説明

【課題】水に濡れる環境での使用が可能な高い防水性と速乾性を有する安全で衛生的な畳を提供する。
【解決手段】本発明の畳1は、合成樹脂繊維を使用して織った畳表3と、合成樹脂製の中空構造の板材によって構成される表面材5と合成樹脂製の発泡材によって構成される芯材7と合成樹脂製の中空構造の板材によって構成される裏面材9とを備えた畳床11と、合成樹脂繊維によって構成される縫製糸S1、S2と、を具備し、前記畳表3を非吸水性中実構造の熱可塑性ポリオレフィン樹脂発泡糸を緯糸13とし、熱可塑性ポリオレフィン繊維を経糸15として織ることによって構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗いが可能な防水性を有する畳に係り、特に浴室の洗い場等、水に濡れる環境での使用を前提にした高防水性で安全性に優れた畳に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から下記の特許文献1に示すように食べもの等をこぼした場合に水洗いして汚れを除去することができる防水性を有する畳が開発されている。
この種の畳では、畳表あるいは畳表と畳床の双方を合成樹脂材料等の防水性を有する材料によって構成し、更にこれらを合成樹脂系の接着剤等によって接着することによって所望の防水性を確保している。
【0003】
また、前記畳表は、ポリプロピレンを原料とする人工い草を使用し、天然い草を使用した通常の畳表と同様の織り方を採用して成形されている。
また、積層された畳表と畳床の対向する一方の辺には畳縁と呼ばれる布が宛がわれ、縫製用糸や釘あるいはタッカーと呼ばれる金具等を使用して前記畳表で畳床をくるむようにして取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−293564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した防水性を有する畳は、通常の畳と同様の使用環境での使用を想定しており、畳床の一部や畳縁等には防水性を有しない材料を含んでいる。
従って、浴室の洗い場等、水に濡れる環境での使用を可能にする更に高いレベルでの防水性は有していない。
【0006】
また、畳床を構成する積層された複数の部材間の固定や畳表と畳床との固定にアレルギー物質であるホルムアルデヒド、キシレン、トルエン等を放出する合成樹脂系の接着剤を使用している場合には、アレルギーを有しているといないとに拘らず、快適な生活環境を害し、人体やペット等に悪影響を及ぼす。
また、畳の製造に際し、縫製用糸の他に釘やタッカー等の金具類を使用している場合には、水に濡れる環境下では、錆やカビの発生、滑りや金具浮きによる思わぬ怪我等の問題も生じ得る。
【0007】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、水に濡れる環境での使用が可能な高い防水性と撥水性及び速乾性を有し、生活環境や人体、ペット等に優しく、安全で衛生的かつ保温性、機械的強度に優れた畳を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するべく本発明の請求項1による畳は、合成樹脂繊維を使用して織った畳表と、合成樹脂製の中空構造の板材によって構成される表面材と、合成樹脂製の発泡材によって構成される芯材と、合成樹脂製の中空構造の板材によって構成される裏面材とを備えた畳床と、合成樹脂繊維によって構成される縫製糸と、を具備し、前記畳表は、非吸水性中実構造の熱可塑性ポリオレフィン樹脂発泡糸を緯糸とし、熱可塑性ポリオレフィン繊維を経糸として織られていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2による畳は、請求項1記載の畳において、表面材と裏面材は、ポリプロピレン製のプラスチック段ボールによって構成されており、芯材は、ポリスチレンフォームによって形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項3による畳は、請求項1または2記載の畳において、畳床の表面を畳表でくるんだ時の畳表の対向する少なくとも一方の端辺部には、畳表と同一の材料で構成される短冊状の補足材が宛がわれていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項4による畳は、請求項1〜3のいずれかに記載の畳において、表面材、芯材、裏面材間の接合と、畳表、畳床間の接合ないし畳表、畳床、補足材間の接合は、縫製糸のみを使用した縫製加工によって実行されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項5による畳は、請求項1〜4のいずれかに記載の畳において、畳表と畳床ないし畳表と畳床と補足材とを接合している縫製糸は、ビニロン製の畳糸であり、畳の裏面側に現れる縫製糸の縫目の方向が畳の対向する2辺に直交する方向に沿うように配置されていることを特徴とするものである。
【0013】
そして、前記手段によって以下のような作用が得られる。まず、畳表、畳床、縫製糸のすべてを合成樹脂材料によって構成したことにより、稲藁を使用した通常の畳に比べてダニ等の発生が少なく、腐りにくく耐久性、耐水性、耐薬品性が向上する。
また、畳床を構成する表面材と裏面材に合成樹脂製の中空構造の板材を適用したことにより、畳床の断熱性、遮音性の向上と軽量化とが図られる。
【0014】
また、畳表を非吸水性中実構造の熱可塑性ポリオレフィン樹脂発泡糸を緯糸とし、熱可塑性ポリオレフィン繊維を経糸として織ることによって成形したことにより、耐摩耗性に優れ、毛羽立ちにくくなる。また、撥水効果が高く、低吸水性なので水洗いが可能となり、高い防水性能が発揮される。
従って、浴室の洗い場等、水に濡れる頻度の高い使用環境での使用が可能で、畳表としての風合もそのまま維持することができる。
【0015】
また、表面材と裏面材をポリプロピレン製のプラスチック段ボールによって構成した場合には、耐衝撃性に優れ、厚さを変えることで剛性ないし柔軟性を調節することができる。また、プラスチック段ボールは、ヒンジ特性に優れているため、90°程度折り曲げても繰り返し折り曲げて使用することが可能である。
また、芯材をポリスチレンフォームによって形成した場合には、所定の機械的強度と保温性が得られる。また、ポリスチレンフォームは燃焼性が良く、3秒以内で炎が消えて残塵が出ないため、廃棄特性にも優れている。
【0016】
また、畳床の表面をくるんだ時の畳表の対向する少なくとも一方の端辺部に畳表と同一材料の短冊状の補足材を設けた場合には、畳表の織目の乱れを防いできれいに仕上がるため製品の付加価値を高めることができる。
また、表面材、芯材、裏面材間の接合と、畳表、畳床間の接合ないし畳表、畳床、補足材間の接合を縫製糸のみを使用した縫製加工によって実行した場合には、接着剤を使用した場合に問題となるアレルギー物質であるホルムアルデヒド、キシレン、トルエン等の放出が防止され、焼却時の有毒ガスの発生も防止される。
【0017】
また、釘やタッカー等の金具類を使用した場合に問題となる錆やカビの発生と、滑りや金具浮きによる思わぬ怪我の発生も防止される。また、通常の畳と同様の縫製加工を施すことで、畳の持つ風合も維持される。
また、畳表と畳床ないし畳表と畳床と補足材とを接合している縫製糸をビニロン製の畳糸にし、畳の裏面側に現れる縫製糸の縫目の方向が畳の対向する2辺に直交する方向に沿うように配置した場合には、ビニロンの有する適度の吸湿性と前記縫製糸の縫目の方向によって、畳の裏面側でのグリップ性が向上し、畳の滑りによる思わぬ怪我の発生が防止される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の畳によると、高い防水性と撥水性と速乾性とが得られるから浴室の洗い場等、水に濡れる頻度の高い環境での使用が可能になる。また、接着剤や金具類を使用しない縫製糸のみによる縫製加工を採用したことにより、生活環境や人体、ペット等に優しく、安全性が向上し、畳の風合がそのまま維持できる。更にプラスチック段ボールの採用によって、加工性が向上し、畳床の耐衝撃性、断熱性及び遮音性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、畳の使用状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す図で、畳の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す図で、畳の底面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す図で、畳の側面図である。
【図5】本発明の実施の形態を示す図で、畳床の積層構造を示す断面図(a)と、畳床の縫製工程を示す斜視図(b)である。
【図6】本発明の実施の形態を示す図で、畳表の折曲げ工程を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態を示す図で、補足材の製作工程を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態を示す図で、畳表と畳床の縫製工程を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態を示す図で、畳床の一端辺に畳表と補足材を縫製した状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態を示す図で、縫製が終了した畳のコーナ部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜10に示す実施の形態を例にとって本発明を実施するための形態を説明する。
図示の実施の形態に係る畳1は、畳縁を有しない琉球畳と呼ばれている縁なし畳であり、釘やタッカー等の金具類を使用しない独自の縫製技術による機械縫いによって製作されている。
畳1のサイズは、半畳タイプで基準畳材のサイズ(90×100cm)よりも幾分小さめのサイズで、厚さは5〜6cmである。また畳1の重量は約4kgで、子供やお年寄りでも持ち運びができる重量になっている。
【0021】
また、畳1の構造は、合成樹脂繊維を使用して織った畳表3と、合成樹脂製の中空構造の板材によって構成される表面材5と、合成樹脂製の発泡材によって構成される芯材7と合成樹脂製の中空構造の板材によって構成される裏面材9とを備えた畳床11と、合成樹脂繊維によって構成される縫製糸S1、S2と、を具備することによって基本的に構成されている。
【0022】
そして、前記畳表3は、非吸水性中実構造の熱可塑性ポリオレフィン樹脂発泡糸を緯糸13とし、熱可塑性ポリオレフィン繊維を経糸15として織られている。
また、本実施の形態では、前記組成の東レペフ加工品株式会社製造の商品名「敷楽」を2枚重ねしたものを畳表3に使用している。
【0023】
前記構造の畳表3は、厚さが約2mmで、耐摩耗性に優れ、毛羽立ちしにくいという特性を有している。また、撥水効果が高く低吸水性なので、水洗いが可能であるから図1に示す浴室Rの洗い場17等、水に濡れる頻度の高い場所でも使用できるだけの高い防水性を兼ね備えている。
また、前記畳表3には、通常の畳表にも採用されている1つの配19につき2本の経糸15を通す普通目織りが一例として採用されているため畳表の有する風合もそのまま維持されている。
【0024】
表面材5は、厚さ約5mmのポリプロピレン製のプラスチック段ボールによって一例として構成されている。そして、本実施の形態ではプラスチック段ボールの空気層21が畳床11の一辺部23に沿う方向で一例として配置されている。
前記表面材5は、剛性が高く、耐衝撃性に優れている。また、耐熱性、耐水性、耐薬品性に優れ、優れたヒンジ特性によって90°程度折り曲げても繰り返し折り曲げて使用できる構造になっている。また、空気層21の存在によって断熱性、遮音性に優れ、畳床11の軽量化にも寄与できる構造になっている。
【0025】
芯材7は、厚さ約50mmのポリスチレンフォーム板によって一例として構成されている。前記芯材7は、JISA9511に規定されている試験法で、密度27.0kg/m3 以上を記録しており、圧縮強さが30N/cm2 、曲げ強さが約40N/cm2 である。また、ポリスチレンフォームは燃焼性が良く、3秒以内で炎が消えて残塵が出ないため、廃棄特性にも優れている。
【0026】
裏面材9は、厚さ約2mmのポリプロピレン製のプラスチック段ボールによって一例として構成されている。そして、本実施の形態ではプラスチック段ボールの空気層27が畳床11の他辺部25に沿う方向で一例として配置されている。
前記裏面材9は、柔軟性と耐衝撃性に優れている。また、耐熱性、耐水性、耐薬品性に優れ、優れたヒンジ特性によって90°程度折り曲げても繰り返し折り曲げて使用できる構造になっている。更にプラスチック段ボールは、水、ゴミ、埃等の侵入を防ぎ、洗浄が行えるため衛生的であり、カビ等の発生を防止することができる。
【0027】
前記畳床11を構成する表面材5と芯材7と裏面材9間の接合は、縫製糸S1を使用した縫製加工によって実行されている。
前記縫製糸S1としては、ポリプロピレン製のスプリットヤーン畳糸が一例として使用でき、当該スプリットヤーン畳糸は、撚り数変動率が10%以下、引張り強さが120N以上、伸び率が6.5%以上、引掛り強さが150N以上、引張り強さ変動率が10%以下であり、畳糸の品質と安全性の規格であるH16−0102に適合している。
【0028】
一方、前記畳表3と前記畳床11との接合ないし前記畳表3と前記畳床11と次に述べる補足材29との接合は、縫製糸S2を使用した縫製加工によって実行されている。
前記縫製糸S2としては、ビニロン畳糸が一例として使用でき、本実施の形態では、ユニチカ株式会社製造の#9000のビニロン畳糸を使用している。
【0029】
前記ビニロン畳糸は、撚り数変動率が10%以下、引張り強さが138N以上、定荷重時伸び率が6.5%以上、引掛り強さが177N以上、引張り強さ変動率が7%以下であり、畳糸の品質と安全性の規格であるH16−0101に適合している。
また、ビニロンは、適度の吸湿性を有するため、畳1の滑りを防止する役割を有しており、綿に似た風合を有しているため、畳1の風合を損ねることもない。
【0030】
また、本実施の形態では、前記畳床11の表面を前記畳表3でくるんだ時の畳表3の対向する一方の端辺部31に補足材29が設けられている。
前記補足材29は、前記畳表3と同一の材料で構成される短冊状の部材である。本実施の形態では、図7に示すように前記畳表3を幅約80mmに裁断して、その片面に幅約50mmの透明なポリエチレン製のカットテープ35を貼設することによって補足材29を構成した。
【0031】
そして、前記補足材29は、畳表3の織目の乱れを防いできれいに仕上がるため、製品の付加価値を高めるという役割を有している。
また、前記畳表3や補足材29の裁断面に少量の速乾性接着剤Aを塗布することも可能である。このようにした場合には、畳表3や補足材29の裁断面のほつれを防止し、強い表面強度を発生させて耐久力を増大させることができる。
【0032】
次に、このようにして構成される本発明の畳1の製造方法を、(1)畳床の縫製工程と、(2)畳表の折曲げ工程と、(3)補足材の製作工程と、(4)畳表と畳床の縫製工程とに分けて説明する。
(1)畳床の縫製工程(図5(a)、(b)参照)
畳床の縫製工程は、前記表面材5と芯材7と裏面材9とを積層し、前記縫製糸S1を使用してこれらを一体に接合する工程である。
【0033】
具体的には、図5(a)に示すように畳1の表面側に表面材5、中間に芯材7、裏面側に裏面材9が配置されるように重ね合わせる。また、前記表面材5と裏面材9は、上述したようにプラスチック段ボールの互いの空気層21、27が直交するように配置する。
畳床11の縫製には図示しない縫製機を使用し、図5(b)に示すように前記縫製糸S1を一例として約45mmのピッチ幅W1で縫い付け、所定寸法に裁断して畳床11を得る。
【0034】
(2)畳表の折曲げ工程(図5、6参照)
畳表の折曲げ工程は、畳縁を有しない琉球畳を製作する場合に必要になる工程で、畳表3の端辺部31を所定の角度に折り曲げる工程である。
畳表3の端辺部31を折り曲げる場合にはバインダーと呼ばれている折曲げ機33を使用する。例えば、畳表3の端辺部31を90°折り曲げる場合には、折曲げ機33の曲げ角度を130°〜140°に設定して約3分間、曲げ圧力を加える。
【0035】
(3)補足材の製作工程(図7参照)
補足材の製作工程は、上述した補足材29を製作する工程である。
具体的には、前記畳表3と同一の材料を使用して幅寸法が約80mmになるように裁断する。また、補足材29の長さ寸法は、畳床11の宛がう一辺部23ないし他辺部25の長さに合わせて裁断する。
次に、前記裁断した補足材29の片面に幅寸法が約50mmの透明のポリエチレン製のカットテープ35を貼設し、必要に応じて補足材29の裁断面に少量の速乾性接着剤Aを塗布する。
【0036】
(4)畳表と畳床の縫製工程(図3、8、9、10参照)
畳表と畳床の縫製工程は、前記畳床11の表面側に畳表3を被せて畳表3の端辺部31を畳床11の裏面側に回り込ませて、前記縫製糸S2を使用して前記補足材29とともに一体に接合する工程である。
【0037】
具体的には、図8に示すように縫製機37を使用し、釘やタッカー等の金具類を使用しないで縫製糸S2のみによって前記畳床11の表面側を前記畳表3によってくるみ、畳床11の対向する一端辺の側面に前記補足材29を宛がった状態で縫製する。
また、本実施の形態では図3に示すように畳1の裏面側に現れる縫製糸S2の縫目の方向が畳1の対向する2辺に直交する方向に沿うように配置されており、前記縫製糸S2のピッチ幅W2は一例として約30mmに設定されている。
【0038】
そして、このような縫製糸S2の縫製形態を採用することによって図1に示すような水に濡れる頻度の高い環境で使用した場合でも縫製糸S2によるグリップ力が発揮されて畳1の滑りを防止して思わぬ事故の発生を防止している。
また、このようにして縫製されて完成した畳1は、図10に示すように通常の畳と変わらない風合を有しており、洗剤等を使用して汚れを洗い流すことができ、洗浄後、浴槽39の縁や浴室Rの壁に立て掛けておけば、短時間で乾燥した状態になり、翌日には使用可能な状態になる。
【0039】
以上、本実施の形態によると、次のような効果を奏することができる。
まず、本実施の形態に係る畳1によると、高い防水性と撥水性と速乾性を備えており、接着等を行わずに縫製のみで製造されていることにより、水が各部材の内部に染み込むことなく、且つスムーズに外部に排出されるから浴室Rの洗い場17等、水に濡れる頻度の高い環境でも安心して使用することができる。
また、接着剤や金具類を使用しない縫製糸S1、S2のみによる縫製加工によって畳1を製造しているから、アレルギー物質の放出や錆またはカビの発生が防止でき、人体やペットにも優しい環境に配慮した安全な畳1を提供することができる。
また、畳床11の表面材5と裏面材9の材料として、プラスチック段ボールを適用したことによって、加工性が向上し、畳床11の耐衝撃性、断熱性及び遮音性が向上し、軽量で持ち運びが容易な畳1を提供できるようになる。
【0040】
尚、本発明の畳1は、前記の実施の形態のものに限定されず、その発明の要旨内での設計変更が可能である。例えば、畳1のサイズは上述した半畳タイプに限らず、1畳タイプでも良いし、半畳以下のコンパクトなサイズであっても構わない。また、前記実施の形態で採用した補足材29を省略して畳表3と畳床11のみからなる畳1とすることも可能であるし、補足材29を畳床11の対向する他の2辺に設けたり、対向する2方向のすべての辺に設けることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の畳は、水洗いが可能な防水性を有する畳の製造、使用分野等で利用でき、特に浴室の洗い場等、水に濡れる環境で使用したい場合に利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0042】
1 畳
3 畳表
5 表面材
7 芯材
9 裏面材
11 畳床
13 緯糸
15 経糸
17 洗い場
19 配
21 空気層
23 一辺部
25 他辺部
27 空気層
29 補足材
31 端辺部
33 折曲げ機
35 カットテープ
37 縫製機
39 浴槽
S1 縫製糸
S2 縫製糸
R 浴室
W1 ピッチ幅
W2 ピッチ幅
A 速乾性接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂繊維を使用して織った畳表と、合成樹脂製の中空構造の板材によって構成される表面材と、合成樹脂製の発泡材によって構成される芯材と、合成樹脂製の中空構造の板材によって構成される裏面材とを備えた畳床と、合成樹脂繊維によって構成される縫製糸と、を具備し、
前記畳表は、非吸水性中実構造の熱可塑性ポリオレフィン樹脂発泡糸を緯糸とし、熱可塑性ポリオレフィン繊維を経糸として織られていることを特徴とする畳。
【請求項2】
表面材と裏面材は、ポリプロピレン製のプラスチック段ボールによって構成されており、芯材は、ポリスチレンフォームによって形成されていることを特徴とする請求項1記載の畳。
【請求項3】
畳床の表面を畳表でくるんだ時の畳表の対向する少なくとも一方の端辺部には、畳表と同一の材料で構成される短冊状の補足材が宛がわれていることを特徴とする請求項1または2記載の畳。
【請求項4】
表面材、芯材、裏面材間の接合と、畳表、畳床間の接合ないし畳表、畳床、補足材間の接合は、縫製糸のみを使用した縫製加工によって実行されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の畳。
【請求項5】
畳表と畳床ないし畳表と畳床と補足材とを接合している縫製糸は、ビニロン製の畳糸であり、畳の裏面側に現れる縫製糸の縫目の方向が畳の対向する2辺に直交する方向に沿うように配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の畳。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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