説明

疎水的相互作用クロマトグラフィー膜、及びその使用方法

複合材料、及びそれを疎水的相互作用クロマトグラフィー(HIC)に用いる方法を本明細書に記載する。ある実施形態において、複合材料は、支持部材を貫いて伸びている複数の孔を含む支持部材、並びに複数のマクロ孔及び複数のペンダント疎水性部分を含むマクロ多孔性架橋ゲルを含む。ある実施形態において、複合材料は、生物学的分子又は生物学的イオンの分離又は精製において用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容が全文において参照によって本明細書に組み入れられる、2009年11月13日出願の米国仮特許出願第61/261,009号の優先権の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
疎水性は、非極性の化合物と、水などの極性の環境との間の反発と一般に定義される。疎水的な「相互作用」は、本質的に、疎水性の(即ち、非極性の)化合物を排除し、疎水性化合物の凝集を強いる極性の環境の傾向の物理的現れである。疎水的相互作用の現象は、疎水性タンパク質を、固体支持体に固定された疎水性官能基と強制的に凝集させ、又は吸着的に結合させる塩の水溶液を用いることによって、タンパク質の分離に応用することができる。吸着されたタンパク質は塩濃度が低下すると溶出によって吸着剤から放出され、疎水的相互作用を促進していた環境を効果的に解き放ち、タンパク質と支持体との間の疎水的相互作用の喪失をもたらす。タンパク質は、疎水性の小さい順に支持体から放出される(即ち、最も疎水性の低いタンパク質が最初に放出される)。疎水的相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、HIC溶出ステップの間に塩を用いるという点で、逆相クロマトグラフィーと区別され得る。
【0003】
本質的に、疎水的相互作用クロマトグラフィーは、生体分子の疎水性の吸着剤との疎水的相互作用の相対的強度に基づいて生体分子を分離するための方法である。一般に、HICは選択性の技術である。HICは、典型的にタンパク質の三次構造内に埋まっているが、ポリペプチド鎖が不正確にフォールディングされ、又は損傷されている場合に(例えば、プロテアーゼによって)曝される非極性基によって影響を受けるほどの感度を有する。この感度は、正確にフォールディングされたタンパク質、又は非損傷のタンパク質を他の形態から分離するのに有用であり得る。
【0004】
疎水的相互作用クロマトグラフィーは、非常に穏やかな分離及び精製の方法でもある。部分的に塩の安定化の影響及びやはりマトリックスとのかなり弱い相互作用のために、精製される生体分子に対する構造的損傷は最小である。それにもかかわらず、精製された材料の回収率は高いことが多い。このように、HICは塩析の非変性性の特徴をクロマトグラフィーの正確さと組み合わせて、優れた活性の回収率をもたらす。
【0005】
したがって、HICは用途の広い液体クロマトグラフィー技術であり、しばしばイオン交換クロマトグラフィー及びゲルろ過と組み合わせて、あらゆる精製の戦略の有望な構成要素として見られるべきである。HICはまた、タンパク質の立体構造の変化を検出する上での分析用のツールとしての使用を見出している。HICは最小の試料の前処理を必要とし、そのため伝統的なタンパク質沈澱技術と組み合わせて効果的に用いることができる。タンパク質のHIC吸着剤に対する結合は、中程度に高い濃度の抗カオトロピック塩によって促進されるが、高カオトロピック塩もタンパク質の構造に対して安定化性の影響を有する。
【0006】
ほとんどの市販のHICマトリックスは樹脂の形態におけるものである。樹脂は様々な生物学的分子に対して高い結合能を示すが、樹脂を用いたHICプロセスは、汚れ及び低いフラックスの難点がある。これとは対照的に、膜の形態のクロマトグラフィーマトリックスは、その樹脂の対応物に比べてフラックスの増大を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、膜のプロセスの利点と組み合わせた樹脂の分離能力を実現するために、高結合性能力の膜ベースのHICマトリックスに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施形態において、本発明は、
支持部材を貫いて伸びている複数の孔を含む支持部材、
複数のマクロ孔及び複数のペンダント疎水性部分を含むマクロ多孔性架橋ゲル、
を含み、マクロ多孔性架橋ゲルが支持部材の孔中に位置し、マクロ孔の平均孔直径が孔の平均孔直径より小さい複合材料に関する。
【0009】
ある実施形態において、本発明は、マクロ多孔性架橋ゲルが、アクリルアミド、N-アクリルオキシスクシンイミド、ブチルアクリレート若しくはメタクリレート、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルアクリレート若しくはメタクリレート、2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルアクリレート若しくはメタクリレート、N-[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、n-ドデシルアクリレート、n-ドデシルメタクリレート、フェニルアクリレート若しくはメタクリレート、ドデシルメタクリルアミド、エチルアクリレート若しくはメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート若しくはメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート若しくはメタクリレート、グリシジルアクリレート若しくはメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート若しくはメタクリレート、n-ヘプチルアクリレート若しくはメタクリレート、1-ヘキサデシルアクリレート若しくはメタクリレート、メタクリルアミド、メタクリル酸無水物、オクタデシルアクリルアミド、オクチルアクリルアミド、オクチルアクリレート若しくはメタクリレート、プロピルアクリレート若しくはメタクリレート、N-イソ-プロピルアクリルアミド、ステアリルアクリレート若しくはメタクリレート、スチレン、アルキル化スチレン誘導体、4-ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、N-ビニル-2-ピロリジノン(VP)、アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アルギン酸、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムハロゲン化物、ジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物、4-ビニル-N-メチルピリジニウムハロゲン化物、ビニルベンジル-N-トリメチルアンモニウムハロゲン化物、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、又は2-(2-メトキシ)エチルアクリレート若しくはメタクリレートに由来するポリマーを含む、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0010】
ある実施形態において、本発明は、ペンダント疎水性部分が、エチル、ブチル、ヘキシル、2-エチルヘキシル、ドデシル、ステアリル、ヒドロキシプロピル、フェニル、エーテル、又はポリ(プロピレングリコール)基である、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0011】
ある実施形態において、本発明は、複合材料が膜である、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0012】
ある実施形態において、本発明は、物質を含む第1の液体を前述の複合材料のいずれか一つと接触させ、それによって物質の一部分を複合材料上に吸着又は吸収させるステップを含む方法に関する。
【0013】
ある実施形態において、本発明は、第2の液体を複合材料上に吸着又は吸収されている物質と接触させ、それによって物質の一部分を複合材料から放出するステップをさらに含む、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0014】
ある実施形態において、本発明は、マクロ多孔性ゲルが物質に特異的な相互作用を示す、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0015】
ある実施形態において、本発明は、特異的な相互作用が疎水的相互作用である、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0016】
ある実施形態において、本発明は、物質が生物学的分子又は生物学的イオンである、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0017】
ある実施形態において、本発明は、生物学的分子又は生物学的イオンが、アルブミン、リゾチーム、ウイルス、細胞、ヒト及び動物起源のγ-グロブリン、ヒト及び動物起源の免疫グロブリン、組換え及び天然起源のタンパク質、合成及び天然起源のポリペプチド、インターロイキン-2及びその受容体、酵素、モノクローナル抗体、トリプシン及びその阻害物質、チトクロームC、ミオグロビン、ミオグロブリン、α-キモトリプシノーゲン、組換えヒトインターロイキン、組換え融合タンパク質、核酸由来生成物、合成及び天然起源のDNA、並びに合成及び天然起源のRNAからなる群から選択される、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0018】
ある実施形態において、本発明は、第1の液体がバッファーである、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0019】
ある実施形態において、本発明は、第2の液体が塩溶液である、前述の方法のいずれか一つに関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(i)透過水(permeate)中のリゾチーム濃度(C)対最初の試料中のリゾチーム濃度(C0)の比(C/C0)と、(ii)様々なペンダント疎水性部分を有する三つのHIC膜に対するリゾチーム結合能(mg/mL)との間の関係を示す図である。
【図2】(i)透過水中のリゾチーム濃度(C)対最初の試料中のリゾチーム濃度(C0)の比(C/C0)と、(ii)ペンダントのブチル部分及び様々なレベルのゲル-マトリックス疎水性を有する三つのHIC膜に対するリゾチーム結合能(mg/mL)との間の関係を示す図である。
【図3】二つの市販のHIC樹脂(TOSOH Bioscience);二つの市販のHIC膜(Butyl Sepharose 4 Fast Flow、及びSartobind Phenyl);並びに本発明の二つのHIC膜(ブチル及びフェニル)の、リゾチーム及びmAbに対する結合能(mg/mLゲル/膜) (10%ブレークスルー)を示す表である。
【図4】疎水的相互作用クロマトグラフィーによる、ミオグロビン(1)、リゾチーム(2)、及びα-キモトリプシノーゲンA(3)の分離を示す図である。実施例5において記載する通りに調製したポリ(AAm-co-VP-co-BuMe)膜上で、示す通りに(灰色線、右、y軸)バッファーAからバッファーBへの勾配のバッファー交換を用いてタンパク質を溶出した。表2からの個々の捕獲/溶出データに基づいてピークを指定する。
【図5−1】本発明の様々な複合材料及び様々な性能特徴をまとめた表である。この表中、EGDMAはエチレングリコールジメタクリレートであり、EGPhAはエチレングリコールフェニルエーテルアクリレートである。
【図5−2】図5−1の続きである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
概要
ある実施形態において、本発明は、多孔性支持部材内にマクロ多孔性ゲルを含む複合材料に関する。複合材料は、吸着/脱着のプロセスによって、タンパク質及び他の生体分子などの疎水性の溶質の除去又は精製及び回収に適する。ある実施形態において、本発明は、製造するのが単純で安価な複合材料に関する。
【0022】
ある実施形態において、本発明は、表面の疎水性における違いに基づく生体分子の精製又は分離に関する。ある実施形態において、生体分子は単一のステップにおいて選択的に精製され得る。ある実施形態において、複合材料は、市販のHIC樹脂又は膜に比べて並外れた性能を実証する。ある実施形態において、複合材料は、市販のHIC樹脂で達成することができるよりもより高速の流速で類似の性能を実証する。
【0023】
例示の複合材料の様々な特徴
マクロ多孔性ゲルの組成
ある実施形態において、マクロ多孔性ゲルは、一つ又は複数の重合可能なモノマーの、一つ又は複数の架橋剤とのin situでの反応によって形成することができる。ある実施形態において、マクロ多孔性ゲルは、一つ又は複数の架橋性ポリマーの、一つ又は複数の架橋剤との反応によって形成することができる。ある実施形態において、適切なサイズのマクロ孔を有する架橋されたゲルを形成することができる。
【0024】
マクロ多孔性ゲルは疎水性モノマーを含むように選択されてよい。このようなモノマーのコポリマーを用いることができる。疎水的相互作用によって孔を通過する液体から分子を捕獲するのに、疎水性モノマーを含むマクロ多孔性ゲルを用いることができる。ある実施形態において、マクロ多孔性架橋ゲルは、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アルカリール、及びアラルコキシ基からなる群から選択される複数のペンダント疎水性部分を含む。ある実施形態において、アルキル部分は炭素原子を1〜20個有していてよく、このタイプの基にヒドロキシ又はハロゲンが結合していてよい。ある実施形態において、アルキル基は分枝していてよい。ある実施形態において、分枝のアルキル官能基は炭素原子3個から8個を有していてよい。ある実施形態において、分枝のアルキル官能基は、sec-炭素、tert-炭素、又はneo-炭素原子を含んでいてよい。ある実施形態において、分枝のアルキル官能基は、sec-ブチル、tert-ブチル、tert-ペンチル、tert-ヘキシル、及びネオペンチルからなる群から選択されてよい。ある実施形態において、アルキル基は炭素原子3個から8個を有していてよい。ある実施形態において、アルキル基は8個を超える炭素原子を有していてよい。ある実施形態において、アルキル基は8個を超える炭素原子を有していてよく、複合材料はやはり効果的な疎水的相互作用クロマトグラフィー媒体であってよい。この結果は、C8より長いペンダント基を有する材料はHIC媒体として有効でなく、逆相クロマトグラフィー媒体としてのみ機能することを意味する少なくとも一つの参考文献に反する。Hydrophobic Interaction Chromatography: Principles and Methods; Amersham Pharmacia Biotech AB: Uppsala、Sweden、2000年。ある実施形態において、アリール基は、一つ若しくは複数のニトロ基、ハロゲン原子、又はアルキル基で場合により置換されているフェニル又はナフチルであってよい。ある実施形態において、ペンダント疎水性部分は、炭素原子2〜20個を含んでいてよく、一つ若しくは複数のハロゲン原子、ニトロ、又はヒドロキシ基で置換されていてよい、アルカノイル又はアロイルなどのアシル基であってよい。ある実施形態において、ペンダント疎水性部分は、ベンゾイル、クロロベンゾイル、ナフトイル、又はニトロベンゾイルなどのアロイル基であってよい。
【0025】
ある実施形態において、適切な重合可能なモノマーには、ビニル基又はアクリル基を含むモノマーが含まれる。ある実施形態において、重合可能なモノマーは、アクリルアミド、N-アクリルオキシスクシンイミド、ブチルアクリレート及びメタクリレート、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルアクリレート及びメタクリレート、N-[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、n-ドデシルアクリレート、n-ドデシルメタクリレート、フェニルアクリレート及びメタクリレート、ドデシルメタクリルアミド、エチルアクリレート及びメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート及びメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート又はメタクリレート、n-ヘプチルアクリレート及びメタクリレート、1-ヘキサデシルアクリレート及びメタクリレート、メタクリルアミド、メタクリル酸無水物、オクタデシルアクリルアミド、オクチルアクリルアミド、オクチルメタクリレート、プロピルアクリレート及びメタクリレート、N-イソ-プロピルアクリルアミド、ステアリルアクリレート及びメタクリレート、スチレン、アルキル化スチレン誘導体、4-ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、並びにN-ビニル-2-ピロリジノン(VP)からなる群から選択されてよい。ある実施形態において、重合可能なモノマーは、ブチル、ヘキシル、フェニル、エーテル、又はポリ(プロピレングリコール)側鎖を含むことができる。ある実施形態において、反応性の官能基を含む様々な他のビニル又はアクリルモノマーを用いることができ、このような反応性のモノマーは疎水性部分で引き続き官能基化されてよい。
【0026】
ある実施形態において、適切なモノマーを、その分配係数に基づいて選択することができる。分配係数(logP値)は、二つの不混和性の溶媒間の非イオン化化合物の平衡濃度の比である。換言すると、係数は、二つの溶媒間での化合物の異なる溶解度の推定値である。ある実施形態において、本発明の複合材料の調製において用いられるモノマーの一部分は疎水性である。例えば、エチルアクリレートは約1.2の推定logP(オクタノール-水)を有し、フェニルアクリレートは約1.9の推定logP(オクタノール-水)を有し、ラウリルメタクリレートは約6.7の推定logP(オクタノール-水)を有する。ある実施形態において、本発明の複合材料はlogP値(オクタノール-水)が約1から約7であるモノマーに由来するポリマーを含むことができる。ある実施形態において、第1のモノマーを第2のモノマーと共重合することができ、この場合第1のモノマーは約1から約7のlogP値(オクタノール-水)を有し、第2のモノマーは約-1から約1のlogP値(オクタノール-水)を有する。ある実施形態において、第1のモノマー対第2のモノマーのモル比は約0.01:1から約1:1であってよい。ある実施形態において、第1のモノマー対第2のモノマーのモル比は約0.05:1から約0.5:1であってよい。ある実施形態において、第1のモノマー対第2のモノマーのモル比は約0.1:1、約0.15:1、又は約0.20:1であってよい。例示のモノマー及びその推定logP値(オクタノール-水)値を表1に提供する。
【表1】

【0027】
ある実施形態において、モノマーは反応性の官能基を含むことができる。ある実施形態において、モノマーの反応性の官能基は、あらゆる様々な特異的なリガンドと反応することができる。ある実施形態において、モノマーの反応性の官能基は、疎水性部分と反応することができる。ある実施形態において、この技術により、リガンド密度又は孔サイズを部分的又は完全にコントロールできるようになる。ある実施形態において、疎水性部分でのモノマーの官能基化により、結果として生じるゲルにさらなる疎水性の特徴が授けられる。ある実施形態において、ゲル形成性の反応の前にモノマーの反応性の官能基を官能基化してもよい。ある実施形態において、ゲル形成性の反応に引き続きモノマーの反応性の官能基を官能基化してもよい。例えば、モノマーがグリシジルメタクリレートである場合、モノマーのエポキシド官能基をブチルアミンと反応させて、結果として生じるポリマーにブチル官能基を導入してもよい。ある実施形態において、グリシジルメタクリレート、アクリルアミドオキシム、アクリル酸無水物、アゼライン酸無水物、マレイン酸無水物、ヒドラジド、アクリロイルクロリド、2-ブロモエチルメタクリレート、又はビニルメチルケトンなどのモノマーをさらに官能基化してもよい。ある実施形態において、この技術を用いる場合、適切なモノマーはそのlogP値によって同定されるのではなく、官能基化後に結果として生じたポリマーの全体の疎水性によって同定される。
【0028】
ある実施形態において、架橋剤は、少なくとも二つのビニル基又はアクリル基を含む化合物であってよい。ある実施形態において、架橋剤は、ビスアクリルアミド酢酸、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)プロパン、ブタンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,10-ドデカンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,4-ジアクリロイルピペラジン、ジアリルフタレート、2,2-ジメチルプロパンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、N,N-ドデカメチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、グリセロールトリメタクリレート、グリセロールトリス(アクリルオキシプロピル)エーテル、N,N'-ヘキサメチレンビスアクリルアミド、N,N'-オクタメチレンビスアクリルアミド、1,5-ペンタンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,3-フェニレンジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート及びジメタクリレート、ポリ(プロピレン)ジアクリレート及びジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジアクリレート又はジメタクリレート、ジアリルジグリコールカーボネート、ポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、N,N'-ジメタクリロイルピペラジン、ジビニルグリコール、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、1,1,1-トリメチロールエタントリメタクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリアクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM-M)、ビニルアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、アルコキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、芳香族ジメタクリレート、カプロラクトン修飾ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート及びジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及びジメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ジ-トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタアクリレートエステル、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン修飾ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、N,N',-メチレンビスアクリルアミド、ジエチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジビニルベンゼン、並びにポリ(エチレングリコール)ジアクリレートからなる群から選択されてよい。
【0029】
ある実施形態において、結果として生じるゲルのマクロ孔のサイズは、架橋剤の濃度が増大するにつれて増大する。例えば、架橋剤対モノマー(一つ又は複数)のモル比は、約5:95から約70:30までの範囲、約10:90から約50:50までの範囲、又は約15:85から約45:55までの範囲であってよい。ある実施形態において、架橋剤対モノマー(一つ又は複数)のモル比は、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、又は約25%であってよい。
【0030】
ある実施形態において、複合材料の特質は、マクロ多孔性ゲルの平均孔直径を調節することによって調整することができる。マクロ孔のサイズは、一般に、架橋剤の性質及び濃度、ゲルが形成される溶媒又は溶媒(複数)の性質、あらゆる重合開始剤又は触媒の量、並びに、存在する場合は、ポロジェン(porogen)の性質及び濃度に依存する。ある実施形態において、複合材料は、狭い孔サイズ分布を有することがある。
【0031】
多孔性支持部材
いくつかの実施形態において、多孔性支持部材はポリマー材料からできており、約0.1μmと約25μmとの間の平均サイズの孔及び約40%と約90%との間の気孔率(volume porosity)を含む。多くの多孔性の基材又は膜を支持部材として用いることができるが、支持体はポリマー材料であってよい。ある実施形態において、支持体は、低費用で入手できるポリオレフィンであってよい。ある実施形態において、ポリオレフィンはポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、又はポリ(ビニリデンジフルオリド)であってよい。熱誘起相分離(TIPS)、又は非溶媒誘起相分離によって作られた拡張されたポリオレフィン膜が言及される。ある実施形態において、支持部材は、セルロース又はその誘導体などの天然ポリマーから作られていてよい。ある実施形態において、適切な支持体には、ポリエーテルスルホン膜、ポリ(テトラフルオロエチレン)膜、ナイロン膜、セルロースエステル膜、又はろ紙が含まれる。
【0032】
ある実施形態において、多孔性支持体は、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)などの織又は不織の線維状材料から構成される。このような繊維状の織又は不織の支持部材は、ある場合には最高約75μmの、TIPS支持部材を超える孔サイズを有することができる。支持部材における孔が大きいほど、マクロ多孔性ゲルにおいてより大きなマクロ孔を有する複合材料の形成が可能になる。セラミックベースの支持体など、非ポリマー支持部材も用いることができる。多孔性の支持部材は様々な形状及びサイズをとることができる。
【0033】
いくつかの実施形態において、支持部材は、厚さ約10μmから約2000μmまで、約10μmから約1000μmまで、又は約10μmから約500μmまでの膜の形態である。他の実施形態において、複数の多孔性の支持ユニットを、例えば、スタッキングによって組み合わせることができる。一実施形態において、例えば、膜2枚から10枚までの多孔性の支持部材のスタックを構築した後に、多孔性の支持体の空隙内にマクロ多孔性ゲルを形成してもよい。別の一実施形態において、単一の支持部材のユニットを用いて複合材料の膜を形成し、次いでこれを使用前に積み重ねる。
【0034】
マクロ多孔性ゲルと支持部材との間の関係
マクロ多孔性ゲルは支持部材内に固定されていてよい。「固定されている」の語は、ゲルが支持部材の孔内に保持されることを意味することが意図されるが、この語はゲルが支持部材の孔に化学的に結合していることを意味することに必ずしも限定されない。ゲルは、支持部材に対して実際に化学的にグラフティングされることなく、支持部材の構造エレメントに絡ませることによって、又は構造エレメントと撚り合わせることによって、ゲル上に課せられた物理的束縛によって保持され得るが、いくつかの実施形態において、マクロ多孔性ゲルは支持部材の孔の表面に対してグラフティングされてもよい。
【0035】
マクロ孔は支持部材の孔を占めるゲル中に存在するので、ゲルのマクロ孔は支持部材の孔よりも小さくなければならない。その結果、複合材料の流動特性及び分離特性はマクロ多孔性ゲルの特徴に依存するが、支持部材中に存在する孔のサイズはゲルのマクロ孔のサイズより大きいという条件で、多孔性の支持部材の特徴とはほとんど無関係である。複合材料の多孔性は、支持部材を、その多孔性が、モノマー又はポリマー、架橋剤、反応溶媒、及び用いる場合はポロジェンの性質及び量によって部分的又は完全に決定されるゲルで充填することによってあつらえることができる。支持部材の孔は同じマクロ多孔性ゲル材料で充填されるので、複合材料の特質において高度な一貫性が達成され、特定の支持部材に対してこれらの性質は、完全ではなくとも部分的に、マクロ多孔性ゲルの特質によって決定される。最終結果は、本発明が複合材料のマクロ孔サイズ、透過性、及び表面積にわたる制御を提供することである。
【0036】
複合材料中のマクロ孔の数は、支持材料中の孔の数によって決定されない。マクロ孔は支持部材中の孔より小さいので、複合材料中のマクロ孔の数は支持部材中の孔の数よりはるかに多くなり得る。上記で言及した通り、支持材料の孔サイズの、マクロ多孔性ゲルの孔サイズに対する影響は概ね無視できる。例外は、支持部材が孔サイズ及び孔サイズ分布において大きな相違を有する場合、並びに非常に小さな孔サイズを有し、孔サイズの分布の範囲が狭いマクロ多孔性ゲルが探求される場合に見られる。このような場合において、支持部材の孔サイズ分布における大きな変動が、マクロ多孔性ゲルの孔サイズ分布にわずかに反映される。ある実施形態において、孔サイズ範囲が幾分狭い支持部材を、このような状況において用いることができる。
【0037】
複合材料の調製
ある実施形態において、本発明の複合材料は一段階法によって調製することができる。ある実施形態において、これらの方法は、水、又は他の環境的に温和な溶媒を反応溶媒として用いることができる。ある実施形態において、方法は迅速なことがあり、したがってより容易な製造プロセスがもたらされることがある。
【0038】
ある実施形態において、本発明の複合材料は、一つ又は複数のモノマー、一つ又は複数の架橋剤、一つ又は複数の開始剤、及び場合により一つ又は複数のポロジェンを、一つ又は複数の適切な溶媒中で混合することによって調製することができる。ある実施形態において、結果として生じる混合物は均一のことがある。ある実施形態において、混合物は不均一のことがある。ある実施形態において、混合物を、次いで、適切な多孔性の支持体中に導入してよく、そこでゲル形成反応が起こることがある。
【0039】
ある実施形態において、ゲル形成反応に適する溶媒には、1,3-ブタンジオール、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル、N,N-ジメチルアセトアミド、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテルアセテート(DPMA)、水、ジオキサン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、アセトニトリル、トルエン、キシレン、ヘキサン、N-メチルアセトアミド、プロパノール、メタノール、又はこれらの混合物が含まれる。ある実施形態において、より高い沸点を有する溶媒は引火性を低減し、製造を促進するので、このような溶媒を用いてもよい。ある実施形態において、毒性の低い溶媒を用いてもよく、そのためこれらは使用後容易に廃棄することができる。このような溶媒の一例はジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)である。
【0040】
ある実施形態において、ポロジェンを反応混合物に加えてもよく、この場合ポロジェンは孔産生添加剤(pore-generating additives)と広く記載することができる。ある実施形態において、ポロジェンは、熱力学的に劣る溶媒及び抽出可能なポリマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)、界面活性剤、及び塩からなる群から選択することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、ゲル形成反応の成分は室温で自発的に反応してマクロ多孔性ゲルを形成する。他の実施形態において、ゲル形成反応は開始されなければならない。ある実施形態において、ゲル形成反応は、熱活性化又はUV照射によるなど、あらゆる知られている方法によって開始することができる。ある実施形態において、反応は、光開始剤の存在下UV照射によって開始することができる。ある実施形態において、光開始剤は、2-ヒドロキシ-1-[4-2(ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン(Irgacure(登録商標)2959)、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)、ベンゾフェノン、ベンゾイン及びベンゾインエーテル、例えば、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインメチルエーテル、ジアルコキシアセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、並びにα-ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステルからなる群から選択されてよい。熱活性化は熱開始剤の添加を必要とすることがある。ある実施形態において、熱開始剤は、1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO(登録商標)触媒88)、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及び過酸化ベンゾイルからなる群から選択されてよい。
【0042】
ある実施形態において、ゲル形成反応はUV照射によって開始することができる。ある実施形態において、光開始剤をゲル形成反応の反応物に加えることができ、モノマー、架橋剤、及び光開始剤の混合物を含む支持部材を、約250nmから約400nmまでの波長のUV照射に数秒から数時間の期間曝露してもよい。ある実施形態において、モノマー、架橋剤、及び光開始剤の混合物を含む支持部材を、約350nmのUV照射に数秒から数時間の期間曝露してもよい。ある実施形態において、モノマー、架橋剤、及び光開始剤の混合物を含む支持部材を、約350nmのUV照射に約10分間曝露してもよい。ある実施形態において、可視波長の光を用いて重合化を開始することができる。ある実施形態において、エネルギーが支持部材を通って伝わるために、支持部材は用いられる波長の吸収性が低くなければならない。
【0043】
ある実施形態において、重合化を行う速度は、マクロ多孔性ゲルにおいて得られるマクロ孔のサイズに対して影響を及ぼすことがある。ある実施形態において、ゲル中の架橋剤の濃度を十分な濃度まで増大すると、ゲルの構成成分は凝集を開始して高ポリマー密度の領域、及びポリマーがほとんどなく、又は全くない領域を生成し、この後者の領域を本明細書において「マクロ孔」と呼ぶ。このメカニズムは重合化の速度によって影響を受ける。ある実施形態において、重合化は、光重合において低光強度が用いられる場合などにゆっくりと行われることがある。この場合、ゲルの構成成分の凝集は起こるのにより時間がかかり、ゲル中の孔はより大型となる。ある実施形態において、重合化は、高強度の光源を用いた場合などに高速で行われることがある。この場合、凝集に利用できる時間があまりないことがあり、より小型の孔が生成される。
【0044】
ある実施形態において、複合材料が調製された後は、複合材料を様々な溶媒で洗浄してあらゆる未反応の成分、及び支持体内に固定されないあらゆるポリマー又はオリゴマーを除去することがある。ある実施形態において、複合材料の洗浄に適する溶媒には、水、アセトン、メタノール、エタノール、及びDMFが含まれる。
【0045】
複合材料の例示的使用
ある実施形態において、本発明は、液体が、前述の複合材料のいずれか一つのマクロ多孔性架橋ゲルのマクロ孔を通過する方法に関する。分取のための条件を仕立てることによって、同じサイズの物質に対しても良好な選択性を得ることができる。
【0046】
ある実施形態において、本発明は、生体分子が複合材料と有する特異的な相互作用に基づいて、溶液からタンパク質又は免疫グロブリンなどの生体分子を分離する方法に関する。ある実施形態において、本発明は、タンパク質又は免疫グロブリンなどの生体分子を精製する方法に関する。ある実施形態において、本発明は、高選択性でタンパク質又はモノクローナル抗体を精製する方法に関する。ある実施形態において、本発明は、生物学的分子又は生物学的イオンがその三次構造又は四次構造を保持し、これらの構造は生物学的活性を保持する上で重要であり得る方法に関する。ある実施形態において、分離又は精製され得る生物学的分子又は生物学的イオンには、アルブミン、例えば、ウシ血清アルブミン、及びリゾチームなどのタンパク質が含まれる。ある実施形態において、分離され得る生物学的分子又は生物学的イオンには、ヒト及び動物起源のγ-グロブリン、ヒト及び動物起源のIgG、IgM、又はIgEなどの免疫グロブリン、タンパク質Aを含めた組換え及び天然起源のタンパク質、フィトクローム、好塩性プロテアーゼ、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)デポリメラーゼ、アクレシン-A(aculaecin-A)アシラーゼ、合成及び天然起源のポリペプチド、インターロイキン-2及びその受容体、ホスファターゼ、デヒドロゲナーゼ、リボヌクレアーゼAなどの酵素、モノクローナル抗体、抗体のフラグメント、トリプシン及びその阻害物質、様々な起源のアルブミン、例えば、α-ラクトアルブミン、ヒト血清アルブミン、鶏卵アルブミン、オボアルブミンなど、チトクロームC、免疫グロブリン、ミオグロブリン、組換えヒトインターロイキン、組換え融合タンパク質、核酸由来の生成物、合成及び天然起源のDNA及びRNA、DNAプラスミド、レクチン、α-キモトリプシノーゲン、並びに小分子を含めた天然生成物が含まれる。ある実施形態において、本発明は、変異体、不純物、又はこれらに付随する汚染物から抗体フラグメントを回収する方法に関する。ある実施形態において、生体分子の分離又は精製は、マクロ多孔性架橋ゲルのマクロ孔において実質的に生じることがある。
【0047】
ある実施形態において、本発明は、物質を可逆的に吸着する方法に関する。ある実施形態において、吸着された物質は、マクロ多孔性ゲルを通って流れる液体を変えることによって放出され得る。ある実施形態において、物質の取り込み及び放出は、マクロ多孔性架橋ゲルの組成における変動によって制御され得る。
【0048】
ある実施形態において、本発明は、物質を緩衝溶液から複合材料に適用することができる方法に関する。ある実施形態において、バッファーはリン酸ナトリウムである。ある実施形態において、バッファーの濃度は、約25mM、約50mM、約0.1mM、又は約0.2mMであってよい。ある実施形態において、緩衝溶液のpHは、約4、約5、約6、約7、約8、又は約9である。
【0049】
ある実施形態において、本発明は、様々な濃度の塩の水溶液を用いて物質を溶出することができる方法に関する。ある実施形態において、塩は、(NH4)2SO4、K2SO4、グリシン-HCl、リン酸塩、クエン酸、クエン酸ナトリウム、NaCl、Na2SO4、NaPO4、酢酸ナトリウム、及びNH4Clからなる群から選択される。ある実施形態において、塩濃度は、約3.0Mから約0.2Mまでの範囲であってよい。ある実施形態において、塩濃度は、約3.0M、約2.8M、約2.6M、約2.4M、約2.2M、約2.0M、約1.8M、約1.6M、約1.4M、約1.2M、約1.0M、約0.8M、約0.6M、約0.4M、又は約0.2Mであってよい。
【0050】
ある実施形態において、本発明は、高結合能を示す方法に関する。ある実施形態において、本発明は、10%のブレークスルーで、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、又は約50mg/mLの結合能を示す方法に関する。
【0051】
ある実施形態において、本発明の方法は、従来のHIC樹脂の使用で報告されている結合能に匹敵し、又はそれより高い結合能をもたらす。しかし、本発明の方法は、対流のため、HIC樹脂を用いる方法において達成された流速よりも著しく高い流速で実施されてよい。ある実施形態において、本発明の方法は、HIC樹脂を用いる方法に付随する、問題の圧力低下に悩むことはない。ある実施形態において、本発明の方法は、市販のHIC膜に対して報告されている結合能よりも高い結合能も可能にする(例えば、図3を参照されたい)。
【0052】
ある実施形態において、結合の間の流速(第1の流速)は、約0.1mL/分から約10mL/分までであってよい。ある実施形態において、溶出の間の流速(第2の流速)は、約0.1mL/分から約10mL/分までであってよい。ある実施形態において、第1の流速又は第2の流速は、約0.1mL/分、約0.5mL/分、約1.0mL/分、約1.5mL/分、約2.0mL/分、約2.5mL/分、約3.0mL/分、約4.0mL/分、約4.5mL/分、約5.0mL/分、約5.5mL/分、約6.0mL/分、約6.5mL/分、約7.0mL/分、約7.5mL/分、約8.0mL/分、約8.5mL/分、約9.0mL/分、約9.5mL/分、又は約10.0mL/分であってよい。ある実施形態において、第1の流速又は第2の流速は約0.5mL/分から約5.0mL/分までであってよい。
【0053】
水フラックス、QH2O (kg/m2h)は以下の等式を用いて計算され:
【数1】

【0054】
式中、m1は水試料を入れた容器の質量であり、m2は容器の質量であり、Aは活性膜の表面積(38.5cm2)であり、tは時間である。
【0055】
膜の流体力学Darcy透過率、κ(m2)は、以下の等式から計算することができ:
【数2】

【0056】
式中、ηは水の粘度(Pa・s)であり、δは膜の厚さ(m)であり、dH2Oは水の密度(kg/m3)であり、ΔP (Pa)はフラックスQH2Oが測定された圧力差である。
【0057】
膜の流体力学Darcy透過率は、多孔性ゲル中の孔の平均流体力学半径を推定するのに用いることができる。流体力学半径rhは、孔の体積対孔の浸水表面積の比と定義され、J. Happel及びH. Brenner、Low Reynolds Number Hydrodynamics、Noordhof Int. Publ., Leyden、1973年、393頁による書籍中に示されるCarman-Kozenyの等式から得ることができ:
【数3】

【0058】
式中、KはKozeny定数であり、εは膜多孔率である。Kozeny定数Κは、多孔率0.5<ε<0.7に対しておよそ5である。膜の多孔率は、ゲルポリマーの体積を差し引くことによって支持体の多孔率から推定することができる。
【0059】
ある実施形態において、溶出する塩溶液(第2の溶液、又は第3若しくはそれ以降の溶液)に添加剤を加えてもよい。ある実施形態において、低濃度(例えば、約1M、約0.5M、又は約0.2M未満)の添加剤を加える。ある実施形態において、添加剤は、水混和性のアルコール、洗剤、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、又はカオトロピック塩の水溶液である。ある実施形態において、いかなる特定の理論によって拘泥しようとするものではないが、添加剤は水の表面張力を低減することがあり、したがって疎水的相互作用を弱めてリガンド-溶質複合体のその後の解離をもたらす。
【0060】
ある実施形態において、本発明の方法は、硫酸アンモニウムで沈澱され、又はイオン交換クロマトグラフィーの間に高い塩濃度において溶出された材料の精製におけるその後のステップであってよい。ある実施形態において、本発明の方法を、アフィニティークロマトグラフィーのステップの後に用いてもよい。ある実施形態において、本発明の方法は、増殖因子(例えば、IGF-1)などの生体分子の正確にフォールディングされた形態を、リフォールディングのプロセスにおいて産生され得る、ミスフォールディングされたが依然として安定な形態から分離する中間の精製ステップであってよい。
【0061】
ある実施形態において、本発明は、生体分子の精製の一段階法に関する。ある実施形態において、本発明は、一般に用いられる従来の充填カラムクロマトグラフィー技術よりも、スケールアップが容易であり、労働集約性が低く、迅速であり、資本費用の安い、生体分子を分離する方法に関する。
【0062】
例示的複合材料
ある実施形態において、本発明は、
支持部材を貫いて伸びている複数の孔を含む支持部材、
複数のマクロ孔及び複数のペンダント疎水性部分を含むマクロ多孔性架橋ゲル、
を含み、マクロ多孔性架橋ゲルが支持部材の孔中に位置し、マクロ孔の平均孔直径が孔の平均孔直径より小さい複合材料に関する。
【0063】
ある実施形態において、本発明は、マクロ多孔性架橋ゲルが、アクリルアミド、N-アクリルオキシスクシンイミド、ブチルアクリレート若しくはメタクリレート、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルアクリレート若しくはメタクリレート、2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルアクリレート若しくはメタクリレート、N-[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、n-ドデシルアクリレート、n-ドデシルメタクリレート、フェニルアクリレート若しくはメタクリレート、ドデシルメタクリルアミド、エチルアクリレート若しくはメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート若しくはメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート若しくはメタクリレート、グリシジルアクリレート若しくはメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート若しくはメタクリレート、n-ヘプチルアクリレート若しくはメタクリレート、1-ヘキサデシルアクリレート若しくはメタクリレート、メタクリルアミド、メタクリル酸無水物、オクタデシルアクリルアミド、オクチルアクリルアミド、オクチルアクリレート若しくはメタクリレート、プロピルアクリレート若しくはメタクリレート、N-イソ-プロピルアクリルアミド、ステアリルアクリレート若しくはメタクリレート、スチレン、アルキル化スチレン誘導体、4-ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、N-ビニル-2-ピロリジノン(VP)、アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アルギン酸、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムハロゲン化物、ジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物、4-ビニル-N-メチルピリジニウムハロゲン化物、ビニルベンジル-N-トリメチルアンモニウムハロゲン化物、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、又は2-(2-メトキシ)エチルアクリレート若しくはメタクリレートに由来するポリマーを含む、前述の複合材料のいずれか一つに関する。ある実施形態において、ハロゲン化合物は塩化物、臭化物、又はヨウ化物である。
【0064】
ある実施形態において、本発明は、マクロ多孔性架橋ゲルが、アクリルアミド、ブチルアクリレート若しくはメタクリレート、n-ドデシルアクリレート、n-ドデシルメタクリレート、フェニルアクリレート若しくはメタクリレート、エチルアクリレート若しくはメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート若しくはメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート若しくはメタクリレート、n-ヘプチルアクリレート若しくはメタクリレート、1-ヘキサデシルアクリレート若しくはメタクリレート、オクチルアクリレート若しくはメタクリレート、プロピルアクリレート若しくはメタクリレート、ステアリルアクリレート若しくはメタクリレート、又はN-ビニル-2-ピロリジノン(VP)に由来するポリマーを含む、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0065】
ある実施形態において、本発明は、ペンダント疎水性部分が、エチル、ブチル、ヘキシル、2-エチルヘキシル、ドデシル、ステアリル、ヒドロキシプロピル、フェニル、エーテル、又はポリ(プロピレングリコール)基である、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0066】
ある実施形態において、本発明は、マクロ多孔性架橋ゲルが、約1から約7までのlogP値(オクタノール-水)を有するモノマーに由来するポリマーを含む、前述の複合材料のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、マクロ多孔性架橋ゲルが、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、又は約7のlogP値(オクタノール-水)を有するモノマーに由来するポリマーを含む、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0067】
ある実施形態において、本発明は、マクロ多孔性架橋ゲルが第1のモノマー及び第2のモノマーに由来するポリマーを含み、第1のモノマーが約1から約7までのlogP値(オクタノール-水)を有し、第2のモノマーが約-1から約1までのlogP値(オクタノール-水)を有する、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0068】
ある実施形態において、本発明は、第1のモノマー対第2のモノマーのモル比が約0.01:1から約1:1である、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0069】
ある実施形態において、本発明は、第1のモノマー対第2のモノマーのモル比が約0.05:1から約0.5:1である、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0070】
ある実施形態において、本発明は、第1のモノマー対第2のモノマーのモル比が約0.1:1、約0.15:1、又は約0.20:1である、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0071】
ある実施形態において、本発明は、マクロ多孔性架橋ゲルがマクロ孔を含み、マクロ多孔性架橋ゲルが約30%から約80%までの気孔率を有し、マクロ孔が約10nmから約3000nmまでの平均孔直径を有する、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0072】
ある実施形態において、本発明は、マクロ多孔性架橋ゲルがマクロ孔を含み、マクロ多孔性架橋ゲルが約40%から約70%までの気孔率を有する、前述の複合材料のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、マクロ多孔性架橋ゲルがマクロ孔を含み、マクロ多孔性架橋ゲルが約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、又は約70%の気孔率を有する、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0073】
ある実施形態において、本発明は、マクロ孔の平均孔直径が約25nmから約1500nmである、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0074】
ある実施形態において、本発明は、マクロ孔の平均孔直径が約50nmから約1000nmである、前述の複合材料のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、マクロ孔の平均孔直径が約50nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nm、又は約700nmである、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0075】
ある実施形態において、本発明は、マクロ孔の平均孔直径が約300nmから約400nmまでである、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0076】
ある実施形態において、本発明は、複合材料が膜である、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0077】
ある実施形態において、本発明は、支持部材が空隙容量を有し、支持部材の空隙容量が多孔性架橋ゲルで実質的に充填される、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0078】
ある実施形態において、本発明は、支持部材がポリマーを含み、支持部材の厚さが約10μmから約500μmであり、支持部材の孔が約0.1μmから約25μmまでの平均孔直径を有し、支持部材が約40%から約90%までの気孔率を有する、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0079】
ある実施形態において、本発明は、支持部材の厚さが約10μmから約500μmである、前述の複合材料のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、支持部材の厚さが約30μmから約300μmである、前述の複合材料のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、支持部材の厚さが約30μm、約50μm、約100μm、約150μm、約200μm、約250μm、又は約300μmである、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0080】
ある実施形態において、本発明は、支持部材の孔が約0.1μmから約25μmの平均孔直径を有する、前述の複合材料のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、支持部材の孔が約0.5μmから約15μmの平均孔直径を有する、前述の複合材料のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、支持部材の孔が約0.5μm、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、又は約15μmの平均孔直径を有する、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0081】
ある実施形態において、本発明は、支持部材が約40%から約90%までの気孔率を有する、前述の複合材料のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、支持部材が約50%から約80%までの気孔率を有する、前述の複合材料のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、支持部材が約50%、約60%、約70%、又は約80%の気孔率を有する、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0082】
ある実施形態において、本発明は、支持部材がポリオレフィンを含む、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0083】
ある実施形態において、本発明は、支持部材が、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエステル、セルロース、及びセルロース誘導体からなる群から選択されるポリマー材料を含む、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0084】
ある実施形態において、本発明は、支持部材が、ポリマーを含む繊維状の織布又は不織布を含み、支持部材の厚さが約10μmから約2000μmまでであり、支持部材の孔が約0.1μmから約25μmの平均孔直径を有し、支持部材が約40%から約90%までの気孔率を有する、前述の複合材料のいずれか一つに関する。
【0085】
例示的方法
ある実施形態において、本発明は、第1の流速で、物質を含む第1の液体を前述の複合材料のいずれか一つと接触させ、それによって物質の一部分を複合材料上に吸着又は吸収させるステップを含む方法に関する。
【0086】
ある実施形態において、本発明は、第1の液体の液体流路が支持部材の孔に対して実質的に垂直である、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0087】
ある実施形態において、本発明は、第1の液体の液体流路が複合材料のマクロ孔を実質的に通る、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0088】
ある実施形態において、本発明は、第2の流速で、第2の液体を複合材料上に吸着又は吸収されている物質と接触させ、それによって物質の一部分を複合材料から放出するステップをさらに含む、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0089】
ある実施形態において、本発明は、第2の液体の液体流路が支持部材の孔に対して実質的に垂直である、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0090】
ある実施形態において、本発明は、第2の液体の液体流路が複合材料のマクロ孔を実質的に通る、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0091】
ある実施形態において、本発明は、マクロ多孔性ゲルが物質に特異的な相互作用を示す、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0092】
ある実施形態において、本発明は、特異的な相互作用が疎水的相互作用である、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0093】
ある実施形態において、本発明は、物質が生物学的分子又は生物学的イオンである、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0094】
ある実施形態において、本発明は、生物学的分子又は生物学的イオンが、アルブミン、リゾチーム、ウイルス、細胞、ヒト及び動物起源のγ-グロブリン、ヒト及び動物起源の免疫グロブリン、組換え及び天然起源のタンパク質、合成及び天然起源のポリペプチド、インターロイキン-2及びその受容体、酵素、モノクローナル抗体、トリプシン及びその阻害物質、チトクロームC、ミオグロビン、ミオグロブリン、α-キモトリプシノーゲン、組換えヒトインターロイキン、組換え融合タンパク質、核酸由来生成物、合成及び天然起源のDNA、並びに合成及び天然起源のRNAからなる群から選択される、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0095】
ある実施形態において、本発明は、生物学的分子又は生物学的イオンが、リゾチーム、hIgG、ミオグロビン、ヒト血清アルブミン、ダイズトリプシン阻害物質、トランスファリング(transferring)、エノラーゼ、オボアルブミン、リボヌクレアーゼ、卵トリプシン阻害物質、チトクロームc、アネキシンV、又はα-キモトリプシノーゲンである、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0096】
ある実施形態において、本発明は、第1の液体がバッファーである、前述の方法のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、第1の液体中のバッファーの濃度が約25mM、約50mM、約0.1M、又は約0.2Mである、前述の方法のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、第1の液体中のpHが約4、約5、約6、約7、約8、又は約9である、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0097】
ある実施形態において、本発明は、第2の液体が塩溶液である、前述の方法のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、塩が、(NH4)2SO4、K2SO4、グリシン-HCl、リン酸塩、クエン酸、クエン酸ナトリウム、NaCl、Na2SO4、NaPO4、酢酸ナトリウム、及びNH4Clからなる群から選択される、前述の方法のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、第2の液体中の塩濃度が約3.0Mから約0.2Mまでである、前述の方法のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、塩濃度が約3.0M、約2.8M、約2.6M、約2.4M、約2.2M、約2.0M、約1.8M、約1.6M、約1.4M、約1.2M、約1.0M、約0.8M、約0.6M、約0.4M、又は約0.2Mである、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0098】
ある実施形態において、本発明は、第1の流速が約0.1mL/分から約10mL/分までである、前述の方法のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、第2の流速が約0.1mL/分から約10mL/分までである、前述の方法のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、第1の流速又は第2の流速が約0.1mL/分、約0.5mL/分、約1.0mL/分、約1.5mL/分、約2.0mL/分、約2.5mL/分、約3.0mL/分、約4.0mL/分、約4.5mL/分、約5.0mL/分、約5.5mL/分、約6.0mL/分、約6.5mL/分、約7.0mL/分、約7.5mL/分、約8.0mL/分、約8.5mL/分、約9.0mL/分、約9.5mL/分、又は約10.0mL/分である、前述の方法のいずれか一つに関する。ある実施形態において、本発明は、第1の流速又は第2の流速が約0.5mL/分から約5.0mL/分までである、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0099】
ある実施形態において、本発明は、第3の液体を複合材料上に吸着又は吸収されている物質と接触させ、それによって物質の一部分を複合材料から放出するステップをさらに含み、第3の液体は塩溶液であり、第3の液体の塩濃度は第2の液体の塩濃度より低い、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0100】
ある実施形態において、本発明は、
モノマー、光開始剤、架橋剤、及び溶媒を合わせ、それによってモノマー混合物を形成するステップと、
支持部材をモノマー混合物と接触させ、それによって修飾された支持部材を形成するステップであって、支持部材は支持部材を貫いて伸びている複数の孔を含み、孔の平均孔直径は約0.1μmから約25μmであるステップと、
修飾された支持部材をポリマーシートで覆い、それによって被覆支持部材を形成するステップと、
被覆支持部材にある期間照射し、それによって複合材料を形成するステップと
を含む、複合材料を作成する方法に関する。
【0101】
ある実施形態において、本発明は、複合材料を第2の溶媒で洗浄するステップをさらに含む、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0102】
ある実施形態において、本発明は、モノマーが、アクリルアミド、N-アクリルオキシスクシンイミド、ブチルアクリレート若しくはメタクリレート、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルアクリレート若しくはメタクリレート、N-[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、n-ドデシルアクリレート、n-ドデシルメタクリレート、フェニルアクリレート若しくはメタクリレート、ドデシルメタクリルアミド、エチルアクリレート若しくはメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート若しくはメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート若しくはメタクリレート、n-ヘプチルアクリレート若しくはメタクリレート、1-ヘキサデシルアクリレート若しくはメタクリレート、メタクリルアミド、メタクリル酸無水物、オクタデシルアクリルアミド、オクチルアクリルアミド、オクチルアクリレート若しくはメタクリレート、プロピルアクリレート若しくはメタクリレート、N-イソ-プロピルアクリルアミド、ステアリルアクリレート若しくはメタクリレート、スチレン、アルキル化スチレン誘導体、4-ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、N-ビニル-2-ピロリジノン(VP)、アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アルギン酸、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムハロゲン化物、ジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物、4-ビニル-N-メチルピリジニウムハロゲン化物、ビニルベンジル-N-トリメチルアンモニウムハロゲン化物、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、又は2-(2-メトキシ)エチルアクリレート若しくはメタクリレートを含む、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0103】
ある実施形態において、本発明は、光開始剤が、モノマー混合物中にモノマーの全重量に対して約0.4%(w/w)から約2.5%(w/w)までの量存在する、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0104】
ある実施形態において、本発明は、光開始剤が、モノマー混合物中にモノマーの全重量に対して約0.6%、約0.8%、約1.0%、約1.2%、又は約1.4%(w/w)存在する、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0105】
ある実施形態において、本発明は、光開始剤が、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイン及びベンゾインエーテル、ジアルコキシアセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、及びα-ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステルからなる群から選択される、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0106】
ある実施形態において、本発明は、溶媒が、1,3-ブタンジオール、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル、N,N-ジメチルアセトアミド、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテルアセテート(DPMA)、水、ジオキサン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、アセトニトリル、トルエン、キシレン、ヘキサン、N-メチルアセトアミド、プロパノール、又はメタノールである、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0107】
ある実施形態において、本発明は、モノマー又は架橋剤又は両方が、溶媒中に約10%から約45%(w/w)存在する、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0108】
ある実施形態において、本発明は、モノマー又は架橋剤又は両方が、溶媒中に約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、又は約40% (w/w)の量存在する、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0109】
ある実施形態において、本発明は、架橋剤が、ビスアクリルアミド酢酸、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)プロパン、ブタンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,10-ドデカンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,4-ジアクリロイルピペラジン、ジアリルフタレート、2,2-ジメチルプロパンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、N,N-ドデカメチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、グリセロールトリメタクリレート、グリセロールトリス(アクリルオキシプロピル)エーテル、N,N'-ヘキサメチレンビスアクリルアミド、N,N'-オクタメチレンビスアクリルアミド、1,5-ペンタンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,3-フェニレンジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート及びジメタクリレート、ポリ(プロピレン)ジアクリレート及びジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジアクリレート又はジメタクリレート、ジアリルジグリコールカーボネート、ポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、N,N'-ジメタクリロイルピペラジン、ジビニルグリコール、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、1,1,1-トリメチロールエタントリメタクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリアクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM-M)、ビニルアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、アルコキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、芳香族ジメタクリレート、カプロラクトン修飾ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート及びジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及びジメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ジ-トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタアクリレートエステル、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン修飾ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、N,N',-メチレンビスアクリルアミド、ジエチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジビニルベンゼン、並びにポリ(エチレングリコール)ジアクリレートからなる群から選択される、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0110】
ある実施形態において、本発明は、架橋剤のモノマーに対するモル%が約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、又は約25%である、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0111】
ある実施形態において、本発明は、被覆支持部材が約350nmで照射される、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0112】
ある実施形態において、本発明は、期間が約1分、約5分、約10分、約15分、約20分、約30分、約45分、又は約1時間である、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0113】
ある実施形態において、本発明は、複合材料がマクロ孔を含む、前述の方法のいずれか一つに関する。
【0114】
ある実施形態において、本発明は、マクロ孔の平均孔直径が孔の平均孔直径より小さい、前述の方法のいずれか一つに関する。
【実施例】
【0115】
本発明を説明するために以下の実施例を提供する。しかし、各実施例において与える特定の詳細は説明の目的で選択されているものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならないことが理解されよう。一般に、実施例は、記載がない場合は同様の条件下で行われたものである。
【0116】
(実施例1)
一般的手順
複合材料の調製
複合材料を、以下の一般的手順にしたがって光重合を用いて、以下に記載するモノマー溶液及び支持体TR0671 B50(Hollingsworth & Vose)から調製した。秤量した支持部材をポリ(エチレン)(PE)シート上に配置し、モノマー又はポリマーの溶液を試料に適用した。試料を引き続き別のPEシートで覆い、ゴムローラーを、そのサンドイッチ状物(sandwich)の上を動かして過剰の溶液を除去した。10分の期間、350nmの波長で照射することによって開始させた重合化により、試料中のin situゲル形成を誘導した。結果として得られた複合材料をRO水で徹底的に洗浄し、0.1N塩酸中に24時間配置して残留のエポキシ基を加水分解した(エポキシドの加水分解のステップは以下の実施例の各々において行ったが、このステップは省略することができる)。膜を24時間水中に貯蔵し、次いで室温で乾燥させた。支持体中に形成したゲルの量を測定するために、試料を乾燥器中50℃で乾燥させて一定の量にした。ゲルの組込みによる質量増加を、乾燥ゲルの付加質量(add-on mass)対多孔性支持体の開始の質量の比として計算した。
【0117】
複合材料のフラックス及び結合能の分析
複合材料を通した水フラックス測定を、試料を水で洗浄した後に行った。標準手順として、直径7.8cmのディスクの形態の試料を、厚さ3〜5mmの焼結格子上に載せ、制御された圧力で圧縮窒素が供給されるセルに組み立てた。セルに脱イオン水を充填し、100kPaの圧力を加えた。特定した時間に複合材料を通過した水を予め秤量した容器中に収集し、秤量した。実験は全て、透過水出口で室温及び大気圧で行った。測定は各々3回以上繰返して±5%の再現性を達成した。
【0118】
リゾチーム及びhIgGでタンパク質吸着実験を行った。吸着ステップにおいて、直径25mmの単層膜ディスクの形態の複合材料の試料を、デッドエンドセル(dead-end cell)中で厚さ2mmの焼結格子上に載せた。
【0119】
蠕動ポンプ(モデルP-1、Pharmacia Biotech)によって、フィード(feed)溶液をセルに供給した。透過水出口を多波長UV検出器(Waters490)に接続した。検出器のプロッター出力をPCインターフェース付きデジタルマルチメーターに、及びマルチメーターを通してPCに接続した。検出器の出力を毎分、±1mVの精度で記録した。
【0120】
セル及び膜の試料を、pH7.0の様々な濃度の硫酸アンモニウム塩を含む20mMリン酸ナトリウムバッファーを通すことによって、280nmのUV検出器において安定なベースラインが確立されるまでプライミングした。次のステップにおいて、セルを空にし、フィード、即ち対応するバッファー中のリゾチーム又はhIgG溶液で再充填した。全てのバッファー、リゾチーム、及びhIgG溶液を、孔サイズ0.2μmの酢酸セルロース膜フィルターを通してろ過した。検出器出力のPC記録と共に、ポンプのスイッチを直ちに入れた。透過試料を収集し、秤量して流速を確かめた。
【0121】
(実施例2)
ブチル官能基化した複合材料
グリシジルメタクリレート(GMA)モノマー、ブチルメタクリレート(BuMe)コモノマー、及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM-M)架橋剤を、それぞれ1:0.15:0.2のモル比で、1,3-ブタンジオール22.4wt%、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル54.3wt%、及びN,N'-ジメチルアセトアミド23.3wt%を含む溶媒混合物中に溶解することによって、23wt%の溶液を調製した。モノマーの質量に対して1wt%の量の光開始剤Irgacure(登録商標)2959を加えた。
【0122】
上記に記載したものと同様のいくつかの試料を調製し、平均して複合材料の質量増加を推定した。基材は本処理においてもとの重量の180%の増加であった。
【0123】
本方法によって生成した複合材料は、100kPaで1200〜1400kg/m2hの範囲の水フラックスを有していた。複合材料のリゾチーム(LYS)及びhIgGの吸着の特徴を、上記に記載した通り単層膜ディスクに対する一般的手順を用いて試験した。本実験において用いたリゾチームの濃度は、pH7.0の2.0M(NH4)2SO4を含む20mMリン酸ナトリウムバッファー中0.45g/Lであり、hIgGはpH7.0の1.5N(NH4)2SO4を含む20mMリン酸ナトリウムバッファー中0.5g/Lであった。流速は10ベッド容積(BV)/分であった。透過水(膜ブレークスルー)中LYSの濃度対LYSの動的結合能(mg/mL)のプロットを図1に示す。複合材料は、10%ブレークスルーで対応して、34mg/mL及び41mg/mLのLYS及びhIgGの結合能を有していた。20mMリン酸ナトリウムバッファーで脱着をもたらした。280nmで分光光度法測定するために溶出分画を収集した。溶出試料の体積及び吸収から回収率を推定した。結果は、LYS及びhIgGの回収率はそれぞれ90%及び75%であることを示していた。
【0124】
(実施例3)
フェニル官能基化した複合材料
グリシジルメタクリレート(GMA)モノマー、フェニルアクリレート(PhA)コモノマー、及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM-M)架橋剤を、それぞれ1:0.1:0.13のモル比で、1,3-ブタンジオール22.3wt%、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル55.0wt%、及びN,N'-ジメチルアセトアミド22.7wt%を含む溶媒混合物中に溶解することによって、32wt%の溶液を調製した。モノマーの質量に対して1wt%の量の光開始剤Irgacure(登録商標)2959を加えた。
【0125】
上記に記載したものと同様のいくつかの試料を調製し、平均して複合材料の質量増加を推定した。基材は本処理においてもとの重量の170%の増加であった。
【0126】
本方法によって生成した複合材料は、100kPaで1200〜1300kg/m2hの範囲の水フラックスを有していた。複合材料のリゾチーム(LYS)及びhIgGの吸着の特徴を、上記に記載した通り(実施例2)単層膜ディスクに対する一般的手順を用いて試験した。本実験において用いたタンパク質の濃度は及び流速は実施例2に記載したものと同じであった。透過水中LYSの濃度対LYS動的結合能(mg/mL)のプロットを図1に示す。複合材料は、10%ブレークスルーで、それぞれ24mg/mL及び28.2mg/mLのLYS及びhIgGの結合能を示した。LYSの回収率は85〜90%の範囲、及びhIgGでは70%であることが見出された。
【0127】
(実施例4)
ドデシル官能基化した複合材料
グリシジルメタクリレート(GMA)モノマー、ラウリルメタクリレート(LMA、ドデシルメタクリレート)コモノマー、及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM-M)架橋剤を、それぞれ1:0.1:0.23のモル比で、1,3-ブタンジオール24.3wt%、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル53.6wt%、及びN,N'-ジメチルアセトアミド22.1wt%を含む溶媒混合物中に溶解することによって、25.7wt%の溶液を調製した。モノマーの質量に対して1wt%の量の光開始剤Irgacure(登録商標)2959を加えた。
【0128】
上記に記載したものと同様のいくつかの試料を調製し、平均して複合材料の質量増加を推定した。基材は本処理においてもとの重量の180%の増加であった。
【0129】
本方法によって生成した複合材料は、100kPaで1200〜1300kg/m2hの範囲の水フラックスを有していた。透過水中LYSの濃度対LYS動的結合能(mg/mL)のプロットを図1に示す。複合材料は、10%ブレークスルーで、それぞれ41mg/mL及び49.4mg/mLのLYS及びhIgG結合能を示した。LYS及びhIgGの回収率はそれぞれ80〜85%及び70%であった。
【0130】
(実施例5)
ビニルピロリジン及びアクリルアミドコモノマーとのブチル官能基化した複合材料
1-ビニル-2-ピロリジノン(VP)モノマー、アクリルアミド(AAm)コモノマー-1、ブチルメタクリレート(BuMe)コモノマー-2、及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM-M)架橋剤を、それぞれ1:0.1:0.14:0.27のモル比で、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテルアセテート(DPMA)99wt%及びDI水1wt%を含む溶媒混合物中に溶解することによって、19.0wt%の溶液を調製した。モノマーの質量に対して1wt%の量の光開始剤Irgacure(登録商標)2959を加えた。
【0131】
上記に記載したものと同様のいくつかの試料を調製し、平均して複合材料の質量増加を推定した。基材は本処理においてもとの重量の150%の増加であった。
【0132】
本方法によって生成した複合材料は、100kPaで1000〜1100kg/m2hの範囲の水フラックスを有していた。複合材料のタンパク質(リゾチーム(LYS))及びhIgGの吸着の特徴を、上記に記載した通り(実施例2)単層膜ディスクに対する一般的手順を用いて試験した。本実験において用いたリゾチーム/hIgGの濃度は実施例2に記載したものと同じであった。流速は8ベッド容積(BV)/分であった。透過水中LYSの濃度対LYS動的結合能(mg/mL)のプロットを図2に示す。複合材料は、10%ブレークスルーで、それぞれ15mg/mL及び20mg/mLのLYS及びhIgGの結合能を示した。LYS/hIgGの回収率は70〜75%の範囲であった。
【0133】
(実施例6)
ヒドロキシエチルメタクリレートコモノマーとのブチル官能基化した複合材料
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)モノマー、ブチルメタクリレート(BuMe)コモノマー、及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM-M)架橋剤を、それぞれ1:0.1:0.12のモル比で、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテルアセテート(DPMA)中に溶解することによって、36.0wt%の溶液を調製した。モノマーの質量に対して1wt%の量の光開始剤Irgacure(登録商標)2959を加えた。
【0134】
上記に記載した一般的手順(実施例1)にしたがって光重合を用いて、複合材料を、溶液及び支持体TR0671 B50(Hollingsworth & Vose)から調製した。用いた照射時間は350nmで10分であった。複合材料をポリエチレンシートの間から除去し、RO水で洗浄した。膜を24時間水中に貯蔵し室温で乾燥させた。
【0135】
上記に記載したのと同様のいくつかの試料を調製し、平均して複合材料の質量増加を推定した。基材は本処理においてもとの重量の130%の増加であった。
【0136】
膜を、実施例2に記載した水フラックス及びリゾチーム/hIgGの結合能に関して特徴付けた。
【0137】
本方法によって生成した複合材料は、100kPaで3200〜3500kg/m2hの範囲の水フラックスを有していた。複合材料のリゾチーム/hIgGの吸着の特徴を一般的手順を用いて試験した。2枚の膜ディスクを用いた。本実験において用いたリゾチーム/hIgGの濃度は実施例2に記載したものと同じであった。流速は5ベッド容積(BV)/分であった。透過水中LYSの濃度対LYS動的結合能(mg/mL)のプロットを図2に示す。複合材料は、10%ブレークスルーで、それぞれ15mg/mL及び17mg/mLのLYS及びhIgG結合能を示した。LYSの回収率は80%の範囲であり、hIgGは70%の範囲であったことが見出された。
【0138】
(実施例7)
勾配クロマトグラフィー
タンパク質直線-勾配保持データを得るために、実施例5に記載した通りに調製したポリ(AAm-co-VP-co-BuMe)膜(直径25mm;0.14mL)を用いた。分子量及び表面の疎水性において異なる三つのタンパク質を分離実験において試験した。用いたタンパク質は、ミオグロビン(ウマ骨格筋から、MW17kDa)、リゾチーム(鶏卵卵白から、MW14.3kDa)、及びα-キモトリプシノーゲンA(II型、ウシ膵臓から、MW25.7kDa)(Sigma-Aldrich)であった。試験用の塩及びタンパク質、硫酸アンモニウム、並びに一塩基性及び二塩基性のリン酸ナトリウムは全て、Sigma-Aldorichから購入した。膜のクロマトグラフィー試験を行うため、Waters 600E HPLCシステムを用いた。分離実験においてタンパク質溶液を注入するのに2mLの試料ループを用いた。Pall膜ホルダーからの溶出液の流れのUV吸収(280nmでの)及びシステム圧を継続的に記録した。2M硫酸アンモニウムを含む溶液(pH7.0)を結合バッファーとして選択し、結合バッファーはベースバッファーとして20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)を用いて調製した。結合バッファーをバッファーAとし、溶出バッファーである20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)をバッファーBとした。タンパク質を結合バッファー(バッファーA)中に溶解して2mg/mL溶液を調製した。タンパク質溶液を3:1:3(ミオグロブリン:リゾチーム:α-キモトリプシノーゲンA)の割合で混合した。
【0139】
クロマトグラフィー実験において、安定なUV吸収ベースラインが得られるまでバッファーAを膜を通過させた。次いで、タンパク質混合物150μLを、2mL試料ループを用いて注入した。結合バッファーを2mL/分で5分間流した。引き続き、2mL/分の下降塩勾配(0%バッファーB〜100%バッファーB)で、15分、溶出を実現した。図4は、流速2mL/分の1枚の膜ディスクを用いた、ミオグロビン、リゾチーム、及びα-キモトリプシノーゲンの非常に良好な分析的分離を示すものである。図4における第1のピークは結合、及び引き続き溶出されたミオグロビンによるものであった。第2のピークはリゾチーム、第3のピークはα-キモトリプシノーゲンである。ピークのアイデンティティを単一タンパク質実験において確認した。これらのタンパク質の溶出時間(tR)を表2に示す。
【表2】

【0140】
(実施例8)
膜の性能
図5は、本発明の様々な複合材料の概要、及び様々な性能特徴を表にしたものである。各々の試料を作成し、0.1M HClで加水分解し、50℃の乾燥機中で乾燥し、使用するために再び湿らせ、これは実際の材料に重要な考慮であった。
【0141】
(実施例9)
フェニル官能基化した複合材料
本実施例はフェニル官能基を有する本発明の複合材料を調製する方法を説明するものである。
【0142】
グリシジルメタクリレート(GMA)モノマー、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(EGPhA)コモノマー、及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM-M)架橋剤を、それぞれ1:0.2:0.18のモル比で、1,3-ブタンジオール23.1wt%、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル54.0wt%、及びN,N'-ジメチルアセトアミド22.9wt%を含む溶媒混合物中に溶解することによって、32wt%の溶液を調製した。モノマーの質量に対して1wt%の量の光開始剤Irgacure(登録商標)2959を加えた。
【0143】
上記に記載した(実施例1)一般的手順にしたがって光重合を用いて、複合材料を、溶液及び支持体TR0671 B50(Hollingsworth & Vose)から調製した。用いた照射時間は350nmで10分であった。複合材料をポリエチレンシートの間から除去し、RO水で洗浄し、0.1N塩酸中に24時間配置してエポキシ基を加水分解した。膜を24時間水中に貯蔵し、次いで室温で乾燥させた。
【0144】
上記に記載したのと同様のいくつかの試料を調製し、平均して複合材料の質量増加を推定した。基材は本処理においてもとの重量の180%の増加であった。
【0145】
本方法によって生成した複合材料は、100kPaで2200kg/m2hの水フラックスを有していた。複合材料のhIgG吸着の特徴を、Waters 600E HPLCシステム装置に装着したステンレススチール製Natrixディスクホルダー中に挿入した単層を用いて試験した。本実験で用いたhIgGの濃度は、pH7.0の0.8M(NH4)2SO4を含む50mMリン酸ナトリウムバッファー中0.5g/Lであった。流速は10ベッド容積(BV)/分であった。複合材料は、10%ブレークスルーで、31.2mg/mLのhIgG結合能を示した。hIgGに対する回収率は、5%(w/w)イソプロパノールを有する50mMリン酸ナトリウムを含む溶出バッファー、pH7.0を用いて、99.8%であった。
【0146】
参照による援用
本明細書に引用する米国特許及び米国特許出願公開は全て、参照によって本明細書に援用される。
【0147】
同等物
当業者であれば、日常的な実験を用いるだけで、本明細書に記載する本発明の特定の実施形態に対する多くの同等物を認め、確認することができる。このような同等物は、以下の特許請求の範囲によって含まれるものとされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材を貫いて伸びている複数の孔を含む支持部材、
複数のマクロ孔及び複数のペンダント疎水性部分を含むマクロ多孔性架橋ゲル、
を含み、
マクロ多孔性架橋ゲルが支持部材の孔中に位置し、マクロ孔の平均孔直径が孔の平均孔直径より小さい複合材料。
【請求項2】
マクロ多孔性架橋ゲルが、アクリルアミド、N-アクリルオキシスクシンイミド、ブチルアクリレート若しくはメタクリレート、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルアクリレート若しくはメタクリレート、2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルアクリレート若しくはメタクリレート、N-[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、n-ドデシルアクリレート、n-ドデシルメタクリレート、フェニルアクリレート若しくはメタクリレート、ドデシルメタクリルアミド、エチルアクリレート若しくはメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート若しくはメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート若しくはメタクリレート、グリシジルアクリレート若しくはメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート若しくはメタクリレート、n-ヘプチルアクリレート若しくはメタクリレート、1-ヘキサデシルアクリレート若しくはメタクリレート、メタクリルアミド、メタクリル酸無水物、オクタデシルアクリルアミド、オクチルアクリルアミド、オクチルアクリレート若しくはメタクリレート、プロピルアクリレート若しくはメタクリレート、N-イソ-プロピルアクリルアミド、ステアリルアクリレート若しくはメタクリレート、スチレン、アルキル化スチレン誘導体、4-ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、N-ビニル-2-ピロリジノン、アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アルギン酸、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムハロゲン化物、ジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物、4-ビニル-N-メチルピリジニウムハロゲン化物、ビニルベンジル-N-トリメチルアンモニウムハロゲン化物、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、又は2-(2-メトキシ)エチルアクリレート若しくはメタクリレートに由来するポリマーを含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
マクロ多孔性架橋ゲルが、アクリルアミド、ブチルアクリレート若しくはメタクリレート、n-ドデシルアクリレート、n-ドデシルメタクリレート、フェニルアクリレート若しくはメタクリレート、エチルアクリレート若しくはメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート若しくはメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート若しくはメタクリレート、n-ヘプチルアクリレート若しくはメタクリレート、1-ヘキサデシルアクリレート若しくはメタクリレート、オクチルアクリレート若しくはメタクリレート、プロピルアクリレート若しくはメタクリレート、ステアリルアクリレート若しくはメタクリレート、又はN-ビニル-2-ピロリジノンに由来するポリマーを含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
ペンダント疎水性部分が、エチル、ブチル、ヘキシル、2-エチルヘキシル、ドデシル、ステアリル、ヒドロキシプロピル、フェニル、エーテル、又はポリ(プロピレングリコール)基である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
マクロ多孔性架橋ゲルが、約1から約7までのlogP値(オクタノール-水)を有するモノマーに由来するポリマーを含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項6】
マクロ多孔性架橋ゲルが第1のモノマー及び第2のモノマーに由来するポリマーを含み、第1のモノマーは約1から約7までのlogP値(オクタノール-水)を有し、第2のモノマーは約-1から約1までのlogP値(オクタノール-水)を有する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項7】
第1のモノマー対第2のモノマーのモル比が約0.01:1から約1:1である、請求項6に記載の複合材料。
【請求項8】
第1のモノマー対第2のモノマーのモル比が約0.05:1から約0.5:1である、請求項6に記載の複合材料。
【請求項9】
第1のモノマー対第2のモノマーのモル比が約0.1:1、約0.15:1、又は約0.20:1である、請求項6に記載の複合材料。
【請求項10】
マクロ多孔性架橋ゲルがマクロ孔を含み、マクロ多孔性架橋ゲルが約30%から約80%までの気孔率を有し、マクロ孔が約10nmから約3000nmまでの平均孔直径を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項11】
マクロ孔の平均孔直径が約25nmから約1500nmである、請求項10に記載の複合材料。
【請求項12】
マクロ孔の平均孔直径が約50nmから約1000nmである、請求項10に記載の複合材料。
【請求項13】
マクロ孔の平均孔直径が約300nmから約400nmである、請求項10に記載の複合材料。
【請求項14】
複合材料が膜である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項15】
支持部材が空隙容量を有し、支持部材の空隙容量が多孔性架橋ゲルで実質的に充填される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項16】
支持部材がポリマーを含み、支持部材の厚さが約10μmから約500μmであり、支持部材の孔が約0.1μmから約25μmまでの平均孔直径を有し、支持部材が約40%から約90%までの気孔率を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項17】
支持部材がポリオレフィンを含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項18】
支持部材が、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエステル、セルロース、及びセルロース誘導体からなる群から選択されるポリマー材料を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項19】
支持部材がポリマーを含む繊維状の織布又は不織布を含み、支持部材の厚さが約10μmから約2000μmであり、支持部材の孔が約0.1μmから約25μmまでの平均孔直径を有し、支持部材が約40%から約90%までの気孔率を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項20】
第1の流速で、物質を含む第1の液体を請求項1〜19のいずれか一項に記載の複合材料と接触させ、それによって物質の一部分を複合材料上に吸着又は吸収させるステップを含む方法。
【請求項21】
第1の液体の液体流路が支持部材の孔に対して実質的に垂直である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第1の液体の液体流路が複合材料のマクロ孔を実質的に通る、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
第2の流速で、第2の液体を、複合材料上に吸着又は吸収されている物質と接触させ、それによって物質の一部分を複合材料から放出するステップをさらに含む、請求項20〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
第2の液体の液体流路が支持部材の孔に対して実質的に垂直である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第2の液体の液体流路が複合材料の孔を実質的に通る、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
マクロ多孔性ゲルが物質に特異的な相互作用を示す、請求項20〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
特異的な相互作用が疎水的相互作用である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
物質が生物学的分子又は生物学的イオンである、請求項20〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
生物学的分子又は生物学的イオンが、アルブミン、リゾチーム、ウイルス、細胞、ヒト及び動物起源のγ-グロブリン、ヒト及び動物起源の免疫グロブリン、組換え及び天然起源のタンパク質、合成及び天然起源のポリペプチド、インターロイキン-2及びその受容体、酵素、モノクローナル抗体、トリプシン及びその阻害物質、チトクロームC、ミオグロビン、ミオグロブリン、α-キモトリプシノーゲン、組換えヒトインターロイキン、組換え融合タンパク質、核酸由来生成物、合成及び天然起源のDNA、並びに合成及び天然起源のRNAからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
生物学的分子又は生物学的イオンがリゾチーム又はhIgGである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
第1の液体がバッファーである、請求項20〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
第2の液体が塩溶液である、請求項20〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
第3の液体を複合材料上に吸着又は吸収されている物質と接触させ、それによって物質の一部分を複合材料から放出するステップをさらに含み、
第3の液体は塩溶液であり、第3の液体の塩濃度は第2の液体の塩濃度より低い、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
モノマー、光開始剤、架橋剤、及び溶媒を合わせ、それによってモノマー混合物を形成するステップと、
支持部材をモノマー混合物と接触させ、それによって修飾された支持部材を形成するステップであって、支持部材は支持部材を貫いて伸びている複数の孔を含み、孔の平均孔直径は約0.1から約25μmであるステップと、
修飾された支持部材をポリマーシートで覆い、それによって被覆支持部材を形成するステップと、
被覆支持部材をある期間照射し、それによって複合材料を形成するステップと
を含む、複合材料を作成する方法。
【請求項35】
複合材料を第2の溶媒で洗浄するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
モノマーが、アクリルアミド、N-アクリルオキシスクシンイミド、ブチルアクリレート若しくはメタクリレート、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルアクリレート若しくはメタクリレート、N-[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、n-ドデシルアクリレート、n-ドデシルメタクリレート、フェニルアクリレート若しくはメタクリレート、ドデシルメタクリルアミド、エチルアクリレート若しくはメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート若しくはメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート若しくはメタクリレート、n-ヘプチルアクリレート若しくはメタクリレート、1-ヘキサデシルアクリレート若しくはメタクリレート、メタクリルアミド、メタクリル酸無水物、オクタデシルアクリルアミド、オクチルアクリルアミド、オクチルアクリレート若しくはメタクリレート、プロピルアクリレート若しくはメタクリレート、N-イソ-プロピルアクリルアミド、ステアリルアクリレート若しくはメタクリレート、スチレン、アルキル化スチレン誘導体、4-ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、N-ビニル-2-ピロリジノン、アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アルギン酸、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムハロゲン化物、ジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物、4-ビニル-N-メチルピリジニウムハロゲン化物、ビニルベンジル-N-トリメチルアンモニウムハロゲン化物、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、又は2-(2-メトキシ)エチルアクリレート若しくはメタクリレートを含む、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
光開始剤が、モノマー混合物中にモノマーの全重量に対して約0.4%(w/w)から約2.5% (w/w)までの量存在する、請求項34〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
光開始剤が、モノマー混合物中にモノマーの全重量に対して約0.6%、約0.8%、約1.0%、約1.2%、又は約1.4% (w/w)存在する、請求項34〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
光開始剤が、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイン及びベンゾインエーテル、ジアルコキシアセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、及びα-ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステルからなる群から選択される、請求項34〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
溶媒が、1,3-ブタンジオール、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル、N,N-ジメチルアセトアミド、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテルアセテート、水、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、トルエン、キシレン、ヘキサン、N-メチルアセトアミド、プロパノール、又はメタノールである、請求項34〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
モノマー又は架橋剤又は両方が、溶媒中に約10%から約45%(w/w)存在する、請求項34〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
モノマー又は架橋剤又は両方が、溶媒中に約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、又は約40%(w/w)の量存在する、請求項34〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
架橋剤が、ビスアクリルアミド酢酸、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)プロパン、ブタンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,10-ドデカンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,4-ジアクリロイルピペラジン、ジアリルフタレート、2,2-ジメチルプロパンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、N,N-ドデカメチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、グリセロールトリメタクリレート、グリセロールトリス(アクリルオキシプロピル)エーテル、N,N'-ヘキサメチレンビスアクリルアミド、N,N'-オクタメチレンビスアクリルアミド、1,5-ペンタンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,3-フェニレンジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート及びジメタクリレート、ポリ(プロピレン)ジアクリレート及びジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジアクリレート又はジメタクリレート、ジアリルジグリコールカーボネート、ポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、N,N'-ジメタクリロイルピペラジン、ジビニルグリコール、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、1,1,1-トリメチロールエタントリメタクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリアクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリメタクリレート、ビニルアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート及びジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、アルコキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、芳香族ジメタクリレート、カプロラクトン修飾ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート及びジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及びジメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ジ-トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタアクリレートエステル、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン修飾ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、N,N',-メチレンビスアクリルアミド、ジエチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジビニルベンゼン、並びにポリ(エチレングリコール)ジアクリレートからなる群から選択される、請求項34〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
架橋剤対モノマーのモル比が約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、又は約25%である、請求項34〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
被覆支持部材が約350nmで照射される、請求項34〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
期間が約1分、約5分、約10分、約15分、約20分、約30分、約45分、又は約1時間である、請求項34〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
複合材料がマクロ孔を含む、請求項34〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
マクロ孔の平均孔直径が孔の平均孔直径より小さい、請求項47に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【公表番号】特表2013−510918(P2013−510918A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538433(P2012−538433)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/003049
【国際公開番号】WO2011/058439
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(510212764)ナトリックス セパレイションズ インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】