疑似乳房パッド
【課題】 形状保持機能が高くて軽量で蒸れにくい疑似乳房パッドを提供する。
【解決手段】 胸部を被う被服で保持される疑似乳房パッド1において、表面が乳房の膨らみを疑似的に表した凸曲面1aとされ、反対側が胸部に当てられ又は近接する裏面1bとされ、かつ、その裏面から内部に向かって表面には開口せず、その裏面に開口する閉じた空洞部1cが形成され、その空洞部1cの最大投影断面積に対し裏面の開口面積の方が小さくなるように、空洞部1cが開口する部分には内向きに突出するフランジ部1dが狭窄部1eとして形成されることを特徴とする。
【解決手段】 胸部を被う被服で保持される疑似乳房パッド1において、表面が乳房の膨らみを疑似的に表した凸曲面1aとされ、反対側が胸部に当てられ又は近接する裏面1bとされ、かつ、その裏面から内部に向かって表面には開口せず、その裏面に開口する閉じた空洞部1cが形成され、その空洞部1cの最大投影断面積に対し裏面の開口面積の方が小さくなるように、空洞部1cが開口する部分には内向きに突出するフランジ部1dが狭窄部1eとして形成されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下着などの被服で保持される疑似乳房パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳がん等において双方又は一方の乳房を切除した場合、その乳房欠損箇所の外観を補うようにするため、乳房再建、人工乳房、疑似乳房パッド等の対応が行われている。
【0003】
この乳房切除後の乳房再建として、例えば広背筋皮弁再建、腹直筋皮弁再建、下腹壁動脈穿通枝皮弁再建、インプラント再建等の手術を行っているが、この手術は大掛かりで看者の肉体的及び精神的負担が大きい。そこで、もっと簡便な一つの選択枝として疑似乳房パッド(特許文献1参照)がある。この疑似乳房パッドは外観を整える以外にも傷の保護や正しい姿勢の保持を目的として使用されており、具体的には乳房欠損箇所に添えてブラジャー等の下着で保持するようにして、乳房欠損箇所に一定の膨らみを与えることにより、あまり違和感のない外観にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10―310911号公報
【特許文献2】特許第4482770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1の疑似乳房パッドは、全体がシリコーンゴムで形成され、その形態は実際の乳房と近似し、良好な胸部の外観を創出できる。しかしながら、シリコーンゴムの重量が大きく、左右の乳房の一方が残存し、他方が切除されてそこに疑似乳房パッドを添える場合、残存する乳房の荷重負担が加わらない側の肩ひもに対し、疑似乳房パッドの重量を支えなければならない側の肩ひもが肩に食い込んで肩こりを生じさせる等の問題がある。また、胸部の左右にこのような重い疑似乳房パッドを添える場合は、双方の肩ひもに各パッドの重量が加わりその問題がより一層顕著となる。
【0006】
一方、特許文献2の疑似乳房パッドでは、シリコーンゴムで形成される疑似乳房形状の保形部材の裏面に空洞を形成しておわん形とすることにより、重量の軽減効果は認められる。しかし、空洞が存在するために、図17に示すように、保形部材500の剛性が低下し、その外面503がへこんでしまい本来の保形部材の膨らみ形態を維持することが困難な問題がある。そのため、ブラジャーのカップ501との間に隙間502が生じたり、ブラジャーのカップ501までへこんでしまったりする。特に体を動かしたときに膨らんでいる外面503がくぼみやすく、これに伴ってブラジャーとの隙間502の発生やカップ501が凹状に変形するなど、外観的に好ましくない欠点があった。
【0007】
本発明の課題は、ブラジャーなどの少なくとも胸部を被う被服によって保持される、形状保持機能が高くて軽量な疑似乳房パッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の疑似乳房パッドは、乳房の喪失個所の胸部又は乳房の隆起が無いか若しくは乏しい個所の胸部に当てられ、少なくとも胸部を被う被服で保持される疑似乳房パッドにおいて、シリコーンゴム等の軟質樹脂からなり、表面が乳房の膨らみを疑似的に表した凸曲面とされ、反対側が前記胸部に当てられ又は近接する裏面とされ、かつ、その裏面から内部に向かって前記表面には開口せず、その裏面に開口する閉じた空洞部が形成され、その空洞部の前記裏面に対する最大投影断面積に比べて前記裏面の開口面積の方が小さくなるように、前記空洞部が開口する部分には内向きに突出するフランジ部が狭窄部として形成されたことを特徴とする。
【0009】
このように疑似乳房パッドに空洞部が形成されるとともに、その空洞部の開口側に狭窄部(いわば内向きのフランジ部)を備えることにより、全体の重量を軽量化しつつ表面の膨出凸面の形状保持機能が高まり、そこが簡単にへこんでブラジャー等の被服との間に隙間ができたり、ブラジャー等の被服の該当部分がへこむ等の不具合が生じにくい。しかも、開口があるために、軽量化のみならず、装着面(裏面側)が直接胸部の肌に密着する場合でも全面が密着する場合に比べて蒸れが生じにくい。
【0010】
また、本発明の疑似乳房パッドにおいて、前記表面の前記凸曲面に対し、前記裏面が前記表面側に窪む凹曲面とされ、その凹曲面の曲率は前記凸曲面の曲率より小さくなだらかにされている。
【0011】
これにより、例えばこの疑似乳房パッドの裏面を直接胸部の肌に当てるようにしてこのパッドがブラジャー等の被服で保持される場合、緩やかな凹曲面のためにいわば吸盤のように作用して胸部の肌により密着しやすい効果が生じる。したがって、ブラジャー等の被服で保持した状態で疑似乳房パッドがずれにくく安定に保持される。
【0012】
また、本発明の疑似乳房パッドは、前記空洞部の最大投影断面積に対し前記開口面積が、0.2〜0.9の範囲に設定されることにより、疑似乳房形態を生じる膨出曲面の変形防止機能、軽量化、蒸れ防止等の複合的な効果が得られる。
【0013】
また、前記フランジ部は環状に連続して形成されることにより、強度が向上され安定性が増加する。また、疑似乳房パッドの軟質樹脂は、タイプOOデユロメータの硬さが10〜50のシリコーンゴムからなることにより、健全な乳房の柔軟性に近いため、不快感を伴うことなく使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】疑似乳房パッドの一部を断面とした正面図である。
【図2】疑似乳房パッドの平面図である。
【図3】疑似乳房パッドの右側面図である。
【図4】疑似乳房パッドの背面図である。
【図5】図1のA―A断面図である。
【図6】図1のB―B断面図である。
【図7】疑似乳房パッドの変形例の背面図である。
【図8】着用者の乳房欠損状態を示す図である。
【図9】疑似乳房パッドの製作工程を示す図である。
【図10】疑似乳房パッドの他の製作工程を示す図である。
【図11】下着としてのブラジャーを示す図である。
【図12】ブラジャーのカップで保持される疑似乳房パッドを示す図である。
【図13】疑似乳房パッドの変形例を示す正面、水平断面、垂直断面を示す図である。
【図14】疑似乳房パッドの他の変形例を示す正面、水平断面、垂直断面を示す図である。
【図15】疑似乳房パッドの他の変形例を示す図である。
【図16】疑似乳房パッドの他の変形例を示す図である。
【図17】従来の疑似乳房形状の保形部材の凹状変形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係る疑似乳房パッド1の一部を断面とした正面図である。図2は疑似乳房パッド1の平面図である。図3は疑似乳房パッド1の右側面図である。図4は疑似乳房パッド1の背面図である。図5は図1のA―A断面図である。図6は図1のB―B断面図である。
【0016】
疑似乳房パッド1は乳がん等において乳房を切除した後の胸部における乳房欠損個所100(図8参照)や、乳房の隆起が無いか若しくは乏しい個所の胸部に当てられ、少なくとも胸部を被う被服として、カップ部200を有する下着(例えばブラジャー等)201で保持(図11、12参照)される。
【0017】
図1〜図6に示す疑似乳房パッド1は、軟質樹脂(例えばシリコーンゴム)からなり、表面が乳房の膨らみを疑似的に表した凸曲面1aとされる。この凸曲面1aは、図5に示すように、着用時の上下方向Yにおけるその曲面の曲がりの程度として、凸曲面1aの中央部位1a1から上部縁1a2までの上側範囲301の上側曲率302を、中央部位1a1から下部縁1a3までの下側範囲303の下側曲率304に対して緩やかに設定している。
【0018】
また、図6に示すように、着用時の左右方向(横方向)Xにおけるその曲面の曲がりの程度として、凸曲面1aの中央部位1a1から内側縁1a4(図面上の右側)までの内側範囲306の内側曲率307を、中央部位1a1から脇側縁1a5(図面上の左側)までの脇側範囲308の脇側曲率309に対して緩やかに設定している。
【0019】
この例による内側範囲306、脇側範囲308は、かかる疑似乳房パッド1として下着201で保持される場合、着用者自身の右側に着用される例である。なお、着用者自身の左側に着用される他の例では、この例と対称、つまり、内側範囲306、脇側範囲308が反対位置となる。
【0020】
また、疑似乳房パッド1の裏面1bは着用者の胸部に当てられ又は近接する胸部とされ、かつ、その裏面1bから内部に向かって自身の表面には開口せず裏面1b側に開口する閉じた空洞部1cが形成される。
【0021】
また、表面の凸曲面1aに対し、裏面1bが表面側に窪む凹曲面とされ、その裏面1bの凹曲率310は凸曲面1aの曲率(上側曲率302、下側曲率304、内側曲率307、脇側曲率309)より小さくなだらかに設定される。
【0022】
図5、6に示すように、空洞部1cにおける横断面での最大投影断面積S1に対し裏面1bの開口部1b1の開口面積S2の方が小さくなるように、空洞部1cが開口する部分には内向きに突出するリング状のフランジ部1dが狭窄部1eとして形成される。これによってフランジ部1dの開口が裏面1bにおける空洞部1cの開口とされる。
【0023】
図6に示す空洞部1cの最大投影断面積S1に対し開口部1b1の開口面積S2の比が、0.2〜0.9の範囲に設定され、より好ましくは0.4〜0.7の範囲に設定され、これにより、凸曲面1aの中央部位1a1の近傍部位が下着201の着用時における保持状態でへこんでしまうことが防止される。
【0024】
また、フランジ部1dが内向きに突出するその寸法としては、上下方向Yにおける一方の下部縁1a3側におけるフランジ部1dの突出寸法h2を他の残りのフランジ部1dの突出寸法h1よりも長寸法に形成している。この他の残りのフランジ部1dの突出寸法h1は概ね同じ寸法としている。
【0025】
また、空洞部1cは、裏面1bから表面側に向かって凸となる凹曲面1fで形成される。この凹曲面1fと凸曲面1aとの間の肉厚T1は、フランジ部1dを除いてほぼ等しくされ、フランジ部1dの肉厚T2は肉厚T1と同等かそれより小さく又は大きくされる。
【0026】
なお、図5、図6におけるフランジ部1dの表面1d1と凹曲面1fとが繋がる連続部には、全周にわたり内向きのアール面1f1が緩やかな所定曲率で形成されている。このためフランジ部1dと凹曲面1fと連続箇所である、フランジ部1dの基部側の肉厚はフランジ部1dの先端側の肉厚に比べて実質的に厚くなる。
【0027】
このように疑似乳房パッド1全体としてフランジ部1dの基部側の肉厚が厚みを増した状態で連続形成される一体物としてのドーム状を呈することにより、上部縁1a2、下部縁1a3、内側縁1a4、脇側縁1a5が全周にわたり剛性が高まり、いわば基部の剛性・安定性が高まることにより、中央部位1a1の膨出形態(ドーム形態)も安定に保持されやすくなる。
【0028】
疑似乳房パッド1は左右方向Xを長手方向とする正面視で横長の楕円状の形態を有している。また、空洞部1cもそれに概ね合わせて横長の楕円状に形成され、かつ、フランジ部1d及びその開口部1b1も空洞部1cより概ね相似的に小さい横長の楕円状とされる。
【0029】
以上の実施例では、疑似乳房パッド1のフランジ部1dが環状(リング状)に連続して形成された例を示したが、図7に示すように、フランジ部1dが空洞部1cの開口部1b1に所定の間隔で間欠的(不連続)に形成されてもよい。
【0030】
また、疑似乳房パッド1は、それを成形するための軟質樹脂(例えばシリコーンゴム)を、一般的な着色剤(付加型液状シリコーンゴム用)としての所定色の顔料によって乳房色に近似させる色で着色される。
【0031】
疑似乳房パッド1を成形するための軟質樹脂としては、室温硬化型のシリコーンゴム、主剤と硬化剤との混合による2液付加反応型RTVシリコーンゴムなどがある。このシリコーンゴムの例として、「米国、ファクター2社製:VST−30、VST−50、VST−50F、VST−50HD、A−2000」、また、「東レ・ダウコーニング社製:SH9555RTV、9556RTV、MDX4−4210」、また、「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製:TSE3453、TSE3456T、TSE3475T、TSE3431、YE5626」、また、「信越化学工業社製:KE−1308、KE−1300T、KE−1310ST、KE−1314−2、KE−1316、KE−1310ST、KE−1600、KE−1603(A/B)、KE−1606、SIM―260、SIM―240」、また、「旭化成ワッカーシリコーン社製:DENTAL ADS931 A/B、M4600A/B、M4641A/B、M4644A/B、M4645A/B、P7613A/B、P7664A/B」などを挙げることができる。室温(常温とも言われ、その温度は日本工業規格(JISZ8703)では20℃±15℃とされている)でゴム状に硬化することにより疑似乳房パッド1が得られる。
【0032】
また、シリコーンゴムとしては、シリコン基本構成単位が連鎖となったシリコンポリマーのうち、長い分子鎖の一部ができた低架橋密度のものであって、弾性率が105N/m2 以下のものであり、耐熱安定性があり硬化収縮が小さい等の点から、付加反応型が好適である。
【0033】
例えば、硬化後において、ASTM―D―2240、タイプOOデユロメータの硬さが10〜50の範囲の硬さのものから任意に選択することができるが、シリコーンゴムの硬さの上からは、20〜40の範囲のシリコーンゴムを用いることが望ましい。なお、硬さが10(20)より小さくなると、軟らかすぎて取扱いが困難となり、一方、硬さが50(40)を越える場合には、シリコーンゴムが硬くなってしまう。
【0034】
また、顔料の例として、「米国、ファクター2社製:FE−235、FE−202、FE−200、FE−228」、「信越化学工業社製:K−COLOR−R20、K−COLOR−W10、K−COLOR−BL70、K−COLOR−Y40」、または、「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製:ME50−M、ME50−R2、ME50−W、ME50−Y」などを挙げることができる。
【0035】
疑似乳房パッド1は例えば次のように製作される。図9に示すように、各サイズによってマスターモデルを製作し、このマスターモデルを用いて雄型400(ポジモールド)、雌型401(ネガモールド)を含む成形型402を製作する。
【0036】
この成形型402の雌型401にシリコーンゴム404を注入し、その後、雄型400を型合せし、硬化後に離型して疑似乳房パッド1が製作される。
【0037】
この離型工程は、疑似乳房パッド1の裏面側の雄型400を雌型401から離型し、その後、雄型400側の疑似乳房パッド1を離型させる。
【0038】
なお、疑似乳房パッド1を、図10に示すように、射出成形によって成形することができ、この場合、雄型400、雌型401を閉じてキャビテイ405を形成し、そのキャビテイ405にシリコーンゴム404を注入し、その後、シリコーンゴム404を硬化させてその硬化物をエジェクタピン406を介して取り出すことにより、疑似乳房パッド1を得ることができる。
【0039】
本発明の疑似乳房パッド1は、図11、12に示すように、下着201としてのブラジャーのカップ部200によって包み込むように保持されて使用される。疑似乳房パッド1は弾性的な柔軟性を有するため、下着201で保持される際に、胸部中央に寄せるように、また上方へ持上げるように疑似乳房パッド1を弾性変形させた状態で下着201及び人体胸部(例えば乳房欠損箇所100)に密着させることができる。
【0040】
この保持状態においては、疑似乳房パッド1の長手方向を左右方向Xとしていることにより、カップ部200の上側から疑似乳房パッド1が部分的に露出する範囲を少なくできる。
【0041】
また、疑似乳房パッド1は、その着用時において、表面の凸曲面1aに対し、裏面1bが表面側に窪む凹曲面とされる。その凹曲率310は凸曲面1aの曲率(上側曲率302、下側曲率304、内側曲率307、脇側曲率309)より小さくなだらかにされているので、疑似乳房パッド1の裏面を直接胸部の肌に当てるようにして被服(下着201等)で保持される場合、緩やかな凹曲面のためにいわば吸盤のように作用して胸部の肌により密着しやすい効果が生じる。したがって、疑似乳房パッド1はブラジャー等の下着201で保持した状態で移動しにくく(ずれにくく)安定に保持される。
【0042】
図13は別の実施例の疑似乳房パッド11を示している。図に示すように、疑似乳房パッド11は楕円形状で形成される。その楕円形状の中心を通る水平方向Xの水平線X1及び左右方向Yの垂直線Y1に対して、凸曲面1a、開口部1b1、空洞部1c、フランジ部1d、凹曲面1fなどはそれぞれ左右対称及び上下対称に形成される。
【0043】
図14は別の実施例の疑似乳房パッド21を示している。図に示すように、疑似乳房パッド1は円形状で形成される。その円形状の中心を通る水平方向Xの水平線X1及び左右方向Yの垂直線Y1に対して、凸曲面1a、開口部1b1、空洞部1c、フランジ部1d、凹曲面1fなどはそれぞれ左右対称及び上下対称に形成されることにより、その形態を単純形態としている。
【0044】
図15は別の実施例の疑似乳房パッド31の他の変形例を示している。図に示すように、疑似乳房パッド21のフランジ部1dの断面形態として、空洞部1cの凹曲面1fが滑らかかつ連続的にフランジ部1dにつながるものでもよい。
【0045】
図16は別の実施例の疑似乳房パッド41を示している。図に示すように、垂直断面(例えば図13の垂直線Y1での断面形状)において、中心部の厚みTminが相対的に薄くされ、フランジ部1d側ほどその厚みTが増加するようにしている。これにより疑似乳房パッド1としてその外縁側1gの形態がより安定する。
【0046】
なお、疑似乳房パッド1を保持する被服としては、ブラジャー等に限らず、ボディスーツなどの上下がつながった下着(矯正下着を含む)でもよく、また、下着でなく水着(ビキニなどのツーピース型、上下がつながったワンピース型のいずれでもよい)、さらには、人体の胸部をある程度締め付ける機能のある被服であれば、本発明の疑似乳房パッド1を使用できる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、また、各々の実施の形態は、本発明の説明のために一つ実施形態の部分として述べられている構成を、別の実施の形態において利用し、更にこれらを組み合わせて別の実施の形態とすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1、11、21、31、41 疑似乳房パッド
1a 凸曲面
1b 裏面
1c 空洞部
1d フランジ部
1e 狭窄部
1f 凹曲面
200 カップ部
201 下着
【技術分野】
【0001】
本発明は、下着などの被服で保持される疑似乳房パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳がん等において双方又は一方の乳房を切除した場合、その乳房欠損箇所の外観を補うようにするため、乳房再建、人工乳房、疑似乳房パッド等の対応が行われている。
【0003】
この乳房切除後の乳房再建として、例えば広背筋皮弁再建、腹直筋皮弁再建、下腹壁動脈穿通枝皮弁再建、インプラント再建等の手術を行っているが、この手術は大掛かりで看者の肉体的及び精神的負担が大きい。そこで、もっと簡便な一つの選択枝として疑似乳房パッド(特許文献1参照)がある。この疑似乳房パッドは外観を整える以外にも傷の保護や正しい姿勢の保持を目的として使用されており、具体的には乳房欠損箇所に添えてブラジャー等の下着で保持するようにして、乳房欠損箇所に一定の膨らみを与えることにより、あまり違和感のない外観にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10―310911号公報
【特許文献2】特許第4482770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1の疑似乳房パッドは、全体がシリコーンゴムで形成され、その形態は実際の乳房と近似し、良好な胸部の外観を創出できる。しかしながら、シリコーンゴムの重量が大きく、左右の乳房の一方が残存し、他方が切除されてそこに疑似乳房パッドを添える場合、残存する乳房の荷重負担が加わらない側の肩ひもに対し、疑似乳房パッドの重量を支えなければならない側の肩ひもが肩に食い込んで肩こりを生じさせる等の問題がある。また、胸部の左右にこのような重い疑似乳房パッドを添える場合は、双方の肩ひもに各パッドの重量が加わりその問題がより一層顕著となる。
【0006】
一方、特許文献2の疑似乳房パッドでは、シリコーンゴムで形成される疑似乳房形状の保形部材の裏面に空洞を形成しておわん形とすることにより、重量の軽減効果は認められる。しかし、空洞が存在するために、図17に示すように、保形部材500の剛性が低下し、その外面503がへこんでしまい本来の保形部材の膨らみ形態を維持することが困難な問題がある。そのため、ブラジャーのカップ501との間に隙間502が生じたり、ブラジャーのカップ501までへこんでしまったりする。特に体を動かしたときに膨らんでいる外面503がくぼみやすく、これに伴ってブラジャーとの隙間502の発生やカップ501が凹状に変形するなど、外観的に好ましくない欠点があった。
【0007】
本発明の課題は、ブラジャーなどの少なくとも胸部を被う被服によって保持される、形状保持機能が高くて軽量な疑似乳房パッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の疑似乳房パッドは、乳房の喪失個所の胸部又は乳房の隆起が無いか若しくは乏しい個所の胸部に当てられ、少なくとも胸部を被う被服で保持される疑似乳房パッドにおいて、シリコーンゴム等の軟質樹脂からなり、表面が乳房の膨らみを疑似的に表した凸曲面とされ、反対側が前記胸部に当てられ又は近接する裏面とされ、かつ、その裏面から内部に向かって前記表面には開口せず、その裏面に開口する閉じた空洞部が形成され、その空洞部の前記裏面に対する最大投影断面積に比べて前記裏面の開口面積の方が小さくなるように、前記空洞部が開口する部分には内向きに突出するフランジ部が狭窄部として形成されたことを特徴とする。
【0009】
このように疑似乳房パッドに空洞部が形成されるとともに、その空洞部の開口側に狭窄部(いわば内向きのフランジ部)を備えることにより、全体の重量を軽量化しつつ表面の膨出凸面の形状保持機能が高まり、そこが簡単にへこんでブラジャー等の被服との間に隙間ができたり、ブラジャー等の被服の該当部分がへこむ等の不具合が生じにくい。しかも、開口があるために、軽量化のみならず、装着面(裏面側)が直接胸部の肌に密着する場合でも全面が密着する場合に比べて蒸れが生じにくい。
【0010】
また、本発明の疑似乳房パッドにおいて、前記表面の前記凸曲面に対し、前記裏面が前記表面側に窪む凹曲面とされ、その凹曲面の曲率は前記凸曲面の曲率より小さくなだらかにされている。
【0011】
これにより、例えばこの疑似乳房パッドの裏面を直接胸部の肌に当てるようにしてこのパッドがブラジャー等の被服で保持される場合、緩やかな凹曲面のためにいわば吸盤のように作用して胸部の肌により密着しやすい効果が生じる。したがって、ブラジャー等の被服で保持した状態で疑似乳房パッドがずれにくく安定に保持される。
【0012】
また、本発明の疑似乳房パッドは、前記空洞部の最大投影断面積に対し前記開口面積が、0.2〜0.9の範囲に設定されることにより、疑似乳房形態を生じる膨出曲面の変形防止機能、軽量化、蒸れ防止等の複合的な効果が得られる。
【0013】
また、前記フランジ部は環状に連続して形成されることにより、強度が向上され安定性が増加する。また、疑似乳房パッドの軟質樹脂は、タイプOOデユロメータの硬さが10〜50のシリコーンゴムからなることにより、健全な乳房の柔軟性に近いため、不快感を伴うことなく使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】疑似乳房パッドの一部を断面とした正面図である。
【図2】疑似乳房パッドの平面図である。
【図3】疑似乳房パッドの右側面図である。
【図4】疑似乳房パッドの背面図である。
【図5】図1のA―A断面図である。
【図6】図1のB―B断面図である。
【図7】疑似乳房パッドの変形例の背面図である。
【図8】着用者の乳房欠損状態を示す図である。
【図9】疑似乳房パッドの製作工程を示す図である。
【図10】疑似乳房パッドの他の製作工程を示す図である。
【図11】下着としてのブラジャーを示す図である。
【図12】ブラジャーのカップで保持される疑似乳房パッドを示す図である。
【図13】疑似乳房パッドの変形例を示す正面、水平断面、垂直断面を示す図である。
【図14】疑似乳房パッドの他の変形例を示す正面、水平断面、垂直断面を示す図である。
【図15】疑似乳房パッドの他の変形例を示す図である。
【図16】疑似乳房パッドの他の変形例を示す図である。
【図17】従来の疑似乳房形状の保形部材の凹状変形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係る疑似乳房パッド1の一部を断面とした正面図である。図2は疑似乳房パッド1の平面図である。図3は疑似乳房パッド1の右側面図である。図4は疑似乳房パッド1の背面図である。図5は図1のA―A断面図である。図6は図1のB―B断面図である。
【0016】
疑似乳房パッド1は乳がん等において乳房を切除した後の胸部における乳房欠損個所100(図8参照)や、乳房の隆起が無いか若しくは乏しい個所の胸部に当てられ、少なくとも胸部を被う被服として、カップ部200を有する下着(例えばブラジャー等)201で保持(図11、12参照)される。
【0017】
図1〜図6に示す疑似乳房パッド1は、軟質樹脂(例えばシリコーンゴム)からなり、表面が乳房の膨らみを疑似的に表した凸曲面1aとされる。この凸曲面1aは、図5に示すように、着用時の上下方向Yにおけるその曲面の曲がりの程度として、凸曲面1aの中央部位1a1から上部縁1a2までの上側範囲301の上側曲率302を、中央部位1a1から下部縁1a3までの下側範囲303の下側曲率304に対して緩やかに設定している。
【0018】
また、図6に示すように、着用時の左右方向(横方向)Xにおけるその曲面の曲がりの程度として、凸曲面1aの中央部位1a1から内側縁1a4(図面上の右側)までの内側範囲306の内側曲率307を、中央部位1a1から脇側縁1a5(図面上の左側)までの脇側範囲308の脇側曲率309に対して緩やかに設定している。
【0019】
この例による内側範囲306、脇側範囲308は、かかる疑似乳房パッド1として下着201で保持される場合、着用者自身の右側に着用される例である。なお、着用者自身の左側に着用される他の例では、この例と対称、つまり、内側範囲306、脇側範囲308が反対位置となる。
【0020】
また、疑似乳房パッド1の裏面1bは着用者の胸部に当てられ又は近接する胸部とされ、かつ、その裏面1bから内部に向かって自身の表面には開口せず裏面1b側に開口する閉じた空洞部1cが形成される。
【0021】
また、表面の凸曲面1aに対し、裏面1bが表面側に窪む凹曲面とされ、その裏面1bの凹曲率310は凸曲面1aの曲率(上側曲率302、下側曲率304、内側曲率307、脇側曲率309)より小さくなだらかに設定される。
【0022】
図5、6に示すように、空洞部1cにおける横断面での最大投影断面積S1に対し裏面1bの開口部1b1の開口面積S2の方が小さくなるように、空洞部1cが開口する部分には内向きに突出するリング状のフランジ部1dが狭窄部1eとして形成される。これによってフランジ部1dの開口が裏面1bにおける空洞部1cの開口とされる。
【0023】
図6に示す空洞部1cの最大投影断面積S1に対し開口部1b1の開口面積S2の比が、0.2〜0.9の範囲に設定され、より好ましくは0.4〜0.7の範囲に設定され、これにより、凸曲面1aの中央部位1a1の近傍部位が下着201の着用時における保持状態でへこんでしまうことが防止される。
【0024】
また、フランジ部1dが内向きに突出するその寸法としては、上下方向Yにおける一方の下部縁1a3側におけるフランジ部1dの突出寸法h2を他の残りのフランジ部1dの突出寸法h1よりも長寸法に形成している。この他の残りのフランジ部1dの突出寸法h1は概ね同じ寸法としている。
【0025】
また、空洞部1cは、裏面1bから表面側に向かって凸となる凹曲面1fで形成される。この凹曲面1fと凸曲面1aとの間の肉厚T1は、フランジ部1dを除いてほぼ等しくされ、フランジ部1dの肉厚T2は肉厚T1と同等かそれより小さく又は大きくされる。
【0026】
なお、図5、図6におけるフランジ部1dの表面1d1と凹曲面1fとが繋がる連続部には、全周にわたり内向きのアール面1f1が緩やかな所定曲率で形成されている。このためフランジ部1dと凹曲面1fと連続箇所である、フランジ部1dの基部側の肉厚はフランジ部1dの先端側の肉厚に比べて実質的に厚くなる。
【0027】
このように疑似乳房パッド1全体としてフランジ部1dの基部側の肉厚が厚みを増した状態で連続形成される一体物としてのドーム状を呈することにより、上部縁1a2、下部縁1a3、内側縁1a4、脇側縁1a5が全周にわたり剛性が高まり、いわば基部の剛性・安定性が高まることにより、中央部位1a1の膨出形態(ドーム形態)も安定に保持されやすくなる。
【0028】
疑似乳房パッド1は左右方向Xを長手方向とする正面視で横長の楕円状の形態を有している。また、空洞部1cもそれに概ね合わせて横長の楕円状に形成され、かつ、フランジ部1d及びその開口部1b1も空洞部1cより概ね相似的に小さい横長の楕円状とされる。
【0029】
以上の実施例では、疑似乳房パッド1のフランジ部1dが環状(リング状)に連続して形成された例を示したが、図7に示すように、フランジ部1dが空洞部1cの開口部1b1に所定の間隔で間欠的(不連続)に形成されてもよい。
【0030】
また、疑似乳房パッド1は、それを成形するための軟質樹脂(例えばシリコーンゴム)を、一般的な着色剤(付加型液状シリコーンゴム用)としての所定色の顔料によって乳房色に近似させる色で着色される。
【0031】
疑似乳房パッド1を成形するための軟質樹脂としては、室温硬化型のシリコーンゴム、主剤と硬化剤との混合による2液付加反応型RTVシリコーンゴムなどがある。このシリコーンゴムの例として、「米国、ファクター2社製:VST−30、VST−50、VST−50F、VST−50HD、A−2000」、また、「東レ・ダウコーニング社製:SH9555RTV、9556RTV、MDX4−4210」、また、「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製:TSE3453、TSE3456T、TSE3475T、TSE3431、YE5626」、また、「信越化学工業社製:KE−1308、KE−1300T、KE−1310ST、KE−1314−2、KE−1316、KE−1310ST、KE−1600、KE−1603(A/B)、KE−1606、SIM―260、SIM―240」、また、「旭化成ワッカーシリコーン社製:DENTAL ADS931 A/B、M4600A/B、M4641A/B、M4644A/B、M4645A/B、P7613A/B、P7664A/B」などを挙げることができる。室温(常温とも言われ、その温度は日本工業規格(JISZ8703)では20℃±15℃とされている)でゴム状に硬化することにより疑似乳房パッド1が得られる。
【0032】
また、シリコーンゴムとしては、シリコン基本構成単位が連鎖となったシリコンポリマーのうち、長い分子鎖の一部ができた低架橋密度のものであって、弾性率が105N/m2 以下のものであり、耐熱安定性があり硬化収縮が小さい等の点から、付加反応型が好適である。
【0033】
例えば、硬化後において、ASTM―D―2240、タイプOOデユロメータの硬さが10〜50の範囲の硬さのものから任意に選択することができるが、シリコーンゴムの硬さの上からは、20〜40の範囲のシリコーンゴムを用いることが望ましい。なお、硬さが10(20)より小さくなると、軟らかすぎて取扱いが困難となり、一方、硬さが50(40)を越える場合には、シリコーンゴムが硬くなってしまう。
【0034】
また、顔料の例として、「米国、ファクター2社製:FE−235、FE−202、FE−200、FE−228」、「信越化学工業社製:K−COLOR−R20、K−COLOR−W10、K−COLOR−BL70、K−COLOR−Y40」、または、「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製:ME50−M、ME50−R2、ME50−W、ME50−Y」などを挙げることができる。
【0035】
疑似乳房パッド1は例えば次のように製作される。図9に示すように、各サイズによってマスターモデルを製作し、このマスターモデルを用いて雄型400(ポジモールド)、雌型401(ネガモールド)を含む成形型402を製作する。
【0036】
この成形型402の雌型401にシリコーンゴム404を注入し、その後、雄型400を型合せし、硬化後に離型して疑似乳房パッド1が製作される。
【0037】
この離型工程は、疑似乳房パッド1の裏面側の雄型400を雌型401から離型し、その後、雄型400側の疑似乳房パッド1を離型させる。
【0038】
なお、疑似乳房パッド1を、図10に示すように、射出成形によって成形することができ、この場合、雄型400、雌型401を閉じてキャビテイ405を形成し、そのキャビテイ405にシリコーンゴム404を注入し、その後、シリコーンゴム404を硬化させてその硬化物をエジェクタピン406を介して取り出すことにより、疑似乳房パッド1を得ることができる。
【0039】
本発明の疑似乳房パッド1は、図11、12に示すように、下着201としてのブラジャーのカップ部200によって包み込むように保持されて使用される。疑似乳房パッド1は弾性的な柔軟性を有するため、下着201で保持される際に、胸部中央に寄せるように、また上方へ持上げるように疑似乳房パッド1を弾性変形させた状態で下着201及び人体胸部(例えば乳房欠損箇所100)に密着させることができる。
【0040】
この保持状態においては、疑似乳房パッド1の長手方向を左右方向Xとしていることにより、カップ部200の上側から疑似乳房パッド1が部分的に露出する範囲を少なくできる。
【0041】
また、疑似乳房パッド1は、その着用時において、表面の凸曲面1aに対し、裏面1bが表面側に窪む凹曲面とされる。その凹曲率310は凸曲面1aの曲率(上側曲率302、下側曲率304、内側曲率307、脇側曲率309)より小さくなだらかにされているので、疑似乳房パッド1の裏面を直接胸部の肌に当てるようにして被服(下着201等)で保持される場合、緩やかな凹曲面のためにいわば吸盤のように作用して胸部の肌により密着しやすい効果が生じる。したがって、疑似乳房パッド1はブラジャー等の下着201で保持した状態で移動しにくく(ずれにくく)安定に保持される。
【0042】
図13は別の実施例の疑似乳房パッド11を示している。図に示すように、疑似乳房パッド11は楕円形状で形成される。その楕円形状の中心を通る水平方向Xの水平線X1及び左右方向Yの垂直線Y1に対して、凸曲面1a、開口部1b1、空洞部1c、フランジ部1d、凹曲面1fなどはそれぞれ左右対称及び上下対称に形成される。
【0043】
図14は別の実施例の疑似乳房パッド21を示している。図に示すように、疑似乳房パッド1は円形状で形成される。その円形状の中心を通る水平方向Xの水平線X1及び左右方向Yの垂直線Y1に対して、凸曲面1a、開口部1b1、空洞部1c、フランジ部1d、凹曲面1fなどはそれぞれ左右対称及び上下対称に形成されることにより、その形態を単純形態としている。
【0044】
図15は別の実施例の疑似乳房パッド31の他の変形例を示している。図に示すように、疑似乳房パッド21のフランジ部1dの断面形態として、空洞部1cの凹曲面1fが滑らかかつ連続的にフランジ部1dにつながるものでもよい。
【0045】
図16は別の実施例の疑似乳房パッド41を示している。図に示すように、垂直断面(例えば図13の垂直線Y1での断面形状)において、中心部の厚みTminが相対的に薄くされ、フランジ部1d側ほどその厚みTが増加するようにしている。これにより疑似乳房パッド1としてその外縁側1gの形態がより安定する。
【0046】
なお、疑似乳房パッド1を保持する被服としては、ブラジャー等に限らず、ボディスーツなどの上下がつながった下着(矯正下着を含む)でもよく、また、下着でなく水着(ビキニなどのツーピース型、上下がつながったワンピース型のいずれでもよい)、さらには、人体の胸部をある程度締め付ける機能のある被服であれば、本発明の疑似乳房パッド1を使用できる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、また、各々の実施の形態は、本発明の説明のために一つ実施形態の部分として述べられている構成を、別の実施の形態において利用し、更にこれらを組み合わせて別の実施の形態とすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1、11、21、31、41 疑似乳房パッド
1a 凸曲面
1b 裏面
1c 空洞部
1d フランジ部
1e 狭窄部
1f 凹曲面
200 カップ部
201 下着
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳房の喪失個所の胸部又は乳房の隆起が無いか若しくは乏しい個所の胸部に当てられ、少なくとも胸部を被う被服で保持される疑似乳房パッドにおいて、
シリコーンゴム等の軟質樹脂からなり、表面が乳房の膨らみを疑似的に表した凸曲面とされ、反対側が前記胸部に当てられ又は近接する裏面とされ、かつ、その裏面から内部に向かって前記表面には開口せず、その裏面に開口する閉じた空洞部が形成され、その空洞部の前記裏面に対する最大投影断面積に比べて前記裏面の開口面積の方が小さくなるように、前記空洞部が開口する部分には内向きに突出するフランジ部が狭窄部として形成されたことを特徴とする疑似乳房パッド。
【請求項2】
前記表面の前記凸曲面に対し、前記裏面が前記表面側に窪む凹曲面とされ、その凹曲面の曲率は前記凸曲面の曲率より小さくなだらかにされることを特徴とする請求項1に記載の疑似乳房パッド。
【請求項3】
前記空洞部の最大投影断面積に対し前記開口面積が、0.2〜0.9の範囲に設定されている請求項1又は2に記載の疑似乳房パッド。
【請求項4】
前記フランジ部は環状に連続して形成される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の疑似乳房パッド。
【請求項1】
乳房の喪失個所の胸部又は乳房の隆起が無いか若しくは乏しい個所の胸部に当てられ、少なくとも胸部を被う被服で保持される疑似乳房パッドにおいて、
シリコーンゴム等の軟質樹脂からなり、表面が乳房の膨らみを疑似的に表した凸曲面とされ、反対側が前記胸部に当てられ又は近接する裏面とされ、かつ、その裏面から内部に向かって前記表面には開口せず、その裏面に開口する閉じた空洞部が形成され、その空洞部の前記裏面に対する最大投影断面積に比べて前記裏面の開口面積の方が小さくなるように、前記空洞部が開口する部分には内向きに突出するフランジ部が狭窄部として形成されたことを特徴とする疑似乳房パッド。
【請求項2】
前記表面の前記凸曲面に対し、前記裏面が前記表面側に窪む凹曲面とされ、その凹曲面の曲率は前記凸曲面の曲率より小さくなだらかにされることを特徴とする請求項1に記載の疑似乳房パッド。
【請求項3】
前記空洞部の最大投影断面積に対し前記開口面積が、0.2〜0.9の範囲に設定されている請求項1又は2に記載の疑似乳房パッド。
【請求項4】
前記フランジ部は環状に連続して形成される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の疑似乳房パッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−331(P2013−331A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134294(P2011−134294)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(311002045)株式会社池山メディカルジャパン (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(311002045)株式会社池山メディカルジャパン (4)
【Fターム(参考)】
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