説明

癌組織由来細胞塊およびその調製法

【課題】生体内での癌細胞の挙動を正確に反映できるような新規な癌組織由来細胞塊およびその調製方法を提供すること。
【解決手段】個体から得られた癌組織から3個以上の癌細胞を含む塊として分離処理された分離物またはその培養物であって、インビトロにおいて、増殖能を保持することができる、癌組織由来細胞塊を調製する。このような癌組織由来細胞塊は、例えば、生体から摘出した癌組織の細片化物を酵素処理する工程;および酵素処理物のうち3個以上の癌細胞を含む塊を選別回収する工程を含む調製方法で得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌組織由来細胞塊およびその調製方法に関する。より詳細には、本発明は、インビトロで癌を再構築でき、かつ増殖能を保持する癌組織由来細胞塊に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、がんを克服するため様々な研究が積み重ねられてきた結果、早期がんの治療成績は飛躍的に向上している。しかし、進行がんの治療は依然として困難で、がんは日本人の死因のトップを占め続けている。厚生労働省による平成19年人口動態統計では、年間34万人以上ががんにより死亡している。
【0003】
これまでのがん研究では、特にインビトロにおいてその挙動を調べる場合は、培養に最適化した条件で継代培養され確立された癌細胞株を用いた実験が主流である。このような癌細胞株には、ヒト乳癌細胞株(MDF7、NCI/ADR HS578T、MDA−MB−22231/ATCC、MDA−MB−4335、MDA−N、BT−549、T−47D)、ヒト子宮頸癌細胞株(HeLa)、ヒト肺癌細胞株(A549、EKVX, HOP−62、HOP−92、NCI−H23、NCI−H226、NCI−H322M、NCI−H460、NCI−H522)及びヒト大腸癌細胞株(Caco−2、COLO 205、HCC−2998、HCT−15、HCT−116、HT29、KM12、SW−620)ヒト前立腺癌細胞株(DU−145、PC−3、LNCaP)、などが含まれ、実際に広く研究に用いられている。
【0004】
がんの患者別の診断や治療実現等の為に、癌細胞の初代培養が有望とされ、研究が進められている。例えば初代培養細胞を用いたCD−DST法(Collagen gel droplet embedded drug sensitivity test)などが開発されている。このインビトロの試験法は、患者からの単離組織あるいは細胞をコラーゲン・ゲル小滴内に包埋し、三次元培養と画像比色定量法を組み合わせて検証する薬剤感受性試験である(例えば非特許文献1)。しかしながら、初代培養細胞については、培養法が確立しておらず、取り扱いが困難である。
【0005】
癌細胞の研究の成果として、がんを構成する癌細胞は複数の亜集団から成り立っている可能性があり、「腫瘍始原細胞」あるいは「腫瘍幹細胞」と呼ばれる、小集団であるが自己複製が可能で、分化によって大多数の癌細胞の源となりえる亜集団の存在を支持する報告が相次いでいる(例えば、非特許文献2および3)。このような幹細胞は、例えば、生体から摘出した腫瘍を、単一の細胞にまで分離してソートすることによって取得することができ、そのうちのいくらかがインビトロにおいても増殖能を示すとされている(非特許文献4)。しかしながら、このようにがんの起源を幹細胞で説明する説には、否定的な報告もあり(非特許文献5)、仮説の域を出ない。
【0006】
がん研究が広く行われている現状にあってもなお、がんについては未知の点が多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Takamura Yら(2002)Prediction of chemotherapeutic response by collagen gel droplet embedded culture-drug sensitivity test in human breast cancers. Int.J.Cancer,98,450-455
【非特許文献2】Vermeulen Lら(2008)Single-cell cloning of colon cancer stem cells reveals a multi-lineage differentiation capacity. PNAS Vol.105 No.36 13427-13432
【非特許文献3】Ricci-Vitiani Lら(2007)Identification and expansion of human colon-cancer-initiating cells. Nature Vol.445 111-115
【非特許文献4】Todaro Mら(2007)Colon cancer stem cells dictate tumor growth and resist cell death by production of interleukin-4. Cell Stem Cell 1:389-402
【非特許文献5】Shmelkov S V ら(2008)CD133 expression is not restricted to stem cells, and both CD133+ and CD133- metastatic colon cancer cells initiate tumors. The Journal of Clinical Investigation Vol. 118 2111-2120
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、生体内での癌細胞の挙動をインビトロにおいて再現することができ、薬剤感受性試験あるいは放射線感受性試験などで生体内での効果を正確に検証し得る、癌の分析や治療の研究の為の試料として有用な、新規な癌組織由来細胞塊を提供することにある。
【0009】
本発明の目的はまた、異種動物への移植において、少量で十分な定着性を有し、簡便な癌動物モデルの作成に利用し得る、癌の分析や治療の研究のための試料として有用な、新規な癌組織由来細胞塊を提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、個々の癌患者の治療感受性試験を行うことを企図し、癌研究の研究材料として用いられてきた細胞株が患者癌とは異質のものである可能性を考慮して、前記課題を解決すべく研究材料としての癌細胞の初代培養法について鋭意検討を重ねた結果、新規な癌組織由来細胞塊およびその調製方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、インビトロにおいても個体における生体内での癌細胞の挙動を正確に反映できるような、新規な癌組織由来細胞塊およびその調製方法を提供することを目的とする。
【0012】
本発明は、個体から得られた癌組織から3個以上の癌細胞を含む塊として分離処理された分離物またはその培養物であって、インビトロにおいて、増殖能を保持することができる、癌組織由来細胞塊、に関する。
【0013】
上記癌組織由来細胞塊は、前記個体から得られた癌組織を、コラゲナーゼを含む酵素で処理する工程を含む方法によって得られうる。
【0014】
このような酵素としては、特には、C. histolyticum neutral protease、thermolysin、およびdispaseからなる群より選択される1種以上のプロテアーゼ;およびコラゲナーゼI、コラゲナーゼII、およびコラゲナーゼIVからなる群より選択される1種以上のコラゲナーゼを含む混合酵素で処理する工程を含む方法によって得られ得る。
【0015】
上記混合酵素は、リベラーゼブレンザイム1(登録商標)であり得る。
【0016】
本発明はまた、3個以上の癌細胞集合体を含み、略球形あるいは楕円球形を呈する癌組織由来細胞塊、に関する。
【0017】
本発明はまた、3個以上の癌細胞集合体:および該癌細胞集合体の外周面に存在する基底膜様物を含み、略球形あるいは楕円球形を呈する癌組織由来細胞塊、に関する。
【0018】
上記癌組織由来細胞塊は、実質的に癌細胞以外の細胞を含まないことが好ましい。
【0019】
上記基底膜様物はラミニンであり得る。
【0020】
上記癌組織由来細胞塊の直径は、40μm〜250μmであり得る。
【0021】
上記癌細胞は、上皮癌細胞由来であり得る。
【0022】
上記癌細胞は、大腸癌、卵巣癌、乳癌、肺癌、前立線癌、腎癌、膀胱癌、咽頭癌、あるいは膵臓癌由来であり得る。
【0023】
本発明はまた、生体から摘出した癌組織の細片化物を酵素処理する工程;および
該酵素処理物のうち3個以上の癌細胞を含む塊を選別回収する工程
を含む、癌組織由来細胞塊の調製方法、に関する。
【0024】
上記調製方法は、さらに、上記回収した成分を3時間以上培養する工程を含み得る。
【0025】
上記選別回収は、篩を用いて回収することであり得る。
【0026】
上記3個以上の癌細胞を含む塊を選別回収する工程が、メッシュサイズ40μmの篩における篩上成分でかつメッシュサイズ250μmの篩における篩下成分を回収する工程であり得る。
【0027】
上記酵素は、コラゲナーゼを含む酵素であり得る。この酵素は、C. histolyticum neutral protease、thermolysin、およびdispaseからなる群より選択される1種以上のプロテアーゼ;およびコラゲナーゼI、コラゲナーゼII、およびコラゲナーゼIVからなる群より選択される1種以上のコラゲナーゼを含む混合酵素であり得る。
【0028】
上記混合酵素は、リベラーゼブレンザイム1(登録商標)であり得る。
【0029】
本発明はまた、上記の調製方法によって得られる癌組織由来細胞塊、に関する。
【発明の効果】
【0030】
本発明の癌組織由来細胞塊は、インビトロで生体内と同様の挙動を示し、またそのような挙動を示すものを再構築することができ、かつ一定期間以上に渡って、増殖能を保持し得る。このような癌組織由来細胞塊は、癌細胞の培養による増幅に使用でき、またインビトロにおいて薬剤感受性試験あるいは放射線感受性試験に幅広く好都合に利用することができる。異種動物に対する腫瘍定着性にも優れることから、簡易な腫瘍形成動物の作成に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の癌組織由来細胞塊を示す図である。
【図2】本発明の癌組織由来細胞塊の1つの態様では、細胞が表面抗原CD133、CD44、CD166等を発現することを示す図である。
【図3】インビトロの培養過程における本発明の癌組織由来細胞塊の形状の変化と増殖能を表す図である。
【図4】本発明の癌組織由来細胞塊を用いた、インビトロにおける5−FUによる薬剤感受性試験の結果を示す図である。
【図5】本発明の癌組織由来細胞塊をマウスに移植して得られた腫瘍組織と癌組織由来細胞塊の由来である生体内から摘出した腫瘍組織とを比較した図である。
【図6】本発明の癌組織由来細胞塊を用いた、インビトロにおける放射線感受性試験の結果を示す図である。
【図7】様々な癌組織から得られた本発明の癌組織由来細胞塊を示す図である。
【図8】乳癌組織由来細胞塊を用いた、ホルモン感受性培養試験の結果を表す図である。
【図9】マウス膵島腫瘍から得られた本発明の癌組織由来細胞塊を示す図である。
【図10】本発明の癌組織由来細胞塊を冷凍保存した前後の状態を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の癌組織由来細胞塊は、個体から得られた癌組織から3個以上の癌細胞を含む塊として分離処理された分離物またはその培養物であり、インビトロにおいて、増殖能を保持することができるようなものであり得る。
【0033】
ここで、「個体から得られた癌組織から3個以上の癌細胞を含む塊として分離処理された分離物」とは、生体内で発生した癌から得られた癌組織を処理して得られた3個以上、好ましくは8個以上の癌細胞を含む分離物を指す。このような分離物には、単一細胞にまで分離されているものは含まれず、また単一細胞に分離されてから再構築した構成物は含まれない。但し、この分離物は、生体から分離した直後の物だけではなく、例えば生理食塩水中で一定時間保持したものや冷凍または冷蔵した物も含む。
【0034】
個体から「得られた癌組織」とは、手術等により摘出することで得られる癌組織の他、注射針や内視鏡で組織検査用としてインビトロで取り扱い可能なように取得された癌組織を指す。
【0035】
「個体から得られた癌組織から3個以上の癌細胞を含む塊として分離処理された分離物の培養物」とは、生体内で発生した癌から得られた癌組織を処理して得られた3個以上の癌細胞を含む塊として分離処理された分離物をインビトロにおいて培養することによって得られるものを指す。培養する時間は特に限定されず、わずかな時間でも培地中に存在させたものであればよい。このような培養物は、一定期間、好ましくは3時間以上培養することによって、略球形あるいは楕円球形を呈する場合が多い。ここでの培養物には、このような一定期間経過後の略球形あるいは楕円球形の培養物も、そこに至るまでの不定形の培養物も含まれる。さらに、このような略球形あるいは楕円球形の培養物をさらに分割して得られる不定形、さらなる培養による略球形物あるいは楕円球形物もここでいう培養物である。
【0036】
本発明の癌組織由来細胞塊が、インビトロにおいて、「増殖能を保持することができる」とは、温度37℃、5%CO2インキュベーターの細胞培養条件下で、少なくとも10日以上、好ましくは13日以上、さらに好ましくは30日以上の期間増殖能を保持することができることをいう。
【0037】
このような癌組織由来細胞塊は、そのまま培養を続けることでも10日以上、好ましくは13日以上、さらに好ましくは30日以上の期間において増殖能を保持し得るが、さらに培養中に定期的に機械的分割を行うことで、実質的に無期限に増殖能を保持し得る。
【0038】
機械分割は手術用メス、ナイフ、ハサミの他、眼科尖刀などを用いて行うことができる。あるいは注射器に注射針を装着して培養液と共に癌組織由来細胞塊を吸引排出することを繰り返すことによっても行うことができる。本発明に好ましく用いられるのは、例えば1ml注射器と27Gの注射針であるが、限定はされない。
【0039】
ここで、本発明の癌組織由来細胞塊の培養の為の培地は、特に限定はされないが、好ましくは、動物細胞培養用培地が用いられる。特に好ましくは、幹細胞培養用の無血清培地が用いられる。このような無血清培地は、幹細胞の培養に用いられるものであればなんら限定はされない。無血清培地とは、無調製または未精製の血清を含まない培地を指し、精製された血液由来成分や動物組織由来成分(例えば、増殖因子)を添加して使用することができる。
【0040】
本発明の無血清培地は、動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地として調製し得る。基礎培地としては、例えば、BME培地、BGJb培地、CMRL 1066培地、Glasgow MEM培地、Improved MEM Zinc Option培地、IMDM培地、Medium 199培地、Eagle MEM培地、αMEM培地、DMEM培地、RPMI 1640培地、Fischer’s培地、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0041】
このような無血清培地に、血清代替物を添加して、本発明の癌組織由来細胞塊を培養することができる。血清代替物は、例えば、アルブミン、アミノ酸(例えば、非必須アミノ酸)、トランスフェリン、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2−メルカプトエタノールまたは3’チオールグリセロール、あるいはこれらの均等物などを適宜含有するものであり得る。
【0042】
本発明の培養方法においては、市販の血清代替物を使用することもできる。このような市販の血清代替物としては、例えば、ノックアウト血清リプレースメント(KSR)、Chemically-defined Lipid concentrated脂肪酸濃縮液(Gibco社製)、グルタマックス(Gibco社製)が挙げられる。
【0043】
本発明の癌組織由来細胞塊を培養するための培地はまた、ビタミン、増殖因子、サイトカイン、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類等を含有し得る。
【0044】
特に、EGFとbFGFを含む無血清培地、例えばノックアウト血清リプレースメント(KSR、インビトロジェン社製)のような血清代替物とbFGFとを含む無血清培地等の任意の無血清培地を好ましく使用することができる。血清代替物あるいはEGF等の含有量は、培地全体の10〜30%w/vであることが好ましい。
【0045】
このような培地としては限定はされないが、市販品としては、STEMPROヒトES細胞用無血清培地(Gibco)が挙げられる。
【0046】
癌組織由来細胞塊の培養に用いられる培養器は、一般的に動物細胞の培養が可能なものであれば特に限定されないが、例えば、フラスコ、組織培養用フラスコ、ディッシュ、ペトリデッシュ、組織培養用ディッシュ、マルチディッシュ、マイクロプレート、マイクロウエルプレート、マルチプレート、マルチウエルプレート、チャンバースライド、シャーレ、チューブ、トレイ、培養バック、ローラーボトルが挙げられる。
【0047】
培養器は、細胞非接着性で、細胞外マトリックス(ECM)等による細胞支持用基質を培地に共存させて三次元培養することが好ましい。細胞支持用基質は、癌組織由来細胞塊の接着を目的とするものであり得る。このような細胞支持用基質としては、細胞外マトリックスを用いたマトリゲル、例えば、コラーゲンゲルや、ゼラチン、ポリ−L−リジン、ポリ−D−リジン、ラミニン、フィブロネクチンが挙げられる。このような条件は、特に本発明の癌組織由来細胞塊を増殖させたい場合に好適に用いられる。
【0048】
その他の培養条件は、適宜設定でき、例えば、培養温度は、限定されるものではないが好ましくは、約30〜40℃である。最も好ましくは37℃である。CO濃度は、例えば約1〜10%、好ましくは約2〜5%である。
【0049】
本発明の癌組織由来細胞塊は、このような培地および培養条件で培養し得る。さらに癌組織由来細胞塊の培養には、その個別の性質によって、他の細胞との共培養が好ましい場合、あるいはホルモンのような追加の特殊な補充物の存在が必要な場合もあり得る。
【0050】
具体的には、共培養を、フィーダー細胞と共に行ってもよい。フィーダー細胞としては、胎児線維芽細胞等のストローマ細胞等を用いることができる。具体的には、限定はされないが、NIH3T3などが好ましい。
【0051】
あるいは、特定種類の乳癌、子宮癌、前立腺癌に対しては、ホルモンを存在させて培養することが好ましい。具体的には、乳癌に対するエストロゲン、子宮癌に対するプロジェステロン、前立腺癌に対するテストステロンなどであるが、これらに限定されず、各種ホルモンを添加し、培養条件を好都合に調整することができる。さらに、このようなホルモンの存在によって、癌組織由来細胞塊の培養後の挙動がどのように変化するかを調べることで、由来する患者の癌のホルモン依存性がわかり、抗ホルモン薬治療の有効性が予測できる可能性がある。
【0052】
本発明の癌組織由来細胞塊は、浮遊培養で培養することも可能である。浮遊培養では、培地中において、培養器に対して非接着性の条件下で癌組織由来細胞塊を培養する。このような浮遊培養としては、例えば、胚様体培養法(Kellerら, Curr. Opin. Cell Biol. 7, 862-869 (1995))、SFEB法(例、Watanabeら, Nature Neuroscience 8, 288-296 (2005);国際公開第2005/123902号参照)が挙げられる 。特に限定はされないが、例えばほぼ球形を有する、時によっては基底膜を有する安定した癌組織由来細胞塊の形成時や維持の場合に用いられ得る。
【0053】
本発明の癌組織由来細胞塊には、個体の癌組織由来細胞塊から分離処理した直後の物も含まれ、冷蔵、冷凍保存後の物も含まれ、さらにはそれらの培養物も含まれる。培養は、好ましくは3時間以上、より好ましくは10時間以上36時間まで、さらに好ましくは24時間〜36時間以上の期間行われ得る。
【0054】
癌組織由来細胞塊を構成する癌細胞は、少なくとも3個以上、好ましくは8個以上、より好ましくは10個以上、さらに好ましくは20個以上、もっとも好ましくは50個以上である。本発明の癌組織由来細胞塊が、分離物である場合には、好ましくは1000個以下、より好ましくは、500個以下程度である。分離物を培養した後の培養物であれば、培養によってその数を増加させることが可能である。但し、培養物であっても好ましくは1万個以下、より好ましくは5000個以下である。
【0055】
本発明で「癌細胞」というときは、通常用いられる意味で使用され、生体内において、制限のない分裂・増殖とアポトーシスからの逸脱という、正常細胞で見られる秩序が乱れた細胞をいう。より詳細には、細胞増殖制御機能を失っているか極めて減弱している細胞を指し、典型的には、80%以上の高い頻度で無限増殖能力を獲得しており、その多くは浸潤転移能力も備えている事が多く、その結果ヒトをはじめとする、特には哺乳動物を、死に至らしめる悪性新生物と位置付けられる細胞であることを意味する。
【0056】
本発明では、由来する癌組織の種類は特に限定されず、哺乳類を始めとする動物に生じる、リンパ腫、芽腫、肉腫、脂肪肉腫、神経内分泌腫瘍、中皮腫、神経鞘腫、髄膜腫、腺腫、黒色腫、白血病、リンパ性悪性腫などであり得るが、特には哺乳類の上皮細胞に生じる癌腫であることが好ましい。このような上皮細胞に生じる癌腫には、非小細胞肺癌、肝細胞癌、胆道癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、膵臓癌、子宮頚癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膀胱癌、咽頭癌、乳癌、唾液腺癌、腎癌、前立腺癌、陰唇癌、肛門癌、陰茎癌、精巣癌、甲状腺癌、頭頸部癌などが含まれる。哺乳類をはじめとする動物に特に限定はないが、サルやヒトを含む霊長目に属する動物、マウス、リス、ラットなどのげっ歯目に属する動物、ウサギ目に属する動物、イヌ、ネコなどのネコ目に属する動物が例示される。
【0057】
そのうち、本発明では、特に大腸癌組織由来、卵巣癌組織由来、乳癌組織由来、肺癌組織由来、前立線癌組織由来、腎癌組織由来、膀胱癌組織由来、咽頭癌組織由来、または膵臓癌由来であることが特に好ましいが、限定はされない。
【0058】
大腸癌組織由来の癌組織由来細胞塊である場合には、含まれる癌細胞は、特に限定はされないが、CD133を発現することもある。
【0059】
生体内で発生した癌から得られた癌組織の分離処理には、限定はされないが、個体から得られた癌組織を、酵素処理することが含まれる。
【0060】
酵素処理は、コラゲナーゼ、トリプシン、パパイン、ヒアルロニダーゼ、C. histolyticum neutral protease、thermolysin、およびdispaseのうちの1種、またはこれらの2種以上の組合せによる処理であり得る。酵素処理条件は、生理学的に許容されるpH、例えば約6〜8、好ましくは約7.2〜7.6に緩衝された等張の塩溶液、例えばPBSやハンクスのバランス塩溶液中で、例えば約20〜40℃、好ましくは約25〜39℃で、結合組織を分解するために十分な時間、例えば約1〜180分間、好ましくは30〜150分間で、そのために十分な濃度、例えば約0.0001〜5%w/v、好ましくは約0.001%〜0.5% w/vであり得る。
【0061】
限定はされないが、この酵素処理の条件は、コラゲナーゼを含む混合酵素で処理することが含まれる。例えば、C. histolyticum neutral protease、thermolysin、およびdispaseからなる群より選択される1種以上のプロテアーゼ;およびコラゲナーゼI、コラゲナーゼII、およびコラゲナーゼIVからなる群より選択される1種以上のコラゲナーゼを含む混合酵素で処理することが含まれる。
【0062】
このような混合酵素には、限定はされないが、リベラーゼブレンザイム1(登録商標)などが含まれる。
【0063】
本発明の癌組織由来細胞塊は、あるいは、3個以上の癌細胞集合体を含み、略球形あるいは楕円球形を呈するものであり得る。
【0064】
限定はされないが、該癌細胞集合体の外周面に存在する基底膜様物を含む場合もある。
【0065】
ここで、特に限定はされないが、集合体を形成する癌細胞は、CD133、CD44、CD166、CD117、CD24、およびESAからなる群より選択される1種以上の表面抗原を細胞表面に有する場合が多い。CD133、CD44、CD166、CD117、CD24、およびESAは、一般的には、リンパ球等の白血球、線維芽細胞、上皮細胞、腫瘍細胞などの細胞に発現している表面抗原である。これらの表面抗原は、細胞-細胞間、細胞-マトリックス間接着としての機能の他、様々なシグナル伝達に関わるが、各種幹細胞の表面マーカーでもある。
【0066】
本発明において、細胞群が、CD133のような表面抗原を「発現する」というときには、細胞群中に存在する細胞の80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは実質的にすべてが表面抗原を示している状態を指す。
【0067】
本明細書において、「基底膜様物」とは、限定はされないが、好ましくは、コラーゲン、ラミニン、ニドゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンなどのプロテオグリカン、フィブロネクチンなどの糖タンパク質のうち少なくともいずれか1種を含有する物質を指す。本発明では、ラミニンを含有する基底膜様物であることが好ましい。
【0068】
ラミニンは基底膜を構成する高分子糖タンパク質である。ラミニンの機能は、多岐に渡り、例えば、細胞接着、細胞間信号伝達、正常細胞および癌細胞の増殖などの細胞機能に関与している。ラミニンは、3つの異なるサブユニットのそれぞれがジスルフィド結合で結ばれた構造を有しており、それぞれのサブユニットの異なる種類によって、11種類が見出されている。
【0069】
これらのうち、ラミニン5は、通常、上皮細胞のみから産生され、上皮細胞の基底膜への接着や運動機能を促進する活性を有する成分として知られている。このラミニン5はα3鎖、β3鎖、γ2鎖のそれぞれ1本ずつが複合体を形成した構造を有し、特にγ2鎖はLN5固有と考えられており、他のLN分子種には含まれていない。
【0070】
本発明の癌組織由来細胞塊は、癌細胞の集合体の外周がこのような基底膜様物が形成する膜に全体として包まれた構成を有し得る。このような形態は、癌組織由来細胞塊の電子顕微鏡による観察あるいは基底膜構成要素の免疫染色、またはその両方を組み合わせる ことによって解析することができる。
【0071】
ラミニンの存在は、例えば、ラミニンを認識する抗体、例えば、シグマ−アルドリッチ社のマウスラミニン由来ラビット抗体と癌組織由来細胞塊とを接触させ、抗体抗原反応を測定することによって検出することができる。
【0072】
また、ラミニンの種類までを特定する特異的な抗体を用いることも可能である。例えば、ラミニン5の存在は、例えば、特に上記の固有のγ2鎖あるいはその断片に反応性を有する抗体と癌組織由来細胞塊とを接触させ、抗体の反応を測定することによって、検出することができる。
【0073】
本発明の癌組織由来細胞塊においては、薄い膜状の基底膜様物が塊の大きさによって、数μm程度、好ましくは、40から120nm程形成されていることが好ましいが限定はされない。
【0074】
本発明の癌組織由来細胞塊のサイズは、限定はされず、粒径または体積平均粒径8μm〜10μm程度の不定形のものも含まれ、また、培養した後に大きく成長した1mm粒径以上のものも含まれる。好ましくは、直径が40μm〜1000μmであり、より好ましくは40μm〜250μm、さらに好ましくは、80μm〜200μmである。
【0075】
本発明の癌組織由来細胞塊では、特に棚状配列、シート状配列、重層配列および合胞状配列からなる群より選択される1以上の配列を有する場合が多いが、特に限定はされない。
【0076】
本発明の癌組織由来細胞塊は、典型的には、生体から摘出した癌組織の細片化物を酵素処理する工程;および酵素処理物のうち、3個以上の癌細胞を含む塊を選別回収する工程を含む方法によって調製され得る。
【0077】
さらに、限定はされないが、本発明の癌組織由来細胞塊は、このようにして回収した成分を3時間以上培養する工程を含む方法によって調製され得る。
【0078】
まず、生体から摘出した癌組織は、そのまま細片化することもでき、また、まず、細片化前に、動物細胞培養用培地で維持することができる。このような動物細胞培養用培地には、特に限定はされないが、ダルベッコMEM(DMEM F12など)、イーグルMEM 、RPMI、Ham‘s F12、アルファMEM、イスコフ改変ダルベッコなどが含まれる。この際に、細胞非接着性の培養器にて、浮遊培養することが好ましい。
【0079】
癌組織はまた、細片化に先立って洗浄することも好ましい。このような洗浄には、限定はされないが、酢酸緩衝液(酢酸 + 酢酸ナトリウム)、リン酸緩衝液(リン酸 + リン酸ナトリウム)、クエン酸緩衝液(クエン酸 + クエン酸ナトリウム) 、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液等を用いることができる。本発明においては、特に好ましくは、HBSS中で組織の洗浄を行うことができる。洗浄の回数は、1回から3回が適度である。
【0080】
細片化は、洗浄後の組織を、ナイフ、はさみ、カッター(手動、自動)などで分割することによって行うことができる。細片化後のサイズや形は特に限定されず、ランダムに行い得るが、好ましくは、1mm〜5mm角、より好ましくは1mm〜2mm角の均一なサイズとする。
【0081】
次にこのようにして得られる細片化物は酵素処理に供される。このような酵素処理は、コラゲナーゼ、トリプシン、パパイン、ヒアルロニダーゼ、C. histolyticum neutral protease、thermolysin、およびdispaseのうちの1種、またはこれらの2種以上の組合せによる処理であり得る。酵素処理条件は、生理学的に許容されるpH、例えば約6〜8、好ましくは約7.2〜7.6に緩衝された等張の塩溶液、例えばPBSやハンクスのバランス塩溶液中で、例えば約20〜40℃、好ましくは約25〜39℃で、結合組織を分解するために十分な時間、例えば約1〜180分間、好ましくは30〜150分間で、そのために十分な濃度、例えば約0.0001〜5%w/v、好ましくは約0.001%〜0.5% w/vであり得る。
【0082】
限定はされないが、この酵素処理の条件は、例えば、コラゲナーゼを含む混合酵素で処理することであり得る。より好ましくは、C. histolyticum neutral protease、thermolysin、およびdispaseからなる群より選択される1種以上のプロテアーゼ;およびコラゲナーゼI、コラゲナーゼII、およびコラゲナーゼIVからなる群より選択される1種以上のコラゲナーゼを含む混合酵素で処理することが含まれる。
【0083】
このような混合酵素には、限定はされないが、リベラーゼブレンザイム1(登録商標)などが含まれる。
【0084】
次にこのようにして得られた酵素処理物のうち、3個以上の癌細胞を含む塊を選別回収することが好ましい。選別回収の方法は特に限定されず、サイズを振分ける当業者に公知のいずれの方法も使用することができる。
【0085】
サイズの振分け方法としては、簡便な方法としては、目視、位相差顕微鏡による分別、あるいは篩によるが、当業者に利用可能な粒子径による分別法であれば特に限定されない。篩を使う場合は、篩メッシュサイズ20μmを通過し、かつ500μmを通過しない成分を回収することが好ましい。より好ましくは篩メッシュサイズ40μmを通過し、かつ250μmを通過しない成分を回収する。
【0086】
ここで、選別の対象となる3個以上の癌細胞を含む塊は、本発明の癌組織由来細胞塊であり、一定範囲のサイズを有する。一定範囲のサイズとは、体積平均粒子径8μm〜10μm程度の小さなものも含まれるが、球形に近い場合は、直径20μm以上500μm以下、好ましくは30μm以上400μm以下、より好ましくは40μm以上250μm以下、楕円形状の場合には、長径20μm以上500μm以下、好ましくは30μm以上400μm以下、より好ましくは40μm以上250μm以下、不定形の場合には、体積平均粒子径20μm以上500μm以下、好ましくは30μm以上400μm以下、より好ましくは40μm以上250μm以下、である。体積平均粒子径の測定には、位相差顕微鏡(IX70;オリンパス社製)にCCDカメラを取り付けたものを用い、粒度分布及び粒子形状を評価することによって行うことができる。
【0087】
このようにして得られた選別回収成分である分離処理物あるいはその培養物のいずれもが、本発明の癌組織由来細胞塊である。培養物は、選別回収成分たる分離物を、わずかな時間に培地中に存在したものであってもよいし、例えば、少なくとも3時間以上、好ましくは10時間以上36時間まで、より好ましくは24時間〜36時間以上の期間培養することで、略球形あるいは略楕円球形の形状になったものでもよい。培養時間は、36時間を超えて、数日、あるいは10日以上、13日以上、または30日以上経過したものであってもよい。
【0088】
培養は、培地中で長期間そのまま行うことも可能であるが、好ましくは、培養途中で定期的に機械的分割を行うことで、実質的に無限に増殖能を保持させることもできる。
【0089】
このようにして得られる本発明の癌組織由来細胞塊は、インビトロにおいて、生体内の癌組織と同様の挙動を示し、安定的に培養することができ、しかも増殖能を保持する。従って、例えば得られた癌組織由来の腫瘍が感受性を有する既存薬剤の種類の特定、あるいは放射線への感受性の有無を、患者毎に個別に確認するのに有用である。薬剤あるいは放射線感受性は、公知のあらゆる方法を使用することができ、限定はされない。薬剤感受性は、インビトロにおける癌組織由来細胞塊の増殖率の測定によって行われ得る。このような測定には、例えば、被験薬剤添加後、数時間後、あるいは数日後の生存細胞数を対照例とともに目視観察すること、CCDカメラ撮影後に画像解析すること、あるいはそれぞれの細胞に含まれる蛋白質結合性色素(例えば、スルホローダミンB)による染色により蛋白量として比色測定することなどが含まれる。
【0090】
このような癌組織由来細胞塊はまた、未知の薬剤のスクリーニングに有用である。このような未知の薬剤感受性もまた、インビトロにおける癌組織由来細胞塊の増殖率の測定、または細胞の生死判定によって行われ得る。増殖率の測定には、例えば、被験薬剤添加後、数時間後、あるいは数日後の生存細胞数を対照例とともに目視観察すること、CCDカメラ撮影後に画像解析すること、あるいはそれぞれの細胞に含まれる蛋白質結合性色素スルホローダミンBによる染色により蛋白量として比色測定すること、SD(Succinyl dehidrogenase)活性を測定することなどが含まれる。
【0091】
すべてのヒト培養細胞の被験化合物感受性測定データ、すなわち、細胞増殖を50%阻害する濃度(GI50)、見かけ上細胞増殖を抑える濃度(TGI)及び細胞数を播き込み時の50%に減少させる濃度(LC50)等を計算し、情報処理を行うことが可能である。GI50、TGI、LC50値はそれぞれ試験される癌組織由来細胞塊固有の数値が得られる。その全体平均GI50、TGI、LC50値を求め、この平均値と個々の細胞でのLog GI50値との差を求め、それらを平均Log GI50値を基準にし、絶対値化して正負にて表記する。正の値が大きい場合ほど感受性が高い薬剤であると判断できる。
【0092】
本発明の癌組織由来細胞塊を用いた放射線感受性試験としては、X線、コバルトの放射性同位体を線源とするγ線、電子線を直線型加速装置で加速した粒子線や、サイクロトロンなどにより取り出されるα線などの重粒子線等を単独で用いるか、あるいは放射線増感剤との併用で用いる、公知の試験が含まれる。
【0093】
さらに、本発明の癌組織由来細胞塊は、例えば、直径100マイクロメーターの癌組織由来細胞塊10個以下(細胞1000個以下に相当)でも、異種動物への移植における定着度が高い。従って、本発明の癌組織由来細胞塊は、マウスを始めとする癌モデル動物の簡便な作成に有用であり、より厳密な癌組織の検証、薬剤感受性の評価、あるいは放射線治療を始めとする治療態様の評価が可能となる。
【0094】
本発明の癌組織由来細胞塊は、冷凍保存することが可能であり、通常の保存状態においてその増殖能を保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の癌組織由来細胞塊は、インビトロにおいて、培養可能な状態で凍結保存することが可能であり、幅広い用途に使用できる。そして、培養によって増殖させることができ、微量検体からの癌細胞増殖を可能にする。さらに、本発明の癌組織由来細胞塊は、薬剤感受性試験あるいは放射線感受性試験に広く用いることができ、しかも簡易な腫瘍形成動物の作成に利用することが可能である。この為、本発明の癌組織由来細胞塊は、現在一般的には試行錯誤的あるいはカクテル療法的に用いられる制癌剤や放射線治療について飛躍的な改善をもたらすことができる。すなわち、そのような療法を行う前に、患者それぞれから得られる癌組織由来細胞塊で、あらかじめ薬剤や放射線治療の効果を予測することができ、効果のある薬剤のみを患者に投与することが可能になる。さらに、本発明の癌組織由来細胞塊は、注射針で採取できる大きさでもあり得るために、手術を行う前の患者から得ることも可能であり、患者への負担が少ない状態で制癌剤や放射線治療の効果の予測を行うこともできる。
【実施例】
【0096】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない培養条件は全て37℃5%COインキュベーター条件下である。遠心分離の条件は特に言及しない限り、4℃、1000rpm、5分である。
【0097】
(実施例1)
(マウス大腸癌移植腫瘍からの癌組織由来細胞塊の調製)
マウス大腸癌移植腫瘍を、以下のように異種移植法にて作製した。
【0098】
まず、無菌操作下でヒト腫瘍(大腸癌)の手術摘出標本を約2mm立方に細切する。次に重症免疫不全マウス(ヌードマウス、好ましくはNOD/SCIDマウス)の背部に約5mmの小切開を加えて皮下組織を剥離する。用意した腫瘍片を皮下に挿入した後、皮膚縫合クリップで閉創する。一部の移植腫瘍は約14日後から3ヶ月後に皮下腫瘍として観察される。
【0099】
得られた大腸癌マウスをSPF(specific pathogen free)飼育条件で飼育し、腫瘍が1cm大になった時点で、腫瘍の摘出を行い、20mlのDMEM(Gibco;11965-092)+1% Pen Strep(Gibco;15140-022)(ともに最終濃度として100units/ml ペニシリン, 100μg/ml)を入れた50ml遠心分離用チューブ(IWAKI;2345-050)に回収した。
【0100】
次に20ml HBSS(Gibco;14025-092)を入れて、転倒混和により腫瘍を洗浄した。次に新しいHBSSを20ml入れ、この操作を2回繰返し、腫瘍組織を10cm組織培養用ディッシュ(組織培養 ディッシュ)(IWAKI;3020-100)に移した。この培養ディッシュ上で、手術用ナイフを用いて壊死組織を除去した。
【0101】
壊死組織を除去した腫瘍片を、HBSS 30mlを入れた新しい10cm ディッシュへ移した。次に、手術用ナイフを用いて、腫瘍片を、約2mm角に細片化した。
【0102】
HBSSごと腫瘍細片を新しい50ml 遠心分離用チューブへ移した後、遠心分離を行い、上清を捨て、20ml HBSSにて、転倒混和により洗浄した。
【0103】
遠心分離及び洗浄を繰り返した。その後、20mlのDMEM+1% Pen Strep+0.28U/ml (最終濃度) Blendzyme 1 (Roche; 11988417001) を入れて混和した。これを、100mlの三角フラスコへ移し、37°C恒温槽内で、スターラーを低速で回転しながら2時間、リベラーゼブレンザイム1(ロッシュダイアグノスティックス社製)で処理した。
【0104】
次に、酵素処理物を、50ml 遠心分離用チューブに回収し、遠心分離し、上清を捨て、20ml HBSS を入れて混和した。ステンレスメッシュ(500μm)に通し、フィルターを通過した成分を50ml 遠心分離用チューブに回収し、さらに、遠心分離操作を行った。上清を捨て、1mg/ml DNaseI 溶液 (Roche; 1284932) (10mg/mlストック100μl+PBS 900μl)を入れて混和し、4°Cにて 5分静置し、さらに20mlHBSSを加え入れて混和した後、遠心分離を行い、上清を捨てた。20ml HBSSと混和した後、500−250−100μmと段階的に篩にかけ、次に40μmセルストレーナー(BD; 352340)に通した。HBSS 30mlを入れた10cm 組織培養用ディッシュ(組織培養ディッシュ)にセルストレーナーを浸して軽くゆすり、単細胞、40μm 以下の小細胞塊、およびくずを除去した。HBSS 30mlを入れた別の10cm 組織培養用ディッシュ(組織培養 ディッシュ)にセルストレーナーを移し、セルストレーナーに捕捉された細胞塊をピペッティングにより回収した。
【0105】
さらに、上記と同様の遠心分離操作を数回行って、得られた成分に、4ml StemPro hESC SFM (Gibco;A10007-01) + 8ng/ml bFGF (Invitrogen;13256-029) + 0.1mM 2-メルカプトエタノール(Wako;137-06862) + 1% PenStrep + 25μg/ml Amphotericin B (Wako;541-01961) を入れて混和し、6cm non-treated ディッシュ (EIKEN CHEMICAL;AG2000)に移した。
【0106】
これを、37°Cにて、 5%CO2 インキュベーター(サンヨー社製MCO−17AIC)で36時間培養した。
【0107】
この結果、図1に示すように、時間の経過と共に、不定形から整った球形へ変化し、少なくとも3〜6時間後には略球形であり、24時間後には完全に整った球形状の癌組織由来細胞塊が得られた。
【0108】
(実施例2)
(ヒト大腸癌手術検体からの癌組織由来細胞塊の調製)
大腸癌手術検体を用いた以外は、実施例1と同様にして癌組織由来細胞塊を取得した。この結果、図7に示す通り、少なくとも12時間後には図1と同様のほぼ球形状の癌組織由来細胞塊が得られた。
【0109】
(実施例3)
(ヒト卵巣癌手術検体からの癌組織由来細胞塊の調製)
卵巣癌手術検体を用いた以外は、実施例2と同様にして癌組織由来細胞塊を取得した。この結果、図7に示す通り、少なくとも12時間後には図1と同様のほぼ球形状の癌組織由来細胞塊が得られた。
【0110】
(実施例4)
(ヒトすい臓癌手術検体からの癌組織由来細胞塊の調製)
すい臓癌手術検体を用いた以外は、実施例2と同様にして癌組織由来細胞塊を取得した。この結果、図7に示す通り、少なくとも12時間後には図1と同様のほぼ球形状の癌組織由来細胞塊が得られた。
【0111】
(実施例5)
(ヒト小細胞癌手術検体からの癌組織由来細胞塊の調製)
肺癌の一種である小細胞癌手術検体を用いた以外は、実施例2と同様にして癌組織由来細胞塊を取得した。この結果、図7に示す通り、少なくとも12時間後には図1と同様のほぼ球形状の癌組織由来細胞塊が得られた。
【0112】
(実施例6)
(ヒト腎癌手術検体からの癌組織由来細胞塊の調製)
腎癌手術検体を用いた以外は、実施例2と同様にして癌組織由来細胞塊を取得した。この結果、図7に示す通り、少なくとも12時間後には図1と同様のほぼ球形状の癌組織由来細胞塊が得られた。
【0113】
(実施例7)
(ヒト膀胱癌手術検体からの癌組織由来細胞塊の調製)
膀胱癌手術検体を用いた以外は、実施例2と同様にして癌組織由来細胞塊を取得した。この結果、図7に示す通り、少なくとも12時間後には図1と同様のほぼ球形状の癌組織由来細胞塊が得られた。
【0114】
(実施例8)
(ヒト乳癌手術検体からの癌組織由来細胞塊の調製)
乳癌手術検体を用いた以外は、実施例2と同様にして癌組織由来細胞塊を取得した。この結果、図7に示す通り、少なくとも12時間後には図1と同様のほぼ球形状の癌組織由来細胞塊が得られた。
【0115】
(実施例9)
(ヒト前立腺癌手術検体からの癌組織由来細胞塊の調製)
前立腺癌手術検体を用いた以外は、実施例2と同様にして組織由来細胞塊を取得した。培養培地に、10-8モル/L濃度のジヒドロテストステロン(DHT)を添加し、実施例1と同様に培養した。この結果、図7に示す通り、少なくとも12時間後には図1と同様のほぼ球形状の癌組織由来細胞塊が得られた。
【0116】
(実施例10)
(ヒト咽頭癌手術検体からの癌組織由来細胞塊の調製)
咽頭癌手術検体を用いた以外は、実施例2と同様にして癌組織由来細胞塊を取得した。この結果、図7に示す通り、少なくとも12時間後には図1と同様のほぼ球形状の癌組織由来細胞塊が得られた。
【0117】
(実施例11)
(乳癌由来癌組織由来細胞塊のホルモン感受性試験)
実施例8と同じ培地条件で、エストラジオールの有無で、複数の患者から得られた乳癌組織由来細胞塊の状態がどのように異なるかを調べた。その結果、図8に示す通り、 は、エストラジオールの添加で増殖が促進する症例と、エストラジオールに反応しない症例とがあることがわかった。由来する患者のホルモン療法を行う際の感受性試験として応用できることがわかった。
【0118】
(実施例12)
(マウス膵島腫瘍からの癌組織由来細胞塊の調製)
RipTagはラットインスリンプロモーターの支配下にSV40-T antigenを強制発現させたトランスジェニックマウスで、膵島に腫瘍が発生する。RipTagマウスの膵島腫瘍を用いた以外は、実施例2と同様にして癌組織由来細胞塊を取得した。この結果、少なくとも12時間後には図1と同様のほぼ球形状の癌組織由来細胞塊が得られた(図9)。
【0119】
(実施例13)
実施例2で得られ、図7に示す培養中の癌組織由来細胞塊を培養後24時間で、培地と共に5ml取り出し、1000rpm、4℃にて遠心分離し、上清を捨てた。回収した癌組織由来細胞塊をセルバンカー(BLC-1、三菱化学メディスン社製)に懸濁し、さらに、10μMのY27632(和光純薬工業社製)を加え、冷凍保存チューブ(Cryogenic vials 2.0 ml、Nalge Nunc社製)に移して、−80℃ディープフリーザーで保存した。
【0120】
保存後7日間経過後、37℃のウォーターバスで短時間復温した。これをPBSに懸濁し、さらに1000rpm、4℃にて遠心分離し、上清を捨てた。得られた沈殿物をStemPro(インビトロ社製)に懸濁して、培養した。図10に示すように、融解後24時間の細胞の状態は良好であった。
【0121】
さらに、得られた癌組織由来細胞塊の生存を、約1000個の細胞を含む塊としてNOD−SCIDマウスに移植することで確認した。
【0122】
(比較例1)
ヒト大腸癌手術検体を用いて、文献記載の方法(Todaro Mら(2007)Colon cancer stem cells dictate tumor growth and resist cell death by production of interleukin-4. Cell Stem Cell 1:389-402)に従い単細胞にまで処理した試料を調製した。しかしながら、単細胞処理して選別したCD133陽性細胞は、インビトロでの増殖が見出せなかった。
【0123】
実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0124】
<表面抗原の同定>
【0125】
実施例1で得られた癌組織由来細胞塊をトリプシン・EDTAを用いて単細胞に分散させた。これらの細胞を蛍光で標識した表面抗原特異的抗体と反応させた後、フローサイトメトリー法により解析した。この結果、図2に示すように、表面抗原を均一に同時に発現する細胞の存在が認められた。
【0126】
<基底膜様物の確認>
実施例1で得られた癌組織由来細胞塊を温度37℃、5%COインキュベーターの培養条件下で、STEMPROヒトES細胞用無血清培地(Gibco)1ccで3日間培養を行った。これをホルマリン固定後パラフィン包埋し、薄切して抗ラミニン抗体染色(シグマ−アルドリッチ社製、マウスラミニン由来ラビット抗体)を、製造元の指示書に従って行ったところ、癌組織由来細胞塊の外周および、外周に近い細胞の細胞質内にラミニンの抗原性が観察された。これによって、本発明の癌組織由来細胞塊は、癌細胞の集合体の周辺をラミニンが取り囲んでいることが判明した。一方、手術検体処理後24時間ではラミニンの発現は確認できなかった。
【0127】
<低酸素の検知>
ピモニダゾールを用いた低酸素の検知の例
ニトロイミダゾール系化合物ピモニダゾールは酸素非存在下では蛋白や核酸とAdductを形成する特性を持つ。低酸素下でピモニダゾール処理された組織の低酸素領域は、ピモニダゾールを特異的に認識する抗体を用いて認識することができる。癌組織では血管から約100マイクロメーター離れると低酸素領域が出現するが、実施例1で得られた癌組織由来細胞塊でも外縁より約100マイクロメーターを境にして内部は低酸素領域で、広範な細胞死が観察された。
【0128】
<インビトロでの増殖能の評価>
インビトロにおける癌組織由来細胞塊の増殖能は、以下のようにして検証した。実施例1で得られた癌組織由来細胞塊をコラーゲンゲル(CellMatrix typeIA(Nitta Gelatin):5x DMEM (Gibco;12100-038):ゲル再構成用緩衝液(50mM NaOH, 260mM NaHCO3, 200mM HEPES)=7:2:1)に×10個ずつ包埋し、温度37℃、5%COインキュベーターの培養条件下で、STEMPROヒトES細胞用無血清培地(Gibco)1ccで培養を行った。定期的に細胞の状態を観察し、CCDカメラを装着した位相差顕微鏡(倍率40倍)で大きさを測定した。その結果、図3に示すように、機械的分割なしに、少なくとも13日間増殖能を保持することができた。さらに、13日目に機械的分割を行ったところ、さらに少なくとも13日間増殖能を保持していることが確認された。なお、機械的分割は、直径500マイクロメーターの癌組織由来細胞塊を眼科尖刀で4分割することで行った。
【0129】
<細胞数の確認>
実施例1と同様の方法で、100から250μmの癌組織由来細胞塊をトリプシン0. 25%、EDTA2.6mMで3分間処理し、約30回ピペッティングで機械的に分解した。これを96ウェル培養プレート1ウェルに1個の割合で細胞が入るように希釈して分注した。単細胞化されていない細胞塊については構成する細胞数をカウントして記録した。その後培養(同上の条件)をおこない、各ウェルの細胞数の増加を記録し、30日間培養観察をおこなった。その結果、3個の細胞があれば、細胞塊にまで成長できるものもあることが確認された。
【0130】
<薬剤感受性試験>
DNA合成に必要な代謝過程であるチミジル酸合成酵素と結合しDNA合成を阻害することが知られている5−FUを用いて、実施例2の試料による薬剤感受性試験を行った。試験は、癌組織由来細胞塊をコラーゲンゲル(CellMatrix typeIA(Nitta Gelatin):5x DMEM (Gibco;12100-038):ゲル再構成用緩衝液(50mM NaOH, 260mM NaHCO3, 200mM HEPES)=7:2:1)に×10個ずつ包埋し、温度37℃、5%COインキュベーターの培養条件下で、STEMPROヒトES細胞用無血清培地(Gibco)1ccで培養を行った。さらに5−FUを0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/ml、100μg/mlの濃度で適用し、それぞれ培養0日目と8日目の状態を比較評価した。その結果を、図4に示す。癌組織由来細胞塊の面積に関する増大率について、薬剤非適用培養での面積に関する増大率を1として相対的に表記した。図4において、5−FUの濃度依存的に、培養8日目における癌細胞増殖が抑制されており、本発明の癌組織由来細胞塊が、薬剤感受性試験で有用であることが実際に証明された。
【0131】
<異種動物への移植試験>
実施例2で得られた本発明の3日間培養した直径約100マイクロメーターの癌組織由来細胞塊 ×10個をMatrigel(BD社)に懸濁して、NOD−SCIDマウスの背部皮下に投与移植した。腫瘍形成の評価は、経時的に腫瘍のサイズを計測することにより行なった。その結果、本発明の実施例2の癌組織由来細胞塊を移植したマウス個体には顕著な腫瘍形成が認められ、本発明の癌組織由来細胞塊が高い腫瘍形成能を有することが確認された。この組織を解析すると、マウスに移植して形成された腫瘍と、生体内に存在していた腫瘍とで類似した組織型が得られていることがわかった(図5)。
【0132】
<放射線照射試験>
実施例2で得られた本発明の使用した直径約100マイクロメーターの癌組織由来細胞塊をコラーゲンゲル(CellMatrix typeIA(Nitta Gelatin):5x DMEM (Gibco;12100-038):ゲル再構成用緩衝液(50mM NaOH, 260mM NaHCO3, 200mM HEPES)=7:2:1)に包埋し、温度37℃、5%COインキュベーターの培養条件下で、STEMPROヒトES細胞用無血清培地(Gibco)1ccに×10個ずつ接種し、培養を行った。これにコバルトの放射性同位体を線源とするγ線を照射して、塊の状況を確認した。その結果を、図6に示す。図6において、照射線量依依存的に、培養8日目までにおける癌細胞増殖が抑制されており、本発明の癌組織由来細胞塊が、放射線照射試験で有用であることが実際に証明された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体から得られた癌組織から3個以上の癌細胞を含む塊として分離処理された分離物またはその培養物であって、
インビトロにおいて、増殖能を保持することができる、
癌組織由来細胞塊。
【請求項2】
個体から得られた癌組織を、コラゲナーゼを含む酵素で処理する工程を含む方法によって得られる請求項1記載の癌組織由来細胞塊。
【請求項3】
個体から得られた癌組織を、C. histolyticum neutral protease、thermolysin、およびdispaseからなる群より選択される1種以上のプロテアーゼ;およびコラゲナーゼI、コラゲナーゼII、およびコラゲナーゼIVからなる群より選択される1種以上のコラゲナーゼを含む混合酵素で処理する工程を含む方法によって得られる請求項2記載の癌組織由来細胞塊。
【請求項4】
前記混合酵素が、リベラーゼブレンザイム1(登録商標)である、請求項3記載の癌組織由来細胞塊。
【請求項5】
3個以上の癌細胞集合体を含み、略球形あるいは楕円球形を呈する癌組織由来細胞塊。
【請求項6】
3個以上の癌細胞集合体:および
該癌細胞集合体の外周面に存在する基底膜様物
を含み、略球形あるいは楕円球形を呈する癌組織由来細胞塊。
【請求項7】
実質的に癌細胞以外の細胞を含まない、請求項1から6までのいずれかに記載の癌組織由来細胞塊。
【請求項8】
前記基底膜様物がラミニンである、請求項6または7に記載の癌組織由来細胞塊。
【請求項9】
直径が40μm〜250μmである、請求項1から8までのいずれか1項に記載の癌組織由来細胞塊。
【請求項10】
前記癌細胞が、上皮癌細胞由来である、請求項1から9までのいずれかに記載の癌組織由来細胞塊。
【請求項11】
前記癌細胞が、大腸癌、卵巣癌、乳癌、肺癌、前立線癌、腎癌、膀胱癌、咽頭癌、膵癌由来である、請求項10に記載の癌組織由来細胞塊。
【請求項12】
生体から摘出した癌組織の細片化物を酵素処理する工程;および
該酵素処理物のうち3個以上の癌細胞を含む塊を選別回収する工程
を含む、癌組織由来細胞塊の調製方法。
【請求項13】
さらに、前記回収した成分を3時間以上培養する工程を含む、請求項12記載の癌組織由来細胞塊の調製方法。
【請求項14】
前記選別回収が、篩を用いて回収することである、請求項12または13に記載の癌組織由来細胞塊の調製方法。
【請求項15】
前記3個以上の癌細胞を含む塊を選別回収する工程が、メッシュサイズ40μmの篩における篩上成分でかつメッシュサイズ250μmの篩における篩下成分を回収する工程である、請求項12から14までのいずれか1項に記載の癌組織由来細胞塊の調製方法。
【請求項16】
前記酵素が、コラゲナーゼを含む酵素である、請求項12記載の癌組織由来細胞塊の調製方法。
【請求項17】
前記酵素が、C. histolyticum neutral protease、thermolysin、およびdispaseからなる群より選択される1種以上のプロテアーゼ;およびコラゲナーゼI、コラゲナーゼII、およびコラゲナーゼIVからなる群より選択される1種以上のコラゲナーゼを含む混合酵素である請求項16に記載の癌組織由来細胞塊の調製方法。
【請求項18】
前記混合酵素が、リベラーゼブレンザイム1(登録商標)である、請求項17記載の癌組織由来細胞塊の調製方法。
【請求項19】
請求項12から18までのいずれか1項に記載の調製方法によって得られる癌組織由来細胞塊。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−227088(P2010−227088A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228536(P2009−228536)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(308009509)株式会社REIメディカル (7)
【出願人】(506286928)地方独立行政法人 大阪府立病院機構 (13)
【Fターム(参考)】