説明

発光便器

【課題】便器を容易に生産、施行、メンテナンスすることができ、使用者にとって適度な明度の発光を可能とし、外観上美しく見えると共に、清潔感が増すことができる発光便器を提供する。
【解決手段】便器ボール部1と、ハウジング部2と、により構成する便器であって、便器ボール部1かハウジング部2の少なくとも一方の一部又は全体が透明性を有する樹脂によってなり、便器ボール部1の下部であって、直接光源が見えない程度に前記透明性を有する部位から距離を設けた位置に、発光部3を集中して設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、便器を光らせるようになした発光便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2001−120448号公報(特許文献1)に示されるように、発光便器は知られている。この発光便器は図7に示すように、便器を内部が透視可能なスケルトン構造となして、その内部に発光部3としてLED5を埋設し、これによって便器を光らせるようにしている。
【特許文献1】特開2001−120448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特開2001−120448号公報に示される上記従来例の発光便器にあっては、発光部3が便器の外郭に近い位置にあるため、使用者の視覚に対して直接的かつ強い刺激の光が照射される恐れがある。又、便器及びその周辺部品の各部に発光部3を複数設けているので、生産時・施行時において非常に煩雑である。又、発光部3が分散しているため、便器のメンテナンスも困難である。
【0004】
本願発明は上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その課題は、便器を容易に生産、施行、メンテナンスすることができ、使用者にとって適度な明度の発光を可能とし、外観上美しく見えると共に、清潔感が増すことができる発光便器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、汚物や汚物を流すための水を貯める便器ボール部と、便器ボール部を囲って、便器の外郭を形成するハウジング部と、により構成する便器であって、便器ボール部かハウジング部の少なくとも一方の一部又は全体が透明性を有し、便器ボール部の下部であって、直接光源が見えない程度に前記透明性を有する部位から距離を設けた位置に、発光部を集中して設置する。
【0006】
又、本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発光便器において、ハウジング部の一部又は全体が透明性を有することを特徴としている。
【0007】
又、本願請求項3記載の発明では、上記請求項1又は請求項2記載の発光便器において、便器ボール部の一部又は全体が透明性を有することを特徴としている。
【0008】
又、本願請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項記載の発光便器において、発光部として、光源を複数設けた発光ブロックを用いたことを特徴としている。
【0009】
又、本願請求項5記載の発明では、上記請求項4記載の発光便器において、発光色が異なる光源を二種類以上用いたことを特徴としている。
【0010】
又、本願請求項6記載の発明では、上記請求項1〜5のいずれか1項記載の発光便器において、発光部の光源として、LEDを用いたことを特徴としている。
【0011】
又、本願請求項7記載の発明では、上記請求項1〜6のいずれか1項記載の発光便器において、発光部と透明性を有する部位との間に拡散板を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本願請求項1記載の発明の発光便器においては、便器ボール部かハウジング部の少なくとも一方の一部又は全体が透明性を有し、便器ボール部の下部の、直接光源が見えない程度に前記透明性を有する部位から距離を設けた位置に、発光部を集中して設置しているので、便器の前記透明性を有する一部又は全体がぼんやりと光り、外観上美しく見えると共に、清潔感が増す。又、ぼんやりとした光であるため、使用者の視覚に強い刺激を与えることがなく、夜間使用時において、明るすぎて目が覚めてしまうということも無くなる。又、便器ボール部の下部に発光部を集中して設置するという構造なので、発光部を分散させる必要がなく、施工性・生産性に優れる。又、発光部を集中させることでメンテナンスも容易になる。又、便器の一部又は全体が光ることで、便器の傷などが目立たなくなる。
【0013】
本願請求項2記載の発明の発光便器においては、特に、便器の外郭であるハウジング部の一部又は全体が透明性を有するため、その透明性を有する部位を光らせることができ、使用者の視覚に対して効果的に訴えることができる。又、ハウジング部の一部を光らせることで、模様を形成したり、使用者の視覚に対する光の刺激を抑えるようにしたりすることもできる。
【0014】
本願請求項3記載の発明の発光便器においては、特に、便器ボール部の一部又は全体が透明性を有するため、その透明性を有する部位を光らせることができ、便器ボール部が美しく見えることで汚れも目立たなくなり、使用者の不快感を軽減できる。又、便器ボールに貯まった水を発光部からの光によって照射することで、綺麗に光らせることできる。
【0015】
本願請求項4記載の発明の発光便器においては、特に、発光部として、光源を複数設けた発光ブロックを用いているので、発光部として発光ブロックのみを設置すればよく、複数の光源を設置する手間が入らず、施工性・メンテナンス性に優れる。
【0016】
本願請求項5記載の発明の発光便器においては、特に、発光部の光源として、LEDを用いているため、LEDの高い指向性により、光らせたい部位のみを光らせることができる。これにより、使用者の視覚に対してより効果的に訴えることができる。
【0017】
本願請求項6記載の発明の発光便器においては、特に、発光色が異なる光源を二種類以上用いているので、各色の光源の強さを調節することにより、便器の発光色を自在に調節することができる。これにより、便器を、使用者の体調や時間帯を意識した発光色にすることができる。例えば、朝方ならば便器を寒色系の青色にすることで使用者の眠気を覚まし、夜間ならば暖色系のオレンジ色にすることで使用者の眠気が覚めにくくできる。又、使用者にとって便意をもよおしやすい色に設定することで、使用者の健康維持を支援することもできる。又、各色の光源の強さの差や波長の差を利用することで、異なる光の層による模様を作ることも可能なので、使用者の好みに合わせた快適なトイレ空間にすることができる。
【0018】
本願請求項7記載の発明の発光便器においては、特に、発光部と透明性を有する部位との間に拡散板を設けているので、より広範に便器の一部又は全体を照らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本願発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0020】
図1〜5は、本願請求項1〜7全てに対応した一実施形態である発光便器を示している。
【0021】
この発光便器は、便器ボール部1と、ハウジング部2と、により構成する便器であって、便器ボール部1かハウジング部2の少なくとも一方の一部又は全体が半透明性を有し、便器ボール部1の下部であって、直接光源が見えない程度に前記半透明性を有する部位から距離を設けた位置に、発光部3を集中して設置している。そして、ハウジング部2の一部又は全体、便器ボール部1の一部又は全体が半透明性を有している。そして、発光部3として、光源を複数設けた発光ブロック4を用いている。そして、発光部3の光源として、LED5を用いている。そして、発光色が異なるLED5を二種類以上用いている。そして、発光部3と半透明性を有する部位との間に拡散板6を設けている。
【0022】
以下、この実施形態の発光便器をより具体的詳細に説明する。
【0023】
図1〜5に示すように、この発光便器は、便器ボール部1と、ハウジング部2と、座面部7と、発光部3と、拡散板6と、からなる。
【0024】
汚物や汚物を流すための水を貯める便器ボール部1は、半透明性を有する樹脂や、すりガラス等からなる。この樹脂は透明性を有する部位の内側表面にブラスト処理を施すことで粗面とすることによって半透明にする。又、乳白色にするためのフィラーを入れたり、不透明な塗料を入れたりすることで半透明にすることも可能である。又、ラメ等を入れることで、より使用者の視覚に訴えることも可能である。又、透明性を有するアクリル樹脂に防汚効果のあるフッ素樹脂やシリコン樹脂などを混合することも可能である。この便器ボール部1は汚物や水を流すための排水管8を有する。
【0025】
そして、便器ボール部1を囲って便器の外郭を形成するハウジング部2が設けられている。このハウジング部2は便器ボール部1と同様の半透明性を有する樹脂やガラス等からなる。ハウジング部2の上側開口部には、便座9を載せるための座面部7が設けられる。この座面部7は半透明性を有する樹脂等からなる。便座9及び便蓋10を座面部7の後ろ側でそれぞれ開閉自在に支持している。便座9と便蓋10は不透明の樹脂又は金属等により一体化されて形成されている。座面部7の縁であって、便座9と便蓋10のさらに後ろ側に、発光便器の電源のオンオフや各LED5の明度の調節等が可能とするための、電源及び制御回路部11を設けている。そして、便器の底部中央に発光部3を設置している。この便器の底部中央は直接光源が見えない程度に、便器ボール部1とハウジング部2の半透明性を有する部位から距離を設けた位置である。そして、この発光部3と前記の半透明性を有する部位との間に、基板片面を擦りガラスにした拡散板6を設けている。この拡散版6のつや消し効果を利用することで、照明光を均一な拡散光に変えることができる。
【0026】
前記のハウジング部2の全体、便器ボール部1の全体は半透明性を有する。
【0027】
発光部3として、LED5を複数設けた発光ブロック4を用いている。この発光ブロック4はドーナッツ形状であり、樹脂等からなる。この発光ブロック4に、青と赤の発光色のLED5が複数設けられている。それぞれのLEDは一定の間隔をあけて、交互に色が違うように配置している。
【0028】
したがって、この実施形態の発明の発光便器においては、半透明性を有する樹脂によってなる、便器ボール部1とハウジング部2とにより構成する便器であって、便器ボール部1の下部の、直接光源が見えない程度に前記半透明性を有する部位から距離を設けた位置に、発光部3を集中して設置しているので、便器の全体がぼんやりと光り、外観上美しく見えると共に、清潔感が増す。又、ぼんやりとした光であるため、使用者の視覚に強い刺激を与えることがなく、夜間使用時において、明るすぎて目が覚めてしまうということも無くなる。又、便器ボール部1の下部に発光部3を集中して設置するという構造なので、発光部3を分散させる必要がなく、施工性・生産性に優れる。又、発光部3を集中させることでメンテナンスも容易になる。又、便器の全体が光ることで、便器の傷などが目立たなくなる。
【0029】
又、便器の外郭であるハウジング部2の全体が半透明性を有するため、その半透明性を有する部位を光らせることができ、使用者の視覚に対して効果的に訴えることができる。又、ハウジング部2の一部を光らせることで、模様を形成したり、使用者の視覚に対する光の刺激を抑えるようにしたりすることもできる。例えば、図6に示すように、ハウジング部2の下側のみが全周に渡って半透明性を有するようにし、使用者の足元からのみぼんやりと光るようにすることができる。
【0030】
又、便器ボール部1の全体が半透明性を有するため、その半透明性を有する部位を光らせることができ、便器ボール部1が美しく見えることで汚れも目立たなくなり、使用者の不快感を軽減できる。又、便器ボール部1に貯まった水を発光部3からの光によって照射することで、綺麗に光らせることできる。又、便器ボール部1の全体が光ることで、便器の傷などが目立たなくなる。
【0031】
又、発光部3として、光源を複数設けた発光ブロック4を用いているので、発光部3として発光ブロック4のみを設置すればよく、複数の光源を設置する手間が入らず、施工性・メンテナンス性に優れる。
【0032】
又、発光部3の光源として、LED5を用いているため、LED5の高い指向性により、光らせたい部位のみを光らせることができる。これにより、使用者の視覚に対してより効果的に訴えることができる。
【0033】
又、青と赤の発光色のLED5を用いているので、各色の光源の強さを調節することにより、便器の発光色を自在に調節することができる。これにより、便器を、使用者の体調や時間帯を意識した発光色にすることができる。例えば、朝方ならば便器を寒色系の青色にすることで使用者の眠気を覚まし、夜間ならば暖色系のオレンジ色にすることで使用者の眠気が覚めにくくできる。又、使用者にとって便意をもよおしやすい色に設定することで、使用者の健康維持を支援することもできる。又、各色の光源の強さの差や波長の差を利用することで、光の色が完全に混ざった色にならずに、各光の色が異なる光の層による模様を作ることも可能である。光源として青と赤の発光色のLED5を使用しているので、赤と青の発光色が混ざった色にならずに、各色の層が綺麗なグラデーション状に構成される。これにより、さらに使用者の好みに合わせた快適なトイレ空間にすることができる。
【0034】
又、発光部3と半透明性を有する部位との間に拡散板6を設けているので、より広範に便器の一部又は全体を照らすことができる。なお、拡散板6の代わりにミラーボール等を設けることで、新たな視覚的な効果を作り出すことも出来る。
【0035】
なお、本願発明にあっては、半透明性を有する樹脂を用いているが、完全に透明である樹脂や、すりガラスを用いることも可能である。又、光源を複数設けているが、1個の光源であっても実施可能である。又、複数の光源を設けている場合において、発光色が赤、緑、青である光源をそれぞれ設けることで自在に光の色を調整することも可能である。又、光源としてLED5を使用しているが、有機ELや蛍光灯等の他の光源であっても実施可能である。又、拡散板6を設けているが、拡散板6を設けなくとも実施可能である。又、座面部7は半透明性を有しているが、半透明性を有していなくても実施可能である。又、便蓋10は半透明性を有していないが、半透明性を有していても実施可能である。又、発光ブロック4の形状はドーナッツ形状としているが、この形状に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本願発明の一実施形態である発光便器を示す分解斜視図。
【図2】同発光便器を示す断面図。
【図3】同発光便器のハウジング部が発光している状態を示す斜視図。
【図4】同発光便器の便器ボール部が発光している状態を示す斜視図。
【図5】同発光便器の発光ブロックを示す斜視図。
【図6】同発光便器のハウジング部の下側のみが発光している状態を示す斜視図。
【図7】従来例である発光便器を示す斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1 便器ボール部
2 ハウジング部
3 発光部
4 発光ブロック
5 LED
6 拡散板
7 座面部
8 排水管
9 便座
10 便蓋
11 電源及び制御回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物や汚物を流すための水を貯める便器ボール部と、便器ボール部を囲って便器の外郭を形成するハウジング部と、により構成する便器であって、便器ボール部かハウジング部の少なくとも一方の一部又は全体が透明性を有し、便器ボール部の下部であって、直接光源が見えない程度に前記透明性を有する部位から距離を設けた位置に、発光部を集中して設置してなる発光便器。
【請求項2】
ハウジング部の一部又は全体が透明性を有することを特徴とする請求項1記載の発光便器。
【請求項3】
便器ボール部の一部又は全体が透明性を有することを特徴とする請求項1又は2記載の発光便器。
【請求項4】
発光部として、光源を複数設けた発光ブロックを用いたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の発光便器。
【請求項5】
発光色が異なる光源を二種類以上用いたことを特徴とする請求項4記載の発光便器。
【請求項6】
発光部の光源として、LEDを用いたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の発光便器。
【請求項7】
発光部と透明性を有する部位との間に拡散板を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の発光便器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−170052(P2007−170052A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369431(P2005−369431)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】