説明

癌の治療に有用なCpG含有ゲノムを有するパルボウィルス

野生型ゲノムには存在しない少なくとも2つの追加のCpG挿入を含有するCpGモチーフ含有ゲノムを特徴とするパルボウィルス、及び、該パルボウィルスの使用に関する。例えば、パルボウィルスH1、又はLuIII、マウス微小ウィルス(MMV)、マウスパルボウィルス(MPV)、ラット微小ウィルス(RMV)、ラットパルボウィルス(RPV)若しくはラットウィルス(RV)に基づくパルボウィルス、前述のウィルス種に基づくベクタ及び/あるいは前述のウィルス種を活発に産生することができる細胞を、例えば、癌、好ましくは膵臓癌、肝臓癌又はリンパ腫の治療用医薬組成物の製造に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野生型ゲノムには存在しない少なくとも2つの追加のCpGモチーフを有するCpG含有ゲノムを特徴とする、パルボウィルスに関する。本発明はまた、癌治療のための上記パルボウィルスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
げっ歯類パルボウィルス等の腫瘍溶解性ウィルスは、新しい癌治療のツールである。癌細胞を特異的に殺す(腫瘍溶解)他、免疫システムを刺激する危険信号を出してウィルス感染腫瘍を排除する。腫瘍溶解現象の結果、自然及び獲得免疫システムが腫瘍抗原に近づくことができるようになり、クロスプライミングやワクチン接種効果をもたらす。げっ歯類パルボウィルスは、「固有の」腫瘍溶解活性を有する、すなわち、ネズミ及びヒト両起源の癌細胞内で選択的に複製して癌細胞を殺す、一本鎖DNAウィルスである。(非特許文献1)。ヒトへの臨床応用の最も有望な(H−1PVを含む)候補は、更にその抗癌効果が改善される必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Rommelaere J,Giese N,Cziepluch C,Cornelis JJ.Parvoviruses as anticancer agents.In: Sinkovics JG,Horvath JC,eds.Viral Therapy of Human Cancers.New York:Marcel Dekker;2005,627−75.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、治療用の改良パルボウィルスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、前記課題は特許請求の範囲に記載の内容により達成される。本発明は、腫瘍溶解とワクチン接種の有益な特長を組み合わせることによって改良腫瘍溶解ウィルスを生成できるという発見に基づいている。腫瘍溶解パルボウィルスベクタは、ウィルスゲノムの増幅を介して腫瘍細胞内に選択的に当該ウィルスベクタが蓄積するように、ゲノム内に追加のCpGモチーフを有するように設計した。すなわち、H−1PVのCpGモチーフ含有誘導体を作製し、既に確立された肝癌肺転移ラットモデルにおける自己抗腫瘍ワクチンの効果を強化する能力について、その親ウィルスと比較した(Raykov Z,Balboni G,Aprahamian M,Rommelaere J.Carrier cell−mediated delivery of oncolytic parvoviruses for targeting metastases.Int J Cancer 2004;l09:742−9)。親ウィルスの複製能と腫瘍溶解特性の両方を保持した、2つのCpG含有H−1PV変異体(JabCG1及びJabCG2)を作製した。該ウィルスを、担癌動物に皮下注射する前のワクチンに生体外で植菌した。これは、H−1PVが有意な腫瘍溶解効果を直接転移癌に対して発揮せず、本質的に抗腫瘍免疫応答を誘発するワクチンを効果的に調節するアジュバントとして作用する条件である(Raykov Z,Grekova S,Galabov AS,Balboni G,Koch U,Aprahamian M,Rommelaere J.Combined oncolytic and vaccination activities of parvovirus H−1 in a metastatic tumor model.Oncol Rep 2007;l7:1493−9)。増加したCpG含量を維持した状態では、JabCG1及びJabCG2ゲノムは、野生型H−1PVのDNAに比較して、生体外でTLR9仲介シグナル伝達を強力に誘導することが証明された。抗腫瘍活性は、皮下投与する自己ワクチンのアジュバントとして親及び変異ウィルスを生体外で植菌して、肝癌肺転移MH3924Aのラットモデルで評価した。
【0006】
転移癌への直接的な腫瘍溶解効果が排除されたこの設定では、JabCG2ベクタは免疫原性が増進されており、縦隔(腫瘍所属)リンパ節での細胞性免疫(IFN−γ)及び樹状細胞活性化(CD80、CD86)のマーカが増加した。このことは、他のワクチン接種スケジュール(H−1PV−、JabCG1−、JabGC−、又は模擬処理細胞)と比較して、著しい転移率の低下(50%)を導いた。CpGモチーフは、ウィルスの複製能と腫瘍細胞溶解能を損なうことなく、H−1PVゲノムに追加することができる。最も興味深いことに、H−1PV等のパルボウィルスは、CpGモチーフを追加することにより、野生型ウィルスではほとんど効果を示さない条件下でも、感染腫瘍細胞を転換してワクチンが発生する免疫刺激の状態及び転移抑制の状態にする能力があるように改善することができた。これは、ウィルス誘発腫瘍抑制が、ウィルスゲノムの活性化因子CpGモチーフの数を変更することによって促進され、生体内での免疫刺激につながることを最初に示したものである。
【0007】
要するに、本データは、腫瘍溶解ウィルスにおける免疫刺激性CpGモチーフの数を増やすことで抗腫瘍ワクチン接種により誘導される抗癌効果を全体的に改善することが可能であることを示す。パルボウィルスは腫瘍細胞内で選択的に複製するため、CpGモチーフの増幅は腫瘍部位に限定され、副作用のリスクを最小にする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】CpG変異ウィルスの構築と生体外特性を示す。(A)pSR19ベクタのHpaI部位でクローン化されたCpG含有フラグメント(CpGモチーフは太字で示す)の配列を示す。キャプシド(VP1/2)、非構造蛋白質(NS1/2)遺伝子及びそれらのプロモータ(P4、P38)の位置と共にH−1PVゲノム構成を模式的に示す。HpaII及びAclI制限部位の位置も示す。JabCG1の四角で囲まれている配列はPIF結合モチーフを示す。(B)異なるCpGウィルス(JabCG1、JabCG2、JabGC)又は参照用の野生型H−1PVによる(1細胞当たり1複製ユニットの多重度での)感染の48時間後のNBK細胞から採取したウィルスDNAのサザンブロット分析の結果を示す。ウィルス一本鎖DNA(ss)、モノマ(mRF)、及びダイマ(dRF)の複製型の位置を示す。(C)MTTアッセイにより測定された生存細胞を、模擬処理培養に対するウィルス処理培養の生細胞の百分率として示す。NBK細胞(96ウェルプレートに2×10細胞/ウェルで播種)は、記載された感染多重度(multiplicities of infection:MOI)でH−1PV又はCpG変異ウィルスを接種し、72時間後に分析した。図に示す値は、4重測定の平均値である。(D)JabCG2又はH−1PVで感染(MOI:1)した48時間後のNBK細胞から抽出したウィルスDNAのメチル化状態を示す。精製後、ウィルスDNAを示した制限酵素で処理した(又は処理しなかった)。ウィルス複製型の存在及び消化後の大きさの変化を矢印で示す。結果は、3回の実験の代表的なものを示す。
【図2】野生型及び変異H−1PVのDNAによるマクロファージ及びHEKTLR9細胞のTLR9依存活性化を示す。(A)RAW264.7マクロファージからのNO放出を示す。細胞(96ウェルプレート中、1×10細胞/ウェル)を、示したオリゴヌクレオチド(CpG−28、PTOCG1、PTOCG2、及びPTOGC)5μg/mL又はウィルスssDNA(JabCG1、JabCG2、JabGC、H−1PV)5μg/mLで刺激する前に、組換えIFN−γ(10U/mL)で一晩事前に活性化した。陽性対照として同じ濃度の大腸菌DNAを使用した。IFN−γ又はリポフェクタミンを添加した(又は添加していない)培地(MED)で処理したRAW細胞を陰性対照とした。18時間後にグレイス(Greiss)反応を利用してNOレベルを決定した。ssDNAサンプルのあるものは、細胞に適用する前にリポフェクタミンTM2000(リポフェクタミン:1μg/ウェル)でプレインキュベートした。RAW264.7細胞に取り込まれたssDNAは処理の18時間後に、H−1PV及びCpG−変異ゲノムの両方に共通の1セットのプライマを使用して、PCRで検出した。(B)ウィルスDNA処理細胞におけるTLR9依存性シグナル伝達を示す。mTLR9を安定的に発現し、NFκBにより誘導されるホタルルシフェラーゼレポータ遺伝子を含有するHEK細胞を96ウェルプレートに播種し(2×10細胞/ウェル)、表示したssDNA(JabCG1、JabCG2、JabCG:10μg/mL)で刺激した。陰性及び陽性対照として、それぞれcGpCODN−1826及びsCpGODN−1826オリゴヌクレオチド(5μg/mL)で処理した。処理の6時間後に、TLR9が仲介するNFκBの誘導を細胞ライセートのルシフェラーゼ活性を測定することにより評価した。結果は、3回の独立した実験の平均値で示す。
【図3】CpG変異ウィルスの生体内抗癌活性を示す。(A)ラットに、第0日目にMH3924A腫瘍細胞を静脈注射し、10日目にH−1PV又はJabベクタに感染させた放射線照射自己細胞を皮下ワクチン接種し、30日目に肺転移率を測定した。未処理動物との有意差(p<0.05)をアスタリスクで示す。(B)前記動物群の縦隔リンパ節における免疫学的マーカ発現についてRT−PCRで検出した結果を示す。各ラットから得られたデータを、レーン上に記載した対応する転移癌(直径2mm以上)の数と共に示す。サンプルは、β−アクチンを参照にして、整合させた。
【0009】
このように、本発明は、野生型ゲノムには存在しないCpGモチーフを少なくとも1つ含有する、CpGモチーフ含有ゲノムを特徴とするパルボウィルス(及びパルボウィルスに基づくベクタ)を提供する。
【0010】
本明細書で使用される用語「パルボウィルス」は、野生型及び複製能を有するその変異誘導体に加え、それらのウィルス又は誘導体に基づく関連ウィルス又はベクタを含む。好適なパルボウィルス、誘導体等、及び、前記パルボウィルスを産生するために用いることができる細胞は、過度の実験を行うことなく、本明細書の開示に基づいて当該技術分野における知識の範囲内で容易に決定することができる。
【0011】
用語「CpGモチーフ」は、5’−CG−3’ダイマからなるか、又は、当該ダイマを有するオリゴヌクレオチドを意味し、好ましくはDNAである。
【0012】
用語「ゲノムが、野生型ゲノムには存在しない少なくとも1つの・・・追加のCpGモチーフを含有する」とは、(a)パルボウィルスが腫瘍細胞内で増殖し、広がる能力を維持し、かつ(b)腫瘍溶解及び/又は細胞病原性が損なわれていない状態で、当該パルボウィルスのゲノムが追加のCpGモチーフを含有することを意味する。
【0013】
下記実施例に示された情報に基づいて、当業者は、アジュバント及び治療効果を高める、(a)適切なCpGモチーフ挿入部位、及び(b)CpGモチーフの最適数を決定することができる。
【0014】
個々のCpGモチーフ間の好適な距離は、1〜200ntの範囲である。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、パルボウィルスは、野生型ゲノムには存在しない追加のCpGモチーフを2〜30個、より好ましくは6〜12個含有する。特に好ましい実施形態では、パルボウィルスは、野生型ゲノムには存在しない追加のCpGモチーフを6個含有する。
【0016】
本発明の他の好ましい実施形態では、追加のCpGモチーフは、遺伝子のイントロン又は3’非翻訳領域に挿入される。当業者は、本発明の目的に有用な様々なパルボウィルスのゲノムの公知ヌクレオチド配列に基づいて、CpGモチーフの好適な挿入部位を容易に決定することができる。更に、CpGモチーフの挿入は、例えば、部位特異的突然変異生成法等の一般的手順により行うことができる。
【0017】
本発明のパルボウィルスの更に好ましい実施形態では、VP転写ユニットの3’末端の非翻訳領域にCpGモチーフを挿入する。または、CpGモチーフに富むパルボウィルスゲノムは、代わりのコドンを使用することによって得てもよい。例えば、(アルギニンをコードする)AGAコドンは、CGA、CGT、CGG又はCGCコドンと置換することができ、また、アミノ酸配列Asp−Valに対してAAC−GTTコドンを使用することもできる。
【0018】
本発明のパルボウィルスの更により好ましい実施形態では、CpGモチーフは、AACGTT又はGTCGTTのヌクレオチド配列を有する。
【0019】
特に好ましい実施形態では、本発明のパルボウィルスは、VP転写ユニットの3’末端の非翻訳領域内に3つのAACGTTモチーフと3つのGTCGTTモチーフとを有する。
【0020】
最も好ましい実施形態の一つにおいては、本発明のパルボウィルスはH−1PVに基づいており(すなわち、H−1PV由来)、VP転写ユニットの3’末端の非翻訳領域内にヌクレオチド配列、5’−GTTAACGTTTACAGCTGACTAGTCGTTTGCTCAGTCTAACGTTCTTGTCTATTGTCGTTTACTAGTCTCTTAACGTTTCATCTACTTGTCGTTAAC−3’を有する。
【0021】
特に有用なパルボウィルスは、パルボウィルスH1(H−1PV)、又はLuIII、マウス微小ウィルス(mouse minute virus:MMV)、マウスパルボウィルス(mouse parvovirus:MPV)、ラット微小ウィルス(rat minute virus:RMV)、ラットパルボウィルス(rat parvovirus:RPV)、若しくはラットウィルス(rat virus:RV)等の関連するげっ歯類パルボウィルスである。
【0022】
本発明はまた、本発明のパルボウィルス、又は、該パルボウィルスを産生する、例えば、ヒト293(T)、NBK、ラットRG2等の細胞を含有する医薬組成物(パルボ治療薬:parvotherapeutic agent)を提供する。
【0023】
投与のために、パルボ治療薬は他の好適な医薬担体と組み合わせることができる。本技術分野において周知であり、市販で容易に入手できる好適な医薬担体としては、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液、水、油/水乳液等の乳液、種々の湿潤剤、殺菌溶液等を挙げることができる。そのような担体は、好適な用量を患者に投与するために、パルボ治療薬を用いて従来の製剤方法により製剤化することができる。
【0024】
追加の薬学的に適合する担体としては、ゲル、生体吸収可能なマトリクス材、治療剤含有移植用構成物、又は他の好適な運搬媒体、送達又は調剤の手段又は物質を含むことができる。
【0025】
本発明のパルボ治療薬により治療可能な患者には、ヒトだけでなく、非ヒト動物も含まれる。非ヒト動物は、これに限定されるものではないが、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、及びネコ等の動物を含む。
【0026】
パルボ治療医薬組成物の患者、例えば、脳腫瘍患者への投与は、種々の好適な方法、例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋内、局所、皮内、頭蓋内及び腫瘍内投与のいずれかにより行うことができる。当然のことながら、投与経路は疾患の状態、医薬組成物に含有される特定の治療剤により異なる。
【0027】
そのようなパルボ治療薬が血液脳関門を通過できる感染性ウィルス粒子を有する場合、該ウィルス治療剤、例えばH1−PVの静脈注射により治療を行うか、又は少なくとも治療を開始する。
【0028】
長期の静脈注射治療は、ウィルス治療薬に対する中和抗体の形成の結果、効果を失いやすいため、静脈内投与によるウィルスの初回投与後に他の投与方法を採用することができる。または、そのような他の投与方法、例えば、頭蓋内又は腫瘍内ウィルス投与を、パルボウィルス処理の全工程を通して使用することもできる。
【0029】
その他の具体的投与方法としては、パルボ治療薬(ウイルス、ベクタ及び/又は細胞剤)は、患者に移植された放出源から患者に投与することができる。例えば、シリコーンや他の生体適合性物質のカテーテルを、腫瘍を摘出する際、又はこれと独立した手順によって患者に埋め込まれた小さな皮内リザーバ(リッカム(Rickham)リザーバ)に連結し、更なる外科的介入を必要とせずに、パルボ治療用組成物を局所的に、様々な回数注入することができる。パルボウイルス又はそれに由来するベクタは、定位手術法又はニューロナビゲーション標的法により、例えば腫瘍に、注入することもできる。
【0030】
パルボウィルス剤又は組成物の投与は、埋め込み式カテーテルを介して、蠕動輸液ポンプや対流増進送達(CED)ポンプ等の適当なポンプシステムを使用して、低流速でウィルス粒子又はウィルス粒子を含有する液を持続的に注入することにより行うこともできる。
【0031】
更に他のパルボ治療組成物の投与方法では、パルボ治療薬を目的の局所、例えば腫瘍に投与するように構築、配置した埋め込み式デバイスから投与する。例えば、パルボウイルスH1などのパルボ治療組成物を含浸させたウエハを用いることができ、当該ウエハは、外科的腫瘍摘出の結果生じた切除腔の端に取り付ける。そのような治療介入では複数のウエハを使用することができる。
【0032】
パルボウィルスH1やH1ベクタ等のパルボ治療剤を活発に産生する細胞を、腫瘍等の目的組織や腫瘍摘出後の腫瘍腔に注入することもできる。
【0033】
前記投与方法の2つ以上を、例えば、並行して、同時に、又は逐次的になど、適当な方法で組み合わせて用いることもできる。
【0034】
パルボ治療薬の投与レジメンは、患者データ、診断の他、例えば、患者の大きさ、体表面積、年齢、性別、投与される特定のパルボウイルスや細胞など、投与時間や経路、腫瘍の種類や特性等の疾患の種類、患者の全体的な健康状態、及び、患者が受けている他の薬剤又は治療等の、他の臨床因子に基づいて、担当医の下、当業者の技術の範囲で容易に決定することができる。
【0035】
従って、本発明はまた、腫瘍治療用医薬組成物の製造のための、本発明のパルボウィルス又は前記パルボウィルスを産生する細胞の使用に関する。腫瘍としては、好ましくは、本発明のパルボ治療薬による治療に特に適していると考えられる、膵臓癌、肝臓癌及びリンパ腫である。
【0036】
下記実施例により本発明をより詳細に説明する。
【0037】
実施例1.材料及び方法
(A)試薬
制限酵素は、ニューイングランドバイオラボ(フランクフルト、ドイツ)から購入した。PCRプライマとホスホロチオエートオリゴヌクレオチド[CpG−28(Meng Y,Carpentier AF,Chen L, Boisserie G,Simon JM,Mazeron JJ,Delattre JY.Successful combination of local CpG−ODN and radiotherapy in malignant glioma.Int J Cancer 2005;l16:992−7)、PTO−CG1、PTO−CG2、PTO−GC]は、MWG(Ebersberg、ドイツ)により合成された。大腸菌DNA、IFN−γ、並びに刺激オリゴヌクレオチド(sCpGODN−1826)(Krieg AM. Therapeutic potential of Toll−like receptor 9 activation. Nat Rev Drug Discov 2006;5:471−84)及び対照cGpCODN−1826オリゴヌクレオチド(反転GpCモチーフを有する)は、インビボジェン(フランス)から入手した。リポフェクタミンTM2000はインビトロジェン(Karlsruhe、ドイツ)から購入した。他の試薬は全てシグマ(Deisenhofen、ドイツ)から入手した。
【0038】
(B)細胞培養処理及びアッセイ
マウスTLR9レセプタを安定的に発現するヒト胎児腎臓細胞株HEK−TLR9は、Stefan Bauer博士(Technical University、ミュンヘン、ドイツ)(Fischer SF,Rehm M,Bauer A,Hofling F,Kirschnek S,Rutz M,Bauer S,Wagner H,Hacker G.Toll−like receptor 9 signaling can sensitize fibroblasts for apoptosis.Immunol Lett 2005;97:l15−22)より供与された。HEK−TLR9、293T及びNBK線維芽細胞株は、マクロファージRAW264.7細胞(ATCC、マサチューセッツ州、米国)と同様、DMEM中で培養した。ACIラット肝癌細胞株MH2934A(Raykov Zら、Int J Cancer 2004;l09:742−9)は、RPMI中で培養した。これら培地は、全てシグマ社から入手し、FCS(10%)、ペニシリン(100ユニット/mL)及びストレプトマイシン(10mg/mL)を添加した。
【0039】
異なるウィルス分離体の細胞変性作用を、感染の72時間後のNBK細胞についてMTT(3−(4,5−ジメチルチアゾイル-2)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)細胞毒性分析を行うことにより評価した。MH2934A細胞培養物は、注入前に15Gyのγ線を照射した。両方法も以前記載した方法(Raykov Zら、Int J Cancer 2004;l09:742−9)で行った。RAW264.7マクロファージ培養上清中のNOレベルの測定は、Faisst Sら,Faisst SR,Dupressoir T,Plaza S,Pujol A,Jauniaux JC,Rhode SL,Rommelaere J.Isolation of a fully infectious variant of parvovirus H−1 supplanting the standard strain in human cells.J Virol 1995;69:4538−43で報告されているように、グレイス(Greiss)呈色反応により行った。ルシフェラーゼは以前記載した(Fischer SFら、Immunol Lett 2005;97:l15−22)ように測定した。リポフェクタミンTM2000トランスフェクションは、製造者の指示書に従って行った。
【0040】
(C)ウィルス及びウィルスDNA分析
JabCG1、JabCG2、及びJabGCベクタは、図1Aに示したHpaI消化フラグメントを、感染H−1PV分子クローンであるpSR19ベクタに挿入して構築した(Faisst Sら、J Virol 1995;69:4538−43)。ウィルスベクタは、Faisst Sら、J Virol 1995;69:4538−43に記載されたように、293T細胞をそれぞれのプラスミドでトランスフェクトした後、NBK細胞への感染させ、精製してエンドトキシン濃度を2.5EU/mL未満として調整した。ウィルスは、NBK細胞を用いた感染中心アッセイ(infectious centre assay)により力価測定した。ハート抽出法(Hirt's extraction method)により、精製ビリオン又は感染NBK細胞からウィルスDNAを単離した。複製可能なウィルスDNA構造を酵素消化し、サザンブロッティング(Russell SJ, Brandenburger A, Flemming CL, Collins MK, Rommelaere J. Transformation−dependent expression of interleukin genes delivered by a recombinant parvovirus. J Virol 1992;66:2821−8)により解析した。DpnI酵素は、H−1PVゲノムの複数部位に存在する、GA‘TC配列のメチル化(‘)DNAのみを切断する。HpaII酵素は、そのうち5つがウィルスゲノムの右端に位置する、非メチル化C’CGGモチーフでDNAを分解する(図1A参照)。AclI酵素は、JabCG2を生成する上で3コピーが挿入された(図1A)、AAC’GTT配列内の非メチル化シトシンでのみDNAを切断する。制限酵素反応は全て、製造者が推奨する条件下で行った。
【0041】
(D)RT−PCR
処理動物の縦隔リンパ節から全RNAを抽出し、以前報告した(Raykov Zら、Int J Cancer 2004;l09:742−9)ように、cDNAに逆転写した。ラットcDNAの増幅には次のプライマを使用した:IFN−γには、5’−ATCTGGAGGAACTGGCAAAAGGACG−3’−フォワード、5’−CCTTAGGCTAGATTCTGGTGACAGC−3’−リバース、CD80には、5’−GGCATTGCTGTCCTGTGATTAC−3’−フォワード、5’−ACTCAGTTATGTTGGGGGTAGG−3’−リバース、CD86には、5’−GCTCGTAGTATTTTGGCAGGACC−3’−フォワード、5’−CGGGTATCCTTGCTTAGATGAGC−3’−リバース。対応するPCR生成物の大きさは、それぞれ290bp(IFN−γ)、314bp(CD80)、337bp(CD86)であった。β−アクチン及びH−1PVのPCRのためのプライマ配列は、既に報告されている(Raykov Zら、Int J Cancer 2004;l09:742−9)。
【0042】
(E)動物及び腫瘍モデル
既に報告したように(Raykov Zら、Int J Cancer 2004;l09:742−9)、麻酔したACIラットの大腿静脈を通してMH3924A細胞(1×10細胞/動物)を接種し、転移を誘起した。転移誘導の10日後にワクチン接種した。MH3924A細胞をそれぞれの精製ウィルスで感染させ又は感染させなかった。感染の24時間後にPBSで十分に洗浄後、細胞を放射線照射し、ラットに皮下注射した(1×10細胞/動物)。動物はワクチン接種の20日後にサクリファイスした。胸腔を開いた後、気管にシリンジでカニューレを挿入し、肺に5〜6mLの0.9%NaCl中の2%墨汁溶液を吹き入れた。肺をフェケット溶液(Fekette solution:58%エタノール、3%ホルムアルデヒド、0.04%氷酢酸)に浸した後、肺組織の黒い背景上に白い転移結節(大きさ:1〜2mm)を可視化した。組織表面上の結節を拡大鏡を用いて数えた。肺を切除後、縦隔リンパ節を摘出した。全ての実験は、ヨーロッパ及び現地ガイドラインに従って行った。
【0043】
(F)統計
細胞生存、刺激及び転移発生について、平均値及び標準偏差を計算した。処理動物群における転移発生の統計的有意差は、一元配置分散分析し、パラメトリック不対スチューデントt−検定により評価した。個々の値の相違は、p<0.05で有意であると判断した。分析には、Instat2.00(登録商標)マッキントッシュソフトウェア(GraphPad Software,サンディエゴ,カリフォルニア州)を使用した。
【0044】
実施例2.CpG変異ウィルスの構築と生体外特性
2回目の感染により目的腫瘍に腫瘍溶解性ウィルスを拡散させるには複製能力が必須であるので、腫瘍細胞内で増殖及び拡散する能力を維持しているCpG含有パルボウィルスを構築した。H−1PVゲノムはやや小さく、ウィルスの生活環において重要な機能を有する蛋白質をコードしている。従って、一連のCpG含有DNAはVP転写ユニットの3’末端の非翻訳領域に挿入した。図1Aに示すように、2つのH−1PV変異体(JabCG1、JabCG2)にクローン化された配列は、異なる数の2種類のCpGモチーフ:AACGTT(ネズミモデルで活性であると報告されている、普遍的な免疫活性化要素)(Meng Yら、Int J Cancer 2005;l16:992−7)及びGTCGTT(ヒト細胞の活性化も示すモチーフ)(Sivori S,Carlomagno S,Moretta L,Moretta A.Comparison of different CpG oligodeoxynucleotide classes for their capability to stimulate human NK cells.Eur J Immunol 2006;36:961−7)を含んでいた。第3の構築物(JabGC)は、モチーフ内で逆(GC)方向になっており、対照として使用した。
【0045】
293T細胞を前記構築物でトランスフェクトして形成されたウィルスのゲノム配列を決定した。許容細胞株及び動物の両者の継代により、JabCG1ウィルスは、挿入されたCpGモチーフに突然変異を次第に蓄積していくことが見出された(データは非図示)。この傾向は、パルボウィルス開始因子(parvovirus initiation factor:PIF)への結合部位を構成する隣接したACGTモチーフ(図1A、四角に囲まれている部分)がJabCG1内に存在するためであると仮定された(Christensen J, Cotmore SF, Tattersall P. Parvovirus initiation factor PIF: a novel human DNA−binding factor which coordinately recognizes two ACGT motifs. J Virol 1997;71:5733−41)。これは、本質的な機能を発揮するゲノムの左端起点への結合が可能なPIFの濃度を下げ、挿入においてPIFに結合しない突然変異を選択したためとも思われる。この見解に一致して、(PIF結合部位とのホモロジに欠ける)JabCG2とJabGC変異体は、複数回の継代を通して安定であった(データは非図示)。
【0046】
(ゲノム力価で)同量を使用した場合、JabCG1、2及びJabGC変異体は、親ウィルスとして、複製能、及びトランスフェクトNBH細胞を殺す能力において同等であった(図1B及びC)。従って、挿入は、腫瘍溶解及び増殖のためのウィルスの能力を損なうものではなかった。感染細胞内におけるウィルスDNAのメチル化状態を、メチル化感受性酵素を用いた制限消化により決定した(RFLP分析)。単量体及び二量体のウィルス複製形態(図1D)は、DpnI消化に抵抗性である。一方、ウィルスDNAはHpaIIに感受性であり、JabCGウィルスはCpG挿入に限定された特定部位(AACGTT)を認識するAclIに感受性である。要するに、これらの結果は、ウィルスDNA複製生成物、特に、組み込まれたCpGモチーフ内に存在するシトシン残基が、TLR9活性化の誘発に必要であるメチル化をほとんど受けていなかったことを示している(Krieg AM、Nat Rev Drug Discov 2006;5:471−84)。結論として、H−1PVゲノムに追加されたCpGモチーフは、ウィルス複製又は細胞病原性を損なうことがなく、TLR9レセプタとの相互作用に好適な非メチル化状態を維持していた。
【0047】
実施例3.野生型及び変異H−1PVのDNAによるマクロファージ及びHEKTLR9細胞のTLR9依存的活性化
次に、異なるウィルスから単離された一本鎖DNAの、IFN−γで予め活性化されたRAW264.7マクロファージからの酸化窒素の放出を刺激する能力について試験した(Lundberg P,Welander P,Han X,Cantin E.Herpes simplex virus type 1 DNA is immunostimulatory in vitro and in vivo.J Virol 2003;77:l1158−69)。細胞は、RT−PCRによりTLR9mRNAが陽性であること(データは非図示)、及び大腸菌DNAに機能的に反応する(図2A)ことを確認した。RAW264.7細胞を、クローニング(図1A参照)に使用したものと同じフラグメントを有するホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(PTO−CG1、PTO−CG2、PTO−GC)、又はそれぞれのウィルス(JabCG1、−CG2、−GC又はH−1PV)から単離したssDNAと一緒に培養し、放出されるNOを測定した。CpG−28(既に報告されている活性化因子オリゴヌクレオチド:Meng Yら、Int J Cancer 2005;l16:992−7)及び大腸菌DNAを陽性対照として使用した。図2Aに示すように、パルボウィルスDNAの追加されたCpGモチーフもまた、活性化能を示した。JabCG2のssDNAは、JabCG1よりも含有するCpGモチーフが少ないにも拘らず(6対13)、その刺激活性は高かった。このことは、これらのモチーフがJabCG1の増殖の間に突然変異を起こした事実と一致する。リポソーム形成剤でのトランスフェクトは、改良エンドソーム送達を通じて微生物DNAの刺激効果を促進することができるという以前の報告(Dalpke A,Frank J,Peter M,Heeg K.Activation of toll−like receptor 9 by DNA from different bacterial species.Infect Immun 2006;74:940−6)に一致して、リポフェクタミンを使用してH−1PVのssDNA又はそのCpG含有誘導体で細胞をトランスフェクトすると、細胞取り込み(PCRで評価)が高かった(図2B、下のパネル)。それに応じて、RAW264.7からのNOの放出が上昇した。
【0048】
JabCGのDNAによるRAW264.7細胞の活性化能が、取り込まれたCpGモチーフをTLR9が認識することによることを確認するために、マウスTLR9cDNAで安定にトランスフェクトされたHEK293細胞に対する前記ssDNAの刺激作用を測定した。HEK293細胞は、通常、いずれのTLRも発現しないので、TRL9活性化は、安定に取り込まれたNF−κBにより促進されるレポータ遺伝子(ルシフェラーゼ)の誘導を介して測定することができた。図2Bに示すように、JabCG1由来ssDNA及びJabCG2由来ssDNAは、JabGC由来ssDNA、陰性対照オリゴヌクレオチド(cGpC−1826)及び培地と比較して、有意に高いレベルにルシフェラーゼ発現を誘導した。しかし、JabCGのDNAは、陽性対照オリゴヌクレオチド(sCpG−1826)よりも非常に低い活性化効果しか示さず、これは、μgDNA当たりのCpGモチーフ量が低いためと考えられた。これらのデータから、H−1PVssDNAは免疫細胞の活性化を誘発する能力を有し、CpG含有がTLR9活性化を介してこの能力を強めることが結論付けられた。
【0049】
実施例4.パルボウィルスをCpGモチーフで武装することによる腫瘍抑制力の改善
これらの結果に基づき、挿入されたCpGモチーフの、生体内におけるH−1PVの免疫修飾及び癌抑制活性に対する影響を調べた。標的腫瘍に対する直接的な腫瘍溶解効果がない状態でパルボウィルスの免疫刺激能を評価可能なラット肺肝癌転移確立モデルを使用した。感染がない場合に転移に対して限定的な防御しか示さない、X線照射自己腫瘍細胞(MH3924A)を含むワクチンと共に投与した場合の、H−1PV由来Jab突然変異体投与のアジュバント効果について試験した。放射線照射前のワクチンにウィルスを生体外で播種し、転移癌を有するラットに皮下注射した。この方法では、処理ラットの肺におけるウィルスはRT−PCTでは検出できず、肺転移癌に対する腫瘍溶解効果は見られなかったため、該ウィルスは明らかにワクチンアジュバントとしてのみ作用可能であった。図3Aに示すように、細胞性ワクチンの治療効果は、アジュバントウィルスがH−1PV、JabGC、又はJabCG1である場合に、わずかな、ほとんど有意差のない程度に改善されるのみであった。このことは、これらのウィルスにおけるCpGモチーフの欠如又は段階的な消失と一致する。反対に、JabCG2感染ワクチンは、非処理の対照と比較して、転移率を50%以上低下させた。JabCG2ワクチンで処理した群では、2mm以上の大きさの結節の数が非常に少ないのに加えて、大きな壊死結節(5mm以上)は見られなかった。その他の処理群では、逆に、この進行した疾患が多くみられた。細胞性免疫応答の活性化を示すマーカ(IFN−γ)、及び樹状細胞の成熟を示すマーカ(CD80,CD86)の発現を、転移癌が位置する肺につながる縦隔リンパ節のRT−PCRにより測定した。図3Bに示すように、これらの自然及び獲得免疫応答の指標は、JabCG2処理群において強く誘導され、好ましい疾患の転帰と相関した。最も興味深いことに、JabCG1処理群でそのようなマーカの上昇ほとんど示さない動物においても、ほとんど転移が認められなかった。これらの結果は、免疫活性化の向上をもたらすCpGモチーフによりパルボウィルスを武装することにより、パルボウィルスの抗腫瘍能を更に強化することが可能であることが強く示唆した。このことは、その改善アジュバント効果及び治療効果が、複数回継代しても挿入されたCpGモチーフを維持することと明らかに相関していることから、JabCG2ウィルスにおいて最もよく実証される。
【0050】
ヒトメラノーマのパルボウィルス腫瘍溶解物は、凍結融解抽出物よりも、樹状細胞の成熟を強く活性化することが近年明らかにされた(Moehler MH,Zeidler M,Wilsberg V,Cornelis JJ, Woelfel T, Rommelaere J,Galle PR,Heike M.Parvovirus H−1−induced tumor cell death enhances human immune response in vitro via increased phagocytosis,maturation,and cross−presentation by dendritic cells.Hum Gene Ther 2005;16:996−1005)。この効果は、感染腫瘍細胞のHSP72発現の誘導に相関することが見出されている。本結果は、パルボウィルスの免疫刺激活性が、CpGモチーフをウィルスゲノムに追加することによって強化されることを示している。このことは、推定上のウィルス誘導細胞因子に加えて、ウィルス構成成分が免疫調節に寄与することを意味する。これらの構成成分は、感染腫瘍細胞により産生されるウィルスDNA種を含む可能性が高い。
【0051】
H−1PVゲノムは小さいため、パッケージングを妨げることなく導入できるCpGモチーフの数は制限される。それにもかかわらず、追加する活性化因子CpGモチーフの数を2倍にすることが可能であり、更に、H−1PVの腫瘍溶解能を更に改良することが可能であると思われる。これは、代替コドンの使用によるモチーフの生成又はp38プロモータにあるウィルスイントロンにより達成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型ゲノムには存在しない少なくとも2個の追加のCpGモチーフを有する、CpGモチーフ含有ゲノムを特徴とするパルボウィルス。
【請求項2】
野生型ゲノムには存在しない少なくとも5個の追加のCpGモチーフを有することを特徴とする、請求項1に記載のパルボウィルス。
【請求項3】
野生型ゲノムには存在しない5〜20個の追加のCpGモチーフを有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のパルボウィルス。
【請求項4】
追加のCpGモチーフが代替コドンの使用により生成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパルボウィルス。
【請求項5】
追加のCpGモチーフが遺伝子のイントロン又は3’非翻訳領域に挿入されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパルボウィルス。
【請求項6】
3’非翻訳領域がVP転写ユニットの3’末端の非翻訳領域であることを特徴とする、請求項5に記載のパルボウィルス。
【請求項7】
CpGモチーフがAACGTT又はGTCGTTのヌクレオチド配列を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパルボウィルス。
【請求項8】
パルボウィルスが、パルボウィルスH1(H−1PV)又は関連するげっ歯類パルボウィルスであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパルボウィルス。
【請求項9】
関連するげっ歯類パルボウィルスが、LuIII、マウス微小ウィルス(MMV)、マウスパルボウィルス(MPV)、ラット微小ウィルス(RMV)、ラットパルボウィルス(RPV)、又はラットウィルス(RV)であることを特徴とする、請求項8に記載のパルボウィルス。
【請求項10】
パルボウィルスが、VP転写ユニットの3’末端の非翻訳領域内に3つのAACGTTモチーフと3つのGTCGTTモチーフを有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のパルボウィルス。
【請求項11】
パルボウィルスが、VP転写ユニットの3’末端の非翻訳領域内にヌクレオチド配列、5’−GTTAACGTTTACAGCTGACTAGTCGTTTGCTCAGTCTAACGTTCTTGTCTATTGTCGTTTACTAGTCTCTTAACGTTTCATCTACTTGTCGTTAAC−3’を有することを特徴とする、請求項10に記載のパルボウィルス。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1つに記載のパルボウィルス又は該パルボウィルスを産生する細胞を含有する医薬組成物。
【請求項13】
癌治療用医薬組成物の製造のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載のパルボウィルス又は該パルボウィルスを産生する細胞の使用。
【請求項14】
癌が膵臓癌、肝臓癌又はリンパ腫である、請求項13に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−507535(P2011−507535A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540057(P2010−540057)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010972
【国際公開番号】WO2009/083202
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(500030655)
【出願人】(509161141)ルプレヒト−カールス−ウニヴェルジテート ハイデルベルク (6)
【氏名又は名称原語表記】Ruprecht−Karls−Universitaet Heidelberg
【住所又は居所原語表記】Grabengasse 1, D−69117 Heidelberg, Germany
【Fターム(参考)】