説明

癖毛修正方法

【課題】癖毛の修正を毛髪のダメージを少なく、短時間に行いかつ自然なヘアースタイルを実現する施術法の提供。
【解決手段】システアミン塩酸塩または1−チオグリセロールを還元剤とし縮毛矯正用ヘアーアイロンを使わず、ヘアーブラシとドライヤーで、望ましくは特殊ブラシ付ドライヤーでブローし癖毛を伸ばし酸化剤で酸化固定することにより毛髪のダメージを少なくかつ癖毛を自然に修正する。また還元の工程で発熱キャップを使用することにより美しくダメージが少なく癖毛を修正。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は頭髪用アイロンを使用せずに癖毛を自然な直毛に修正する方法に関する。
【背景技術】
【0001】
黄色人種の7割が癖毛であるといわれており特に女性は髪がもつれ朝の手入れが大変、ヘアースタイルが決まらない等の悩みを抱えており美容上の大きな問題になっている。
従来癖毛直しにはチオグリコール酸塩を含有した医薬部外品の縮毛矯正剤と高温の縮毛矯正用アイロンを使用した施術法が汎用されているがスタイルが不自然である、髪が傷む等の問題が指摘されている。
【0002】
従来癖毛の修正にはチオグリコール酸アンモニウムを含有する医薬部外品の縮毛矯正剤を縮毛に塗布し20−40分ほど放置し毛髪を還元後 水洗し 摂氏180度という高温の縮毛矯正用アイロンを使用し高熱で毛髪を熱変性させながら毛髪を伸ばし、その後酸化剤で毛髪を酸化し水洗後仕上げる縮毛矯正法が汎用されている。
【0003】
しかし毛髪を還元したあと毛髪との接触面が180度にもなる高温の縮毛矯正用アイロンを使用するため毛髪を傷め毛髪が変性し硬く人工的な直毛になる。繰り返し施術すると毛髪の傷みは大きく、人工的な直毛になるためヘアースタイルも限定され消費者の満足度は高くない。
消費者は自然な直毛を望んでおりこの要求にこたえるべく高温アイロンの加熱面を曲面にする等の工夫がなされているが高温アイロンを使用している限り毛髪のダメージは大きく消費者の満足度は充分でなく問題は解決しない。
【特許文献】公開番号 2003−237681 公開番号 2003−102533
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
縮毛矯正は毛髪との接触面が180度にもなる縮毛矯正用アイロンを使用し還元された毛髪をアイロンの加熱面ではさんで伸ばすため毛髪が変性し不自然で傷んだ直毛になることがわかっている。また縮毛矯正は少量の毛髪を少しずつアイロンで伸ばすため施術時間がかかり3時間以上の場合も少なくない。
癖毛をダメージ少なく自然な仕上がりでかつ施術時間の短く修正することが求められている。
【課題を解決する為の手段】
【0005】
本発明者は鋭意研究の結果 還元剤としてシステアミン塩酸塩または1−チオグリセロールを含む薬剤を毛髪に塗布し自然放置し水洗後ブラシとドライヤーでブローすることにより高温の縮毛矯正用アイロンを使用せずに癖毛を自然な直毛に伸ばし そのあとで臭素酸ナトリウム又は過酸化水素で酸化固定することによりダメージが少なく短時間で自然な直毛に癖毛を修正する方法を完成した。
本発明においては従来の縮毛矯正法と区別するためにこの方法を癖毛修正法と命名した。
【0006】
癖毛修正法において仕様するヘアードライヤーは従来のものでも良いが熱風の吹きだし口に特殊ブラシ(特願2011−043733)を装着したドライヤーがよく、癖毛にテンションがかかりより効率的に癖毛を修正することができることが判明した。
【0007】
さらに還元剤であるシステアミン塩酸塩又は1−チオグリセロールを塗布後に摂氏約37度の発熱キャップ(特許公開広報 2008−237681)を被り毛髪を数十分保温することにより また水洗後さらに数十分発熱キャップを被ることよりブロー時の毛髪の伸びがよく自然な直毛となることを発見した。
【発明の効果】
【0008】
還元剤としてシステアミン塩酸塩または1−チオグリセロールを含む薬剤を毛髪に塗布し自然放置し水洗後ブラシとドライヤーでブローすることにより高温の縮毛矯正用アイロンを使用せずに癖毛を自然な直毛に伸ばしたあとで臭素酸ナトリウム又は過酸化水素で酸化することにより毛髪をいためず、自然なしあがりの癖毛修正が可能になりさらに施術時間を短縮することができた。
さらに特許公開広報2008−237681の発熱キャップや特願2011−043733の特殊ブラシつきのヘアードライヤーを使用することによりさらに美容効果が上がることが判明した
つまり本発明は 癖毛をより自然に修正すると同時に毛髪のダメージ軽減、消費者の時間的負担の軽減を実現した美容方法でありその消費者に与えるメリットは絶大である。
【発明の実施の為の最良の方法】
【0009】
以下本発明の実施の形態を説明する。
本発明に使用するシステアミン塩酸塩とはCAS No.156−57−0、1−チオグリセロールとはCAS No.96−27−5で規定される物質であり分子内にチオール基を持つため還元作用がある。
【0010】
システアミン塩酸塩、又は1−チオグリセロールを3−10重量%含有する粘度3000−50000CPSの還元剤含有の製剤を調整する。
【0011】
癖毛の人頭に還元剤含む製剤を塗布し15−30分室温で放置。水洗し還元剤を除去する。水洗後タオルドライしドライヤーとヘアーブラシでブローし癖毛を伸ばし直毛に修正する。その後臭素酸ナトリウム、又は過酸化水素により還元剤で還元された毛髪を酸化し水洗しブローして仕上げる。
【0012】
癖毛の修正効果を高めるためには、癖毛の人頭に還元剤を塗布したあと15分程度37度で発熱キャップを被り保温放置し還元を充分に行い水洗し還元剤を除去したあと後さらに37度で発熱キャップを被り15分保温放置し特殊ブラシを装着したヘアードライヤーでブローし癖毛を伸ばし直毛に修正する。
【0013】
以下例よって具体的に説明する。
還元剤を含む処方例1,2,3, 酸化剤4の調整法は次の通りである。

資料調整の方法)
【0014】
還元剤の調整方法:(処方例1,2,3,)
1)成分1,2,3をビーカーに取り摂氏80度で溶解する。
2)成分8をビーカーに取り摂氏80度に加熱する。
2)に1)を攪拌機で攪拌しながら投入混合し5分間攪拌し乳化する。
摂氏50度で成分4,5,6,7、を混合物に投入し混合物を摂氏35度まで冷却し資 料とする。
粘度は8000cpsであった。
【0015】
酸化剤の調製方法
1)成分12,13,14をビーカーに取り摂氏80度で溶解する。
2)成分10,11,15をビーカーに取り摂氏80度で溶解する。
2)に1)を攪拌機で攪拌しながら投入混合し5分間攪拌し乳化する。
摂氏50度で成分9を投入し混合物を摂氏35度まで冷却し資料とする。
効果の測定)
【0016】
実施例1
かつて縮毛矯正アイロンによる縮毛矯正をした事のある癖毛の女性1に処方例1のクリーム状の還元剤を塗布し25分放置した。毛髪の軟化を確認し水洗後ドライヤーとブローブラシで毛髪をブローし癖毛を伸ばした。その後 酸化剤を塗布し15分放置後シャンプーしブローし仕上げた。
トータルの施術時間は2時間半であった
【0017】
実施例2
かつて縮毛矯正アイロンによる縮毛矯正をした事のある癖毛のある女性2に処方例2のクリーム状の還元剤を塗布し25分放置した。毛髪の軟化を確認し水洗し特願2011−043733の特殊ブラシつきドライヤーとブローブラシで毛髪をブローし癖毛を伸ばした。その後 酸化剤を塗布し15分放置後シャンプーしブローし仕上げた。
トータルの施術時間は2時間半であった
【0018】
実施例3
かつて縮毛矯正アイロンによる縮毛矯正をした事のある癖毛のある女性3に処方例1のクリーム状の還元剤を塗布し37度の発熱キャップを被り15分放置した。毛髪の軟化を確認し水洗後再度発熱キャップを被り10分放置した。特願2011−043733の特殊ブラシつきドライヤーとブローブラシで毛髪をブローし癖毛を伸ばした。その後酸化剤4を塗布し16分放置後シャンプーしブローし仕上げた。
トータルの施術時間は2時間半であった。
【0019】
比較例1
かつて縮毛矯正アイロンによる縮毛矯正をした事のある癖毛のある女性4に処方例3のクリーム状の還元剤80gを塗布し25分放置した。毛髪の軟化を確認後縮毛矯正用のアイロンを使用し2時間かけて癖毛を伸ばした。その後頭髪に酸化剤80g塗布し20分放置後シャンプーしブローし仕上げた。トータルの施術時間は3時間半かかった。
【0020】
実施例1、実施例2、実施例3、比較例1 の4名の女性をモデルとし、本人と美容師3名による効果の測定のためアンケートを実施した。
アンケートの項目ならびに配点は以下の通りである。
評価基準
大変良い 5点
良い 4点
普通 3点
悪い 2点
大変悪い 1点
【0021】
結果は下記の通りである。
モデルの女性4名による評価結果
点数はそれぞれのモデルの自己評価点。
評価結果 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1
施術時間 5 5 4 2
髪のダメージ 4 4 4 2
ボリュームダウン 4 4 5 5
手触り 4 4 5 3
自然なヘアースタイル 5 5 5 3
一ヵ月後のダメージ 4 4 4 2
一ヵ月後の手触り 4 4 5 2
朝の手入れのしやすさ 4 4 5 3
満足度 4 4 5 3
【0022】
美容師3名による評価
点数は3人の平均値を四捨五入し整数にしたものである。
評価結果 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1
施術時間 5 5 4 3
髪のダメージ 5 4 5 3
ボリュームダウン 4 4 5 5
手触り 4 4 5 4
自然なヘアースタイル 4 4 5 3
一ヵ月後のダメージ 4 4 5 2
一ヵ月後の手触り 4 4 5 2
満足度 4 4 5 3
【0023】
以上の結果 実施例1,2、3で示したごとく本発明の癖毛修正の方法は従来の高温の縮毛矯正用アイロンを使用した縮毛矯正方法に比べ毛髪のダメージが少なく、毛髪がまとまり、自然なヘアースタイルができ、施術時間も短く消費者の満足度が高いことがわかった。さらに請求項3、実施例3で示したように発熱キャップ(公開番号 2008−237681)を被り特殊ブラシつきドライヤー(特願2011−043733)を使用することにより、癖毛修正時の反応を速め癖毛の修正が良くでき手触りも良く顧客の満足度が大変大きいことが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システアミン塩酸塩又は1−チオグリセロールを3%以上10%以下含有した還元剤を癖毛に塗布し放置後水洗し縮毛矯正用アイロンを使用せずヘアーブラシとドライヤーでブローして癖毛を自然な直毛に修正しブロム酸塩又は過酸化水素で酸化する癖毛修正方法。
【請求項2】
ドライヤーが熱風の吹き出し口に特殊ブラシを装着したドライヤーである請求項1の癖毛修正法
【請求項3】
システアミン塩酸塩又は1−チオグリセロールを含有した還元剤を癖毛に塗布し発熱キャップで頭髪を加温し頭髪を加温還元し水洗し熱風の吹き出し口に特殊ブラシを装着したドライヤーでブローし毛髪を伸ばしたあと臭素酸ナトリウム又は過酸化水素で酸化する癖毛修正方法。