説明

発光表示装置

【課題】 検知対象の状態変化を発光体の発光によって報知する発光表示装置において、発光状態が離れた位置からも視認され易く、死角による見逃しも生じにくく、水濡れ等による発光部分の劣化がなく、制御機構部の耐久性が良好なものを提供する。
【解決手段】 発光ダイオード5の取付部分を覆う光透過性硬質材料からなる保護カバー12を備え、保護カバー12の内面側の少なくとも一部に乱反射面6が形成され、発光体5から放射される光を該乱反射面6で乱反射させるように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機械装置のON−OFFの如き動作の切換え状態を示す表示ランプ、各種システムや機械装置に異常を生じた時に点灯する警報ランプ等、検知対象の状態変化を発光体の発光によって報知する発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シーケンスバルブを始めとする各種バルブにおいて、その開閉状態を表示する装置として、バルブケーシングに付設されるコントロールヘッドに、バルブ開閉に伴う圧力の増減で昇降する近接リミッターと、その昇降を検出する近接スイッチと、該近接スイッチの信号によって点滅する発光ダイオード(LED)の如き発光素子を取り付けたものがある。そして、このようなコントールヘッドでは、電気回路を含む制御機構部を透明又は乳白色半透明の硬質合成樹脂からなる保護カバーで覆うと共に、発光部分を該保護カバーの外側に導出するのが一般的である。
【0003】
しかしながら、上記のバルブ開閉の表示装置では、発光部分が小さいため、その発光が離れた位置から視認されにくく、且つ発光部分が周辺の器材の死角に入って見逃される場合も多々ある上、外部に導出した発光部分が水濡れ等で劣化を速めたり、その導出部分の封止不良によってコントールヘッド内の制御機構部の寿命低下や故障を生じ易いという問題があった。そして、このような問題は、バルブ開閉の表示装置に限らず、各種機械装置のON−OFFや動作の切換え状態を示す表示ランプ、各種システムや機械装置に異常を生じた時に点灯する警報ランプ等、検知対象の状態変化を発光体の発光によって報知する発光表示装置全般に共通することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の状況に鑑み、前記バルブ開閉の表示装置を始めとして、検知対象の状態変化を発光体の発光によって報知する発光表示装置において、その発光状態が離れた位置からも視認され易く、死角による見逃しも生じにくく、且つ水濡れ等による発光部分の劣化がなく、また制御機構部の耐久性が良好なものを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、図面の参照符号を付して示せば、検知対象の状態変化を発光体(発光ダイオード5)の発光によって報知する発光表示装置において、発光体5の取付部分を覆う光透過性硬質材料からなる保護カバー12を備え、この保護カバー12の内面側の少なくとも一部に乱反射面6が形成され、発光体5から放射される光を該乱反射面6で乱反射させるように構成してなるものである。
【0006】
また、上記の発光表示装置において、請求項2の発明では発光体が発光ダイオード5である構成、請求項3の発明では乱反射面6が透明ガラス又は透明プラスチックからなる保護カバー12の表面を摩りガラス状に粗面化したものである構成、をそれぞれ採用している。
【0007】
請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれかの発光表示装置において、保護カバー12が内面側を乱反射面6とした半透明な天井部12aと透明な周壁部12bとでキャップ状に形成され、発光体5及び制御機構を取り付けたベース部11に該保護カバー12が嵌着されてなるものとしている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明に係る発光表示装置によれば、発光体が発光した際、保護カバーの乱反射面で乱反射した光で該保護カバー全体が光った状態になり、発光部分のサイズが大きくなるため、その発光状態が離れた位置からも視認され易い上、死角も生じにくくなる。また、発光体は、保護カバーに覆われているために水濡れ等による劣化が防止され、長寿命となる。
【0009】
請求項2の発明によれば、発光体に発光ダイオードを用いることから、低電力で安定した高輝度の発光が得られる。
【0010】
請求項3の発明によれば、乱反射面が透明プラスチック又は透明ガラスからなる保護カバーの表面を摩りガラス状に粗面化したものであるから、該乱反射面をショットブラスト等で容易に且つ安価に形成できるという利点がある。
【0011】
請求項4の発明によれば、保護カバーが内面側を乱反射面とした半透明な天井部と透明な周壁部とからなるキャップ状をなし、発光体及び制御機構を取り付けたベース部に嵌着されることから、発光体が発光した際、透明な周壁部からの散乱光の強い放射で発光表示がより明るく視認され易くなる上、該周壁部を通して内部の制御機構等の状態を観察できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の発光表示装置をシーケンスバルブの開閉表示に適用した一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
図1〜図5において、1はコントールヘッドであり、上方に開放した平面視略円形の容器状のベース部11と、このベース部11の上部にOリング13を介して気密状態に外嵌装着された保護カバー12とで縦短円筒形のケーシング10を構成しており、シーケンスバルブのシリンダーS(図4,図5参照)の頂部に取り付けるようになっている。
【0014】
そして、このケーシング10内には、制御機構のプリント配線板2等と共に、バルブ開閉に伴う圧力の増減で昇降する近接リミッター3と、その昇降を検出する開側及び閉側の近接スイッチ4a,4bと、両近接スイッチ4a,4bの検出信号に基づいてバルブ開状態で緑色に発光するように設定された発光ダイオード(LED)5とがベース部11に保持される形で配設されている。なお、発光ダイオード5はケーシング10内の上部に配置した水平取付板13上に固設され、また近接リミッター3はシリンダーSから突出するピストンロッドRに螺合連結される。
【0015】
ケーシング10のベース部11は着色不透明なポリカーボネートの硬質成形物にて形成されている。一方、保護カバー12は、無色透明なポリカーボネートからなるキャップ状の硬質成形物にショットブラスト処理を施すことにより、内面側が摩りガラス状に粗面化された乱反射面6をなす半透明な天井部12aと、無色透明の周壁部12bとからなるものとしている。
【0016】
なお、図4及び図5では、発光ダイオード3が発光していないバルブ閉止の状態を示しており、ピストンロッドRの退入によって近接リミッター3が閉側近接スイッチ4bに対峙する下降位置にある。しかして、バルブが開放すれば、それに伴う圧力でピストンロッドRが伸出することにより、近接リミッター3は上昇して開側近接スイッチ4aに対峙し、発光ダイオード3が発光する。
【0017】
上記構成の発光表示装置では、シーケンスバルブの開放に伴って発光ダイオード5が発光した際、その光が保護カバー12の乱反射面6で乱反射し、その乱反射光がコントールヘッド1内に充満し、該保護カバー12の半透明な天井部12aは鈍く、透明な周壁部12bは強く緑色に光った状態になる。従って、発光部分が保護カバー12全体の大きなサイズになるから、発光状態が離れた位置からも容易に確実に視認され、また周辺の器材で死角を生じる可能性も極めて少なくなる。
【0018】
また、この発光表示装置にあっては、発光ダイオード5を保護カバー12内に納めているから、その水濡れ等による劣化を回避できる上、コントールヘッド1内の気密性を十分に確保できるため、封止不良に起因した内部の制御機構部の寿命低下や故障を防止し、発光ダイオード5を含めてコントールヘッド1全体の長寿命化を実現できる。
【0019】
本発明は、上記実施形態で例示したシーケンスバルブの開閉表示に限らず、各種機械装置のON−OFFや動作の切換え状態を示す表示ランプ、各種システムや機械装置に異常を生じた時に点灯する警報ランプ等、検知対象の状態変化を発光体の発光によって報知する機能を持つ発光表示装置全般に適用できる。また、発光体としては発光ダイオード以外の発光素子も利用できるが、特に発光ダイオードでは低電力で安定した高輝度の発光が得られるという利点がある。
【0020】
本発明の発光表示装置に用いる保護カバーは、内面側の少なくとも一部に乱反射面を設けておればよいが、当然に内面全体を乱反射面にしてもよい。ただし、前記実施形態で用いた保護カバー12のように、内面側を乱反射面6とした半透明な天井部12aと透明な周壁部12bとからなるキャップ状として、発光ダイオード5及び制御機構を取り付けたベース部11に嵌着する構成とすれば、発光ダイオード5が発光した際、透明な周壁部12bからの散乱光の強い放射で発光表示がより明るく視認され易くなる上、外側から該周壁部12bを通して内部の制御機構等の状態を目視観察して異常の有無等を調べることができる。
【0021】
また、保護カバーの材料としては、実施形態ではポリカーボネートを用いているが、他の透明性硬質プラスチックや透明ガラス等の種々の光透過性硬質材料を使用できる。しかして、乱反射面の形成手段には特に制約はなく、成形型の内面を粗面状にしたり、成形後の型押しで粗面を転写する等の方法も採用可能であるが、ショットブラストによる摩りガラス状の粗面化が加工コストと乱反射効果の両面から推奨される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る発光表示装置の斜視図である。
【図2】同発光表示装置の正面図である。
【図3】図2のA−A線の断面矢視図である。
【図4】図3のB−B線の断面矢視図である。
【図5】図3のC−C線の断面矢視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 コントールヘッド
10 ケーシング
11 ベース部
12 保護カバー
12a 天井部
12b 周壁部
5 発光ダイオード
6 乱反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知対象の状態変化を発光体の発光によって報知する発光表示装置において、
発光体の取付部分を覆う光透過性硬質材料からなる保護カバーを備え、この保護カバーの内面側の少なくとも一部に乱反射面が形成され、発光体から放射される光を該乱反射面で乱反射させるように構成してなる発光表示装置。
【請求項2】
前記発光体が発光ダイオードである請求項1記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記乱反射面が透明プラスチック又は透明ガラスからなる保護カバーの表面を摩りガラス状に粗面化したものである請求項1又は2に記載の発光表示装置。
【請求項4】
前記保護カバーが内面側を乱反射面とした半透明な天井部と透明な周壁部とでキャップ状に形成され、発光体及び制御機構を取り付けたベース部に該保護カバーが嵌着されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−98959(P2006−98959A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287411(P2004−287411)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000222336)トーステ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】