説明

疑似魚を用いたディスプレイ装置

【課題】 水中に有る疑似魚をあたかも生きているが如く、常時動いているディスプレイを安価に製作しょうと思考しているが、駆動装置として極小モーターを使用するとしても、水中での絶縁対策が非常に難しく、疑似魚にモーターを内蔵して動かす方式では、安価に作ることは望み薄いものである。
【解決の手段】 中空状の疑似魚の背中には浮力体を、重心位置に相当する腹には磁石を内蔵し、この磁石には針状支柱を下方に垂下させて、透明容器の水中に投入すると、あたかも針状支柱が透明容器の底板に立設したかのような疑似魚の姿態となる。一方、回転機構の出力軸に、疑似魚の磁石と引合うようにして、別態の磁石を止着して、この出力軸と針状支柱を対向するように、透明容器を設置するようにする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は駆動装置を有しないプラスチック製の疑似魚を、透明容器内の水中に沈下し、この魚に触れること無く、容器外の下方に設けた回転機構による間接的な誘引作用によって、水中の疑似魚をゆるやかに回動させることによって、その動く姿に興味を示すように成した、ディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
模型等の駆動装置として使用されている小型のモーターは水に弱く、水中で稼働させるには、電気の絶縁性を考慮しなけれならず、厳重なシール構造を必要とし、シールの摩擦抵抗も生じて、コスト高になることが避けられない、従って安価な玩具に属するようなものを、水中で動かすための動力源として、モーターを使用しているものは見当たらないばかりか、寡聞にして聞いたこともない。
【発明が解決しょうとする課題】
【0003】
大きさ重さ等が制約されたり、またコスト的にもきびしいものは、これまで世の中に数多くあったが、半導体技術の進歩によって小型軽量化が計られ、これらの間題点がクリアされ、また標準化や規格化よる量産によって、コストも大幅に低減されたものも大量に出回っているが、こうしたものの多くは電気エネルギーを利用するような製品であるから、絶縁問題について考慮しなければならない。
【0004】
例えば、樹脂製の疑似金魚を水中に沈めて観せる、水槽のディスプレイにしても、疑似金魚は水に浮く構造と成し、錘と金魚の間をテグスのような透明な糸で連結し、水に投入した場合には、疑似金魚が水の中に停止した状態と成したものであって、水を動かさない限り、金魚も動かず水中に静止した儘でいる。例え、疑似の金魚であっても、動けば一層展示効果が上がる筈であるが、動力源の電池とかモーターを水中に投入することは、極めて困難な問題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、樹脂で成形した中空状の疑似魚の背鰭の下側には発泡質の浮力体を内蔵し、この疑似魚の前後方向で、重さの平衡する重心位置付近の腹部の下面に、針状支柱を立設し、この針状支柱の上端部の腹部に磁石を内蔵することで、この疑似魚を水中に投入したとき、健全な魚の水中姿ような姿態を保持させると共に、疑似魚の容器としては円形又は四角形で、透明なものとする。
【0006】
一方、低速で回転するように成した、回転機構を筺体に設置し、この回転機構の出力軸を縦軸となるように配設し、この出力軸の上端に別態の磁石を、前記疑似魚の体内に設けた磁石と引き合うように配して、出力軸に止着する、また、この出力軸の磁石の上面に、前記透明容器の底板を接近させると共に、前記疑似魚の針状支柱の下端を出力軸の磁石の上面と対向させて配置し、透明容器の下面を、回転機構を格納する筺体の上縁で受けるようにして、透明容器を載置する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施例を示す図面を参照して説明する、図1は本発明のディスプレイの主役となる疑似魚の内部装置を明示するために、側面の一部を切除して示す側面図であり、疑似魚Aの内蔵物である浮力体1と磁石2を図示しており、外部の下方には針状支柱3を立設する。図2は回転機構の筺体Bの側壁の一部を切除して示すもので、本発明の全体の正面図である。
【0008】
図2の中で回転機構の大部分は筺体B内に隠れており、一部分の出力軸4のみ現していて、この出力軸4の先端部には磁石5が固着している。また、筺体Bには蓄電池(図示しない)が装入してあり、この筺体Bの上縁b1に載置した透明容器Dには水が注入してあり、この水中に投入されている疑似魚Aは一見すると、透明容器Dの底板d1に針状支柱3で支えられているかのように見える。
【0009】
即ち、疑似魚Aは中空状を成しており、この中空の体内で背鰭の直下に、独立発泡質の浮力体を充填させることによって、疑似魚Aの背の部分は水に浸るとも浸透すること無く、常に細かな気泡に満たされた状態となっている。また疑似魚Aの中空の体内に水が充満した状態において、疑似魚Aの長さ方向で、重さの平衡する箇所の腹部、つまり疑似魚Aの前後方向の重心位置に相当する腹の内部に、磁石2を埋込むことによって、疑似魚Aの水中での姿は腹部を下にした、通常の姿態をとるものである。
【0010】
また、磁石2には針状支柱3を固着し、この針状支柱3は疑似魚Aの腹の底部を挿通して、図に示すように疑似魚Aの鉛直方向に突出させてある。従って疑似魚Aの水中での姿勢は、あたかも透明容器Dの底板d1に一本足で立っているかのようにも見え、また細い針状支柱3であるから、疑似魚は水底近くに住んでいるかのように、透明容器Dの周囲より観察される。
【0011】
回転機構の出力軸4の先端部に設けた磁石5は、疑似魚Aの体内に内蔵した磁石2と互いに引合うように止着しており、また出力軸4の磁石5の上端面と透明容器Dの底板d1の下面とは接触すること無く、僅かの間隙を有しており、また、出力軸4は低速で回転させているものであるから、回転機構に加わる負荷が非常に小さく、極く小さなモーターであっても充分回転を伝達し得るものである。
【0012】
回転機構の筺体Bの上縁b1に透明容器Dの底板d1を載置し、この底板d1を挟んで、下方には出力軸4の磁石5を配し、上方にはこの磁石5に対向して針状支柱3を立設状に配置する、針状支柱3上部の疑似魚Aの腹内の磁石2は、出力軸4の回転する磁石5と引合っているから、疑似魚Aの磁石2には、出力軸4の回転に誘引されて、同期しようとする回転力が働くから、疑似魚Aは針状支柱3を中心として、回転しなければならない。即ち、疑似魚Aには直接回転を伝達するための駆動軸が連結されていなくとも、回転を行うことができるものである。
【実施例】
【0013】
針状支柱3と、この支柱3に固着している磁石2を疑似魚Aより分離し、この分離した針状支柱3の頂端と、疑似魚Aの腹部下面の腹鰭との間を、透明な釣り糸のテグスで連結し、これを水中に投入した場合でも、糸にヨリが加わり疑似魚Aは出力軸4の磁石5に誘引されて回転するようになる。このように糸によって疑似魚Aを透明容器Dの底板d1より離して、中間の水中にで観ることは、深い透明容器を使用する場合である。
【0014】
疑似魚Aを尾鰭と本体とを別個に成形し、尾鰭を左右に僅か旋回できるように構成して本体に嵌装し、また回転機構を小型で簡単な電子時計を用い、この時計の秒針軸を出力軸4とする事によって、小刻みな間欠回転となるから、疑似魚Aが間欠回転を受ける度毎水の抵抗を受けるから、尾鰭も水の圧力と休止を交互に受ける事によって、尾鰭が左右に振れて、より一層そう本物らしく見える。
【発明の効果】
【0015】
以上の如く、詳細に説明したところから明らかなように、本発明は疑似魚を水中で動かすように成したディスプレイ装置で有るが、通常、長時間に亘り動くようにする場合には、その動力源としてモーターを使用するのが普通である、然しながら、小型モーターや電池及び導線等を、水中において安価な手段で絶縁を保持する技術は非常に難しい問題であるため、本発明では駆動を行う回転機構を水中に沈める手段を選ばずに、水の入っている容器の外部から、磁石の誘引力を利用して、疑似魚を緩やかに回転させるものであって、疑似魚の背中部分に浮力体を、また重心位置の腹部に磁石を夫々内蔵して、疑似魚を水中での姿勢を保持すると同時に、水中では無重力に近い状態と成しているから、細い一本の針状支柱で支える事が可能と成るから、ごく小さな動力によって、疑似魚を回転させることができるようになるから、水中で動くディスプレイ装置も安価に提供できる等、本発明によれば記述した従来の問題点は良好に解決できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の疑似魚の側面の一部を切除して示す側面図である。
【図2】回転機構の筺体の側壁の一部を切除して示す、本発明の全体の正面図である。
【符号の説明】
A… 疑似魚、
B… 回転機構の筺体、 b1… 筺体の上縁、
D… 透明容器、 d1… 透明容器の底板、
1… 浮力体、
2… 疑似魚の体内の磁石、
3… 針状支柱、
4… 出力軸、
5… 出力軸の磁石。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂で成形した中空状の疑似魚の背鰭の下側に独立発泡質の浮力体を内蔵し、この疑似魚の前後の重さが平衡する重心位置付近の腹部下面に針状支柱を立設し、この針状支柱の上端部には磁石を内蔵して疑似魚を透明状の容器の水中に沈下するように成す、一方、低速で回る回転機構の出力軸の外方上端に別態の磁石を、前記疑似魚の体内に設けた磁石と引き合うように止着する、また、この出力軸の磁石に前記針状支柱の下端を対向させると共に、前記透明容器の底板を出力軸の磁石に接近させて回転機構の筺体の上縁に載置するように成した事を特徴とする疑似魚を用いたディスプレイ装置。
【請求項2】
針状支柱と、この支柱に固着する磁石を疑似魚より分離し、この分離した針状支柱の頂端部と、疑似魚の腹鰭との間に糸を掛け渡して連結し、これを透明容器の水中に沈下させるように成したことを特徴とする請求項1記載の疑似魚を用いたディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−252862(P2007−252862A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113857(P2006−113857)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(503122845)
【Fターム(参考)】