説明

発信エリア表示方式

【課題】ISDN回線による消防指令システムに使用される効果的な発信エリア表示方式を提供する。
【解決手段】NTT(登録商標)交換機21、22等を介して送られる119ダイヤルをNTT中継交換機20、ISDN回線7、指令制御装置1を介して受付台2に着信する。指令制御装置1は、ISDN回線制御回路3、受付台I/F回路4、TSW5およびMPU6を有し、この指令制御装置1には外部表示装置10〜12又はLAN9を介して周辺機器としての表示装置10〜12が接続される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発信エリア表示方式、特にダイヤルイン番号を使用する119番等の緊急通報の発信エリアを表示する発信エリア表示方式に関する。
【0002】
【従来の技術】情報化時代にあって、電話を始めとする通信は、益々重要になっている。特に、火災等の緊急事態には、寸秒を争うので、直ちに対処する必要がある。斯かる緊急事態の発生を通報する又はそれに関連する通信システムの従来技術は、例えば特開平11−234714号公報の「電話交換装置及び電話端末機並びに電話交換システム」、特開平11−168547号公報の「ISDN発番号通知による発番号表示方法およびその装置」および特開平3−49459号公報の「電子式ボタン電話装置」等に開示されている。
【0003】従来、アナログ回線の119番回線においては、各地域のNTT毎に受付台に収容している。そして、その回線毎のハード着信情報で119番発信エリアを特定表示していた。一方、最近ISDN(Integrated Services Digital Network:サービス総合デジタル網)回線が普及しつつある。このISDN回線による119番回線では、発信者が119番をダイヤルすると、NTTの交換機内でダイヤルイン番号(即ち、一般の電話番号と同様に収容局毎に予め設定されている裏番号)に変換し、受付台に接続する方式である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来のISDN回線による119番回線では、受付台でこのダイヤルイン番号を検出し、119番発信エリアを特定する手段が必要であるという課題があった。
【0005】
【発明の目的】従って、本発明の目的は、ISDN回線による119番等の緊急通報の発信エリアを簡単に特定して表示可能にする発信表示方式を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の発信エリア表示方式は、ISDN回線を介して119番等の緊急通報を受付台にて受け付けて応答する場合の緊急通報の発信エリアを表示する発信エリア表示方式であり、受付台および中継交換機間に指令制御装置を設け、この指令制御装置は、緊急通報ダイヤルに予め登録されたダイヤルイン番号を検出して、受付台が緊急通報に応答する前に発信エリアを表示装置に表示する。
【0007】また、本発明の発信エリア表示方式の好適実施形態によると、指令制御装置は、受付台とインタフェースする受付台インタフェース回路、ISDN回線を制御するISDN回線制御回路およびこれら各回路の制御動作を指示するマイクロプロセッサ(MPU)を有する。ISDN回線制御回路は、回線番号とダイヤルイン番号を登録する内部メモリを含み、MPUは、回線番号と発信エリア情報を登録する。また、表示装置は、指令制御装置に外部表示装置として又は周辺機器としてローカルエリアネットワーク(LAN)を介して指令制御装置に接続される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明による発信エリア表示方式の好適実施形態の構成および動作を、添付図を参照して詳細に説明する。
【0009】先ず、図1は、本発明による発信エリア表示方式の好適又は第1実施形態の構成を示すブロック図である。この発振エリア表示方式は、指令制御装置1、受付台2および複数の外部表示装置(A、B、C)10〜12により構成される。そして、指令制御装置1は、ISDN回線7を介してNTT中継交換機(INS網)20に接続される。また、このNTT中継交換機20には、複数のNTT交換機21、22が接続されている。
【0010】上述した指令制御装置1は、ISDN119回線制御回路3、受付台I/F(インタフェース)回路4、TSW(時分割スイッチ)5、MPU(マイクロプロセッサ)6およびFC(ファクトリコンピュータ)8により構成される。ここで、受付台I/F回路4は、受付台2とTSW5間に接続される。また、ISDN119回線制御回路3は、TSW5とNTT中継交換機20との間に接続されている。また、MPU6は、受付台I/F回路4、TSW5およびFC8に接続されている。更に、FC8は、LAN9を介して表示装置10〜12に接続されている。
【0011】本発明の発信エリア表示方式の特徴とするところは、例えば消防指令システムに用いられる指令制御装置1において、NTTからのISDN回線7による119番受信時に付与されるダイヤルイン番号を検出して、受付台2および外部表示装置10〜12への119番発信エリア名を特定表示することができるようにしたことにある。
【0012】図1において、NTTからのISDN回線7による119番着信時のダイヤルイン番号をISDN119回線制御回路3にて検出して、この回路に予め登録されている119番ダイヤルイン番号と整合させる。その後、NTT局名管理番号に変換してMPU6に出力する。受信したMPU6はNTT局名管理番号に基づき日本語と数字による119番発信エリア名に変換し、受付台I/F回路4を経由して受付台2へ出力する。また、MPU6は、同時にFC8経由で外部表示装置(A、B、C)10〜12に対してもNTT局名管理番号を出力する。
【0013】上述の如く、本発明の発信エリア表示方式では、ISDN回線7による119番受信時のダイヤルイン番号を検出および変換して、受付台2および外部表示装置10〜12への119番発信エリア名を特定表示することを可能としている。
【0014】以下、図1に示す本発明による発信エリア表示方式の実施形態を更に詳細に説明する。この発信エリア表示方式は、回線制御を行う指令制御装置1および通信員が操作を行う受付台2により構成される。ここで、指令制御装置1のISDN119回線制御回路3は、ISDN119回線7を制御する。受付台I/F回路4は、受付台2を制御する。TSW5は、指令制御装置1の各回路間の接続制御を行う。MPU6は、指令制御装置1内の各回路間の制御動作を指示する。また、受付台I/F回路4は、回路状況を受付台2に送出し、更にTSW5を経由してISDN119回線制御回路3と接続させる機能を有する。
【0015】次に、図1に示す発信エリア表示方式の好適実施形態の動作を説明する。先ず、発信エリアAに位置するNTT交換機A21におけるダイヤルイン番号は10−1111および発信エリアBに位置するNTT交換機B22におけるダイヤルイン番号は10−1112であると仮定する。初期設定時において、ISDN119回線制御回路3の内部メモリ(図示せず)に「回線番号1=10−1111」、「回線番号2=10−1112」を登録する。また、MPU6には、これら回線番号および発信エリア情報の関係を示す、「1=エリアA」および「2=エリアB」を登録する。
【0016】NTT交換機A21およびNTT中継交換機20からISDN119回線7を介して119番通報が着信すると、ISDN119回線制御回路3は、ダイヤルイン番号「10−1111」を検出する。そこで、ISDN119回線制御回路3の上述した内部メモリを参照し、回線番号「1」をMPU6に送信する。回線番号「1」に対応する発信エリアは「エリアA」である。そこで、MPU6は、「エリアA情報」を受付台I/F回路4へ送信する。受付台I/F回路4は、受付台2へ回線状態および「エリアA情報」を送信する。
【0017】一方、NTT交換機B22およびNTT中継交換機20からISDN119回線7を介して119番通報が着信した場合には、NTT交換機B22は「エリアB」に位置するので、ISDN119回線制御回路3は、ダイヤルイン番号「10−1112」を検出する。そして、MPU6を介して「エリアB情報」を受付台I/F回路4へ送信し、受付台I/F回路4は、受付台2へ回線状態および「エリア情報B」を送信すること上述と同様である。また、図1中には図示しないが、エリアC(又はその他のエリアD、E、…)に位置するNTT交換機から119番通報があった場合にも、上述と同様に動作する。そして、この検出結果は、外部表示装置(A〜C)10〜12に送られ、「エリアA」の場合には外部表示装置A10、「エリアB」の場合には外部表示装置B11、…の如く対応する外部表示装置(A〜C)10〜12が表示されるので、消防車等を所定エリアへ手配することを可能にする。
【0018】次に、指令制御装置1内にFC8を増設することによりMPU6で変換された発信エリア情報を周辺機器(又は装置)に配信することも可能になる。すなわち、FC8からLAN(ローカルエリアネットワーク)9を介して周辺機器として表示装置A10、表示装置B11、表示装置C12を設置した構成とする。
【0019】ISDN119回線7から119番通報が着信するとISDN119回線制御回路3は、ダイヤルイン番号「10−1111」(又は「10−1112」等)を検出する。そこで、ISDN119回線制御回路3は、内部メモリを参照し、対応する回線番号「1」(又は「2」、…)をMPU6に送信する。回線番号「1」(又は「2」、…)に対応する発信エリアは、「エリアA」(又は「エリアB」、…)である。「エリアA」(又は「エリアB」、…)情報を受付台I/F回路4へ送信する。受付台I/F回路4は、受付台2へ回線状態および「エリアA情報」(又は「エリアB情報」、…)を送信する。 同時に、MPU6は、FC8に回線番号「1」(又は「2」、…)の「エリア情報」を送信する。そこで、FC8は、LAN9を介して周辺機器として接続されている表示装置A10、表示装置B11又は表示装置C12」に「エリア情報」を配信する。表示装置(A〜C)10〜12は、受信した「エリア情報」より「エリアA」(又は「エリアB」、…)に関連する情報を提供する。これら表示装置10〜12をLAN13により接続された複数の消防署に配置することにより、119番通報のエリアに該当する又は最寄りの消防署が、この表示装置10〜12に基づいて迅速に対処可能である。
【0020】以上、本発明による発信エリア表示方式の好適実施形態の構成および動作を詳述した。しかし、斯かる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であること、当業者には容易に理解されよう。
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明らかな如く、本発明の発信エリア表示方式によると、次の如き実用上の顕著な効果が得られる。即ち、受付者が119番通報に応答する前に発信エリア(119番ダイヤルの発呼地域)が確認できる。そこで、受付者は、この発振エリア確認後に応答することが可能である。また、本発明によると、災害発生時等には、同地域からの着信が集中したとき、発信エリアを確認し、他地域からの着信を優先して受付ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による発信エリア表示方式の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 指令制御装置
2 受付台
3 ISDN回線制御回路(ISDN119回線制御回路)
4 受付台I/F回路
5 TSW(時分割スイッチ)
6 MPU
7 ISDN回線(ISDN119回線)
8 FC(ファクトリコンピュータ)
9 LAN
10〜12 表示装置
20 NTT中継交換機
21、22 NTT交換機

【特許請求の範囲】
【請求項1】ISDN回線を介して119番等の緊急通報を受付台にて受け付け応答する場合の前記緊急通報の発信エリアを表示する発信エリア表示方式において、前記受付台および中継交換機間に指令制御装置を設け、該指令制御装置は、前記緊急通報に予め登録されたダイヤルイン番号を検出して、前記受付台が前記緊急通報に応答する前に発信エリアを表示装置に表示することを特徴とする発信エリア表示方式。
【請求項2】前記指令制御装置は、前記受付台とインタフェースする受付台インタフェース回路、前記ISDN回線を制御するISDN回線制御回路および前記各回路の制御動作を指示するマイクロプロセッサ(MPU)を有することを特徴とする請求項1に記載の発信エリア表示方式。
【請求項3】前記ISDN回線制御回路は、回線番号と前記ダイヤルイン番号を登録する内部メモリを含み、前記MPUは、前記回線番号と発信エリア情報を登録することを特徴とする請求項2に記載の発信エリア表示方式。
【請求項4】前記表示装置は、前記指示制御装置に外部表示装置として接続されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の発信エリア表示方式。
【請求項5】前記表示装置は、周辺機器としてローカルエリアネットワーク(LAN)を介して前記指令制御装置に接続されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の発信エリア表示方式。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2002−118665(P2002−118665A)
【公開日】平成14年4月19日(2002.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−310323(P2000−310323)
【出願日】平成12年10月11日(2000.10.11)
【出願人】(000232047)日本電気エンジニアリング株式会社 (47)