説明

発光性積層体

【課題】発光輝度が高く、かつ蛍光体の経時的な発光輝度の低下が起こりにくい発光性積層体を提供する。
【解決手段】基体の上に、230〜260nmの波長範囲にある紫外光に励起されて可視光の発光を示す蛍光体からなる蛍光体層と、その層の上に形成された、Xeガスの放電により生成した紫外光により励起されて230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光する、特定の酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とからなる発光性積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体の上に、Xeガスの放電によって生成する紫外光に励起されて可視光を発光する蛍光体からなる蛍光体層が形成されている発光性積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
基体の上に、Xeガスの放電によって生成する紫外光に励起されて可視光を発光する蛍光体を含む蛍光体層が形成されている発光性積層体と、Xeガスを含む放電ガスとを組み合わせて、Xeガスの放電によって生成した紫外光により蛍光体を励起して可視光を発光させる可視光発光装置として、交流型プラズマディスプレイパネル(以下、AC型PDPともいう)やXeランプが知られている。Xeガスの放電によって生成する紫外光には、Xeの共鳴線(波長146nm)とXe2の分子線(波長172nm)が含まれる。
【0003】
AC型PDPは、画像表示面となる前面板と、Xeガスを含む放電ガスが充填された放電空間を挟んで対向配置された背面板とから構成されている。AC型PDPでは、背面板は、一般に、基板(通常は、ガラス板)と、基板の上に形成されたアドレス電極と、アドレス電極を被覆する誘電体層と、誘電体層の上に形成された隔壁とからなる積層体を基体として、その基体の誘電体層表面と隔壁側面の上に蛍光体層が形成された発光性積層体である。背面板の蛍光体層は、隔壁によって青色発光蛍光体層、緑色発光蛍光体層及び赤色発光蛍光体層の三色の蛍光体層に仕切られており、各色の蛍光体層の蛍光体を励起させることにより発光した青色、緑色、赤色の可視光の組み合わせにより画像を表示する。
【0004】
Xeランプは、一般に、管状ガラスやガラス製筐体を基体とし、その内側に蛍光体層を形成した発光素子内に、放電ガスを充填した構成となっている。Xeランプでは、発光素子が発光性積層体である。発光素子の蛍光体層は、通常は、青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体及び赤色発光蛍光体を混合した蛍光体混合物から形成されている。
【0005】
青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体及び赤色発光蛍光体などの複数の蛍光体を用いて可視光を得る可視光発光装置では、各色蛍光体が発光する色のバランスが長期間にわたって安定するように、各色蛍光体の経時的な発光輝度の低下が小さい方が好ましい。蛍光体の経時的な発光輝度の低下を防止する方法の一つとして、蛍光体層の上に蛍光体保護層を設ける方法が知られている。
【0006】
特許文献1には、AC型PDPの蛍光体層の上に、酸化マグネシウム粉末からなる蛍光体保護層を形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−297250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に開示されているように、蛍光体の経時的な発光輝度の低下を防止するために、蛍光体層の上に蛍光体保護層を設けることは有用である。しかしながら、蛍光体保護層を設けると、Xeガスの放電により生成した紫外光が蛍光体保護層に吸収されもしくは蛍光体保護層の表面で反射することにより、蛍光体層に到達する紫外光の量が低減して蛍光体の発光輝度が低下することがある。
従って、本発明の目的は、発光輝度が高く、かつ蛍光体の経時的な発光輝度の低下が起こりにくい発光性積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、蛍光体層上に、Xeガスの放電により生成する紫外光により励起されて230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光する、後述の酸化マグネシウム焼成物粉末を用いて蛍光体保護層を形成した発光性積層体は、Xeガスの放電により生成した紫外光により励起されず発光を示さない、通常の酸化マグネシウム粉末を用いて保護層を形成した発光性積層体と比較して、蛍光体層の発光輝度が高いレベルで長期間にわたって維持することが可能となることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
従って、本発明は基体の上に、230〜260nmの波長範囲にある紫外光に励起されて可視光の発光を示す蛍光体からなる蛍光体層と、その層の上に形成された、Xeガスの放電により生成する紫外光により励起されて230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光する、下記の(1)〜(5)からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とからなる発光性積層体にある。
(1)フッ素を0.01〜10質量%の範囲にて含有するフッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末。
(2)塩素を0.005〜10質量%の範囲にて含有する塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末。
(3)亜鉛を0.1〜30質量%の範囲にて含有する亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末。
(4)γ型酸化アルミニウム粉末と酸化マグネシウム源粉末との粉末混合物を焼成して得られたアルミニウム含有量が2〜38質量%の範囲にあるアルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末。
(5)フッ素をマグネシウム100モルに対して0.01〜24モルの範囲の量にて含み、かつアルカリ金属、マグネシウム以外のアルカリ土類金属、希土類金属、アルミニウム、亜鉛及びスズからなる群より選ばれる少なくとも一種の補助金属をマグネシウム100モルに対して0.01〜30モルの範囲の量にて含むフッ素と補助金属を含有する酸化マグネシウム焼成物粉末。
【0011】
本発明の発光性積層体の好ましい態様は、次の通りである。
(1)蛍光体保護層の厚みが0.5〜10μmの範囲にある。
(2)蛍光体層の厚みが0.1〜30μmの範囲にある。
(3)蛍光体層が、CaMgSi26:Eu2+、(Ca,Sr)MgSi26:Eu2+、Sr3MgSi28:Eu2+、及びBaMgAl1017:Eu2+からなる群より選ばれる少なくとも一つの基本組成式で表される青色発光蛍光体を含む青色発光蛍光体層である。
(4)蛍光体層が、Zn2SiO4:Mn2+の基本組成式で表される緑色発光蛍光体を含む緑色発光蛍光体層である。
(5)蛍光体層が、(Y,Gd)BO3:Eu3+の基本組成式で表される赤色発光蛍光体を含む赤色発光蛍光体層である。
(6)交流型プラズマディスプレイパネルの背面板である。
(7)Xeランプの発光素子である。
【発明の効果】
【0012】
蛍光体保護層がXeガスの放電により生成した紫外光により励起されて230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光する酸化マグネシウム焼成物粉末により形成されている本発明の発光性積層体は、蛍光体保護層がXeガスの放電により生成した紫外光により励起されず発光を示さない酸化マグネシウム粉末により形成されている、従来の発光性積層体と比較して、蛍光体層の発光輝度が高いレベルで長期間にわたって維持される。従って、本発明の発光性積層体は、AC型PDPの背面板やXeランプの発光素子として有利に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の発光性積層体は、基体と、基体の上に形成される蛍光体層と、蛍光体層の上に形成される蛍光体保護層とからなる。
【0014】
本発明の発光性積層体において、蛍光体保護層は、Xeガスの放電により生成した紫外光により励起されて230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光する、下記の(1)〜(5)からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化マグネシウム焼成物粉末により形成される。
【0015】
(1)フッ素を0.01〜10質量%の範囲にて含有するフッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末。
上記フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末のフッ素含有量は、0.03〜5質量%の範囲にあることが好ましく、0.03〜3質量%の範囲にあることが特に好ましい。
【0016】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末は、酸化マグネシウム源粉末を、フッ素源の存在下、もしくはフッ素含有気体の雰囲気下に焼成することにより製造することができる。
【0017】
酸化マグネシウム源粉末としては、酸化マグネシウム粉末、及び加熱により酸化マグネシウム粉末を生成するマグネシウム化合物粉末(但し、塩化マグネシウム粉末を除く)を用いることができる。マグネシウム化合物粉末の例としては、水酸化マグネシウム粉末、塩基性炭酸マグネシウム粉末、硝酸マグネシウム粉末及び酢酸マグネシウム粉末を挙げることができる。酸化マグネシウム源粉末は、酸化マグネシウム粉末であることが好ましい。酸化マグネシウム粉末は、純度が99.95質量%以上で、BET比表面積が5〜150m2/gの範囲、特に7〜50m2/gの範囲にあることが好ましく、気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末であることが特に好ましい。気相合成法とは、金属マグネシウム蒸気と酸素含有気体とを気相中にて接触させ、金属マグネシウム蒸気を酸化させて酸化マグネシウム粉末を製造する方法である。
【0018】
フッ素源としては、フッ化マグネシウム粉末及びフッ化アンモニウム粉末を用いることができる。フッ素源は、純度が99質量%以上であることが好ましい。フッ素源の存在下にて、酸化マグネシウム原料粉末の焼成を行なう場合は、焼成を行なう前に酸化マグネシウム原料粉末とフッ素源とを均一に混合しておくことが好ましい。
【0019】
フッ素含有気体としては、フッ化水素ガス、フッ化アンモニウム、フッ素含有有機化合物(CF4,C26、C38等)、あるいはフッ化マグネシウム粉末を加熱して気化させたガスを用いることができる。
【0020】
フッ素源存在下及びフッ素含有気体雰囲気下での酸化マグネシウム源粉末の焼成温度は、好ましくは850℃以上、より好ましくは900〜1500℃、特に好ましくは1000〜1500℃の範囲である。焼成時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは10分〜2時間、特に好ましくは20分〜2時間の範囲である。酸化マグネシウム源粉末の焼成は、例えば、常圧下、昇温速度100〜500℃/時間の条件で、上記の焼成温度にまで昇温し、次いで上記の焼成時間焼成した後、降温速度100〜500℃/時間の条件で、室温まで冷却することにより行なうことができる。
【0021】
(2)塩素を0.005〜10質量%の範囲にて含有する塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末。
上記塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の塩素含有量は、0.01〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜10質量%の範囲にあることが特に好ましい。
【0022】
塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末は、酸化マグネシウム源粉末を、塩素源の存在下、もしくは塩素含有気体の雰囲気下に焼成することにより製造することができる。
【0023】
酸化マグネシウム源粉末としては、酸化マグネシウム粉末、及び加熱により酸化マグネシウム粉末を生成するマグネシウム化合物粉末(但し、塩化マグネシウム粉末を除く)を用いることができる。マグネシウム化合物粉末の例としては、水酸化マグネシウム粉末、塩基性炭酸マグネシウム粉末、硝酸マグネシウム粉末及び酢酸マグネシウム粉末を挙げることができる。酸化マグネシウム源粉末は、酸化マグネシウム粉末であることが好ましい。酸化マグネシウム粉末は、純度が99.95質量%以上で、BET比表面積が5〜150m2/gの範囲、特に7〜50m2/gの範囲にあることが好ましく、気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末であることが特に好ましい。
【0024】
塩素源としては、塩化マグネシウム粉末及び塩化アンモニウム粉末を用いることができる。塩素源は、純度が99.0質量%以上であることが好ましい。塩素源の存在下にて、酸化マグネシウム原料粉末の焼成を行なう場合は、焼成を行なう前に酸化マグネシウム原料粉末と塩素源とを均一に混合しておくことが好ましい。
【0025】
塩素含有気体としては、塩化水素ガス、あるいは塩化アンモニウム粉末、塩化マグネシウム粉末、もしくは塩素含有有機化合物(CHCl3、CCl4等)を加熱して気化させたガスを用いることができる。
【0026】
塩素源存在下及び塩素含有気体雰囲気下での酸化マグネシウム源粉末の焼成温度は、好ましくは850℃以上、より好ましくは900〜1500℃、特に好ましくは1000〜1500℃の範囲である。焼成時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは10分〜2時間、特に好ましくは20分〜2時間の範囲である。
【0027】
(3)亜鉛を0.1〜30質量%の範囲にて含有する亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末。
上記亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末の亜鉛含有量は、0.5〜7質量%の範囲にあることが特に好ましい。
【0028】
亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末は、酸化マグネシウム源粉末と酸化亜鉛源粉末とを混合して、粉末混合物を得て、次いで得られた粉末混合物を焼成することにより製造することができる。
【0029】
酸化マグネシウム源粉末としては、酸化マグネシウム粉末もしくは加熱により酸化マグネシウム粉末を生成するマグネシウム化合物粉末を用いることができる。酸化マグネシウム源粉末は、酸化マグネシウム粉末であることが好ましい。酸化マグネシウム粉末は、純度が99.95質量%以上で、BET比表面積が5〜150m2/gの範囲、特に7〜50m2/gの範囲にあることが好ましく、気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末であることが特に好ましい。
【0030】
酸化亜鉛源粉末としては、酸化亜鉛粉末、及び加熱により酸化亜鉛粉末を生成する亜鉛化合物粉末を用いることができる。亜鉛化合物粉末の例としては、水酸化亜鉛粉末、炭酸亜鉛粉末、硝酸亜鉛粉末、酢酸亜鉛粉末及びシュウ酸亜鉛粉末を挙げることができる。酸化亜鉛源粉末は、酸化亜鉛粉末であることが好ましい。酸化亜鉛源粉末の純度は99.0質量%以上であることが好ましい。
【0031】
酸化マグネシウム源粉末と酸化亜鉛源粉末との粉末混合物の焼成温度は、好ましくは850℃以上、より好ましくは900〜1500℃、特に好ましくは1000〜1500℃の範囲である。焼成時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは10分〜2時間、特に好ましくは20分〜2時間の範囲である。
【0032】
(4)γ型酸化アルミニウム粉末と酸化マグネシウム源粉末との粉末混合物を焼成して得られたアルミニウム含有量が2〜38質量%の範囲にあるアルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末。
上記アルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末のアルミニウム含有量は、5〜35質量%の範囲にあることが好ましい。
【0033】
アルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末は、γ型酸化アルミニウム粉末と酸化マグネシウム源粉末とを混合して、粉末混合物を得て、次いで得られた粉末混合物を焼成することにより製造することができる。
【0034】
酸化マグネシウム源粉末としては、酸化マグネシウム粉末もしくは加熱により酸化マグネシウム粉末を生成するマグネシウム化合物粉末を用いることができる。酸化マグネシウム源粉末は、酸化マグネシウム粉末であることが好ましい。酸化マグネシウム粉末は、純度が99.95質量%以上で、BET比表面積が5〜150m2/gの範囲、特に7〜50m2/gの範囲にあることが好ましく、気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末であることが特に好ましい。
【0035】
γ型酸化アルミニウム粉末の純度は99.0質量%以上であることが好ましい。
【0036】
γ型酸化アルミニウム粉末と酸化マグネシウム源粉末との粉末混合物の焼成温度は、好ましくは850℃以上、より好ましくは900〜1500℃、特に好ましくは1000〜1500℃の範囲である。焼成時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは10分〜2時間、特に好ましくは20分〜2時間の範囲である。
【0037】
(5)フッ素をマグネシウム100モルに対して0.01〜24モルの範囲の量にて含み、かつアルカリ金属、マグネシウム以外のアルカリ土類金属、希土類金属、アルミニウム、亜鉛及びスズからなる群より選ばれる少なくとも一種の補助金属をマグネシウム100モルに対して0.01〜30モルの範囲の量にて含むフッ素と補助金属を含有する酸化マグネシウム焼成物粉末。
上記フッ素と補助金属とを含有する酸化マグネシウム焼成物粉末は、フッ素の含有量がマグネシウム100モルに対して0.02〜12モルの範囲にあることが好ましく、0.02〜5モルの範囲にあることが特に好ましい。補助金属の含有量は、マグネシウム100モルに対して0.025〜25モルの範囲にあることが好ましく、0.1〜5モルの範囲にあることが特に好ましい。また、補助金属の含有量は、フッ素1モルに対して、0.25〜50モルの範囲にあることが好ましく、0.4〜30モルの範囲にあることが特に好ましい。
【0038】
補助金属として用いるアルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム及びカリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属の例としては、カルシウム及びバリウムを挙げることができる。希土類金属の例としては、イットリウム、セリウム及びガドリニウムを挙げることができる。補助金属は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0039】
フッ素と補助金属とを含有する酸化マグネシウム焼成物粉末は、酸化マグネシウム源粉末と、補助金属のフッ化物の粉末とを混合して、フッ化物を酸化マグネシウム源粉末中のマグネシウム100モルに対して0.05〜30モルの範囲、好ましくは0.1〜25モルの範囲、特に好ましくは0.2〜15モルの範囲となる量にて含む粉末混合物を得て、次いで得られた粉末混合物を焼成することにより製造することができる。
【0040】
補助金属のフッ化物粉末に代えて、補助金属の酸化物粉末又は加熱により金属酸化物に転化する補助金属の化合物粉末(フッ化物粉末を除く)と、フッ化マグネシウム粉末及びフッ化アンモニウム粉末からなる群より選ばれる少なくとも一種のフッ化物粉末とを用いることができる。すなわち、フッ素と補助金属とを含有する酸化マグネシウム焼成物粉末は、酸化マグネシウム源粉末と、補助金属の酸化物の粉末又は加熱により金属酸化物を生成する補助金属のフッ化物以外の化合物の粉末と、フッ化マグネシウム粉末及びフッ化アンモニウム粉末からなる群より選ばれる少なくとも一種のフッ化物粉末とを混合して、補助金属を粉末混合物中のマグネシウム100モルに対して0.05〜30モルの範囲の量にて、かつフッ化物粉末中のフッ化物を補助金属1モルに対して0.1〜10モルの範囲の量にて含む粉末混合物を得て、次いで得られた粉末混合物を焼成することにより製造することもできる。
【0041】
酸化マグネシウム源粉末としては、酸化マグネシウム粉末もしくは加熱により酸化マグネシウム粉末を生成するマグネシウム化合物粉末を用いることができる。酸化マグネシウム源粉末は、酸化マグネシウム粉末であることが好ましい。酸化マグネシウム粉末は、純度が99.95質量%以上で、BET比表面積が5〜150m2/gの範囲、特に7〜50m2/gの範囲にあることが好ましく、気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末であることが特に好ましい。
【0042】
酸化マグネシウム源粉末と混合する補助金属のフッ化物粉末、補助金属の酸化物粉末、加熱により補助金属の酸化物粉末を生成する化合物粉末、及びフッ化物粉末は、純度が99.0質量%以上であることが好ましい。加熱により補助金属の酸化物粉末を生成する化合物粉末の例としては、補助金属の水酸化物粉末、炭酸塩粉末、重炭酸塩粉末、硝酸塩粉末、酢酸塩粉末、シュウ酸塩粉末を挙げることができる。
【0043】
酸化マグネシウム源粉末と補助金属のフッ化物粉末の粉末混合物、及び酸化マグネシウム源粉末と補助金属の酸化物粉末もしくは加熱により補助金属の酸化物粉末を生成する化合物粉末とフッ化物粉末との粉末混合物の焼成温度は、好ましくは850℃以上、より好ましくは900〜1500℃、特に好ましくは1000〜1500℃の範囲である。焼成時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは10分〜2時間、特に好ましくは20分〜2時間の範囲である。
【0044】
蛍光体保護層を形成する酸化マグネシウム焼成物粉末は、BET比表面積が0.1〜30m2/gの範囲、特に0.2〜12m2/gの範囲にあることが好ましい。
【0045】
蛍光体保護層の厚さは、0.5〜10μmの範囲にあることが好ましく、1.0〜10μmの範囲にあることがより好ましい。
【0046】
本発明の発光性積層体において、蛍光体層は、230〜260nmの波長範囲にある紫外光に励起されて可視光の発光を示す蛍光体により形成される。蛍光体には、通常は青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体及び赤色発光蛍光体が用いられる。
【0047】
青色発光蛍光体の例としては、基本組成式がCaMgSi26:Eu2+、(Ca,Sr)MgSi26:Eu2+、Sr3MgSi28:Eu2+、及びBaMgAl1017:Eu2+で表される青色発光蛍光体を挙げることができる。緑色発光蛍光体の例としては、基本組成式がZn2SiO4:Mn2+、(Ba,Sr,Mg)O・αAl23:Mn2+、YBO3:Tb3+、(Y,Gd)BO3:Tb3+、BaAl1219:Mn2+及びBaMgAl1017:Eu2+,Mn2+で表される蛍光体を挙げることができる。赤色発光蛍光体の例としては、基本組成式がYBO3:Eu3+、(Y,Gd)BO3:Eu3+、Y23:Eu3+及び(Y,Gd)23:Eu3+で表される蛍光体を挙げることができる。
【0048】
蛍光体層の厚みは、0.1〜30μmの範囲にあることが好ましく、1.0〜30μmの範囲にあることがより好ましい。
【0049】
蛍光体層は、基体の上に、蛍光体粉末が分散されているペーストをスクリーン印刷法あるいはリバースコータ、カーテンコータ、ダイコータ、スロットコータなどの各種コータを用いたコーティング法により塗布し、塗布膜を乾燥することにより形成することができる。
【0050】
本発明の発光性積層体は、AC型PDPの背面板や、Xeランプの発光素子として用いることができる。
【0051】
AC型PDPの背面板として用いる発光性積層体は、基板(通常は、ガラス板)と、基板の上に形成されたアドレス電極と、アドレス電極を被覆する誘電体層と、誘電体層の上に形成された隔壁とからなる積層体を基体として、誘電体層表面と隔壁側面の上に蛍光体層と蛍光体保護層とをこの順で形成した構成とすることができる。
【0052】
AC型PDPの背面板では、一般に、蛍光体層が隔壁によって青色発光蛍光体層、緑色発光蛍光体層及び赤色発光蛍光体層の三色の蛍光体層に仕切られている。蛍光体保護層は、これらの三色の蛍光体層の上にそれぞれ均一に形成してもよいし、発光輝度の低下が起こりやすい蛍光体から形成された一又は二つの蛍光体層の上にのみ設けてもよい。
【0053】
Xeランプの発光素子として用いる発光性積層体は、ガラス管やガラス製筐体を基体として、その基体の内側に蛍光体層と蛍光体保護層とをこの順で形成した構成とすることができる。
【実施例】
【0054】
[実施例1]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製、純度:99.98質量%、BET比表面積:8.7m2/g)5gと、フッ化マグネシウム粉末(純度:99.1%)0.05gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1200℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が1.81m2/gで、フッ素含有量が0.0496質量%のフッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られたフッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0055】
イソプロピルアルコール300mLにエチルメチルセルロース21gを加えて、マグネチックスターラーにて15時間撹拌して、ペースト基材を調製した。このペースト基材に、上記で製造したフッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末2.5gを加えて、脱泡機を用いて7分間混合して、フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末ペーストを調製した。また、同様にして調製したペースト基材に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末2.5gを加えて、脱泡機を用いて7分間混合して、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末ペーストを調製した。
【0056】
直径19.8mm、厚さ2.0mmの石英基板に、上記で調製したCaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末ペーストを、スクリーン印刷機にて塗布し、70℃の温度で乾燥した後、600℃の温度で1時間アニールして、厚さ7μmのCaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光層を形成した。次いで、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光層の上に、上記で調製したフッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末ペーストを、スクリーン印刷機にて塗布し、70℃の温度で乾燥した後、600℃の温度で1時間アニールして、厚さ3μmのフッ素含有酸化マグネシウム焼成物層を形成して、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0057】
[実施例2]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0058】
[実施例3]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0059】
[実施例4]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0060】
[実施例5]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0061】
[実施例6]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0062】
[発光性積層体の評価]
実施例1〜6で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射した。紫外光の照射開始直後と照射開始から15時間経過後の発光性積層体から放出される可視光の発光スペクトルを測定した。初期最大発光輝度として照射開始直後の発光スペクトルの最大ピーク値を、輝度維持率として、照射開始直後の発光スペクトルの最大ピーク値を100%とした照射開始15時間経過後の発光スペクトルの最大ピーク値の相対値を求めた。その結果を表1に示す。
【0063】
表1(蛍光体保護層:フッ素含有酸化マグネシウム焼成物層)
────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例1 CMS 91 90 100 102
実施例2 SrCMS 92 88 99 100
実施例3 BAM 84 89 98 98
実施例4 ZSM 85 89 96 95
実施例5 YBO 85 84 99 99
実施例6 SMS 92 93 99 100
────────────────────────────────────────注)実施例1〜6の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0064】
[実施例7]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)250gと、塩化マグネシウム粉末(純度:99%)500gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1300℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が0.57m2/gで、塩素含有量が0.8質量%の塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られた塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0065】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造した塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0066】
[実施例8]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例7と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0067】
[実施例9]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例7と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0068】
[実施例10]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例7と同様にして、石英基板の上に、Zn2Si
4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末から
なる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0069】
[実施例11]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例7と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0070】
[実施例12]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例7と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0071】
[発光性積層体の評価]
実施例7〜12で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表2に示す。
【0072】
表2(蛍光体保護層:塩素含有酸化マグネシウム焼成物層)
────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例7 CMS 90 91 100 100
実施例8 SrCMS 90 91 99 99
実施例9 BAM 85 85 97 95
実施例10 ZSM 85 88 99 94
実施例11 YBO 88 86 99 100
実施例12 SMS 93 93 100 102
────────────────────────────────────────注)実施例7〜12の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0073】
[実施例13]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)500gと、酸化亜鉛粉末(純度:99.9%)20gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1300℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が5.73m2/gで、亜鉛含有量が3.09質量%の亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られた亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0074】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造した亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0075】
[実施例14]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例13と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0076】
[実施例15]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例13と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0077】
[実施例16]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例13と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0078】
[実施例17]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例13と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0079】
[実施例18]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例13と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0080】
[発光性積層体の評価]
実施例13〜18で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表3に示す。
【0081】
表3(蛍光体保護層:亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物層)
────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例13 CMS 93 88 100 99
実施例14 SrCMS 90 90 99 100
実施例15 BAM 88 84 98 98
実施例16 ZSM 83 86 97 97
実施例17 YBO 84 86 100 99
実施例18 SMS 91 92 98 99
────────────────────────────────────────注)実施例13〜18の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0082】
[実施例19]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)500gと、γ型酸化アルミニウム粉末(住友化学(株)製、高純度アルミナAKP−G015)26.38gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1300℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が6.07m2/gで、アルミニウム含有量が2.48質量%のアルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られたアルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0083】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造したアルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、アルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0084】
[実施例20]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例19と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、アルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0085】
[実施例21]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例19と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、アルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0086】
[実施例22]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例19と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、アルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0087】
[実施例23]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例19と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、アルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0088】
[実施例24]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例19と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、アルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0089】
[発光性積層体の評価]
実施例19〜24で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表4に示す。
【0090】
表4(蛍光体保護層:アルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物層)────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例19 CMS 92 91 100 100
実施例20 SrCMS 94 87 99 100
実施例21 BAM 84 90 98 92
実施例22 ZSM 86 89 97 94
実施例23 YBO 81 88 100 99
実施例24 SMS 93 94 101 101
────────────────────────────────────────注)実施例19〜24の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0091】
[実施例25]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)6.0gと、フッ化リチウム粉末(純度:99.9質量%)0.0386gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1200℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が0.26m2/gで、リチウム含有量がマグネシウム100モルに対して0.2モル、フッ素含有量がマグネシウム100モルに対して0.09モルのリチウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られたリチウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0092】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造したリチウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、リチウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0093】
[実施例26]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例25と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、リチウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0094】
[実施例27]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例25と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、リチウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0095】
[実施例28]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例25と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、リチウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0096】
[実施例29]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例25と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、リチウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0097】
[実施例30]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例25と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、リチウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0098】
[発光性積層体の評価]
実施例25〜30で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表5に示す。
【0099】
表5(蛍光体保護層:リチウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物層)────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例25 CMS 91 92 100 100
実施例26 SrCMS 93 90 100 99
実施例27 BAM 84 90 97 96
実施例28 ZSM 86 89 98 97
実施例29 YBO 86 90 100 99
実施例30 SMS 92 91 100 100
────────────────────────────────────────注)実施例25〜30の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0100】
[実施例31]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)6.0gと、フッ化ナトリウム粉末(純度:99.9質量%)0.0625gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1200℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が0.21m2/gで、ナトリウム含有量がマグネシウム100モルに対して0.2モル、フッ素含有量がマグネシウム100モルに対して0.10モルのナトリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られたナトリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0101】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造したナトリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、ナトリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0102】
[実施例32]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例31と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、ナトリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0103】
[実施例33]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例31と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、ナトリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0104】
[実施例34]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例31と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、ナトリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0105】
[実施例35]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例31と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、ナトリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0106】
[実施例36]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例31と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、ナトリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0107】
[発光性積層体の評価]
実施例31〜36で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表6に示す。
【0108】
表6(蛍光体保護層:ナトリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物層)────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例31 CMS 93 90 99 99
実施例32 SrCMS 90 91 100 100
実施例33 BAM 88 86 98 94
実施例34 ZSM 84 87 99 95
実施例35 YBO 87 86 99 98
実施例36 SMS 94 91 99 100
────────────────────────────────────────注)実施例31〜36の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0109】
[実施例37]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)6.0gと、フッ化カリウム粉末(純度:99.9質量%)0.432gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1200℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が0.60m2/gで、カリウム含有量がマグネシウム100モルに対して0.1モル、フッ素含有量がマグネシウム100モルに対して0.07モルのカリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られたカリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0110】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造したカリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、カリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0111】
[実施例38]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例37と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、カリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0112】
[実施例39]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例37と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、カリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0113】
[実施例40]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例37と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、カリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0114】
[実施例41]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例37と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、カリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0115】
[実施例42]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例37と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、カリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0116】
[発光性積層体の評価]
実施例37〜42で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表7に示す。
【0117】
表7(蛍光体保護層:カリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物層)────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例37 CMS 92 90 99 99
実施例38 SrCMS 92 89 98 99
実施例39 BAM 85 91 96 95
実施例40 ZSM 82 86 99 95
実施例41 YBO 86 90 100 100
実施例42 SMS 91 91 100 100
────────────────────────────────────────注)実施例37〜42の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0118】
[実施例43]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)6.0gと、フッ化カルシウム粉末(純度:99.9質量%)0.0581gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1200℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が1.36m2/gで、カルシウム含有量がマグネシウム100モルに対して0.5モル、フッ素含有量がマグネシウム100モルに対して0.82モルのカルシウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られたカルシウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0119】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造したカルシウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、カルシウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0120】
[実施例44]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例43と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、カルシウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0121】
[実施例45]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例43と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、カルシウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0122】
[実施例46]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例43と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、カルシウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0123】
[実施例47]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例43と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、カルシウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0124】
[実施例48]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例43と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、カルシウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0125】
[発光性積層体の評価]
実施例43〜48で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表8に示す。
【0126】
表8(蛍光体保護層:カルシウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物層)────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例43 CMS 93 87 100 99
実施例44 SrCMS 91 88 99 100
実施例45 BAM 86 88 99 97
実施例46 ZSM 83 85 97 95
実施例47 YBO 88 87 100 100
実施例48 SMS 93 92 99 101
────────────────────────────────────────注)実施例43〜48の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0127】
[実施例49]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)6.0gと、フッ化バリウム粉末(純度:99.9質量%)0.2610gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1200℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が1.49m2/gで、バリウム含有量がマグネシウム100モルに対して1.0モル、フッ素含有量がマグネシウム100モルに対して1.91モルのバリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られたバリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0128】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造したバリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、バリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0129】
[実施例50]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例49と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、バリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0130】
[実施例51]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例49と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、バリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0131】
[実施例52]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例49と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、バリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0132】
[実施例53]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例49と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、バリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0133】
[実施例54]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例49と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、バリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0134】
[発光性積層体の評価]
実施例49〜54で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表9に示す。
【0135】
表9(蛍光体保護層:バリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物層)────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例49 CMS 90 91 100 100
実施例50 SrCMS 94 89 100 100
実施例51 BAM 89 87 98 97
実施例52 ZSM 85 87 96 94
実施例53 YBO 84 86 98 100
実施例54 SMS 91 92 99 100
────────────────────────────────────────注)実施例49〜54の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0136】
[実施例55]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)6.0gと、フッ化アルミニウム粉末(純度:99.9質量%)0.1250gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1300℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が0.96m2/gで、アルミニウム含有量がマグネシウム100モルに対して1.0モル、フッ素含有量がマグネシウム100モルに対して0.47モルのアルミニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られたアルミニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0137】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造したアルミニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、アルミニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0138】
[実施例56]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例55と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、アルミニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0139】
[実施例57]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例55と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、アルミニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0140】
[実施例58]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例55と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、アルミニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0141】
[実施例59]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例55と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、アルミニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0142】
[実施例60]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例55と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、アルミニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0143】
[発光性積層体の評価]
実施例55〜60で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表10に示す。
【0144】
表10(蛍光体保護層:アルミニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物層)────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例55 CMS 95 92 100 100
実施例56 SrCMS 93 92 99 99
実施例57 BAM 89 89 97 95
実施例58 ZSM 88 90 97 97
実施例59 YBO 85 89 99 99
実施例60 SMS 93 93 101 99
────────────────────────────────────────注)実施例55〜60の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0145】
[実施例61]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)6.0gと、フッ化亜鉛・四水和物粉末(純度:99.9質量%)0.1306gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1300℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が1.29m2/gで、亜鉛含有量がマグネシウム100モルに対して0.5モル、フッ素含有量がマグネシウム100モルに対して0.03モルの亜鉛・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られた亜鉛・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0146】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造した亜鉛・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、亜鉛・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0147】
[実施例62]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例61と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、亜鉛・フッ素含有含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0148】
[実施例63]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例61と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、亜鉛・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0149】
[実施例64]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例61と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、亜鉛・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0150】
[実施例65]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例61と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、亜鉛・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0151】
[実施例66]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例61と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、亜鉛・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0152】
[発光性積層体の評価]
実施例61〜66で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表11に示す。
【0153】
表11(蛍光体保護層:亜鉛・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物層)────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例61 CMS 94 89 98 99
実施例62 SrCMS 92 87 100 100
実施例63 BAM 85 90 95 96
実施例64 ZSM 83 87 97 95
実施例65 YBO 83 85 100 100
実施例66 SMS 92 95 98 99
────────────────────────────────────────注)実施例61〜66の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0154】
[実施例67]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)6.0gと、フッ化スズ粉末(純度:99.9質量%)0.2334gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1300℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が0.80m2/gで、スズ含有量がマグネシウム100モルに対して1.0モル、フッ素含有量がマグネシウム100モルに対して0.07モルのスズ・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られたスズ・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0155】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造したスズ・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、スズ・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0156】
[実施例68]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例67と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、スズ・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0157】
[実施例69]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例67と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、スズ・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0158】
[実施例70]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例67と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、スズ・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0159】
[実施例71]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例67と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、スズ・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0160】
[実施例72]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例67と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、スズ・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0161】
[発光性積層体の評価]
実施例67〜72で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表12に示す。
【0162】
表12(蛍光体保護層:スズ・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物層)────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例67 CMS 94 89 100 100
実施例68 SrCMS 91 90 100 100
実施例69 BAM 82 87 98 95
実施例70 ZSM 83 87 97 96
実施例71 YBO 82 89 100 99
実施例72 SMS 91 89 99 100
────────────────────────────────────────注)実施例67〜72の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0163】
[実施例73]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)6.0gと、フッ化セリウム粉末(純度:99.9質量%)0.1460gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1300℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が0.99m2/gで、セリウム含有量がマグネシウム100モルに対して1.0モル、フッ素含有量がマグネシウム100モルに対して0.26モルのセリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られたセリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0164】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造したセリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、セリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0165】
[実施例74]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例73と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、セリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0166】
[実施例75]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例73と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、セリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0167】
[実施例76]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例73と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、セリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0168】
[実施例77]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例73と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、セリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0169】
[実施例78]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例73と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、セリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0170】
[発光性積層体の評価]
実施例73〜78で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表13に示す。
【0171】
表13(蛍光体保護層:セリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物層)────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例73 CMS 93 90 100 100
実施例74 SrCMS 90 92 98 99
実施例75 BAM 85 85 97 97
実施例76 ZSM 85 88 97 94
実施例77 YBO 88 86 99 100
実施例78 SMS 94 95 100 100
────────────────────────────────────────注)実施例73〜78の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0172】
[実施例79]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)6.0gと、フッ化イットリウム粉末(純度:99.9質量%)0.2180gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1300℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が0.97m2/gで、イットリウム含有量がマグネシウム100モルに対して1.0モル、フッ素含有量がマグネシウム100モルに対して1.52モルのイットリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られたイットリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0173】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造したイットリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、イットリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0174】
[実施例80]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例79と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、イットリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0175】
[実施例81]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例79と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、イットリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0176】
[実施例82]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例79と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、イットリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0177】
[実施例83]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例79と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、イットリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0178】
[実施例84]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例79と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、イットリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0179】
[発光性積層体の評価]
実施例79〜84で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表14に示す。
【0180】
表14(蛍光体保護層:イットリウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物層)────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例79 CMS 94 90 99 100
実施例80 SrCMS 91 88 99 100
実施例81 BAM 83 87 98 98
実施例82 ZSM 86 88 96 96
実施例83 YBO 86 85 100 100
実施例84 SMS 92 93 100 99
────────────────────────────────────────注)実施例79〜84の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0181】
[実施例85]
気相合成法により製造された酸化マグネシウム粉末(2000A、宇部マテリアルズ(株)製)6.0gと、フッ化ガドリニウム粉末(純度:99.9質量%)0.0796gとを混合して、粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をアルミナ坩堝に投入し、蓋をして、電気炉に入れ、240℃/時間の昇温速度で1300℃まで上昇させ、次いでその温度で30分間焼成した。その後、炉内温度を240℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。得られた焼成物は、BET比表面積が1.10m2/gで、ガドリニウム含有量がマグネシウム100モルに対して0.5モル、フッ素含有量がマグネシウム100モルに対して0.59モルのガドリニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末であった。得られたガドリニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末に、波長146nmと波長172nmの真空紫外光を照射したところ、230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光することが確認された。
【0182】
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、上記で製造したガドリニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、ガドリニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0183】
[実施例86]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例85と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、ガドリニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0184】
[実施例87]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例85と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、ガドリニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0185】
[実施例88]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例85と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、ガドリニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0186】
[実施例89]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例85と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、ガドリニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0187】
[実施例90]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は実施例85と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、ガドリニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0188】
[発光性積層体の評価]
実施例85〜90で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表15に示す。
【0189】
表15(蛍光体保護層:ガドリニウム・フッ素含有酸化マグネシウム焼成物層)────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
実施例85 CMS 96 92 100 100
実施例86 SrCMS 95 90 100 99
実施例87 BAM 88 90 97 96
実施例88 ZSM 88 89 99 95
実施例89 YBO 90 87 99 99
実施例90 SMS 93 94 99 100
────────────────────────────────────────注)実施例85〜90の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した後述の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0190】
[比較例1]
蛍光体層の上に蛍光体保護層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、厚さ7μmのCaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)が形成された発光性積層体を製造した。
【0191】
[比較例2]
蛍光体層の上に蛍光体保護層を形成しなかったこと以外は実施例2と同様にして、石英基板の上に、厚さ7μmのCa0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)が形成された発光性積層体を製造した。
【0192】
[比較例3]
蛍光体層の上に蛍光体保護層を形成しなかったこと以外は実施例3と同様にして、石英基板の上に、厚さ7μmのBaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)が形成された発光性積層体を製造した。
【0193】
[比較例4]
蛍光体層の上に蛍光体保護層を形成しなかったこと以外は実施例4と同様にして、石英基板の上に、厚さ7μmのZn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)が形成された発光性積層体を製造した。
【0194】
[比較例5]
蛍光体層の上に蛍光体保護層を形成しなかったこと以外は実施例5と同様にして、石英基板の上に、厚さ7μmの(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)が形成された発光性積層体を製造した。
【0195】
[比較例6]
蛍光体層の上に蛍光体保護層を形成しなかったこと以外は実施例6と同様にして、石英基板の上に、厚さ7μmのSr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)が形成された発光性積層体を製造した。
【0196】
[発光性積層体の評価]
比較例1〜6で製造した発光性積層体の蛍光体層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表16に示す。
【0197】
表16(蛍光体保護層:なし)
────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
比較例1 CMS 100 100 97 99
比較例2 SrCMS 100 100 97 98
比較例3 BAM 100 100 93 90
比較例4 ZSM 100 100 90 91
比較例5 YBO 100 100 98 99
比較例6 SMS 100 100 95 93
────────────────────────────────────────
【0198】
[比較例7]
フッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末の代わりに、波長146nmと波長172nmの紫外光の照射により発光を示さない酸化マグネシウム粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、石英基板の上に、CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(CMS)と、酸化マグネシウム粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0199】
[比較例8]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は比較例7と同様にして、石英基板の上に、Ca0.5Sr0.5MgSi26:Eu2+青色発光蛍光体層(SrCMS)と、酸化マグネシウム粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0200】
[比較例9]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は比較例7と同様にして、石英基板の上に、BaMgAl1017:Eu2+青色発光蛍光体層(BAM)と、酸化マグネシウム粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0201】
[比較例10]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は比較例7と同様にして、石英基板の上に、Zn2SiO4:Mn2+緑色発光蛍光体層(ZSM)と、酸化マグネシウム粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0202】
[比較例11]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は比較例7と同様にして、石英基板の上に、(Y,Gd)BO3:Eu3+赤色発光蛍光体層(YBO)と、酸化マグネシウム粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0203】
[比較例12]
CaMgSi26:Eu2+青色発光蛍光体粉末の代わりに、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体粉末を用いたこと以外は比較例7と同様にして、石英基板の上に、Sr3MgSi28:Eu2+青色発光蛍光体層(SMS)と、酸化マグネシウム粉末からなる蛍光体保護層とがこの順で形成された発光性積層体を製造した。
【0204】
[発光性積層体の評価]
比較例7〜12で製造した発光性積層体の蛍光体保護層の上から、波長146nmと波長172nmの紫外光をそれぞれ15時間照射して、実施例1〜6と同様にして、初期最大発光輝度と輝度維持率とを求めた。その結果を表17に示す。
【0205】
表17(蛍光体保護層:酸化マグネシウム層)
────────────────────────────────────────
蛍光体層 初期最大発光輝度 輝度維持率(%)
─────────── ───────────
146nm 172nm 146nm 172nm
────────────────────────────────────────
比較例7 CMS 71 60 99 100
比較例8 SrCMS 66 72 99 100
比較例9 BAM 74 67 97 94
比較例10 ZSM 69 66 98 94
比較例11 YBO 63 70 100 99
比較例12 SMS 65 68 99 99
────────────────────────────────────────注)比較例7〜12の初期最大発光輝度はそれぞれ同一の蛍光体層を形成した上記の比較例1〜6の発光性積層体の値を100とした相対値。
【0206】
表1〜17に示す結果から明らかなように、本発明に従う発光性積層体(実施例1〜90)は、波長146nm及び波長172nmの紫外光により励起されず発光を示さない酸化マグネシウム粉末からなる蛍光体保護層が形成された発光性積層体(比較例7〜12)と比較して初期の発光輝度が高い。また、本発明に従う発光性積層体は、蛍光体保護層が形成されていない発光性積層体(比較例1〜6)と比べて、蛍光体層の違いによる輝度維持率の変動が小さい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体の上に、230〜260nmの波長範囲にある紫外光に励起されて可視光の発光を示す蛍光体からなる蛍光体層と、その層の上に形成された、Xeガスの放電により生成する紫外光により励起されて230〜260nmの波長範囲にピークを有する紫外光を発光する、下記の(1)〜(5)からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化マグネシウム焼成物粉末からなる蛍光体保護層とからなる発光性積層体:
(1)フッ素を0.01〜10質量%の範囲にて含有するフッ素含有酸化マグネシウム焼成物粉末;
(2)塩素を0.005〜10質量%の範囲にて含有する塩素含有酸化マグネシウム焼成物粉末;
(3)亜鉛を0.1〜30質量%の範囲にて含有する亜鉛含有酸化マグネシウム焼成物粉末;
(4)γ型酸化アルミニウム粉末と酸化マグネシウム源粉末との粉末混合物を焼成して得られたアルミニウム含有量が2〜38質量%の範囲にあるアルミニウム含有酸化マグネシウム焼成物粉末;
(5)フッ素をマグネシウム100モルに対して0.01〜24モルの範囲の量にて含み、かつアルカリ金属、マグネシウム以外のアルカリ土類金属、希土類金属、アルミニウム、亜鉛及びスズからなる群より選ばれる少なくとも一種の補助金属をマグネシウム100モルに対して0.01〜30モルの範囲の量にて含むフッ素と補助金属を含有する酸化マグネシウム焼成物粉末。
【請求項2】
蛍光体保護層の厚みが0.5〜10μmの範囲にある請求項1に記載の発光性積層体。
【請求項3】
蛍光体層の厚みが0.1〜30μmの範囲にある請求項1に記載の発光性積層体。
【請求項4】
蛍光体層が、CaMgSi26:Eu2+、(Ca,Sr)MgSi26:Eu2+、Sr3MgSi28:Eu2+、及びBaMgAl1017:Eu2+からなる群より選ばれる少なくとも一つの基本組成式で表される青色発光蛍光体を含む青色発光蛍光体層である請求項1に記載の発光性積層体。
【請求項5】
蛍光体層が、Zn2SiO4:Mn2+の基本組成式で表される緑色発光蛍光体を含む緑色発光蛍光体層である請求項1に記載の発光性積層体。
【請求項6】
蛍光体層が、(Y,Gd)BO3:Eu3+の基本組成式で表される赤色発光蛍光体を含む赤色発光蛍光体層である請求項1に記載の発光性積層体。
【請求項7】
交流型プラズマディスプレイパネルの背面板である請求項1に記載の発光性積層体。
【請求項8】
Xeランプの発光素子である請求項1に記載の発光性積層体。

【公開番号】特開2010−80441(P2010−80441A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200313(P2009−200313)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000119988)宇部マテリアルズ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】