説明

発光ガラス及びその製造方法

【課題】本発明は、ハロー現象を防止することができる発光ガラス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る発光ガラスは、表面に電気回路が形成されるガラスベースと、ガラスカバーと、前記ガラスベース及び前記ガラスカバーの間に設置される中間層と、前記ガラスベース及び前記ガラスカバーの間に設置され且つ前記電気回路と接続される発光ダイオードと、を備え、前記中間層には、前記発光ダイオードを収容するための開口が設けられ、前記発光ダイオードから出射された光は、前記開口を通過して前記ガラスカバーから出射し、前記ガラスベース、前記中間層、前記ガラスカバーは、前記発光ダイオードの光出射方向からずれた位置で固定される。本発明は、さらに発光ガラスの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ガラス及びその製造方法に関するものであり、特に発光ダイオードを光源とする発光ガラス及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、新しいタイプの光源として、道路灯、交通信号機、トンネル灯などの様々な用途に広く利用されているが、近年は、発光ガラスと呼ばれる新しいLED製品が応用されている。発光ガラスは、一般的に、ガラスベース、ガラスカバー、ガラスベースとガラスカバーとの間に設置される複数の発光ダイオードを備え、他の一般的なLEDデバイスと比較して、透き通った光の効果を有している。
【0003】
現在、この発光ガラスを製造する際、ガラスベースとガラスカバーを固定するために、一般的には、先ず、発光ダイオードが設置されたガラスベースの表面に、発光ダイオードを覆う透明な接着層(一般的に、PVB材料)を設置し、次いで、ガラスカバーを該接着層上に設置した後、ガラスベースとガラスカバーを一緒に加熱する。これにより、接着層は溶融し、ガラスベースとガラスカバーを固定することができる。
【0004】
しかし、接着層が加熱過程で溶融するため、その屈折率が一定の程度で変化し易い。従って、発光ダイオードから出射される光は、発光ダイオードの真上に位置し且つ屈折率が変化する接着層を通過した後、ハロー現象を発生する可能性があり、発光ガラスの発光効果に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の課題を解決するために、本発明は、ハロー現象を防止することができる発光ガラス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光ガラスは、表面に電気回路が形成されるガラスベースと、ガラスカバーと、前記ガラスベース及び前記ガラスカバーの間に設置される中間層と、前記ガラスベース及び前記ガラスカバーの間に設置され且つ前記電気回路と接続される発光ダイオードと、を備え、前記中間層には、前記発光ダイオードを収容するための開口が設けられ、前記発光ダイオードから出射された光は、前記開口を通過して、前記ガラスカバーから出射し、前記ガラスベース、前記中間層、前記ガラスカバーは、前記発光ダイオードの光出射方向からずれた位置で固定される。
【0007】
また、本発明に係る発光ガラスの製造方法は、表面に電気回路が形成されたガラスベース及び該ガラスベースの表面に設置され且つ前記電気回路と接続する発光ダイオードを用意するステップと、中間層を提供し、該中間層にその外輪郭の内側で開口を設けるステップと、前記中間層を前記ガラスベース上に設置し且つ前記発光ダイオードを前記開口の内部に収容させるステップと、ガラスカバーを提供し且つ該ガラスカバーを前記中間層上に設置するステップと、前記中間層の外輪郭を前記ガラスベース及び前記ガラスカバーに固定するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
従来の技術と比べて、本発明に係る発光ガラスは、その中間層に、発光ダイオードを収容するための開口が設けられ、発光ダイオードから出射された光は、該開口を通過してガラスカバーから出射され、ガラスベース、中間層、ガラスカバーは、発光ダイオードの光出射方向からずれた位置で固定される。従って、中間層は、発光ダイオードの出射光に影響しないため、ハロー現象の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一実施形態に係る発光ガラスの立体図である。
【図2】図1に示した発光ガラスを反転させた立体図である。
【図3】図1に示した発光ガラスの分解図である。
【図4】図1に示した発光ガラスを反転させた分解図である。
【図5】図4に示した発光ガラスのガラスベースの電気回路を示す図である。
【図6】図1に示した発光ガラスの断面図である。
【図7】図6に示した発光ガラスのVII部分の拡大図である。
【図8】本発明の第二実施形態に係る発光ガラスの中間層を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1〜図4を参照するに、本発明の第一実施形態に係る発光ガラス10は、ガラスベース20と、ガラスカバー30と、ガラスベース20上に固定される複数の発光ダイオード40と、ガラスベース20とガラスカバー30との間に設置される中間層50と、ガラスベース20及びガラスカバー30の一側に固定されるブラケット60と、を備える。
【0012】
図5を合わせて参照するに、ガラスベース20は、透明なガラス材料からなり、可視光線に優れ、透き通る効果を有する。ガラスベース20は矩形を呈し且つその隣り合う2つの角には、固定部品を穿設するための2つの貫通孔22が各々設けられている。また、ガラスベース20の内表面には、発光ダイオードと電気接続する電気回路24が形成される。電気回路24は、銀ペースト、ITO(インジウム錫酸化物)または他の導電性材料からなる。本実施形態において、電気回路24は、高い導電性を有する銀ペーストからなる。
【0013】
複数の発光ダイオード40は、ガラスベース20の表面上に固定され且つ半田付けなどの方法によって、電気回路24と電気接続される。発光ダイオード40は、白色の可視光を出射することができるが、実際の要求に基づいて、他の色の可視光を出射することもできる。本実施形態において、複数の発光ダイオード40は、アレイ状に配列されるが、該複数の発光ダイオード40は、実際の要求に基づいて他のパターン或いは形状に配列されることもできる。
【0014】
中間層50は、中空のフレーム52を備える。該フレーム52は、4つの辺を有し、4つの辺が順次に相互に連接されて、矩形開口520を形成する。フレーム52は、ガラスベース20よりもサイズが僅かに小さく、ガラスベース20の表面上に設置されて、上記複数の発光ダイオード40を矩形開口520内に収容する。つまり、上記複数の発光ダイオード40は、フレーム52によって囲まれている。また、フレーム52の4つの辺は、ブラケット60に対応する一つの辺を含む。一例において、該一つの辺と、ガラスベース20の対応する側面(即ち、ガラスベース20の2つの貫通孔22に対応する側面)との間隔は50mmであり、フレーム52の他の互いに隣接する3つの辺と、ガラスベース20に対応する3つの側面との間隔は5mmである。また、ガラスベース20上の電気回路24の一部は、中間層50のブラケット60に対応する辺の外まで延伸する。これにより、ブラケット60の内部の電気回路構造と接続することができる。
【0015】
フレーム52は、ポリカーボネート(PC)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)のような透明且つ剛性の材料からなり、これら材料は、100〜200℃の熱を受けても、その剛性を保持することができる。従って、フレーム52のガラスカバー30を支持することができる強度を確保することができる。また、ガラスカバー30を支持するために、フレーム52の厚さは、発光ダイオード40の厚さより大きい。従って、ガラスカバー30が発光ダイオード40の表面を押圧することによって、発光ダイオード40の表面が損傷されることを防止することができる。フレーム52の隣り合う2つの角には、2つの突出部54が形成され、各々の突出部54には、ガラスベース20の貫通孔22に対応する貫通孔540がそれぞれ設けられている。貫通孔540と貫通孔22は、固定部品を穿設するために用いられる。
【0016】
図6及び図7を併せて参照するに、ガラスカバー30とガラスベース20との材料、形状及びサイズは同じである。ガラスカバー30の隣り合う2つの角には、ガラスベース20の2つの貫通孔22に対応する貫通孔32がそれぞれ設けられている。ガラスカバー30が中間層50上に設置された際、上述の例において、フレーム52のブラケット60に対応する一つの辺と、ガラスカバー30の対応する側面との間隔も50mmであり、フレーム52の他の隣接する3つの辺と、ガラスカバー30の対応する3つの側面との間隔も5mmである。フレーム52の4つの辺の外側面、ガラスカバー30及びガラスベース20の表面によって、4つの空間がそれぞれ形成され、上述の例において、そのうちブラケット60に対応する空間の幅は、50mmであり、他の3つの空間の幅は、5mmである。
【0017】
ガラスベース20、中間層50、ガラスカバー30を組み立てた後、これらによって形成された上記4つの空間の各々に、透明な接着剤70をそれぞれ充填する。これにより、ガラスベース20、中間層50、ガラスカバー30を固定する。接着剤70は、シリコン接着剤或いはUV(紫外線)硬化型接着剤でもよい。幅が5mmである3つの空間に対しては、接着剤70を完全に充填し、幅が50mmである一つの空間に対しては、中間層50の外側面に近い位置(例えば、5mmの幅)のみに接着剤70を充填する。つまり、全ての空間に接着剤70を完全に充填する必要はない。中間層50の厚さは、発光ダイオード40の高さより大きいため、ガラスベース20、中間層50、ガラスカバー30が固定された後、発光ダイオードの光出射面とガラスカバー30の内表面(光入射面)との間に一定の間隙が形成され、発光ダイオード40から出射する光は、中間層50の開口520を通過した後、ガラスカバー30から出射する。
【0018】
ブラケット60は、ハウジング62と、該ハウジング62に固定される支持アーム64と、ハウジング62の内部に設置される駆動電源66及び制御モジュール68と、を備える。また、ハウジング62は、頂蓋65と、該頂蓋65に対向する底蓋61と、2つの側蓋63と、を備える。底蓋61は、金属片を曲げて形成され、矩形で且つ水平な底板610と、該底板610の長手方向の1つの側辺から該底板610に対して垂直に且つ上方に延伸する側板612と、底板610の長手方向の他の側辺から該底板610に対して垂直に且つ上方へ延伸する側板614と、側板614の頂部から該側板614に対して垂直に且つ側板612の方に向かって延伸する頂板616と、を備える。側板612の高さは、側板614の高さより低い。頂蓋65は、金属片を曲げて形成され、矩形で且つ水平な頂板650と、頂板650の長手方向の1つの側辺から該頂板650に対して垂直に且つ下方に延伸する側板652と、頂板650の長手方向の他の側辺から該頂板650に対して垂直に且つ下方へ延伸する側板654と、側板654の底部から該側板654対して垂直に且つ側板652の方に向かって延伸する底板656と、を備える。側板652の高さは、側板654の高さより低い。また、頂蓋65の底板656には、下方に向けて2つのネジ658が互いに間隔をあけて設置されている。頂蓋65の底板656がガラスベース20を押圧し、底蓋61の頂板616がガラスカバー30を押圧した後、該2つのネジ658をガラスベース20と中間層50とガラスカバー30との貫通孔22、540、32に対して順に穿設させることによって、ガラスベース20、中間層50及びガラスカバー30をブラケット60に固定することができる。
【0019】
各々の側蓋63は、側板632、及び側板632の一側から垂直に且つ側板614に向かってそれぞれ延伸するバッフル板634を備える。側板632は、底蓋61及び頂蓋65の側板614、654に平行であり、バッフル板634は、底蓋61の底板610及び頂蓋65の頂板650に垂直である。底蓋61の側板612及び頂蓋65の側板652は、2つの側蓋63の側板632の上下両方にそれぞれ固定され、この際、2つの側蓋63のバッフル板634は、底蓋61及び頂蓋65の長手方向の両端をそれぞれ覆う。頂蓋65の底板656と底蓋61の頂板616との間隔は、ガラスベース20、中間層50、ガラスカバー30が組み立てられた後の全体の厚さにほぼ等しい。また、バッフル板634には、該バッフル板634における側板632から遠い方の側辺から側板632に向かって、矩形のスロット636が設けられ、該スロット636は、頂蓋65の底板656と底蓋61の頂板616との間隙に対応する。ガラスベース20、中間層50、ガラスカバー30が組み立てられた後、これらはスロット636を介して、頂蓋65の底板656と底蓋61の頂板616との間隙の中に挿入される。
【0020】
駆動電源66は、フレキシブルプリント回路板80を介して、ガラスベース20上に設置された電気回路24に接続される。ガラスベース20と中間層50とガラスカバー30を組み立てる際、フレキシブルプリント回路板80の一端は、ガラスベース20上に固定され且つ異方導電性接着剤によって、ガラスベース20上に設置された電気回路24から中間層50の外輪郭まで延伸する部分に電気接続される。この際、フレキシブルプリント回路板80の他端は、駆動電源66に接続される。これにより、発光ダイオード40に電力を供給することができる。制御モジュール68は、駆動電源66と接続し、予め設定された方法によって、発光ダイオード40を点灯させるために用いられる。本実施形態において、制御モジュール68は、外部からの無線信号を受信することができるGPPSカードである。
【0021】
本実施形態において、ガラスベース20、中間層50、及びガラスカバー30は、それらの外輪郭の近傍の位置に透明な接着剤70を充填することによって固定され、発光ダイオード40からの光は、中間層50の開口520から出射されるので、中間層50の影響を受けない。従って、ハロー現象が発生することを防止することができる。
【0022】
図8を参照するに、本発明の第二実施形態に係る発光ガラス10の中間層50は、図8に示すような透明板50aでも良い。透明板50aの材料と第一実施形態の中間層50の材料とは同じである。透明板50aには、各々の発光ダイオード40に対応する複数の開口520aが設けられ、該複数の開口520aは、マトリクス状に設置されており、透明板50aの底面及び頂面を貫通する。各々の発光ダイオード40は、透明板50aの複数の開口520aの中にそれぞれ収容される。発光ダイオード40からの光は、開口520aを通過して、ガラスカバー30から外部へ出射される。このような構造の透明板50aは、発光ガラス10の強度を更に増加させることができる。
【0023】
本発明の第一実施形態及び第二実施形態において、開口520、520aは、貫通孔である。他の実施形態において、前記開口520、520aは、半閉鎖した溝でも良い。発光ダイオード40を該溝に完全に収容させるために、溝の深さは、発光ダイオード40の高さより高い必要がある。半閉鎖した溝の構造は、防水の役目を果たすことができる。
【0024】
また、中間層50または透明板50aは、PVB(ポリビニルブチラール)のような柔らかい材料によって作ることもできる。PVB材料は、100〜300℃の温度範囲で溶融して、接着剤になることができる。従って、ガラスベース20、中間層50、ガラスカバー30を固定する際、接着剤70を使用する必要がなく、ガラスベース20、中間層50、ガラスカバー30を共に加熱することによって、これらを固定することができる。発光ダイオード40から出射された光は、中間層50の開口520または透明板50aの開口520aを通過して外部へ出射されるので、中間層50または透明板50aの屈折率が変化しても、発光ダイオード40の光出射に影響しない。
【符号の説明】
【0025】
10 発光ガラス
20 ガラスベース
22、32、540 貫通孔
24 電気回路
30 ガラスカバー
40 発光ダイオード
50 中間層
50a 透明板
52 フレーム
520、520a 開口
54 突出部
60 ブラケット
61 底蓋
610、656 底板
612、614、632、652、654 側板
616、650 頂板
62 ハウジング
63 側蓋
634 バッフル板
636 スロット
64 支持アーム
65 頂蓋
658 ネジ
66 駆動電源
68 制御モジュール
70 接着剤
80 フレキシブルプリント回路板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に電気回路が形成されるガラスベースと、ガラスカバーと、前記ガラスベース及び前記ガラスカバーの間に設置される中間層と、前記ガラスベース及び前記ガラスカバーの間に設置され且つ前記電気回路と接続される発光ダイオードと、を備える発光ガラスにおいて、前記中間層には、前記発光ダイオードを収容するための開口が設けられ、前記発光ダイオードから出射された光は、前記開口を通過して、前記ガラスカバーから出射され、前記ガラスベース、前記中間層、前記ガラスカバーは、前記発光ダイオードの光出射方向からずれた位置で固定されることを特徴とする発光ガラス。
【請求項2】
前記中間層は、中空のフレームを備え、該フレームは、4つの辺を有し、前記開口は、前記フレームの4つの辺が順次に相互に連接することによって囲まれて形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光ガラス。
【請求項3】
前記中間層は透明板であり、該透明板には、複数の前記開口が設けられ、前記発光ダイオードの数量は複数であり、且つ各々の開口にそれぞれ収容されることを特徴とする請求項1に記載の発光ガラス。
【請求項4】
前記中間層の外輪郭と、前記ガラスベース及び前記ガラスカバーとの間に空間が形成され、前記空間に接着剤が充填されることを特徴とする請求項2又は3に記載の発光ガラス。
【請求項5】
表面に電気回路が形成されたガラスベース、及び該ガラスベースの表面に設置され且つ前記電気回路と接続する発光ダイオードを用意するステップと、
中間層を提供し、該中間層にその外輪郭の内側で開口を設けるステップと、
前記中間層を前記ガラスベース上に設置し且つ前記発光ダイオードを前記開口の内部に収容させるステップと、
ガラスカバーを提供し且つ該ガラスカバーを前記中間層上に設置するステップと、
前記中間層の外輪郭を前記ガラスベース及び前記ガラスカバーに固定するステップと、
を備えることを特徴とする発光ガラスの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate