説明

発光体を製造する方法

【課題】水銀低圧ガス放電灯において、光出力を高めて光束低下を抑え、同時に、電気光学的効率を高める。
【解決手段】可視光放出性発光体を含む第一の発光体(20)と、平均一次晶子径が約100nm未満の第二の発光体(30)とを含む発光体組成物(10/15)の前記第二の発光体(30)は、可視光放出性発光体、紫外(VUV)光放出性発光体及び量子分割性発光体から成る群から選択される少なくとも1種の発光体を含んでいる。発光体組成物を製造する方法(50)は、前記第一の発光体を提供するステップ(60)と、前記第二の発光体を提供するステップ(70)と、前記第一の発光体の上に前記第二の発光体を配置するステップ(80)とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、ハイブリッド発光体組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水銀低圧ガス放電灯での発光は、ガス放電時に灯内を充填している水銀を含有したガスにプラズマが発生して、主に紫外(「UV」)波長レンジにある電磁(「EM」)放射を放出するという原理に基づくものである。低圧水銀放電によって放出されるUV放射は、約254nm及び約185nmの波長に集中している。発光体は典型的には、灯ハウジングに皮膜施工されており、この発光体を用いてUV放射を可視光へ変換している。
【特許文献1】米国特許第5,958,361号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公知の水銀低圧ガス放電灯の一つの欠点は、発光体の放出率が、発光体皮膜に入射するUV放射の少なくとも一部の挙動、水銀イオンと発光体表面の電子との再結合、並びに励起した水銀原子及び電子の発光体層への入射に起因する劣化によって、経時的に低下する傾向にあることである。この放出率損の結果として、灯の耐用年数の間に電気光学的効率の低下が生ずる。この劣化は具体的には、VUV(真空紫外)放射の影響下にあるときに大きく、波長が200nmを下回るVUV放射の部分で特に顕著である。光源での発光体の劣化は典型的には、放出される光の色の変化として現われる。さらに、現在の蛍光灯に用いられている発光体の殆どは、波長が254nm近くの放射に対する感受性しかなく、結果的に、約185nmの波長での水銀放電放射は灯の全体的な光出力には寄与していない。
【0004】
従って、水銀放電灯の光束効率を高める手段を見出す努力が払われて来た。一つのアプローチは、灯ハウジングの内面の皮膜として、発光体粒子と粒度が約20nmの酸化アルミニウムのナノ粒子との混合物を用いるものである。酸化アルミニウム粒子はVUV放射を吸収するが、波長が254nmのUV放射については透過性である。認められるように、この方法でも、幾分かのVUV放射が発光体粒子に入射する。しかしながら、酸化アルミニウムは光を放出しないため、灯の効率を高める助けとはならない。さらにもう一つのアプローチは、二層のミクロン径発光体皮膜を用いるものである。水銀放電に晒される第一の層は、VUV放射を吸収して、230nm〜280nmの波長レンジで放出することが可能である。第二の層は、第一の層と灯ハウジングのと内面との間に配置されて、さらに短い波長のUV放射を吸収して可視光を放出する発光体を含む。しかしながら、この方法では254nm放射の著しい散乱のため、性能の劣化が生ずる場合がある。
【0005】
従って、光出力を高めて光束低下を抑える他の手段を探り続けることが望ましい。また、この目標を達成し同時にこれらの装置の電気光学的効率を高めることが極めて望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、発光体組成物を製造する方法によって上述の必要及び他の必要を満たす。
【0007】
従って、本発明の一観点は、発光体組成物を提供するものである。発光体組成物は、可視光放出性発光体を含む第一の発光体と、平均一次晶子径(primary crystallite size)が約100nm未満の第二の発光体とを含んでいる。第二の発光体は、可視光放出性発光体、紫外(VUV)光放出性発光体及び量子分割性発光体から成る群から選択される少なくとも1種の発光体を含んでいる。
【0008】
本発明の第二の観点は、発光体組成物を製造する方法を提供するものである。この方法は、可視光放出性発光体を含む第一の発光体を提供するステップと、平均一次晶子径が約100nm未満の第二の発光体を提供するステップと、第一の発光体の上に第二の発光体を配置するステップとを含んでいる。第二の発光体は、可視光放出性発光体、紫外(VUV)光放出性発光体及び量子分割性発光体から成る群から選択される少なくとも1種の発光体を含んでいる。
【0009】
本発明のこれらの特徴、観点及び利点、並びに他の特徴、観点及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を精読するとさらに十分に理解されよう。図面全体を通して、類似の参照符号は類似の部材を表わす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の説明では、各図面に示す幾つかの像を通じて類似の参照符号は類似の部材又は対応する部材を表わす。また、「上」「下」「外」「内」等のような用語は便宜的な用語であって限定する用語と解釈すべきではないことを理解されたい。さらに、本発明の特定の一側面が群の一定数の要素及びこれらの組み合わせの少なくとも一つを含む(含んでなる)又はこれらから成ると言う場合は常に、この側面が、群の各要素の任意のものを個別に又は当該群の他の要素の任意のものと組み合わせて含み(含んでなり)又はこれらから成り得るものと理解されたい。
【0011】
図面を全体的に参照すると、各図は本発明の一実施形態を説明する目的のものであって、本発明を限定するものではないことが理解されよう。
【0012】
本書で用いられる「ハイブリッド発光体組成物」又は単に「発光体組成物」とされる用語は、発光体の複合体を指し、第二の発光体が第一の発光体と同じ組成であってもよいし、第一の発光体とは異なる組成であってもよい。幾つかの実施形態では、第二の発光体は第一の発光体の上に配置される。単一の紫外(UV)フォトンの複数の可視(vis)フォトンへの変換であって、発光の量子効率が単位量を上回るという結果を伴うものを量子分割性と呼ぶ。
【0013】
本発明の二つの異なる実施形態による発光体組成物の模式図を図1及び図2に示す。発光体組成物は、可視光放出性発光体を含む第一の発光体(20)と、平均一次晶子径が約100nm未満の第二の発光体(30)とを含んでいる。第二の発光体は、可視光放出性発光体、紫外光放出性発光体及び量子分割性発光体から成る群から選択される少なくとも1種の発光体を含んでいる。一実施形態では、発光体組成物10は、図1に示すように不連続な粒子の層として第一の発光体20の上に配置された第二の発光体30を含んでいる。もう一つの実施形態では、発光体組成物15が、図2に示すように実質的に連続な殻として第一の発光体20の上に配置された第二の発光体30を含んでいる。不連続な粒子の層として第二の発光体30が第一の発光体20の上に配置されている場合には、一実施形態では、層の厚みは約10nm〜約1000nmにわたる。もう一つの実施形態では、層の厚みは約20nm〜約600nmにわたり、さらにもう一つの実施形態では、層の厚みは約40nm〜約500nmにわたる。この粒子の層は、複数の副次的層を含んでいてよく、これら複数の副次的層の合計厚みは一般的には、上述した厚み範囲の一つの範囲内にある。
【0014】
実質的に連続な殻として第二の発光体30が第一の発光体20の上に配置されている場合に、利用に伴うハイブリッド発光体組成物の発光性の実質的な劣化を招かない限り幾分かの不連続性が存在していてもよい。発光体組成物に存在する第一の発光体の量及び第二の発光体の量は、特定の応用の要件に適合するように変えてよい。第二の発光体の量を増して添加する場合の効果は、用いられている特定の第一の発光体及び第二の発光体に応じて変わる。一実施形態では、第二の発光体は、発光体組成物の約1重量%〜約99重量%にわたる量で存在する。幾つかの実施形態では、第二の発光体の量は約20重量%〜約35重量%の範囲にあり、特定の実施形態では、この量は約15重量%〜約25重量%の範囲にある。
【0015】
幾つかの実施形態では、第一の発光体は、少なくとも一つの次元の寸法が約10ナノメートル〜約10ミクロンの範囲にある複数の粒子を含んでいる。幾つかの実施形態では、第一の発光体は、少なくとも一つの次元の寸法が約500ナノメートル〜約5ミクロンの範囲にある複数の粒子を含んでおり、特定の実施形態では、少なくとも一つの次元の寸法は約1ミクロン〜約3ミクロンの範囲にある。第二の発光体30は好ましくは、各次元の寸法がナノメートル単位の範囲にある(<100nm)ため、第一の発光体からの光放出を減衰させない。幾つかの実施形態では、第二の発光体は、少なくとも一つの次元の寸法が約20ナノメートル〜約80ナノメートルの範囲にある複数の粒子を含んでおり、他の実施形態では、第二の発光体は、少なくとも一つの次元の寸法が約30ナノメートル〜約40ナノメートルの範囲にある複数の粒子を含んでなる。第一の発光体及び第二の発光体は、任意の形態を有していてよい。第一の発光体及び第二の発光体は同じ形態を有していてもよいし異なる形態を有していてもよい。適当な形態としては、限定しないが、球形態、長円形態、短冊(elongated platelet)形態、棒状形態、針状形態等がある。
【0016】
幾つかの実施形態では、第一の発光体は、波長レンジが約120nm〜約500nmの電磁スペクトルにある電磁放射の少なくとも一部を実質的に吸収して、波長領域が約220nm〜約750nmの電磁スペクトルにある電磁放射の少なくとも一部を実質的に放出する。
【0017】
幾つかの実施形態では、第一の発光体は、以下の物質から成る群から選択される少なくとも1種の発光体を含んでなる。BaMgAl1627:Eu2+;CeMgAl1119:Tb3+;Y:Eu3+;(Ba,Sr,Ca)(PO(Cl,F,OH):Eu2+;(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+;(Ba,Sr,Ca)BPO:Eu2+;SrAl1425:Eu2+;BaAl13:Eu2+;2SrO・0.84P・0.16B:Eu2+;MgWO;BaTiP;LaPO:Ce3+,Tb3+;GdMgB10:(Ce3+,Tb3+,Mn2+);GdMgB10:(Ce3+,Tb3+);(Tb,Y,Lu,La,Gd)(Al,Ga)5O12:Ce3+;(Ba,Sr,Ca)(PO(Cl,F,OH):(Eu2+、Mn2+,Sb3+);(Y,Gd,La,Lu,Sc):Eu3+;(Y,Gd,La,In,Lu,Sc)BO:Eu3+;(Y,Gd,La)(Al,Ga)O:Eu3+;(Ba,Sr,Ca)(Y,Gd,La,Lu):Eu3+;(Y,Gd)Al12:Eu3+;単斜晶系Gd:Eu3+;(Gd,Y)(Al,Ga):Eu3+;(Ca,Sr)(Gd,Y)(Ge,Si)Al:Eu3+;GdMgB10:(Ce3+,Mn2+);3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+、及びこれらの組み合わせ(a group consisting of BaMg2Al16O27:Eu2+; CeMgAl11O19:Tb3+; Y2O3:Eu3+;(Ba,Sr,Ca)5(PO4)3(Cl,F,OH):Eu2+; (Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu2+; (Ba,Sr,Ca)BPO5:Eu2+; Sr4Al14O25:Eu2+; BaAl8O13:Eu2+; 2SrO・0.84P2O5・0.16B2O3:Eu2+; MgWO4; BaTiP2O8; LaPO4:Ce3+,Tb3+; GdMgB5O10:(Ce3+,Tb3+,Mn2+); GdMgB5O10:(Ce3+,Tb3+); (Tb,Y,Lu,La,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce3+; (Ba,Sr,Ca)5(PO4)3(Cl,F,OH):(Eu2+, Mn2+,Sb3+); (Y,Gd,La,Lu,Sc)2O3:Eu3+; (Y,Gd,La,In,Lu,Sc)BO3:Eu3+; (Y,Gd,La)(Al,Ga)O3:Eu3+; (Ba,Sr,Ca)(Y,Gd,La,Lu)2O4:Eu3+; (Y,Gd)Al3B4O12:Eu3+; monoclinic Gd2O3:Eu3+; (Gd,Y)4(Al,Ga)2O9:Eu3+; (Ca,Sr)(Gd,Y)3(Ge,Si)Al3O9:Eu3+; GdMgB5O10:(Ce3+,Mn2+); 3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn4+, and combinations thereof)。
【0018】
発光体組成物において複数種の第一の発光体を用いて、例えば異なる色の可視光を発生することもできる。例えば、本発明の発光体を用いた光源から白色光を得たい場合には、青、緑及び赤の波長レンジを放出する様々な第一の発光体のブレンドを用いればよい。一例として、本発明による発光体を用いた光源では、青色光を放出する発光体であるBaMgAl1627:Eu2+と、緑色光を放出する発光体であるCeMgAl1119:Tb3+と、赤色光を放出する発光体であるY:Eu3+との組み合わせを用いて、白色光を発生することができる。
【0019】
青色光を放出する発光体のその他の非限定的実例は、(Ba,Sr,Ca)(PO(Cl,F,OH):Eu2+;(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+;及び(Ba,Sr,Ca)BPO5:Eu2+である。青緑色光を放出する発光体の非限定的実例は、SrAl1425:Eu2+;BaAl13:Eu2+;2SrO・0.84P・0.16B:Eu2+;MgWO;BaTiP;(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+;及び(Ba,Sr,Ca)(PO(Cl,F,OH):Sb3+である。緑色光を放出する発光体の他の非限定的実例は、LaPO:Ce3+,Tb3+;GdMgB10:Ce3+、Tb3+、Mn2+;及びGdMgB10:Ce3+、Tb3+である。黄橙色光を放出する発光体の非限定的実例は、(Tb,Y,Lu,La,Gd)(Al,Ga)5O12:Ce3+;及び(Ba,Sr,Ca)(PO(Cl,F,OH):Eu2+、Mn2+、Sb3+である。赤色光を放出する発光体の他の非限定的実例は、(Y,Gd,La,Lu、Sc):Eu3+;(Y,Gd,La,In,Lu,Sc)BO:Eu3+;(Y,Gd,La)(Al,Ga)O:Eu3+;(Ba,Sr,Ca)(Y,Gd、La,Lu):Eu3+;(Y,Gd)Al12:Eu3+;単斜晶系Gd:Eu3+;(Gd,Y)(Al,Ga):Eu3+;(Ca,Sr)(Gd,Y)(Ge,Si)Al:Eu3+;(Sr,Mg)(PO:Sn2+;GdMgB10:Ce3+,Mn2+;及び3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+((Y,Gd,La,Lu, Sc)2O3:Eu3+; (Y,Gd,La,In,Lu,Sc)BO3:Eu3+; (Y,Gd,La)(Al,Ga)O3:Eu3+; (Ba,Sr,Ca)(Y,Gd, La,Lu)2O4:Eu3+; (Y,Gd)Al3B4O12:Eu3+; monoclinic Gd2O3:Eu3+; (Gd,Y)4(Al,Ga)2O9:Eu3+; (Ca,Sr)(Gd,Y)3(Ge,Si)Al3O9:Eu3+; (Sr,Mg)3(PO4)2:Sn2+; GdMgB5O10:Ce3+,Mn2+; and 3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn4+)である。以上に述べた組成物の任意のものが本発明の実施形態による第一の発光体としての利用に適する。
【0020】
一実施形態では、第二の発光体は、波長レンジが約120nm〜約500nmの電磁スペクトルにある電磁放射の少なくとも一部を実質的に吸収して、波長レンジが約220nm〜約750nmの電磁スペクトルにある電磁放射の少なくとも一部を放出する可視光放出性発光体であり、さらにもう一つの実施形態では、第二の発光体は、波長レンジが約120nm〜約230nm領域の電磁スペクトルにある電磁放射の少なくとも一部を実質的に吸収して、波長レンジが約220nm〜約750nmの領域の電磁スペクトルにある電磁放射の少なくとも一部を実質的に放出する量子分割性発光体であり、また、さらにもう一つの実施形態では、第二の発光体は、波長領域が約120nm〜約230nmの電磁スペクトルにある電磁放射の少なくとも一部を実質的に吸収して、波長領域が220nm〜約340nmの電磁スペクトルにある電磁放射の少なくとも一部を実質的に放出するUV放出性発光体であり、或いは以上の発光体の組み合わせである。
【0021】
幾つかの実施形態では、第二の発光体は、以下の物質から成る群から選択される可視光放出性発光体を含んでいる。BaMgAl1627:Eu2+;CeMgAl1119:Tb3+;Y:Eu3+;(Ba,Sr,Ca)(PO(Cl,F,OH):Eu2+;(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+;(Ba,Sr,Ca)BPO:Eu2+;SrAl1425:Eu2+;BaAl13:Eu2+;2SrO・0.84P・0.16B:Eu2+;MgWO;BaTiP;LaPO:Ce3+,Tb3+;GdMgB10:(Ce3+,Tb3+,Mn2+);GdMgB10:(Ce3+,Tb3+);(Tb,Y,Lu,La,Gd)(Al,Ga)5O12:Ce3+;(Ba,Sr,Ca)(PO(Cl,F,OH):(Eu2+、Mn2+,Sb3+);(Y,Gd,La,Lu,Sc):Eu3+;(Y,Gd,La,In,Lu,Sc)BO:Eu3+;(Y,Gd,La)(Al,Ga)O:Eu3+;(Ba,Sr,Ca)(Y,Gd,La,Lu):Eu3+;(Y,Gd)Al12:Eu3+;単斜晶系Gd:Eu3+;(Gd,Y)(Al,Ga):Eu3+;(Ca,Sr)(Gd,Y)(Ge,Si)Al:Eu3+;GdMgB10:(Ce3+,Mn2+);3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+、及びこれらの組み合わせ(a group consisting of BaMg2Al16O27:Eu2+; CeMgAl11O19:Tb3+; Y2O3:Eu3+;(Ba,Sr,Ca)5(PO4)3(Cl,F,OH):Eu2+; (Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu2+; (Ba,Sr,Ca)BPO5:Eu2+; Sr4Al14O25:Eu2+; BaAl8O13:Eu2+; 2SrO・0.84P2O5・0.16B2O3:Eu2+; MgWO4; BaTiP2O8; LaPO4:Ce3+,Tb3+; GdMgB5O10:(Ce3+,Tb3+,Mn2+); GdMgB5O10:(Ce3+,Tb3+); (Tb,Y,Lu,La,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce3+; (Ba,Sr,Ca)5(PO4)3(Cl,F,OH):(Eu2+, Mn2+,Sb3+); (Y,Gd,La,Lu,Sc)2O3:Eu3+; (Y,Gd,La,In,Lu,Sc)BO3:Eu3+; (Y,Gd,La)(Al,Ga)O3:Eu3+; (Ba,Sr,Ca)(Y,Gd,La,Lu)2O4:Eu3+; (Y,Gd)Al3B4O12:Eu3+; monoclinic Gd2O3:Eu3+; (Gd,Y)4(Al,Ga)2O9:Eu3+; (Ca,Sr)(Gd,Y)3(Ge,Si)Al3O9:Eu3+; GdMgB5O10:(Ce3+,Mn2+); 3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn4+, and combinations thereof)。
【0022】
他の幾つかの実施形態では、第二の発光体は、量子分割性発光体を含んでいる。この第二の発光体の非限定的実例は、LaPO:Pr3+、LaB:Pr3+、LaBO:Pr3+、YBO:Pr3+、GdBO:Pr3+、LuBO:Pr3+、(Gd,Y)B:Pr3+、(Sr,Ca)Al1219:Pr3+、(La,Gd,Y)MgB10:Pr3+、SrB:Pr3+、CaMgAl11.3319:Pr3+、CaMgAl1423:Pr3+、YPO:Pr3+、GdPO:Pr3+、YSiO:Pr3+、及びYPO:Bi3+、LuPO:Bi3+(LaPO4:Pr3+, LaB3O6:Pr3+, LaBO3:Pr3+, YBO3:Pr3+, GdBO3:Pr3+, LuBO3:Pr3+, (Gd,Y)B3O6:Pr3+, (Sr,Ca)Al12O19:Pr3+, (La,Gd,Y)MgB5O10:Pr3+, SrB4O7:Pr3+, CaMgAl11.33O19:Pr3+, CaMgAl14O23:Pr3+, YPO4:Pr3+, GdPO4:Pr3+, Y2SiO5:Pr3+, and YPO4:Bi3+, LuPO4:Bi3+)である。また、以上のホストに活性化イオンであるPb2+を単独で又はPr3+及びBi3+の少なくとも一方と組み合わせて用いて、VUV放射を吸収する発光体を得ることもできる(例えば;LaPO:Pr3+,Pb2+;LaB:Pr3+,Pb2+;LaBO:Pr3+,Pb2+;YBO:Pr3+,Pb2+;GdBO:Pr3+,Pb2+;LuBO:Pr3+,Pb2+;(Gd,Y)B:Pr3+,Pb2+;(Sr,Ca)Al1219:Pr3+,Pb2+;(La,Gd,Y)MgB10:Pr3+,Pb2+;SrB:Pr3+,Pb2+;CaMgAl11.3319:Pr3+,Pb2+;CaMgAl1423:Pr3+,Pb2+;YPO:Pr3+,Pb2+;GdPO:Pr3+,Pb2+;YSiO:Pr3+,Pb2+;YPO:Bi3+,Pb2+;LuPO:Bi3+,Pb2+;LaPO:Pr3+,Pb2+,Bi3+;LaB:Pr3+,Pb2+,Bi3+;LaBO3:Pr3+,Pb2+,Bi3+;YBO:Pr3+,Pb2+,Bi3+;GdBO:Pr3+,Pb2+,Bi3+;LuBO:Pr3+,Pb2+,Bi3+;(Gd,Y)B:Pr3+,Pb2+,Bi3+;(Sr,Ca)Al1219:Pr3+,Pb2+,Bi3+;(La,Gd,Y)MgB10:Pr3+,Pb2+,Bi3+;SrB:Pr3+,Pb2+,Bi3+;CaMgAl11.3319:Pr3+,Pb2+,Bi3+;CaMgAl1423:Pr3+,Pb2+,Bi3+;YPO:Pr3+,Pb2+,Bi3+;GdPO:Pr3+,Pb2+,Bi3+;YSiO:Pr3+,Pb2+,Bi3+;YPO:Pr3+,Bi3+,Pb2+;又はLuPO:Pr3+,Bi3+,Pb2+)(LaPO4:Pr3+,Pb2+; LaB3O6:Pr3+,Pb2+; LaBO3:Pr3+,Pb2+; YBO3:Pr3+,Pb2+; GdBO3:Pr3+,Pb2+; LuBO3:Pr3+,Pb2+; (Gd,Y)B3O6:Pr3+,Pb2+; (Sr,Ca)Al12O19:Pr3+,Pb2+; (La,Gd,Y)MgB5O10:Pr3+,Pb2+; SrB4O7:Pr3+,Pb2+; CaMgAl11.33O19:Pr3+,Pb2+; CaMgAl14O23:Pr3+,Pb2+; YPO4:Pr3+,Pb2+; GdPO4:Pr3+,Pb2+; Y2SiO5:Pr3+,Pb2+; YPO4:Bi3+,Pb2+; LuPO4:Bi3+,Pb2+; LaPO4:Pr3+,Pb2+,Bi3+; LaB3O6:Pr3+,Pb2+,Bi3+; LaBO3:Pr3+,Pb2+,Bi3+; YBO3:Pr3+,Pb2+,Bi3+; GdBO3:Pr3+,Pb2+,Bi3+; LuBO3:Pr3+,Pb2+,Bi3+; (Gd,Y)B3O6:Pr3+,Pb2+,Bi3+; (Sr,Ca)Al12O19:Pr3+,Pb2+,Bi3+; (La,Gd,Y)MgB5O10:Pr3+,Pb2+,Bi3+; SrB4O7:Pr3+,Pb2+,Bi3+; CaMgAl11.33O19:Pr3+,Pb2+,Bi3+; CaMgAl14O23:Pr3+,Pb2+,Bi3+; YPO4:Pr3+,Pb2+,Bi3+; GdPO4:Pr3+,Pb2+,Bi3+; Y2SiO5:Pr3+,Pb2+,Bi3+; YPO4:Pr3+,Bi3+,Pb2+; or LuPO4:Pr3+,Bi3+,Pb2+)。他の適当な第二の発光体は、(Ca,Mg,Sr)SO:Pb2+、CaLiSiO:Pb2+、(Ca,Ba,Sr)SiO:Pb2+、Ba(Y,Gd,Lu)B16:Bi3+、YF:Bi3+、YOF:Bi3+、(Gd,Y)OF:Bi3+,Pr3+、及び(Y,Gd)Al12:Bi3+((Ca,Mg,Sr)SO4:Pb2+, CaLi2SiO4:Pb2+, (Ca,Ba,Sr)SiO3:Pb2+, Ba(Y,Gd,Lu)B9O16:Bi3+, YF3:Bi3+, YOF:Bi3+, (Gd,Y)OF:Bi3+,Pr3+, and (Y,Gd)3Al5O12:Bi3+)である。複数種の第二の発光体を用いて、例えばプラズマによって放出されるVUVの実質的に全てが確実に吸収されるようにすることもできる。
【0023】
図3は、Y:Eu3+の上に配置されたLaPO:Pr3+の透過型電子顕微鏡画像である。画像は、Y:Eu3+の粒子が複数のLaPO:Pr3+ナノ粒子で被覆されているのを示している。図4は、Y:Eu3+(発光体組成物40)の上に配置されたLaPO:Pr3+のナノ粒子の高分解能電子顕微鏡写真を示す。
【0024】
図5は、LaPO:Pr3+皮膜を用いた場合及び用いない場合の254nm励起でのY:Eu3+の放出スペクトルである。この放出スペクトルは、皮膜を用いた場合も用いない場合も同じであり、すなわちLaPO:Pr3+皮膜がY:Eu3+からの光放出を妨げないことを意味している。
【0025】
本発明のもう一つの観点は、発光体組成物を製造する方法を提供することである。この発光体組成物を製造する方法を図6に流れ図として示す。方法50はステップ60で開始し、可視光放出性発光体を含む第一の発光体を提供する。ステップ70では第二の発光体を提供して、ステップ80では第一の発光体の上に第二の発光体を配置する。第二の発光体は、「その場(in situ)」で第一の発光体の上に設けられて配置されてもよいし、又は「外部(ex situ)」で第一の発光体の上に設けられて配置されてもよい。被覆工程中に第二の発光体を生成する方法を「その場」法と名付ける。「その場」法(方法90)を示す流れ図を図7に掲げる。第二の発光体を別個の工程で製造した後に本発明の工程で第一の発光体の上に配置する方法を「外部」法と名付ける。図8は、発光体組成物を製造する「外部」法(方法100)を示す。
【0026】
発光体の径及び形状は、組成の実施形態で詳細に示した径範囲及び形態を含めて様々であってよい。用いられる発光体の粒子は、当技術分野で公知の任意の合成方法によって製造され得る。一般的には、発光体は、液体媒体に分散されて提供される。任意の適当な液体媒体を用いてよい。幾つかの実施形態では、液体媒体は水を含む。
【0027】
この方法はさらに、被覆時の光束劣化を防ぐために第一の発光体及び第二の発光体に保護皮膜を設けるステップを選択随意で含んでいてよい。保護皮膜は、第一の発光体のみに設けられてもよいし、第二の発光体のみに設けられてもよいし、第一及び第二の発光体の両方に設けられてもよい。幾つかの実施形態では、保護皮膜は、発光体の分散液を界面活性剤と混合することにより発光体上で得られる。幾つかの実施形態では、発光体を含んでなる分散液及び界面活性剤を十分な持続時間まで十分な温度に加熱して化学的に安定な保護皮膜を得、この皮膜は、処理中の反応している媒体から発光体を保護することができる。多数の市販界面活性剤の任意のものが本発明の各実施形態での利用に適する。界面活性剤は、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン性発光体及びこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含んでなり、ここで、非イオン性界面活性剤は極性界面活性剤、非極性界面活性剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0028】
第一の発光体及び第二の発光体の量は、必要とされる最終的な発光体組成物に応じて様々であってよい。加えて、第二の発光体の量を増して添加する場合の効果は、用いられている特定の第一の発光体及び第二の発光体に応じて変わる。一実施形態では、第二の発光体は、発光体組成物の約1重量%〜約99重量%にわたる量で存在する。幾つかの実施形態では、第二の発光体の量は約20重量%〜約35重量%の範囲にあり、特定の実施形態では、この量は約15重量%〜約25重量%の範囲にある。
【0029】
第二の発光体が「その場」で提供される場合には、一般的には、ステップ110において、第二の発光体を得るのに必要な反応物を提供する。一般的には、第二の発光体の前駆体を媒体内に配置して、溶液、ゲル、懸濁液、コロイド又は分散液を形成する。前駆体の非限定的実例としては、硝酸塩、塩化物、アルコキシド、酢酸塩及び酸化物がある。媒体は好ましくは、流動を容易にして適当な混合を促す低粘度を有するものとする。必要があれば、選択随意要素のステップ117において上述の溶液にアニオン供給源を添加する。例えば、LaPO:Prの合成では、リン酸又はリン酸アンモニウム水素のようなPO−供給源を提供すればよい。ステップ120では、選択随意で界面活性剤溶液を添加する。幾つかの実施形態の一例では、「その場」で第一の発光体の上に第二の発光体を配置するステップは、ステップ120において、第二の発光体の前駆体を得るのに必要な反応物、界面活性剤、アニオン供給源(必要があれば添加)を含む混合物を、媒体内に配置された第一の発光体の分散液(ステップ112で得られたもの)と混合するステップを含んでいる。工程が「その場」式である場合には、ステップ130において、塩基性成分を添加して上述の混合物のpHを高めることにより、第二の発光体の中間組成物を沈殿させる。任意の適当な塩基を用いてよい。適当な塩基性成分の非限定的実例は、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム及び水酸化アンモニウムである。ステップ140では、第二の発光体の中間組成物は、反応温度まで加熱することにより所望の第二の発光体相に転化される。加熱温度は様々であってよく、発光体の組成に応じて決まる。一般的には、幾種類かの酸化物発光体組成物は所望の相を形成するのに比較的高い温度を必要とする場合があるが、リン酸発光体組成物は比較的低い温度しか必要としない。
【0030】
方法が「外部」式である場合には、第二の発光体のナノ粒子を別個の工程で製造して、本発明の工程で利用する。本書に開示した第二の発光体のような無機物質のナノ粒子は、多くの方法によって製造することができる。一つの製造方法は、無機物質の前駆体の溶液の噴霧火炎熱分解である。かかる方法は、例えば米国特許第5,958,361号(特許文献1)に記載されている。尚、この特許を参照によりその全体として本出願に援用する。この方法では、所望の金属と他のヘテロ原子とを適当な比(発光体の最終的な化学組成を達成するのに適した比)で含んでなる有機金属化合物を、有機金属化合物が可溶の可燃性溶媒に溶かして溶液を形成する。次いで、溶液をエーロゾル化して、過剰な酸素の存在下で噴霧火炎熱分解反応器に導入する。揮発性溶媒は燃焼し、前駆体は分解して、最終的な発光体の正確な化学組成の無機蒸気を生成する。無機蒸気は急激な温度勾配で急速に凝縮して、発光体のナノメートル径粒子を形成する。この手法の変形が、R. Baranwal et al., "Flame Spray Pyrolysis of Precursors as a Route to nano-mullite Powder: Powder Characterization and Sintering Behavior," J. Am. Ceram. Soc., Vol. 84, No.5, pp. 951-61 (2001)に記載されている。
【0031】
無機物質のナノメートル径粒子のもう一つの製造方法は、溶液−転相−マイクロエマルション法に基づくものである。この手法の代表的な記載がW. Que et al., "Preparation and Characterization of Erbium Oxalate and Erbium Oxide nanoparticles by Microemulsion Technique," Materials Science and Engineering C, Vol. 16, pp. 51-54 (2001)にある。この手法では、先ず、連続的な有機(油)相に水性微小液滴を分散させた熱力学的に安定で光学的に等方性の分散液を製造する。水性微小液滴は、所望の最終的な発光体組成物を達成するのに適した比で無機化合物又はそれらの前駆体を含有する。微小液滴は、水油界面では界面活性剤分子によって安定化される。マイクロエマルションを熱分解して、最終的な無機物質のナノメートル径粒子を生成する。この手法は、約5nm〜30nmの範囲の粒度を生ずることができる。
【0032】
無機物質のナノメートル径粒子のもう一つの製造方法は、ゾル−ゲル法に基づくものである。この方法の代表的な記載が、R. Subramanian et al., "Synthesis of Nanocrystalline Yttria by Sol-Gel Method," Materials Letters, Vol. 48, pp. 342-346 (May 2001)に開示されている。ナノ結晶無機物質は、所望の元素の全てを含有する可溶性前駆体混合物から水酸化アンモニウムのような水酸化物での沈殿によって生成することができる。実施形態の一例では、この方法によって約20nm〜40nmの範囲の粒度が生ずる。
【0033】
無機物質のナノメートル径粒子のもう一つの製造方法は、コロイド法に基づくものである。この方法の代表的な記載及びその変形の一つが、R. Ramesh et al., "Optical Properties of Ce3+ in Self-Assembled Strontium Chloro(hydroxy)apatite Nanocrystals," J. Phys. Chem. B, Vol. 104, pp. 8351-8360 (2000)、T.S. Ahmadi et al., "Low-Temperature Synthesis of Pure and Mn-Doped Willemite Phosphor (Zn2SiO4:Mn) in Aqueous Medium," Materials Research Bulletin, Vol. 35, pp. 1869-1879 (2000)、及びC. Feldmann et al., "Preparation of Sub-Micrometer LnPO4Particles (Ln = La, Ce)," J. of Materials Science, Vol. 37, pp. 3251-3254 (2002)に開示されている。各反応物を含んでなる混合物を高温で高速攪拌し、急冷して、ナノメートル径のコロイド粒子を生成する。得られる粒度は攪拌速度及び冷却速度に反比例して変化するものと予測される。約10nmから数千ナノメートルの粒度を得ることができる。
【0034】
本発明の一実施形態による「外部」法(図8)では、ステップ155において液体媒体内で第二の発光体の分散液を形成し、ステップ155において液体媒体内で第一の発光体の分散液を形成する。幾つかの実施形態では、液体媒体は水を含んでなる。本発明の実施形態の一例では、第一の発光体の上に第二の発光体を配置するステップは、ステップ150で得られる第一の発光体の分散液及びステップ150で得られる第二の発光体の分散液をステップ160で界面活性剤と混合するステップを含んでいる。ステップ170で混合物を攪拌する。「外部」法では、ステップ180において第一の発光体の上に平均一次晶子径が約100nm未満の第二の発光体の複数のナノ粒子を沈殿させる。必要があれば、ステップ190において、あらゆる過剰な有機物質を加熱によって除去する。
【0035】
図9は、第一の発光体及び第二の発光体に保護有機皮膜を設ける「外部」法(方法110)の流れ図を示す。「外部」法の一実施形態では、ステップ152において液体媒体内で第二の発光体の分散液を形成する。幾つかの実施形態では、液体媒体は水を含んでなる。ステップ154において上述の分散液に界面活性剤溶液を添加する。イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両親媒性のポリマーから成る群から選択される任意の適当な界面活性剤を用いてよい。ステップ157では、得られた混合物を加熱して、保護された第二の発光体系を形成する。温度は好ましくは、有機物質の殆どを除去するのに十分であるが第二の発光体を被覆する保護皮膜は残す温度とし、用いられる界面活性剤の種別に応じて決まるが、典型的には、200℃を上回る。ステップ159では、保護された第二の発光体の系を液体媒体に再び分散させる。幾つかの実施形態では、液体媒体は水を含んでなる。同様の工程は、第一の発光体でも選択随意で生じることができ、この工程についてはステップ165、167及び169に記載されている。保護は選択随意で、ステップ175の前に第一の発光体のみで生じてもよいし、第二の発光体のみで生じてもよいし、第一及び第二の発光体の両方で生じてもよい。
【0036】
本発明の実施形態の一例では、第一の発光体の上に第二の発光体を配置するステップは、ステップ175において、保護された第二の発光体の分散液及び保護された第一の発光体(ステップ167で得られたもの)の分散液を含む混合物を界面活性剤と混合するステップを含んでいる。「外部」法では、ステップ185において、平均一次晶子径が約100nm未満の保護された第二の発光体の複数のナノ粒子を、保護された第一の発光体の上に沈殿させる。ステップ195において、あらゆる過剰な有機物質を加熱によって除去する。加熱温度は、存在する有機残渣に応じて様々であってよい。典型的には、加熱温度は約100℃〜約1000℃にわたる。一実施形態では、加熱温度は200℃〜約800℃にわたり、もう一つの実施形態では、加熱温度は約400℃〜約600℃にわたる。
【0037】
以下の実施例は、本発明によって提供される特徴及び利点を説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0038】
以下の実施例は、Y:Eu3+(YEO)のミクロン径発光体粒子の上に配置されたLaPO:Pr3+(LAP:Pr)のナノ径粒子を含有するハイブリッド発光体を製造するために双方保護を行なう「外部」法の製造方法を記載する。
【0039】
所望の量のLAP:Prナノ粒子を界面活性剤溶液に分散させて、30分間にわたって攪拌した。また、所望の量のYEOを別個に界面活性剤溶液に分散させて、30分間にわたって攪拌した。各々の溶液を釉薬付きの磁器皿にあけて、100℃の乾燥炉で10時間にわたって乾燥させた。皿を高温炉に移して600℃まで加熱し、室温に冷却した。得られた白色の粉末を乳鉢及び乳棒で摩砕して、100メッシュのナイロンで篩に掛けた。保護された粒子を含有する2種類の分散液を再び分散させて、界面活性剤溶液と混合し、30分間にわたって攪拌した。pHを高めて混合物を600℃を上回る温度まで加熱した。ハイブリッド発光体を収集し、摩砕して、篩に掛けた。
【0040】
本書では本発明の幾つかの特徴のみを図示して説明したが、当業者には多くの改変及び変形が想到されよう。従って、特許請求の範囲は、本発明の要旨に含まれるような全ての改変及び変形を網羅するものと理解されたい。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態による発光体組成物の模式図である。
【図2】本発明のもう一つの実施形態による発光体組成物の模式図である。
【図3】Y:Eu3+の上に配置されたLaPO:Pr3+の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。
【図4】Y:Eu3+の上に配置されたLaPO:Pr3+の高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)画像である。
【図5】LaPO:Pr3+皮膜を用いた場合及び用いない場合のY:Eu3+の放出スペクトルである。
【図6】本発明の一実施形態による発光体組成物を製造する方法を示す流れ図である。
【図7】本発明の一実施形態による発光体組成物を製造する方法を示す流れ図である。
【図8】本発明の一実施形態による発光体組成物を製造する方法を示す流れ図である。
【図9】本発明の一実施形態による発光体組成物を製造する方法を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0042】
10、15、40 発光体組成物
20 第一の発光体
30 第二の発光体
50 発光体組成物を製造する方法
90 「その場」法
100 「外部」法
110 保護皮膜を設ける「外部」法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光体組成物を製造する方法(50)であって、
i)可視光放出性発光体を含んでなる第一の発光体を提供するステップ(60)と、
ii)平均一次晶子径が約100nm未満の第二の発光体(30)であって、可視光放出性発光体、紫外(VUV)光放出性発光体及び量子分割性発光体から成る群から選択される少なくとも1種の発光体を含んでなる第二の発光体を提供するステップ(70)と、
iii)前記第一の発光体の上に前記第二の発光体を配置するステップ(80)と、
を備えた方法。
【請求項2】
前記第一の発光体を提供するステップ(60)は、前記第一の発光体に保護皮膜を設けるステップをさらに含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二の発光体を提供するステップ(70)は、前記第二の発光体に保護皮膜を設けるステップをさらに含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第二の発光体を提供するステップは、溶液、ゲル、懸濁液、コロイド及び分散液の少なくとも一つを形成するために、媒体内に配置された前記第二の発光体の前駆体を提供するステップを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の発光体の上に前記第二の発光体を配置するステップ(80)は、第二の発光体の中間組成物を沈殿させるために媒体のpHを塩基性成分で高めるステップを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の発光体の上に前記第二の発光体を配置するステップ(80)は、平均一次晶子径が約100nm未満の前記第二の発光体の複数のナノ粒子を前記第一の発光体の上に沈殿させるステップを含んでいる、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−282996(P2006−282996A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20016(P2006−20016)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】