説明

疾患マーカー、および、疾患マーカーの測定方法

【課題】新規疾患マーカーと、これら疾患マーカーの簡便な測定方法とを提供すること。
【解決手段】ヒポキサンチン、5−オキソプロリン、ヘキサン酸、ブタン酸、ケノデオキシグリココール酸、オルトリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、α−アミノアジピン酸、N,N−ジメチルトリプタミン、ヒスチジン、ビオプテリン、コプロポルフィリン、エタノールアミン、コリン、メタコリン、カルニチン、ムスカリン、キヌレニン、イノシン、ヘキシルアミン、ベタイン、アミノ−γ−シアノブタン酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、ピペコリン酸、オルニチン、メチルイミダゾール酢酸、エタノールアミン・リン酸塩、グルタミン酸、メチオニンスルホキシド、フェニルアラニン、O−アセチルカルニチン、エルゴチオネイン、グアノシン、ピルビン酸、ペンタン酸、ヒドロキシイソブタン酸、プロリン、2−ヒドロキシペンタン酸、N−アセチル−β−アラニン、オクタン酸、グルタミン、シトラマル酸、メチオニン、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸、ムラミン酸、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、1−メチルアデノシン、及び、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩、からなるグループより選択される化合物である疾患マーカーとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疾患マーカー、および、血液中における疾患マーカーの測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患の診断方法として、疾患マーカーの測定が知られている。疾患マーカーは、患者の身体組織に、健常者に比べて、特異的に多く、または、少なく存在するため、疾患マーカーの量または濃度を測定することにより、疾患に罹患しているか否かを診断できる。さらに、疾患マーカーの量または濃度を測定することにより、タイプや病期を予測して、適切な薬剤や治療方法を選択することが可能となる。また、再発を調べる経過観察方法としても使用できる。
【0003】
これまでは、cDNAマイクロアレイやプロテインチップの解析等によって同定された、肺癌特異的に発現が検出される遺伝子(例えば、特許文献1参照)や、タンパク質(例えば、特許文献2参照)等の、高分子物質が、主に疾患マーカーとして用いられてきた。
一方で、生体内における低分子化合物を疾患マーカーとして着目した例は、腎臓癌(非特許文献1参照)や薬物性肝炎(非特許文献2参照)について報告されているものなどの、ごく僅かに限られている。
【特許文献1】国際公開 WO2004/031413
【特許文献2】国際公開 WO2005/098445
【非特許文献1】Molecular Cancer, 5, 64(pp.1-17), 2006
【非特許文献2】J. Biol. Chem. 281, 24(pp.16768-16776), 2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、新規疾患マーカーと、これら疾患マーカーの簡便な測定方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、疾患に罹患している患者の血液から、新規疾患マーカーとなる49種の化合物を見出した。さらに、患者の血液を用いて、これら疾患マーカーを簡便に測定する方法を確立した。
【0006】
なお、本明細書中で、「疾患マーカーとして使用できる」「ある疾患に罹患していると診断できる」等とは、そのマーカーだけで確定診断できる場合だけでなく、他の診断結果も考慮して、初めて確定診断できる場合も含むものとする。例えば、ある化学物質が複数の疾患でマーカーになりうる場合、他の診断方法で一方の疾患を排除できるような場合であっても上記表現を使用するものとする。
【0007】
即ち、本発明は下記の通りである。
(I)ヒポキサンチン、5−オキソプロリン、ヘキサン酸、ブタン酸、ケノデオキシグリココール酸、オルトリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、α−アミノアジピン酸、N,N−ジメチルトリプタミン、ヒスチジン、ビオプテリン、コプロポルフィリン、エタノールアミン、コリン、メタコリン、カルニチン、ムスカリン、キヌレニン、イノシン、ヘキシルアミン、ベタイン、アミノ−γ−シアノブタン酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、ピペコリン酸、オルニチン、メチルイミダゾール酢酸、エタノールアミン・リン酸塩、グルタミン酸、メチオニンスルホキシド、フェニルアラニン、O−アセチルカルニチン、エルゴチオネイン、グアノシン、ピルビン酸、ペンタン酸、ヒドロキシイソブタン酸、プロリン、2−ヒドロキシペンタン酸、N−アセチル−β−アラニン、オクタン酸、グルタミン、シトラマル酸、メチオニン、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸、ムラミン酸、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、1−メチルアデノシン、及び、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩、からなるグループより選択される化合物である疾患マーカー。
【0008】
(II)ヒポキサンチンである疾患マーカーであって、前記疾患が、子宮内膜症、または、高脂血症である疾患マーカー。
【0009】
(III)5−オキソプロリンである疾患マーカーであって、前記疾患が、子宮内膜症である疾患マーカー。
【0010】
(IV)ヘキサン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、胃癌、または、高脂血症である疾患マーカー。
【0011】
(V)ブタン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、胃癌である疾患マーカー。
【0012】
(VI)ケノデオキシグリココール酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、肝硬変である疾患マーカー。
【0013】
(VII)オルトリン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、肝硬変、または、糖尿病である疾患マーカー。
【0014】
(VIII)ペラルゴン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、糖尿病、または、膵臓癌である疾患マーカー。
【0015】
(IX)ラウリン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、肺癌である疾患マーカー。
【0016】
(X)α−アミノアジピン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、肺癌である疾患マーカー。
【0017】
(XI)N,N−ジメチルトリプタミンである疾患マーカーであって、前記疾患が、糖尿病である疾患マーカー。
【0018】
(XII)ヒスチジンである疾患マーカーであって、前記疾患が、乳癌である疾患マーカー。
【0019】
(XIII)ビオプテリンである疾患マーカーであって、前記疾患が、乳癌である疾患マーカー。
【0020】
(XIV)コプロポルフィリンである疾患マーカーであって、前記疾患が、膵臓癌である疾患マーカー。
【0021】
(XV)エタノールアミンである疾患マーカーであって、前記疾患が、胃癌、肝硬変、糖尿病、高脂血症、または、肺癌である疾患マーカー。
【0022】
(XVI)コリンである疾患マーカーであって、前記疾患が、胃癌、糖尿病、高脂血症、肺癌、または、膵臓癌である疾患マーカー。
【0023】
(XVII)メタコリンである疾患マーカーであって、前記疾患が、子宮内膜症、高脂血症、肺癌、または、乳癌である疾患マーカー。
【0024】
(XVIII)カルニチンである疾患マーカーであって、前記疾患が、乳癌である疾患マーカー。
【0025】
(XIX)ムスカリンである疾患マーカーであって、前記疾患が、高脂血症、肺癌、または、乳癌である疾患マーカー。
【0026】
(XX)キヌレニンである疾患マーカーであって、前記疾患が、肝硬変、または、肺癌である疾患マーカー。
【0027】
(XXI)イノシンである疾患マーカーであって、前記疾患が、子宮内膜症、糖尿病、高脂血症、または、肺癌である疾患マーカー。
【0028】
(XXII)ヘキシルアミンである疾患マーカーであって、前記疾患が、肝硬変である疾患マーカー。
【0029】
(XXIII)ベタインである疾患マーカーであって、前記疾患が、肝硬変、または、肺癌である疾患マーカー。
【0030】
(XXIV)アミノ−γ−シアノブタン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、乳癌である疾患マーカー。
【0031】
(XXV)1−アミノシクロペンタンカルボン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、糖尿病である疾患マーカー。
【0032】
(XXVI)ピペコリン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、肝硬変、または、肝癌である疾患マーカー。
【0033】
(XXVII)オルニチンである疾患マーカーであって、前記疾患が、肺癌、または、糖尿病である疾患マーカー。
【0034】
(XXVIII)メチルイミダゾール酢酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、肺癌である疾患マーカー。
【0035】
(XXIX)エタノールアミン・リン酸塩である疾患マーカーであって、前記疾患が、糖尿病である疾患マーカー。
【0036】
(XXX)グルタミン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、子宮内膜症、胃癌、糖尿病、高脂血症、肺癌、または、膵臓癌である疾患マーカー。
【0037】
(XXXI)メチオニンスルホキシドである疾患マーカーであって、前記疾患が、肝硬変である疾患マーカー。
【0038】
(XXXII)フェニルアラニンである疾患マーカーであって、前記疾患が、肝硬変、高脂血症、肺癌、または、乳癌である疾患マーカー。
【0039】
(XXXIII)O−アセチルカルニチンである疾患マーカーであって、前記疾患が、子宮内膜症、または、高脂血症である疾患マーカー。
【0040】
(XXXIV)エルゴチオネインである疾患マーカーであって、前記疾患が、糖尿病である疾患マーカー。
【0041】
(XXXV)グアノシンである疾患マーカーであって、前記疾患が、肺癌である疾患マーカー。
【0042】
(XXXVI)ピルビン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、膵臓癌である疾患マーカー。
【0043】
(XXXVII)ペンタン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、肺癌である疾患マーカー。
【0044】
(XXXVIII)ヒドロキシイソブタン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、胃癌、肝硬変、または、糖尿病である疾患マーカー。
【0045】
(XXXIX)プロリンである疾患マーカーであって、前記疾患が、肺癌である疾患マーカー。
【0046】
(XL)2−ヒドロキシペンタン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、肝硬変である疾患マーカー。
【0047】
(XLI)N−アセチル−β−アラニンである疾患マーカーであって、前記疾患が、子宮内膜症である疾患マーカー。
【0048】
(XLII)オクタン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、糖尿病、高脂血症、または、肺癌である疾患マーカー。
【0049】
(XLIII)グルタミンである疾患マーカーであって、前記疾患が、高脂血症である疾患マーカー。
【0050】
(XLIV)シトラマル酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、糖尿病である疾患マーカー。
【0051】
(XLV)メチオニンである疾患マーカーであって、前記疾患が、肝硬変、または、肝癌である疾患マーカー。
【0052】
(XLVI)6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、肺癌である疾患マーカー。
【0053】
(XLVII)ムラミン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、肺癌である疾患マーカー。
【0054】
(XLVIII)2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミドである疾患マーカーであって、前記疾患が、高脂血症、または、肺癌である疾患マーカー。
【0055】
(XLIX)1−メチルアデノシンである疾患マーカーであって、前記疾患が、肝硬変、または、糖尿病である疾患マーカー。
【0056】
(L)3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩である疾患マーカーであって、前記疾患が、肝硬変、高脂血症、肺癌、乳癌、または、肝癌である疾患マーカー。
【0057】
(LI)(I)〜(L)のいずれかに記載の疾患マーカーであって、採取された血液中の含有量が測定されることを特徴とする、疾患マーカー。
【0058】
(LII)採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法であって、前記特定の化合物が、(I)に記載の1つまたは複数の化合物の含有量であることを特徴とする方法。
【0059】
(LIII)採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法であって、前記特定の化合物が、ヒポキサンチン及び5−オキソプロリンであることを特徴とする方法。
【0060】
(LIV)採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法であって、前記特定の化合物が、ヘキサン酸及びブタン酸であることを特徴とする方法。
【0061】
(LV)採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法であって、前記特定の化合物が、ケノデオキシグリココール酸及びオルトリン酸であることを特徴とする方法。
【0062】
(LVI)採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法であって、前記特定の化合物が、オルトリン酸及びペラルゴン酸であることを特徴とする測定方法。
【0063】
(LVII)採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法であって、前記特定の化合物が、ヒポキサンチン及びヘキサン酸であることを特徴とする測定方法。
【0064】
(LVIII)採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法であって、前記特定の化合物が、ラウリン酸及びα−アミノアジピン酸であることを特徴とする測定方法。
【0065】
(LIX)採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法であって、前記特定の化合物が、ヒスチジン及びビオプテリンであることを特徴とする測定方法。
【0066】
(LX)採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法であって、前記特定の化合物が、コプロポルフィリン及びペラルゴン酸であることを特徴とする測定方法。
【0067】
(LXI)前記採取された血液をキャピラリー電気泳動装置を用いて分離する工程、および、前記電気泳動によって得られる前記特定の化合物が含有される画分に含まれる、前記特定の化合物の含有量を測定する工程、を含むことを特徴とする、(LII)〜(LX)のいずれかに記載の測定方法。
【0068】
(LXII)前記含有量を測定する工程は、質量分析計を用いて行われることを特徴とする、(LXI)に記載の測定方法。
【0069】
(LXIII)採取された血液に含まれる、ヒポキサンチンの含有量が5.6 μmol/L以上、または、5−オキソプロリンの含有量が15.7 μmol/L以下、のいずれか1つ以上の条件を満たす前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0070】
(LXIV)採取された血液に含まれる、ヘキサン酸の含有量が15.9 μmol/L以下、または、ブタン酸の含有量が10.9 μmol/L以上、のいずれか1つ以上の条件を満たす前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0071】
(LXV)採取された血液に含まれる、ヒポキサンチンの含有量が7.3 μmol/L以上、または、ヘキサン酸の含有量が11.8 μmol/L以下、のいずれか1つ以上の条件を満たす前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0072】
(LXVI)採取された血液に含まれる、ラウリン酸の含有量が295.1 μmol/L以下、または、α−アミノアジピン酸の含有量が1.3 μmol/L以上、のいずれか1つ以上の条件を満たす前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0073】
(LXVII)採取された血液に含まれる、キヌレニンの含有量が0.9 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0074】
(LXVIII)採取された血液に含まれる、ヘキシルアミンの含有量が2.2 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0075】
(LXIX)採取された血液に含まれる、ベタインの含有量が40.6 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0076】
(LXX)採取された血液に含まれる、1−アミノシクロペンタンカルボン酸の含有量が1.7 μmol/L以下である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0077】
(LXXI)採取された血液に含まれる、ピペコリン酸の含有量が1.3 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0078】
(LXXII)採取された血液に含まれる、オルニチンの含有量が13.7 μmol/L以下または40.8 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0079】
(LXXIII)採取された血液に含まれる、メチオニンスルホキシドの含有量が1.1 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0080】
(LXXIV)採取された血液に含まれる、O−アセチルカルニチンの含有量が13.2 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0081】
(LXXV)採取された血液に含まれる、グアノシンの含有量が0.7 μmol/L以下である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0082】
(LXXVI)採取された血液に含まれる、ピルビン酸の含有量が1.7 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0083】
(LXXVII)採取された血液に含まれる、ペンタン酸の含有量が14.1 μmol/L以下である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0084】
(LXXVIII)採取された血液に含まれる、ヒドロキシイソブタン酸の含有量が20.0 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0085】
(LXXIX)採取された血液に含まれる、プロリンの含有量が95.1 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0086】
(LXXX)採取された血液に含まれる、2−ヒドロキシペンタン酸の含有量が25.9 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0087】
(LXXXI)採取された血液に含まれる、グルタミンの含有量が578.9 μmol/L以下である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0088】
(LXXXII)採取された血液に含まれる、メチオニンの含有量が31.9 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0089】
(LXXXIII)採取された血液に含まれる、ムラミン酸の含有量が28.6 μmol/L以上である前記血液を特定することを特徴とする、血液特定方法。
【0090】
(LXXXIV)疾患の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれる、ヒポキサンチン、5−オキソプロリン、ヘキサン酸、ブタン酸、ケノデオキシグリココール酸、オルトリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、α−アミノアジピン酸、N,N−ジメチルトリプタミン、ヒスチジン、ビオプテリン、コプロポルフィリン、エタノールアミン、コリン、メタコリン、カルニチン、ムスカリン、キヌレニン、イノシン、ヘキシルアミン、ベタイン、アミノ−γ−シアノブタン酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、ピペコリン酸、オルニチン、メチルイミダゾール酢酸、エタノールアミン・リン酸塩、グルタミン酸、メチオニンスルホキシド、フェニルアラニン、O−アセチルカルニチン、エルゴチオネイン、グアノシン、ピルビン酸、ペンタン酸、ヒドロキシイソブタン酸、プロリン、2−ヒドロキシペンタン酸、N−アセチル−β−アラニン、オクタン酸、グルタミン、シトラマル酸、メチオニン、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸、ムラミン酸、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、1−メチルアデノシン、及び、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩、からなるグループより選択される化合物である疾患マーカーの含有量を測定する工程と、前記測定された含有量を、健常な前記脊椎動物の血液における前記疾患マーカーの含有量と比較する工程とを含む、疾患の診断方法。
【0091】
(LXXXV)子宮内膜症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるヒポキサンチン及び5−オキソプロリンの含有量を測定する工程と、前記測定されたヒポキサンチン及び5−オキソプロリンの含有量を、健常な前記脊椎動物の血液におけるヒポキサンチン及び5−オキソプロリンの含有量と比較する工程とを含む、子宮内膜症の診断方法。
【0092】
(LXXXVI)胃癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるヘキサン酸及びブタン酸の含有量を測定する工程と、前記測定されたヘキサン酸及びブタン酸の含有量を、健常な前記脊椎動物の血液におけるヘキサン酸及びブタン酸の含有量と比較する工程とを含む、胃癌の診断方法。
【0093】
(LXXXVII)肝硬変の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるケノデオキシグリココール酸及びオルトリン酸の含有量を測定する工程と、前記測定されたケノデオキシグリココール酸及びオルトリン酸の含有量を、健常な前記脊椎動物の血液におけるケノデオキシグリココール酸及びオルトリン酸の含有量と比較する工程とを含む、肝硬変の診断方法。
【0094】
(LXXXVIII)糖尿病の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるオルトリン酸及びペラルゴン酸の含有量を測定する工程と、前記測定されたオルトリン酸及びペラルゴン酸の含有量を、健常な前記脊椎動物の血液におけるオルトリン酸及びペラルゴン酸の含有量と比較する工程とを含む、糖尿病の診断方法。
【0095】
(LXXXIX)高脂血症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるヒポキサンチン及びヘキサン酸の含有量を測定する工程と、前記測定されたヒポキサンチン及びヘキサン酸の含有量を、健常な前記脊椎動物の血液におけるヒポキサンチン及びヘキサン酸の含有量と比較する工程とを含む、高脂血症の診断方法。
【0096】
(XC)肺癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるラウリン酸及びα−アミノアジピン酸の含有量を測定する工程と、前記測定されたラウリン酸及びα−アミノアジピン酸の含有量を、健常な前記脊椎動物の血液におけるラウリン酸及びα−アミノアジピン酸の含有量と比較する工程とを含む、肺癌の診断方法。
【0097】
(XCI)乳癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるヒスチジン及びビオプテリンの含有量を測定する工程と、前記測定されたヒスチジン及びビオプテリンの含有量を、健常な前記脊椎動物の血液におけるヒスチジン及びビオプテリンの含有量と比較する工程とを含む、乳癌の診断方法。
【0098】
(XCII)膵臓癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるコプロポルフィリン及びペラルゴン酸の含有量を測定する工程と、前記測定されたコプロポルフィリン及びペラルゴン酸の含有量を、健常な前記脊椎動物の血液におけるコプロポルフィリン及びペラルゴン酸の含有量と比較する工程とを含む、膵臓癌の診断方法。
【0099】
(XCIII)子宮内膜症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるヒポキサンチンの含有量が5.6 μmol/L以上であるか否かを調べる工程と、前記ヒポキサンチンの含有量が5.6 μmol/L以上である場合に、前記脊椎動物が子宮内膜症に罹患していると判定する工程とを含む、子宮内膜症の診断方法。
【0100】
(XCIV)子宮内膜症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれる5−オキソプロリンの含有量が15.7 μmol/L以下であるか否かを調べる工程と、前記5−オキソプロリンの含有量が15.7 μmol/L以下である場合に、前記脊椎動物が子宮内膜症に罹患していると判定する工程とを含む、子宮内膜症の診断方法。
【0101】
(XCV)子宮内膜症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるヒポキサンチンの含有量が5.6 μmol/L以上であって、前記採血された血液に含まれる5−オキソプロリンの含有量が15.7 μmol/L以下であるか否かを調べる工程と、前記ヒポキサンチンの含有量が5.6 μmol/L以上であって、前記5−オキソプロリンの含有量が15.7 μmol/L以下である場合に、前記脊椎動物が子宮内膜症に罹患していると判定する工程とを含む、子宮内膜症の診断方法。
【0102】
(XCVI)胃癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるヘキサン酸の含有量が15.9 μmol/L以下であるか否かを調べる工程と、前記ヘキサン酸の含有量が15.9 μmol/L以下である場合に、前記脊椎動物が胃癌に罹患していると判定する工程とを含む、胃癌の診断方法。
【0103】
(XCVII)胃癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるブタン酸の含有量が10.9 μmol/L以上であるか否かを調べる工程と、前記測ブタン酸の含有量が10.9 μmol/L以上である場合に、前記脊椎動物が胃癌に罹患していると判定する工程とを含む、胃癌の診断方法。
【0104】
(XCVIII)胃癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるヘキサン酸の含有量が15.9 μmol/L以下であって、前記採血された血液に含まれるブタン酸の含有量が10.9 μmol/L以上であるか否かを調べる工程と、前記ヘキサン酸の含有量が15.9 μmol/L以下であって、前記ブタン酸の含有量が10.9 μmol/L以上である場合に、前記脊椎動物が胃癌に罹患していると判定する工程を含む、胃癌の診断方法。
【0105】
(XCIX)高脂血症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるヒポキサンチンの含有量が7.3 μmol/L以上であるか否かを調べる工程と、前記ヒポキサンチンの含有量が7.3 μmol/L以上である場合に、前記脊椎動物が高脂血症に罹患していると判定する工程とを含む、高脂血症の診断方法。
【0106】
(C)高脂血症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるヘキサン酸の含有量が11.8 μmol/L以下であるか否かを調べる工程と、前記ヘキサン酸の含有量が11.8 μmol/L以下である場合に、前記脊椎動物が高脂血症に罹患していると判定する工程とを含む、高脂血症の診断方法。
【0107】
(CI)高脂血症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるヒポキサンチンの含有量が7.3 μmol/L以上であって、前記採血された血液に含まれるヘキサン酸の含有量が11.8 μmol/L以下であるか否かを調べる工程と、前記ヒポキサンチンの含有量が7.3 μmol/L以上であって、前記ヘキサン酸の含有量が11.8 μmol/L以下である場合に、前記脊椎動物が高脂血症に罹患していると判定する工程とを含む、高脂血症の診断方法。
【0108】
(CII)肺癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるラウリン酸の含有量が295.1 μmol/L以下であるか否かを調べる工程と、前記ラウリン酸の含有量が295.1 μmol/L以下である場合に、前記脊椎動物が肺癌に罹患していると判定する工程とを含む、肺癌の診断方法。
【0109】
(CIII)肺癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるα−アミノアジピン酸の含有量が1.3 μmol/L以上であるか否かを調べる工程と、前記α−アミノアジピン酸の含有量が1.3 μmol/L以上である場合に、前記脊椎動物が肺癌に罹患していると判定する工程とを含む、肺癌の診断方法。
【0110】
(CIV)肺癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液に含まれるラウリン酸の含有量が295.1 μmol/L以下であって、前記採血された血液に含まれるα−アミノアジピン酸の含有量が1.3 μmol/L以上であるか否かを調べる工程と、前記ラウリン酸の含有量が295.1 μmol/L以下であって、前記α−アミノアジピン酸の含有量が1.3 μmol/L以上である場合に、前記脊椎動物が肺癌に罹患していると判定する工程とを含む、肺癌の診断方法。
【0111】
(CV)子宮内膜症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/Lメチオニンスルホンとを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、メチオニンスルホン、及び、ヒポキサンチンの含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定されたメチオニンスルホンのピーク面積に対する、前記測定されたヒポキサンチンのピーク面積の比が0.0676以上であるか否かを調べる工程と、前記ヒポキサンチンのピーク面積比が0.0676以上である場合に、前記脊椎動物が子宮内膜症に罹患していると判定する工程とを含む、子宮内膜症の診断方法。
【0112】
(CVI)子宮内膜症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、及び、5−オキソプロリンの含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定された5−オキソプロリンのピーク面積の比が0.0819以下であるか否かを調べる工程と、前記5−オキソプロリンのピーク面積比が0.0819以下である場合に、前記脊椎動物が子宮内膜症に罹患していると判定する工程とを含む、子宮内膜症の診断方法。
【0113】
(CVII)子宮内膜症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/Lメチオニンスルホン及び90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、メチオニンスルホン、10−カンファースルホン酸、ヒポキサンチン、及び、5−オキソプロリンの含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定されたメチオニンスルホンのピーク面積に対する、前記測定されたヒポキサンチンのピーク面積の比が0.0676以上であって、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定された5−オキソプロリンのピーク面積の比が0.0819以下であるか否かを調べる工程と、前記ヒポキサンチンのピーク面積比が0.0676以上であって、前記5−オキソプロリンのピーク面積比が0.0819以下である場合に、前記脊椎動物が子宮内膜症に罹患していると判定する工程とを含む、子宮内膜症の診断方法。
【0114】
(CVIII)胃癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、及び、ヘキサン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたヘキサン酸のピーク面積の比が0.0747以下であるか否かを調べる工程と、前記ヘキサン酸のピーク面積比が0.0747以下である場合に、前記脊椎動物が胃癌に罹患していると判定する工程とを含む、胃癌の診断方法。
【0115】
(CIX)胃癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、及び、ブタン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたブタン酸のピーク面積の比が0.0287以上であるか否かを調べる工程と、前記ブタン酸のピーク面積比が0.0287以上である場合に、前記脊椎動物が胃癌に罹患していると判定する工程とを含む、胃癌の診断方法。
【0116】
(CX)胃癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、ヘキサン酸、及び、ブタン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたヘキサン酸のピーク面積の比が0.0747以下であって、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたブタン酸のピーク面積の比が0.0287以上であるか否かを調べる工程と、前記ヘキサン酸のピーク面積比が0.0747以下であって、前記ブタン酸のピーク面積比が0.0287以上である場合に、前記脊椎動物が胃癌に罹患していると判定する工程とを含む、胃癌の診断方法。
【0117】
(CXI)肝硬変の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、及び、ケノデオキシグリココール酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたケノデオキシグリココール酸のピーク面積の比が0.0500以上であるか否かを調べる工程と、前記ケノデオキシグリココール酸のピーク面積比が0.0500以上である場合に、前記脊椎動物が肝硬変に罹患していると判定する工程とを含む、肝硬変の診断方法。
【0118】
(CXII)肝硬変の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、及び、オルトリン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたオルトリン酸のピーク面積の比が0.3488以下であるか否かを調べる工程と、前記オルトリン酸のピーク面積比が0.3488以下である場合に、前記脊椎動物が肝硬変に罹患していると判定する工程とを含む、肝硬変の診断方法。
【0119】
(CXIII)肝硬変の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、ケノデオキシグリココール酸、及び、オルトリン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたケノデオキシグリココール酸のピーク面積の比が0.0500以上であって、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたオルトリン酸のピーク面積の比が0.3488以下であるか否かを調べる工程と、前記ケノデオキシグリココール酸のピーク面積比が0.0500以上であって、前記オルトリン酸のピーク面積比が0.3488以下である場合に、前記脊椎動物が肝硬変に罹患していると判定する工程とを含む、肝硬変の診断方法。
【0120】
(CXIV)糖尿病の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、及び、オルトリン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたオルトリン酸のピーク面積の比が0.5190以上であるか否かを調べる工程と、前記オルトリン酸のピーク面積比が0.5190以上である場合に、前記脊椎動物が糖尿病に罹患していると判定する工程とを含む、糖尿病の診断方法。
【0121】
(CXV)糖尿病の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、及び、ペラルゴン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたペラルゴン酸のピーク面積の比が0.1089以下であるか否かを調べる工程と、前記ペラルゴン酸のピーク面積比が0.1089以下である場合に、前記脊椎動物が糖尿病に罹患していると判定する工程とを含む、糖尿病の診断方法。
【0122】
(CXVI)糖尿病の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、オルトリン酸、及び、ペラルゴン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたオルトリン酸のピーク面積の比が0.5190以上であって、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたペラルゴン酸のピーク面積の比が0.1089以下であるか否かを調べる工程と、前記オルトリン酸のピーク面積比が0.5190以上であって、前記ペラルゴン酸のピーク面積比が0.1089以下である場合に、前記脊椎動物が糖尿病に罹患していると判定する工程とを含む、糖尿病の診断方法。
【0123】
(CXVII)高脂血症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/Lメチオニンスルホンとを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、メチオニンスルホン、及び、ヒポキサンチンの含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定されたメチオニンスルホンのピーク面積に対する、前記測定されたヒポキサンチンのピーク面積の比が0.0888以上であるか否かを調べる工程と、前記ヒポキサンチンのピーク面積比が0.0888以上である場合に、前記脊椎動物が高脂血症に罹患していると判定する工程とを含む、高脂血症の診断方法。
【0124】
(CXVIII)高脂血症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、及び、ヘキサン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたヘキサン酸のピーク面積の比が0.0553以下であるか否かを調べる工程と、前記ヘキサン酸のピーク面積比が0.0553以下である場合に、前記脊椎動物が高脂血症に罹患していると判定する工程とを含む、高脂血症の診断方法。
【0125】
(CXIX)高脂血症の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/Lメチオニンスルホン及び90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、メチオニンスルホン、10−カンファースルホン酸、ヒポキサンチン、及び、ヘキサン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定されたメチオニンスルホンのピーク面積に対する、前記測定されたヒポキサンチンのピーク面積の比が0.0888以上であって、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたヘキサン酸のピーク面積の比が0.0553以下であるか否かを調べる工程と、前記ヒポキサンチンのピーク面積比が0.0888以上であって、前記ヘキサン酸のピーク面積比が0.0553以下である場合に、前記脊椎動物が高脂血症に罹患していると判定する工程とを含む、高脂血症の診断方法。
【0126】
(CXX)肺癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、及び、ラウリン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたラウリン酸のピーク面積の比が0.0608以下であるか否かを調べる工程と、前記ラウリン酸のピーク面積比が0.0608以下である場合に、前記脊椎動物が肺癌に罹患していると判定する工程とを含む、肺癌の診断方法。
【0127】
(CXXI)肺癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/Lメチオニンスルホンとを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、メチオニンスルホン、及び、α−アミノアジピン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定されたメチオニンスルホンのピーク面積に対する、前記測定されたα−アミノアジピン酸のピーク面積の比が0.0162以上であるか否かを調べる工程と、前記α−アミノアジピン酸のピーク面積比が0.0162以上である場合に、前記脊椎動物が肺癌に罹患していると判定する工程とを含む、肺癌の診断方法。
【0128】
(CXXII)肺癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/Lメチオニンスルホン及び90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、メチオニンスルホン、10−カンファースルホン酸、ラウリン酸、及び、α−アミノアジピン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたラウリン酸のピーク面積の比が0.0608以下であって、前記測定されたメチオニンスルホンのピーク面積に対する、前記測定されたα−アミノアジピン酸のピーク面積の比が0.0162以上であるか否かを調べる工程と、前記ラウリン酸のピーク面積比が0.0608以下であって、前記α−アミノアジピン酸のピーク面積比が0.0162以上である場合に、前記脊椎動物が肺癌に罹患していると判定する工程とを含む、肺癌の診断方法。
【0129】
(CXXIII)乳癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/Lメチオニンスルホンとを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、メチオニンスルホン、及び、ヒスチジンの含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定されたメチオニンスルホンのピーク面積に対する、前記測定されたヒスチジンのピーク面積の比が1.1902以上であるか否かを調べる工程と、前記ヒスチジンのピーク面積比が1.1902以上である場合に、前記脊椎動物が乳癌に罹患していると判定する工程とを含む、乳癌の診断方法。
【0130】
(CXXIV)乳癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、及び、ビオプテリンの含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたビオプテリンのピーク面積の比が0.0258以下であるか否かを調べる工程と、前記ビオプテリンのピーク面積比が0.0258以下である場合に、前記脊椎動物が乳癌に罹患していると判定する工程とを含む、乳癌の診断方法。
【0131】
(CXXV)乳癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/Lメチオニンスルホン及び90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、メチオニンスルホン、10−カンファースルホン酸、ヒスチジン、及び、ビオプテリンの含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定されたメチオニンスルホンのピーク面積に対する、前記測定されたヒスチジンのピーク面積の比が1.1902以上であって、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたビオプテリンのピーク面積の比が0.0258以下であるか否かを調べる工程と、前記ヒスチジンのピーク面積比が1.1902以上であって、前記ビオプテリンのピーク面積比が0.0258以下である場合に、前記脊椎動物が乳癌に罹患していると判定する工程とを含む、乳癌の診断方法。
【0132】
(CXXVI)膵臓癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/Lメチオニンスルホンとを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、メチオニンスルホン、及び、コプロポルフィリンの含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定されたメチオニンスルホンのピーク面積に対する、前記測定されたコプロポルフィリンのピーク面積の比が0.0391以上であるか否かを調べる工程と、前記コプロポルフィリンのピーク面積比が0.0391以上である場合に、前記脊椎動物が膵臓癌に罹患していると判定する工程とを含む、膵臓癌の診断方法。
【0133】
(CXXVII)膵臓癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、10−カンファースルホン酸、及び、ペラルゴン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたペラルゴン酸のピーク面積の比が0.0989以上であるか否かを調べる工程と、前記ペラルゴン酸のピーク面積比が0.0989以上である場合に、前記脊椎動物が膵臓癌に罹患していると判定する工程とを含む、膵臓癌の診断方法。
【0134】
(CXXVIII)膵臓癌の診断方法であって、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から血液を採血する工程と、前記採血された血液から血清を得る工程と、前記血清と90 μmol/Lメチオニンスルホン及び90 μmol/L10−カンファースルホン酸とを混合することによって混合液を調製する工程と、前記混合液における、メチオニンスルホン、10−カンファースルホン酸、コプロポルフィリン、及び、ペラルゴン酸の含有量を、質量分析計を用いてピーク面積として測定する工程と、前記測定されたメチオニンスルホンのピーク面積に対する、前記測定されたコプロポルフィリンのピーク面積の比が0.0391以上であって、前記測定された10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、前記測定されたペラルゴン酸のピーク面積の比が0.0989以上であるか否かを調べる工程と、前記コプロポルフィリンのピーク面積比が0.0391以上であって、前記ペラルゴン酸のピーク面積比が0.0989以上である場合に、前記脊椎動物が膵臓癌に罹患していると判定する工程とを含む、膵臓癌の診断方法。
【発明の効果】
【0135】
本発明によって、新規疾患マーカーと、これら疾患マーカーの簡便な測定方法とを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0136】
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、および、そのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0137】
==疾患マーカーとなる化合物==
本発明にかかる疾患マーカーは、ヒポキサンチン(hypoxanthine)、5−オキソプロリン(5-oxoproline)、ヘキサン酸(hexanoic acid)、ブタン酸(butanoic acid)、ケノデオキシグリココール酸(chenodeoxyglycocholic acid)、オルトリン酸(orthophosphoric acid)、ペラルゴン酸(pelargonic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、α−アミノアジピン酸(α-aminoadipic acid)、N,N−ジメチルトリプタミン(N,N-dimethyltryptamine)、ヒスチジン(histidine)、ビオプテリン(biopterin)、コプロポルフィリン(coproporphyrin)、エタノールアミン(ethanol amine)、コリン(choline)、メタコリン(methacholine)、カルニチン(carnitine)、ムスカリン(muscarine)、キヌレニン(kynurenine)、イノシン(inosine)、ヘキシルアミン(hexylamine)、ベタイン(betaine)、アミノ−γ−シアノブタン酸(amino-γ-cyanobutanoic acid)、1−アミノシクロペンタンカルボン酸(1-aminocyclopentanecarboxylic acid)、ピペコリン酸(pipecolic acid)、オルニチン(ornithine)、メチルイミダゾール酢酸(methylimidazoleacetic acid)、エタノールアミン・リン酸塩(ethanolamine phosphate)、グルタミン酸(glutamic acid)、メチオニンスルホキシド(methionine sulfoxide)、フェニルアラニン(phenylalanine)、O−アセチルカルニチン(O-acetylcarnitine)、エルゴチオネイン(ergothioneine)、グアノシン(guanosine)、ピルビン酸(pyruvic acid)、ペンタン酸(pentanoic acid)、ヒドロキシイソブタン酸(hydroxyisobutyric acid)、プロリン(proline)、2−ヒドロキシペンタン酸(2-hydroxypentanoic acid)、N−アセチル−β−アラニン(N-acetyl-β-alanine)、オクタン酸(octanoic acid)、グルタミン(glutamine)、シトラマル酸(citramalic acid)、メチオニン(methionine)、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸(6-acetamido-3-oxohexanoic acid)、ムラミン酸(muramic acid)、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド(2-methylpropanoyl-dihydrolipoamide)、1−メチルアデノシン(1-methyladenosine)、及び、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩(3β-hydroxyandrost-5-en-17-one, 3-sulfate)、からなるグループより選択される化合物である。
【0138】
これらの化合物は、それぞれ、ヒポキサンチンは、子宮内膜症マーカー、及び、高脂血症マーカーとして使用することが好ましく、5−オキソプロリンは、子宮内膜症マーカーとして使用することが好ましく、ヘキサン酸は、胃癌マーカー、及び、高脂血症マーカーとして使用することが好ましく、ブタン酸は、胃癌マーカーとして使用することが好ましく、ケノデオキシグリココール酸は、肝硬変マーカーとして使用することが好ましく、オルトリン酸は、肝硬変マーカー、及び、糖尿病マーカーとして使用することが好ましく、ペラルゴン酸は、糖尿病マーカー、及び、膵臓癌マーカーとして使用することが好ましく、ラウリン酸、及び、α−アミノアジピン酸は、肺癌マーカーとして使用することが好ましく、N,N−ジメチルトリプタミンは、糖尿病マーカーとして使用することが好ましく、ヒスチジン、及び、ビオプテリンは、乳癌マーカーとして使用することが好ましく、そして、コプロポルフィリンは、膵臓癌マーカーとして使用することが好ましい。
【0139】
また、エタノールアミンは、胃癌マーカー、肝硬変マーカー、糖尿病マーカー、高脂血症マーカー、及び、肺癌マーカーとして使用することが好ましく、コリンは、胃癌マーカー、糖尿病マーカー、高脂血症マーカー、肺癌マーカー、及び、膵臓癌マーカーとして使用することが好ましく、メタコリンは、子宮内膜症マーカー、高脂血症マーカー、肺癌マーカー、及び、乳癌マーカーとして使用することが好ましく、カルニチンは、乳癌マーカーとして使用することが好ましく、ムスカリンは、高脂血症マーカー、肺癌マーカー、及び、乳癌マーカーとして使用することが好ましく、キヌレニンは、肝硬変マーカー、及び、肺癌マーカーとして使用することが好ましく、イノシンは、子宮内膜マーカー、糖尿病マーカー、高脂血症マーカー、及び、肺癌マーカーとして使用することが好ましく、ヘキシルアミンは、肝硬変マーカーとして使用することが好ましく、ベタインは、肝硬変マーカー、及び、肺癌マーカーとして使用することが好ましく、アミノ−γ−シアノブタン酸は、乳癌マーカーとして使用することが好ましく、1−アミノシクロペンタンカルボン酸は、糖尿病マーカーとして使用することが好ましく、ピペコリン酸は、肝硬変マーカー、及び、肝癌マーカーとして使用することが好ましく、オルニチンは、肺癌マーカー、及び、糖尿病マーカーとして使用することが好ましく、メチルイミダゾール酢酸は、肺癌マーカーとして使用することが好ましく、エタノールアミン・リン酸塩は、糖尿病マーカーとして使用することが好ましく、グルタミン酸は、子宮内膜症マーカー、胃癌マーカー、糖尿病マーカー、高脂血症マーカー、肺癌マーカー、及び、膵臓癌マーカーとして使用することが好ましく、メチオニンスルホキシドは、肝硬変マーカーとして使用することが好ましく、フェニルアラニンは、肝硬変マーカー、高脂血症マーカー、肺癌マーカー、及び、乳癌マーカーとして使用することが好ましく、O−アセチルカルニチンは、子宮内膜症マーカー、及び、高脂血症マーカーとして使用することが好ましく、エルゴチオネインは、糖尿病マーカーとして使用することが好ましく、そして、グアノシンは、肺癌マーカーとして使用することが好ましい。
【0140】
さらに、ピルビン酸は、膵臓癌マーカーとして使用することが好ましく、ペンタン酸は、肺癌マーカーとして使用することが好ましく、ヒドロキシイソブタン酸は、胃癌マーカー、肝硬変マーカー、及び、糖尿病マーカーとして使用することが好ましく、プロリンは、肺癌マーカーとして使用することが好ましく、2−ヒドロキシペンタン酸は、肝硬変マーカーとして使用することが好ましく、N−アセチル−β−アラニンは、子宮内膜症マーカーとして使用することが好ましく、オクタン酸は、糖尿病マーカー、高脂血症マーカー、及び、肺癌マーカーとして使用することが好ましく、グルタミンは、高脂血症マーカーとして使用することが好ましく、シトラマル酸は、糖尿病マーカーとして使用することが好ましく、メチオニンは、肝硬変マーカー、及び、肝癌マーカーとして使用することが好ましく、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸は、肺癌マーカーとして使用することが好ましく、ムラミン酸は、肺癌マーカーとして使用することが好ましく、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミドは、高脂血症マーカー、及び、肺癌マーカーとして使用することが好ましく、1−メチルアデノシンは、肝硬変マーカー、及び、糖尿病マーカーとして使用することが好ましく、そして、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩は、肝硬変マーカー、高脂血症マーカー、肺癌マーカー、乳癌マーカー、及び、肝癌マーカーとして使用することが好ましい。
【0141】
==疾患マーカーの含有量の測定方法==
採血された血液に含まれる、上記疾患マーカーである化合物の含有量は、公知の方法によって測定することができる。例えば、高速液体クロマトグラフィー-質量分析計(LC-MS)や、ガスクロマトグラフィー-質量分析計(GC-MS)などの目的とする化合物を単離した後の質量を測定する方法が挙げられるが、これらに限定されない。また、目的とする化合物を単離する前であっても後であっても良い測定方法として、NMR分析を利用する測定方法、酸アルカリ中和滴定を利用する測定方法、アミノ酸分析計による測定方法、酵素法による測定方法、核酸アプタマー/ペプチドアプタマーを利用する測定方法、比色定量による測定方法、高速液体クロマトグラフィーのみを利用する測定方法、ガスクロマトグラフィーのみを利用する測定方法、及び、質量分析計のみによる測定方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
高速液体クロマトグラフィーを用いる場合には、イオン性代謝物質の一斉分析が可能なカラム(例えば、イオン交換カラム)を用いることが好ましい。
血液に含まれる複数種類の疾患マーカーである化合物の含有量を、全種類一斉に測定できるという観点から、キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)を用いて測定することが好ましい。
【0142】
採血された血液に含まれる、疾患マーカーである化合物の含有量を測定するにあたっては、測定に先立って、血液に前処理をしておくことが好ましい。例えば、静置や遠心分離などによって血液から血清または血漿を分離し、取り出した血清または血漿を測定に用いることが好ましい。
【0143】
CE-TOFMSを用いて測定するにあたっては、このようにして得られる血清または血漿に、さらに以下の前処理をしておくことが好ましい。
【0144】
血清を、メタノールまたはエタノール等のアルコール溶媒と混合し、血清中または血漿中に含まれる酵素の反応を停止させる。使用するアルコール溶媒の種類は、メタノールが好ましく、アルコール溶媒の純度はLC/MS用が好ましい。
【0145】
次に、酵素反応を停止させた血清または血漿中に対して、有機溶媒と水とを加えて混合し、得られた混合液を層分離することによって、リン脂質等の脂溶性物質を含む有機層を除去する。
用いる有機溶媒の種類は、水と層分離できる有機溶媒であれば特に限定されないが、ジクロロメタン、クロロホルム、及び、ジクロロエタン等が好ましく、クロロホルムが特に好ましい。また、用いる有機溶媒の純度は、特級または分析用等が好ましい。用いる水の純度は、蒸留水、脱イオン水、または、Milli-Q水が好ましく、特にMilli-Q水が好ましい。
酵素反応を停止させた血清と有機溶媒と水とを混合する方法は、マグネティックスターラーやボクテックスを使用する方法等が好ましく、サンプル量が微量であっても効率よく混合できることを考慮すれば、ボルテックスによる方法が特に好ましい。
得られた混合液を層分離する方法は、静置または遠心分離等が好ましく、遠心分離が特に好ましい。
【0146】
得られた水層から、タンパク質を除去することが好ましい。タンパク質を除去する方法は、特に限定されないが、例えば、限外ろ過が好ましい。
タンパク質を除去した後、水層中に含まれるアルコール溶媒を留去することが好ましい。溶媒を留去する方法は、自然乾燥、減圧乾燥、または、減圧遠心乾燥等、特に限定されないが、短時間で簡便に行えるということを考慮すれば、減圧遠心乾燥が好ましい。
【0147】
このようにして、採血した血液から不溶物を除去した水溶液を調製し、この不溶物が除去された水溶液を用いてCE-TOFMS測定を行うことが好ましい。
【0148】
採血された血液に含まれる疾患マーカーである化合物の含有量を測定するにあたっては、当業者であれば、測定の目的とする化合物の種類に応じて、その測定条件を、適宜選択・設定することができる。
【0149】
例えば、CE-TOFMSを用いて測定する場合には、以下のように設定して測定することができる。
まず、測定のために用いるサンプルは、上記の方法に従って、採血された血液から不溶物が除去された水溶液であることが好ましい。
また、測定のために用いるサンプルは、疾患マーカーである化合物の、電気泳動時間や含有量の測定基準となる内部標準物質を含んでいても良い。内部標準物質は、疾患マーカーである化合物の電気泳動及び質量分析の効率に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、メチオニンスルホンや10−カンファースルホン酸(10-camphorsulfonic acid、CSA)であることが好ましい。
【0150】
キャピラリー電気泳動のためのキャピラリーは、ヒューズドシリカキャピラリーであることが好ましい。また、キャピラリーの内径は、分離能の向上を踏まえれば、100 μm以下であることが好ましく、50 μmであることが特に好ましい。キャピラリーの全長は、50 cm〜150 cmであることが好ましく、特に100 cmが好ましい。
【0151】
上記キャピラリー電気泳動により得られた各画分中における、目的の疾患マーカーである化合物が含まれた画分を特定する方法は、特に限定されないが、例えば、目的化合物の標品を用いて、予め当該化合物の電気泳動時間を測定しておく方法や、内部標準物質の電気泳動時間との相対時間を利用する方法などが挙げられる。
【0152】
次に、目的の疾患マーカーである化合物が含まれていると特定された画分中の、目的化合物のm/zを有する化合物の含有量を、ピーク面積として測定する。
この測定されたピーク面積は、内部標準物質のピーク面積との比をとることで補正することができる。また、目的化合物の標品を用いて検量線を作成することによって、測定されたピーク面積から、絶対濃度、即ち、採血された血液に含まれる目的疾患マーカーである化合物の含有量を求めることができる。
【0153】
==疾患マーカーの使用方法==
疾患マーカーの使用方法には、例えば、以下の様な態様が含まれる。
【0154】
まず、ヒトまたはヒト以外の脊椎動物から採血して得られた血液を用いて、その血液中の単位量あたりの本発明の疾患マーカーの含有量(本明細書では、マーカー量と称する)を測定することにより、疾患の診断を行うことができる。診断をする際には、予め健常な脊椎動物の血液中のマーカー量(あるいはマーカー量の範囲)を計測しておき、対象となる脊椎動物の血液中のマーカー量が、健常な脊椎動物の血液中のマーカー量と比べて有意に多い場合(あるいはマーカー量の範囲を超える場合)、または、健常な脊椎動物の血液中のマーカー量と比べて有意に少ない場合(あるいはマーカー量の範囲を下回る場合)は、疾患に罹患していると診断できる。
健常な脊椎動物の血液中のマーカー量(あるいはマーカー量の範囲)として、対象となる脊椎動物の健常時における血液中のマーカー量を予め測定しておき、診断時のマーカー量を、健常時のマーカー量と比較してもよい。
健常な脊椎動物の血液中のマーカー量(あるいはマーカー量の範囲)は、複数回の測定値の平均値としてよく、平均値に標準偏差を減じた値から平均値に標準偏差を加えた値までの範囲としてもよく、測定値の下限値から上限値までの範囲としてもよく、特に限定されるものではないが、疾患マーカーによって、疾患を診断する際に最も好ましい値または範囲を選択すればよい。
【0155】
例えば、採血された血液に含まれる、ヒポキサンチンの含有量が5.6 μmol/L以上であるか、または、5−オキソプロリンの含有量が15.7 μmol/L以下であれば、子宮内膜症に罹患していると診断できる。さらに、ヒポキサンチンの含有量が5.6 μmol/L以上であって、5−オキソプロリンの含有量が15.7 μmol/L以下である場合には、より高い確率で子宮内膜症に罹患していると診断できる。
加えて、O−アセチルカルニチンの含有量が13.2 μmol/L以上である場合には、さらに高い確率で子宮内膜症に罹患していると診断できる。
【0156】
ヘキサン酸の含有量が15.9 μmol/L以下であるか、または、ブタン酸の含有量が10.9 μmol/L以上であれば、胃癌に罹患していると診断できる。さらに、ヘキサン酸の含有量が15.9 μmol/L以下であって、ブタン酸の含有量が10.9 μmol/L以上である場合には、より高い確率で胃癌に罹患していると診断できる。
加えて、ヒドロキシイソブタン酸の含有量が20.0 μmol/L以上である場合には、さらに高い確率で胃癌に罹患していると診断できる。
【0157】
キヌレニンの含有量が0.9 μmol/L以上、ヘキシルアミンの含有量が2.2 μmol/L以上、ベタインの含有量が40.6 μmol/L以上、ピペコリン酸の含有量が1.2 μmol/L以上、メチオニンスルホキシドの含有量が1.1 μmol/L以上、ヒドロキシイソブタン酸の含有量が20.0 μmol/L以上、2−ヒドロキシペンタン酸の含有量が25.9 μmol/L以上、または、メチオニンの含有量が28.4 μmol/L以上であれば、肝硬変に罹患していると診断できる。さらに、これらの条件を数多く満たすほど、より高い確率で肝硬変に罹患していると診断できる。
【0158】
1−アミノシクロペンタンカルボン酸の含有量が1.7 μmol/L以下、オルニチンの含有量が40.8 μmol/L以上、または、ヒドロキシイソブタン酸の含有量が19.4 μmol/L以上であれば、糖尿病に罹患していると診断できる。
【0159】
ヒポキサンチンの含有量が7.3 μmol/L以上であるか、または、ヘキサン酸の含有量が11.8 μmol/L以下であれば、高脂血症に罹患していると診断できる。さらに、ヒポキサンチンの含有量が7.3 μmol/L以上であって、ヘキサン酸の含有量が11.8 μmol/L以下である場合には、より高い確率で高脂血症に罹患していると診断できる。
加えて、O−アセチルカルニチンの含有量が12.7 μmol/L以上、または、グルタミンの含有量が578.9 μmol/L以下である場合には、さらに高い確率で高脂血症に罹患していると診断できる。これらの条件は数多く満たすほど、より高い確率で高脂血症に罹患していると診断できる。
【0160】
ラウリン酸の含有量が295.1 μmol/L以下であるか、または、α−アミノアジピン酸の含有量が1.3 μmol/L以上であれば、肺癌に罹患していると診断できる。さらに、ラウリン酸の含有量が295.1 μmol/L以下であって、α−アミノアジピン酸の含有量が1.3 μmol/L以上である場合には、より高い確率で肺癌に罹患していると診断できる。
加えて、キヌレニンの含有量が0.9 μmol/L以上、ベタインの含有量が39.2 μmol/L以上、オルニチンの含有量が13.7 μmol/L以下、グアノシンの含有量が0.7 μmol/L以下、ペンタン酸の含有量が14.1 μmol/L以下、プロリンの含有量が95.1 μmol/L以上、または、ムラミン酸の含有量が28.6 μmol/L以上である場合には、さらに高い確率で肺癌に罹患していると診断できる。これらの条件は数多く満たすほど、より高い確率で肺癌に罹患していると診断できる。
【0161】
ヒスチジンの含有量が74.0 μmol/L以上であれば、乳癌に罹患している可能性が高いと診断できる。
【0162】
ピルビン酸の含有量が1.7 μmol/L以上であれば、膵臓癌に罹患していると診断できる。
【0163】
ピペコリン酸の含有量が1.3 μmol/L以上、または、メチオニンの含有量が31.9 μmol/L以上であれば、肝癌に罹患していると診断できる。さらに、これらの条件を数多く満たすほど、より高い確率で肝癌に罹患していると診断できる。
【0164】
また、血液に対して内部標準物質として90 μmol/Lメチオニンスルホン、または、90 μmol/L10−カンファースルホン酸を加えて、採血された血液における疾患マーカーの含有量を、質量分析計で測定した場合には、以下のように診断することができる。
【0165】
例えば、メチオニンスルホンのピーク面積に対する、ヒポキサンチンのピーク面積の比が0.0676以上であるか、または、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、5−オキソプロリンのピーク面積の比が0.0819以下であれば、子宮内膜症に罹患していると診断できる。さらに、メチオニンスルホンのピーク面積に対する、ヒポキサンチンのピーク面積比が0.0676以上であって、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、5−オキソプロリンのピーク面積比が0.0819以下である場合には、より高い確率で子宮内膜症に罹患していると診断できる。
【0166】
10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ヘキサン酸のピーク面積の比が0.0747以下であるか、または、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ブタン酸のピーク面積の比が0.0287以上であれば、胃癌に罹患していると診断できる。さらに、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ヘキサン酸のピーク面積比が0.0747以下であって、ブタン酸のピーク面積比が0.0287以上である場合には、より高い確率で胃癌に罹患していると診断できる。
【0167】
10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ケノデオキシグリココール酸のピーク面積の比が0.0500以上であるか、または、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、オルトリン酸のピーク面積の比が0.3488以下であれば、肝硬変に罹患していると診断できる。さらに、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ケノデオキシグリココール酸のピーク面積比が0.0500以上であって、オルトリン酸のピーク面積比が0.3488以下である場合には、より高い確率で肝硬変に罹患していると診断できる。
【0168】
10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、オルトリン酸のピーク面積の比が0.5190以上であるか、または、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ペラルゴン酸のピーク面積の比が0.1089以下であれば、糖尿病に罹患していると診断できる。さらに、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、オルトリン酸のピーク面積比が0.5190以上であって、ペラルゴン酸のピーク面積比が0.1089以下である場合には、より高い確率で糖尿病に罹患していると診断できる。
【0169】
メチオニンスルホンのピーク面積に対する、ヒポキサンチンのピーク面積の比が0.0888以上であるか、または、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ヘキサン酸のピーク面積の比が0.0553以下であれば、高脂血症に罹患していると診断できる。さらに、メチオニンスルホンのピーク面積に対する、ヒポキサンチンのピーク面積比が0.0888以上であって、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ヘキサン酸のピーク面積比が0.0553以下である場合には、より高い確率で高脂血症に罹患していると診断できる。
【0170】
10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ラウリン酸のピーク面積の比が0.0608以下であるか、または、メチオニンスルホンのピーク面積に対する、α−アミノアジピン酸のピーク面積の比が0.0162以上であれば、肺癌に罹患していると診断できる。さらに、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ラウリン酸のピーク面積比が0.0608以下であって、メチオニンスルホンのピーク面積に対する、α−アミノアジピン酸のピーク面積比が0.0162以上である場合には、より高い確率で肺癌に罹患していると診断できる。
【0171】
メチオニンスルホンのピーク面積に対する、ヒスチジンのピーク面積の比が1.1902以上であるか、または、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ビオプテリンのピーク面積の比が0.0258以下であれば、乳癌に罹患していると診断できる。さらに、メチオニンスルホンのピーク面積に対する、ヒスチジンのピーク面積比が1.1902以上であって、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ビオプテリンのピーク面積比が0.0258以下である場合には、より高い確率で乳癌に罹患していると診断できる。
【0172】
また、メチオニンスルホンのピーク面積に対する、コプロポルフィリンのピーク面積の比が0.0391以上であるか、または、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ペラルゴン酸のピーク面積の比が0.0989以上であれば、膵臓癌に罹患していると診断できる。さらに、メチオニンスルホンのピーク面積に対する、コプロポルフィリンのピーク面積比が0.0391以上であって、10−カンファースルホン酸のピーク面積に対する、ペラルゴン酸のピーク面積比が0.0989以上である場合には、より高い確率で膵臓癌に罹患していると診断できる。
【0173】
また、一般に、疾患の治療薬は、個人によってその効果がばらつくことがある。従って、各個人における、ある治療薬の薬効を調べることは非常に有益であり、本発明の疾患マーカーを用いれば、容易にその治療薬の薬効を調べることができる。
【0174】
例えば、子宮内膜症の治療薬を投薬する前後で、ヒトまたはヒト以外の子宮内膜症を罹患している脊椎動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる子宮内膜症マーカーの含有量を測定して、治療薬を投薬する前後の血液における子宮内膜症マーカーの含有量を比較する。子宮内膜症マーカーが、ヒポキサンチンである場合は、治療薬の投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば治療薬は効果があると判定できる。また、子宮内膜症マーカーが、5−オキソプロリンである場合は、治療薬の投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば治療薬は効果があると判定できる。ヒポキサンチンの含有量が減少し、さらに、5−オキソプロリンの含有量が増加すれば、より高い確率で治療薬は効果があると判定できる。
加えて、子宮内膜症マーカーが、メタコリン、イノシン、グルタミン酸、O−アセチルカルニチン、または、N−アセチル−β−アラニンである場合には、治療薬の投与後に、子宮内膜症マーカーであるメタコリンの含有量が減少、イノシンの含有量が増加、グルタミン酸の含有量が減少、O−アセチルカルニチンの含有量が減少、または、N−アセチル−β−アラニンの含有量が増加すれば、さらに高い確率で治療薬は効果があると判定できる。
【0175】
同様に、胃癌を治療するための抗癌剤を投薬する前後で、ヒトまたはヒト以外の胃癌を罹患している脊椎動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる胃癌マーカーの含有量を測定して、抗癌剤を投薬する前後の血液における胃癌マーカーの含有量を比較する。胃癌マーカーが、ヘキサン酸である場合は、抗癌剤の投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば抗癌剤は効果があると判定できる。また、胃癌マーカーが、ブタン酸である場合は、抗癌剤の投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば抗癌剤は効果があると判定できる。ヘキサン酸の含有量が増加し、さらに、ブタン酸の含有量が減少すれば、より高い確率で抗癌剤は効果があると判定できる。
加えて、胃癌マーカーが、エタノールアミン、コリン、グルタミン酸、または、ヒドロキシイソブタン酸である場合には、抗癌剤の投与後に、胃癌マーカーであるエタノールアミンの含有量が減少、コリンの含有量が減少、グルタミン酸の含有量が減少、または、ヒドロキシイソブタン酸の含有量が減少すれば、さらに高い確率で抗癌剤は効果があると判定できる。
【0176】
肝硬変の治療薬を投薬する前後で、ヒトまたはヒト以外の肝硬変を罹患している脊椎動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる肝硬変マーカーの含有量を測定して、治療薬を投薬する前後の血液における肝硬変マーカーの含有量を比較する。肝硬変マーカーが、ケノデオキシグリココール酸である場合は、治療薬の投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば治療薬は効果があると判定できる。また、肝硬変マーカーが、オルトリン酸である場合は、治療薬の投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば治療薬は効果があると判定できる。ケノデオキシグリココール酸の含有量が減少し、さらに、オルトリン酸の含有量が増加すれば、より高い確率で治療薬は効果があると判定できる。
加えて、肝硬変マーカーが、エタノールアミン、キヌレニン、ヘキシルアミン、ベタイン、ピペコリン酸、メチオニンスルホキシド、フェニルアラニン、ヒドロキシイソブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、メチオニン、1−メチルアデノシン、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩である場合には、治療薬の投与後に、肝硬変マーカーであるエタノールアミンの含有量が減少、キヌレニンの含有量が減少、ヘキシルアミンの含有量が減少、ベタインの含有量が減少、ピペコリン酸の含有量が減少、メチオニンスルホキシドの含有量が減少、フェニルアラニンの含有量が減少、ヒドロキシイソブタン酸の含有量が減少、2−ヒドロキシペンタン酸の含有量が減少、メチオニンの含有量が減少、1−メチルアデノシンの含有量が減少、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩の含有量が増加すれば、さらに高い確率で治療薬は効果があると判定できる。
【0177】
糖尿病の治療薬を投薬する前後で、ヒトまたはヒト以外の糖尿病を罹患している脊椎動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる糖尿病マーカーの含有量を測定して、治療薬を投薬する前後の血液における糖尿病マーカーの含有量を比較する。糖尿病マーカーが、オルトリン酸である場合は、治療薬の投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば治療薬は効果があると判定できる。また、糖尿病マーカーが、ペラルゴン酸である場合は、治療薬の投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば治療薬は効果があると判定できる。オルトリン酸の含有量が減少し、さらに、ペラルゴン酸の含有量が増加すれば、より高い確率で治療薬は効果があると判定できる。
加えて、糖尿病マーカーが、エタノールアミン、コリン、イノシン、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、オルニチン、エタノールアミン・リン酸塩、グルタミン酸、N,N−ジメチルトリプタミン、エルゴチオネイン、ヒドロキシイソブタン酸、オクタン酸、シトラマル酸、または、1−メチルアデノシンである場合には、治療薬の投与後に、糖尿病マーカーであるエタノールアミンの含有量が減少、コリンの含有量が減少、イノシンの含有量が増加、1−アミノシクロペンタンカルボン酸の含有量が増加、オルニチンの含有量が減少、エタノールアミン・リン酸塩の含有量が減少、グルタミン酸の含有量が減少、N,N−ジメチルトリプタミンの含有量が減少、エルゴチオネインの含有量が減少、ヒドロキシイソブタン酸の含有量が減少、オクタン酸の含有量が増加、シトラマル酸の含有量が減少、または、1−メチルアデノシンの含有量が増加すれば、さらに高い確率で治療薬は効果があると判定できる。
【0178】
高脂血症の治療薬を投薬する前後で、ヒトまたはヒト以外の高脂血症を罹患している脊椎動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる高脂血症マーカーの含有量を測定して、治療薬を投薬する前後の血液における高脂血症マーカーの含有量を比較する。高脂血症マーカーが、ヒポキサンチンである場合は、治療薬の投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば治療薬は効果があると判定できる。また、高脂血症マーカーが、ヘキサン酸である場合は、治療薬の投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば治療薬は効果があると判定できる。ヒポキサンチンの含有量が減少し、さらに、ヘキサン酸の含有量が増加すれば、より高い確率で治療薬は効果があると判定できる。
加えて、高脂血症マーカーが、エタノールアミン、コリン、メタコリン、ムスカリン、イノシン、グルタミン酸、フェニルアラニン、O−アセチルカルニチン、オクタン酸、グルタミン、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩である場合には、治療薬の投与後に、高脂血症マーカーであるエタノールアミンの含有量が減少、コリンの含有量が減少、メタコリンの含有量が減少、ムスカリンの含有量が増加、イノシンの含有量が増加、グルタミン酸の含有量が減少、フェニルアラニンの含有量が減少、O−アセチルカルニチンの含有量が減少、オクタン酸の含有量が増加、グルタミンの含有量が増加、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミドの含有量が減少、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩の含有量が増加すれば、さらに高い確率で治療薬は効果があると判定できる。
【0179】
肺癌を治療するための抗癌剤を投薬する前後で、ヒトまたはヒト以外の肺癌を罹患している脊椎動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる肺癌マーカーの含有量を測定して、抗癌剤を投薬する前後の血液における肺癌マーカーの含有量を比較する。肺癌マーカーが、ラウリン酸である場合は、抗癌剤の投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば抗癌剤は効果があると判定できる。また、肺癌マーカーが、α−アミノアジピン酸である場合は、抗癌剤の投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば抗癌剤は効果があると判定できる。ラウリン酸の含有量が増加し、さらに、α−アミノアジピン酸の含有量が減少すれば、より高い確率で抗癌剤は効果があると判定できる。
加えて、肺癌マーカーが、エタノールアミン、コリン、メタコリン、ムスカリン、キヌレニン、イノシン、ベタイン、オルニチン、メチルイミダゾール酢酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グアノシン、ペンタン酸、プロリン、オクタン酸、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸、ムラミン酸、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩である場合には、抗癌剤の投与後に、肺癌マーカーであるエタノールアミンの含有量が減少、コリンの含有量が減少、メタコリンの含有量が減少、ムスカリンの含有量が増加、キヌレニンの含有量が減少、イノシンの含有量が増加、ベタインの含有量が減少、オルニチンの含有量が増加、メチルイミダゾール酢酸の含有量が減少、グルタミン酸の含有量が減少、フェニルアラニンの含有量が減少、グアノシンの含有量が増加、ペンタン酸の含有量が増加、プロリンの含有量が減少、オクタン酸の含有量が増加、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸の含有量が減少、ムラミン酸の含有量が減少、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミドの含有量が減少、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩の含有量が増加すれば、さらに高い確率で抗癌剤は効果があると判定できる。
【0180】
乳癌を治療するための抗癌剤を投薬する前後で、ヒトまたはヒト以外の乳癌を罹患している脊椎動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる乳癌マーカーの含有量を測定して、抗癌剤を投薬する前後の血液における乳癌マーカーの含有量を比較する。乳癌マーカーが、ヒスチジンである場合は、抗癌剤の投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば抗癌剤は効果があると判定できる。また、乳癌マーカーが、ビオプテリンである場合は、抗癌剤の投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば抗癌剤は効果があると判定できる。ヒスチジンの含有量が減少し、さらに、ビオプテリンの含有量が増加すれば、より高い確率で抗癌剤は効果があると判定できる。
加えて、乳癌マーカーが、メタコリン、カルニチン、ムスカリン、アミノ−γ−シアノブタン酸、フェニルアラニン、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩である場合には、抗癌剤の投与後に、乳癌マーカーであるメタコリンの含有量が減少、カルニチンの含有量が減少、ムスカリンの含有量が減少、アミノ−γ−シアノブタン酸の含有量が増加、フェニルアラニンの含有量が減少、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩の含有量が増加すれば、さらに高い確率で抗癌剤は効果があると判定できる。
【0181】
膵臓癌を治療するための抗癌剤を投薬する前後で、ヒトまたはヒト以外の膵臓癌を罹患している脊椎動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる膵臓癌マーカーの含有量を測定して、抗癌剤を投薬する前後の血液における膵臓癌マーカーの含有量を比較する。膵臓癌マーカーが、コプロポルフィリン、または、ペラルゴン酸である場合は、抗癌剤の投与後に、それらマーカーの含有量が減少すれば抗癌剤は効果があると判定できる。コプロポルフィリンの含有量、及び、ペラルゴン酸の含有量のいずれもが減少すれば、より高い確率で抗癌剤は効果があると判定できる。
加えて、膵臓癌マーカーが、コリン、グルタミン酸、または、ピルビン酸である場合には、抗癌剤の投与後に、膵臓癌マーカーであるコリンの含有量が減少、グルタミン酸の含有量が減少、または、ピルビン酸の含有量が減少すれば、さらに高い確率で抗癌剤は効果があると判定できる。
【0182】
また、肝癌を治療するための抗癌剤を投薬する前後で、ヒトまたはヒト以外の肝癌を罹患している脊椎動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる肝癌マーカーの含有量を測定して、抗癌剤を投薬する前後の血液における肝癌マーカーの含有量を比較する。肝癌マーカーが、ピペコリン酸、メチオニン、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩である場合には、抗癌剤の投与後に、肝癌マーカーであるピペコリン酸の含有量が減少、メチオニンの含有量が減少、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩の含有量が増加すれば、抗癌剤は効果があると判定できる。
【0183】
このように、本発明の疾患マーカーを用いることにより、治療薬の効果があるかどうかについて容易に判定することができる。
【0184】
また、疾患を有する実験動物を用いて、疾患の治療に効果があるかどうかわからない化合物を同定することができる。
【0185】
例えば、子宮内膜症の治療薬の候補である化合物を投与する前後で、子宮内膜症を罹患した実験動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる子宮内膜症マーカーの含有量を測定して、その化合物を投与する前後の血液における子宮内膜症マーカーの含有量を比較する。子宮内膜症マーカーが、ヒポキサンチンである場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば投与した化合物は子宮内膜症の治療に効果があると判定できる。また、5−オキソプロリンである場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば投与した化合物は子宮内膜症の治療に効果があると判定できる。ヒポキサンチンの含有量が減少し、さらに、5−オキソプロリンの含有量が増加すれば、より高い確率で投与した化合物は子宮内膜症の治療に効果があると判定できる。
加えて、メタコリン、イノシン、グルタミン酸、O−アセチルカルニチン、または、N−アセチル−β−アラニンの含有量を測定することで、前記判定の確度を高めることができる。即ち、化合物投与後に、子宮内膜症マーカーであるメタコリンの含有量が減少、イノシンの含有量が増加、グルタミン酸の含有量が減少、O−アセチルカルニチンの含有量が減少、または、N−アセチル−β−アラニンの含有量が増加すれば、さらに高い確率で投与した化合物は子宮内膜症の治療に効果があると判定できる。
【0186】
同様に、胃癌を治療するための抗癌剤の候補である化合物を投与する前後で、胃癌を罹患した実験動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる胃癌マーカーの含有量を測定して、その化合物を投与する前後の血液における胃癌マーカーの含有量を比較する。胃癌マーカーが、ヘキサン酸である場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば投与した化合物は胃癌の治療に効果があると判定できる。また、胃癌マーカーが、ブタン酸である場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば投与した化合物は胃癌の治療に効果があると判定できる。ヘキサン酸の含有量が増加し、さらに、ブタン酸の含有量が減少すれば、より高い確率で投与した化合物は胃癌の治療に効果があると判定できる。
加えて、エタノールアミン、コリン、グルタミン酸、または、ヒドロキシイソブタン酸の含有量を測定することで、前記判定の確度を高めることができる。即ち、化合物投与後に、胃癌マーカーであるエタノールアミンの含有量が減少、コリンの含有量が減少、グルタミン酸の含有量が減少、または、ヒドロキシイソブタン酸の含有量が減少すれば、さらに高い確率で投与した化合物は胃癌の治療に効果があると判定できる。
【0187】
肝硬変の治療薬の候補である化合物を投与する前後で、肝硬変を罹患した実験動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる肝硬変マーカーの含有量を測定して、その化合物を投与する前後の血液における肝硬変マーカーの含有量を比較する。肝硬変マーカーが、ケノデオキシグリココール酸である場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば投与した化合物は肝硬変の治療に効果があると判定できる。また、肝硬変マーカーが、オルトリン酸である場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば投与した化合物は肝硬変の治療に効果があると判定できる。ケノデオキシグリココール酸の含有量が減少し、さらに、オルトリン酸の含有量が増加すれば、より高い確率で投与した化合物は肝硬変の治療に効果があると判定できる。
加えて、エタノールアミン、キヌレニン、ヘキシルアミン、ベタイン、ピペコリン酸、メチオニンスルホキシド、フェニルアラニン、ヒドロキシイソブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、メチオニン、1−メチルアデノシン、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩のいずれか1つ以上の化合物の含有量を測定することで、前記判定の確度を高めることができる。即ち、化合物投与後に、肝硬変マーカーであるエタノールアミンの含有量が減少、キヌレニンの含有量が減少、ヘキシルアミンの含有量が減少、ベタインの含有量が減少、ピペコリン酸の含有量が減少、メチオニンスルホキシドの含有量が減少、フェニルアラニンの含有量が減少、ヒドロキシイソブタン酸の含有量が減少、2−ヒドロキシペンタン酸の含有量が減少、メチオニンの含有量が減少、1−メチルアデノシンの含有量が減少、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩の含有量が増加すれば、さらに高い確率で投与した化合物は肝硬変の治療に効果があると判定できる。
【0188】
糖尿病の治療薬の候補である化合物を投与する前後で、糖尿病を罹患した実験動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる糖尿病マーカーの含有量を測定して、その化合物を投与する前後の血液における糖尿病マーカーの含有量を比較する。糖尿病マーカーが、オルトリン酸である場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば投与した化合物は糖尿病の治療に効果があると判定できる。また、糖尿病マーカーが、ペラルゴン酸である場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば投与した化合物は糖尿病の治療に効果があると判定できる。オルトリン酸の含有量が減少し、さらに、ペラルゴン酸の含有量が増加すれば、より高い確率で投与した化合物は糖尿病の治療に効果があると判定できる。
加えて、エタノールアミン、コリン、イノシン、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、オルニチン、エタノールアミン・リン酸塩、グルタミン酸、N,N−ジメチルトリプタミン、エルゴチオネイン、ヒドロキシイソブタン酸、オクタン酸、シトラマル酸、または、1−メチルアデノシンのいずれか1つ以上の化合物の含有量を測定することで、前記判定の確度を高めることができる。即ち、化合物投与後に、糖尿病マーカーであるエタノールアミンの含有量が減少、コリンの含有量が減少、イノシンの含有量が増加、1−アミノシクロペンタンカルボン酸の含有量が増加、オルニチンの含有量が減少、エタノールアミン・リン酸塩の含有量が減少、グルタミン酸の含有量が減少、N,N−ジメチルトリプタミンの含有量が減少、エルゴチオネインの含有量が減少、ヒドロキシイソブタン酸の含有量が減少、オクタン酸の含有量が増加、シトラマル酸の含有量が減少、または、1−メチルアデノシンの含有量が増加すれば、さらに高い確率で投与した化合物は糖尿病の治療に効果があると判定できる。
【0189】
高脂血症の治療薬の候補である化合物を投与する前後で、高脂血症を罹患した実験動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる高脂血症マーカーの含有量を測定して、その化合物を投与する前後の血液における高脂血症マーカーの含有量を比較する。高脂血症マーカーが、ヒポキサンチンである場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば投与した化合物は高脂血症の治療に効果があると判定できる。また、高脂血症マーカーが、ヘキサン酸である場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば投与した化合物は高脂血症の治療に効果があると判定できる。ヒポキサンチンの含有量が減少し、さらに、ヘキサン酸の含有量が増加すれば、より高い確率で投与した化合物は高脂血症の治療に効果があると判定できる。
加えて、エタノールアミン、コリン、メタコリン、ムスカリン、イノシン、グルタミン酸、フェニルアラニン、O−アセチルカルニチン、オクタン酸、グルタミン、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩のいずれか1つ以上の化合物の含有量を測定することで、前記判定の確度を高めることができる。即ち、化合物投与後に、高脂血症マーカーであるエタノールアミンの含有量が減少、コリンの含有量が減少、メタコリンの含有量が減少、ムスカリンの含有量が増加、イノシンの含有量が増加、グルタミン酸の含有量が減少、フェニルアラニンの含有量が減少、O−アセチルカルニチンの含有量が減少、オクタン酸の含有量が増加、グルタミンの含有量が増加、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミドの含有量が減少、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩の含有量が増加すれば、さらに高い確率で投与した化合物は高脂血症の治療に効果があると判定できる。
【0190】
肺癌を治療するための抗癌剤の候補である化合物を投与する前後で、肺癌を罹患した実験動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる肺癌マーカーの含有量を測定して、その化合物を投与する前後の血液における肺癌マーカーの含有量を比較する。肺癌マーカーが、ラウリン酸である場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば投与した化合物は肺癌の治療に効果があると判定できる。また、肺癌マーカーが、α−アミノアジピン酸である場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば投与した化合物は肺癌の治療に効果があると判定できる。ラウリン酸の含有量が増加し、さらに、α−アミノアジピン酸の含有量が減少すれば、より高い確率で投与した化合物は肺癌の治療に効果があると判定できる。
加えて、エタノールアミン、コリン、メタコリン、ムスカリン、キヌレニン、イノシン、ベタイン、オルニチン、メチルイミダゾール酢酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グアノシン、ペンタン酸、プロリン、オクタン酸、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸、ムラミン酸、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩のいずれか1つ以上の化合物の含有量を測定することで、前記判定の確度を高めることができる。即ち、化合物投与後に、肺癌マーカーであるエタノールアミンの含有量が減少、コリンの含有量が減少、メタコリンの含有量が減少、ムスカリンの含有量が増加、キヌレニンの含有量が減少、イノシンの含有量が増加、ベタインの含有量が減少、オルニチンの含有量が増加、メチルイミダゾール酢酸の含有量が減少、グルタミン酸の含有量が減少、フェニルアラニンの含有量が減少、グアノシンの含有量が増加、ペンタン酸の含有量が増加、プロリンの含有量が減少、オクタン酸の含有量が増加、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸の含有量が減少、ムラミン酸の含有量が減少、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミドの含有量が減少、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩の含有量が増加すれば、さらに高い確率で投与した化合物は肺癌の治療に効果があると判定できる。
【0191】
乳癌を治療するための抗癌剤の候補である化合物を投与する前後で、乳癌を罹患した実験動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる乳癌マーカーの含有量を測定して、その化合物を投与する前後の血液における乳癌マーカーの含有量を比較する。乳癌マーカーが、ヒスチジンである場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が減少すれば投与した化合物は乳癌の治療に効果があると判定できる。また、乳癌マーカーが、ビオプテリンである場合は、化合物投与後に、そのマーカーの含有量が増加すれば投与した化合物は乳癌の治療に効果があると判定できる。ヒスチジンの含有量が減少し、さらに、ビオプテリンの含有量が増加すれば、より高い確率で投与した化合物は乳癌の治療に効果があると判定できる。
加えて、メタコリン、カルニチン、ムスカリン、アミノ−γ−シアノブタン酸、フェニルアラニン、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩のいずれか1つ以上の化合物の含有量を測定することで、前記判定の確度を高めることができる。即ち、化合物投与後に、乳癌マーカーであるメタコリンの含有量が減少、カルニチンの含有量が減少、ムスカリンの含有量が減少、アミノ−γ−シアノブタン酸の含有量が増加、フェニルアラニンの含有量が減少、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩の含有量が増加すれば、さらに高い確率で投与した化合物は乳癌の治療に効果があると判定できる。
【0192】
膵臓癌を治療するための抗癌剤の候補である化合物を投与する前後で、膵臓癌を罹患した実験動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる膵臓癌マーカーの含有量を測定して、その化合物を投与する前後の血液における膵臓癌マーカーの含有量を比較する。膵臓癌マーカーが、コプロポルフィリン、または、ペラルゴン酸である場合は、化合物投与後に、それらマーカーの含有量が減少すれば投与した化合物は膵臓癌の治療に効果があると判定できる。コプロポルフィリンの含有量、及び、ペラルゴン酸の含有量のいずれもが減少すれば、より高い確率で投与した化合物は膵臓癌の治療に効果があると判定できる。
加えて、コリン、グルタミン酸、または、ピルビン酸のいずれか1つ以上の化合物の含有量を測定することで、前記判定の確度を高めることができる。即ち、化合物投与後に、膵臓癌マーカーであるコリンの含有量が減少、グルタミン酸の含有量が減少、または、ピルビン酸の含有量が減少すれば、さらに高い確率で投与した化合物は膵臓癌の治療に効果があると判定できる。
【0193】
また、肝癌を治療するための抗癌剤の候補である化合物を投与する前後で、肝癌を罹患した実験動物から血液を採血し、その採血した血液に含まれる肝癌マーカーの含有量を測定して、その化合物を投与する前後の血液における肝癌マーカーの含有量を比較する。肝癌マーカーが、ピペコリン酸、メチオニン、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩である場合には、化合物投与後に、肝癌マーカーであるピペコリン酸の含有量が減少、メチオニンの含有量が減少、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩の含有量が増加すれば、投与した化合物は肝癌の治療に効果があると判定できる。
【0194】
このように、本発明の疾患マーカーを用いることにより、疾患の治療に効果がある化合物を容易にスクリーニングすることも可能である。
【0195】
これらのように疾患マーカーを使用する際、上記マーカーの使用方法を、内診、X線撮影、MRI検査、超音波、腹腔鏡などの、従来の疾患診断方法と組み合わせてもよい。
【実施例】
【0196】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0197】
[実施例1] 血清サンプルの調製
血液中に含まれる各疾患マーカーである化合物の量を、キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)で測定するべく、以下の方法でCE-TOFMS測定用血清サンプルを調製した。
インフォームドコンセントを得たうえで患者から採血し調製された血清100 μL(東京大学医科学研究所オーダーメイド医療実現化プロジェクト・バイオバンクジャパンから購入)を、遠心チューブに入れた。内部標準溶液として10 μMのメチオニンスルホンと10 μMの10−カンファースルホン酸(H3304-1002、販売製造元:ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社)を含有するメタノール(和光純薬、LC/MS用)0.9 mLを加え、クロロホルム(和光純薬、試薬特級)1 mLおよびMilli-Q水400 μLを加えた後、ボルテックスで30秒間よく混合し、遠心分離(4℃、4,600 × g、5分)した。水層を限外ろ過フィルター(Amicon Ultrafree-MC 5,000NMWL UFC3 LCC00)に移し、フィルターカップ内の溶液が、ほぼなくなるまで遠心ろ過(4℃、9,100 × g、2 - 4時間)した。フィルターカップを取り除き、ろ液を減圧下で遠心乾燥した。これにMilli-Q水25 μLを加え乾燥物を再溶解することによって、CE-TOFMS測定用サンプルを調製した。
【0198】
[実施例2] CE-TOFMSの測定
CE-TOFMSの測定、および、引き続くデータ解析は、Agilent CE-TOF-MSD system(Agilent Technologies社)を用いて行った。
【0199】
CE-TOFMSの測定の測定条件は、下記の通りである。
(A)カチオンモード
(1)キャピラリー電気泳動装置の測定条件
キャピラリーカラム : ヒューズドシリカ、内径50 μm x 全長100 cm
支持電解液 : 1 M蟻酸水溶液
電圧 : +30 kV
キャピラリー温度 : 20℃
サンプル注入 : 50 mbar、15秒
(2)飛行時間型質量分析計の測定条件
極性 : ポジティブ
キャピラリー電圧 : 4000 V
フラグメンター : 100 V
ドライングガス : N2、300℃
噴霧器ガス圧 : 5 psig
シース液 : 50% MeOH / Water
流速 : 10 μL / min
【0200】
(B)アニオンモード
(1)キャピラリー電気泳動装置の測定条件
キャピラリーカラム : ヒューズドシリカ、内径50 μm x 全長100 cm
支持電解液 : 20 mM蟻酸アンモニウム水溶液(pH 10.0)
電圧 : +30 kV
キャピラリー温度 : 20℃
サンプル注入 : 50 mbar、8秒
(2)飛行時間型質量分析計の測定条件
極性 : ネガティブ
キャピラリー電圧 : 3500 V
フラグメンター : 120 V
ドライングガス : N2、300℃
噴霧器ガス圧 : 7 psig
シース液 : 50% MeOH / Water(質量校正用内部標準物質として、0.1 μM 2,4,6−トリス(パーフルオロプロピル)−s−トリアジンを含む)
流速 : 10 μL / min
【0201】
子宮内膜症患者(女性30歳以上)10名、胃癌患者(男性60歳未満)10名、肝硬変(男性60歳未満)10名、糖尿病(男性60歳未満、2型)10名、高脂血症(男性60歳未満、原発性高脂血症)10名、肺癌患者(男性60歳未満)10名、乳癌患者(女性30歳以上)10名、膵臓癌患者(男性60歳以上)10名、及び、健常者(男性及び女性60歳未満)12名から採血し調製された血清由来の、計92個のCE-TOFMS測定用サンプルについて、カチオンモード及びアニオンモードでのCE-TOFMS測定を行った。
【0202】
この測定により、各サンプル内に含まれる、ヒポキサンチン、5−オキソプロリン、ヘキサン酸、ブタン酸、ケノデオキシグリココール酸、オルトリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、α−アミノアジピン酸、N,N−ジメチルトリプタミン、ヒスチジン、ビオプテリン、コプロポルフィリン、エタノールアミン、コリン、メタコリン、カルニチン、ムスカリン、キヌレニン、イノシン、ヘキシルアミン、ベタイン、アミノ−γ−シアノブタン酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、ピペコリン酸、オルニチン、メチルイミダゾール酢酸、エタノールアミン・リン酸塩、グルタミン酸、メチオニンスルホキシド、フェニルアラニン、O−アセチルカルニチン、エルゴチオネイン、グアノシン、ピルビン酸、ペンタン酸、ヒドロキシイソブタン酸、プロリン、2−ヒドロキシペンタン酸、N−アセチル−β−アラニン、オクタン酸、グルタミン、シトラマル酸、メチオニン、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸、ムラミン酸、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、1−メチルアデノシン、及び、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩の含有量のデータをピーク面積として得た。このようにして得られた各化合物のピーク面積は、カチオンモードで測定した際には内部標準溶液に含まれる内部標準物質メチオニンスルホンの面積との比をとることによって、アニオンモードで測定した際には内部標準溶液に含まれる内部標準物質10−カンファースルホン酸(CSA)の面積との比をとることによって、補正を行った。
【0203】
まず、ヒポキサンチン、5−オキソプロリン、ヘキサン酸、ブタン酸、ケノデオキシグリココール酸、オルトリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、α−アミノアジピン酸、ヒスチジン、ビオプテリン、及び、コプロポルフィリンのCE-TOFMS測定の結果を図1に示す。
測定モードの欄は、CE-TOFMS測定をカチオンモードで行った化合物についてはCと表記し、アニオンモードで行った化合物についてはAと表記した。電気泳動時間とは、これらの条件で測定を行った際の各化合物のキャピラリー電気泳動時間を表し、m/zは、各化合物の精密質量を表している。
ピーク面積は、各化合物について、健常者における値と、各疾患を罹患している人における値とを、平均±標準偏差の形で記載した。
【0204】
さらに、図1のデータから、すべての化合物の組み合わせおよびピーク面積の値でカイ2乗統計量を算出することによって、各疾患に羅患していると最も適切に判断できる化合物の組み合わせと、求められた化合物におけるピーク面積の閾値とを求めた。結果を図2に示す。
数値の後の矢印は、例えば、0.0676(↑)であれば、測定されたピーク面積が0.0676以上である場合に当該疾患に罹患していると判断できることを意味し、同様に、0.0287(↓)であれば、測定されたピーク面積が0.0287以下である場合に当該疾患に罹患していると判断できることを意味している。
【0205】
図2の結果から、例えば、子宮内膜症に着目してみると、ヒポキサンチンのピーク面積の値が0.0676以上であれば、または、5−オキソプロリンのピーク面積の値が0.0819以下であれば、子宮内膜症に罹患していると判断できることが示された。
さらに、ヒポキサンチンのピーク面積の値が0.0676以上であって、5−オキソプロリンのピーク面積の値が0.0819以下である場合には、受診者動作特性曲線(ROC曲線)の曲線下面積(AUC)が0.9136と非常に良い値を示しているように、より高い確率で子宮内膜症に罹患していると判断できることが裏付けられた。
【0206】
他の疾患についても同様である。ヘキサン酸のピーク面積の値が0.0747以下であれば、または、ブタン酸のピーク面積の値が0.0287以上であれば、胃癌に罹患していると判断でき、さらに、これら両方の条件を満たす場合には、ROC AUCが0.8722と非常に良い値を示しているように、より高い確率で胃癌に罹患していると判断できる。
ケノデオキシグリココール酸のピーク面積の値が0.0500以上であれば、または、オルトリン酸のピーク面積の値が0.3488以下であれば、肝硬変に罹患していると判断でき、さらに、これら両方の条件を満たす場合には、ROC AUCが0.9426と非常に良い値を示しているように、より高い確率で肝硬変に罹患していると判断できる。
オルトリン酸のピーク面積の値が0.5190以上であれば、または、ペラルゴン酸のピーク面積の値が0.1089以下であれば、糖尿病に罹患していると判断でき、さらに、これら両方の条件を満たす場合には、ROC AUCが0.9830と非常に良い値を示しているように、より高い確率で糖尿病に罹患していると判断できる。
ヒポキサンチンのピーク面積の値が0.0888以上であれば、または、ヘキサン酸のピーク面積の値が0.0553以下であれば、高脂血症に罹患していると判断でき、さらに、これら両方の条件を満たす場合には、ROC AUCが0.9489と非常に良い値を示しているように、より高い確率で高脂血症に罹患していると判断できる。
ラウリン酸のピーク面積の値が0.0608以下であれば、または、α−アミノアジピン酸のピーク面積の値が0.0162以上であれば、肺癌に罹患していると判断でき、さらに、これら両方の条件を満たす場合には、ROC AUCが0.9216と非常に良い値を示しているように、より高い確率で肺癌に罹患していると判断できる。
ヒスチジンのピーク面積の値が1.1902以上であれば、または、ビオプテリンのピーク面積の値が0.0258以下であれば、乳癌に罹患していると判断でき、さらに、これら両方の条件を満たす場合には、ROC AUCが0.9267と非常に良い値を示しているように、より高い確率で乳癌に罹患していると判断できる。
そして、コプロポルフィリンのピーク面積の値が0.0391以上であれば、または、ペラルゴン酸のピーク面積の値が0.0989以上であれば、膵臓癌に罹患していると判断でき、さらに、これら両方の条件を満たす場合には、ROC AUCが0.7966と良い値を示しているように、より高い確率で膵臓癌に罹患していると判断できる。
【0207】
次に、エタノールアミン、コリン、メタコリン、カルニチン、ムスカリン、キヌレニン、イノシン、ヘキシルアミン、ベタイン、アミノ−γ−シアノブタン酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、ピペコリン酸、オルニチン、メチルイミダゾール酢酸、エタノールアミン・リン酸塩、グルタミン酸、メチオニンスルホキシド、フェニルアラニン、N,N−ジメチルトリプタミン、O−アセチルカルニチン、エルゴチオネイン、及び、グアノシンのCE-TOFMS測定の結果を図3に、そして、ピルビン酸、ペンタン酸、ヒドロキシイソブタン酸、プロリン、2−ヒドロキシペンタン酸、N−アセチル−β−アラニン、オクタン酸、グルタミン、シトラマル酸、メチオニン、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸、ムラミン酸、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、1−メチルアデノシン、及び、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩のCE-TOFMS測定の結果を図4に、示す。
図1と同じく、測定モードの欄には、CE-TOFMS測定をカチオンモードで行った化合物についてはCと表記し、アニオンモードで行った化合物についてはAと表記した。電気泳動時間とは、各化合物のキャピラリー電気泳動時間を表し、m/zは、各化合物の精密質量を表している。ピーク面積は、各化合物について、健常者における値と、各疾患を罹患している人における値とを、平均±標準偏差の形で記載した。
加えて、図3及び図4に記載した化合物のそれぞれについては、各疾患のピークと他の疾患群との間で面積比を求め、studentのt-検定を行った。得られたt-検定の結果を、( )内に記載した。
【0208】
図3の結果より、エタノールアミンは、胃癌マーカー、肝硬変マーカー、糖尿病マーカー、高脂血症マーカー、及び、肺癌マーカーとして、有用であることが示された。同様に、コリンは、胃癌マーカー、糖尿病マーカー、高脂血症マーカー、肺癌マーカー、及び、膵臓癌マーカーとして、メタコリンは、子宮内膜症マーカー、高脂血症マーカー、肺癌マーカー、及び、乳癌マーカーとして、カルニチンは、乳癌マーカーとして、ムスカリンは、高脂血症マーカー、肺癌マーカー、及び、乳癌マーカーとして、キヌレニンは、肝硬変マーカー、及び、肺癌マーカーとして、イノシンは、子宮内膜マーカー、糖尿病マーカー、高脂血症マーカー、及び、肺癌マーカーとして、ヘキシルアミンは、肝硬変マーカーとして、ベタインは、肝硬変マーカー、及び、肺癌マーカーとして、アミノ−γ−シアノブタン酸は、乳癌マーカーとして、1−アミノシクロペンタンカルボン酸は、糖尿病マーカーとして、ピペコリン酸は、肝硬変マーカー、及び、肝癌マーカーとして、オルニチンは、糖尿病マーカー、及び、肺癌マーカーとして、メチルイミダゾール酢酸は、肺癌マーカーとして、エタノールアミン・リン酸塩は、糖尿病マーカーとして、グルタミン酸は、子宮内膜症マーカー、胃癌マーカー、糖尿病マーカー、高脂血症マーカー、肺癌マーカー、及び、膵臓癌マーカーとして、メチオニンスルホキシドは、肝硬変マーカーとして、フェニルアラニンは、肝硬変マーカー、高脂血症マーカー、肺癌マーカー、及び、乳癌マーカーとして、N,N−ジメチルトリプタミンは、糖尿病マーカーとして、O−アセチルカルニチンは、子宮内膜症マーカー、及び、高脂血症マーカーとして、エルゴチオネインは、糖尿病マーカーとして、そして、グアノシンは、肺癌マーカーとして、有用であることが示された。
【0209】
さらに、図4の結果より、ピルビン酸は、膵臓癌マーカーとして、ペンタン酸は、肺癌マーカーとして、ヒドロキシイソブタン酸は、胃癌マーカー、肝硬変マーカー、及び、糖尿病マーカーとして、プロリンは、肺癌マーカーとして、2−ヒドロキシペンタン酸は、肝硬変マーカーとして、N−アセチル−β−アラニンは、子宮内膜症マーカーとして、オクタン酸は、糖尿病マーカー、高脂血症マーカー、及び、肺癌マーカーとして、グルタミンは、高脂血症マーカーとして、シトラマル酸は、糖尿病マーカーとして、メチオニンは、肝硬変マーカー、及び、肝癌マーカーとして、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸は、肺癌マーカーとして、ムラミン酸は、肺癌マーカーとして、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミドは、高脂血症マーカー、及び、肺癌マーカーとして、1−メチルアデノシンは、肝硬変マーカー、及び、糖尿病マーカーとして、そして、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩は、肝硬変マーカー、高脂血症マーカー、肺癌マーカー、乳癌マーカー、及び、肝癌マーカーとして、有用であることが示された。
【0210】
このように、ヒポキサンチン、5−オキソプロリン、ヘキサン酸、ブタン酸、ケノデオキシグリココール酸、オルトリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、α−アミノアジピン酸、N,N−ジメチルトリプタミン、ヒスチジン、ビオプテリン、コプロポルフィリン、エタノールアミン、コリン、メタコリン、カルニチン、ムスカリン、キヌレニン、イノシン、ヘキシルアミン、ベタイン、アミノ−γ−シアノブタン酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、ピペコリン酸、オルニチン、メチルイミダゾール酢酸、エタノールアミン・リン酸塩、グルタミン酸、メチオニンスルホキシド、フェニルアラニン、O−アセチルカルニチン、エルゴチオネイン、グアノシン、ピルビン酸、ペンタン酸、ヒドロキシイソブタン酸、プロリン、2−ヒドロキシペンタン酸、N−アセチル−β−アラニン、オクタン酸、グルタミン、シトラマル酸、メチオニン、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸、ムラミン酸、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、1−メチルアデノシン、及び、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩は、新たな疾患マーカーとして非常に有用である。
また、血液をCE-TOFMS測定するのみで、血液におけるこれらの全ての化合物の含有量を一斉に測定できるため、診断の現場で容易に複数種類の疾患に対する罹患の有無を診断することが可能となり、疾患の早期発見に大きく寄与すると考えられる。
【0211】
さらに、子宮内膜症についてはヒポキサンチン及び5−オキソプロリン、胃癌についてはヘキサン酸及びブタン酸、肝硬変についてはケノデオキシグリココール酸及びオルトリン酸、糖尿病についてはオルトリン酸及びペラルゴン酸、高脂血症についてはヒポキサンチン及びヘキサン酸、肺癌についてはラウリン酸及びα−アミノアジピン酸、乳癌についてはヒスチジン及びビオプテリン、そして、膵臓癌についてはコプロポルフィリン及びペラルゴン酸という、特定の二つの疾患マーカーを組み合わせて判断することで、非常に高い確度で各疾患を診断することが可能である。
【0212】
これら特定の二つの疾患マーカーを組み合わせて判断することに加えて、子宮内膜症については、メタコリン、イノシン、グルタミン酸、O−アセチルカルニチン、または、N−アセチル−β−アラニン、胃癌については、エタノールアミン、コリン、グルタミン酸、または、ヒドロキシイソブタン酸、肝硬変については、エタノールアミン、キヌレニン、ヘキシルアミン、ベタイン、ピペコリン酸、メチオニンスルホキシド、フェニルアラニン、ヒドロキシイソブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、メチオニン、1−メチルアデノシン、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩、糖尿病については、エタノールアミン、コリン、イノシン、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、オルニチン、エタノールアミン・リン酸塩、グルタミン酸、N,N−ジメチルトリプタミン、エルゴチオネイン、ヒドロキシイソブタン酸、オクタン酸、シトラマル酸、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、または、1−メチルアデノシン、高脂血症については、エタノールアミン、コリン、メタコリン、ムスカリン、イノシン、グルタミン酸、フェニルアラニン、O−アセチルカルニチン、オクタン酸、グルタミン、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩、肺癌については、エタノールアミン、コリン、メタコリン、ムスカリン、キヌレニン、イノシン、ベタイン、オルニチン、メチルイミダゾール酢酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グアノシン、ペンタン酸、プロリン、オクタン酸、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸、ムラミン酸、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩、乳癌については、メタコリン、カルニチン、ムスカリン、アミノ−γ−シアノブタン酸、フェニルアラニン、または、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩、そして、膵臓癌については、コリン、グルタミン酸、O−アセチルカルニチン、または、ピルビン酸という、各疾患のマーカーをさらに組み合わせて判断することによって、より高い確度で各疾患を診断することが可能である。
【0213】
[実施例3]絶対濃度の算定
上記疾患マーカーとなる化合物のうち、ヒポキサンチン、5−オキソプロリン、ヘキサン酸、ブタン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、α−アミノアジピン酸、及び、ヒスチジンについては、市販の標品を用いて検量線を作成することにより、図2で得られたピーク面積に基づく相対値による閾値を、血液中の濃度に基づく絶対値による閾値へと変換した。
【0214】
結果を図5に示す。
この結果から、例えば、子宮内膜症に着目してみると、ヒポキサンチンの濃度が5.6 μmol/L以上であれば、または、5−オキソプロリンの濃度が15.7μmol/L以下であれば、子宮内膜症に罹患していると判断できることが示された。
さらに、ヒポキサンチンの濃度が5.6 μmol/L以上であって、5−オキソプロリンの濃度が15.7μmol/L以下である場合には、より高い確率で子宮内膜症に罹患していると判断できることは、実施例2において示された通りである。
【0215】
他の疾患についても同様である。ヘキサン酸の濃度が15.9 μmol/L以下であれば、または、ブタン酸の濃度が10.9 μmol/L以上であれば、胃癌に罹患していると判断でき、さらに、これら両方の条件を満たす場合には、より高い確率で胃癌に罹患していると判断できる。
ペラルゴン酸の濃度が19.9 μmol/L以下であれば、糖尿病に罹患していると判断できる。
ヒポキサンチンの濃度が7.3 μmol/L以上であれば、または、ヘキサン酸の濃度が11.8 μmol/L以下であれば、高脂血症に罹患していると判断でき、さらに、これら両方の条件を満たす場合には、より高い確率で高脂血症に罹患していると判断できる。
ラウリン酸の濃度が295.1 μmol/L以下であれば、または、α−アミノアジピン酸の濃度が1.3 μmol/L以上であれば、肺癌に罹患していると判断でき、さらに、これら両方の条件を満たす場合には、より高い確率で肺癌に罹患していると判断できる。
ヒスチジンの濃度が74.0 μmol/L以上であれば、乳癌に罹患していると判断できる。
そして、ペラルゴン酸の濃度が18.1 μmol/L以上であれば、膵臓癌に罹患していると判断できる。
【0216】
このように、ヒポキサンチン、5−オキソプロリン、ヘキサン酸、ブタン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、α−アミノアジピン酸、及び、ヒスチジンについては、血液におけるこれら化合物の含有量さえ分かればどのような測定方法を用いても、疾患に罹患しているか否かを判定できることから、簡便かつ確度の高い新たな疾患マーカーとして特に有用である。
【0217】
さらに、上記疾患マーカーとなる化合物のうち、キヌレニン、ヘキシルアミン、ベタイン、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、ピペコリン酸、オルニチン、メチオニンスルホキシド、O−アセチルカルニチン、グアノシン、ピルビン酸、ペンタン酸、ヒドロキシイソブタン酸、プロリン、2−ヒドロキシペンタン酸、グルタミン、メチオニン、及び、ムラミン酸に関しては、まず、ピーク面積について、健常者群とマーカーとなる各患者群の間でマハラノビスの距離を算出し、最適な閾値を求めた。このように求められた閾値を、各化合物について市販の標品を用いて検量線を作成することによって、血液中の濃度に基づく絶対値による閾値へと変換した。
【0218】
結果を図6に示す。
この結果から、例えば、子宮内膜症に着目してみると、O−アセチルカルニチンの含有量が13.2 μmol/L以上であれば、子宮内膜症に罹患していると判断できることが示された。
【0219】
他の疾患についても同様である。ヒドロキシイソブタン酸の含有量が20.0 μmol/L以上であれば、胃癌に罹患していると判断できる。
キヌレンの含有量が0.9 μmol/L以上、ヘキシルアミンの含有量が2.2 μmol/L以上、ベタインの含有量が40.6 μmol/L以上、ピペコリン酸の含有量が1.2 μmol/L以上、メチオニンスルホキシドの含有量が1.1 μmol/L以上、ヒドロキシイソブタン酸の含有量が20.0 μmol/L以上、2−ヒドロキシペンタン酸の含有量が25.9 μmol/L以上、または、メチオニンの含有量が28.4 μmol/L以上であれば、肝硬変に罹患していると判断できる。
1−アミノシクロペンタンカルボン酸の含有量が1.7 μmol/L以下、オルニチンの含有量が40.8 μmol/L以上、または、ヒドロキシイソブタン酸の含有量が19.4 μmol/L以上であれば、糖尿病に罹患していると判断できる。
O−アセチルカルニチンの含有量が12.7 μmol/L以上、または、グルタミンの含有量が578.9 μmol/L以下であれば、高脂血症に罹患していると判断できる。
キヌレニンの含有量が0.9 μmol/L以上、ベタインの含有量が39.2 μmol/L以上、オルニチンの含有量が13.7 μmol/L以下、グアノシンの含有量が0.7 μmol/L以下、ペンタン酸の含有量が14.1 μmol/L以下、プロリンの含有量が95.1 μmol/L以上、または、ムラミン酸の含有量が28.6 μmol/L以上であれば、肺癌に罹患していると判断できる。
ピルビン酸の含有量が1.7 μmol/L以上であれば、膵臓癌に罹患していると判断できる。
そして、ピペコリン酸の含有量が1.3 μmol/L以上、または、メチオニンの含有量が31.9 μmol/L以上であれば、肝癌に罹患していると判断できる。
【0220】
このように、キヌレニン、ヘキシルアミン、ベタイン、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、ピペコリン酸、オルニチン、メチオニンスルホキシド、O−アセチルカルニチン、グアノシン、ピルビン酸、ペンタン酸、ヒドロキシイソブタン酸、プロリン、2−ヒドロキシペンタン酸、グルタミン、メチオニン、及び、ムラミン酸については、血液におけるこれら化合物の含有量さえ分かればどのような測定方法を用いても、疾患に罹患しているか否かを判定できることから、簡便、かつ、擬陽性、擬陰性ともに適度に抑えられた判別力をもって、各疾患に罹患しているか否かを判断できる新たな疾患マーカーとして特に有用である。
さらに、ヒポキサンチン、5−オキソプロリン、ヘキサン酸、ブタン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、α−アミノアジピン酸、及び、ヒスチジンと組み合わせて用いることによって、より高い確度で各疾患を診断することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1】一実施例における疾患マーカーのCE-TOFMS測定結果を示す。
【図2】一実施例における疾患マーカーの、CE-TOFMS測定値による閾値を示す。
【図3】一実施例における疾患マーカーの、カチオンモードでのCE-TOFMS測定結果とp値とを示す。
【図4】一実施例における疾患マーカーの、アニオンモードでのCE-TOFMS測定結果とp値とを示す。
【図5】一実施例における疾患マーカーの、血液中の濃度による閾値を示す。
【図6】一実施例における疾患マーカーの、血液中の濃度による閾値を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒポキサンチン、5−オキソプロリン、ヘキサン酸、ブタン酸、ケノデオキシグリココール酸、オルトリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、α−アミノアジピン酸、N,N−ジメチルトリプタミン、ヒスチジン、ビオプテリン、コプロポルフィリン、エタノールアミン、コリン、メタコリン、カルニチン、ムスカリン、キヌレニン、イノシン、ヘキシルアミン、ベタイン、アミノ−γ−シアノブタン酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、ピペコリン酸、オルニチン、メチルイミダゾール酢酸、エタノールアミン・リン酸塩、グルタミン酸、メチオニンスルホキシド、フェニルアラニン、O−アセチルカルニチン、エルゴチオネイン、グアノシン、ピルビン酸、ペンタン酸、ヒドロキシイソブタン酸、プロリン、2−ヒドロキシペンタン酸、N−アセチル−β−アラニン、オクタン酸、グルタミン、シトラマル酸、メチオニン、6−アセトアミド−3−オキソヘキサン酸、ムラミン酸、2−メチルプロパノイル−ジヒドロリポアミド、1−メチルアデノシン、及び、3β−ヒドロキシアンドロスタ−5−エン−17−オン・3−硫酸塩、からなるグループより選択される化合物である疾患マーカー。
【請求項2】
α−アミノアジピン酸である疾患マーカーであって、前記疾患が、肺癌である疾患マーカー。
【請求項3】
採取された血液に含まれる、特定の化合物の含有量を測定する方法であって、
前記特定の化合物が、請求項1に記載の1つまたは複数の化合物の含有量であることを特徴とする測定方法。

【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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