えば、四列、五列、八列、九列、十列等に変更してもよい。
【0070】
・ 実施形態では、本体底部36を転動路33と整流路34より構成したが、本体底部36を整流路34のみで構成してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0071】
(イ)遊技機が設置された島設備内に設けられ、複数の橋路が間隙をおいて並設された底部と該底部に立設された側壁とからなる排出路本体の内側に複数の仕切壁を設け、隣り合う仕切壁の間に前記橋路が位置するとともに仕切壁と橋路の間に空隙が形成されてなる球通路を複数並設し、前記排出路本体内を流下して前記球通路内に入った異物を前記空隙から排出路本体外へ排出させる構成とした異物排出路の前記排出路本体の上方を覆蓋する蓋部材であって、該蓋部材の下面に前記複数の仕切壁が一体成形され、前記複数の仕切壁における前記球通路の遊技球導入口側に、前記遊技球の流下方向に沿って前記底部側から上り傾斜する複数の傾斜部を形成し、該各傾斜部の上部に同一方向へ向かって下り傾斜するガイド面を形成した蓋部材。
【0072】
(ロ)前記複数の仕切壁は、排出路本体の上方を覆蓋する蓋部材の下面に並設され、前記蓋部材の排出路本体に対する着脱とともに前記複数の仕切壁を排出路本体に対し着脱可能である請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の異物排出路。
【0073】
(ハ)前記複数の仕切壁は、前記蓋部材に一体成形されている技術的思想(ロ)に記載の異物排出路。
(ニ)前記仕切壁は、前記傾斜部を備え前記遊技球を前記流下方向に整列させる整流壁と、前記整流壁よりも前記流下方向下流側に位置し前記整流壁によって整列された遊技球を整列状態で前記流下方向下流側へ案内させる案内壁とから構成され、前記整流壁及び案内壁はそれぞれ別の蓋部材の下面に並設されている技術的思想(ロ)又は(ハ)に記載の異物排出路。
【0074】
(ホ)前記傾斜部の傾斜角度は、2種類設定されている請求項3に記載の異物排出路。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】島設備全体及び島設備内の一部を示す一部切欠正面図。
【図2】第1の蓋部材を削除し第3の蓋部材を一部切欠いた異物排出路を示す斜視図。
【図3】図2の3−3線断面図。
【図4】底形成部材を示す平面図。
【図5】第2の蓋部材を示す斜視図。
【図6】(a)は第2の蓋部材の下面図、(b)は第2の蓋部材の正面図、(c)は第2の蓋部材の側面図。
【図7】(a)は図6(c)の7a−7a線断面図、(b)は図6(b)の7b−7b線断面図。
【図8】図2の8−8線における概略断面図。
【図9】図2の9−9線における概略断面図。
【符号の説明】
【0076】
A…案内面、B…遊技球、G…ガイド面、K…間隙、P…パチンコ遊技機(遊技機)、T…空隙、θ1,θ2…傾斜角度、10…島設備、20…異物排出路、30…排出路本体、32…側壁、36…本体底部(底部)、37…橋路、43…第1整流壁(仕切壁)、43a…第1球崩し部、43b…第1傾斜部、44…第2整流壁(仕切壁)、44a…第2球崩し部、44b…第2傾斜部、53…案内壁(仕切壁)、56…球通路、56a…遊技球導入口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機が設置された島設備内に設けられ、複数の橋路が間隙をおいて並設された底部と該底部に立設された側壁とからなる排出路本体の内側に複数の仕切壁を設け、隣り合う仕切壁の間に前記橋路が位置するとともに仕切壁と橋路の間に空隙が形成されてなる球通路を複数並設し、前記排出路本体内を流下して前記球通路内に入った異物を前記空隙から排出路本体外へ排出させる構成とした異物排出路であって、
各仕切壁における前記球通路の遊技球導入口側に前記遊技球の流下方向に沿って前記底部側から上り傾斜する傾斜部を形成し、該各傾斜部の上縁に前記仕切壁の厚み方向に向かって同一方向へ下り傾斜するガイド面を形成し、
前記傾斜部には、前記底部に対して鉛直に立ち上がる球崩し部が遊技球の流下方向下流側に連設され、各球崩し部に前記仕切壁の厚み方向に向かって同一方向へ傾斜する案内面を前記ガイド面に連続させて形成し、
前記球崩し部は、隣り合う仕切壁において前記流下方向に沿って前後に位置ずれして配置されている異物排出路。
【請求項2】
前記ガイド面は、前記仕切壁の厚みにおいて少なくとも半分以上の厚みを有するように形成されている請求項1に記載の異物排出路。
【請求項3】
前記傾斜部は、隣り合う仕切壁において傾斜角度が異なるように形成されている請求項1又は請求項2に記載の異物排出路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−130298(P2006−130298A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197647(P2005−197647)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【分割の表示】特願2004−322542(P2004−322542)の分割
【原出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】